特許第5805718号(P5805718)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5805718
(24)【登録日】2015年9月11日
(45)【発行日】2015年11月4日
(54)【発明の名称】光ビーム整形器
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/08 20060101AFI20151015BHJP
   F21Y 101/02 20060101ALN20151015BHJP
【FI】
   F21S8/08 200
   F21Y101:02
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-170724(P2013-170724)
(22)【出願日】2013年8月20日
(62)【分割の表示】特願2010-501646(P2010-501646)の分割
【原出願日】2008年4月4日
(65)【公開番号】特開2014-13761(P2014-13761A)
(43)【公開日】2014年1月23日
【審査請求日】2013年9月18日
(31)【優先権主張番号】07300925.0
(32)【優先日】2007年4月5日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100087789
【弁理士】
【氏名又は名称】津軽 進
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(72)【発明者】
【氏名】モンターニュ ルイ
【審査官】 栗山 卓也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−048775(JP,A)
【文献】 特開2006−092983(JP,A)
【文献】 特開2006−277979(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/08
F21Y 101/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ビームに細長い形状を与えるための光学装置であって、前記光学装置が、中心線、並びに
(i) 入口ジオプタ、及び
(ii)出口ジオプタ
を持つレンズを有し、
前記出口ジオプタが、第1収束部と、第2収束部と、前記第1及び第2収束部の橋渡しをする発散部とを有し、前記第1収束部及び前記第2収束部は二次曲面を有し、前記出口ジオプタが、前記中心線に対して垂直な回転軸の周りに構成される回転対称連続面を有する、光学装置。
【請求項2】
前記出口ジオプタの前記収束部が、互いに対して対称形をしている、請求項1に記載の光学装置。
【請求項3】
前記入口ジオプタが、光源のための収容部の構成を有する、請求項1に記載の光学装置。
【請求項4】
請求項1に記載の光学装置及び前記光学装置の上流に配設されるLEDを有する、照明装置。
【請求項5】
複数のLEDを有する、照明頭部であって、各LEDが請求項1に記載の光学装置それぞれの上流に配設される、照明頭部。
【請求項6】
前記LEDを動作させる間生成される熱を放散させるための手段を更に有する、請求項5に記載の照明頭部。
【請求項7】
各LEDが、前記光学装置の前記入口ジオプタに設けられる収容部内に配設される請求項5に記載の照明頭部。
【請求項8】
請求項5に記載の照明頭部と、照明柱とを有する道路照明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ビームに所望の形状を与えるための光学装置に関する。この装置は、「光ビーム整形器」とも呼ばれる。この光学装置は、とりわけ、照明面であって、道路、街路又は高速道路などのそれらの幅に対して大きな長さを持つ照明面に関連する。
【背景技術】
【0002】
図1は、3つの道路照明11a、11b、11cを備えている道路区間1の概略的な斜視図を示している。道路照明、即ち、枝付き照明は、照明柱111と、照明頭部112とを有する。各道路照明は、道路区間1の各々の道路ゾーン12a、12b、12cを照らす。各道路ゾーンは長さLを持つ。これらの照らされる道路ゾーンは、オーバーラップゾーン13a、13ab、13bc、13cおいて、少し重なり合っていてもよい。通常、図1に図示されているように、道路照明は、道路区間1の境界14から引っ込めて建てられる。例えば、それらは、道路区間1の境界14において、歩道上に建てられる。実際、交通のため、照らされる必要があるゾーンの真上に道路照明を取り付けることは可能ではない。これは、あまりに危険であるからである。
【0003】
適切な角度を持つ光ビームを道路の方へ向けるために、照明頭部内に、光路にわたって配設される反射器を設けることが知られている。
【0004】
更に、取付け及びメンテナンスのコストを減らすために、連続する2つの道路照明11a及び11b、又は11b及び11cの間の距離を増加させることは好ましい。細長いビームを供給するために様々な反射器システムが提案されている。このような反射器システムは非常にかさばる。
【0005】
道路照明のための通常の光源は、ナトリウムランプ、蛍光バルーン又は蛍光灯のような高輝度放電ランプである。しかしながら、これらの種類の光源は、非常にかさばり、それらは、頻繁な、時間のかかるメンテナンスを必要とする。かさばりの結果として、照明頭部もかさばる。これは、風の強い条件下で不利な点となり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施例の目的は、ユーザにとってまぶしくさせるおそれなしに、長手方向に一様に照明することを可能にする照明を提供することである。
【0007】
本発明の実施例の別の目的は、とりわけ、照明の一様性、照度、グレア及び空汚染に関して、道路照明規制を満たす道路照明を提供することである。
【0008】
本発明の実施例の別の目的は、風感度の低い道路照明を提供することである。
【0009】
本発明の実施例の他の目的は、メンテナンスをあまり必要としない道路照明を提供することである。動作コストが低い道路照明を提供することも、本発明の実施例の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このため、本発明の実施例は、光ビーム整形器とも呼ばれる、光ビームに細長い形状を与えるための光学装置であって、前記光学装置が、(i)入口ジオプタと、(ii)出口ジオプタとを持つレンズを有し、前記出口ジオプタが、第1収束部と、第2収束部と、前記第1及び第2収束部の橋渡しをする発散部とを有する光学装置を提案する。
【0011】
このような光学装置は、光源によって放射される光ビームを整形するのに用いられ得る。通常、このような光ビームは、ほぼ円形であり、それらは、光ビームの軸のまわりに最大光度を持つ回転形状を有する。本発明による光学装置は、光束を再配分する。この再配分は、好ましくは長手方向に対称形の光分布を持つ細長い光ビームにもたらす。
【0012】
本発明の別の実施例は、複数の発光ダイオード(LED)を有する、とりわけ道路照明に有用な照明頭部であって、各LEDが光ビーム整形器の上流に配設され、前記光ビーム整形器がほぼ同じベアリングを持つ照明頭部を提案する。
【0013】
このような照明頭部は、小型光源としてLEDを使用するため、非常に薄いかもしれない。前記光ビーム整形器は、全て、ほぼ同じベアリングを持つので、即ち、それらは、同じ方向に向けられるので、前記光ビームを、道路に対して直角をなすよう方向づけるために反射器を設ける必要はない。これは、前記照明頭部の製造を簡単にする。
【0014】
本発明のこれら及び他の態様を、下記の実施例に関連して、説明し、明らかにする。
【0015】
ここで、一例として添付図面を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】道路照明を備えている道路区間の概略的な斜視図を示す。
図2A】本発明による光学装置の第1実施例の直線断面図を示す。
図2B】本発明による光学装置の第1実施例の長手方向断面図を示す。
図2C】本発明による光学装置の第1実施例の上からの斜視図を示す。
図2D】本発明による光学装置の第1実施例の下からの平面図を示す。
図3】本発明による光学装置を備えている道路照明の細部の下からの斜視図を示す。
図4図3の細部の、面IV−IVに沿った断面を示す。
図5A】本発明による光学装置の第2実施例の長手方向断面図を示す。
図5B】本発明による光学装置の第2実施例の下からの平面図を示す。
図6】点光源によって、図2に示されているような光学装置を通して放射される光線によってたどられる二次元経路を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
この明細書においては、以下の定義が採用される。「道路」、「街路」、「高速道路」などの用語は、同様の意味を持つと解釈されたい。
【0018】
ジオプタは、異なる屈折率を持つ2つの光伝搬媒体を分ける光学面である。光伝搬媒体の例は、例えば、空気、ガラス、ポリメタクリレート又は他のプラスチックである。
【0019】
レンズは、光を収束又は発散させる装置である。それは、ガラス、ポリメタクリレート又は他のプラスチックなどの整形された材料から作られる。通常、レンズは、2つの表面又はジオプタを持つ。表面又はその一部は、(湾曲していない)平面であってもよく、(レンズから外へ隆起する)凸面であってもよく、又は(レンズ内へくぼんでいる)凹面であってもよい。
【0020】
二次曲面は、二次の面である。例えば、球体は、二次曲面を持つ。
【0021】
メタ表面は、メタボールの表面である。
【0022】
メタボールは、以下のように規定される。メタボールの各成分Ciは、三次元数学関数fi(x, y, z)によって規定され得る。ここで、x、y、zは、空間内の位置の座標である。しきい値Tが選ばれる。各位置(x, y, z)について、メタボールの各成分の寄与の合計S(x, y, z)が、計算され、しきい値Tと比較される。
【数1】
【0023】
この関数は、スカラー場を規定する。S(x, y, z)がしきい値Tより低い場合には、位置(x, y, z)はメタボールのボリューム内にある。S(x, y, z)がしきい値Tと等しい場合には、位置(x, y, z)はメタボールの表面上(即ち、メタ表面上)にある。それ以外の場合には、位置(x, y, z)は、メタボールの外にある。換言すれば、次の不等式は、成分Ciによって規定されるメタボールで囲まれるボリュームを表している。
【数2】
【0024】
球体は、次の式によって表され得る。ここで、(xo, yo, zo)は、球体の中心の座標であり、rは、球体の半径である。
【数3】
【0025】
更に、z軸を持つ円柱は、次の式によって表され得る。ここで、rは、円柱の半径である。
【数4】
【0026】
S(x, y, z)は、メタボール及びメタ表面の計算を速めるために、多項式関数によって近似され得ることはよく知られている。メタボール及びメタ表面に関する他の展開は、インターネットで見つけられ得る。
【0027】
上記のように、本発明の実施例は、光ビームに細長い形状を与える光学装置に関する。前記光学装置は、入口ジオプタと出口ジオプタとを持つレンズを有する。出口ジオプタは、第1収束部と、第2収束部と、前記第1及び第2収束部の橋渡しをする発散部とを有する。本発明の好ましい実施例においては、前記発散部は、滑らかに、出口ジオプタの前記第1及び第2収束部の橋渡しをする。
【0028】
好ましくは、レンズは、円形の光ビームを、長手方向にほぼ一様な光度を持つ細長い光ビームに整形することができるように設計される。これは、通常、円形の光ビームを放射する発光ダイオード(LED)などの光源の使用を可能にする。他の光源も適切であり得る。しかしながら、LEDの利点は、それらが小型光源であることである。したがって、円形の光ビームを細長い光ビームに整形するために各LEDが本発明による光学装置を備えている複数のLEDを組み込む薄い照明頭部を作ることが可能になる。LED及びそれらの関連する光学装置は、例えば、複数の行及び列に配設される。光ビームに適切なベアリングを与えることによって、細長い光ビームを道路の方へ向け、照明頭部の真下を照明する代わりに、前記道路を照明することは可能である。更に、LEDの後ろ(即ち、LEDに対して光学装置の反対側)の、後述するように、照明頭部の薄さに最小限の影響しか与えない、LEDの列の間に、放熱器を収容することが可能である。更に、高い電力料金のため、LEDの高い効率は利点である。
【0029】
図2は、本発明による光学装置の第1実施例の様々な図を示している。この第1実施例においては、レンズ2は、凹状である入口ジオプタ3を持つ。それは、光源のための収容部31として配設され得る。入口ジオプタの全体の形状は、レンズ2の必須の特徴ではない。しかしながら、入口ジオプタ3の全体の形状は、球状、又は少なくとも二次曲面であることが好ましい。実際、このような形状は、光線分布に最小限の影響しか及ぼさない。これは、このような入口ジオプタ、特に球状ジオプタを通過する場合、光線分布は、ほぼ影響を受けないままであることを意味する。
【0030】
図2に図示されているように、ベース面5は、レンズ2の基部における、入口ジオプタ3と出口ジオプタ4との間に位置する。厳密に言うと、ベース面5も、それ自体、他のジオプタとみなされなければならない。しかしながら、光源は、好ましくは、入口ジオプタ3に対して、例えば、収容部31内に配設されるべきであり、故に、光は、光源からベース面5を通っては行かない。これは、光が、絶対にベース面5を通過しないことを意味せず、単に、光源によって放射される光のほぼ全てが、入口ジオプタ3の方へ向けられることを意味する。好ましくは、ベース面5は、実質的に基平面に接している。これは、本発明による光学装置の製造、及びより大きな照明装置への前記光学装置の組付けを容易にする。しかしながら、ベース面は、面IIAと角度をなしてもよい(図2B)。例えば、ベース面は、面IIAと角度をなす2つの対称部を有してもよい。
【0031】
好ましくは、本発明による光学装置は、図2に図示されるように、ベース面5が接している基平面に対しても垂直である2つの直交する対称面IIA、IIBを持つ。面IIA及びIIBは、レンズ2の中心線22において交差する。好ましくは、光源は、レンズ2の中心線22上にある。好ましくは、前記収容部31は、前記光源を通過する対称軸を持つ。
【0032】
最も重要なのは、レンズ2の出口ジオプタ4の形状である。実際、光ビーム整形器の出口における光線分布を調節し、したがって、出射光ビームの強度を調節するのは、主に、出口ジオプタの形状である。円形の光ビームを使用する場合、前記光ビームに細長い形状を与えるためには、前記光ビームを拡大する必要がある。それ故、出口ジオプタ4は、第1収束部41と、第2収束部42と、前記第1及び第2収束部41、42の橋渡しをする発散部43とを有する。これは、円形の光線を分散させることを可能にする。前記円形の光線は、まず最初に、発散部の方へ、末端の収束部41、42の方へ集束させられる。収束部41、42が近ければ近いほど、出射光ビームは縮小されるであろう。換言すれば、発散部43は、出射光ビームの拡大に寄与し、収束部41、42は、出射光ビームを縮小するのに寄与する。それらの間の適切なバランスが、出射光ビームに沿った満足な光の一様性を可能にする。
【0033】
出射光ビームのより優れた一様性は、レンズ2の対称性によって達成され得る。それ故、出口ジオプタ41が回転対称面を有することは好ましい。
【0034】
例えば、図2に図示されているように、回転軸23は、レンズ2の中心線22に対して垂直であり、それは、対称面IIBに接している。位置CとDとの間に含まれる曲線を、軸23を中心に回転させると、出口ジオプタ4全体が得られ得る。入口ジオプタ3が、球面などの二次曲面を持つ場合、入口ジオプタ3に関して各々同じことが言える。
【0035】
本発明の好ましい実施例においては、出口ジオプタ4の前記収束部41、42は、球面などの二次曲面を有する。図2に図示されている実施例においては、収束部41、42は、凸状であり、球面を有する。それらは、メタ表面に寄与し、前記メタ表面は、橋渡しをする発散部43の円柱寄与部も有する。故に、表面全体が、傾斜の途切れのない、連続的なままである。発散部43は、円柱であって、前記円柱の軸が、収束部41、42が得られる2つの球体の中心を通る円柱から得る。この円柱の高さは、所望の用途に応じて、上記の2つの球体の距離と等しくてもよく、又は前記距離より短くてもよい。発散部43を得るためには、円柱の半径は、球体の半径より短くなければならない。収束部においては、球体の、メタ表面への寄与が、最も重要であるが、発散部においては、最も重要であるのは、円柱の寄与である。
【0036】
通常、出射光ビームは、光度に関して、長手方向に対称であることが望ましい。それ故、例えば、図2Bに図示されているように、出口ジオプタ4の収束部41、42は、互いに対して対称形をしていなければならない。レンズの適切な向き(左又は右)に関して疑問がないので、このような特徴も、照明装置の製造を簡単にする。
【0037】
図6は、点光源によって、図2に示されているような光学装置を通して放射される光線によってたどられる経路を二次元で図示している。このような光源は、通常、円形の光ビームをもたらす。LED7は、点光源として近似され得る。
【0038】
図6は、LED7によって放射される円形の光ビームに対するレンズ2の効果を示しており、結果として生じる細長い光ビームと、レンズ2なしで得られるであろう円形の光ビームを比較している。2つのグループの光線、即ち、放射された光ビームの中心にある(即ち、レンズ2の中心線22の近くにある)光線と、光ビームの周辺部にある光線とに、分離される。説明の目的のため、円形の光ビームの幅が、当業界ではよく知られている半値全幅法に従って測定される場合には、光ビームの「中心」にある光線は、円形の光ビームの幅の半分より小さい角度を中心線22となす方向を持つ光線であり得るが、光ビームの「周辺部」にある光線は、前記光線の方向が、円形の光ビームの幅の半分より大きい角度を中心線22となす光線であり得る。
【0039】
光学装置2なしで、即ち、光線71のまっすぐな伝搬によって得られるであろう光ビームの中心部は、一点鎖線72によって区切られている。点線73は、同じ光線がレンズ2を通って伝搬した後に得られる光ビームを示している。見て分かるように、光ビームの中心部は広げられる。これは、中心の光ビームが、より大きな道路面を横取りすることを意味する。したがって、光源に最も近い道路面は、単位面当たり、レンズ2がない場合に得られ得る光エネルギより少ない光エネルギを受け取るであろう。
【0040】
周辺の光ビームとの比較:一点鎖線74は、まっすぐな伝搬後に得られる光ビームを示しており、点線75は、同じ周辺の光線がレンズ2を通って伝搬した後に得られる光ビームを示している。周辺の光線の場合には、レンズ2を通って伝搬した後に得られる光ビームは、レンズ2なしより小さい幅を持つ。更に、周辺の光ビームは、レンズ2の中心線22に近づく。これは、周辺の光ビームが、より小さい道路面を横取りすることを意味する。周辺の光ビームによって照らされる道路面、即ち、光源から最も遠い道路面は、単位面当たり、より多くの光エネルギを受け取るであろう。
【0041】
光ビームのこの再配分は、細長い光ビームによって、道路区間のより良好な照明を可能にする。
【0042】
出射光ビームは、可能な限り長くなる。連続する2つの道路照明の間の最大距離は、道路に沿った、(明るい領域と暗い領域との間で道路ユーザの目がくらむことを防止するための)照明の一様性及び(十分な照明を供給するための)強度の義務付けられているレベルによって制限される。出射光ビームの幅は、高い角度におけるグレア及び空汚染によっても制限される。
【0043】
しかしながら、一方の側においては、反対側より強い又は伸ばさない出射光ビームを供給することは望ましいかもしれない。その場合には、出口ジオプタの収束部は、反対側の収束部より小さくてもよい。面IIAは、もはや対称面とみなされない。収束部が大きければ大きいほど、光線は分散させられるであろう。そして、それは、より強くない光線及びより細長い光線にもたらすであろう。別の解決策は、光源を、レンズの中心線22上にではなく、例えば、回転軸23に沿って中心線22に平行な線上に配置することであり得る。当然、両方の解決策が組み合わされてもよい。
【0044】
図5は、本発明による光学装置の別の実施例を示している。この実施例においては、レンズ200は、2つの入口ジオプタ301、302を有し、前記2つの入口ジオプタ301、302は、この例においては、互いに対して対称形をしている。各入口ジオプタは、LEDなどの光源のための収容部311、312として配設されてもよい。図示されているように、入口ジオプタは球面を持つ。しかし、上記で説明したように、これは必修ではない。光源は、好ましくは、入口ジオプタ301、302の中心線221、222に沿って配置される。出口ジオプタ400は、3つの収束部401、402、403と、2つの発散部404、405とを有する。発散部404は、収束部401及び402の橋渡しをする。発散部405は、収束部402及び403の橋渡しをする。出口ジオプタ400は、回転軸230の周りに回転対称である。それは、球体(収束部)と円柱(発散部)との組み合わせから生じるメタ表面を有する。
【0045】
このようなレンズ200は、例えば、色の混合のために用いられ得る。この場合には、異なる色を持つ光源が選ばれる。図5の実施例では、出射光ビームの色は、実質的に、収容部311内に配置される光源の色から収容部312内に配置される光源の色まで、出射光ビームの長手方向に、連続的に変化するであろう。
【0046】
図5のレンズ200は、製造を簡単にするためにも用いられ得る。即ち、2つの光源によって放射される光ビームを整形するのにレンズが1つしか必要ではない。
【0047】
出射光ビームの長手方向に一様な色混合を達成することが望ましい場合には、3つの入口ジオプタであって、中央入口ジオプタが、第1の色を持つ光源を収容し、2つの外側入口ジオプタが、各々、第2の色を持つ光源を収容する3つの入口ジオプタを持つ、より複雑な光学装置が設計されるかもしれない。
【0048】
他の実施例において、レンズの出口ジオプタの収束部は、一直線に並べられる代わりに、正方形の角に配置され、発散部は、連続する角、若しくは相対する角、又は連続する角及び相対する角の両方の橋渡しをする。このようなレンズは、光ビームに細長い十字形の形状を与えるであろう。
【0049】
レンズ2、200は、通常、良く知られている技術に従って、圧縮成形又は射出成形によって製造される。好ましくは、それらは、透明材料を用いて作成される。この材料は、所望の用途に応じて、色付きであってもよく、又は無色であってもよい。適切な材料は、例えば、ポリメタクリレートであり、もっと具体的に言えば、ポリ(メチルメタクリレート)である。ポリカーボネートなどの他の透明なプラスチックが用いられてもよい。
【0050】
図3及び4は、本発明の実施例による光学装置を備えている道路照明11の様々な図を示している。図3を見ても分かるように、下から見た照明頭部112が、照明柱111(部分図)の最上部に設けられている。照明頭部112は、複数の照明装置6のための支持体113を有する。前記照明装置6は、照明頭部112の支持体113の下に配設され、それらは、地面の方へ、即ち、道路の方へ向けられる。照明装置は、図3に図示されているように、行及び列に配設され得る。
【0051】
各照明装置6は、光伝搬に関して光学装置2の上流に発光ダイオード7(LED)を有する。光学装置の細部は、上記で示されている。例えば、図2の実施例のような光学装置が用いられる。LED7は電源を持つ。前記電源は図示されていない
【0052】
LEDは、道路照明のために用いられる標準的な光源の優れた代替物である。十分な照明を供給するため、各照明頭部には多数のLEDが取り付けられ得る。魅力的な製品を提供するため、照明頭部の寸法は、適度に小さいままでなければならない。
【0053】
LEDの利点の1つは、小型化である。これは、屋外の機器において、光学部品の小型化による照明頭部の厚さの減少を可能にする。本発明は、設計し、幅広い構成に適合させるのが容易な、LEDのための光学部品を提案する。本発明は、広域用の伝統的な回転光学部品に匹敵する高い効率を備え、空汚染を少なくすることができる道路照明のための細長いビームを、より小さな大きさで供給する。
【0054】
道路ゾーンを適切に照らすため、照明装置は、全て、同じベアリングを持つ、即ち、照明方向LDは、垂直方向Vと角度θをなす。このようにして、支持体113において、照明装置の連続する2つの列の間に凹部114を規定することは可能である。この凹部114は、LEDを動作させる間生成される熱を排出させ、放散させるのに役立つ複数の放熱器(図示せず)を収容するよう適合させられる。放熱器は凹部114に収容されるので、興味深いことに、照明頭部は薄いままである。
【0055】
以下の請求項におけるいかなる参照符号も、請求項を限定するものとして解釈されてはならない。「有する」という動詞及びその語形変化の使用が、請求項において規定されている要素以外の要素の存在を除外しないことは明らかであろう。要素の単数形表記は、このような要素の複数の存在を除外しない。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4
図5A
図5B
図6