(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、図面においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数が誇張又は簡略化して図示されている場合がある。
【0048】
<1. 実施形態>
以下、第1実施形態に係る医療用X線撮影装置1について説明する。
図1は、実施形態に係る医療用X線撮影装置1の概略斜視図である。
図2は、セファロユニット43が装着された医療用X線撮影装置1の部分正面図である。
図3は、医療用X線撮影装置1の構成を示すブロック図である。また、
図4は、信号出力スイッチ71の正面図である。
【0049】
医療用X線撮影装置1は、撮影領域CAを設定するとともに、表示部として機能する操作表示部61,62と、該操作表示部61によって設定された撮影領域CAに対してX線撮影を実行して、X線の投影像を表す投影データ(フレームデータ)を収集する本体部2と、本体部2において収集された投影データを処理して、各種画像を生成する情報処理装置8とに大別される。
【0050】
本体部2の本体制御部60、情報処理装置8の制御部803と画像処理部801(
図3参照)は、X線撮影を含むX線撮影のプログラムIMP(図示省略)に従ってX線撮影を実行する。
【0051】
本体部2は、X線撮影の現場において、中空の縦長直方体状の防X線室70に収容することが望ましい。本体部2と、防X線室70の壁面(壁の外側部分)に装着された操作表示部61と、防X線室70の外部に配置された情報処理装置8とは、接続ケーブル83によって相互に接続されている。
【0052】
本体部2は、被写体M1に向けてX線の束で構成されるX線ビームBX(X線コーンビームやX線細隙ビーム等)を出射するX線発生部10と、X線発生部10で出射されたあと、被写体M1を透過したX線ビームを検出するX線検出部20とを備えている。また本体部2は、X線発生部10とX線検出部20とをそれぞれ支持する支持体である旋回アーム30と、鉛直方向に延びる支柱50と、旋回アーム30を吊り下げるとともに、支柱50に対して鉛直方向に昇降移動可能な昇降部40と、本体制御部60とをさらに備えている。X線発生部10、X線検出部20、および、X線発生部10のX線検出部20側に配置されているビーム形成機構13により撮像機構3が構成されている。
【0053】
X線発生部10およびX線検出部20は、旋回アーム30の回転部30cの両端部にそれぞれ吊り下げ固定されており、互いに対向するように支持されている。旋回アーム30は、鉛直方向に延びる旋回軸31を介して、昇降部40に吊り下げられている。
【0054】
旋回アーム30は、正面視略逆U字状であり、回転部30cの上端部に備えた旋回軸31を旋回中心Scとして旋回する。なお、本実施形態において、昇降部40は昇降部40の上部から正面視で手前に向けて伸長する上部フレーム41を備えている。
【0055】
なお、本実施形態に係る旋回アーム30は、U字状に形成されているが、その他の形状とされてもよい。例えば、旋回アームの代わりに、被写体M1の上方に固定された円柱状部材の外周部に、ボール軸受け等を介して回転可能に嵌め込まれた環状部材を採用することも考えられる。この場合、該環状部材にX線発生部10とX線検出部20とが対向するように取り付けられる。そして、環状部材が円柱状部材の外周部を回転移動することにより、X線発生部10およびX線検出部20を、被写体M1の頭部M10を挟んだ状態で、該頭部M10周りに回転させることができる。
【0056】
以下においては、旋回軸31の軸方向と平行な方向(ここでは、鉛直方向、すなわち縦方向)を「Z軸方向」とし、このZ軸に交差する方向を「X軸方向」とし、さらにX軸方向およびZ軸方向に交差する方向を「Y軸方向」とする。なお、X軸およびY軸方向は任意に定め得るが、ここでは、被写体M1である被検者が医療用X線撮影装置1において位置決めされて支柱50に正対したときの、被検者の左右の方向をX軸方向とし、被検者の前後の方向をY軸方向と定義する。X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向は、本実施形態では互いに直交するものとする。また、以下において、Z軸方向を鉛直方向、X軸方向とY軸方向の2次元方向で規定される平面上の方向を水平方向と呼ぶこともある。「Z軸方向」を「Z方向」、「X軸方向」を「X方向」、「Y軸方向」を「Y方向」と呼ぶことがありうる。
【0057】
これに対して、旋回する旋回アーム30上の三次元座標については、X線発生部10とX線検出部20とが対向する方向を「y軸方向」とし、y軸方向に直交する水平方向を「x軸方向」とし、これらx軸およびy軸方向に直交する鉛直方向を「z軸方向」とする。以下において、「z軸方向」を「z方向」、「x軸方向」を「x方向」、「y軸方向」を「y方向」と呼ぶことがありうる。
【0058】
本実施形態および以降の各実施形態では、z軸方向とZ軸方向は平行となっている。また、本実施形態に係る旋回アーム30は、鉛直方向に延びる旋回軸31を回転軸(旋回軸)として旋回する。したがって、xyz直交座標系は、XYZ直交座標系に対してZ軸(=z軸)周りに回転することとなる。
【0059】
また、本実施形態においては、
図1に示したように、被検者が支柱50に正対したときの右手方向を(+X)方向、背面方向を(+Y)方向、鉛直方向上向きを(+Z)方向としている。また、X線発生部10、X線検出部20を上から平面視したときにX線発生部10からX線検出部20へ向かう方向を(+y)方向、(−y)側から(+y)方向に向いたときの左手方向を(+x)方向、鉛直方向上向きを(+z)方向としている。
【0060】
昇降部40は、上部フレーム41(第一支持体保持部)と下部フレーム42とで構成されており、鉛直方向に沿って立設された支柱50に係合している。旋回アーム30の保持部として機能する上部フレーム41には、旋回軸31が取り付けられている。昇降部40が支柱50に沿って鉛直方向に移動することによって、支持体としての旋回アーム30が上下に移動する。
【0061】
なお、旋回アーム30を旋回させる構造としては、上部フレーム41に対しては旋回不能に取り付けられた旋回軸31に対し、旋回アーム30を旋回可能に設け、旋回アーム30を旋回軸31に対して旋回駆動するようにしてもよい。また、上部フレーム41に対して旋回可能に設けた旋回軸31に旋回アーム30を旋回不能に固定し、旋回軸31を旋回駆動することで旋回アーム30を旋回するようにしてもよい。
【0062】
前者の場合、例えば、不図示のベルトやプーリ等の動力伝達機構により、旋回用モータ(支持体旋回駆動部)の回転力が、旋回アーム30に作用させることができる。例えば、旋回用モータを旋回アーム30内部に固定し、旋回用モータの回転軸に固定したプーリと旋回軸31の双方に環状のベルトをかけ渡し、旋回用モータの回転力が旋回アーム30に作用するよう構成する。この場合、旋回軸31と旋回アーム30との間にはベアリング等の軸受部材を介在させればよい。
【0063】
また、上部フレーム41に、旋回軸31を中心として、旋回アーム30を旋回させる旋回用モータを設け、不図示のベルトやプーリ、回転軸等からなり、旋回軸31中を通る伝達機構により、旋回用モータによる回転力が旋回アーム30に伝達されることで、旋回アーム30が旋回するようにしてもよい。
【0064】
無論、後者のように、上部フレーム41に対して旋回可能に設けた旋回軸31に旋回アーム30を旋回不能に固定し、旋回軸31を旋回駆動することで旋回アーム30を旋回する構造を採用してもよく、この場合、旋回用モータを上部フレーム41内部に固定し、不図示のローラ等の伝達機構により、旋回用モータの回転力が旋回軸31の回転に作用するようにすることができる。この場合、旋回軸31と上部フレーム41との間にはベアリング等の軸受部材を介在させればよい。
【0065】
また、本実施形態では、旋回軸31は、鉛直方向に沿って延びるように構成されている。しかしながら、旋回軸31を、鉛直方向に対して任意の角度で傾けて配置することも考えられる。
【0066】
旋回軸31と旋回アーム30の間には、不図示のベアリングが介在している。このため、旋回アーム30は、旋回軸31に対してスムーズに回転することができる。なお、旋回軸31、ベアリング、ベルトやプーリ、回転軸等からなる伝達機構および旋回用モータは、旋回アーム30を旋回させる旋回部201(
図3参照。旋回軸31が旋回部201の外に存在しているように示してあるが、これは旋回アーム30に旋回軸31が接続されることを示すためである。)の一例である。つまり、旋回部201は、旋回アーム30(支持体)を被写体(被検者)M1の頭部M10に対して、旋回軸31周りに相対的に旋回させる。これにより、旋回部201は、X線発生器10aおよびX線検出器21を被写体M1の頭部M10周りに相対的に旋回させる。なお、撮影領域に該当する部分、撮影領域を含む個体(上述の場合は被検者)、個体のうちの撮影領域を含む一部(上述の場合は頭部)はいずれも被写体と考えられる。
【0067】
X線検出器21は、検出したX線の強度に応じて電気信号を出力する、平面状に並べられた複数のX線センサで構成されている。本実施形態では、パノラマ撮影用に一般的に用いられているCCDセンサが採用されている。CCDからの荷電の読み出しは、例えば、TDI(Time Delay Integration)方式で行われる。なお、X線センサとしては、フレーム画像が得られるのであれば、どのような電気的撮像センサであってもよく、MOSセンサ、CMOSセンサも好適である。また、TFTを含んだその他の固体撮像素子を用いることも可能である。さらに、イメージインテンシファイア(I.I.)が用いられてもよい。
【0068】
本実施形態では、上部フレーム41に対して回転しない旋回軸31に対して旋回アーム30が旋回する。しかしながら、前述のとおり、旋回アーム30に固定された旋回軸31を上部フレーム41に対して回転させることで、旋回アーム30を旋回させることも考えられる。この場合、上部フレーム41側に、旋回軸31を回転可能に支持するベアリングが形成される。
【0069】
また、本体部2は、旋回アーム30を被写体M1の頭部M10に対して旋回軸に垂直な方向(X方向、Y方向又はX方向とY方向の成分を持つ方向)に相対的に移動させる移動部202を備えている。移動部202は、上部フレーム41側又は旋回アーム30に固定される不図示のXYテーブルで構成することができる。このようなXYテーブルは、X軸方向に移動するテーブル部材、Y軸方向に移動するテーブル部材、および、これらのテーブル部材をX軸方向又はY軸方向に移動させるためのモータ類等で構成される。XYテーブルが上部フレーム41に固定される場合は、旋回軸31の上端部にXYテーブルが固定される。この場合、XYテーブルが駆動されることにより、旋回軸31とともに旋回アーム30が旋回軸31に垂直な方向へ移動する。また、XYテーブルが旋回アーム30側に固定される場合は、旋回軸31の下端部にXYテーブルが固定される。この場合、旋回アーム30のみが、旋回軸31に垂直な方向に移動することとなる。
【0070】
なお、上述のXYテーブルを用いて、機械的な旋回軸である旋回軸31とは別の箇所にX線発生器10aとX線検出器21との旋回中心を定めることも可能である。このような制御を旋回軸移動制御による旋回中心設定と称することとする。
【0071】
例えばCT撮影においては、Z方向からX線発生器10aとX線検出器21と撮影領域CAを見下ろした状態で、X線発生器10aとX線検出器21の中心を結ぶ線上に撮影領域CAの中心が設定される。そして、旋回軸31の軸中心がX線発生器10aとX線検出器21の中心を結ぶ線上の撮影領域CAとは別の箇所に設定される。このような幾何学的条件下において、旋回アーム30を旋回軸31周りに旋回させるとともに、旋回アーム30の旋回角度と同じ角度分、XYテーブルが、旋回軸31を撮影領域CAの中心周りに回動させる。これにより、線発生器10aとX線検出器21が撮影領域CAの中心を旋回中心にして旋回しつつ撮影領域CAにX線コーンビームを照射してCT撮影する構成も可能である。
【0072】
このような撮影を実現する構成は、本願出願人の出願にかかる特許文献2(特開2007−29168号公報)又は特許文献3(国際公開第2009/063974号)に開示されており、本願においても適宜適用可能である。
【0073】
このように、本実施形態では、旋回部201および移動部202により構成される移動機構200により、旋回アーム30を被写体M1の頭部M10に対して相対的に移動させることができる。ただし、移動機構はこのような構成に限定されるものではない。例えば、移動機構が、被写体M1自体を、所定の回転軸周りに回転させたり、あるいは、その回転軸に垂直な方向に移動させたりするように、本体部2を構成してもよい。また、被写体M1が着座する椅子を設けて、被写体M1が坐位姿勢で固定してもよい。例えば、被写体M1を移動させてX線撮影する場合、被写体M1を坐位姿勢で移動させることで、被写体M1がぶれることを低減できる。
【0074】
下部フレーム42には、人体である被写体M1の頭部M10を左右の両側から固定するヘッドホルダや、顎を固定するチンレスト等で構成される、被写体保持部421が設けられている。
【0075】
旋回アーム30は、被写体M1の身長に合わせて昇降部40が昇降することにより、適当な位置に配置される。そして、その状態で被写体M1が被写体保持部421に固定される。なお、被写体保持部421は、
図1に示される例では、被写体M1の体軸が旋回軸31の軸方向とほぼ同じ方向となるように被写体M1を保持する。なお、本願でいう「体軸」とは、人体をその正面から見て、該人体をおおむね左右対称と考えたときに設定される対称軸をいう。
【0076】
昇降部40および移動機構200は、本体制御部60の支持体駆動制御部602(
図3参照)により、その動作が制御される。
【0077】
本体制御部60は、本体部2の各構成の動作を制御する制御部であり、例えば、X線規制制御部および駆動制御部として機能する。本体制御部60は、
図1に示されるように、X線検出部20の内部に配置されている。
【0078】
また、本体制御部60の外側、すなわちX線検出部20の+y側の面には、各種命令を入カするためのボタン類、又は、各種情報を表示するタッチパネルで構成された操作表示部62が取り付けられている。
【0079】
本体部2を収容する防X線室70の壁の外側には、本体制御部60に接続され、各種命令を入力操作するためのボタン等や各種情報を表示するタッチパネルで構成された操作表示部61が取り付けられている。操作表示部61、操作表示部62は表示部としての機能のほか、操作部としての機能を備えるので、医療用X線撮影装置1の操作部6に含まれる。ほかに、情報処理装置8の操作部82も操作部6に含まれる。
【0080】
なお、操作表示部61、操作表示部62は本体部側操作部の例であり、操作部82は情報処理装置側操作部の一例である。本体部側操作部のうち、操作表示部61は防X線室外操作部の一例である。
【0081】
なお、操作者(例えば、術者)は操作表示部62を介して本体部2を操作するようにしてもよいし、操作表示部61を介して本体部2を操作するようにしてもよい。操作表示部62と操作表示部61とで操作内容や表示内容が、異なっていてもよい。あるいは、操作表示部62と操作表示部61とで、操作内容や表示内容の一部あるいは全部が、共通するようにしてもよい。
【0082】
また、操作表示部62と操作表示部61のどちらか一方を省略することもできる。例えば、防X線室70が省略される等の場合は、操作表示部61が省絡されてもよい。以下においては、操作表示部61による表示や操作について説明するが、操作表示部62による表示や操作に置き換えてもよい。
【0083】
操作表示部61は、生体器官等の撮影領域の位置等を指定すること等にも用いられる。また、X線撮影には各種のモードがあるが、操作表示部61の操作によって、モードの選択ができるように構成してもよい。
【0084】
操作表示部61は、信号出力スイッチ71を備えている。
図4は、防X線室の壁面に設けられる操作表示部61の一部をなす信号出力スイッチ71を示す図である。信号出力スイッチ71は、操作者が操作を行う操作スイッチ72と、LED表示部73を備えている。LED表示部73は、X線発生器10aからX線が放射されている際に点灯する放射LED731と、旋回アーム30が所定の撮影開始位置に移動して、X線撮影の準備が完了した際に点灯する準備完了LED732と、本体部2の電源スイッチがオン状態のときに点灯する主電源LED733とを備えている。
【0085】
信号出力スイッチ71は、移動開始信号を本体制御部60に出力する移動開始信号出力部711と、撮影開始信号を本体制御部60に出力する撮影開始信号出力部712と、復帰信号を本体制御部60に出力する復帰信号出力部713を備えることで、移動開始信号出力部、撮影開始信号出力部、復帰信号出力部としての機能を備えている。
【0086】
移動開始信号が本体制御部60に出力されると、本体制御部60は、移動機構200を制御することにより、旋回アーム30を移動させて、X線発生器10aを、撮影対象領域に対してX線照射をするために旋回を開始する撮影開始位置に配置する。なお、この旋回アーム30の移動には、旋回軸31周りの旋回及び水平方向の移動が含まれる。
【0087】
撮影開始信号が本体制御部60に出力されると、本体制御部60は、X線撮影を開始する。具体的には、移動機構200を制御して旋回アーム30を、設定された撮影領域に対応する撮影開始位置から撮影終了位置まで移動させる。また、この移動に伴って、本体制御部60は、X線発生部10を制御し、被写体M1に対するX線ビームの照射を実行する。X線撮影中、X線検出器21にてX線ビームが検出されることにより、被写体M1を投影したX線投影画像がX線投影画像データとして、例えばフレームデータとして収集され、記憶部64又は情報処理装置8の記憶部802等に格納される。本体制御部60は、旋回アーム30を撮影終了位置まで移動させると、旋回アーム30が撮影終了位置まで来たことを検知する図示しない検知部から撮影終了信号を受け、X線ビームの照射を停止させる。
【0088】
旋回アーム30が撮影終了位置まで来たことを検知する図示しない検知部としては、部材の接触を検出するマイクロスイッチ等を用いてもよいし、光学的検出部で旋回アーム30の動きを監視するものであってもよいし、移動機構200がパルスモータで構成される場合はパルスカウンタから所定回数が検出されれば旋回アーム30が撮影終了位置に来たと判断して撮影終了信号を発信するものであってもよい。
【0089】
X線ビームの照射のオン・オフは、X線発生器10aのX線管へ供給する電流又は電圧をオン・オフして、X線の出射自体を開始又は停止することによって実現してもよい。あるいは、後述するX線規制部によって、X線発生器10aから出射されたX線ビームを通過又は遮断することで、X線ビームの照射のオン・オフを制御してもよい。
【0090】
なお、旋回アーム30は、撮影終了位置まで移動すると、所要時間経過後に、被写体M1が医療用X線撮影装置1の本体部2から退出できるように、所定の退避位置まで移動する。旋回アーム30が退避位置に移動することで、被写体M1がX線発生部10又はX線検出部20に邪魔されずに退出することが可能となる。
【0091】
旋回アーム30の撮影開始位置及び撮影終了位置およびX線照射のON-OFFの位置は、撮影領域に応じて予め定められおり、撮影条件として、記憶部64に格納されている。後述する撮影領域指定部610として機能する操作表示部61(又は操作表示部62)を介して指定された撮影領域に対応した撮影条件記憶部64から呼び出され、この呼び出された撮影条件に基づいて、本体制御部60が移動機構200を制御する。なお、撮影条件は、後述する情報処理装置8の記憶部802に格納されていて、操作部82で操作して表示部81で確認してもよい。
【0092】
復帰信号が本体制御部60に出力されると、本体制御部60は、移動機構200を制御することにより、旋回アーム30を移動させて、退避位置から初期位置に移動させる。
【0093】
本実施形態では、信号出力スイッチ71は、オペレータが操作可能な操作部として、1つの操作スイッチ72のみを備えている。この操作スイッチ72が操作されることで、本体制御部60に向けて、移動開始信号、撮影開始信号及び復帰信号がそれぞれ出力される。
【0094】
まず初期状態から操作スイッチ72が操作されると、移動開始信号出力部711により、移動開始信号が出力される。旋回アーム30の移動が完了すると、準備完了LED732が点灯する。これにより、撮影開始信号出力部712が撮影開始信号を出力可能な状態となる。この状態で操作スイッチ72が操作されることで、撮影開始信号が信号出力スイッチ71から出力される。
【0095】
撮影開始信号が出力されると、旋回アーム30が撮影位置から撮影終了位置まで移動し、かつ、この間でX線照射が行われる。X線照射が終了すると、復帰信号出力部713からの復帰信号が出力され、旋回アーム30が撮影終了位置から初期位置に戻る。復帰信号が出力可能な状態で操作スイッチ72が操作されることによって、復帰信号が出力される。
【0096】
なお、移動開始信号、撮影開始信号及び復帰信号は、それぞれ異なる情報を表す信号であってもよいが、同一の情報を表す信号であってもよい。同一の情報を表す信号とする場合には、本体制御部60が、本体部2の状態(例えばX線撮影前の状態(初期状態)、旋回開始の状態、X線照射の準備が完了した状態、X線照射中の状態、X線撮影後の状態等)を判断して、信号出力スイッチ71から送られてくる各信号を解釈するようにすればよい。
【0097】
また、信号出力スイッチ71は、デッドマンスイッチとして構成することも可能である。この場合、信号出力スイッチ71がオペレータにより押圧操作されている状態(被操作状態)である場合のみにおいて、信号出力スイッチ71が所定の信号を本体制御部60に出力する。本体制御部60は、この信号を受けているときにだけ、被写体M1に対してX線ビームを照射するようにX線発生部10を制御する。これにより、オペレータが意図して押圧操作したときにだけ、被写体M1にX線ビームが照射されるため、安全にX線撮影を行うことができる。
【0098】
信号出力スイッチ71は、操作表示部61に設けられていることが望ましいが、操作表示部61から分離して操作表示部61の近傍に配置してもよいし、操作表示部61の一部を省略して信号出力スイッチ71の部分のみを防X線室70の壁面の外側に操作部6を構成するものとして設けてもよい。
【0099】
また、情報処理装置8に信号出力スイッチ71と同じ信号を発信する図示しない信号出力スイッチ71aを設けてもよい。ただし、この場合は、信号出力スイッチ71aから情報処理装置8の制御部803に信号が送信され、さらに本体制御部60に信号が伝達されることで、本体部2の動作が制御されることとなる。また、情報処理装置8の操作部82に信号出力スイッチ71と同じ信号を発信させる機能を持たせて、同様に制御部803から本体制御部60に信号が伝達されるようにしてもよい。
【0100】
情報処理装置8は、情報処理本体部80と、例えば液晶モニタ等のディスプレイ装置で構成される表示部81、および、キーボードやマウス等で構成される操作部(情報処理装置側操作部)82を備えている。操作者(術者等)は、操作部82を介して情報処理装置8に対して各種指令を入力することができる。なお、表示部81は、タッチパネルで構成されていてもよく、この場合は、表示部81が操作部82の機能の一部又は全部を備えていてもよい。
【0101】
本体部側の操作表示部61,62で可能な操作は全て画像処理装置側の操作部82でも操作可能に構成してもよく、ほぼ全ての操作を操作部82で行うように構成してもよく、操作表示部61,62を省略して全ての操作を操作部82で行うように構成してもよい。
【0102】
情報処理本体部80は、例えばコンビュータやワークステーション等で構成されている。情報処理本体部80は、通信ケーブルである接続ケーブル83を介して、本体部2との問で各種データを送受信する。ただし、本体部2と情報処理本体部80との間で、無線通信によるデータ通信が行われてもよい。
【0103】
情報処理装置8は、例えば、本体部2で取得された投影データを加工して、ボクセルで表現される三次元データ(ボリュームデータ)を再構成する。また、情報処理装置8は、例えば、この三次元データに特定の裁断面を設定し、その特定の裁断面における断層画像を再構成する。
【0104】
なお、医療用X線撮影装置1は、X線撮影によりフレームデータのみを収集する装置として利用することも想定される。このような場面では、情報処理装置8を省略することも考えられる。
【0105】
図2に示されるように、医療用X線撮影装置1にセファロユニット43を装着してもよい。セファロユニット43は、例えば、昇降部40から水平方向に延びるアーム501に取り付けられる。セファロユニット43には、頭部M10を定位置に固定するための固定具431や、セファロ撮影用のX線検出器432が備えられる。なお、セファロユニット43は、例えば、特許文献4(特開2003−245277号公報)に開示されているセファロユニット、又は、これに類するものを採用することができる。
【0106】
<X線規制部>
図5は、ビーム形成機構13(X線規制部)の概略斜視図である。
図6は、照射範囲が規制されたX線コーンビームを照射しているX線発生部10の概略斜視図である。
図7および
図8は、縦方向遮蔽板14および横方向遮蔽板15の位置調整についての説明図である。
【0107】
旋回アーム30において、X線検出部20に対向配置されたX線発生部10は、ハウジング11に収容されたX線管を含むX線発生器10aを備えている(
図3参照)。なお、ハウジング11の前面には、X線管で発生したX線の通過を許容する出射口12が設けられている。そして、出射口12の前方(
図5における手前側であり、X線発生部10に対してy軸方向の−y方向寄りの側)に、X線規制部として機能するビーム形成機構13が配置されている。
【0108】
ビーム形成機構13は、X線の照射方向を、縦方向(z軸方向)に移動して遮蔽する縦方向遮蔽板14と、横方向(x軸方向)に移動して遮蔽する横方向遮蔽板15と、縦方向遮蔽板14および横方向遮蔽板15をそれぞれ移動させる遮蔽板移動機構16とで構成されている。遮蔽板移動機構16は、
図3に示されるX線規制部駆動部131の一例である。ビーム形成機構13(具体的には、遮蔽板移動機構16)の駆動制御は、本体制御部60のX線規制部駆動制御部605により行われる。縦方向遮蔽板14と横方向遮蔽板15は、X線発生器10aから発生したX線の遮蔽量を制限可能に規制するために用いられる、X線遮蔽部材の例である。
【0109】
縦方向遮蔽板14は、出射口12の正面視上下(+z側および−z側)のそれぞれに配置された、横長板状の上側縦方向遮蔽板14aおよび下側縦方向遮蔽板14bで構成されている。また、横方向遮蔽板15は、出射口12の正面視左右(−x側および+x側)のそれぞれに配置された、縦長板状の左側横方向遮蔽板15aおよび右側横方向遮蔽板15bで構成されている。なお、
図5に示される例では、横方向遮蔽板15が縦方向遮蔽板14のハウジング11側(−y側)に配置されている。しかしながら、縦方向遮蔽板14を横方向遮蔽板15のハウジング11側に配置されていてもよい。
【0110】
遮蔽板移動機構16は、上側縦方向遮蔽板14a、下側縦方向遮蔽板14bをそれぞれ縦方向に移動させる一対の遮蔽板縦方向移動機構16aと、左側横方向遮蔽板15a、右側横方向遮蔽板15bをそれぞれ横方向に移動させる一対の遮蔽板横方向移動機構16bとで構成されている。
【0111】
遮蔽板縦方向移動機構16aは、上側縦方向遮蔽板14a、下側縦方向遮蔽板14bのそれぞれに取り付けられているナット部材141と、ナット部材141が螺合するとともに縦方向に延びる縦方向ネジシャフト161aと、ネジシャフト161aを正・逆回転させる位置調整モータ162a(162)と、を備えている。位置調整モータ162aの駆動によりネジシャフト161aが正回転又は逆回転することで、ナット部材141が縦方向に沿って上下に移動する。これにより、上側縦方向遮蔽板14a、下側縦方向遮蔽板14bは、独立して、縦方向に移動する。本体制御部60(具体的には、X線規制部駆動制御部605)の制御に基づき、遮蔽板縦方向移動機構16aは、X線発生器10aから出射されたX線ビームの縦方向に関する遮蔽量を、上側縦方向遮蔽板14a、下側縦方向遮蔽板14bにより調整する。
【0112】
遮蔽板縦方向移動機構16aは、X線ビームの縦方向、すなわち旋回軸31の軸方向に関する広がり(照射範囲)を調整することで、照射方向(照射範囲の中心線が延びる方向)を制御する、第1昇降機構の一例である。
【0113】
なお、上側縦方向遮蔽板14a、下側縦方向遮蔽板14bのそれぞれには、規制筒状体142が取り付けられている。規制筒状体142には、縦方向に沿って貫通する貫通孔が形成されている。また、規制筒状体142には、縦方向に延びる規制シャフト143が嵌挿されており、規制筒状体142の縦方向の移動が規制シャフト143によって規制されている。このため、上側縦方向遮蔽板14a、下側縦方向遮蔽板14bは、傾くことなく縦方向に移動する。
【0114】
遮蔽板横方向移動機構16bは、左側横方向遮蔽板15a、右側横方向遮蔽板15bのそれぞれに取り付けられたナット部材161と、ナット部材161が螺合するととともに横方向に延びる横方向ネジシャフト161bと、ネジシャフト161bを正・逆回転させる位置調整モータ162b(162)と、を備えている。位置調整モータ162bの駆動によりネジシャフト161bが正・逆回転することで、ナット部材161が横方向に沿って左右に移動する。これにより、左側横方向遮蔽板15a、右側横方向遮蔽板15bは、独立して、横方向に移動する。本体制御部60の制御に基づき、遮蔽板横方向移動機構16bは、X線発生器10aから出射されたX線ビームの横方向に関する遮蔽量を、左側横方向遮蔽板15a、横方向遮蔽板15bにより調整する。遮蔽板横方向移動機構16bは、X線ビームの横方向に関する照射範囲を調整する。
【0115】
なお、左側横方向遮蔽板15a、右側横方向遮蔽板15bのそれぞれには、規制筒状体152が取り付けられている。規制筒状体152には、横方向に沿って貫通する貫通孔が形成されている。また、規制筒状体152には、縦方向に延びる規制シャフト153が嵌挿されており、規制筒状体152の横方向の移動が規制シャフト153によって規制されている。このため、左側横方向遮蔽板15a、右側横方向遮蔽板15bは、傾くことなく横方向に移動する。
【0116】
このように、本実施形態では、ビーム形成機構13が縦方向遮蔽板14、横方向遮蔽板15および遮蔽板移動機構16で構成され、該ビーム形成機構13がX線発生部10における出射口12の前方に配置される。これにより、X線発生部10にて発生したX線の照射範囲が遮蔽により規制され、X線検出部20に向けて角錐台状に広がるX線ビームBX1(X線コーンビーム)が形成されることとなる(
図6参照)。
【0117】
詳細には、上側縦方向遮蔽板14aおよび下側縦方向遮蔽板14bにおける対向縁部14c、14c間の間隔が、遮蔽板縦方向移動機構16aによって調整され、左側横方向遮蔽板15aおよび右側横方向遮蔽板15bにおける対向縁部15c、15c間の間隔が、遮蔽板横方向移動機構16bによって調整される。そして、対向縁部14c、14cおよび対向縁部15c、15cによって、所望形状のX線ビームを形成するための正面視四角形状の開口17すなわちX線開口がX線発生器10aの手前に形成される。
【0118】
例えば、
図7に示されるように、対向縁部14c、14c間の間隔が広く調整され、対向縁部15c、15c間の間隔が広く調整されることで、開口17が正面視において比較的大きな正方形状の大照射野用開口17aとなる。大照射野用開口17aを通過したX線は、断面が正方形となり、X線検出部20に向けて正四角錐台状に広がるX線ビーム(X線コーンビーム)となる。
【0119】
また、
図8に示されるように、対向縁部14c、14c間の間隔が広く調整され、対向縁部15c、15c間の間隔が狭く調整されることで、開口17が正面視縦長である長方形状のパノラマ撮影用開口17cとなる。パノラマ撮影用開口17cを通過したX線は、X線検出部20に向けて縦長角錐台状に広がるX線細隙ビームとなる。
【0120】
医療用X線撮影装置1においては、昇降部40、ビーム形成機構13により、被写体M1の頭部M10に対するX線ビームBX1の照射方向を、体軸の軸方向に関して相対的に変更することができる。
【0121】
なお、
図5〜8に示されるビーム形成機構13は、照射方向変更部の一例である。すなわち、遮蔽板の形状、数量及び移動方向等は、ここで説明したものに限定されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0122】
<撮影モード選択画面>
図9は、撮影モードを設定するための、撮影モード設定画面MSWを示す図である。
図9に示される撮影モード設定画面MSWは、擬似口内法撮影モードボタンFIM、パノラマ撮影モードボタンPM、CT撮影モードボタンCM、および、セファロ撮影モードボタンSMを備えている。擬似口内法撮影モードボタンFIMは、擬似口内法撮影モードを選択するためのボタンである。パノラマ撮影モードボタンは、パノラマ撮影モードを選択するためのボタンである。CT撮影モードボタンCMは、CT撮影モードを選択するためのボタンである。セファロ撮影モードボタンは、セファロ撮影モードを選択するためのボタンである。
【0123】
撮影モード設定画面MSWは、医療用X線撮影装置1が実行する撮影モードを切り替える撮影モード切換部として機能する。
【0124】
撮影モード選択画面MSWは、医療用X線撮影装置1を起動したあと、撮影を開始する前に、例えば、操作表示部61又は操作表示部62に表示される画面である。オペレータは、撮影モード選択画面MSWを介して、所望の撮影モードを選択する。すると、本体制御部60のモード設定部601(
図3参照)が、本体制御部60の撮影モードを、選択された撮影モードに設定する。これにより、医療用X線撮影装置1において、設定された種類のX線撮影に応じた撮影条件(撮影領域の位置、形状等)の設定等が実行可能となる。
【0125】
擬似口内法撮影モードは、擬似口内撮影を行うモードである。擬似口内法撮影は、歯列の一部の領域(例えば、数本の歯)を撮影対象とする、従来の口内法撮影(デンタル撮影)を、医療用X線撮影装置1で擬似的に行うものである。ここで、従来の口内法撮影で得られるX線画像は、従来X線フィルム等を口腔内に装着して、X線を一方向から照射して得られる単純投影画像である。これに対して、擬似口内法撮影では、断層画像によってこの単純投影画像と同等の画像又は同等の診断を可能とする画像を生成する。擬似口内法撮影については、後に詳述する。
【0126】
パノラマ撮影モードは、パノラマ撮影(パノラマ線撮影)を行うモードである。パノラマ撮影では、X線細隙ビームに形成されたX線ビームを、歯列弓に沿って歯列に照射することで、フレームデータが取得される。情報処理装置8(画像処理部801)は、フレームデータが示す投影画像の端部同士(ただし、重複部分が生じても構わない。)をつなぎ合わせていくことで、1枚のパノラマ画像(パノラマX線画像)を生成する。
【0127】
パノラマ撮影では、歯列弓をなぞるようにX線細隙ビームを照射される。その際、好ましくは、X線細隙ビームの中心軸が、歯列弓の曲線に対して、常に直交するように、X線細隙ビームが照射される。このため、旋回部201により旋回アーム30を旋回させつつ移動部202で旋回軸31を旋回軸31の軸方向に直交する方向(XY平面に平行な方向)に適宜変位させ、X線細隙ビームの移動軌跡が包絡線を形成するように照射される。このパノラマ撮影における、X線細隙ビームの移動については、特許文献1(特開2011−152411号公報)に開示されており、参照によりこれを医療用X線撮影装置1に適用することできる。
【0128】
CT撮影モードは、CT撮影を行うモードである。CT撮影では、撮影領域(CT撮影領域)の全部を含むように照射範囲が規制されたX線ビームが形成される。そして、撮影領域に対するX線ビームの照射が、多方向(例えば、180度以上の範囲の各方向)から行われることにより、フレームデータが得られる。そして、情報処理装置8(画像処理部801)が、得られたフレームデータについて、フィルター逆投影法(FBP法)を適用することにより、特定の裁断面の断層画像を再構成する。
【0129】
セファロ撮影モードは、セファロ撮影を行うモードである。セファロ撮影では、
図2に示されるように、上述したセファロユニット43が医療用X線撮影装置1に装着され、セファロ撮影用に形成されたX線細隙ビームが、被験者の頭部M10に照射され、フレームデータが取得される。セファロ撮影用のX線検出器432はY方向に変位可能に構成されており、遮蔽板移動機構16を作動させてX線細隙ビームが頭部M10をY方向に走査するのと同期して変位し、セファロ撮影中にX線細隙ビームを常に受光しつつフレームデータを取得するようになっている。情報処理装置8(画像処理部801)は、取得されたフレームデータが示す投影画像の端部同士(ただし、重複部分が生じても構わない。)をつなぎ合わせることで、頭部M10全体の投影画像(頭部X線規格写真)を生成する。
【0130】
パノラマ撮影モードを選択した場合に、さらに全域パノラマ撮影モードと部分パノラマ撮影モードの選択が可能な図示しない対象領域別の撮影モード選択画面に進めるようにしてもよい。
【0131】
ここで、全域パノラマ撮影モードは、顎骨の全域をパノラマ撮影の対象領域とする撮影モードであり、部分パノラマ撮影モードは顎骨の部分領域をパノラマ撮影の対象領域とする撮影モードである。
【0132】
CT撮影モードを選択した場合に、さらに全域CT撮影モードと部分CT撮影モードの選択が可能な図示しない対象領域別の撮影モード選択画面に進めるようにしてもよい。ここで、全域CT撮影モードは、顎骨の全域または歯列弓の全域をCT撮影の対象領域とする撮影モードであり、部分CT撮影モードは顎骨の部分領域または歯列弓の部分領域をCT撮影の対象領域とする撮影モードである。
【0133】
<撮影領域設定画面>
図10は、撮影領域CAを設定するための、撮影領域設定画面300を示す図である。
図10に示される撮影領域設定画面300は、画像表示部310、上下顎選択部320、選択範囲設定部330および条件設定部340を備えている。条件設定部340は、Setボタン341、Resetボタン342、Startボタン343、Modeボタン344、Returnボタン345を備えている。
【0134】
撮影領域設定画面300は、
図9に示される撮影モード選択画面MSWで選択可能なモードのそれぞれにおいて、特に擬似口内法撮影モード、パノラマ撮影モード、CT撮影モードにおいて共通または概ね共通のものとして用いることができる。
【0135】
画像表示部310には、歯列弓をY軸方向、具体的には−Yから+Yに向かう方向から見た図(パノラマ画像211)及び撮影領域ライン313が重畳表示される。パノラマ画像は、通常、顎骨を正面から観察する向きで表示されるので、画像表示部310に表示されるパノラマ画像211も、顎骨の右側が画面に向かって左側に、顎骨の左側が画面に向かって右側にくるように表示される。撮影領域ライン313の大きさを、画像処理装置8のマウスなどで操作することで適宜の大きさに設定し、この設定された大きさに連動させてX線規制部駆動部を駆動するようにしてもよい。
【0136】
後述するように、Mode選択ボタン344は各種モードを選択するためのボタンであるが、例えば、擬似口内法撮影を行う場合は、Mode選択ボタン344で擬似口内法撮影モードを選択する。そして、上記のように撮影領域ライン313の大きさを撮影目的に合せて任意に調整してもよいし、デフォルトで図示しない歯牙番号や歯列の各部位を示すイラストをもとにする入力部からの信号をもとにして撮影領域ラインを自動で、移動させてもよい。
【0137】
また、上下顎選択部320は撮影領域CAを上顎領域に設定するためのUPPERボタン321と、上顎および下顎の両方の領域に設定するためのFULLボタン322と、下顎領域に設定するためのLOWERボタン323とで構成されている。
【0138】
この上下顎選択部320を介した選択により、例えば、Mode選択ボタン344でCT撮影モードを選択すれば、CT撮影における本体部2の撮影モードが、上顎および下顎の双方にわたる歯列領域をCT撮影の対象領域とするCT撮影モード(第1CT撮影モード)、又は、上顎および下顎のいずれか一方の領域をCT撮影の対象領域とするCT撮影モード(第2CT撮影モード)のどちらかに、設定される。
【0139】
上下顎選択部320で選択される撮影領域が上顎、下顎、上下顎の双方の全域となるか部分領域となるかは、選択される撮影モードによって異なる。例えば、前述の部分パノラマ撮影モードや部分CT撮影モードの選択がなされている場合に上顎領域の選択があれば、上顎の一部が撮影領域となり、前述の全域パノラマ撮影モードや全域CT撮影モードの選択がなされている場合に上顎領域の選択があれば、上顎の全域が撮影領域となる。
【0140】
全域パノラマ撮影モードの選択がなされている場合に、において、FULLボタン322のONがなされたときは、従来より周知の全顎パノラマ撮影が実行される。擬似口内法撮影モードは、擬似口内撮影を行うモードであるので、撮影対象領域が部分領域となる。
【0141】
Mode選択ボタン344によるモード選択は、撮影領域設定画面300による撮影領域の設定よりも先に受け付けられてもよいし、それより後に受け付けられてもよい。
【0142】
条件設定部340は、Setボタン341と、Resetボタン342と、Startボタン343と、Modeボタン344と、Returnボタン345とで構成されている。Setボタン341は、画像表示部310、上下顎選択部320を介して設定された、撮影領域CAの指定内容を決定するために操作される。Resetボタン342は、画像表示部310、上下顎選択部320で設定された撮影領域CAの指定内容をリセットする際に操作される操作ボタンである。
【0143】
Startボタン343は、Setボタン341で確定された指定内容に基づいて撮影領域CAについてのX線撮影を開始指示する操作ボタンである。Modeボタン344は、各種モードを選択するためのボタンである。Modeボタン344が選択操作されることにより、このボタンが選択操作されることにより、
図9に示される撮影モード選択画面MSWで選択可能なモードが、撮影モード選択画面MSWを一旦表示することなく、直接変更選択できる。このため、Modeボタン344は、擬似口内法撮影モードと、CT撮影モードと、パノラマ撮影モードと、セファロ撮影モードとの間で、撮影モードを切り替えるためのボタンである。つまり、Modeボタン344は、医療用X線撮影装置1が実行する撮影モードを切り替える撮影モード切換部として機能する。Returnボタン345は、初期画面(例えば、
図9に示される、撮影モード設定画面MSW)に戻るための操作ボタンである。
【0144】
この撮影領域設定画面300によると、X線撮影の撮影領域CAを設定することができる。撮影領域CAを設定するため、操作表示部61に表示された撮影領域設定画面300において、撮影対象物を取り囲むように撮影領域ライン313が設定される。詳細には、撮影対象物の位置に応じて、上顎、下顎、上下顎のいずれかが、上下顎選択部320にて選択される。そして、画像表示部310に表示されたパノラマ画像211において、図示しない指定カーソル312を、所定の操作(例えばマウスを介したドラッグアンドドロップ操作等)により移動させて、撮影領域ライン313が指定される。所望の撮影対象物が撮影領域ライン313に取り囲まれるよう、
図10中、実線および二点鎖線で示されるように、撮影領域ライン313の位置及び大きさが、任意に変更される。
【0145】
上下顎選択部320によって、一旦、上顎、下顎、上下顎のいずれかを選択していたとしても、指定カーソル312の操作で撮影領域ライン313を移動させて他の領域が撮影対象領域となるように変更できるようにしてもよい。
【0146】
画像表示部310において、パノラマ画像211に対して撮影領域CAを指定するために入力された指定情報は、情報処理装置8に送信される。情報処理装置8は、受け付けた指定情報に対応する撮影領域ライン313に関する情報を操作表示部61に送信する。
【0147】
撮影領域ライン313に関する情報を受信した操作表示部61は、撮影領域設定画面300の画像表示部310に、パノラマ画像211と、受信した情報に基づく撮影領域ライン313とを重畳表示させる。
【0148】
このように、撮影領域設定画面300によると、撮影領域ライン313で囲まれる範囲を、歯列に沿う方向(横方向)に拡大又は収縮することで、撮影領域CAの歯列弓に沿った長さを任意に設定することができる。また、撮影領域ライン313で囲まれる範囲を、歯列に沿う方向に直交する方向(縦方向)に拡大又は収縮することによって、歯列弓に直交する上下の高さを任意に設定することができる。もちろん、撮影領域ライン313について、縦方向の長さ又は横方向の長さのいずれか一方が固定されていてもよい。
【0149】
擬似口内法撮影の場合は、設定された撮影領域CAに含まれる歯が、撮影対象となる。したがって、操作表示部61(又は操作表示部62)は、擬似口内法撮影の撮影領域の指定操作を受け付ける撮影領域指定部610(
図3参照)として機能する。この撮影領域指定部610によって、歯列弓に沿う歯列の一部を撮影領域として指定することが可能である。
【0150】
操作表示部61(又は操作表示部62)がタッチパネルで構成され、撮影領域設定画面300に表示された指定カーソル312の操作により、撮影領域CAの設定操作を受け付けられている。しかしながら、操作表示部61が液晶画面で構成され、マウス等のポインティングデバイス、あるいは、操作表示部61近傍に設置された操作ボタン類を介して、撮影領域CAの設定操作が受け付けられるようにしてもよい。
【0151】
撮影領域設定画面300は、撮影領域CAの設定画面の一例であり、適宜変更が可能である。例えば、パノラマ画像211の代わりに、パノラマ画像を模したイラスト画像又は歯列弓を模したイラスト画像等を表示して、各画像上で撮影領域ライン313が設定されるようにしてもよい。
【0152】
また、予め、顎部を比較的狭い領域(1本又は2〜3本の歯を含む範囲等)に分割して定義しておき、その定義された領域をオペレータが選択することで、撮影領域CAを設定するようにしてもよい。この場合、例えば、歯列弓を模した画像上で、予め定義された領域を枠で囲んで表示しておき、該枠で囲まれた領域を1又は複数選択できるようにすれば、撮影領域CAの設定作業を容易にすることができる。
【0153】
図11(a)および
図11(b)は、画像表示部310のその他の例を示す図である。パノラマ画像211の表示は
図10と同様であるが、撮影領域ライン313が予め複数の矩形枠線の撮影領域選択ライン313aからなるテンプレートとしてパノラマ画像211に重畳表示されている点が異なる。
【0154】
撮影領域選択ライン313aは合計10枠準備され、いずれかの選択を受け付けるように構成される。パノラマ画像に代えて全顎パノラマのイラスト画像等を用いてもよいことは
図10と同様である。撮影領域選択ライン313aは周知の口内撮影法の10枚法の領域に準じた領域が設定される。撮影領域選択ライン313aはX線コーンビームが照射される領域を示すように構成される。
【0155】
図5に示されるビーム形成機構13の構造より、X線コーンビームの照射領域は方形となり、この方形の照射領域を傾斜させない方が構造上便宜であるので、画像表示部310に示される撮影領域選択ライン313aも傾斜しない方形として表示される。
【0156】
撮影領域選択ライン313aは上顎の左右の前歯を含む領域を領域313ucとし、上顎左側の歯列については前歯側から左の臼歯側に進むにしたがって313ul1→313ul2の領域が設定され、上顎右側の歯列については前歯側から右の臼歯側に進むにしたがって313ur1→313ur2の領域が設定される。
【0157】
下顎の歯列についても同様であり、下顎の左右の前歯を含む領域を領域313lcとし、前歯側から左の臼歯側に進むにしたがって313ll1→313ll2の領域が設定され、下顎右側の歯列については前歯側から右の臼歯側に進むにしたがって313lr1→313lr2の領域が設定される。
【0158】
操作者は、所望の領域を313uc、313ul1、313ul2、313ur1、313ur2、313lc、313ll1、313ll2、313lr1、313lr2から選択指定することができる。選択指定は、例えばタッチパネルを用いる構成の場合は表示上の撮影領域選択ライン313aのいずれかに手指で接触することで行われ、マウスによってポインタ操作をする構成の場合はポインタで指定することで行われる。
【0159】
図11(a)に示される撮影領域選択ライン313aを変形させる操作を受け、その変形に連動して擬似口内法撮影領域CAを変更するようにしてもよい。例えば、
図11(b)に示されるように、撮影領域選択ライン313ucの右下角の位置をさらに右下方に移す操作を受け、この操作により、撮影領域選択ライン313uc全体は右下方に向けて拡大された撮影領域選択ライン313ucmとなるように変形される。
【0160】
ただし、上述の変形操作は、図面に向かったときの左右から説明しており、顎骨の左右から説明すると、次のようになる。すなわち、上述の変形は、撮影領域選択ライン313ucの左下角の位置をさらに左下方に移す操作を受け、この操作により、撮影領域選択ライン313uc全体が左下方に向けて拡大された撮影領域選択ライン313ucmとなるように変形されるものである。
【0161】
この変形に対応して、
図5に示されるビーム形成機構13(X線規制部)が連動して駆動されて、開口17すなわちX線開口の形状が変更され、X線コーンビームBX1の規制が調整されて照射範囲が拡大され、擬似口内法撮影領域CAが拡大変更される。縮小についても同様である。無論、縦方向のみか横方向のみについての変形を加えられるようにしてもよい。
【0162】
図11(b)は、テンプレートの変形のうち、サイズの変更の例である。撮影領域選択ライン313aの変形操作は、タッチパネルへの手指での接触操作やマウスによるポインタ操作等によって撮影領域選択ライン313aの枠線の動かしたい部分を把持操作で移動させて行うように構成できる。連動は必ずしも同時になされる必要はなく、擬似口内法撮影領域CAの変更が、例えば確定操作を受けてからなされるように、後のタイミングになってもよい。
【0163】
テンプレートの拡大・縮小については、ビーム形成機構13の駆動によって擬似口内法撮影領域CAの変更を実現する以外の方法も考えられる。例えば、撮影領域選択ライン313aの変形に連動して移動機構200によって擬似口内法撮影における旋回アーム30の旋回中心の位置を変えて、X線検出器21が対象撮影領域に近づくことで擬似口内法撮影領域CAを拡大し、X線検出器21が対象撮影領域から遠ざかることで、すなわち接近度を調整することで擬似口内法撮影領域CAを縮小するようにしてもよい。
【0164】
ビーム形成機構13の駆動による擬似口内法撮影領域CAの変更とX線検出器21の対象撮影領域への近接・離隔による擬似口内法撮影領域CAの変更とを併せて行ってもよい。
【0165】
X線検出器21の対象撮影領域への近接・離隔による擬似口内法撮影領域CAの変更については、具体的には
図15に示される旋回アーム30の移動制御の説明に続いて後述の補足説明を行う。
【0166】
図11(a)および
図11(b)に示される例では、複数枚法として10枚法を採用しているが、異なる複数枚法によってもよい。
【0167】
図12は、画像表示部310のその他の例を示す図である。
図12に示される例は、
図11(a)に示される撮影領域設定画面300の画像表示部310とは別の複数枚法による変形例である。
図12に設定される撮影領域選択ライン313aは、周知の口内撮影法の14枚法の領域に準じたものとなっている点で、10枚法に準じた
図11(a)の構成例とは異なっている。
【0168】
撮影領域選択ライン313aは合計14枠準備され、いずれかの選択を受け付けるように構成される。撮影領域選択ライン313aは、上顎の左右の前歯を含む領域を領域313ucとし、上顎左側の歯列については前歯側から左の臼歯側に進むにしたがって313ul1→313ul2→313ul3の領域が設定され、上顎右側の歯列については前歯側から右の臼歯側に進むにしたがって313ur1→313ur2→313ur3の領域が設定される。
【0169】
下顎の歯列についても同様であり、下顎の左右の前歯を含む領域を領域313lcとし、下顎左側の歯列については前歯側から左の臼歯側に進むにしたがって313ll1→313ll2→313ll3の領域が設定され、下顎右側の歯列については前歯側から右の臼歯側に進むにしたがって313lr1→313lr2→313lr3の領域が設定される。
【0170】
操作者は、所望の領域を313uc、313ul1、313ul2、313ul3、313ur1、313ur2、313ur3、313lc、313ll1、313ll2、313ll3、313lr1、313lr2、313lr3から選択指定することができる。
【0171】
撮影領域選択ライン313aの選択に用いられるタッチパネルなどは任意の部位を選択するための撮影部位選択部である。
【0172】
なお、異なる複数枚撮影法から撮影法を選択可能に構成してもよい。例えば、
図11(a)に示される撮影領域選択ライン313aと
図12に示される撮影領域選択ライン313aとを切換表示できるようしてもよい。すなわち、10枚法、14枚法というように枚数ごとに複数の撮影法モードが準備され、診療の目的にしたがって選択できるよう構成することもでき、選択した撮影法に基づいて異なるテンプレートを配置して表示する。
【0173】
撮影領域選択ライン313aをテンプレートとして用いる複数枚法撮影領域選択モードであるテンプレートモードの起動や、テンプレートモードにおいて10枚法のモードを選択するか、14枚法のモードを選択するかといった複数枚撮影法モードの選択は
図10に示されるテンプレートモードスイッチ346で行うように構成できる。
【0174】
14枚法での撮影領域は、10枚法での撮影領域よりも狭い領域となるが、X線被曝量は少なくて済む。
図11や12に示すように撮影領域の矩形を水平に配置してもよいし、
図13に示すようにU字型に緩やかに湾曲した咬合線に沿って各領域を配置するようにしてもよい。10枚法や14枚法のテンプレートモードスイッチ346による複数枚撮影法モードの選択及び選択した任意の撮影領域選択ラインに応じて、旋回アームは、予め記憶部で記憶した撮影開始位置に撮影開始信号を受けて移動すると共にX線撮影を行う。また、撮影終了位置についても同様に予め記憶部で記憶した撮影終了位置に旋回アームが到達すると移動を終了すると共にX線撮影も終了する。
【0175】
このように、テンプレートモードスイッチ346は複数枚法撮影領域選択モード起動部として機能することも、さらに、複数枚法選択スイッチすなわち撮影枚法選択部として機能することもでき、撮影領域指定部610を構成する要素である。
【0176】
撮影枚法選択部として機能するテンプレートモードスイッチ346による複数枚撮影法モードの選択にしたがって、テンプレートのカーソルの形状、サイズが決定される。
【0177】
なお、準備される複数のモードは10枚法、14枚法に限らず、様々な複数枚法の組み合わせが考えられる。操作者が任意のパターンのテンプレートを設定して保存できるようにしてもよい。
【0178】
図13は、画像表示部310のその他の例を示す図である。
図12において設定される撮影領域選択ライン313aは、実際にX線照射が行われる領域を必ずしも示さず、周知の口内撮影法の10枚法の領域がそのまま表示されている点で、
図11(a)に示される例とは異なっている。そのため、撮影領域選択ライン313aの中には枠313ul1、313ul2、313ll1、313ll2のように傾斜した方形の形状のものも含まれる。
【0179】
実際のX線コーンビームの照射領域は
図11(a)に示されるような領域になるのであるが、表示上は
図13に示される領域のようになっており、操作者が見慣れた領域の選択ができるようになっている。
【0180】
10枚法に限らず、別の複数枚法によってもよいことは
図11(a)の場合と同様である。
図13に示される撮影領域選択ライン313aと別の複数枚法による撮影領域選択ライン313aとを切換表示できるようしてもよいことは、
図11(a)と同様である。
【0181】
図14は、変形例に係る画像表示部310を示す図である。
図14で設定される撮影領域選択ライン313aはパノラマ画像211に重ねて表示されておらず、パノラマ画像211の周囲に実際の部位の位置に対応して配置表示されている点が
図11(a)に示される例とは異なっている。
【0182】
図示の例では、上顎の歯列については、上顎前歯領域はパノラマ画像211の上方中央に、左の臼歯領域はパノラマ画像211の上方画面に向かって右側に、右の臼歯領域はパノラマ画像211の上方画面に向かって左側にというように配置表示され、下顎の歯列も同様に配置表示されている。
【0183】
図14に示される撮影領域選択ライン313aは、
図11(a)に同じ図番で示されるものと同じ領域が設定されており、一般的な10枚法による口内法撮影で撮影される領域の歯牙の画像がそれぞれ表示されている。
【0184】
枠内に表示される歯牙の画像は各領域の代表的な歯牙の画像例でよく、実際のX線写真でも歯牙をイラスト等で表現した模式図でもよい。また、10枚法に限らず、別の複数枚法によってもよいことは
図11(a)の場合と同様である。さらに、
図14に示される撮影領域選択ライン313aと別の複数枚法の撮影領域選択ライン313aとを切換表示できるようしてもよいことは、
図11(a)と同様である。
【0185】
また、
図10、
図11から
図14に示される態様の表示のうち、少なくとも複数の態様の表示を可能に構成し、複数の態様の表示が同時にまたは切換表示できるようにしてもよい。例えば、
図10に示されるような表示ができる上に、
図11に示される撮影領域ライン313の表示もできるように構成し、予め準備された複数の撮影領域選択ライン313aの利用も所望の位置、形状の撮影領域ライン313による指定も可能なように構成することもできる。
【0186】
別の構成例では、
図14に示される撮影領域選択ライン313aとともに、
図11に示される撮影領域選択ライン313a、または、
図13に示される撮影領域選択ライン313aを併せて表示されるようにしてもよい。また、
図14に示される撮影領域選択ライン313aのいずれかに選択または仮選択の操作を加えると、
図11に示される撮影領域選択ライン313aまたは
図13に示される撮影領域選択ライン313aのうち、選択または仮選択の操作が加えられたもののみが併せて表示されるようにしてもよい。
【0187】
例えば、
図14に示される態様で撮影領域選択ライン313aが表示されているとして、そのうち、例えば枠313ucに選択または仮選択の操作を加えれば、
図13に示される撮影領域選択ライン313aのうち、対応する313ucの枠が現れてパノラマ画像211に重畳表示される。
【0188】
この構成例において、
図14に示される態様の撮影領域選択ライン313aと
図13に示される態様の撮影領域選択ライン313aの一方に変形操作を加えると他方もその変形に対応して変形するように構成してもよい。
【0189】
なお、ここでいう「仮選択」とは、例えば撮影領域指定部610をマウスによってポインタを移動する構成とした場合に、クリックはしないがポインタを撮影領域選択ライン313aのいずれかの位置に合わせるような操作のことをいう。
【0190】
<擬似口内法撮影>
図15は、擬似口内法撮影の様子を+Z側から−Z方向に向かって見たときの概略平面図である。
図15に示される例では、下顎における右側の複数の歯牙を撮影対象とされている。なお、このような撮影する歯牙の指定は、
図10に示される撮影領域設定画面300等を介して行われたものである。
【0191】
図15に示されるように、擬似口内法撮影は、従来のトモシンセシスと同様に、被写体M1の頭部M10を間に挟んだ状態でX線発生器10aおよびX線検出器21を旋回させることによって、撮影対象物(ここでは、複数の歯牙)に対して、多方向からX線ビームBX1が照射される。
【0192】
より具体的に、擬似口内法撮影では、撮影領域(擬似口内法撮影領域CA)の全部を含むように照射範囲が規制されたX線ビームが形成される。そして、撮影領域に対するX線ビームの照射が、複数方向(所用範囲の各方向)から行われ、フレームデータを得られる。そして情報処理装置8(画像処理部801)が、得られたフレームデータについて画像処理をして、目的とする断層面の断層画像を得る。画像処理としては、例えばシフト加算法を適用して、フレームデータが示すX線投影画像同士の重ね合わせを行うことで、断層画像を再構成する。このように再構成された断層画像は、厳密には、従来の口内法撮影で得られるX線画像とは性質が異なるものの、画像診断上は極めて近い画像となっている。
【0193】
なお、本願において、「シフト加算」とは、X線の照射方向を変えて得られた投影画像を重ね合わせることで、任意の高さの断層画像を得る方法をいう。具体的には、X線の照射方向を変えることで、目的断層面の共通の位置を通過するX線が、各フレームデータにおいて、異なる位置に写り込む。そこで、この異なる位置が一致するように、フレームデータ同士をシフトさせて重ねることにより、目的断層面を強調させることができる。
【0194】
なお、断層画像を生成する手法は、このシフト加算に限定されるものではない。例えば、CT画像の再構成で用いるようなフィルター逆投影、又は、これに類似の逆投影で断層画像を再構成することも考えられる。
【0195】
また、シフト加算とフィルター逆投影又はこれに類似の逆投影の双方を行って複数種の断層画像を再構成し、これらを同時表示したり交代で表示したりしてもよい。例えば、特定の断層面にピントが合うようにフィルター関数を選択すれば、コントラストに優れた断層画像を得ることができる。一方、シフト加算によると、断層面の前後の情報量が多くなって、コントラストが低下するものの、例えば金属アーチファクトが発生し難いため、診断に適した断層画像を得ることができる。このように、特定の断層面の前後におけるX線吸収に関する情報量が互いに相違する画像処理を行うことで、画像診断を効果的に行うことができる。
【0196】
また、上述の例では、照射範囲が規制されたX線ビームの照射野が、撮影領域(擬似口内法撮影領域CA)の全部を含むものとなっている。しかしながら、X線ビームBX1の水平方向の幅をさらに狭めて、例えばパノラマ撮影に用いるようなX線細隙ビームを形成し、撮影領域を水平方向に走査するようにしてもよい。すなわち、いわば擬似口内法撮影領域CAという限られた領域に限定したパノラマ撮影類似のX線撮影により、擬似口内法撮影を行うようにしてもよい。しかしながら、X線ビームBXの拡がりを、少なくとも撮影領域CAよりも広くすることで、小さい旋回角度でも、撮影領域CA内のX線吸収に関する情報が豊富なX線投影画像を収集できる。このため、断層画像を支障なく生成することができる。
【0197】
断層画像を再構成する際の裁断面の位置及び形状については、再構成の演算方法、すなわち、重ね合わせを行うときのシフト量を適宜に変更することによって、任意に決定することができる。例えば、
図15に示されるように、裁断面を、平面状である平面裁断面A1とすることも可能であり、あるいは、歯列に沿った歯列弓90に合わせて湾曲する湾曲面状の湾曲裁断面A2とすることも可能である。また図示を省略するが、裁断面の位置についても、所定操作によって、例えば歯列弓90に直交する頬下方向Dr1に移動させて新たな湾曲裁断面A3を設定することもできる。頬舌方向Dr1とは、頬側から舌側に向かう方向又はその逆の方向をいう。
【0198】
画像処理において設定されている歯列弓90の位置全体を補正できるようにしてもよい。例えば、図示のRVのように、歯列弓90の位置をY軸方向に補正する。この補正により、再構成される位置がY軸方向について調整される。この調整は、例えば操作者が画像の結像の具合を見ながら行うようにできる。
【0199】
擬似口内法撮影における、平面裁断面A1、湾曲裁断面A2が設定される対象撮影領域CAへのX線コーンビームBX1の照射のための旋回アーム30の移動制御は、前述の旋回軸移動制御による旋回中心設定によって行うことができる。この場合、旋回中心は、例えば、平面裁断面A1のZ方向から見た中央部分A1Cや、湾曲裁断面A2のZ方向から見た中央部分A2Cに設定される。機械的な軸部材としての旋回軸31の軸中心31Cは図示のように中央部分A1Cを中心に回動する。軸中心31Cが中央部分A2Cを中心に回動するようにしてもよい。
【0200】
また、X線撮影時における、旋回アーム30の旋回角度を変更することによって、裁断面の厚み(断層厚み)を所定範囲内で変更することができる。具体的には、旋回アーム30の旋回角度を大きくすれば、頬舌方向Dr1の断層厚みを小さくすることができ、旋回角度を小さくすれば、頬舌方向Dr1の断層厚みを大きくすることができる。断層厚みの指定は、撮影領域指定部610が受け付けるようにしてもよい。この場合、オペレータによる断層厚みの指定を、撮影領域指定部610が受け付け、その指定された断層厚に合わせて、本体制御部60が旋回アーム30を旋回させる。
【0201】
以上のように、医療用X線撮影装置1によると、画像診断の診断目的等に合わせて、裁断面の位置、形状及び断層厚みを適宜設定することができる。
【0202】
ここで、
図11(b)に述べた前述のX線検出器21の対象撮影領域への近接・離隔による擬似口内法撮影領域CAの変更について補足説明する。
【0203】
図15に示される擬似口内法撮影領域CAは平面裁断面A1、湾曲裁断面A2が設定される4本の歯からなる領域であるが、移動機構200によって旋回アーム30、撮像機構3を−y方向に変位させることでX線検出器21が擬似口内法撮影領域CAに近づくようにすれば、X線コーンビームBX1で照射される領域が拡大される。このようにして拡大された被X線照射領域を図示しない新たな擬似口内法撮影領域CALとすることができる。
【0204】
擬似口内法撮影領域CALにも図示しない新たな平面裁断面A1L、湾曲裁断面A2Lを設定するとして、擬似口内法撮影は、例えば、旋回アーム30の旋回中心を、平面裁断面A1LのZ方向から見た中央部分や、湾曲裁断面A2LのZ方向から見た中央部分に設定する前述の旋回軸移動制御による旋回中心設定によって行うことができる。
【0205】
被X線照射領域を縮小して、図示しない新たな擬似口内法撮影領域CASとするには、移動機構200によって旋回アーム30、撮像機構3を+y方向に変位させることでX線検出器21が擬似口内法撮影領域CAから遠ざかるようにする。
【0206】
<X線撮影における旋回アームの移動>
次に、X線撮影が開始されてから、終了するまでにおける旋回アームの移動について
図16〜
図19を参照しつつ説明する。
図16〜
図19に示されるX線撮影は、撮影領域CAを、全顎のうち上顎の前歯を含む数本の歯とした、擬似口内法撮影を想定したものである。ただし、以下に説明する旋回アームの動きは、擬似口内法撮影に限定されるものではなく、パノラマ撮影及びCT撮影にも適用可能である。
【0207】
医療用X線撮影装置1におけるX線撮影は、被写体M1を医療用X線撮影装置1の本体部2に導入する局面(第1局面)、X線撮影を行うために、旋回アーム30を
図16に示される初期位置L1から
図17に示される撮影開始位置L2まで移動させる局面(第2局面)、被写体M1にX線照射を行うために、旋回アーム30を撮影開始位置L2から
図18に示される撮影終了位置L3まで移動させる局面(第3局面)、患者を退避させるために、旋回アーム30を
図19に示される退避位置L4に移動させる局面(第4局面)及び旋回アーム30を退避位置L4から初期位置L1に復帰させる局面(第5局面)に区別される。
【0208】
図16は、X線撮影の第1局面を示す概略平面図である。
図16に示されるように、第1局面では、被写体M1を本体部2に導入するため、旋回アーム30が初期位置L1に配置されている。第1局面における旋回アーム30の位置は、通常は患者をX線撮影装置に導入する際に旋回アーム30が障害にならない患者導入のための初期位置とされている。
【0209】
この初期位置L1は、X線発生器10a及びX線検出器21及び支柱50に設けられた可視光出射部(不図示)から出射した可視光線BL1が、前歯歯根端辺りを照射することで、患者をX線撮影装置に位置付けする位置である。なお、旋回アーム30が初期位置L1にない場合は、オペレータが操作表示部61,62又は操作部82等を操作することによって、旋回アーム30が初期位置L1に移動する。
【0210】
図17は、X線撮影の第2局面を示す概略平面図である。
図17に示されるように、第2局面では、旋回アーム30が、設定された撮影領域CAにX線ビームBX1の照射を行うために撮影を開始する撮影開始位置L2に移動する。上述したように、旋回アーム30の撮影開始位置L2への移動は、信号出力スイッチ71が出力する移動開始信号を本体制御部60が受け付けることによって実行される。
【0211】
図17に示される例では、撮影開始位置L2は、該撮影領域CAにX線ビームBX1を照射し始める位置(照射開始位置)となっている。ただし、撮影開始位置L2は、この照射開始位置よりも、旋回方向手前側の位置としてもよい。
【0212】
ここで、
図11(b)で述べた前述のX線検出器21の対象撮影領域への近接・離隔による擬似口内法撮影領域CAの拡縮の変更を行う場合は、撮影開始位置L2は、撮像機構3を構成するX線発生器10a、X線検出器21が
図17に示される位置よりも擬似口内法撮影領域CAに対して−y方向または+y方向に移動した位置となる。擬似口内法撮影領域の拡大の場合は撮像機構3が−y方向に移動した位置となり、擬似口内法撮影領域の縮小の場合は撮像機構3が+y方向に移動した位置となる。
【0213】
図18は、X線撮影の第3局面を示す概略平面図である。
図18に示されるように、第3局面では、旋回アーム30が、撮影開始位置L2から撮影終了位置L3まで移動する。上述したように、この旋回アーム30の移動は、オペレータが信号出力スイッチ71を操作して、撮影開始信号が本体制御部60に出力されることにより実行される。旋回アーム30の移動は、前述の旋回軸移動制御による旋回中心設定によって行う。
【0214】
図18に示される例では、撮影終了位置L3は、撮影領域CAに対するX線ビームBX1の照射が終了する位置(照射終了位置)となっている。ただし、撮影終了位置L3は、照射終了位置よりも、旋回方向に若干進んだ位置としてもよい。
【0215】
図19は、X線撮影の第4局面を示す概略平面図である。
図19に示される様に、第4局面では、被写体M1を本体部2から退避させるために、旋回アーム30が、撮影終了位置L3から退避位置L4に移動する。上述したように、この旋回アーム30の移動は、旋回アーム30が撮影終了位置L3に移動してから所定の時間をおいた後に、自動的に実行される。なお、オペレータが信号出力スイッチ71等を操作することによって旋回アーム30を退避位置L4に移動させるようにしてもよい。
【0216】
図19に示される例では、退避位置L4は、旋回アーム30がX軸方向に沿う位置となっている。この退避位置L4は一例であり、その他の位置に設定されてもよい。図示を省略するが、被写体M1が退出した後、旋回アーム30は、退避位置L4から初期位置L1(
図16参照)に復帰する(第5局面)。この旋回アーム30の移動は、オペレータが信号出力スイッチ71を操作して、復帰信号が本体制御部60に出力されることにより実行される。
【0217】
図20は、X線撮影中における、旋回アーム30の旋回速度の変化を示す図である。
図20中、横軸は時間を示しており、縦軸は旋回速度(=旋回軸31の回転速度)を示している。また、
図20中に示されるphase1〜phase5は、それぞれ第1局面〜第5局面のそれぞれに対応している。
【0218】
本実施形態では、
図20に示されるように、第2局面、第4局面及び第5局面(すなわち、旋回アーム30が、初期位置L1から撮影開始位置L2へ、撮影終了位置L3から退避位置L4へ、及び、退避位置L4から初期位置L1へ移動する局面)における旋回アーム30の旋回速度(第1旋回速度V1)が、第3局面(即ち撮影開始位置L2から撮影終了位置L3へ移動する局面)における旋回アーム30の旋回速度(第2旋回速度V2)よりも大きい。このため、X線ビームBX1を被写体M1に照射してフレームデータを収集するX線撮影中は、旋回アーム30を精密に移動させることができるとともに、その他の場面では、旋回アーム30を迅速に移動させることができる。これにより、X線投影画像を良好に取得しつつ、かつ、X線撮影を高効率で行うことができる。
【0219】
図20に示される例では、第2局面、第4局面及び第5局面における旋回アーム30の旋回速度がV1に統一されているが、必ずしも一致している必要はない。ただし、いずれの旋回速度もV2よりも大きいことが望ましい。
【0220】
ここで、
図11(b)に示した、撮影領域選択ライン313aの変形に対応してビーム形成機構13の駆動で開口17を変更し、擬似口内法撮影領域CAを変更した場合の撮影開始位置L2と撮影終了位置L3の設定例について、
図21を用いて説明する。
【0221】
ここでは、仮に、
図11(b)に示される変形操作前の撮影領域選択ライン313ucを擬似口内法で撮影するために、
図18に示される旋回アーム30の撮影開始位置L2と撮影終了位置L3が設定されているとする。
【0222】
図21では、
図11(b)に示される変形操作前の撮影領域選択ライン313ucで撮影対象となる撮影領域CAが撮影領域CAaで示されており、撮影領域CAaを撮影するための旋回アーム30の撮影開始位置L2が位置L2aで示されており、撮影終了位置L3が位置L3aで示されている。すなわち、位置L2aは
図18に示された撮影開始位置L2であり、位置L3aは
図18に示された撮影終了位置L3である。
【0223】
図11(b)に示されるように、撮影領域選択ラインに変形操作を加えて313ucmになるように拡大した場合に、撮影開始位置L2と撮影終了位置L3も変更後の撮影領域CAに対応して調整されるように構成することもできる。
【0224】
図21では、
図11(b)に示される変形操作後の撮影領域選択ライン313ucmに対応する撮影対象となる撮影領域CAが撮影領域CAbで示されており、撮影領域CAbを撮影するための旋回アーム30の撮影開始位置L2が位置L2bで示されており、撮影終了位置L3が位置L3bで示されている。
【0225】
図11(b)に示される変形操作の例は、枠313ucが歯列弓の左側に拡がる成分を持つために、撮影開始位置L2bは
図21に示されるように位置L2aよりも左回りに変位したものとなっている。撮影終了位置L3bも、
図21に示されるように位置L3aよりも左回りに変位したものとなるように調整してもよい。
【0226】
このように、
図11(b)について説明したように、
図11(b)に示される変更操作前のテンプレート、具体的には変更操作前の撮影領域選択ライン313ucに対してサイズの変更などの変形操作を加えて、この変更操作に対応してビーム形成機構13の開口17の形状を変更した場合に、少なくともX線撮影開始位置L2も調整することができる。
【0227】
なお、枠313ucが歯列弓の右側に拡がる成分を持つ場合は、図示はしないが、撮影開始位置L2bは位置L2aよりも右回りに変位したものとなる。このとき、撮影終了位置L3bも、図示はしないが、位置L3aよりも右回りに変位したものとなるように調整してもよい。
【0228】
<2. 変形例>
以上、実施形態について説明してきたが、本発明は上記のようなものに限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0229】
例えば、上記実施形態においては、まず、信号出力スイッチ71が操作されて撮影開始信号が出力されることにより、旋回アーム30が撮影開始位置L2に移動し、さらに信号出力スイッチ71が操作されて撮影開始信号が出力されることにより、X線撮影が実行される。しかしながら、旋回アーム30が撮影開始位置L2へ移動した後、無操作でX線撮影が実行されるようにしてもよい。この場合、移動開始信号の出力のための操作が行われるだけで、旋回アーム30の撮影開始位置L2までの移動と、その後の、旋回アーム30の撮影終了位置L3に向けた移動及びX線照射が自動で開始される。このため、X線撮影時における、オペレータの操作作業を簡略化できる。
【0230】
この発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。