特許第5806274号(P5806274)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5806274純電気式で駆動させることができる自動車のドライブトレイン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5806274
(24)【登録日】2015年9月11日
(45)【発行日】2015年11月10日
(54)【発明の名称】純電気式で駆動させることができる自動車のドライブトレイン
(51)【国際特許分類】
   B60K 17/04 20060101AFI20151021BHJP
【FI】
   B60K17/04 N
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-216407(P2013-216407)
(22)【出願日】2013年10月17日
(65)【公開番号】特開2014-84102(P2014-84102A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2013年10月18日
(31)【優先権主張番号】10 2012 110 269.4
(32)【優先日】2012年10月26日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510238096
【氏名又は名称】ドクター エンジニール ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100098914
【弁理士】
【氏名又は名称】岡島 伸行
(72)【発明者】
【氏名】レオ シュピーゲル
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル クノーブラオホ
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス ランゲ
【審査官】 河端 賢
(56)【参考文献】
【文献】 実開平06−018156(JP,U)
【文献】 特開平08−168208(JP,A)
【文献】 特開平06−219168(JP,A)
【文献】 特開2007−137099(JP,A)
【文献】 特開平05−193511(JP,A)
【文献】 特開2005−125888(JP,A)
【文献】 特開2005−273793(JP,A)
【文献】 特開2007−267657(JP,A)
【文献】 特開2011−144769(JP,A)
【文献】 特表2009−532277(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 17/04
B62D 21/00
B60L 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
純電気式で駆動させることができる自動車の車両車軸(2、4)のいずれかに関連付けられているドライブトレイン(6)であって、
1つの電気機械(16)または2つの電気機械(10、11)と、
前記車両車軸(2、4)のいずれかに関連付けられている右側と左側とで2つの歯車機構出力シャフト(9)と、
ハウジング(8)を有すると共に、前記1つの電気機械(16)または2つの電気機械(10、11)から動力を入力し前記2つの歯車機構出力シャフト(9)に前記動力を出力する歯車機構(7、15、18)とを、備え、
前記ハウジング(8)は、前記1つの電気機械(16)または2つの電気機械(10、11)及び前記2つの歯車機構出力シャフト(9)を受けるよう、前記電気機械(16、10、11)の数にかかわらず標準化して形成されているドライブトレイン。
【請求項2】
前記歯車機構(7、15、18)には、前記2つの電気機械(10,11)の出力を加算する加算型の歯車機構(7)の形態を含む請求項1に記載のドライブトレイン。
【請求項3】
高出力の電気機械が1つ、または低出力の電気機械が2つ、または高出力の電気機械と低出力の電気機械が1つずつ、前記歯車機構(7、15、18)に接続される請求項1または2に記載のドライブトレイン。
【請求項4】
前記歯車機構(18)が、車輪であるロードホイール(3、5)の一輪ずつの駆動のために前記右側と左側との歯車機構出力シャフト(9)それぞれに対応して、個別の歯車機構ユニットを有する請求項1に記載のドライブトレイン。
【請求項5】
同一設計となっている2つの電気機械(10、11)が、前記歯車機構ユニットにそれぞれ接続される請求項4に記載のドライブトレイン。
【請求項6】
電気機械(10、11、16)の回転子シャフトが、前記自動車の前進方向(24)に対して垂直方向となる横方向に配置される請求項1〜5のいずれか一項に記載のドライブトレイン。
【請求項7】
それぞれの歯車機構出力シャフト(9)が、前記自動車の前進方向(24)に対して垂直方向となる横方向に配置される請求項1〜6のいずれか一項に記載のドライブトレイン。
【請求項8】
前記歯車機構(7、15、18)が、前記自動車の前進方向(24)に対して垂直方向となる幅方向で前記自動車の中央領域に配置される請求項1〜7のいずれか一項に記載のドライブトレイン。
【請求項9】
前記ドライブトレイン(6)が2つの前記電気機械(10、11)を備えて形成されるときに、前記歯車機構(7、15、18)が前記電気機械(10、11)の間に配置される請求項1〜8のいずれか一項に記載のドライブトレイン。
【請求項10】
前記電気機械(10、11、16)が、非同期機械の形態である、または永久磁石同期機械の形態である請求項1〜9のいずれか一項に記載のドライブトレイン。
【請求項11】
前記ドライブトレイン(6)が前記2つの電気機械(10、11)を備えて形成されるときに、一方の電気機械が非同期機械の形態であり、他方の電気機械が永久磁石同期機械の形態である請求項1〜10のいずれか一項に記載のドライブトレイン。
【請求項12】
前記歯車機構(7、15、18)が2段歯車機構である請求項1〜11のいずれか一項に記載のドライブトレイン。
【請求項13】
前記歯車機構(7、15、18)が、中間シャフトを有する3シャフト設計である、または前記歯車機構(7、15、18)が、遊星歯車設計の第1の段と平歯車設計の第2の段とを備えるように設計される請求項12に記載のドライブトレイン。
【請求項14】
前記歯車機構(7、15、18)が、前記2つの電気機械(10、11)の少なくとも一方を、切り離すための切離しデバイスを有する請求項1〜13のいずれか一項に記載のドライブトレイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、純電気式で駆動させることができる車両のドライブトレインに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車、特に乗用車は、様々な部門で使用されている。乗用車の場合、そのような部門は、具体的には、小型車、中級車、及び高級車の部門である。スポーツカーは、特に中級車及び高級車の部門で提供されている。
【0003】
特にドライブトレインの様々な歯車機構構成の視点から見た、様々なドライブトレイン構成が、様々な部門にて使用され、本発明に関しては、特に中級車及び高級車の部門が重要である。それぞれ使用される電気機械、または使用される複数の電気機械の様々な接続寸法を考慮しなければならないという背景を基にこれは考察することができる。接続寸法は、電気機械と歯車機構とのインターフェースに関して考察することができる。動力及び機能調節のために、異なるサイズ及び異なるタイプの電気機械が使用されるので、様々な接続寸法が必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、純電気駆動機構を備える様々な車両部門のための多数の駆動機構トポロジーを可能にするドライブトレインを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
純電気式で駆動させることができる自動車のドライブトレインにおいて、本発明は、ドライブトレインの歯車機構が、1つまたは2つの電気機械を受けるための、及び車両車軸に関連付けられる2つの歯車機構出力シャフトを受けるための標準化されたハウジングを有することを提案する。
【0006】
使用される歯車機構が、標準化されたハウジングを有することが肝要である。そのため、このハウジングは、純電気式で駆動させることができる自動車のドライブトレインの多数の異なる変形形態に関して固定された様式で構成される。歯車機構ハウジングは、特に、スポーツカーを含む中級車及び高級車の部門の自動車に使用される。
【0007】
歯車機構のハウジングは、電気機械のための2つの受け部を有し、電気機械は、ドライブトレインの構成に応じて各受け部の領域内に配置されるので、ドライブトレインには2つの電気機械が提供される。あるいは、2つの受け部の一方のみが電気機械と相互作用し、それ故にドライブトレインには電気機械が一つのみ提供される。この場合、歯車機構のハウジングは、空いている受け部の領域で、適切な手段、特に歯車機構カバーを使用して、電気機械を固定する形で閉じられる。
【0008】
ハウジングの受け部は、特に同一の設計であり、その結果、それぞれの電気機械の接続構成が一致しているという仮定の下で、この受け部の領域で任意の望ましい電気機械をハウジングに接続することができる。最も単純な様式では、ハウジングは、電気機械のベアリングフランジへの接続または歯車機構カバーへの接続のための2つの同一の受取フランジを有する。
【0009】
更に、歯車機構のハウジングは、自動車の車両車軸に関連付けられる2つの歯車機構出力シャフトを受ける。この車軸は、自動車の後車軸または前車軸である。
【0010】
従って、トルク伝達の機能の観点から見て、歯車機構を様々な構成にすることができる。
【0011】
歯車機構が加算型の歯車機構の形態であるときに有利と考えられる。従って、2つの電気機械が歯車機構に関連付けられるとき、電気機械によって歯車機構に導入される2つのトルクを足し合わせて2つの歯車機構出力シャフトに伝達することが適切である。
【0012】
代替として、歯車機構は、車両車軸のロードホイールの一輪駆動のために2つの歯車機構出力を有する2つの個別の歯車機構ユニットを有することができる。歯車機構は、2つの個別の歯車機構ユニットによって形成される。これらの歯車機構ユニットは、独立して活動する。一輪駆動であるため、トルクは、一方の電気機械から、一方の歯車機構ユニットを介して、一輪駆動のホイールに流れ、他方の力は、第2の電気機械から、第2の歯車機構ユニットを介して、この車両車軸の他方のホイールに流れる。この構成では、とりわけ、同一の電気機械が歯車機構ユニットにそれぞれ接続されることが企図される。
【0013】
基本的には、特に加算型の歯車機構としての歯車機構の設計に関してこれが当てはまり、高出力の電気機械が1つ、または低出力の電気機械が2つ、または高出力と低出力の電気機械が1つずつ、歯車機構に接続されることが企図される。
【0014】
本発明によるドライブトレインの構成のおかげで、比較的少数の駆動機構の構成要素を用いたモジュール式の手法を目的に合わせて使用することによって、電気駆動機構を有する様々な車両部門のための多数の駆動機構トポロジーを形成することができる。この場合、車両の部門に従って、動力と機能の両方を提供することができる。
【0015】
好ましくは同一の基本歯車機構、特に、大きな電気機械を備えるシングルモータ駆動ユニットまたは小さな電気機械を備える2モータ駆動ユニットのための加算型の歯車機構が使用される。同一の機械接続寸法、従って機械と歯車機構との同一のインターフェースにより、動力及び機能調節のための様々なサイズ及び様々なタイプの機械の使用が可能になる。動力調節、動力分散、機能の拡張、及び特性マップに関して最適化された動作による効率の向上のために、車両内の機械の数及び機械の分布を変更することができる。
【0016】
更に、機械のタイプを変更することもできる。例えば、非同期機械の形態での電気機械、または永久磁石同期機械の形態での電気機械が使用される。機械のタイプにおけるこの変更は、コスト調節、機械タイプに関して最適化された動作による効率の向上、及び駆動機構トポロジーに関する動力調節において有利である。
【0017】
構造の視点からは、それぞれの電気機械の回転子シャフトが、自動車の前進方向に対して横方向に配置されるときに有利と考えられる。対応する向きは、それぞれの歯車機構出力シャフトに関しても有利と考えられる。
【0018】
ドライブトレインの設置空間の最適化に関しては、歯車機構が、自動車の幅方向の長さに対して自動車の中央領域に配置されるときに特に有利であると考えられる。その結果、歯車機構とそれぞれの車両車軸のロードホイールとの間のシャフト、特に多関節シャフトを比較的長く設計することができ、湾曲角度に関する対応する利点を伴う。ドライブトレインが2つの電気機械を備えて形成されるときに、それに従って歯車機構が電気機械の間に配置される。
【0019】
ドライブトレインが2つの電気機械を備えて形成されるときに、一方の電気機械が非同期機械の形態であり、他方の電気機械が永久磁石同期機械の形態であるときに特に有利と考えられる。これらの異なるタイプの電気機械の組合せは、効率に関する利点を生み出す。例えば、速度または負荷範囲に応じたこれら2つの電気機械タイプの切替えを行うことができる。機械を停止させる、または機械を切り離すことも可能である。
【0020】
歯車機構は、好ましくは、2段歯車機構の形態である。この場合、例えば、歯車機構は、中間シャフトを有する3シャフト設計であるか、または、遊星歯車設計の第1の段と平歯車設計の第2の段とを備える歯車機構として設計される。この種の2段歯車機構は、低コストで高い効率を有する。コンパクトな歯車機構を、特に車両の中央に形成することができる。車両の中央の領域から動力出力を行うことができ、それにより、小さい湾曲角度を有する長いドライブシャフトを形成することができる。2つのギアホイール段によって、効率的な歯車システムを形成することができる。基本的には、電気機械を用いて動作することが可能である。更に、少なくとも1つの電気機械が、切離しデバイスによって任意選択で切り離されることを企図することができる。浸漬給油が歯車機構で提供され、従ってオイルポンプを必要としないのが好ましい。特に、歯車機構の出力は、一輪駆動の場合以外は、関連の機械的な差動装置を有する。
【0021】
本発明のさらなる特徴は、従属請求項、添付図面、及び図面に示される好ましい例示的実施形態の説明において、該例示的実施形態に限定せずに見ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】駆動機構トポロジーに関して例示した、自動車の前車軸及び後車軸に関するドライブトレインを示す図である。
図2】駆動機構トポロジーに関して例示した、自動車の前車軸及び後車軸に関するドライブトレインを示す図である。
図3】駆動機構トポロジーに関して例示した、自動車の前車軸及び後車軸に関するドライブトレインを示す図である。
図4】駆動機構トポロジーに関して例示した、自動車の前車軸及び後車軸に関するドライブトレインを示す図である。
図5】駆動機構トポロジーに関して例示した、自動車の前車軸及び後車軸に関するドライブトレインを示す図である。
図6】駆動機構トポロジーに関して例示した、自動車の前車軸及び後車軸に関するドライブトレインを示す図である。
図7】駆動機構トポロジーに関して例示した、自動車の前車軸及び後車軸に関するドライブトレインを示す図である。
図8】トルク/回転速度グラフにおける、ドライブトレインで使用される電気機械の様々なサイズの影響を示す図である。
図9】トルク/回転速度グラフにおける、ドライブトレインで使用される電気機械の様々なタイプの影響を示す図である。
図10】実質的に上から見た、加算型の歯車機構の形態であるときのドライブトレインの一実施形態を示す図である。
図11】車両の車軸の方向で見た、図10に示されるドライブトレインを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、乗用車の形態での自動車の平面図において、4つの曲線区間1によって示されるその自動車の隅部の外形を示す。2つの前輪が、自動車の前車軸2に関連付けられ、2つの後輪5が、自動車の後車軸4に関連付けられる。前車軸2は、独立したドライブトレイン6の構成部品を成す。後車軸4は、独立したドライブトレイン6の構成部品を成す。ドライブトレイン6は様々な構成であり、ドライブトレイン6の設計を以下でより詳細に述べる。
【0024】
歯車機構ハウジング8を有する歯車機構7が、後車軸4に関連付けられる。この歯車機構ハウジング8は、標準化されたハウジングである。従って、以下に述べるすべての駆動機構トポロジーに関して同一の設計である。ハウジング8は、1つまたは2つの電気機械を受けるため、及び後車軸4、従って後輪5に関連付けられる2つの歯車機構出力シャフト9を受けるためのものである。具体的には、ハウジング8は、2つの電気機械10及び11を受ける。これらの電気機械は、ハウジング8に、具体的にはハウジング8の互いに反対の側にフランジ接続され、従って、歯車機構7は2つの電気機械10と11の間に配置される。電気機械10及び11の出力シャフト12は、歯車機構7のギアホイール14と噛み合うピニオン13を有する。従って、この歯車機構7は、加算型の歯車機構の形態である。代替形態として、電気機械10及び11の出力シャフト12は、歯車機構7のギアホイール14と噛み合うピニオン13を有する歯車機構入力シャフトに固定される。更に、どちらの場合にも、所要の伝達比を生じるためにピニオン13とギアホイール14の間に中間シャフトを配置することも可能である。
【0025】
自動車の前車軸2のドライブトレイン6は、関連の歯車機構15を有し、歯車機構15は、歯車機構7のハウジング8に対応するハウジング8を有し、ここでは、この歯車機構15の運動学的動作が変更されている。例えば、ただ1つの電気機械16が、その電気機械16の接続用に提供されたハウジング8のベアリングフランジに接続され、他方の電気機械のためにハウジング8の他方の側に位置されたベアリングフランジは空いており、この領域で、ハウジング8はカバーによって閉じられる。電気機械16の出力シャフト12はピニオン13に接続され、ピニオン13はギアホイール14と噛み合い、このギアホイール14は、後車軸4のために提供されるギアホイール14よりも小さいことがある。
【0026】
後車軸4の2つの電気機械10と11は、同一でも異なっていてもよい。前車軸2の電気機械16は、後車軸4の電気機械10、11と同一でも異なっていてもよい。
【0027】
図1に関して説明するこの駆動コンセプトは、好ましくは中級車の部門、特にスポーツカーで使用される。
【0028】
以下の図の説明では、分かりやすくするために、構造または機能に関して図1による部分に対応するそれぞれのドライブトレイン6の部分には同じ参照符号が付されている。
【0029】
中級車の部門及び/またはスポーツカーで使用されている、図2に示される自動車の変形形態は、図1によるドライブトレイン6が、後車軸4のためだけでなく前車軸2のためにも実装されている点のみが、図1による自動車と異なる。これに関して、前車軸2は、2つの電気機械10及び11によって駆動される。
【0030】
高級車の部門及び/または特にその部門のスポーツカーで使用されている、図3に表される駆動コンセプトは、一輪駆動を可能にするハウジング8を備える歯車機構18が後車軸4のために使用される点で、図1に表される駆動コンセプトと異なる。従って、図3による実施形態では、後車軸4に関して、電気機械10と11の2つのピニオン13は、共通のギアホイールに係合せずに、別々のギアホイール17、17に係合し、それぞれのギアホイール17が歯車機構出力シャフト9に接続される。従って、歯車機構18は、2つの歯車機構の構成要素を有する。
【0031】
図4によるドライブトレインの改良形態も、特に、高級車の部門、この部門でのスポーツカーで使用される。この場合、前車軸2と後車軸4の両方が、図3で述べた歯車機構18を備える一輪駆動機構を有する。従って、この車両では4つの電気機械10、11が提供される。
【0032】
図3及び図4による実施形態でも、やはり同じハウジング8が使用される。従って、図1による変形形態から図4による変形形態に基づき、電気機械の数及び機械のタイプを選択することによって、純電気式で駆動させることができるそれぞれの自動車の駆動コンセプトにおける機能及び/または動力を増加させることができる。
【0033】
図5における例示によるドライブトレインは、図1によるドライブトレインに対して変更されており、前車軸2のドライブトレイン6の設計が同一であるという仮定の下で、後車軸4のドライブトレイン6もただ1つの電気機械16を有し、この電気機械16は、歯車機構15のハウジング8に接続される。しかし、この実施形態では、前車軸2の領域では、電気機械16が左側に配置され、歯車機構15が右側に配置され、後車軸4の領域では、電気機械16が右側に配置され、歯車機構15が左側に配置される。2つの電気機械16は、車軸2と車軸4の間に配置される。この実施形態でも、やはり同じハウジング8が使用されるが、そのハウジングに異なる電気機械16をフランジ接続することができる。従って、電気機械と歯車機構とのインターフェースの領域での機械接続寸法は同じであり、その結果、動力及び機能調節のために様々なサイズ及び様々なタイプの機械を使用することができる。従って、例えばモータのタイプ、例えば非同期機械または永久磁石同期機械を、選択することができる。
【0034】
図6は、同じハウジング8が使用されるときに対称的な動力分散を実現するための自動車の2つのドライブトレインの構成を示す。図7は、非対称的な動力分散が生じるようにした変形形態を示す。
【0035】
図8によるグラフは、機械の回転速度の関数として、前述の電気機械によって出力されるトルクに対する、使用される電気機械のサイズの影響を示す。該グラフは、大きな電気機械と小さな電気機械の効率に関する特性マップ、この例では、大きな永久磁石同期機械の効率に関する特性マップ19と、小さな永久磁石同期機械の効率に関する特性マップ20とで、高い効率の領域が重なっていることを示す。効率に関する利点は、機械を停止させる、または機械を切り離す選択が出来る比較的小さな電気機械を用いることにより繰り返し動作で生み出される。
【0036】
対応するグラフにおいて、図9は、機械のタイプの影響を示す。該グラフは、永久磁石同期機械の効率に関する特性マップ19と、非同期機械の効率に関する特性マップ21とを示す。周期動作において、効率に関する利点は、これらの異なるタイプの電気機械の組合せと、速度または負荷範囲に応じた電気機械タイプの切替えとによって生み出される。また、機械を停止させる、または機械を切り離すことも可能である。
【0037】
図10及び図11は、加算型の歯車機構の形態にて可能な歯車機構7の構成の一つを示す。歯車機構7は、2段歯車機構である。歯車機構7は、中間シャフトを有する3シャフト設計である。2つの電気機械10及び11が歯車機構7と相互作用する。機械的な差動装置22が、歯車機構7の動力出力側に関連付けられる。該図面は、2つの電気機械10、11の一方を切り離すための、歯車機構7に関連付けられる切離しデバイスを示さない。参照番号23は、電気機械10または11に関連付けられるそれぞれのパワーエレクトロニクスを示す。
【0038】
図10及び図11に示されるドライブトレイン6の構成により、矢印によって示される車両の前進方向24に対して横方向で、コンパクトな歯車機構7を車両の中央に形成できるようになる。2つのギアホイール段を用いて、効率的な歯車システムを実現可能である。ドライブトレインは、1つの機械によって動作させることもできる。このために、該機械は、非同期機械の形態である場合には、切離しデバイスによって切り離される。該機械が永久磁石同期機械の形態である場合には、切離しデバイスは必要でない。歯車機構7で浸漬給油が使用され、従ってオイルポンプを必要としないのが好ましい。
【符号の説明】
【0039】
2、4 車両車軸
3、5 ロードホイール
6 ドライブトレイン
7、15、18 歯車機構
8 ハウジング
9 歯車機構出力シャフト
10、11、16 電気機械
24 前進方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11