(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ベルトクリーナは、前記ベルトユニットにおける前記画像形成部と反対側の位置において前記ベルトと接触していることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
前記本体ギアは、前記ベルトギアを介して前記ベルトユニットを押す力が、前記搬送方向と同じ方向成分を有するような配置で前記ベルトギアと係合していることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
前記被係合部および前記係合部の一方には、他方に対して異なる方向から当接するように互いに交差する方向に延びる二つの面が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の一実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明においては、まず、カラープリンタ1(画像形成装置)の全体構成を簡単に説明した後、本発明の特徴部分の詳細を説明することにする。
【0011】
また、以下の説明において、方向はカラープリンタ1を使用するユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、
図1における右側を「前」、左側を「後」とし、手前側を「左」、奥側を「右」とする。また、
図1における上下方向を「上下」とする。
【0012】
<カラープリンタの概略構成>
カラープリンタ1は、
図1に示すように、装置本体10内に、記録シートの一例としての用紙Pを供給する給紙部2と、露光ユニット30と、画像形成部40と、ベルトユニット50と、ベルトクリーナ60と、定着ユニット70と、画像が形成された用紙Pを排出する排紙部4とを主に備えている。
【0013】
給紙部2は、装置本体10内の下部に設けられ、用紙Pを収容する給紙トレイ21と、給紙トレイ21から用紙Pを画像形成部40とベルトユニット50の間に供給する記録シート搬送手段の一例である用紙供給機構22とを主に備えている。給紙トレイ21内の用紙Pは、用紙供給機構22によって1枚ずつ分離されて画像形成部40とベルトユニット50の間に供給される。
【0014】
露光ユニット30は、装置本体10内の上部に設けられ、図示しないレーザ発光部、ポリゴンミラー、レンズ、反射鏡などを備えている。シアン、マゼンダ、イエロー、ブラックの各色に対応してレーザ発光部から出射されたレーザ光は、ポリゴンミラーや反射鏡で反射し、レンズを通過して、各感光体ドラム43の表面上に高速走査にて照射される。
【0015】
画像形成部40は、給紙部2と露光ユニット30との間に配置され、4つのプロセスユニット41と、4つのプロセスユニット41を前後に並んだ状態で支持する支持部材42とを主に備えている。
【0016】
プロセスユニット41は、感光体ドラム43と、帯電器44と、現像カートリッジ45とを主に備えている。現像カートリッジ45は、現像ローラ46と、符号を省略して示す供給ローラ、層厚規制ブレードおよびトナー収容部とを主に備えている。
【0017】
ベルトユニット50は、給紙部2と画像形成部40との間に、駆動ローラ51と、従動ローラ52と、駆動ローラ51および従動ローラ52の間で架け渡されて回転するベルトの一例としての無端状の搬送ベルト53と、4つの転写ローラ54とを主に備えている。搬送ベルト53は、画像形成部40が搬送ベルト53の後述する上ベルト53Aに接触するように配置されることで、各感光体ドラム43に接しており、内側には各転写ローラ54が各感光体ドラム43との間で搬送ベルト53を挟持するように配置されている。なお、ベルトユニット50は、装置本体10に着脱可能に設けられている。
【0018】
定着ユニット70は、画像形成部40およびベルトユニット50の後方に設けられ、加熱ローラ71と、加熱ローラ71と対向配置されて加熱ローラ71を押圧する加圧ローラ72とを備えている。
【0019】
画像形成部40では、感光体ドラム43の表面が帯電器44により一様に帯電された後、露光ユニット30からのレーザ光の高速走査によって露光されることで、感光体ドラム43上に静電潜像が形成される。また、トナー収容部内のトナーは、供給ローラを介して現像ローラ46に供給され、現像ローラ46と層厚規制ブレードとの間に進入して一定厚さの薄層として現像ローラ46上に担持される。
【0020】
現像ローラ46上に担持されたトナーは、現像ローラ46から感光体ドラム43上の静電潜像に供給される。これにより、静電潜像が可視像化されて感光体ドラム43上にトナー像が形成される。その後、用紙供給機構22によって、搬送ベルト53に向けて搬送されてくる用紙Pが、感光体ドラム43と搬送ベルト53(転写ローラ54)の間を通過することで、各感光体ドラム43上に形成されたトナー像が用紙P上に順次重ね合わせて転写される。そして、用紙Pが加熱ローラ71と加圧ローラ72の間を搬送されることで、用紙P上に転写されたトナー像が熱定着される。
【0021】
排紙部4は、定着ユニット70の出口から上方に向かって延び、前方に方向転換するように形成された排紙経路81と、用紙Pを搬送する複数の搬送ローラ82とを主に備えている。トナー像が熱定着された用紙Pは、搬送ローラ82によって排紙経路81を搬送され、装置本体10の上部に設けられた排紙トレイ12上に排出される。
【0022】
装置本体10の前側の側壁は開閉可能なフロントカバー11であり、フロントカバー11を開けることで画像形成部40およびベルトユニット50を装置本体10の外部へ取り出すことが可能となっている。
【0023】
<ベルトユニット周辺の詳細構成>
次に、
図2および
図3を参照してベルトユニット50周辺の詳細構造について説明する。搬送ベルト53は、前記したように駆動ローラ51と従動ローラ52との間で架け渡されており、上側の展張面(「上ベルト53A」とする。)は、その外側(上側)の面が各感光体ドラム43と接触している。なお、印刷時には、感光体ドラム43は用紙Pを介して搬送ベルト53と接触している。
【0024】
ここで、本発明において、「用紙搬送方向」というときは、用紙供給機構22によって搬送される用紙Pが搬送ベルト53に接触する接触位置93Pでの用紙Pの搬送方向を指す。すなわち、本実施形態においては、用紙搬送方向は後方向きである。
【0025】
用紙Pを後方へ搬送するため、感光体ドラム43は、搬送ベルト53(上ベルト53A)と順方向に回転している。すなわち、感光体ドラム43が上ベルト53Aと接触する部分は上ベルト53Aと同様に、後方へ向けて進行する。
【0026】
感光体ドラム43は、図示しない駆動源により駆動され、感光体ドラム43の周速度(周回する表面の移動速度)と搬送ベルト53の周速度とは、ほぼ同じに設定、もしくは、感光体ドラム43の周速度を搬送ベルト53の周速度よりも僅かに大きく設定されている。言い換えると、感光体ドラム43からベルトユニット50に作用する用紙搬送方向と同方向の力はゼロ以上となり、この力は、後述するロックピン55Aを突当部92Bに押し当てるように働く。感光体ドラム43の周速度が搬送ベルト53の周速度より大きい場合には、感光体ドラム43がベルトユニット50を用紙搬送方向と同方向へ向けて押し動かそうとする力が働くので、後述するように本発明の効果を有効に利用するのには望ましい。
【0027】
駆動ローラ51と従動ローラ52とは、それぞれフレーム55により軸受51A,52Aを介して回動可能に支持されている。搬送ベルト53に適度な張力を付与するため、公知のように、駆動ローラ51と従動ローラ52とは互いに離れるようにバネにより付勢されている(図示せず)。そのため、従動ローラ52は、前後方向に多少移動できるようにフレーム55に支持されている。
【0028】
フレーム55には、前寄りの位置に左右外側に突出する係合部の一例としてのロックピン55Aが設けられている。装置本体10には、搬送ベルト53の左右両側に被係合部の一例としての位置決めレール92が設けられている。このロックピン55Aと位置決めレール92は、互いが係合することでベルトユニット50の位置決めをする位置決め部100となっている。
【0029】
位置決めレール92は、前後に水平に延びるレール部92Aと当該レール部92Aの後方から上方に延びる突当部92Bとを有している。突当部92Bの前側の面は、鉛直に延びる平面で形成されており、感光体ドラム43がベルトユニット50を押す力、つまり後方へ押す力を受け止める向きとなっている。また、ロックピン55Aは、位置決めレール92に届く長さで形成されている。つまり、ロックピン55Aに対して異なる方向から当接するように互いに交差する方向に延びる二つの面を有している。これにより、ロックピン55Aがロック部材93によって位置決めレール92に押し当てられると、ベルトユニット50の前後方向および上下方向の位置決めをすることができる。
【0030】
そして、左右のロックピン55Aの前側には、駆動ローラ51と平行な軸93C周りに揺動可能な付勢手段の一例としてのロック部材93とバネ94が装置本体10に支持されている。ロック部材93は、軸93Cから上方に延びる第1アーム93Aと、軸93Cから下方に延びる第2アーム93Bを有し、第2アーム93Bは、バネ94の一端と係合している。バネ94の他端は装置本体10に係止され、バネ94により、第2アーム93Bは常時前方に、第1アーム93Aは常時後方に付勢されている。
【0031】
第1アーム93Aは装着されたベルトユニット50のロックピン55Aに当接するように配置されて、常時ベルトユニット50を後方に付勢する。つまり、ロック部材93とバネ94による付勢方向は、用紙搬送方向と同じ方向成分を有している。
【0032】
このような構成のため、カラープリンタ1が作動していないときにおいて、ロックピン55Aは第1アーム93Aにより後方に押され、ベルトユニット50は全体として後方(用紙搬送方向)に付勢され、ロックピン55Aと突当部92Bの間に押圧力が働く。これによりベルトユニット50は前後方向に位置決めされる。
【0033】
駆動ローラ51の軸51Bの一端(左端)には、駆動ローラ51と同軸にベルトギア51Cが設けられている。ベルトギア51Cには、上ベルト53Aに沿う方向に並んで本体ギア91が係合している。
【0034】
本体ギア91は、装置本体10に回転可能に設けられ、図示しないモータからの動力を受けて
図2における時計回りに回転するようになっている。このため、本体ギア91に係合しているベルトギア51Cは、
図2における反時計回りに回転し、駆動ローラ51および搬送ベルト53を反時計回りに回転させる。
【0035】
ベルトユニット50の前端には、フレーム55に固定されたハンドル57が設けられている。ハンドル57は、ベルトユニット50を装置本体10から着脱するのに把持される部分である。
【0036】
ベルトユニット50を装置本体10から取り外す際には、
図4(a)に示すように、まずフロントカバー11を開放し、画像形成部40を装置本体10外に取り出す。そして、
図4(b)に示すように、ハンドル57を把持して上方向に持ち上げ、ベルトユニット50を装置本体10外へ取り出す。
【0037】
図2,3に示すように、ベルトユニット50の下、言い換えるとベルトユニット50における画像形成部40と反対側の位置には、ベルトクリーナ60が搬送ベルト53(下ベルト53B)と接触するように配置され、搬送ベルト53をクリーニングしている。ベルトクリーナ60は、クリーニングローラ61、回収ローラ62、ブレード63および回収ボックス64を有する。
【0038】
クリーニングローラ61は、駆動ローラ51と平行な軸周りに回転するローラであり、感光体ドラム43とは逆に
図2における反時計回りに回転して下ベルト53Bの方面と摺接するように配置されている。クリーニングローラ61は、下ベルト53Bと摺接することで、搬送ベルト53の表面の残トナーや紙粉を掻き取るようになっている。
【0039】
なお、下ベルト53Bを挟んでクリーニングローラ61の反対側には、クリーニングローラ61と下ベルト53Bとの接触圧を与えるバックアップローラ56がベルトユニット50の一部として設けられている。
【0040】
回収ローラ62は、クリーニングローラ61の下方でクリーニングローラ61と接して
図2における時計回りに回転するローラでありクリーニングローラ61に付着したトナーなどを除去するものである。
【0041】
ブレード63は、その先端が回収ローラ62と摺接するように配置され、回収ローラ62の表面のトナーなどを回収ボックス64内に掻き落とす。
【0042】
以上のようにベルトユニット50周辺が構成されていると、印刷が開始されると、感光体ドラム43、本体ギア91およびクリーニングローラ61が回転する。
【0043】
感光体ドラム43が搬送ベルト53よりも早いタイミングで動き始めた場合や、感光体ドラム43の周速度が搬送ベルト53の周速度よりも速い場合には、感光体ドラム43が用紙Pを介して上ベルト53Aを後方(用紙搬送方向)へ押す。また、同じ周速度の場合は、感光体ドラム43はベルトユニット43に力を加えない。そのため、感光体ドラム43の作動によってベルトユニット50の前後方向の位置が不安定になることはなく、感光体ドラム43の周速度の方が速い場合には、むしろ、位置がしっかりと定まる。
【0044】
そして、本体ギア91がベルトギア51Cを押す力は下方向である。したがって、本体ギア91からベルトユニット50に作用する用紙搬送方向と同方向の力がゼロであるため、この力によってベルトユニット50の前後方向の位置が不安定になることがない。
【0045】
また、図示しない駆動源により駆動されているクリーニングローラ61が回転したとき、クリーニングローラ61は、下ベルト53Bを後方に押すことでベルトユニット50全体を後方(用紙搬送方向)に押す。つまり、ベルトクリーナ60からベルトユニット50に作用する用紙搬送方向と同方向の力はゼロより大きくなっており、この力によってロックピン55Aを突当部92Bに押し当てることでベルトユニット50の前後方向の位置を安定させる。
【0046】
以上によれば、本実施形態において以下のような作用効果を得ることができる。
ロック部材93の付勢方向は、用紙搬送方向と同じ方向成分を有しているため、ロック部材93が用紙搬送方向と同じ方向にベルトユニット50を付勢することで、用紙Pからベルトユニット50に加わる力でロック部材93が変形するのを抑制することができる。
【0047】
そして、ベルトクリーナ60、本体ギア91および感光体ドラム43からベルトユニット50に作用する搬送方向と同方向の力は、それぞれゼロ以上であるため、ロック部材93の変形を抑制することができ、ベルトユニット50の位置決めが安定する。
【0048】
また、感光体ドラム43を、搬送ベルト53の周速度よりも速い周速度で回転させる場合には、搬送ベルト53に用紙搬送方向と同じ方向に力が加わるため、感光体ドラム43の回転もベルトユニット50の位置決めに利用することができる。
【0049】
そして、本体ギア91は、ベルトギア51Cを介してベルトユニット50を押す力の用紙搬送方向と同じ方向成分がゼロとなるような配置でベルトギア51Cと係合しているため、本体ギア91からベルトユニット50に加わる力によってロック部材93が変形するのを抑制することができる。
【0050】
また、ベルトクリーナ60は、ベルトユニット50における画像形成部40と反対側の位置において搬送ベルト53と接触しているため、ベルトクリーナ60の反力もベルトユニット50の位置決めに利用することができる。
【0051】
位置決め部100のロックピン55Aを、フレーム55に設けているため、フレーム55を直接位置決めでき、駆動ローラ51の軸受51Aなどの転写ローラ54とは別にフレーム55に支持される部品に位置決め部を設ける場合と比べて、フレーム55に支持された転写ローラ54の位置精度が向上する。
【0052】
本体ギア91とベルトギア51Cとは、上ベルト53Aに沿う方向に並んで配置されているため、画像形成部40を外した空間からベルトユニット50を装置本体10外へ取り外すことができる。
【0053】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0054】
前記実施形態においては、本体ギア91とベルトギア51Cが上ベルト53Aに沿う方向に並んで配置されているため本体ギア91からベルトユニット50に作用する搬送方向と同方向の力がゼロとなっていたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、
図5に示すように、本体ギア91をベルトギア51Cの後ろ斜め上方に設けてもよい。このように本体ギア91を配置することで、本体ギア91からベルトギア51Cを介してベルトユニット50を押す力の方向が後ろ斜め下方となるため、用紙搬送方向と同じ方向成分の力を有し、この力もベルトユニット50の位置決めに利用することができる。これにより本体ギア91からベルトユニット50に作用する搬送方向と同方向の力をゼロより大きくすることができ、さらにベルトユニットの位置決めを安定させることができる。
【0055】
前記実施形態では、付勢手段の一例としてロック部材93とバネ94とを採用していたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、ロック部材93とトーションバネを付勢手段として利用してもよい。
【0056】
前記実施形態では、ベルトクリーナ60からベルトユニット50に作用する用紙搬送方向と同方向の力は、ゼロより大きくなっていたが、本発明はこれに限定されず、ベルトクリーナ60からベルトユニット50に作用する用紙搬送方向と同方向の力はゼロであってもよい。例えば、クリーニングローラ61を搬送ベルト53の前後方向(用紙搬送方向)で隣接するように設けてもよい。
【0057】
また、ベルトクリーナ60は、前記した実施形態のようにクリーニングローラ61を用いる場合に限られず、下ベルト53Bに接触するブレードを有するベルトクリーナを採用してもよい。
【0058】
前記実施形態においては、ベルトの一例として用紙Pを搬送する搬送ベルト53を示したが、ベルトは、感光体ドラム43から一時的にトナー像が転写される中間転写ベルトであってもよい。
【0059】
また、上記実施の形態においては、位置決めレール92におけるレール部92Aと突出部92Bとが直交するように交差していたが、これに限らず突出部92Bを前方に傾けてレール部92Aと突出部92Bとが鋭角をなすように交差するようにしてもよい。これによりロックピン55Aには、第1アーム93Aにより後方に押されたときにレール部92Aおよび突出部92Bの両者に押圧力が働くことになる。これにより、ベルトユニット50は、前後方向に加えて上下方向にも位置決めされることになる。
【0060】
前記実施形態では、記録シートとして、厚紙、はがき、薄紙などの用紙Pを例示したが、本発明はこれに限定されず、例えばOHPシートであってもよい。
【0061】
また、前記実施形態では、画像形成装置の一例としてカラープリンタ1を示したが、本発明は、モノクロプリンタや、コピー機、複合機などにも同様に適用することができる。