(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記光電変換素子の一方の端子に上記光電変換素子の他方の端子と同じ電位を与えることにより、上記光電変換素子の両端子間のバイアス電圧をゼロにするゼロバイアス部をさらに備え、
上記第2のトランジスタは上記光電変換素子の一方の端子に与える電位を発生することを特徴とする請求項2に記載の光センサ。
前記電源電圧に依存せずに上記端子間電圧によって駆動されることにより上記電流増幅器に入力される第2の補助電流を発生する副電流源をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の光センサ。
上記定電圧回路は、上記第1端子と上記第2端子との間に、上記ダイオードと直列に接続される抵抗をさらに有しており、当該抵抗と上記ダイオードとの間から上記一定電圧を出力することを特徴とする請求項8に記載の光センサ。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[実施形態1]
本発明に係る実施形態1について、
図1を参照して以下に説明する。
【0018】
図1は、本実施形態に係る受光センサ1の構成を示す回路図である。
【0019】
〔受光センサの構成〕
図1に示すように、受光センサ1(光センサ)は、受光素子11および外付け抵抗RLを備えている。
【0020】
受光素子11は、2個の端子T1,T2、検出信号生成部21および第1の電流源CS1を有している。受光素子11は、光入力時に回路電流を変動することにより、一方の端子T2の固定電位に対して他方の端子T1の電位を変動して検出信号を出力する2端子型の光検出回路である。
【0021】
〈端子の構成〉
端子T1(第1端子)は、検出信号を出力する出力端子と電源電圧Vccが印加される電源端子とを兼ねており、外付け抵抗RLを介して電源ラインに接続されている。端子T2(第2端子)は、接地用の端子であり、グランドラインに接続されて、接地電位(固定電位)が付与されている。
【0022】
なお、端子T1を固定電位が付与される端子とし、端子T2を電位が変動する端子としてもよい。
【0023】
受光素子11は、図示しない発光素子からの光を、直接受けるか、または物体からの反射光として受けて、当該光を電気信号(検出信号)に変換して出力する回路である。
【0024】
〈検出信号生成部の構成〉
検出信号生成部21は、フォトダイオードPD、抵抗R1,R2、トランジスタTr1〜Tr5(MOSトランジスタ)および第1のカレントミラー回路CM1を有している。
【0025】
フォトダイオードPDは、入力される光を受けて光電流Ipdを流す光電変換素子である。このフォトダイオードPDは、アノードが端子T2に接続されている。
【0026】
なお、検出信号生成部21は、光電変換素子としてフォトダイオードPDを有しているが、フォトダイオードPDの代わりにフォトトランジスタを有していてもよい。
【0027】
第1のカレントミラー回路CM1は、1組のトランジスタTr11,Tr12(MOSトランジスタ)を有している。入力側のトランジスタTr11のドレインは、フォトダイオードPDのカソードおよびトランジスタTr11のゲートに接続されている。また、トランジスタTr11のソースは、端子T1に接続されている。出力側のトランジスタTr12のドレインは、抵抗R1の一端およびトランジスタTr1のゲートに接続されている。また、トランジスタTr12のソースは端子T1に接続されている。
【0028】
第1のカレントミラー回路CM1は、トランジスタTr11に入力されたnAオーダーの電流を増幅してμAオーダーの電流をトランジスタTr12へ出力する。このため、第1のカレントミラー回路CM1は、トランジスタTr11,Tr12のサイズの比が電流増幅率に応じて設定されている。
【0029】
抵抗R1の他端およびトランジスタTr1のソースは端子T2に接続されている。トランジスタTr1のドレインは、トランジスタTr2のドレインおよびトランジスタTr4のゲートに接続されている。トランジスタTr2のソースはトランジスタTr3のドレインに接続されるとともに、トランジスタTr2のゲートはトランジスタTr1のゲートに接続されている。トランジスタTr1,Tr2は、このように接続されることによりインバータを形成している。
【0030】
トランジスタTr3のソースは端子T1に接続されるとともに、トランジスタTr3のゲートはトランジスタTr3のドレインに接続されている。これにより、トランジスタTr3はダイオードとして機能する。
【0031】
トランジスタTr4(電流制御部,第1のトランジスタ)のソースは端子T2に接続され、トランジスタTr4のドレインはトランジスタTr5のソースに接続されている。トランジスタTr5のドレインは端子T1に接続され、トランジスタTr5のゲートはトランジスタTr4のゲートおよび抵抗R2の一端に接続されている。抵抗R2の他端は端子T1に接続されている。
【0032】
〈第1の電流源の構成〉
第1の電流源CS1は、抵抗R11およびトランジスタTr13,Tr14(MOSトランジスタ)を有している。トランジスタTr13,Tr14は、トランジスタTr4,Tr5と同じnchMOSトランジスタで構成されている。
【0033】
トランジスタTr13(第2のトランジスタ)のソースは端子T2に接続され、トランジスタTr13のドレインは、トランジスタTr13のゲートおよび抵抗R11の一端に接続されている。抵抗R11の他端は、端子T1に接続されている。トランジスタTr14のゲートは、トランジスタTr13のゲートに接続されている。また、トランジスタTr14のソースは端子T2に接続され、トランジスタTr14のドレインはフォトダイオードPDのカソードに接続されている。
【0034】
第1の電流源CS1は、このように構成されることにより、フォトダイオードPDと並列に設けられている。
【0035】
〔受光センサの動作〕
上記のように構成される受光センサ1の動作を説明する。
【0036】
〈基本動作〉
フォトダイオードPDは、光が入力されると、光電流Ipdを流す。この光電流Ipdは、第1のカレントミラー回路CM1によって増幅されて抵抗R1に流れ、抵抗R1によって電圧に変換される。
【0037】
このため、トランジスタTr1,Tr2のゲートの電位が変動する。そこで、光電流Ipdが一定値以上になると上記のゲート電位がインバータのスレッシュホールド電圧を越えるように抵抗R1の抵抗値を設定しておく。
【0038】
光入力時に抵抗R1に流れる電流が電圧に変換されるとき、トランジスタTr1,Tr2によって構成されるインバータのスレッシュホールド電圧を超える光が入力されていると、トランジスタTr2がオフし、トランジスタTr1がオンする。これにより、トランジスタTr4がオフするので、トランジスタTr4の電流(端子間電流)の流れが停止して、端子T1,T2(2端子)の間の電圧(電位差)が上昇する。
【0039】
一方、入力光量が減少することにより光電流Ipdが減少するときは、第1のカレントミラー回路CM1で増幅される電流が減少するので、抵抗R1の端子間電圧が低下する。トランジスタTr1,Tr2のゲート−ソース間電圧がインバータのスレッシュホールド電圧にまで低下すると、トランジスタTr1がオンした状態で、トランジスタTr2がオンする。これにより、トランジスタTr4がオンするので、上記の2端子間の電圧が低下する。
【0040】
このように、トランジスタTr4のオフ/オンに応じて2端子間の電圧が昇降する。したがって、光入力があるときに端子T1,T2に検出出力として現れる検出信号がハイレベル電圧となり、光入力がないときの検出信号がローレベル電圧となる。具体的には、光入力がある場合には、光電流IpdとトランジスタTr1の駆動電流とによって、2端子間では微小な電圧降下が生じるだけである。一方、光入力がない場合には、受光素子11の出力電流はトランジスタTr4の駆動電流で決まり、この出力電流による電圧降下によって受光素子11の出力電圧がローレベルとなる。受光素子11の出力電圧のハイレベルとローレベルとの電圧差が大きいほど検出能力が向上するため、トランジスタTr4の駆動電流を大きくすることで光電流の影響が軽減される。
【0041】
また、トランジスタTr4のオン/オフ時は、必ずトランジスタTr1またはトランジスタTr2のいずれかがオン動作する。これにより、トランジスタTr4は、より高速で動作することが可能となる。したがって、受光センサ1の応答速度を向上させることができる。
【0042】
また、トランジスタTr4のオン/オフ時は、必ずトランジスタTr1がオン動作するか、もしくはトランジスタTr1,Tr2がともにオン動作する。これにより、トランジスタTr4は、より高速で動作することが可能となる。したがって、受光センサ10の応答速度を向上させることができる。
【0043】
なお、受光素子11において、抵抗R1の端子間電圧に依存してトランジスタTr2をスイッチングさせる必要があるため、トランジスタTr2のソース電圧を下げておく必要がある。つまり、第1のカレントミラー回路CM1のソース−ドレイン間電圧に依存して、トランジスタTr2がスイッチングするのを防ぐ必要がある。このため、ダイオードとして機能するトランジスタTr3がトランジスタTr2とに直列に配置されている。
【0044】
また、これにより、上記の2端子間の電圧の下降および上昇に伴って、インバータの動作点を、受光素子11の出力電圧がハイレベルからローレベルに変動するときと、当該出力電圧がローレベルからハイレベルに変動するときとで異ならせることができる。したがって、ヒステリシス特性を得ることが可能となる。
【0045】
〈応答速度の低下防止〉
上記のように、トランジスタTr1,Tr2がインバータを構成することにより、トランジスタTr4が高速でスイッチング動作することができる。しかしながら、2端子間の電位差が小さくなるとき、トランジスタTr2のゲート−ドレイン間では、トランジスタTr4がスイッチング動作してから徐々に電位差が小さくなるので、電流が減少する。このため、受光素子11の応答速度が徐々に低下していく。
【0046】
そこで、このような不都合を回避することができるように、受光素子11では、抵抗R2が設けられている。これにより、2端子間の電圧の低下が抵抗R2で補助されるので、応答速度の低下を防ぐことが可能となる。
【0047】
ところで、受光素子11の検出信号生成部21における各トランジスタをMOSトランジスタで構成すれば、ドーズ量を調整することにより、トランジスタの動作スレッシュホールドレベルを変えることが可能である。例えば、2端子間の電位差を生じさせるために電流を発生させるトランジスタ(受光素子11においてはトランジスタTr4)の動作スレッシュホールドレベルを0.7Vより低く設定しておく。これは、通常、受光センサ1の検出信号を受けるデバイスがダイオード電圧である0.7V以上にスレッシュホールドレベルを設けるためである。
【0048】
これにより、2端子間の電位差をより大きくすることができる。したがって、受光素子11の動作範囲を広げることができる。
【0049】
〈リーク電流の減少〉
受光素子11において、スレッシュホールドレベルの低いトランジスタを用いた場合、高温におけるトランジスタTr4のオフ時にリーク電流が生じることが懸念される。このようなリーク電流が生じると、本来、2端子間の電位差が上昇するときに、2端子間の電位差が低下してしまうという不都合が生じる。
【0050】
そこで、このような不都合を回避することができるように、トランジスタTr4と縦続接続されるトランジスタTr5が設けられている。これにより、トランジスタTr4のドレイン電圧を下げると、オフ時のリーク電流を1/10以上に減少させることが可能となる。それゆえ、トランジスタTr4のオフ時のリーク電流を大幅に減少させることができる。特に、スイッチング動作するトランジスタTr4は、大電流を流すために、大きいサイズに形成される必要があるので、リーク電流がそれだけ大きくなりやすい。したがって、2端子間の電位差の上昇時に2端子間の電位差の低下を抑制することができる。
【0051】
ところで、トランジスタTr1は、スレッシュホールドレベルの温度特性の変動が大きいと、誤動作する可能性がある。これは、MOSトランジスタのスレッシュホールドレベルが高温で低下することによる。一方、電流−電圧変換に用いる抵抗は、例えば拡散抵抗を用いると、抵抗値が高温で上昇するため、感度に大きな温度特性を生じてしまう。
【0052】
そこで、受光素子11は、このような不都合を回避することができるように、抵抗R1(バイアス抵抗)が負の温度特性を有する抵抗(例えばポリシリコン抵抗)で構成されている。これにより、MOSトランジスタであるトランジスタTr1の温度特性と抵抗R1の温度特性とを相殺することが可能となる。したがって、受光素子11の温度特性の変動を抑制することができる。
【0053】
〔実施形態の効果〕
受光センサ1は、フォトダイオードPDに光が入力されると、前述のように動作することにより、端子T1の電位が、電源電圧Vccとほぼ同じ値となる。ただし、光電流Ipdにより、微小な電圧降下は発生する。ここで、一定以上の光量を有する光が入力されると、抵抗R1での電圧上昇により、トランジスタTr12の動作電流が制限されるので、電圧降下は制限されている。
【0054】
一方、受光センサ1は、フォトダイオードPDへの入力光の光量が減少すると、前述のように動作することにより、端子T1,T2の間の電圧(端子間電圧)がトランジスタTr4のスレッシュホールド電圧で決まる電圧まで低下する。したがって、端子間電圧は、電源電圧Vccから上記のスレッシュホールド電圧を減じた値となる。
【0055】
このように、光検出動作時には、トランジスタTr4を光電流に依存してスイッチング制御すれば、2端子間の最大電位差が、トランジスタTr4のスレッシュホールド電圧に基づいて定まる。したがって、このスレッシュホールド電圧を0.5V以下に低くすることにより、端子間電位差を、電源電圧Vcc(固定電位)からスレッシュホールド電圧(0.5V以下)を減じた広い範囲に設定することができる。
【0056】
また、受光センサ1は、フォトダイオードPD自身の有する容量等により、光電流Ipdをオン/オフするときに、動作遅延が起きるので、応答特性が悪くなりえる。このため、受光センサ1では、第1の電流源CS1がフォトダイオードPDと並列に配置されている。これにより、常に第1のカレントミラー回路CM1に電流が供給されるので、受光センサ1の応答特性を改善することができる。
【0057】
上記の第1の電流源CS1は、外付け抵抗RLに接続される抵抗R11を有しているので、トランジスタTr13,Tr14が、電源電圧Vccにより外付け抵抗RLおよび抵抗R11を介して駆動される。これにより、光無入力時であっても、第1の電流源CS1の動作を維持することができる。それゆえ、受光センサ1の検出動作を安定して行うことができる。
【0058】
なお、第1の電流源CS1による上記の効果については、次に説明する受光センサ101との比較に基づいて後に詳しく説明する。
【0059】
〔比較例〕
本実施形態の比較例について、
図2を参照して以下に説明する。
【0060】
図2は、本比較例に係る受光センサ101の構成を示す回路図である。
【0061】
〈光センサの構成〉
図2に示すように、受光センサ101は、前述の受光センサ1と同様、外付け抵抗RLを備えているが、受光素子11に代えて受光素子102を備えている。この受光素子102は、受光素子11と同様、2個の端子T1,T2と、検出信号生成部21とを有しており、さらにバンドギャップ電流源BGを有している。
【0062】
バンドギャップ電流源BG(副電流原)は、フォトダイオードPDと並列に配置されている。このバンドギャップ電流源BGは、トランジスタTr31,Tr32(バイポーラトランジスタ)、Tr33〜Tr38(MOSトランジスタ)、抵抗R31などを有している。
【0063】
トランジスタTr31,Tr32および抵抗R31からなる回路は、バンドギャップ電流を発生する。トランジスタTr31は、エミッタが抵抗R31を介して端子T2に接続され、コレクタとベースとが互いに接続されている。また、トランジスタTr31のコレクタは、カレントミラー定電流回路を構成するトランジスタTr33を介して端子T1に接続されている。一方、トランジスタTr32は、エミッタが端子T2に接続され、コレクタがカレントミラー定電流回路を構成する他のトランジスタTr34を介して端子T1に接続されている。
【0064】
トランジスタTr37のソースは端子T2に接続され、トランジスタTr37のドレインは、トランジスタTr37のゲートに接続されるとともに、カレントミラー定電流回路を構成するさらに他のトランジスタTr36を介して端子T1に接続されている。トランジスタTr36は、トランジスタTr35とカレントミラー定電流回路を構成している。
【0065】
トランジスタTr38のソースは端子T2に接続され、トランジスタTr38のゲートはトランジスタTr37のゲートに接続され、トランジスタTr38のドレインはフォトダイオードPDのカソードに接続されている。トランジスタTr38は、トランジスタTr37とカレントミラー回路を構成している。
【0066】
上記のように構成されるバンドギャップ電流源BGは、トランジスタTr38に流れる電流を、常に第1のカレントミラー回路CM1に供給している。これにより、端子T1,T2の間の電圧(端子間電圧)の最小値を調整すれば、光非入力時にも第1のカレントミラー回路CM1を完全にオフすることなく動作させることが可能となる。これにより、光感度を上げるだけでなく、光入力によるオン/オフ動作を速くすることができる。したがって、受光センサ101の応答速度を高めることができる。
【0067】
〔動作比較〕
ここで、受光センサ1,101の動作(シミュレーション)の比較について説明する。
【0068】
図3の(a)は受光センサ101の動作のシミュレーションによる入力光の波形および検出信号の波形を示す波形図であり、
図3の(b)は受光センサ1の動作のシミュレーションによる入力光の波形および検出信号の波形を示す波形図である。
【0069】
受光センサ101は、光電流Ipdにより、トランジスタTr4のスイッチングを制御するとき、例えば通常の動作状態(10mAの発光電流の光の入力時)では、100nAの光電流Ipdを受光電流として流す。また、受光センサ101において、弱い光が入力される場合(0.8mAといった微小な発光電流の光の入力時)、8nA程度の光電流Ipdが受光電流として流れる。この場合、トランジスタTr4は、印加される電圧がスレッシュホールド電圧に達すれば、スイッチングする。
【0070】
このため、受光センサ101は、
図3の(a)に示すように、発光電流が0.8mA(800μA)である場合、トランジスタTr4の駆動ノイズにより、検出信号が瞬間的にハイレベルに変動し、安定するとローレベルに戻る動作を繰り返すことがある。このような発振(チャタリング)現象は、入力光が変動したときや、入力光の光量が低下したときなどに生じやすく、受光センサ101が誤検出してしまう。
【0072】
例えば、受光センサ101において、光が入力していない状態では、端子T1,T2の間の電圧がローレベルであるときに動作するトランジスタTr4,Tr5のスレッシュホールド電圧が0.5V以下といった低い電圧であるとする。この場合、
図3の(a)に示すように、端子T1,T2の間に現れる検出信号(ローレベル電圧)も同様に0.5V以下といった低い電圧となる。
【0073】
また、バンドギャップ電流源BGは、トランジスタTr31,Tr32がバイポーラトランジスタであることから、トランジスタTr31,Tr32のベース−エミッタ間電圧VBEとして0.7Vが必要である。したがって、光が入力していない状態では、受光センサ101において、バンドギャップ電流源BGだけでなく、フォトダイオードPD、第1のカレントミラー回路CM1、抵抗R1およびトランジスタTr1〜Tr3を含む光非入力時非動作部103が動作していない。
【0074】
このような微小な光電流Ipdが流れる状態では、第1のカレントミラー回路CM1の動作が開始するときに生じる瞬間的なノイズ成分が、第1のカレントミラー回路CM1におけるトランジスタTr11,Tr12のソースを介して端子T1に現れる。このため、瞬間的に端子T1がハイレベルで安定する状態となり、誤動作を引き起こす。その後、トランジスタTr4のスイッチングノイズが低下することで検出信号がローレベルに低下し、光非入力時非動作部103が再び非動作となり、第1のカレントミラー回路CM1もオフする。そして、微小な光電流Ipdのために上記の動作を繰り返すことにより、信号発振現象が生じる。
【0075】
これに対し、受光センサ1では、第1の電流源CS1が、トランジスタTr4,Tr5と同じnchMOSトランジスタで構成されるトランジスタTr13,Tr14を有している。これにより、トランジスタTr13,Tr14のスレッシュホールド電圧(動作電圧)をトランジスタTr4,Tr5と同一にすることができる。それゆえ、第1の電流源CS1は、端子T1,T2に現れる検出信号がローレベルであっても、外付け抵抗RLを介して電源電圧Vccによって駆動される。したがって、第1のカレントミラー回路CM1は、第1の電流源CS1から電流が供給されるので、動作を維持することができる。この状態では、受光センサ1において、トランジスタTr1〜Tr3からなる光非入力時非動作部22のみが動作していない。
【0076】
よって、受光センサ1は、
図3の(b)に示すように、発光電流が0.8mA(800μA)である場合、トランジスタTr4の駆動ノイズにより、検出信号が瞬間的にハイレベルに変動しても、第1のカレントミラー回路CM1が動作を維持し続ける。これにより、第1のカレントミラー回路CM1のスイッチングノイズを低減することができる。この結果、
図3の(b)に示すように、発振現象が抑制されるので、本実施形態の受光センサ1は有益である。
【0077】
〔変形例〕
本実施形態の変形例について、
図4を参照して以下に説明する。
【0078】
図4は、本変形例に係る受光センサ1Aの構成を示す回路図である。
【0079】
〈光センサの構成〉
図4に示すように、受光センサ1Aは、前述の受光センサ1と同様、外付け抵抗RLを備えているが、受光素子11に代えて受光素子11Aを備えている。この受光素子11Aは、受光素子11と同様、2個の端子T1,T2と、検出信号生成部21とを有しており、第1の電流源CS1に代えて、第1の電流源CS11を有している。
【0080】
第1の電流源CS11は、抵抗R12およびトランジスタTr16,Tr17(pchMOSトランジスタ)を有している。
【0081】
トランジスタTr16(第2のトランジスタ)のソースは端子T1に接続され、トランジスタTr16のドレインは、トランジスタTr16のゲートおよび抵抗R12の一端に接続されている。抵抗R12の他端は、端子T2に接続されている。トランジスタTr17のゲートは、トランジスタTr16のゲートに接続されている。また、トランジスタTr17のソースは端子T1に接続され、トランジスタTr17のドレインは、第1のカレントミラー回路CM1におけるトランジスタTr12のドレインと同様、抵抗R1の一端およびトランジスタTr1のゲートに接続されている。
【0082】
第1の電流源CS11は、このように構成されることにより、第1のカレントミラー回路CM1と並列に設けられている。
【0083】
上記のように構成される受光センサ1Aにおいては、第1の電流源CS11が第1のカレントミラー回路CM1と並列に配置されている。これにより、常に抵抗R1(電圧変換抵抗)に電流が供給されるので、前述の第1の電流源CS1と同様、受光センサ1の応答特性を改善することができる。
【0084】
上記の第1の電流源CS11は、トランジスタTr16を介して外付け抵抗RLに接続される抵抗R12を有しているので、トランジスタTr16,Tr17が、電源電圧Vccにより外付け抵抗RLおよび抵抗R12によって駆動される。これにより、光無入力時であっても、第1の電流源CS11の動作を維持することができる。それゆえ、第1のカレントミラー回路CM1にスイッチングノイズが生じても、抵抗R1に生じる電圧変動が抑えられるため、受光センサ1Aの検出動作を安定して行うことができる。
【0085】
[実施形態2]
本発明に係る実施形態2について、
図5を参照して以下に説明する。
【0086】
図5は、本実施形態に係る受光センサ2の構成を示す回路図である。
【0087】
なお、本実施形態において、前述の実施形態1における構成要素と同等の機能を有する構成要素については、同等の符号を付記してその説明を省略する。
【0088】
前述の受光センサ1においては、応答特性を改善するために、第1の電流源CS1がフォトダイオードPDと並列に配置されている。しかしながら、このような構成では、第1の電流源CS1の電流に生じるばらつきにより、受光センサ1の光感度特性が変動する。このため、受光センサ1の信号応答速度が低下することが懸念される。
【0089】
そこで、本実施の形態では、フォトダイオードPDのアノードとカソードとの間を常にゼロバイアスとすることにより、第1の電流源CS1の電流による影響を受けなくするように構成している。
【0090】
〔受光センサの構成〕
図5に示すように、受光センサ2(光センサ)は、受光素子12および外付け抵抗RLを備えている。
【0091】
受光素子12は、前述の受光センサ1における受光素子11と同様、2個の端子T1,T2、検出信号生成部21および第1の電流源CS1を有している。また、受光素子12は、さらにゼロバイアス回路23を有している。
【0092】
ゼロバイアス回路23(ゼロバイアス部)は、トランジスタTr13,Tr15からなる。トランジスタTr15のドレインは、第1のカレントミラー回路CM1におけるトランジスタTr11のドレインと接続されている。トランジスタTr15のソースは、フォトダイオードPDのカソードおよびトランジスタTr14のドレインに接続されている。トランジスタTr15のゲートは、第1の電流源CS1におけるトランジスタTr13のゲートに接続されている。トランジスタTr13,Tr15は、ゲート同士が接続されることにより、カレントミラー回路を構成している。
【0093】
〔受光センサの動作〕
上記のように構成される受光センサ2において、トランジスタTr13のソースの電位がGND電位(接地電位)であり、トランジスタTr13,Tr15のゲートの電位がゲート電位である。これにより、トランジスタTr15のソースの電位もGND電位となる。
【0094】
したがって、フォトダイオードPDのアノード−カソード間の電位差が0となる。また、トランジスタTr15において、ソース信号がそのままドレイン信号となるので、信号の伝送には何ら問題はない。
【0095】
〔実施形態の効果〕
上記のように、受光センサ2は、ゼロバイアス回路23によって、フォトダイオードPDのバイアス電圧をゼロにしている。これにより、フォトダイオードPDは、光電流Ipdの流入時にも、自身の容量を充電する必要がなくなる。それゆえ、受光センサ2の信号応答速度を高速にすることができるので、望ましい。
【0096】
また、第1の電流源CS1とゼロバイアス回路23とでトランジスタTr13を共有している。これにより、回路規模の拡大を抑えるとともに、ゼロバイアス回路23の電流供給能力と第1の電流源CS1との間で電流供給能力の互換性を確保することができる。それゆえ、電源電圧Vccや温度による依存性などで生じる電流のばらつきを低減することができる。よって、受光センサ2がゼロバイアス回路23を有することは、有益である。
【0097】
しかも、フォトダイオードPDのカソード側に位置し、かつトランジスタTr15のソースとトランジスタTr14のドレインとが互いに接続されることにより、トランジスタTr15に流れる電流をトランジスタTr14にも流すことができる。これにより、光電流Ipdがない状態でも、第1の電流源CS1を駆動することができる。したがって、光入力の有無に関わらず第1の電流源CS1のオン状態が維持されることから、トランジスタTr15のスイッチング回数が減少するので、トランジスタTr15のスイッチングノイズを低減することができる。
【0098】
[実施形態3]
本発明に係る実施形態3について、
図6を参照して以下に説明する。
【0099】
図6は、本実施形態に係る受光センサ3の構成を示す回路図である。
【0100】
なお、本実施形態において、前述の実施形態1,2における構成要素と同等の機能を有する構成要素については、同等の符号を付記してその説明を省略する。
【0101】
〔受光センサの構成〕
図6に示すように、受光センサ3(光センサ)は、受光素子13および外付け抵抗RLを備えている。
【0102】
受光素子13は、前述の受光センサ1における受光素子11と同様、2個の端子T1,T2、検出信号生成部21および第1の電流源CS1を有している。また、受光素子13は、前述の受光センサ101における受光素子102と同様、バンドギャップ電流源BGを有している。
【0103】
〔実施形態の効果〕
〈バンドギャップ電流源による効果〉
バンドギャップ電流源BGは、外部電源電圧(電源電圧Vcc)に依存しない電流を生成することができる。以下に、その理由について説明する。
【0104】
バンドギャップ電流源BGが出力する電流I2(第2の補助電流)の値は、バンドギャップ電圧を発生するトランジスタTr31,Tr32および抵抗R31で決定される。ここで、バイポーラトランジスタであるトランジスタTr31,Tr32のサイズの比を2:1とすると、トランジスタTr31のベース−エミッタ間電圧VBE1と、トランジスタTr32のベース−エミッタ間電圧VBE2との関係は、次式のように表される。
【0105】
VBE1+R×Ir=VBE2
Vt×ln(Ir/2Is)+R×Ir=Vt×ln(Ir/Is)
上式において、Rは抵抗R31の抵抗値を表し、IrはトランジスタTr31を流れる基準電流の値を表し、Isは飽和電流の値を表している。また、Vtは、ボルツマン定数k、素電荷qおよび絶対温度Tに基づいて、Vt=kT/qと表される。
【0106】
上式により、バンドギャップ電流源BGの基準電流値Irは、次式のように表される。
【0107】
Ir=Vt×ln2/R
ここで、Vtは常温で26mVであるので、Rの値を10kΩとすると、基準電流値Irは1.8μAとなる。
【0108】
上式において、電源電圧Vcc(外部電源電圧)が含まれていないことから、基準電流値Irは電源電圧Vccの依存性がないことが分かる。また、温度特性については、Vtが−2mV/℃で変動するため、抵抗R31として負の温度特性(温度係数)を有するデバイスを用いれば、温度依存性も抑制することができる。
【0109】
このように、バンドギャップ電流源BGで生成される基準電流は、電源電圧Vccに依存しない。これにより、受光素子13は、電源電圧Vccの変動の影響を受けることなく、安定して光を検出することができる。
【0110】
これに対し、電流値が電源電圧Vccに依存する電流源を用いた場合、電源電圧Vccの変動により、当該電流源の電流が変動してしまう。このため、例えば電源電圧Vccが一定値以上になると、電流源の電流が増大することにより、光を検出していないにも関わらず、光を検出しているときと同じ検出出力が得られる(誤検出)。
【0111】
また、バンドギャップ電流源BGを用いることにより、受光センサ3がヒステリシス特性を備えることができる。しかも、バンドギャップ電流源BGの電流I2の量を調整することにより、ヒステリシス幅を調整することができる。バンドギャップ電流源BGの電流I2の量は、前述のように抵抗R31の抵抗値によって決定されるので、その抵抗値を適宜設定すれば、ヒステリシス幅が所望の値に設定される。
【0112】
例えば、10nAの光電流に対して電流I2の量を2nAとする。また、端子T1,T2(2端子)の間の電圧が最小となるとき、バンドギャップ電流源BGがオフするため、その電流が0Aとなる。この場合、2端子間の最大の電圧(Vmax)および2端子間の最小の電圧(Vmin)は、光電流Ipdから電流I2を減じた値に比例する。したがって、VmaxとVminとの比R(ヒステリシス)は、次の式で表される。
【0113】
R=Vmax/Vmin
=(10−2)/(10−0)
=80%
このように、電流I2の量を適宜調整することにより、検出信号をローレベル状態からハイレベル状態に変動するために必要な光電流量と、検出信号をハイレベル状態からローレベル状態に変動するために必要な光電流量とが異なる。これにより、ヒステリシス特性が得られる。また、ヒステリシス幅の抵抗値依存性が低下するので、外付け抵抗RLの抵抗値を、より広範囲で使用することが可能となる。それゆえ、後段の増幅器のばらつきや、温度および電圧の変動の影響を排除できる。
【0114】
〈バンドギャップ電流源および第1の電流源による効果〉
バンドギャップ電流源BGは、前述のようにバイポーラトランジスタからなるトランジスタTr31,Tr32を用いている。このため、前述のベース−エミッタ間電圧VBE1,VBE2として約0.7Vの電圧が最低限必要となる。それゆえ、前述のように、受光素子13をローレベル電圧に駆動するときのトランジスタTr4,Tr5のスレッシュホールド電圧を0.5V以下となるように構成した場合、バンドギャップ電流源BGを駆動することができない。したがって、受光素子13の検出信号がハイレベル電圧となる状態でしか、バンドギャップ電流源BGを駆動することができない。
【0115】
一方、第1の電流源CS1は、前述のように、電源電圧Vccが抵抗R11を介して印加されるので、検出信号がローレベルである状態でも駆動することが可能である。しかしながら、第1の電流源CS1は、電源電圧Vccや温度による依存性により、電流にばらつきを生じる。
【0116】
したがって、受光素子13は、バンドギャップ電流源BGおよび第1の電流源CS1を併用すると、そのヒステリシス特性HYSが次式で定まる。
【0117】
HYS=(I1off+Ipd)/(I1on+I2+Ipd)
上式において、I1offは、第1の電流源CS1に流れる電流I1(第1の補助電流)の光の入力がない状態の値を表しており、I1onは、電流I1の光の入力がある状態の値を表している。また、I2は、バンドギャップ電流源BGに流れる電流I2の値を表している。
【0118】
したがって、受光センサ3において、第1の電流源CS1およびバンドギャップ電流源BGを併用することは有益である。
【0119】
[実施形態4]
本発明に係る実施形態4について、
図7を参照して以下に説明する。
【0120】
図7は、本実施形態に係る受光センサ4の構成を示す回路図である。
【0121】
なお、本実施形態において、前述の実施形態1,2における構成要素と同等の機能を有する構成要素については、同等の符号を付記してその説明を省略する。
【0122】
〔受光センサの構成〕
図7に示すように、受光センサ4(光センサ)は、受光素子13および外付け抵抗RLを備えている。
【0123】
受光素子13は、前述の受光センサ2における受光素子12と同様、2個の端子T1,T2、検出信号生成部21、ゼロバイアス回路23および第1の電流源CS1を有している。また、受光素子13は、第2の電流源CS2を有している。
【0124】
〈第2の電流源の構成〉
第2の電流源CS2は、第2のカレントミラー回路CM2、抵抗R21,R22およびトランジスタTr23〜Tr25(npn型のバイポーラトランジスタ)を有している。
【0125】
第2のカレントミラー回路CM2は、1組のトランジスタTr21,Tr22(MOSトランジスタ)を有している。入力側のトランジスタTr21のドレインは、トランジスタTr25のコレクタおよびトランジスタTr21のゲートに接続されている。また、トランジスタTr21のソースは、端子T1に接続されている。出力側のトランジスタTr22のドレインは、前述の第1のカレントミラー回路CM1におけるトランジスタTr12のドレインと同様、抵抗R1の一端およびトランジスタTr1のゲートに接続されている。また、トランジスタTr22のソースは端子T1に接続されている。
【0126】
第2のカレントミラー回路CM2は、トランジスタTr21に入力された電流を増幅してμAオーダーの電流をトランジスタTr22へ出力するように、トランジスタTr21,Tr22のサイズの比が設定されている。
【0127】
トランジスタTr23のコレクタは抵抗R21を介して端子T1に接続され、トランジスタTr23のエミッタは端子T2に接続されている。トランジスタTr23のコレクタおよびベースは、トランジスタTr24のベースおよび抵抗R22の一端に接続されている。抵抗R22の他端は、トランジスタTr24のコレクタおよびトランジスタTr25のベースに接続されている。トランジスタTr25のエミッタは端子T2に接続されている。
【0128】
〔受光センサの動作〕
上記のように構成される受光センサ4において、第1の電流源CS1のnAオーダーの電流は、第1のカレントミラー回路CM1のトランジスタTr11に流れる。一方、第2の電流源CS2の電流は、第1のカレントミラー回路CM1のトランジスタTr12に流れる。
【0129】
第2の電流源CS2において、抵抗R22およびトランジスタTr23〜Tr25からなる回路は、外付け抵抗RLおよび抵抗R21を介して電源電圧Vccによって駆動されて電流を発生する。この電流は、第2のカレントミラー回路CM2において、トランジスタTr21を流れると、増幅されてトランジスタTr22に出力される。これにより、第2の電流源CS2によるμAオーダーの電流(付加電流)が、第1のカレントミラー回路CM1のトランジスタTr12に流れる。
【0130】
なお、光が入力していない状態では、端子T1,T2の間の電圧がローレベルであるときに動作するトランジスタTr4,Tr5のスレッシュホールド電圧が0.5V以下といった低い電圧であるとする。この場合、端子T1,T2の間に現れる検出信号(ローレベル電圧)も同様に0.5V以下といった低い電圧となる。
【0131】
これに対し、第2の電流源CS2は、トランジスタTr23〜Tr25がバイポーラトランジスタであることから、トランジスタTr23〜Tr25のベース−エミッタ間電圧VBEとして0.7Vが必要である。したがって、光が入力していない状態では、第2の電流源CS2は動作していない。
【0132】
〔受光センサの効果〕
〈出力電流のばらつき改善〉
前述の受光センサ3においては、第1の電流源CS1およびバンドギャップ電流源BGを用いることにより、これらの電流I1,I2が光電流Ipdとともに第1のカレントミラー回路CM1に流れる。このため、第1のカレントミラー回路CM1の出力電流が、第1のカレントミラー回路CM1の電流増幅率のばらつきの影響を受ける。
【0133】
また、光電流Ipdの値が通常nAオーダーであることから、光電流Ipdと併せて第1のカレントミラー回路CM1に流れる電流I2もnAオーダーである必要がある。このため、第1のカレントミラー回路CM1の出力電流のばらつきが大きくなり、当該ばらつきを許容範囲内に制御することが難しい。
【0134】
これに対し、第1のカレントミラー回路CM1の出力電流の値は、μAオーダーである。したがって、受光センサ4では、第2の電流源CS2によって、同じμAオーダーの電流を第1のカレントミラー回路CM1の出力側に流すことで、第1のカレントミラー回路CM1の出力電流のばらつきを許容範囲内に制御することができる。
【0135】
このように、受光センサ4が第2の電流源CS2を有することは有益である。
【0136】
〈ヒステリシスの温度特性補正〉
図8の(a)は、第2の電流源CS2における温度に対するトランジスタのベース−エミッタ間電圧の特性をシミュレーションした結果を示すグラフである。
図8の(b)は、第2の電流源CS2におけるトランジスタのベース−エミッタ間電圧に対する電流の特性をシミュレーションした結果を示すグラフである。
図9は、受光センサ4の温度に対するヒステリシス特性をシミュレーションした結果を示すグラフである。
【0137】
トランジスタTr23,Tr24のベース−エミッタ間電圧をVBEaとし、トランジスタTr25のVBEbとすると、ベース−エミッタ間電圧VBEbは、ベース−エミッタ間電圧VBEaに対して、抵抗R22による電圧降下だけ低下する。このときの降下電圧は、トランジスタTr25の少ないベース電流に応じた値であると考えられ、ほぼトランジスタTr24のコレクタ電流値Ic24で表される。したがって、上記の降下電圧はIc24×R22(R22は抵抗R22を表すものとする)と表される。
【0138】
また、コレクタ電流値Ic24は、抵抗R21を流れる電流の1/2の値である。ここで、端子T1,T2の間の電圧の最大値をVOHとし、抵抗R21の抵抗値をR21とすると、コレクタ電流値Ic24は、次式で表される。
【0139】
Ic24=(VOH−VBEa)/(2×R21)
したがって、ベース−エミッタ間電圧VBEaに対するベース−エミッタ間電圧VBEbの降下分である降下電圧VBEdropは、次式で表される。
【0140】
VBEdrop=VBEa−VBEb
=Ic24×R22
=(VOH−VBEa)×R22/2R21
上式から、抵抗R21,R22の抵抗値を調整することにより、ベース−エミッタ間電圧VBEbを調整することができることが分かる。また、
図8の(a)に示すように、ベース−エミッタ間電圧VBEa,VBEbは、負の温度特性を有している。
【0141】
これに対し、抵抗R21,R22の抵抗値を調整することにより、ベース−エミッタ間電圧VBEbを下げるように調整すると、
図8の(b)に示すように、トランジスタTr25のコレクタ電流の温度特性を調整することができる。
図8の(b)では、トランジスタTr23,Tr24のコレクタ電流が負の温度特性を有するのに対し、トランジスタTr25のコレクタ電流が正の温度特性を有するように調整されていることが分かる。
【0142】
これにより、受光センサ4のヒステリシス特性HYSの温度特性を補正することができる。
【0143】
図9に示すように、第1の電流源CS1のみを使用している受光センサ1では、高温ほど大きくなっており、正の温度特性を有している。これに対し、受光センサ4では、第1の電流源CS1および第2の電流源CS2を併用することにより、高温ほどヒステリシス特性の上昇が抑制されており、受光センサ1と比べて、ヒステリシス特性の温度依存性が抑制されている。
【0144】
[実施形態5]
本発明に係る実施形態5について、
図10を参照して以下に説明する。
【0145】
図10は、本実施形態に係る受光センサ5の構成を示す回路図である。
【0146】
なお、本実施形態において、前述の実施形態1〜4における構成要素と同等の機能を有する構成要素については、同等の符号を付記してその説明を省略する。
【0147】
〔受光センサの構成〕
図10に示すように、受光センサ5(光センサ)は、受光素子15および外付け抵抗RLを備えている。
【0148】
受光素子15は、前述の受光センサ4における受光素子14と同様、2個の端子T1,T2、検出信号生成部21、ゼロバイアス回路23、第1の電流源CS1および第2の電流源CS2を有している。また、受光素子15は、定電圧回路24を有している。
【0149】
〈定電圧回路の構成〉
定電圧回路24は、抵抗R41およびコンデンサCを有している。抵抗R41の一端は端子T1に接続され、抵抗R41の他端はコンデンサCの一方の電極に接続されている。コンデンサCの他方の電極は端子T2に接続されている。コンデンサCは、端子T1,T2の間の電圧が最大となるときに一定電圧を保持するような容量を有している。
【0150】
また、抵抗R41およびコンデンサCの接続点は、第1のカレントミラー回路CM1のトランジスタTr11,Tr12のソースに接続されている。
【0151】
〔受光センサの動作〕
上記のように構成される受光センサ5においては、端子T1,T2の間の電位差により、コンデンサCが抵抗R41を介して充電される。また、コンデンサCは、端子T1,T2の間の電圧が最大となるときに一定電圧を保持するような容量を有している。これにより、端子T1,T2の間の電位差が最大となるとき、コンデンサCには一定電圧が保持される。
【0152】
第1のカレントミラー回路CM1は、この一定電圧が印加されることにより、入力側に流れる電流に応じて出力側に電流を流す。
【0153】
〔受光センサの効果〕
受光センサ5は、定電圧回路24を有しているので、端子T1,T2の間の電圧が最大となるときに、コンデンサCに一定電圧が保持される。これにより、第1のカレントミラー回路CM1は、電源電圧Vccの変動の影響を受けることなく、安定した一定電圧で駆動される。それゆえ、第1のカレントミラー回路CM1におけるスイッチングノイズをより抑制することができる。したがって、前述の発振現象を、前述の受光センサ1に比べて、より抑制することができる。
【0154】
[実施形態6]
本発明に係る実施形態6について、
図11を参照して以下に説明する。
【0155】
図11は、本実施形態に係る受光センサ6の構成を示す回路図である。
【0156】
なお、本実施形態において、前述の実施形態1〜4における構成要素と同等の機能を有する構成要素については、同等の符号を付記してその説明を省略する。
【0157】
〔受光センサの構成〕
図11に示すように、受光センサ6(光センサ)は、受光素子16および外付け抵抗RLを備えている。
【0158】
受光素子16は、前述の受光センサ4における受光素子14と同様、2個の端子T1,T2、検出信号生成部21、ゼロバイアス回路23、第1の電流源CS1および第2の電流源CS2を有している。また、受光素子16は、定電圧回路25を有している。
【0159】
〈定電圧回路の構成〉
定電圧回路25は、抵抗R51およびトランジスタTr51〜Tr53(npn型のバイポーラトランジスタ)を有している。抵抗R51の一端は端子T1に接続され、抵抗R51の他端はトランジスタTr51のコレクタに接続されている。トランジスタTr51〜Tr53は、それぞれベースとコレクタとが接続されており、ダイオードとして機能する。トランジスタTr51のエミッタはトランジスタTr52のコレクタに接続され、トランジスタTr52のエミッタはトランジスタTr53のコレクタに接続されている。また、トランジスタTr53のエミッタは、端子T2に接続されている。
【0160】
また、抵抗R51およびトランジスタTr51の接続点は、第1のカレントミラー回路CM1のトランジスタTr11,Tr12のソースに接続されている。
【0161】
〔受光センサの動作〕
上記のように構成される受光センサ6においては、光入力時に、トランジスタTr4,Tr5がオフすると、端子T1,T2の間の電位差が最大となる。このとき、トランジスタTr51〜Tr53からなるダイオードの直列回路の両端(抵抗R51とトランジスタTr51との間)に一定電圧が現れる。これにより、上記の直列回路の両端に一定電圧が現れる。
【0162】
第1のカレントミラー回路CM1は、この一定電圧が印加されることにより、入力側に流れる電流に応じて安定して出力側に電流を流す。
【0163】
〔受光センサの効果〕
〈ダイオードによる効果〉
受光センサ6は、定電圧回路25を有しているので、端子T1,T2の間の電圧が最大となるときに、トランジスタTr51〜Tr53によるダイオードの直列回路の両端に一定電圧が得られる。これにより、第1のカレントミラー回路CM1は、電源電圧Vccの変動の影響を受けることなく、安定した一定電圧で駆動される。それゆえ、第1のカレントミラー回路CM1におけるスイッチングノイズをより抑制することができる。したがって、前述の発振現象を、前述の受光センサ1に比べて、より抑制することができる。
【0164】
ここで、定電圧回路25におけるダイオードの数は、上記のような3個である場合、端子T1,T2の間の電位差が最大であるときに、
図3の(b)に示すように、検出信号をハイレベルに保持することができるので、望ましい。
【0165】
定電圧回路25におけるダイオードの数が多いほど、第1のカレントミラー回路CM1におけるトランジスタTr11,Tr12に印加される電圧を高くすることができる。これにより、トランジスタTr11,Tr12のソース−ドレイン間の電圧が高く確保されるので、トランジスタTr11,Tr12の非飽和状態を抑制することができる。しかしながら、このような構成では、第1のカレントミラー回路CM1が低電圧で動作することができなくなる。
【0166】
逆に、定電圧回路25におけるダイオードの数が少ないほど、第1のカレントミラー回路CM1は、低電圧での動作が可能となるが、トランジスタTr11,Tr12の非飽和状態の抑制が難しくなる。
【0167】
したがって、定電圧回路25におけるダイオードの数が3個である場合、第1のカレントミラー回路CM1は、低電圧での動作を可能にするとともに、トランジスタTr11,Tr12の非飽和状態の抑制も可能となる。よって、受光センサ6は、3V系の電源電圧Vccでも、十分安定して動作することができるので、有益である。
【0168】
〈抵抗による効果〉
フォトダイオードPDのバイアス電圧が低いほど(順バイアスに近づくに連れて)、フォトダイオードPDの容量値が大きくなる。このため、受光素子16の応答が変動する。
【0169】
これに対し、受光センサ6においては、定電圧回路25が、抵抗R51を介して端子T1,T2の間の電圧(端子間電圧)をトランジスタTr51〜Tr53に印加する。これにより、端子間電圧がローレベルからハイレベルに変化するときに、フォトダイオードPDのバイアス電圧Vpdは、トランジスタTr4の駆動電圧VL(ローレベルの端子間電圧)から下記のように表される。
【0170】
Vpd=VL−(VGS11+VDS15+R51×Icm)
上式において、VGS11はトランジスタTr11のゲート−ソース間電圧を表し、VDS15はトランジスタTr15のドレイン−ソース間電圧を表し、R51は抵抗R51の抵抗値を表す。また、上式において、Icmは、第1のカレントミラー回路CM1の出力電流を表している。
【0171】
ここで、VL=0.35V、VGS11=0.25V、VDS15=0.05V、R51=30kΩ、Icm=30nAとすると、バイアス電圧Vpdは、上式より下記のような値となる。
【0172】
Vpd =0.35V−(0.25V+0.05V+30kΩ×30nA)
=0.35V−(0.25V+0.05V+約0.001V)
≒0.05V
なお、駆動電圧VLはトランジスタTr4のスレッシュホールド電圧で定まり、バイアス電圧Vpdは外部回路の設計仕様から定まる。このため、バイアス電圧Vpdが低くなり、かつ応答が遅延しないように、外部回路を設計する必要がある。
【0173】
以上のように、定電圧回路25において抵抗R51を用いることにより、トランジスタ等を用いるよりも、容易にフォトダイオードPDのバイアス電圧を確保することができる。よって、受光センサ6が抵抗R51を含む定電圧回路25を有することは、応答速度を高めることができるので、有益である。
【0174】
[実施形態7]
前述の実施形態1〜6における受光センサ1〜6は、フォトインタラプタを用いたデジタルカメラ、複写機、プリンタ、携帯機器等の電子機器に用いると好適である。また、受光センサ1〜6は、煙センサ、近接センサ、測距センサ等で十分な容積を確保できないものなどに用いても好適である。煙センサ、近接センサ、測距センサは、ともに発光素子および受光素子を用いた検出器で構成可能である。煙センサは、発光素子と受光素子との間を遮る煙の量による感度の変動をセンシングしており、近接センサおよび測距センサは、ともに発光素子から照射され、検出物により反射した光の光量を受光素子でセンシングしている。よって、いずれのセンサにおいても前述の受光センサ1〜6を適用すれば、少ない端子で低電圧駆動が可能となり、有益となる。
【0175】
また、前述のように、受光センサ1〜6は、前述のように、端子間電圧を十分に降下させることができるとともに、発振現象を抑制することができる。これにより、上記のいずれのセンサにも受光センサ1〜6を適用することで、光遮断と光非遮断との間で検出信号を急峻に変化させることができ、かつローパスフィルタを用いて発振によるチャタリング信号を抑制する必要がなくなる。したがって、正確に検出を行うことができるので、受光センサ1〜6の適用は有益である。
【0176】
〔複写機の構成〕
ここで、光センサを用いた電子機器の具体例として複写機について説明する。
図12は、複写機301の内部構成を示す正面図である。
【0177】
図12に示すように、複写機301は、本体302の上部に設けられる原稿台303に載置された原稿に光源ランプ304の光を照射し、原稿からの反射光をミラー群305およびレンズ306を介して帯電された感光体ドラム307に照射して露光する。また、複写機301は、露光により感光体ドラム307に形成された静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成する。さらに、複写機301は、手差し給紙トレイ308や給紙カセット309,310から搬送系311を介して供給される用紙に感光体ドラム307上のトナー像を転写させ、さらに定着装置312にてトナー像を定着させた後、本体302の外部に排出する。
【0178】
上記のように構成される複写機301においては、各部の位置や用紙の通過を検出するために光センサS1〜S12が配置されている。
【0179】
光センサS1〜S4は、原稿の光走査方向に移動するミラー群305の一部の位置を検出するために配置されている。光センサS5,S6は、ミラー群305の一部とともに移動するレンズ306の位置を検出するために配置されている。光センサS7は、感光体ドラム307の回転位置を検出するために配置されている。
【0180】
光センサS8は、手差し給紙トレイ308上の用紙の有無を検出するために配置されている。光センサS9は、上段の給紙カセット309から給紙された用紙の搬送の有無を検出するために配置されている。光センサS10は、下段の給紙カセット310から給紙された用紙の搬送の有無を検出するために配置されている。
【0181】
光センサS11は、感光体ドラム307からの用紙の分離を検出するために配置される。光センサS12は、複写機301の外部への用紙の排出を検出するために配置される。
【0182】
上記のように、複写機301は、多数の光センサS1〜S12を有している。そこで、これらの光センサS1〜S12として、前述の各実施の形態の受光センサ1〜6を用いることにより、光センサS1〜S12による複写機301の高機能化を図ることができる。
【0183】
なお、上記の例では、便宜上、光センサS1〜S12を挙げて説明したが、実際の複写機には、より多数の光センサが用いられていることが多い。したがって、このような電子機器には、上記の効果がより顕著となる。
【0184】
[まとめ]
本発明の一態様に係る光センサは、第1端子(端子T2)の固定電位に対して、電源電圧(電源電圧Vcc)が印加された第2端子(端子T1)の電位を変動させて光の入力を検出する2端子型の光センサ(受光センサ1〜6,1A)であって、光の入力によって光電流(光電流Ipd)を発生する光電変換素子(フォトダイオードPD)と、上記第1端子および上記第2端子の間の端子間電圧によって駆動されることにより第1の補助電流を発生する第1の電流源(第1の電流源CS1,CS11)と、上記光電流を増幅する電流増幅器と、光が入力されているときの上記電流増幅器の出力電流に基づいて上記第1端子および上記第2端子の間の端子間電流を停止し、光が入力されていないときの上記出力電流に基づいて上記端子間電流を流す電流制御部(トランジスタTr4)とを備え、上記第1の電流源が、上記電流増幅器に上記第1の補助電流を入力するか、または上記電流増幅器の上記出力電流に上記第1の補助電流を付加し、光の入力の有無に関わらず上記第1の補助電流を発生する。
【0185】
上記の構成では、光が入力されていないとき、電流制御部が第1端子と第2端子との間の端子間電流を流すので、第2端子の電位が第1端子の固定電位に近づく結果、端子間電圧が低下してローレベルとなる。また、受光素子に光が入力されているとき、電流制御部が端子間電流を停止するため、第2端子の電位が第1端子の固定電位に近づくことはなく電源電圧による電位に維持される結果、端子間電圧がハイレベルとなる。この場合、端子間電圧(検出信号)は、電流制御部によって制御される電流に依存するように、光電流より大きな電流に設定する必要がある。これにより、端子間電圧を電流制御部が動作するための電圧を減じた値まで広く確保することができる。
【0186】
また、第1の電流源は、光が入力されていないときでも第1の補助電流を発生するので、光の入力の有無に関わらず、電流増幅器に第1の補助電流を供給することができる。それゆえ、電流増幅器に生じる上記のようなスイッチングノイズを低減して、発振現象を抑制することができる。
【0187】
前記光センサにおいて、上記電流制御部は、上記端子間電流を流すためにオンし、上記端子間電流を停止するためにオフする第1のトランジスタ(トランジスタTr4)であり、上記第1の電流源は、上記第1の補助電流を流すカレントミラー回路を有しており、当該カレントミラー回路を構成する第2のトランジスタ(トランジスタTr13)が、上記第1のトランジスタと動作電圧が同じであることが好ましい。
【0188】
上記の構成では、第1および第2のトランジスタが同じ動作電圧である。これにより、光が入力されていないときに、電流制御部を構成する第1のトランジスタがオンすることができれば、第1の電流源のカレントミラー回路を構成する第2のトランジスタも動作することができる。したがって、光が入力されていないときでも、第1の電流源が動作して、第1の補助電流を発生することができる。
【0189】
前記光センサは、上記光電変換素子の一方の端子に上記光電変換素子の他方の端子と同じ電位を与えることにより、上記光電変換素子の両端子間のバイアス電圧をゼロにするゼロバイアス部(ゼロバイアス回路23)をさらに備え、上記第2のトランジスタは上記光電変換素子の一方の端子に与える電位を発生することが好ましい。
【0190】
上記の構成では、ゼロバイアス部によって、光電変換素子のバイアス電圧をゼロにしている。これにより、光電変換素子は、光電流の流入時にも、自身の容量を充電する必要がなくなる。それゆえ、光センサの信号応答速度を高速にすることができる。
【0191】
また、第2のトランジスタが発生する電位をゼロバイアス部が光電変換素子に与える電位として利用することができる。これにより、ゼロバイアス部が当該電位を発生する必要がなく、光センサの回路規模の拡大を抑制することができる。
【0192】
前記光センサは、前記電源電圧に依存せずに上記端子間電圧によって駆動されることにより上記電流増幅器に入力される第2の補助電流を発生する副電流源(バンドギャップ電流源BG)をさらに備えていることが好ましい。
【0193】
上記の構成では、第1の電流源が、端子間電圧がローレベルであっても動作可能であるが、電源電圧に依存する端子間電圧で駆動されるので、第1の補助電流が電源電圧の変動の影響をうけてばらついてしまう。
【0194】
これに対し、電源電圧に依存せずに駆動される副電流源を設けることにより、電源電圧の影響を受けない第2の補助電流を得ることができる。これにより、第2の補助電流によって、第1の補助電流のばらつきの影響を軽減することができる。
【0195】
前記光センサは、上記電流増幅器の上記出力電流に付加される付加電流を発生する第2の電流源(第2の電流源CS2)をさらに備えていることが好ましい。
【0196】
上記の構成では、第2の電流源によって電流増幅器の出力電流に付加電流が付加されるので、電流増幅器の電流増幅率のばらつきによって電流増幅器の出力側の変動を抑制することができる。
【0197】
前記光センサは、上記端子間電圧が最大であるとき、上記電流増幅器の駆動電圧として一定電圧を発生する定電圧回路(定電圧回路24,25)をさらに備えていることが好ましい。具体的には、上記定電圧回路は、上記端子間電圧に基づいて上記一定電圧を生成するコンデンサ(コンデンサC)またはダイオード(トランジスタTr51〜Tr53)を有していることが好ましい。
【0198】
上記の構成では、端子間電圧が最大であるときに、電流増幅器が、定電圧回路によって発生した一定電圧で駆動される。これにより、電源電圧の変動を受けることなく、一定電圧によって、安定して電流増幅器を動作させることができる。
【0199】
前記光センサにおいて、上記定電圧回路は、上記第1端子と上記第2端子との間に、上記ダイオードと直列に接続される抵抗(抵抗R51)をさらに有しており、当該抵抗と上記ダイオードとの間から上記一定電圧を出力することが好ましい。
【0200】
光電変換素子のバイアス電圧が低いほど(順バイアスに近づくに連れて)、光電変換素子の容量値が大きくなる。このため、光センサの応答が変動する。これに対し、上記の構成では、定電圧回路が、抵抗を介して端子間電圧をダイオードに印加する。端子間電圧がローレベルからハイレベルに変化するときに、電流制御部の駆動電圧が抵抗の抵抗値に依存することから、定電圧回路において抵抗を用いることにより、トランジスタ等を用いるよりも、容易に光電変換素子のバイアス電圧を確保することができる。
【0201】
電子機器(複写機301)は、上記のいずれかの光センサを備えているので、高性能の光センサを電子機器に配置することができる。したがって、電子機器の機能を向上させることができるので、有益である。
【0202】
[付記事項]
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。