(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5806128
(24)【登録日】2015年9月11日
(45)【発行日】2015年11月10日
(54)【発明の名称】バスバー組み付け構造
(51)【国際特許分類】
H02G 3/16 20060101AFI20151021BHJP
H05K 7/06 20060101ALI20151021BHJP
【FI】
H02G3/16
H05K7/06 C
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-6844(P2012-6844)
(22)【出願日】2012年1月17日
(65)【公開番号】特開2013-150377(P2013-150377A)
(43)【公開日】2013年8月1日
【審査請求日】2014年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100070002
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100110733
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥野 正司
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【弁理士】
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】古賀 健郎
【審査官】
北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−323220(JP,A)
【文献】
特開2005−318693(JP,A)
【文献】
特開2011−239572(JP,A)
【文献】
特開2009−11039(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/16
H05K 7/06
H01R 13/41
H01R 13/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バスバーと、該バスバーが組み付けられるハウジングと、で構成されるバスバー組み付け構造において、
前記バスバーに、長方形板状の圧入片が設けられ、
前記ハウジングに、前記圧入片が圧入される圧入穴が設けられ、
前記圧入穴の所定位置から開口部側に、幅方向の寸法が前記圧入片の幅方向の寸法よりも小さいとともに厚み方向の寸法が前記圧入片の厚み方向の寸法よりも大きい部分が設けられ、
前記圧入穴の所定位置から奥側の部分は、幅方向の寸法が前記圧入片の幅方向の寸法よりも小さく形成されているとともに厚み方向の寸法が前記圧入片の厚み方向の寸法よりも小さく形成されている
ことを特徴とするバスバー組み付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器のハウジングにバスバーを組み付けるバスバー組み付け構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子機器のハウジングにバスバーを組み付けるバスバー組み付け構造としては種々のものが提案されている(例えば特許文献1を参照。)。一従来例として、
図10〜13に示されたバスバー組み付け構造について説明する。
【0003】
図10〜13に示すように、バスバー組み付け構造201は、金属板にプレス加工等が施されて得られるバスバー202と、該バスバー202が組み付けられる合成樹脂製のハウジング203とで構成されている。
【0004】
上記バスバー202には、
図10に示すように、長方形板状の圧入片221と、電源接続部222と、図示しない電子部品に電気接続される一対の雄型端子部223と、これらを連結した基部220と、が設けられている。
【0005】
上記ハウジング203には、前記圧入片221が固定される固定部230が設けられている。この固定部230は、
図10に示すように、外形が直方体状に形成されており、圧入片221が圧入される圧入穴204と、基部220における圧入片221近傍部分が挿入される溝205と、が設けられている。
【0006】
また、
図10〜13中の矢印Yは、圧入片221の長手方向及び固定部230の高さ方向と平行な方向を表しており、矢印Xは、圧入片221の幅方向及び固定部230の幅方向と平行な方向を表しており、矢印Zは、圧入片221の厚み方向及び固定部230の厚み方向と平行な方向を表している。
【0007】
上記圧入穴204は、
図12,13に示すように、幅方向の寸法(矢印X方向の寸法)が圧入片221の幅方向の寸法よりも若干大きく形成されているとともに厚み方向の寸法(矢印Z方向の寸法)が圧入片221の厚み方向の寸法よりも小さく形成されている。
【0008】
上記構成のバスバー組み付け構造201においては、圧入片221が圧入穴204の矢印Z方向に対向する2面間に圧入されることにより固定部230に固定される。そして、圧入片221が固定部230に固定されることによりバスバー202がハウジング203に組み付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−069648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上述したバスバー組み付け構造201においては、以下に示す問題があった。すなわち、圧入穴204は、幅方向の寸法(矢印X方向の寸法)が圧入片221の幅方向の寸法よりも若干大きく形成されていたことから、圧入片221が圧入穴204に圧入される際、矢印Y方向に対して斜め方向に圧入されてしまう場合があり、その場合、一対の雄型端子部223のアライメント不良が生じたり、圧入片221によって圧入穴204の内面が削られ、圧入片221の保持力が低下してしまうという問題があった。
【0011】
したがって、本発明は、バスバーのアライメント精度を向上させることができ、かつ、バスバー保持力の低下を防止することができるバスバー組み付け構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために請求項1に記載された発明は、バスバーと、該バスバーが組み付けられるハウジングと、で構成されるバスバー組み付け構造において、前記バスバーに、長方形板状の圧入片が設けられ、前記ハウジングに、前記圧入片が圧入される圧入穴が設けられ、前記圧入穴の所定位置から開口部側に、幅方向の寸法が前記圧入片の幅方向の寸法よりも小さいとともに厚み方向の寸法が前記圧入片の厚み方向の寸法よりも大きい部分が設けられ、前記圧入穴の所定位置から奥側の部分は、幅方向の寸法が前記圧入片の幅方向の寸法よりも小さく形成されているとともに厚み方向の寸法が前記圧入片の厚み方向の寸法よりも小さく形成されていることを特徴とするバスバー組み付け構造である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載された発明によれば、前記圧入穴の所定位置から開口部側に、幅方向の寸法が前記圧入片の幅方向の寸法よりも小さいとともに厚み方向の寸法が前記圧入片の厚み方向の寸法よりも大きい部分が設けられ、前記圧入穴の所定位置から奥側の部分は、幅方向の寸法が前記圧入片の幅方向の寸法よりも小さく形成されているとともに厚み方向の寸法が前記圧入片の厚み方向の寸法よりも小さく形成されているので、圧入片が圧入穴に圧入される際、所定位置よりも開口部側の部分で圧入片の位置出しが行われた後、さらに幅狭な奥側の部分に圧入されることになり、前記さらに幅狭な奥側の部分に圧入される際の斜め圧入を防止することができる。その結果、バスバーがハウジングに組み付けられた状態において、バスバーのアライメント精度を向上させることができ、かつ、バスバー保持力の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施の形態にかかるバスバー組み付け構造の分解図である。
【
図4】
図1に示された圧入片を圧入穴に圧入する様子を示す斜視図である。
【
図7】
図4に示された圧入片を圧入穴に圧入した状態を示す斜視図である。
【
図10】従来のバスバー組み付け構造の分解図である。
【
図11】
図10に示された圧入片を圧入穴に圧入した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施の形態にかかる「バスバー組み付け構造」を
図1〜9を用いて説明する。
図1に示すように、バスバー組み付け構造1は、金属板にプレス加工等が施されて得られるバスバー2と、該バスバー2が組み付けられる合成樹脂製のハウジング3とで構成されている。
【0016】
上記バスバー2には、長方形板状の圧入片21と、電力が入力される部分である電源接続部22と、図示しない電子部品に電気接続される一対の雄型端子部23と、これらを連結した基部20と、が設けられている。
【0017】
上記ハウジング3には、前記圧入片21が固定される固定部30が設けられている。この固定部30は、外形が直方体状に形成されており、圧入片21が圧入される圧入穴4と、基部20における圧入片21近傍部分が挿入される溝5と、が設けられている。
【0018】
また、
図1〜9中の矢印Yは、圧入片21の長手方向及び固定部30の高さ方向と平行な方向を表しており、矢印Xは、圧入片21の幅方向及び固定部30の幅方向と平行な方向を表しており、矢印Zは、圧入片21の厚み方向及び固定部30の厚み方向と平行な方向を表している。
【0019】
上記圧入穴4は、
図2,3に示すように、固定部30の上面から矢印Y方向に凹状に形成されている。圧入穴4は、開口部40と、底面41と、矢印X方向に対向配置された2つの面46,46と、矢印Z方向に対向配置された2つの面43,43及び2つの面44,44と、前記2つの面43,43と前記2つの面44,44の間に位置する段部7(特許請求の範囲の「所定位置」に相当する。)と、開口部40の近傍に設けられた4つのテーパ面42,42,45,45と、で構成されている。
【0020】
上記2つの面46,46は、平面であり、互いに平行に配置されている。これら2つの面46,46間の間隔、すなわち圧入穴4の幅方向の寸法、は、圧入片21の幅方向の寸法よりも小さく形成されている。
【0021】
上記2つの面43,43は、平面であり、互いに平行に配置されている。これら2つの面43,43間の間隔、すなわち圧入穴4の厚み方向の寸法、は、圧入片21の厚み方向の寸法よりも若干大きく形成されている。
【0022】
上記2つの面44,44は、平面であり、互いに平行に配置されている。これら2つの面44,44間の間隔、すなわち圧入穴4の厚み方向の寸法、は、圧入片21の厚み方向の寸法よりも小さく形成されている。また、2つの面43,43は、2つの面44,44よりも開口部40側に配置されている。
【0023】
すなわち、圧入穴4は、段部7から開口部40側に、幅方向の寸法が圧入片21の幅方向の寸法よりも小さいとともに厚み方向の寸法が圧入片21の厚み方向の寸法よりも若干大きい部分6が設けられ、段部7から奥側の部分8は、幅方向の寸法が圧入片21の幅方向の寸法よりも小さく形成されているとともに厚み方向の寸法が圧入片21の厚み方向の寸法よりも小さく形成されている。
【0024】
上記構成のバスバー組み付け構造1においては、圧入片21が圧入穴4の2面46,46間、及び、2面44,44間に圧入されることにより固定部30に固定される。そして、圧入片21が固定部30に固定されることによりバスバー2がハウジング3に組み付けられる。
【0025】
続いて、バスバー組み付け構造1の作用効果について説明する。圧入片21が圧入穴4に圧入される際は、
図4〜6に示すように段部7よりも開口部40側の部分6で圧入片21の位置出しが行われた後、
図7〜9に示すようにさらに幅狭な奥側の部分8に圧入されることになるので、該奥側の部分8に圧入される際の斜め圧入を防止することができる。その結果、バスバー2がハウジング3に組み付けられた状態において、バスバー2のアライメント精度(特に一対の雄型端子部23先端のアライメント精度)を向上させることができる。また、圧入片21が段部7よりも奥側の部分8に真っ直ぐ(矢印Y方向)に圧入されることにより、該部分8の樹脂が削られることを防止でき、4つの面46,46,44,44で圧入片21を確実に保持することができるので、バスバー保持力の低下を防止することができる。また、バスバー組み付け構造1においては、段部7よりも開口部40側の部分6において圧入片21の一次圧入が行われ、段部8よりも奥側の部分8において圧入片21の二次圧入が行われる二段階圧入構造となっているので、挿入力のピーク値を低く抑えることができる。
【0026】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 バスバー組み付け構造
2 バスバー
3 ハウジング
4 圧入穴
7 段部(所定位置)
21 圧入片
40 開口部