(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5805786
(24)【登録日】2015年9月11日
(45)【発行日】2015年11月10日
(54)【発明の名称】無線通信システム、無線通信システムの制御方法、及び基地局
(51)【国際特許分類】
H04W 16/28 20090101AFI20151021BHJP
H04W 72/04 20090101ALI20151021BHJP
【FI】
H04W16/28
H04W72/04 131
H04W72/04 132
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-546967(P2013-546967)
(86)(22)【出願日】2012年11月9日
(86)【国際出願番号】JP2012007219
(87)【国際公開番号】WO2013080457
(87)【国際公開日】20130606
【審査請求日】2014年2月21日
(31)【優先権主張番号】特願2011-259522(P2011-259522)
(32)【優先日】2011年11月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100153017
【弁理士】
【氏名又は名称】大倉 昭人
(72)【発明者】
【氏名】藤田 博己
【審査官】
望月 章俊
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−166385(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/132262(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W4/00−H04W99/00
H04B7/24−H04B7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アダプティブアレイアンテナを有する移動局と、基地局とを備え、該移動局に割り当てる下りリンク及び上りリンクのリソースの周波数帯が異なる場合のある無線通信システムであって、
前記移動局は、前記基地局に前記アダプティブアレイアンテナを有することを示すメッセージを送信し、
前記基地局は、前記メッセージを受信した場合、前記移動局に割当てる下りリソースブロックの周波数帯と、該下りリソースブロックに後続する上りリソースブロックの周波数帯とを同一の周波数帯にする無線通信システムにおいて、
前記基地局は、前記移動局に対して他の周波数帯の下りリソースブロックを割り当てる場合、前記他の周波数帯と該下りリソースブロックに後続する同一の上りリソースブロックが既に他の移動局に割り当てられているとき、前記移動局に既に割り当てた下りリソースブロックと同一の周波数帯に上りリソースブロックを割り当てることを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
前記他の周波数帯と該下りリソースブロックに後続する同一の上りリソースブロックが既に他の移動局に割り当てられているとき、前記移動局に既に割り当てた下りリソースブロックのうち、時間的に最も近接する下りリソースと同一の周波数帯に上りリソースブロックを割り当てることを特徴とする、請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
アダプティブアレイアンテナを有する移動局と、基地局とを備え、該移動局に割り当てる下りリンク及び上りリンクのリソースの周波数帯が異なる場合のある無線通信システムの制御方法であって、
前記移動局が、前記基地局に前記アダプティブアレイアンテナを有することを示すメッセージを送信し、
前記基地局が、前記メッセージを受信した場合、前記移動局に割当てる下りリソースブロックの周波数帯と、該下りリソースブロックに後続する上りリソースブロックの周波数帯とを同一の周波数帯にする無線通信システムの制御方法において、
前記基地局は、前記移動局に対して他の周波数帯の下りリソースブロックを割り当てる場合、前記他の周波数帯と該下りリソースブロックに後続する同一の上りリソースブロックが既に他の移動局に割り当てられているとき、前記移動局に既に割り当てた下りリソースブロックと同一の周波数帯に上りリソースブロックを割り当てるステップを含むことを特徴とする無線通信システムの制御方法。
【請求項4】
前記他の周波数帯と該下りリソースブロックに後続する同一の上りリソースブロックが既に他の移動局に割り当てられているとき、前記移動局に既に割り当てた下りリソースブロックのうち、時間的に最も近接する下りリソースと同一の周波数帯に上りリソースブロックを割り当てるステップを含むことを特徴とする、請求項3に記載の無線通信システムの制御方法。
【請求項5】
アダプティブアレイアンテナを有する移動局と、基地局とを備え、該移動局に割り当てる下りリンク及び上りリンクのリソースの周波数帯が異なる場合のある無線通信システムにおける基地局であって、
前記移動局から前記アダプティブアレイアンテナを有することを示すメッセージを受信した場合、前記移動局に割当てる下りリソースブロックの周波数帯と、該下りリソースブロックに後続する上りリソースブロックの周波数帯とを同一の周波数帯にする基地局において、
前記移動局に対して他の周波数帯の下りリソースブロックを割り当てる場合、前記他の周波数帯と該下りリソースブロックに後続する同一の上りリソースブロックが既に他の移動局に割り当てられているとき、前記移動局に既に割り当てた下りリソースブロックと同一の周波数帯に上りリソースブロックを割り当てる制御部と、を備えることを特徴とする基地局。
【請求項6】
前記制御部は、前記他の周波数帯と該下りリソースブロックに後続する同一の上りリソースブロックが既に他の移動局に割り当てられているとき、前記移動局に既に割り当てた下りリソースブロックのうち、時間的に最も近接する下りリソースと同一の周波数帯に上りリソースブロックを割り当てることを特徴とする、請求項5に記載の基地局。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本出願は、日本国特許出願2011−259522号(2011年11月28日出願)の優先権を主張するものであり、当該出願の開示全体を、ここに参照のために取り込む。
【技術分野】
【0002】
本発明は、アダプティブアレイアンテナ(AAS:Adaptive Array Antenna System)の制御をする移動局を備える無線通信システム、無線通信システムの制御方法、基地局、及び移動局に関する。
【背景技術】
【0003】
従来のTD−LTE等の無線通信システムにおいては、基地局(eNB:eNodeB)は、移動局(UE:UserEquipment)に対し、上りリンクと下りリンクで独立してリソースを割り当てている(例えば特許文献1)。
【0004】
図7は、従来の無線通信システムにおける基地局102によるリソースブロックの割当てを示す概要図である。基地局102は、サブフレーム131〜140に係る各周波数帯a〜dのリソースブロックを基地局102に接続する移動局に割当てる。なおサブフレーム131〜140のうち、サブフレーム132及びサブフレーム137は、スペシャルサブフレームである。スペシャルサブフレームとは、下りリンクから上りリンクへの切り替え用のサブフレームである。その他のサブフレームは、ノーマルサブフレームである。
【0005】
図7では、基地局102が、移動局101に割当てているリソースブロックを示している。基地局102は、サブフレーム131については、移動局101にリソースブロック151及び152を割当てている。また、基地局102は、サブフレーム133については、移動局101にリソースブロック153を割当てている。また、基地局102は、サブフレーム134については、移動局101にリソースブロック154を割当てている。サブフレーム135〜サブフレーム140についても同様に割当てている。
【0006】
ここで基地局102は、上りリンクと下りリンクのリソースブロックを関連付けずに、独立して割当てる。したがって、上りリンクと下りリンクのリソースブロックとで、周波数帯が異なる場合がある。具体的には
図7においては、リソースブロック151及びリソースブロック152に係る周波数帯が周波数帯a及び周波数帯bであるのに対し、後続するリソースブロック153及びリソースブロック154に係る周波数帯は、下りリンクとは異なる周波数帯c及び周波数帯dである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−177932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
移動局101がアダプティブアレイアンテナを有し、移動局101が該アダプティブアレイアンテナの制御をする場合、移動局101は、下りリンクにおける信号に基づきアンテナウェイトを計算する。移動局101は、該アンテナウェイトにより上りリンクで信号を送信する。しかしながらアンテナウェイトは周波数帯に依存するため、下りリンクと上りリンクとで周波数帯が異なると、所望のアンテナ指向性を得ることができない。
図8の概念図に示すように、例えば移動局101が基地局102の方向にアンテナのビームフォーミングをしようとしても、異なる方向にビームフォーミングしてしまうことになる。
【0009】
すなわち従来の上りリンクと下りリンクとで移動局に割当てる周波数帯が異なる場合がある、TD−LTE等の無線システムでは、移動局101においてアダプティブアレイアンテナの制御をして所望のアンテナ指向性を確保することができなかった。
【0010】
従って、上記のような問題点に鑑みてなされた本発明の目的は、上りリンクと下りリンクとで移動局に割当てる周波数帯が異なる場合のあるTD−LTE等の無線通信システムにおいて、移動局がアダプティブアレイアンテナの制御をして所望のアンテナ指向性を確保することができる無線通信システム、無線通信システムの制御方法、基地局、及び移動局を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために本発明に係る無線通信システムは、
アダプティブアレイアンテナを有する移動局と、基地局とを備え、該移動局に割り当てる下りリンク及び上りリンクのリソースの周波数帯が異なる場合のある無線通信システムであって、
前記移動局は、前記基地局に前記アダプティブアレイアンテナを有することを示すメッセージを送信し、
前記基地局は、前記メッセージを受信した場合、前記移動局に割当てる下りリソースブロックの周波数帯と、該下りリソースブロックに後続する上りリソースブロックの周波数帯とを同一の周波数帯
にする無線通信システムにおいて、
前記基地局は、前記移動局に対して他の周波数帯の下りリソースブロックを割り当てる場合、前記他の周波数帯と該下りリソースブロックに後続する同一の上りリソースブロックが既に他の移動局に割り当てられているとき、前記移動局に既に割り当てた下りリソースブロックと同一の周波数帯に上りリソースブロックを割り当てることを特徴とする。
【0012】
また本発明に係る無線通信システムは、
前記他の周波数帯と該下りリソースブロックに後続する同一の上りリソースブロックが既に他の移動局に割り当てられているとき、前記移動局に既に割り当てた下りリソースブロックのうち、時間的に最も近接する下りリソースと同一の周波数帯に上りリソースブロックを割り当てることを特徴とする。
【0013】
また本発明に係る無線通信システムの制御方法は、
アダプティブアレイアンテナを有する移動局と、基地局とを備え、該移動局に割り当てる下りリンク及び上りリンクのリソースの周波数帯が異なる場合のある無線通信システムの制御方法であって、
前記移動局が、前記基地局に前記アダプティブアレイアンテナを有することを示すメッセージを送信
し、
前記基地局が、前記メッセージを受信した場合、前記移動局に割当てる下りリソースブロックの周波数帯と、該下りリソースブロックに後続する上りリソースブロックの周波数帯とを同一の周波数帯にする
無線通信システムの制御方法において、
前記基地局は、前記移動局に対して他の周波数帯の下りリソースブロックを割り当てる場合、前記他の周波数帯と該下りリソースブロックに後続する同一の上りリソースブロックが既に他の移動局に割り当てられているとき、前記移動局に既に割り当てた下りリソースブロックと同一の周波数帯に上りリソースブロックを割り当てるステップを含むことを特徴とする。
【0014】
また本発明に係る無線通信システムの制御方法は、
前記他の周波数帯と該下りリソースブロックに後続する同一の上りリソースブロックが既に他の移動局に割り当てられているとき、前記移動局に既に割り当てた下りリソースブロックのうち、時間的に最も近接する下りリソースと同一の周波数帯に上りリソースブロックを割り当てるステップを含むことを特徴とする。
【0015】
アダプティブアレイアンテナを有する移動局と、基地局とを備え、該移動局に割り当てる下りリンク及び上りリンクのリソースの周波数帯が異なる場合のある無線通信システムにおける基地局であって、
前記移動局から前記アダプティブアレイアンテナを有することを示すメッセージを
受信した場合、前記移動局に割当てる下りリソースブロックの周波数帯と、該下りリソースブロックに後続する上りリソースブロックの周波数帯とを同一の周波数帯にする
基地局において、
前記移動局に対して他の周波数帯の下りリソースブロックを割り当てる場合、前記他の周波数帯と該下りリソースブロックに後続する同一の上りリソースブロックが既に他の移動局に割り当てられているとき、前記移動局に既に割り当てた下りリソースブロックと同一の周波数帯に上りリソースブロックを割り当てる制御部と、
を備えることを特徴とする。
【0016】
また本発明に係る無線通信システムにおける基地局は、
前記制御部は、前記他の周波数帯と該下りリソースブロックに後続する同一の上りリソースブロックが既に他の移動局に割り当てられているとき、前記移動局に既に割り当てた下りリソースブロックのうち、時間的に最も近接する下りリソースと同一の周波数帯に上りリソースブロックを割り当てることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明における無線通信システム、無線通信システムの制御方法、基地局、及び移動局によれば、上りリンクと下りリンクとで移動局に割当てる周波数帯が異なる場合のあるTD−LTE等の無線通信システムにおいて、移動局がアダプティブアレイアンテナの制御をして所望のアンテナ指向性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態に係る無線通信システムのブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る無線通信システムの動作を示すフローチャートである。
【
図3】基地局2によるリソースブロックの割当てを示す概要図である。
【
図4】基地局2によるリソースブロックの割当ての詳細を示す概要図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る無線通信システムにおいて移動局1がアダプティブアレイアンテナ12の制御をした場合の概要図である。
【
図6】基地局2によるリソースブロックの割当ての変形例を示す概要図である。
【
図7】従来の無線通信システムにおける基地局102によるリソースブロックの割当てを示す概要図である。
【
図8】従来の無線通信システムにおいて移動局101がアダプティブアレイアンテナの制御をした場合の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0022】
(実施の形態)
図1は本発明の一実施形態に係る無線通信システムのブロック図である。本発明の一実施形態に係る無線通信システムは、移動局1と、基地局2とを備える。移動局1と基地局2とは、無線により通信をする。
【0023】
移動局1は、通信部11と、アダプティブアレイアンテナ12と、制御部13と、記憶部14とを備える。
【0024】
通信部11は、アダプティブアレイアンテナ12を介して基地局2と信号の送受信をする。また通信部11は、自局がアダプティブアレイアンテナ12を備えることを示すメッセージを基地局2に送信する。アダプティブアレイアンテナ12は複数のアンテナにより構成される。
図1においては、アダプティブアレイアンテナ12は、2つのアンテナ素子を備える例を図示しているがこれに限られず、3つ以上のアンテナ素子を備えていてもよい。
【0025】
制御部13は、移動局1に係る各種制御を行う。具体的には制御部13は、下りリンクの信号により、アダプティブアレイアンテナ12に係るアンテナウェイトの計算をする。また制御部13は、計算したアンテナウェイトを使用し、通信部11により、上りリンクの信号を送信させる。
【0026】
記憶部14は、移動局1における各種データを記憶する。例えば記憶部14は、移動局1において実行される各種プログラムを記憶する。
【0027】
基地局2は、通信部21と、アンテナ22と、制御部23と、記憶部24とを備える。
【0028】
通信部21は、アンテナ22を介して移動局1と信号の送受信をする。また通信部21は、移動局1からメッセージを受信する。アンテナ22は、複数のアンテナ素子により構成されていても、単一のアンテナ素子により構成されていてもよい。
【0029】
制御部23は、移動局1から受信したメッセージに基づき、無線リソースの割り当て(スケジューリング)をする。そして、制御部23は、スケジューリング結果を通信部21を介して移動局1に送信する。さらに制御部23は、該割当てた下りリソースブロックにより、通信部21に下りリンクの信号を送信させ、また、割当てた上りリソースブロックにより、移動局1に上りリンクの信号を送信させる。
【0030】
記憶部24は、基地局2における各種データを記憶する。例えば記憶部24は、基地局2において実行される各種プログラムを記憶する。
【0031】
次に、本発明の一実施形態に係る無線通信システムの動作について、
図2に示すフローチャートによりその動作を説明する。
【0032】
はじめに移動局1の制御部13は、通信部11により、自局がアダプティブアレイアンテナ12を備えることを示すメッセージを基地局2に送信させる(ステップS1)。通信部11は、アダプティブアレイアンテナ12を介して該メッセージを基地局2に送信する。基地局2の通信部21は、アンテナ22を介して該メッセージを受信する(ステップS2)。
【0033】
続いて基地局2の制御部23は、該メッセージに基づき、無線リソースの割り当てをする(ステップS3)。具体的には制御部23は、該メッセージに係る移動局1に割当てる下りリソースブロックの周波数帯と、該下りリソースブロックに後続する上りリソースブロックの周波数帯とを同一の周波数帯にする。
【0034】
続いて基地局2の制御部23は、該割当てた下りリソースブロックにより、通信部21に下りリンクの信号を送信させる(ステップS4)。通信部21は、アンテナ22を介して下りリンクの信号を移動局1に送信する。このとき、通信部21はスケジューリング結果をあわせて通知する。移動局1の通信部11は、アダプティブアレイアンテナ12を介して当該下りリンクの信号を受信する(ステップS5)。通信部11は受信した信号を制御部13に渡す。
【0035】
続いて制御部13は、該信号に基づき、アダプティブアレイアンテナ12に係るアンテナウェイトの計算をする(ステップS6)。すなわち、制御部13は、下りリンクの信号が用いたリソースブロックの周波数帯において、信号送信に最適のアンテナウェイトを計算する。制御部13は、計算したアンテナウェイトを記憶部14に格納してもよい。
【0036】
続いて制御部13は、通信部11により、計算したアンテナウェイトを使用し、上りリンクの信号を、送信させる(ステップS7)。通信部11は、アダプティブアレイアンテナ12を介して該メッセージを基地局2に送信する。該上りリンクにおいては、ステップS3において割当てられた上りリソースブロックを用いる。基地局2の通信部21は、アンテナ22を介して、当該上りリンクの信号を受信し(ステップS8)、処理が終了する。
【0037】
図3は、基地局2によるリソースブロックの割当てを示す概要図である。基地局2は、サブフレーム31〜40に係る各周波数帯a〜dのリソースブロックを基地局2に接続する移動局1に割当てる。なおサブフレーム31〜40のうち、サブフレーム32及びサブフレーム37は、スペシャルサブフレームである。その他のサブフレーム(サブフレーム31、33〜36、及び38〜40)は、ノーマルサブフレームである。
【0038】
図3では、基地局2が、移動局1に割当てるリソースブロックを示している。基地局2は、サブフレーム31については、移動局1にリソースブロック51及び52を割当てている。また、基地局2は、サブフレーム33については、移動局1にリソースブロック53を割当てている。また、基地局2は、サブフレーム34については、移動局1に54を割当てている。サブフレーム35〜サブフレーム40についても同様に割当てる。
【0039】
ここで基地局2は、上りリンクと下りリンクのリソースブロックを関連付けて割当てる。つまり、基地局2は、上りリンクと下りリンクのリソースブロックとで、周波数帯を同一にする。具体的には
図3においては、リソースブロック51及びリソースブロック52に係る周波数帯が周波数帯a及び周波数帯bであり、後続するリソースブロック53及びリソースブロック54に係る周波数帯は、下りリンクと同一の周波数帯a及び周波数帯bである。ここで、移動局1に割当てた上りリソースブロック53に係るサブフレームは、下りサブフレーム31に係るサブフレームの直後のノーマルサブフレームである。つまり、基地局2は、隣接するノーマルサブフレームにおいて、同一の周波数帯aのリソースブロックを割当てる。このように隣接するノーマルサブフレームにおいて、同一の周波数帯aのリソースブロックを割当てることにより、最も時間的に近接する周波数帯aの下りリンクに基づき、極めて精度の高いアンテナウェイトの計算及び指向性の制御をすることができる。
【0040】
図4は、基地局2によるリソースブロックの割当ての詳細を示す概要図である。
図5では、基地局2に接続する他の移動局1(他端末)が存在する場合のリソースブロックの割当を示す。なお、他端末は、アダプティブアレイアンテナを備えていないものとして説明する。
【0041】
基地局2の制御部23は、上記のステップS2でメッセージを受信すると、アダプティブアレイアンテナ12を備える移動局1への割当てを優先して行う。すなわち基地局2は、リソースブロック51〜54の割当てを他端末よりも先に行う。なおリソースブロック51〜54の割当て方法は、
図3と同一であるため説明は省略する。
【0042】
続いて基地局2の制御部23は、他端末に、上りリンクと下りリンクのリソースブロックを関連付けずに、独立して割当てる。したがって、上りリンクと下りリンクのリソースブロックとで、周波数帯が異なる場合がある。
図4では、基地局2は、他端末に、下りリソースブロック55を割当てる。そして基地局2は、他端末に、上りリソースブロック56及び57を割当てる。下りリソースブロック55の周波数帯は周波数帯dであり、上りリソースブロック56及び57の周波数帯は夫々周波数帯c及びaであり、これらは異なる。
【0043】
図5は、本発明の無線通信システムにおいて移動局1がアダプティブアレイアンテナ12の制御をした場合の概念図である。移動局1に割当てられた下りリソースブロックの周波数帯と、該下りリソースブロックに後続する上りリソースブロックの周波数帯とが同一であるため、本発明の移動局1が制御したアダプティブアレイアンテナ12は、信号送信に最適の指向性となる。すなわち、移動局1に係るビームは、基地局2の方向に伸びる。
【0044】
このように本発明によれば、基地局2が、移動局1に割当てる下りリソースブロックの周波数帯と、該下りリソースブロックに後続する上りリソースブロックの周波数帯とを同一にし、移動局1が該割当てられた下りリソースブロックの周波数帯でアンテナウェイトを計算してアダプティブアレイアンテナ12の制御をするため、所望のアンテナ指向性を確保することができる。
【0045】
(変形例)
図6は、基地局2によるリソースブロックの割当ての変形例を示す概要図である。この例は、概略として、移動局1よりも優先度の高い他端末が存在した場合の例である。当該優先度の高い他端末は、例えばプレミアムユーザ等に係る他端末であり、最も通信品質の高いリソースブロックを優先的に使用する。このような場合には、基地局2は、移動局1に対して、隣接するノーマルサブフレームにおいて、同一の周波数帯aのリソースブロックを割当てることができない可能性がある。
【0046】
この場合、基地局2の制御部23は、移動局1に割当てた下りリソースブロックのうち、時間的に最も近接する下りリソースブロックの周波数帯と、上りリソースブロックの周波数帯を同一にする。すなわち移動局1は、隣接するノーマルサブフレームにおいて、同一の周波数帯aのリソースブロックを割当てられない場合は、下りリソースブロックと、該下りリソースブロックに後続し、時間的に最も近接する上りリソースブロックの周波数帯とを同一の周波数帯にする。
【0047】
図6を用いて、以下具体的に説明する。基地局2の制御部23は、移動局1に下りリソースブロック61を割り当て、かつ、周波数帯が同一の上りリソースブロック62、及び63を割当てる。また、基地局2の制御部23は、他端末に下りリソースブロック64、上りソースブロック65、及び66を割当てる。さらに基地局2は、他端末に、下りリソースブロック67、及び68と、上りリソースブロック69〜72を優先的に割当てる。
【0048】
続いて基地局2の制御部23は、移動局1に対し、下りリソースブロック73〜76を割当てる。ここで、当該リソースブロック73〜76に係る周波数帯は周波数帯c及び周波数帯dである。しかしながら、周波数帯c及び周波数帯dの上りリソースブロックであるリソースブロック69〜72は、すでに他端末に割当てられている。
【0049】
この場合、基地局2の制御部23は、時間的に最も近接する下りリソースブロックの周波数帯と、上りリソースブロックの周波数帯を同一にする。すなわち、基地局2の制御部23は、時間的に最も近接する下りリソースブロック61の周波数帯(周波数帯a)と、同一の周波数帯である上りリソースブロック77、78を移動局1に割当てる。そして移動局1は、下りリソースブロック61の際の信号に基づいて計算したアンテナウェイトにより、上りリンクの信号を送信する。時間的に最も近接する下りリソースブロックの周波数帯の用いることにより、比較的精度の高いアンテナウェイトの計算及び指向性の制御をすることができる。
【0050】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各手段、各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段やステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0051】
1 移動局
11 通信部
12 アダプティブアレイアンテナ
13 制御部
14 記憶部
2 基地局
21 通信部
22 アンテナ
23 制御部
24 記憶部
31〜40 サブフレーム
51〜57、61〜72 リソースブロック
131〜140 サブフレーム
151〜154 リソースブロック