(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の走査線と、上記複数の走査線に交差する複数のデータ線と、当該複数の走査線および当該複数のデータ線の各交差点近傍に個別に設けられた複数の画素とを備えた表示パネルと、
上記表示パネルの画面における全ての領域を走査する走査期間を構成するフレームの数と、上記画面における少なくとも一部の領域を走査しない休止期間を構成するフレームの数とをそれぞれ算出するフレーム数算出部と、
上記走査期間と上記休止期間とを交互に指示する制御信号を出力する制御信号出力部と、
上記各データ線に出力されるデータ信号の極性を指示する極性指示信号を、1つのフレームごとに当該極性指示信号の極性を反転させながら出力する極性指示信号出力部と、
各上記走査期間内の各上記フレームにおいて、当該フレーム時に入力された上記極性指示信号の極性に基づく極性の上記データ信号を、上記各データ線に出力する駆動回路と、
表示装置の外部から入力される、上記走査期間を構成するフレームの数を示す情報と、上記休止期間を構成するフレームの数を示す情報とを含んだ指示信号を受信する指示信号受信部とを備えており、
上記フレーム数算出部は、上記制御信号に基づき、上記走査期間を構成するフレームの数と、上記休止期間を構成するフレームの数とを算出し、
上記走査期間を構成するフレームの数と、上記休止期間を構成するフレームの数との和が偶数であるとき、上記フレーム数算出部は、上記走査期間を構成するフレームの数と、上記休止期間を構成するフレームの数との少なくとも一方を、当該和が奇数になるように変更することを特徴とする表示装置。
複数の走査線と、上記複数の走査線に交差する複数のデータ線と、当該複数の走査線および当該複数のデータ線の各交差点近傍に個別に設けられた複数の画素とを備えた表示パネルと、
上記表示パネルの画面における全ての領域を走査する走査期間を構成するフレームの数と、上記画面における少なくとも一部の領域を走査しない休止期間を構成するフレームの数とをそれぞれ算出するフレーム数算出部と、
上記走査期間を構成するフレームの数と、上記休止期間を構成するフレームの数との和が、2以上である極性反転周期の倍数であるとき、当該和を当該極性反転周期で割った値である判定値を算出する判定値算出部と、
上記判定値が奇数であるとき、上記走査期間と上記休止期間とを交互に指示する制御信号を出力する制御信号出力部と、
上記各データ線に出力されるデータ信号の極性を指示する極性指示信号を、上記極性反転周期の上記フレームごとに当該極性指示信号の極性を反転させながら出力する極性指示信号出力部と、
各上記走査期間内の各上記フレームにおいて、当該フレーム時に入力された上記極性指示信号の極性に基づく極性の上記データ信号を、上記各データ線に出力する駆動回路と、
表示装置の外部から入力される、上記走査期間を構成するフレームの数を示す情報と、上記休止期間を構成するフレームの数を示す情報とを含んだ指示信号を受信する指示信号受信部とを備えており、
上記フレーム数算出部は、上記制御信号に基づき、上記走査期間を構成するフレームの数と、上記休止期間を構成するフレームの数とを算出し、
上記判定値算出部によって算出された上記判定値が偶数であるとき、上記フレーム数算出部は、上記走査期間を構成するフレームの数と、上記休止期間を構成するフレームの数との少なくとも一方を、上記判定値が奇数になるように変更することを特徴とする表示装置。
複数の走査線と、上記複数の走査線に交差する複数のデータ線と、当該複数の走査線および当該複数のデータ線の各交差点近傍に個別に設けられた複数の画素とを備えた表示パネルを備えた表示装置の駆動方法であって、
上記表示パネルの画面における全ての領域を走査する走査期間を構成するフレームの数と、上記画面における少なくとも一部の領域を走査しない休止期間を構成するフレームの数とをそれぞれ算出するフレーム数算出工程と、
上記走査期間と上記休止期間とを交互に指示する制御信号を出力する制御信号出力工程と、
上記各データ線に出力されるデータ信号の極性を指示する極性指示信号を、1つのフレームごとに当該極性指示信号の極性を反転させながら出力する極性指示信号出力工程と、
各上記走査期間内の各上記フレームにおいて、当該フレーム時に入力された上記極性指示信号の極性に基づく極性の上記データ信号を、上記各データ線に出力する駆動工程と、
表示装置の外部から入力される、上記走査期間を構成するフレームの数を示す情報と、上記休止期間を構成するフレームの数を示す情報とを含んだ指示信号を受信する指示信号受信工程とを含み、
上記フレーム数算出工程において、上記制御信号に基づき、上記走査期間を構成するフレームの数と、上記休止期間を構成するフレームの数とを算出し、
上記走査期間を構成するフレームの数と、上記休止期間を構成するフレームの数との和が偶数であるとき、上記フレーム数算出工程において、上記走査期間を構成するフレームの数と、上記休止期間を構成するフレームの数との少なくとも一方を、当該和が奇数になるように変更することを特徴とする表示装置の駆動方法。
複数の走査線と、上記複数の走査線に交差する複数のデータ線と、当該複数の走査線および当該複数のデータ線の各交差点近傍に個別に設けられた複数の画素とを備えた表示パネルを備えた表示装置の駆動方法であって、
上記表示パネルの画面における全ての領域を走査する走査期間を構成するフレームの数と、上記画面における少なくとも一部の領域を走査しない休止期間を構成するフレームの数とをそれぞれ算出するフレーム数算出工程と、
上記走査期間を構成するフレームの数と、上記休止期間を構成するフレームの数との和が、2以上である極性反転周期の倍数であるとき、当該和を当該極性反転周期で割った値である判定値を算出する判定値算出工程と、
上記判定値が奇数であるとき、上記走査期間と上記休止期間とを交互に指示する制御信号を出力する制御信号出力工程と、
上記各データ線に出力されるデータ信号の極性を指示する極性指示信号を、上記極性反転周期の上記フレームごとに当該極性指示信号の極性を反転させながら出力する極性指示信号出力工程と、
各上記走査期間内の各上記フレームにおいて、当該フレーム時に入力された上記極性指示信号の極性に基づく極性の上記データ信号を、上記各データ線に出力する駆動工程と、
表示装置の外部から入力される、上記走査期間を構成するフレームの数を示す情報と、上記休止期間を構成するフレームの数を示す情報とを含んだ指示信号を受信する指示信号受信工程とを含み、
上記フレーム数算出工程において、上記制御信号に基づき、上記走査期間を構成するフレームの数と、上記休止期間を構成するフレームの数とを算出し、
上記判定値算出工程において算出された上記判定値が偶数であるとき、上記フレーム数算出工程において、上記走査期間を構成するフレームの数と、上記休止期間を構成するフレームの数との少なくとも一方を、上記判定値が奇数になるように変更することを特徴とする表示装置の駆動方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、極性反転駆動を行う液晶表示装置に、単純に休止駆動を組み合わせると、場合によっては、表示パネルの焼き付きが生じてしまうという問題がある。この問題について、
図6を参照して以下に説明する。
【0007】
図6は、従来技術に係る液晶表示装置が休止駆動を実行する際の、各フレームにおける液晶印加電圧の極性を示す図である。
図6に示す例では、走査信号のフレーム数は4つであり、一方、休止期間のフレーム数も4つである。すなわち、走査期間を構成するフレームの数と、休止期間を構成するフレームの数との和が偶数である。また、走査期間と休止期間とは交互に繰り返される。
【0008】
各走査期間内において、データ信号の極性はフレームごとに反転する。したがって、液晶印加電圧の極性もフレームごとに反転する。走査期間を構成するフレームの数と、休止期間を構成するフレームの数との和が偶数であるとき、各走査期間内の最後のフレームにおける液晶印加電圧の極性は互いに等しくなる。
図6の例では、いずれも正である。休止駆動を実行する従来の液晶表示装置では、各休止期間中の画素における液晶印加電圧は、当該休止期間の直前に位置する走査期間内の最後のフレームにおける液晶印加電圧が保持される。これは、各画素に存在する容量成分に働きによるものである。この結果、
図6の例では、各休止期間における液晶印加電圧は、いずれの休止期間においても互いに等しくなる。
図6の例では、いずれも負である。
【0009】
これにより、
図6に示すような駆動を行う従来の液晶表示装置では、動作中に、液晶内の電荷が負に偏っていく。これは、休止期間が長くなればなるほど、顕著になる。このように、従来の液晶表示装置では、休止駆動は実行できるが、表示パネルの画面に焼き付きを起こすことが避けられない場合が生ずる。
【0010】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の一態様に係る表示装置によれば、休止駆動が実行可能であり、かつ、表示パネルに焼き付きを起こすことがないという効果を奏する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様に係る表示装置は、上記の課題を解決するために、
複数の走査線と、上記複数の走査線に交差する複数のデータ線と、当該複数の走査線および当該複数のデータ線の各交差点近傍に個別に設けられた複数の画素とを備えた表示パネルと、
上記表示パネルの画面における全ての領域を走査する走査期間を構成するフレームの数と、上記画面における少なくとも一部の領域を走査しない休止期間を構成するフレームの数とをそれぞれ算出するフレーム数算出部と、
上記走査期間と上記休止期間とを交互に指示する制御信号を出力する制御信号出力部と、
上記各データ線に出力されるデータ信号の極性を指示する極性指示信号を、1つのフレームごとに当該極性指示信号の極性を反転させながら出力する極性指示信号出力部と、
各上記走査期間内の各上記フレームにおいて、当該フレーム時に入力された上記極性指示信号の極性に基づく極性の上記データ信号を、上記各データ線に出力する駆動回路とを備えており、
上記走査期間を構成するフレームの数と、上記休止期間を構成するフレームの数との和が偶数であるとき、上記フレーム数算出部は、上記走査期間を構成するフレームの数と、上記休止期間を構成するフレームの数とを、
当該和が奇数になるまでそれぞれ算出し直すことを特徴としている。
【0012】
本発明の一態様に係る表示装置の駆動方法は、上記の課題を解決するために、
複数の走査線と、上記複数の走査線に交差する複数のデータ線と、当該複数の走査線および当該複数のデータ線の各交差点近傍に個別に設けられた複数の画素とを備えた表示パネルを備えた表示装置の駆動方法であって、
上記表示パネルの画面における全ての領域を走査する走査期間を構成するフレームの数と、上記画面における少なくとも一部の領域を走査しない休止期間を構成するフレームの数とをそれぞれ算出するフレーム数算出工程と、
上記走査期間と上記休止期間とを交互に指示する制御信号を出力する制御信号出力工程と、
上記各データ線に出力されるデータ信号の極性を指示する極性指示信号を、1つのフレームごとに当該極性指示信号の極性を反転させながら出力する極性指示信号出力工程と、
各上記走査期間内の各上記フレームにおいて、当該フレーム時に入力された上記極性指示信号の極性に基づく極性の上記データ信号を、上記各データ線に出力する駆動工程とを
含み、
上記走査期間を構成するフレームの数と、上記休止期間を構成するフレームの数との和が偶数であるとき、上記フレーム数算出工程において、上記走査期間を構成するフレームの数と、上記休止期間を構成するフレームの数とを、
当該和が奇数になるまでそれぞれ算出し直すことを特徴としている。
【0013】
本発明の一態様に係る表示装置は、上記の課題を解決するために、
複数の走査線と、上記複数の走査線に交差する複数のデータ線と、当該複数の走査線および当該複数のデータ線の各交差点近傍に個別に設けられた複数の画素とを備えた表示パネルと、
上記表示パネルの画面における全ての領域を走査する走査期間を構成するフレームの数と、上記画面における少なくとも一部の領域を走査しない休止期間を構成するフレームの数とをそれぞれ算出するフレーム数算出部と、
上記走査期間を構成するフレームの数と、上記休止期間を構成するフレームの数との和が、2以上である極性反転周期の倍数であるとき、当該和を当該極性反転周期で割った値である判定値を算出する判定値算出部と、
上記走査期間と上記休止期間とを交互に指示する制御信号を出力する制御信号出力部と、
上記各データ線に出力されるデータ信号の極性を指示する極性指示信号を、上記極性反転周期の上記フレームごとに当該極性指示信号の極性を反転させながら出力する極性指示信号出力部と、
各上記走査期間内の各上記フレームにおいて、当該フレーム時に入力された上記極性指示信号の極性に基づく極性の上記データ信号を、上記各データ線に出力する駆動回路とを備えており、
上記判定値算出部によって算出された上記判定値が偶数であるとき、上記フレーム数算出部は、上記走査期間を構成するフレームの数と、上記休止期間を構成するフレームの数とを、上記判定値が奇数になるまでそれぞれ算出し直すことを特徴としている。
【0014】
本発明の一態様に係る表示装置の駆動方法は、上記の課題を解決するために、
複数の走査線と、上記複数の走査線に交差する複数のデータ線と、当該複数の走査線および当該複数のデータ線の各交差点近傍に個別に設けられた複数の画素とを備えた表示パネルを備えた表示装置の駆動方法であって、
上記表示パネルの画面における全ての領域を走査する走査期間を構成するフレームの数と、上記画面における少なくとも一部の領域を走査しない休止期間を構成するフレームの数とをそれぞれ算出する
フレーム数算出工程と、
上記走査期間を構成するフレームの数と、上記休止期間を構成するフレームの数との和が、2以上である極性反転周期の倍数であるとき、当該和を当該極性反転周期で割った値である判定値を算出する判定値算出工程と、
上記判定値が奇数であるとき、上記走査期間と上記休止期間とを交互に指示する制御信号を出力する制御信号出力工程と、
上記各データ線に出力されるデータ信号の極性を指示する極性指示信号を、上記極性反転周期の上記フレームごとに当該極性指示信号の極性を反転させながら出力する極性指示信号出力工程と、
各上記走査期間内の各上記フレームにおいて、当該フレーム時に入力された上記極性指示信号の極性に基づく極性の上記データ信号を、上記各データ線に出力する駆動工程とを
含み、
上記判定値算出工程において算出された上記判定値が偶数であるとき、上記フレーム数算出工程において、上記走査期間を構成するフレームの数と、上記休止期間を構成するフレームの数とを、上記判定値が奇数になるまでそれぞれ算出し直すことを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様に係る表示装置は、休止駆動が実行可能であり、かつ、表示パネルに焼き付きを起こすことがないという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面に基づいて、本発明の実施形態について詳細に説明する。以下の説明において、同一の機能および作用を示す部材については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0018】
〔第1の実施形態〕
(表示システム1の構成)
本実施形態に係る表示システム1の構成について、
図1を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る表示システム1の構成の詳細を示すブロック図である。
図1に示すように、表示システム1は、表示装置2およびコントロール部3を有している。本実施形態の表示システム1では、コントロール部3は表示装置2を介して映像を表示出力している。コントロール部3では、映像以外にも静止画像または記号等の任意の情報を、表示装置2に出力することもできる。
【0019】
表示装置2は、表示パネル2a、走査線駆動回路4、データ線駆動回路5(駆動回路)、共通電極駆動回路6、および、タイミングコントロール部7(映像信号受信部)を備えている。タイミングコントロール部7は、休止駆動制御部8(制御信号出力部、指示信号受信部、映像信号受信部、フレーム数算出部、判定値算出部)および極性反転制御部9(極性指示信号出力部)を備えている。
【0020】
表示パネル2aは、マトリックス状に配置された複数の画素を有する画面を備えている。また、表示パネル2aは、画面を線順次に選択して走査するためのN本(Nは任意の整数)の走査線G(ゲートライン)を備えている。さらに、表示パネル2aは、選択されたラインに含まれる一行分の画素にデータ信号を供給するM本(Mは任意の整数)のデータ線S(ソースライン)を備えている。走査線Gとデータ線Sとは互いに交差している。各画素は、複数の走査線Gおよび複数のデータ線Sの各交差点近傍に個別に設けられている。
【0021】
表示パネル2aは、さらに、図示しない液晶層を備えている。すなわち表示装置2は、いわゆる液晶表示装置である。
【0022】
図2に示すG(n)はn本目(nは1以上N以下の整数)の走査線Gを表す。例えば、G(1)、G(2)、および、G(3)は、それぞれ1本目、2本目および3本目の走査線Gを表す。一方、S(m)はm本目(mは1以上M以下の整数)のデータ線Sを表す。例えば、S(1)、S(2)、および、S(3)は、それぞれ1本目、2本目および3本目のデータ線Sを表す。
【0023】
走査線駆動回路4は、例えば各走査線Gを画面の上から下に向かって順次走査する。その際、各走査線Gに対して、画素に備えられ画素電極に接続されるスイッチング素子(画素薄膜トランジスタ(TFT))をオン状態にさせるための矩形波を出力する。これにより、画面内の1行分の画素を選択状態にする。
【0024】
データ線駆動回路5は、コントロール部3から入力された映像信号(矢印A)から、選択された1行分の各画素に出力すべき電圧の値を算出し、その値の電圧(データ信号)を各データ線Sに出力する。結果、選択された走査線G上にある各画素(画素電極)に対して、画像データを供給する。
【0025】
表示装置2は、画面内の各画素に対して設けられる共通電極(不図示)を備えている。共通電極駆動回路6は、タイミングコントロール部7から入力される信号(矢印B)に基づき、共通電極を駆動するための所定の共通電圧を共通電極に出力する(矢印C)。
【0026】
タイミングコントロール部7は、コントロール部3から入力されたクロック信号、水平同期信号、および、垂直同期信号に基づき、各回路が同期して動作するための基準となる信号を各回路に対して出力する。具体的には、走査線駆動回路4には、クロック信号、水平同期信号、および、垂直同期信号に基づいて、ゲートスタートパルス信号GSP、ゲートクロック信号GCK、および、ゲートアウトプットイネーブル信号GOEを出力する。データ線駆動回路5には、クロック信号、水平同期信号、および、垂直同期信号に基づいて、ソーススタートパルス信号SSP、ソースラッチストローブ信号SLS、および、ソースクロック信号SCKを出力する。
【0027】
走査線駆動回路4は、タイミングコントロール部7から受け取ったゲートスタートパルス信号GSPを合図に表示パネル2aの走査を開始し、走査線Gの選択状態をシフトさせていく信号であるゲートクロック信号GCKに従って各走査線Gに順次選択電圧を印加していく。データ線駆動回路5は、タイミングコントロール部7から受け取ったソーススタートパルス信号SSPを基に、入力された各画素の画像データをソースクロック信号SCKに従ってレジスタに蓄える。そして、データ線駆動回路5は、画像データを蓄えた後に、次のソースラッチストローブ信号SLSに従って表示パネル2aの各データ線Sを通して画素電極に画像データを書き込む。画像データの書き込みには、例えばデータ線駆動回路5が有するアナログアンプが用いられる。
【0028】
なお、表示システム1内の各回路が動作するために必要な電圧は、例えば電源生成回路(不図示)から供給されるが、この電源生成回路はコントロール部3に含まれていてもよい。表示システム1内の各回路が動作するために必要な電圧の一例として、データ線駆動回路5には電源電圧Vddが供給される。
【0029】
(休止駆動)
表示装置2は、動作時に消費電力を減らすために、いわゆる休止駆動を行う。以下に、表示装置2が行う休止駆動について、説明する。
【0030】
表示システム1において、コントロール部3は、表示装置2に対して、休止駆動を行うように指示する。その際、矢印Dで示す制御信号(指示信号)をタイミングコントロール部7に出力する。このような表示装置2の外部からの制御信号を、タイミングコントロール部7内の休止駆動制御部8が受信する。制御信号は、表示パネル2aの画面における全ての領域を走査する走査期間を構成するフレーム数を示す情報と、当該少なくとも一部の領域を走査しない休止期間を構成するフレーム数を示す情報とを含んでいる。以下、当該少なくとも一部の領域を、休止領域と称する。
【0031】
休止駆動制御部8は、受信した制御信号に基づき、走査期間を構成するフレームの数と、休止期間を構成するフレームの数とを、それぞれ算出する。この場合は、制御信号にそれぞれのフレーム数を示す情報が含まれているので、それぞれの情報が示すフレーム数を、そのまま、走査期間を構成するフレームの数、および、休止期間を構成するフレームの数として算出する。
【0032】
休止駆動制御部8は、算出したフレーム数からなる走査期間と、算出した
フレーム数からなる休止
期間とを交互に指示する制御信号を生成し、走査線駆動回路4およびデータ線駆動回路5に出力する(矢印EおよびF)。その際、たとえば、走査期間中の各フレームにおいてはH値を取り、休止期間中の各フレームにおいてはL値を取る制御信号を出力する。この結果、表示システム1では、表示装置2の休止駆動を外部から制御することができる。
【0033】
走査線駆動回路4およびデータ線駆動回路5は、受信した制御信号に基づき、走査期間と休止期間とを特定する。走査期間中の各フレームにおいては、走査線駆動回路4は走査信号を、表示パネル2aの全画面における各走査線Gに出力し、データ線駆動回路5は、表示パネル2aの全画面におけるデータ信号を各データ線Sに出力する。一方、休止期間中の各フレームにおいては、走査線駆動回路4は、走査信号を休止領域における各走査線Gに出力しない。なお、データ線駆動回路5は、データ信号を休止領域における各データ線Sに出力してもしなくてもよい。
【0034】
以上の処理によって、休止期間においては、休止領域に対する走査信号の出力に必要な消費電力を少なくとも削減することができるので、休止期間における表示装置2の電力消費量が、駆動期間におけるそれよりも大幅に低減する。その結果、本発明の一態様に係る表示装置では、休止駆動を実行しない表示装置に比べて、より低い電力で動作することができる。なお、休止期間において、さらに、休止領域における各データ線Sにはデータ信号を出力しないことが好ましい。これにより、休止期間において、休止領域に対するデータ信号の出力に必要な消費電力をも削減することができるので、表示装置2の電力消費量がよりいっそう低減する。なお、休止領域における各データ線Sに、黒表示に対応したデータ信号を出力してもよい。
【0035】
各休止期間においては、画素内のTFTがオフされるので、休止期間の直前のフレームにおいて画素の液晶に印可された電圧が、そのまま保持される。したがって、画像の表示も各休止期間おいて維持される。すなわち休止駆動は、一定数のフレームに渡って内容が変化しない領域を含む映像を表示する場合に適している。
【0036】
(映像信号に基づきフレーム数を算出)
休止駆動制御部8は、走査期間を構成するフレームの数と、休止期間を構成するフレームの数とを、矢印Aに示す映像信号に基づき算出することができる。この場合、コントロール部3からタイミングコントロール部7に、矢印Dで示す制御信号は入力されない。休止駆動制御部8は、入力された映像信号の内容を解析し、映像信号が表す映像に応じて、走査期間を構成するフレームの数と、休止期間を構成するフレームの数とを算出する。したがって、映像信号が表す映像の中身が変われば、算出されるフレームの数も変動する。これにより、休止駆動制御部8は、映像信号に応じた最適なフレーム数の走査期間および休止期間をそれぞれ指示する制御信号を生成する。その結果、表示装置2は、映像信号に応じた最適な休止駆動を実行できる。
【0037】
(メモリ内の情報に基づきフレーム数を算出)
休止駆動制御部8は、走査期間を構成するフレームの数と、休止期間を構成するフレームの数とを、図示しないメモリ(記憶部)に格納された情報に基づき算出することができる。この場合、コントロール部3からタイミングコントロール部7に、矢印Dで示す制御信号は入力されない。また、休止駆動制御部8は、映像信号を解析する必要もない。
【0038】
上記メモリには、走査期間を構成するフレームの数を示す情報と、休止期間を構成するフレームの数を示す情報とが、それぞれあらかじめ格納されている。休止駆動制御部8は、これらの情報をメモリから読み出し、各情報が示すフレームの数を、そのまま、走査期間を構成するフレームの数と、休止期間を構成するフレームの数として算出する。
【0039】
(極性反転駆動)
表示装置2では、動作時における画面のちらつき(フリッカ)および焼き付きの発生を防止するために、いわゆる極性反転駆動を行う。以下に、極性反転駆動について説明する。
【0040】
表示装置2において、タイミングコントロール部7内の休止駆動制御部8が、各データ線に出力されるデータ信号の極性を指示する極性指示信号(以下、POL信号と記載)を、データ線駆動回路5に出力する(矢印H)。本実施形態では、極性反転制御部9は、POL信号を出力する際、その極性を1つのフレームごとに反転させる。
【0041】
データ線駆動回路5は、走査期間内の各フレームにおいて、当該フレーム時に入力されたPOL信号の極性に基づく極性のデータ信号を、各データ線
Sに出力する。たとえば、POL信号の極性が正(+)であれば、同じく正(+)の極性のデータ信号を各データ線Sに出力する。一方、POL信号の極性が負(−)であれば、同じく負(−)の極性のデータ信号を各データ線Sに出力する。
【0042】
POL信号の極性はフレームごとに反転するので、データ線駆動回路5が出力するデータ信号の極性も、同様にフレームごとに反転する。したがって表示装置2では、走査期間内の各フレームにおいて、液晶に印加される電圧の極性も、フレームごとに反転する。
【0043】
なお、POL信号の極性と、各データ線Sに出力されるデータ信号の極性とは、必ずしも一致するとは限らない。たとえば後述する「ドット反転方式」または「ソース反転方式」の極性反転駆動を実行すると、同じフレームにおいて、データ線Sごとにデータ信号の極性が反転する。したがって、同じフレームにおいて、POL信号の極性が正のとき、データ線S(0)に出力されるデータ信号の極性は正であるが、データ
線S(1)に出力されるデータ信号の極性は負である、という処理も表示装置2では可能である。表示装置2において、「POL信号の極性に応じた極性のデータ信号を各データ線Sに出力する」ことは、本質的には「POL信号の極性が反転するたびに、各データ線Sに出力するデータ信号の極性を反転させる」ことを意味する。
【0044】
(極性反転方式の具体例)
以下、
図2および
図3を参照して、極性反転方式について具体的に説明する。ここでは、表示パネル2aに設けられた一部の画素である、6画素列×4画素行に配設された複数の画素を用いて、極性反転方式「ドット反転」および極性反転方式「ソース反転」のそれぞれについて説明する。
【0045】
図2は、極性反転方式「ドット反転」によりソース信号が書き込まれた状態の表示パネル2aを示す図である。一方、
図3は、極性反転方式「ソース反転」によりソース信号が書き込まれた状態の表示パネル2aを示す図である。
【0046】
図2および
図3において、「+」が示されている画素は、その画素に対して正極データが書き込まれている状態を示し、「−」が示されている画素は、その画素に対して負極データが書き込まれている状態を示す。
【0047】
また、
図2および
図3において、(a)と(b)とでは、複数の画素の各々のソース信号の極性が反転している。
【0048】
(極性反転の空間的周期)
図2に示すように、極性反転方式「ドット反転」によると各画素列における画素の配置は、表示パネルの空間方向(画素列方向および画素行方向)において、“+,−,+,−”、または“−,+,−,+”というように、1画素毎にソース信号の極性が反転した状態となる。
【0049】
また、
図3に示すように、極性反転方式「ソース反転」によると、各画素列における画素の配置は、“+,+,+,+”、または“−,−,−,−”というように、全ての画素のソース信号の極性が同一となる。また、各画素行における画素の配置は、“+,−,+,−”、または“−,+,−,+”というように、1画素毎にソース信号の極性が反転した状態となる。
【0050】
(極性反転の時間的周期)
図2に示すように、極性反転の空間的周期として「ドット反転」を採用している場合において、極性反転の時間的周期として「1フレーム反転」を採用した場合、表示パネル2aは、“
図2(a),
図2(b),
図2(a),
図2(b),・・・”というように、1フレーム毎に、各画素の極性が反転した状態となる。また、極性反転の時間的周期として「2フレーム反転」を採用した場合、“
図2(a),
図2(a),
図2(b),
図2(b),・・・”というように、2フレーム毎に、各画素の極性が反転した状態となる。
【0051】
同様に、
図3に示すように、極性反転の空間的周期として「ソース反転」を採用している場合において、極性反転の時間的周期として「1フレーム反転」を採用した場合、表示パネル2aは、“
図3(a),
図3(b),
図3(a),
図3(b),・・・”というように、1フレーム毎に、各画素の極性が反転したものとなる。また、極性反転の時間的周期として「2フレーム反転」を採用した場合、“
図3(a),
図3(a),
図3(b),
図3(b),・・・”というように、2フレーム毎に、各画素の極性が反転したものとなる。
【0052】
(休止駆動と極性反転駆動の組み合わせ)
本実施形態の表示装置2は、休止駆動と極性反転駆動とを同時に実行する。この点について、以下に
図4を参照しながら詳しく説明する。
【0053】
図4は、本実施形態の表示装置2が休止駆動を実行する際の、各フレームにおける液晶印加電圧の極性を示す図である。
図4に示す例では、走査信号を構成するフレームの数は3であり、一方、休止期間を構成するフレーム数は4つである。すなわち、走査期間を構成するフレームの数と、休止期間を構成するフレームの数との和は奇数である。
【0054】
本実施形態の表示装置2では、走査期間または休止期間のいずれにおいても、POL信号の極性はフレームごとに反転する。
図4の例では、走査期間内のn+1フレーム(nは自然数)におけるPOL信号の極性は正であり、その次のフレームであるn+2フレームにおけるPOL信号の極性は負である、さらにその次のフレームであるn+3フレームにおけるPOL信号の極性は正である。この関係は、休止期間内の各フレームにおいても維持される。したがって、休止期間内のn+4フレームにおけるPOL信号の極性は負であり、n+5フレームにおけるPOL信号の極性は正である。
【0055】
上述したように、表示装置2では、各走査信号内の各フレームにおいて、POL信号の極性に応じた極性のデータ信号が各データ線Sに入力される。
図4の例では、POL信号の極性が正であるときに、同じく極性が正であるデータ信号がデータ線Sに入力される。一方、POL信号の極性が負であるときに、同じく極性が負であるデータ信号がデータ線Sに入力される。したがって、各フレームにおいて、POL信号の極性と、データ線Sの極性とは互いに一致する。
【0056】
図4に示すように、走査期間を構成するフレームの数と、休止期間を構成するフレームの数との和が奇数であるとき、各走査期間内の最初のフレームにおけるデータ線Sの極性は、走査期間ごとに反転する。たとえば、
図4における最初の走査期間内の最初のフレームであるn+1フレームにおけるデータ線Sの極性は正であり、その次の走査期間内の最初のフレームであるn+8フレームにおけるデータ線Sの極性は負であり、さらにその次の走査期間内の最初のフレームであるn+15フレームにおけるデータ線Sの極性は正である。
【0057】
この結果、各走査期間内の最後のフレームにおけるデータ線Sの極性も、走査期間ごとに反転する。たとえば、
図4における最初の走査期間内の最後のフレームであるn+3フレームにおけるデータ線Sの極性は
正であり、その次の走査期間内の最後のフレームであるn+10フレームにおけるデータ線Sの極性は
負であり、さらにその次の走査期間内の最後のフレームであるn+17フレームにおけるデータ線Sの極性は正である。
【0058】
表示装置2では、各休止期間中の画素において、当該休止期間の直前に位置する走査期間内の最後のフレームにおけるデータ線Sの極性と同じ極性の液晶印加電圧が維持される。これは、各画素に存在する容量成分に働きによるものである。したがって、本実施形態の表示装置2では、各休止期間中の画素において保持される液晶印加電圧の極性は、休止期間ごとに反転することになる。たとえば、
図4に示す最初の休止期間内の各フレームにおける液晶印可電圧はいずれも正であり、その次の休止期間内の各フレームにおける液晶印可電圧はいずれも負であり、さらにその次の休止期間内の各フレームにおける液晶印可電圧はいずれも正である。
【0059】
以上のように本実施形態の表示装置2では、
図4に示すように、各走査期間内の各フレームごとに、液晶印加電圧の極性が反転する。さらに、休止期間ごとにも、液晶印加電圧の極性が反転する。したがって、表示装置2が動作を続けても、各画素の液晶印加電圧の極性はバランスが取れており、正極性または負極性のいずれか一方に偏ることはない。これにより、液晶内の電荷の偏りが生じることはないので、表示パネルが焼き付きを起こすこともない。
【0060】
(フレーム数の合計は奇数に固定)
表示システム1では、コントロール部3は、休止駆動を指示する際、走査期間を構成するフレームの数と、休止期間を構成するフレームの数との和が偶数である制御信号を、タイミングコントロール部7に対して出力することもできる。これは、
図6に示すような方式で駆動するように表示装置2に対して指示することと同じ意味を持つ。休止駆動制御部8が、当該制御信号に基づき、走査期間を構成するフレームの数と、休止期間を構成するフレームの数とを算出すると、各フレーム数の和は偶数になる。したがって、休止駆動制御部8が、この算出結果にそのまま基づいた、走査期間と休止期間とを指示する制御信号(矢印EおよびF)を生成すると、従来技術と同様に表示パネル2aの焼き付きを起こしてしまう。
【0061】
しかし、本実施形態に係る表示装置2では、休止駆動制御部8は、算出した各フレーム数の和が偶数であるとき、走査期間を構成するフレームの数と、休止期間を構成するフレームの数とを、当該和が奇数になるまでそれぞれ算出し直す。例えば、走査期間を構成するフレームの数を4であると算出し、一方、休止期間を構成するフレームの数を4であると算出した場合は、直ちに、前者を3、後者を4として算出し直す。言い換えると、休止駆動制御部8は、どのような制御信号を受信しようとも、走査期間を構成するフレームの数と、休止期間を構成するフレームの数との和を、奇数のままにする。すなわち、走査期間を構成するフレームの数と、休止期間を構成するフレームの数との和を偶数にする旨の指示を無視する。
【0062】
これにより、本実施形態に係る表示装置2では、走査期間を構成するフレームの数と、休止期間を構成するフレームの数との和は、常に奇数に固定され、決して偶数に変化することはない。その結果、各画素の液晶印加電圧の極性が、正極性または負極性のいずれか一方に偏ることがない状態が、常に維持される。したがって、表示パネルが焼き付きを起こさない状態も、常に維持される。
【0063】
以上のように、本実施形態に係る表示装置2には、休止駆動が実行可能であり、かつ、表示パネルに焼き付きを起こすこともないという利点がある。
【0064】
(表示パネル2aの画素)
次に、本実施形態に係る表示装置2が備える表示パネル2aの画素について説明する。
【0065】
本実施形態の表示装置2においては、表示パネル2aが備える複数の画素の各々のTFTとして、いわゆる酸化物半導体が半導体層に用いられているTFTを採用しており、特に、上記酸化物半導体として、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、および亜鉛(Zn)から構成される酸化物である、いわゆる
InGaZnOxが半導体層に用いられているTFTを採用している。以下、酸化物半導体を用いたTFTの優位性を説明する。
【0066】
(TFT特性)
図5は、酸化物半導体を用いたTFTを含む、各種TFTの特性を示す図である。この
図5では、酸化物半導体を用いたTFT、a−Si(amorphous silicon)を用いたTFT、およびLTPS(Low Temperature Poly Silicon)を用いたTFTの各々の特性を示す。
【0067】
図5において、横軸(Vgh)は、上記各TFTにおいてゲートに供給されるオン電圧の電圧値を示し、縦軸(Id)は、上記各TFTにおけるソース−ドレイン間の電流量を示す。
【0068】
特に、図中において「TFT−on」と示されている期間は、オン電圧の電圧値に応じてオン状態となっている期間を示し、図中において「TFT−off」と示されている期間は、
オフ電圧の電圧値に応じてオフ状態となっている期間を示す。
【0069】
図5に示すように、酸化物半導体を用いたTFTは、a−Siを用いたTFTよりも、オン状態の時の電子移動度が高い。
【0070】
図示は省略するが、具体的には、a−Siを用いたTFTは、そのTFT−on時のId電流が1uAであるのに対し、酸化物半導体を用いたTFTは、そのTFT−on時のId電流が20〜50uA程度である。
【0071】
このことから、酸化物半導体を用いたTFTは、a−Siを用いたTFTよりも、オン状態の時の電子移動度が20〜50倍程度高く、オン特性が非常に優れていることが分かる。
【0072】
既に説明したとおり、本実施形態の表示装置2は、このような酸化物半導体を用いたTFTを各画素に採用している。これにより、本実施形態の表示装置2は、TFTのオン特性が優れているために、より小型のTFTで画素を駆動することができるので、各画素において、TFTが占める面積の割り合いを小さくすることができる。すなわち、各画素における開口率を高め、バックライト光の透過率を高めることができる。その結果、消費電力が少ないバックライトを採用したり、バックライトの輝度を抑制したりすることができるので、消費電力を低減することができる。
【0073】
また、TFTのオン特性が優れているために、各画素に対するデータ信号の書き込み時間をより短時間化することもできるので、表示パネル2aのリフレッシュレートを容易に高くすることができる。
【0074】
また、
図5に示すように、酸化物半導体を用いたTFTは、オフ状態のときのリーク電流が、a−Siを用いたTFTよりも少ない。
【0075】
図示は省略するが、具体的には、a−Siを用いたTFTは、そのTFT−off時のId電流が10pAであるのに対し、酸化物半導体を用いたTFTは、そのTFT−off時のId電流が0.1pA程度である。
【0076】
このことから、酸化物半導体を用いたTFTは、オフ状態のときのリーク電流が、a−Siを用いたTFTの1/100程度であり、リーク電流が殆ど生じない、オフ特性が非常に優れたものであることが分かる。
【0077】
これにより、本実施形態の表示装置2は、TFTのオフ特性が優れているために、表示パネル2aの複数の画素の各々のデータ信号が書き込まれている状態を長期間維持することができるので、高い表示画質を維持しつつ、休止駆動を実行することができる。また、休止期間をより長く取ることも可能になる。
【0078】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではない。当業者は、請求項に示した範囲内において、本発明をいろいろと変更できる。すなわち、請求項に示した範囲内において、適宜変更された技術的手段を組み合わせれば、新たな実施形態が得られる。
【0079】
(極性反転周期の具体例)
表示装置2では、POL信号の極性反転周期は少なくとも1フレームであればよい。すなわち、極性反転周期は1フレームでもよいし、複数のフレームでもよい。極性反転周期が1フレームの場合、走査期間において1つのフレームごとにデータ信号の極性が反転する。したがって、フリッカの影響をより低減でき、その結果、表示品位をより高めることができる。一方、極性反転周期が複数フレームである場合、データ信号の極性反転周波数を減らせるので、表示装置2の消費電力をより低減させることができる。
【0080】
極性反転周期が複数のフレームであるとき、走査期間を構成するフレーム数、および、休止期間を構成するフレーム数は、いずれも、極性反転周期の倍数である必要がある。
【0081】
POL信号の極性反転周期の値に関わらず、休止駆動制御部8が次のように動作すれば、本発明による効果を奏することができる。まず休止駆動制御部8は、走査期間を構成するフレームの数と、休止期間を構成するフレームの数とをそれぞれ算出する。次に、各フレーム数の和が、少なくとも1つ以上の極性反転周期の倍数であるとき、当該和を当該極性反転周期で割った値である判定値を算出する。極性反転周期が1フレームの場合、判定値は当該和に等しい。したがって、和そのものを判定値として扱うことができる。
【0082】
休止駆動制御部8は、算出した判定値が奇数であるとき、算出した数のフレームからなる走査期間と、算出した数のフレームからなる休止期間とを交互に指示する制御信号を生成する。一方、算出した判定値が偶数であるとき、走査期間を構成するフレームの数と、休止期間を構成するフレームの数とを、当該判定値が奇数になるまでそれぞれ算出し直す。これらの工夫によって、表示装置2では、休止期間中の液晶印加電圧の極性が、正または負の一方に偏らない状態を常に維持することができる。
【0083】
たとえば休止駆動制御部8が、走査期間を構成するフレームの数が6であり、休止期間を構成するフレームの数が8であると算出したとする。ここで、極性反転周期は2フレームであるとする。この場合、各フレーム数の和は14であり、これは2の倍数である。したがって休止駆動制御部8は、14÷2=7を判定値として算出する。この判定値は奇数なので、休止駆動制御部8は、フレームの数が6である走査期間と、フレームの数が8である休止期間とを交互に指示する制御信号を生成し、走査線駆動回路4およびデータ線駆動回路5に出力する。このとき、各走査期間の最後のフレームにおける液晶印加電圧の極性が、走査期間ごとに反転する。したがって、休止期間中の液晶印加電圧の極性が、正または負の一方に偏ることはない。
【0084】
一方、たとえば休止駆動制御部8が、走査期間を構成するフレームの数が8であり、休止期間を構成するフレームの数が8であると算出したとする。ここで、極性反転周期は2フレームであるとする。この場合、各フレーム数の和は16であり、これは2の倍数である。したがって休止駆動制御部8は、16÷2=8を判定値として算出する。この判定値は偶数なので、休止駆動制御部8は、走査期間を構成するフレームの数と、休止期間を構成するフレームの数とを、当該判定値が奇数になるまでそれぞれ算出し直す。たとえば、前者を10、後者を8であると算出する。この場合、判定値は18÷2=9の奇数になる。
【0085】
(休止領域の具体例)
表示パネル2aの画面における休止領域は、例えば、画面の半分の領域であったり、または、全ての領域であったりする。休止領域が画面における全ての領域である場合、休止期間において、画面内の全ての走査線Gに対する走査信号の出力が停止する。したがって、表示装置2の消費電力をよりいっそう低減することができる。
【0086】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0087】
<まとめ>
本発明の一態様に係る表示装置は、
複数の走査線と、上記複数の走査線に交差する複数のデータ線と、当該複数の走査線および当該複数のデータ線の各交差点近傍に個別に設けられた複数の画素とを備えた表示パネルと、
上記表示パネルの画面における全ての領域を走査する走査期間を構成するフレームの数と、上記画面における少なくとも一部の領域を走査しない休止期間を構成するフレームの数とをそれぞれ算出するフレーム数算出部と、
上記走査期間と上記休止期間とを交互に指示する制御信号を出力する制御信号出力部と、
上記各データ線に出力されるデータ信号の極性を指示する極性指示信号を、1つのフレームごとに当該極性指示信号の極性を反転させながら出力する極性指示信号出力部と、
各上記走査期間内の各上記フレームにおいて、当該フレーム時に入力された上記極性指示信号の極性に基づく極性の上記データ信号を、上記各データ線に出力する駆動回路とを備えており、
上記走査期間を構成するフレームの数と、上記休止期間を構成するフレームの数との和が偶数であるとき、上記フレーム数算出部は、上記走査期間を構成するフレームの数と、上記休止期間を構成するフレームの数とを、
当該和が奇数になるまでそれぞれ算出し直すことを特徴としている。
【0088】
上記の構成によれば、本発明の一態様に係る表示装置は、いわゆる休止駆動を実行する。具体的には、走査期間内の各フレームにおいては、表示パネルの画面における全ての領域を走査するが、休止期間内の各フレームにおいては、当該画面における少なくとも一部の領域を走査しない。これにより、休止期間における表示装置の電力消費量が、走査期間におけるそれよりも大幅に低減する。したがって、本発明の一態様に係る表示装置では、休止駆動を実行しない表示装置に比べて、より低い電力で動作することができる。
【0089】
また、上記の構成によれば、駆動回路は、走査期間内の各フレームにおいて、極性指示信号の極性に応じた極性のデータ信号を、各データ線に出力する。ここで、極性指示信号の極性は、1つのフレームごとに反転する。したがって、駆動回路は、走査期間内において各データ線にデータ信号を出力する際、1つのフレームごとにその極性を反転させる。
【0090】
走査期間を構成するフレームの数と、休止期間を構成するフレームの数との和が、奇数であるとき、各走査期間内の最初のフレームにおいてデータ線に出力されるデータ信号の極性は、走査期間ごとに反転する。そのため、各走査期間内の最後のフレームにおいてデータ線に出力されるデータ信号の極性も、走査期間ごとに反転する。休止期間中の画素においては、当該休止期間の直前に位置する走査期間内の最後のフレームにおいてデータ線に出力されるデータ信号の極性と同じ極性の電圧が、画素電極に保持される。したがって、上記の構成によれば、各休止期間中の画素において保持される画素電極の極性は、休止期間ごとに反転することになる。そのため、表示装置が動作を続けても、各画素の画素電極にの極性は、正または負のいずれか一方に偏ることはない。
【0091】
ここで、上記の構成によれば、表示装置は、走査期間を構成するフレームの数と、休止期間を構成するフレームの数との和が偶数であるとき、走査期間を構成するフレームの数と、休止期間を構成するフレームの数とを、判定値が奇数になるまでそれぞれ算出し直す。したがって、当該和が偶数のときに制御信号出力部が制御信号を出力することを防止できる。言い換えると、制御信号出力部は、常に、走査期間を構成するフレームの数と、休止期間を構成するフレームの数との和が奇数となるフレーム数の走査期間と休止期間とをそれぞれ指示する制御信号を出力する。その結果、各画素における画素電極に極性が正極性または負極性のいずれか一方に偏ることがない状態が、常に維持される。したがって、画素における電荷の偏りが生じることはないので、表示パネルが焼きつきを起こすこともない。
【0092】
以上のように、本発明の一態様に係る表示装置によれば、休止駆動が実行可能であり、かつ、表示パネルに焼き付きを起こすことがないという効果を奏する。
【0093】
本発明の一態様に係る表示装置の駆動方法は、
複数の走査線と、上記複数の走査線に交差する複数のデータ線と、当該複数の走査線および当該複数のデータ線の各交差点近傍に個別に設けられた複数の画素とを備えた表示パネルを備えた表示装置の駆動方法であって、
上記表示パネルの画面における全ての領域を走査する走査期間を構成するフレームの数と、上記画面における少なくとも一部の領域を走査しない休止期間を構成するフレームの数とをそれぞれ算出するフレーム数算出工程と、
上記走査期間と上記休止期間とを交互に指示する制御信号を出力する制御信号出力工程と、
上記各データ線に出力されるデータ信号の極性を指示する極性指示信号を、1つのフレームごとに当該極性指示信号の極性を反転させながら出力する極性指示信号出力工程と、
各上記走査期間内の各上記フレームにおいて、当該フレーム時に入力された上記極性指示信号の極性に基づく極性の上記データ信号を、上記各データ線に出力する駆動工程とを備えており、
上記走査期間を構成するフレームの数と、上記休止期間を構成するフレームの数との和が偶数であるとき、上記フレーム数算出工程において、上記走査期間を構成するフレームの数と、上記休止期間を構成するフレームの数とを、
当該和が奇数になるまでそれぞれ算出し直すことを特徴としている。
【0094】
上記の構成によれば、本発明の一態様に係る表示装置と同様の作用効果を奏する。
【0095】
本発明の一態様に係る表示装置は、
複数の走査線と、上記複数の走査線に交差する複数のデータ線と、当該複数の走査線および当該複数のデータ線の各交差点近傍に個別に設けられた複数の画素とを備えた表示パネルと、
上記表示パネルの画面における全ての領域を走査する走査期間を構成するフレームの数と、上記画面における少なくとも一部の領域を走査しない休止期間を構成するフレームの数とをそれぞれ算出するフレーム数算出部と、
上記走査期間を構成するフレームの数と、上記休止期間を構成するフレームの数との和が、2以上である極性反転周期の倍数であるとき、当該和を当該極性反転周期で割った値である判定値を算出する判定値算出部と、
上記走査期間と上記休止期間とを交互に指示する制御信号を出力する制御信号出力部と、
上記各データ線に出力されるデータ信号の極性を指示する極性指示信号を、上記極性反転周期の上記フレームごとに当該極性指示信号の極性を反転させながら出力する極性指示信号出力部と、
各上記走査期間内の各上記フレームにおいて、当該フレーム時に入力された上記極性指示信号の極性に基づく極性の上記データ信号を、上記各データ線に出力する駆動回路とを備えており、
上記判定値算出部によって算出された上記判定値が偶数であるとき、上記フレーム数算出部は、上記走査期間を構成するフレームの数と、上記休止期間を構成するフレームの数とを、上記判定値が奇数になるまでそれぞれ算出し直すことを特徴としている。
【0096】
上記の構成によれば、本発明の一態様に係る表示装置は、いわゆる休止駆動を実行する。具体的には、走査期間内の各フレームにおいては、表示パネルの画面における全ての領域を走査するが、休止期間内の各フレームにおいては、当該画面における少なくとも一部の領域を走査しない。これにより、休止期間における表示装置の電力消費量が、走査期間におけるそれよりも大幅に低減する。したがって、本発明の一態様に係る表示装置では、休止駆動を実行しない表示装置に比べて、より低い電力で動作することができる。
【0097】
また、上記の構成によれば、駆動回路は、走査期間内の各フレームにおいて、極性指示信号の極性に応じた極性のデータ信号を、各データ線に出力する。ここで、極性指示信号の極性反転周期は複数である。言い換えると、極性指示信号の極性は、複数のフレームごとに反転する。したがって、駆動回路は、走査期間内において各データ線にデータ信号を出力する際、複数のフレームごとにその極性を反転させる。
【0098】
走査期間を構成するフレームの数と、休止期間を構成するフレームの数との和が、極性反転周期の倍数であり、かつ、当該和を極性反転周期で割った値が奇数であるとき、各走査期間内の最初のフレームにおいてデータ線に出力されるデータ信号の極性は、走査期間ごとに反転する。そのため、各走査期間内の最後のフレームにおいてデータ線に出力されるデータ信号の極性も、走査期間ごとに反転する。休止期間中の画素においては、当該休止期間の直前に位置する走査期間内の最後のフレームにおいてデータ線に出力されるデータ信号の極性と同じ極性の電圧が、画素電極に保持される。したがって、上記の構成によれば、各休止期間中の画素において保持される画素電極の極性は、休止期間ごとに反転することになる。そのため、表示装置が動作を続けても、各画素の画素電極にの極性は、正または負のいずれか一方に偏ることはない。
【0099】
ここで、上記の構成によれば、表示装置は、算出した判定値が偶数であるとき、走査期間を構成するフレームの数と、休止期間を構成するフレームの数とを、判定値が奇数になるまでそれぞれ算出し直す。したがって、判定値が偶数のときに制御信号出力部が制御信号を出力することを防止できる。言い換えると、制御信号出力部は、常に、判定値が奇数となるフレーム数の走査期間と休止期間とをそれぞれ指示する制御信号を出力する。その結果、各画素における画素電極に極性が正極性または負極性のいずれか一方に偏ることがない状態が、常に維持される。したがって、画素における電荷の偏りが生じることはないので、表示パネルが焼きつきを起こすこともない。
【0100】
以上のように、本発明の一態様に係る表示装置によれば、休止駆動が実行可能であり、かつ、表示パネルに焼き付きを起こすことがないという効果を奏する。
【0101】
本発明の一態様に係る表示装置の駆動方法は、
複数の走査線と、上記複数の走査線に交差する複数のデータ線と、当該複数の走査線および当該複数のデータ線の各交差点近傍に個別に設けられた複数の画素とを備えた表示パネルを備えた表示装置の駆動方法であって、
上記表示パネルの画面における全ての領域を走査する走査期間を構成するフレームの数と、上記画面における少なくとも一部の領域を走査しない休止期間を構成するフレームの数とをそれぞれ算出する
フレーム数算出工程と、
上記走査期間を構成するフレームの数と、上記休止期間を構成するフレームの数との和が、2以上である極性反転周期の倍数であるとき、当該和を当該極性反転周期で割った値である判定値を算出する判定値算出工程と、
上記判定値が奇数であるとき、上記走査期間と上記休止期間とを交互に指示する制御信号を出力する制御信号出力工程と、
上記各データ線に出力されるデータ信号の極性を指示する極性指示信号を、上記極性反転周期の上記フレームごとに当該極性指示信号の極性を反転させながら出力する極性指示信号出力工程と、
各上記走査期間内の各上記フレームにおいて、当該フレーム時に入力された上記極性指示信号の極性に基づく極性の上記データ信号を、上記各データ線に出力する駆動工程とを備えており、
上記判定値算出工程において算出された上記判定値が偶数であるとき、上記フレーム数算出工程において、上記走査期間を構成するフレームの数と、上記休止期間を構成するフレームの数とを、上記判定値が奇数になるまでそれぞれ算出し直すことを特徴としている。
【0102】
上記の構成によれば、本発明の一態様に係る表示装置と同様の作用効果を奏する。
【0103】
本発明の一態様に係る表示装置では、さらに、
表示装置の外部から入力される、上記走査期間を構成するフレームの数を示す情報と、上記休止期間を構成するフレームの数を示す情報とを含んだ指示信号を受信する指示信号受信部をさらに備えており、
上記フレーム数算出部は、上記制御信号に基づき、上記走査期間を構成するフレームの数と、上記休止期間を構成するフレームの数とを算出することが好ましい。
【0104】
上記の構成によれば、表示装置が実行する休止駆動を外部から制御できる。
【0105】
本発明の一態様に係る表示装置では、さらに、
表示装置の外部から入力される映像信号を受信する映像信号受信部をさらに備えており、
上記フレーム数算出部は、上記映像信号に基づき、上記走査期間を構成するフレームの数と、上記休止期間を構成するフレームの数とを算出することが好ましい。
【0106】
上記の構成によれば、映像信号に応じて最適な休止駆動を実行できる。
【0107】
本発明の一態様に係る表示装置では、さらに、
上記走査期間を構成するフレームの数を表す第1の情報と、上記休止期間を構成するフレームの数を表す第2の情報とを格納している記憶部をさらに備えており、
上記算出部は、上記第1の情報および第2の情報に基づき、上記走査期間を構成するフレームの数と、上記休止期間を構成するフレームの数とを算出することが好ましい。
【0108】
上記の構成によれば、記憶部にあらかじめ格納されている第1の情報および第2の情報に応じて、最適な休止駆動を実行できる。
【0109】
本発明の一態様に係る表示装置では、さらに、
上記少なくとも一部の領域は、上記画面における全ての領域であることが好ましい。
【0110】
上記の構成によれば、表示装置の消費電力をよりいっそう低減できる。
【0111】
本発明の一態様に係る表示装置では、前記複数の画素の各々のTFTの半導体層には、酸化物半導体が用いられていることが好ましい。特に、上記酸化物半導体は、
インジウム、ガリウム、および亜鉛から構成される酸化物であることが好ましい。
【0112】
上記の構成によれば、複数の画素の各々のTFTのオフ特性が優れているために、表示パネルの複数の画素に各々のデータ信号が書き込まれている状態を長期間維持することができるので、高い表示画質を維持しつつ、休止駆動を実行することができる。また、休止期間をより長く取ることも可能になる。
【0113】
本発明の一態様に係る表示装置は、液晶表示装置であることが好ましい。
【0114】
上記の構成によれば、休止駆動が実行可能であり、かつ、表示パネルに焼き付きを起こすことがない液晶表示装置を実現することができる。