(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくともバインダー樹脂を含む現像剤と、静電潜像を担持する像担持体に前記現像剤を供給し現像する現像剤担持体と、前記現像剤担持体の表面に接触して現像剤の層を規制する層規制部材と、を有する現像部を複数備える画像形成装置において、
前記バインダー樹脂に金属酸化物を含む第1の現像剤を用いる第1の現像部と、
前記バインダー樹脂に金属酸化物を含まない第2の現像剤を用いる第2の現像部とを有し、
前記第1の現像部における現像剤担持体に加わる前記層規制部材からの圧力が、前記第2の現像部における現像剤担持体に加わる前記層規制部材からの圧力よりも小さくなることを特徴とする画像形成装置。
前記第1の現像部の前記層規制部材の単位長さあたりに加わる力である線圧が、前記第2の現像部の前記層規制部材の線圧よりも小さくなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
前記層規制部材は折り曲げ加工した構造であり、前記固定端から折り曲げ加工部間に撓み部を、折り曲げ加工部にエッジ部を、前記エッジ部の前記撓み部と反対側に折り曲げ片を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
前記第1の現像部における前記層規制部材の撓み量は、前記第2の現像部における前記層規制部材の撓み量よりも小さいことを特徴とする請求項5又は6に記載の画像形成装置。
前記第1の現像部における前記層規制部材と前記現像剤担持体との接触部の接触面積は、前記第2の現像部における前記層規制部材と前記現像剤担持体との接触部の接触面積より大きいことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
前記層規制部材は折り曲げ加工した構造であり、前記固定端から折り曲げ加工部間に撓み部を、折り曲げ加工部にエッジ部を、前記エッジ部の前記撓み部と反対側に折り曲げ片を有することを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
前記第1の現像部における前記層規制部材は前記現像材担持体と前記撓み部で接し、前記第2の現像部における前記層規制部材は前記現像剤担持体と前記エッジ部で接していることを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、画像形成装置としてのカラープリンタについて説明する。
【0013】
図1は本発明の第1の実施の形態における画像形成装置の概略図である。
【0014】
画像形成装置としてのカラープリンタ1は媒体補給ユニット2、画像形成部3、定着ユニット4及び排出部材5を備える。
【0015】
媒体補給ユニット2はカラープリンタ1の下部に配設され、媒体収容部としての媒体トレイ6、給紙部材としてのホッピングローラ7及び搬送部材としての搬送ローラ8を備えている。
【0016】
媒体トレイ6は印刷媒体としての用紙Pを積載した状態で収容する。ホッピングローラ7は、媒体トレイ6に収容された用紙Pを媒体トレイ6より繰り出し、搬送ローラ8は繰り出された用紙Pを画像形成の中心となる画像形成部3に搬送する。
【0017】
画像形成部3は、媒体補給ユニット2の上部に位置し、露光ユニット11−1、11−2、11−3、11−4と、各露光ユニットに対応するように配置された画像形成ユニットとしてのイメージドラムユニット12−1、12−2、12−3、12−4、及び転写ベルトユニット13を備え、4色によるカラープリントが可能となっている。なお、露光ユニット11−1、11−2、11−3、11−4を総称して露光ユニット11、イメージドラムユニット12−1、12−2、12−3、12−4を総称してイメージドラムユニット12と、それぞれ表記する。
【0018】
露光ユニット11は、用紙Pが搬送される経路の上流より11−1、11−2、11−3、11−4の順にイメージドラムユニット12に対応するように配置されている。露光ユニット11は、光照射により画像部又は画像部以外の帯電電荷を除去して静電潜像を形成するための装置であり、LEDヘッドを用いるLED方式、レーザー光を用いるレーザー方式等があるが、本実施の形態においてはLED方式を用いている。
【0019】
イメージドラムユニット12は、用紙Pが搬送される経路の上流より12−1、12−2、12−3、12−4の順に一列に転写ベルトユニット13上に配置され、それぞれ別の色のトナーが収容される。本実施の形態においてイメージドラムユニット12−1には白色の現像剤としての白トナーが収容され、イメージドラムユニット12−2、12−3、12−4には他の色の現像剤としてのイエロートナー、マゼンタトナー、シアントナーがそれぞれ収容されている。イメージドラムユニット12で現像されたトナー像は後述の転写ベルト18上で用紙Pに転写される。イメージドラムユニット12についての詳しい説明は後述する。なお、イエロー、マゼンタ、シアン以外の色のトナーとして金属酸化物を含まない他色のトナーをイメージドラムユニット12−2、12−3、12−4に収容しても構わない。
【0020】
転写ベルトユニット13は、各イメージドラムユニット12に対応して配置される転写部材としての転写ローラ17と、媒体保持装置としての転写ベルト18と、ベルト駆動ローラ19と、ベルト駆動ローラ19に連動して動く従動ローラ20とを備える。転写ローラ17は、各イメージドラムユニット12内の像担持体としての各感光体ドラム31に対向するように配置され、感光体ドラム31で現像されたトナー像を用紙Pに転写する。転写ベルト18は各感光体ドラム31と各転写ローラ17との間を通過するように設けられ、用紙Pを搬送する。ベルト駆動ローラ19は転写ベルト18を駆動させるための駆動手段であり、ベルト駆動ローラ19と従動ローラ20で転写ベルト18が張架されるように設置される。
【0021】
定着ユニット4は加熱ローラ27と加圧ローラ28を備える。加熱ローラ27は発熱体より発せられた熱を用紙Pに伝え、加圧ローラ28は加熱ローラ27との間で圧力を加えることによって、用紙Pにトナー像を定着させる。
【0022】
定着ユニット4でトナー像が定着された用紙Pは排出部材5によりカラープリンタ1からプリンタ上部に設置された積載部Sに排出され、積載される。
〔イメージドラムユニット〕
次に、
図2に基づいて、白トナー以外のトナーを用いた場合の露光ユニット11、イメージドラムユニット12及び電源の構成について説明する。
【0023】
図2は本発明の第1の実施の形態における白トナー以外のトナーを用いた場合の露光ユニット、イメージドラムユニット及び電源の構成図である。
【0024】
この場合、
図2において、イメージドラムユニットは12−2である。
【0025】
カラープリンタ1は別々の色のトナーが入ったイメージドラムユニット12及び転写ローラ17を複数並べ現像することで、カラープリントを可能としている。
【0026】
イメージドラムユニット12−2にはイエロートナーが収容され、一方向に回転する感光体ドラム31と、感光体ドラム31の回転方向に沿って、感光体ドラム31の表面を一様に帯電させる帯電部としての帯電ローラ32と、感光体ドラム31の表面に形成された静電潜像をトナーにより現像する現像部33aと、転写後に感光体ドラム31の表面に残るトナーを除去するためのクリーニング部材34とを有している。
【0027】
感光体ドラム31は有機系感光体であり、導電性支持体とその表面の光導電層によって構成されている。導電性支持体はアルミニウムの金属パイプであり、光導電層は電荷発生層と電荷輸送層とを積層したものである。また、感光体ドラム31は転写ローラ17に対向する場所に位置し、静電潜像を担持する。帯電ローラ32は金属シャフトと半導電性ゴム層によって構成され感光体ドラム31と接触している。クリーニング部材34はポリウレタンゴム等のゴム状弾性体を備え、感光体ドラム31に対してカウンタで当接している。
【0028】
現像部33aは静電潜像をトナーによって現像する現像剤担持体としての現像ローラ37と、現像ローラ37にトナーを供給する供給部材としての供給ローラ38と、現像ローラ37に供給されたトナーの層厚を規制する層規制部材としての現像ブレード39aとを有している。なお、総称としての現像ブレードは現像ブレード39、総称としての現像部は現像部33と、それぞれ表記する。
【0029】
現像ローラ37は金属シャフトと半導電性ウレタンゴム材等によって構成され、感光体ドラム31と当接している。供給ローラ38は金属シャフトと発泡性のシリコーンゴム材等によって構成され、現像ローラ37と接触している。
【0030】
また、帯電ローラ32、転写ローラ17、現像ローラ37、供給ローラ38は、それぞれ、電圧印加手段としての帯電ローラ用電源21、転写ローラ用電源22、現像ローラ用電源23、供給ローラ用電源24に接続され、バイアスが印加されるようになっている。帯電ローラ用電源21、転写ローラ用電源22、現像ローラ用電源23及び供給ローラ用電源24を総称して電源14と表記する。
【0031】
次に、
図3に基づいて現像ブレード39について説明する。
【0032】
図3は本発明の第1の実施の形態における現像ブレードを示す図である。なお、
図3(a)は現像ブレードの断面図、
図3(b)は現像ブレードの斜視図である。
【0033】
図において、矢印A方向を短手方向と定義し、矢印B方向を長手方向と定義する。現像ブレード39は、略L字型に加工された金属板、本実施の形態においては、SUS(ステンレス鋼)製の板材によって構成され、短手方向の略L字型に加工されていない一端側は、固定端部40とされ、イメージドラムユニット12内に設置された取付部材45に固定され、他端側は自由端部41とされ、一部が現像ローラ37に当接させられる。
【0034】
また、現像ブレード39は、短手方向において、取付部材45に固定された部分から折り曲げ部の間に形成された撓み部42、折り曲げ部を形成するエッジ部43、及びエッジ部43より自由端方向に延びる折り曲げ片44を有している。短手方向における現像ブレード39の撓み部42の長さは17mm、エッジ部43の曲げ角度は90度、曲率半径は0.3mmで折り曲げ片44の長さは1.4mmとしている。
【0035】
次に、
図2に基づいて、イメージドラムユニット12の動作について説明する。
【0036】
感光体ドラム31は帯電ローラ用電源21に接続された帯電ローラ32に接触して配置され、電源を入れると帯電ローラ32により表面が一様に帯電させられる。このとき感光体ドラム31の表面の帯電電位は約−600Vになる。
【0037】
そして、露光地点において、感光体ドラム31に露光ユニット11から出力された画像信号に対応する光が照射され、電荷が移動することで、感光体ドラム31表面に静電潜像が形成される。このとき静電潜像が形成されている感光体ドラム31の表面の帯電電位は約−50Vになる。
【0038】
一方、供給ローラ38は現像ローラ37と当接し、トナーを帯電させるとともに、現像ローラ37との周速比を一定に保ちながら互いに回転動作することによりトナーを現像ローラ37へ供給する。具体的には現像ローラ37の周速は202mm/sec、供給ローラ38の周速は140mm/secであり、周速比はおよそ1:0.7となっている。供給ローラ38は供給ローラ用電源24に接続されており、このときの供給ローラ38の供給電位は約−350から−400Vとなる。
【0039】
供給ローラ38から供給されたトナーは、現像ローラ37の上に層状に積層される。現像ローラ用電源23により、現像ローラ37は約−200Vに保たれ、現像ローラ37は回転しトナーを搬送する。
【0040】
トナーを保持しながら、現像ローラ37が感光体ドラム31に向けて回転する途中で、現像ブレード39が現像ローラ37に当接するように設置されている。現像ブレード39は現像ローラ37上のトナーを薄層化するとともに摩擦等によりトナーを帯電させる。
【0041】
現像ローラ37と感光体ドラム31とが当接する面において、感光体ドラム31上の静電潜像を形成している部分では、帯電したトナーは電位差により感光体ドラム31側に移動し、現像される。一方、静電潜像を形成していない部分ではトナーが感光体ドラム31側に移動せず、トナーは現像ローラ37に層状に付着したままとなる。付着したままとなったトナーは現像ローラ37の回転により供給ローラ38側に移動し、供給ローラ38により新たに供給されたトナーと共に再び現像ローラ37上に積層する。
【0042】
現像ローラ37によりトナー像を保持した感光体ドラム31は回転を続け、転写ベルトユニット13によってトナー像が用紙Pに転写される。
【0043】
トナー像が転写された後、感光体ドラム31はそのまま回転し、クリーニング部材34とカウンタで当接しているカウンタ地点にさしかかる。カウンタ地点では、転写されずに感光体ドラム31上に残留したトナーをクリーニング部材34が掻き取り、感光体ドラム31上に残留トナーが発生しないようにする。
【0044】
感光体ドラム31はさらに回転し、帯電ローラ32との接触面に達し帯電させられ、以後印刷終了まで印刷動作を繰り返す。
〔トナー〕
トナーは、バインダー樹脂としての結着樹脂(例えば、ポリエステル系樹脂、スチレンアクリル共重合樹脂等)と、着色剤と、ワックスとを混合して凝集して作成されたトナー母粒子に、外添剤(例えば、帯電制御剤、酸化防止剤等)が添加されている。トナーの粒径は、5〜9μmとする。ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンのトナー用着色剤として用いられている顔料は、例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミンレーキ、キナクリドン、カーミン6B、ジスアゾイエローなどの金属酸化物ではない着色剤が用いられる。着色剤の含有量は、結着樹脂100(重量部)に対して2〜20(重量部)添加される。それに対して、白トナーの場合、着色剤として、一般的には無機系の材料、例えば、酸化チタンや酸化亜鉛、酸化アルミニウムのような金属酸化物が用いられる。本実施の形態においては、着色剤として酸化チタンを用いる白トナーを用いる。隠蔽率が良好な酸化チタンを着色剤として用いる場合は、酸化チタンの含有量は隠蔽率を上げるために、結着樹脂100(重量部)に対して25〜35(重量部)添加される。着色剤に無機系の材料を用いる白トナーは、他の色(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)のトナーと比べて、比重が大きく、顔料も多く添加しているため、白トナーは他の色のトナーに対して1.6〜2.0倍重い。
【0045】
本実施の形態においては、結着樹脂に金属酸化物を含む第1の現像剤として白トナーを用い、結着樹脂に金属酸化物を含まない第2の現像剤として白トナー以外のトナーを用いる。また、第1の現像剤を用いる第1の現像部として白トナーを用いるイメージドラムユニットを用い、第2の現像剤を用いる第2の現像部として白トナー以外を用いるイメージドラムユニットを用いる。
〔第1の実施の形態の特徴〕
次に、第1の実施の形態のカラープリンタ1内のイメージドラムユニット12の特徴について
図2及び4を用いて説明する。
【0046】
図4は本発明の第1の実施の形態における白トナーを用いた場合の露光ユニット、イメージドラムユニット及び電源の構成図、
図5は本発明の第1の実施の形態における現像ブレードの撓み量を説明するための図である。
【0047】
図4に示される白トナーを用いたイメージドラムユニット12−1は、
図2の白トナー以外のトナーを用いたイメージドラムユニット12−2とは別の構造を有する。現像ブレード39の取付位置が
図2と
図4とで異なるので、
図2において、現像ブレードを39aとし、現像部を33aとし、
図4において、現像ブレードを39bとし、現像部を33bとする。
【0048】
図4に示される、白トナーが収容されているイメージドラムユニット12−1では、
図2に示される、白トナー以外のトナーが収容されているイメージドラムユニット12−2と比べ現像ブレード39bによって現像ローラ37に加えられる線圧が小さくなるように設計されている。
【0049】
第1の実施の形態においては、現像ブレード39a、39bはエッジ部43で現像ローラ37と当接しているため、イメージドラムユニット12−1、12−2における接触部の幅は同じにされる。線圧を接触部の幅で割ることにより、現像ブレード39a、39bが現像ローラ37を押す圧力、すなわち、接触圧力が求められるため、第1の実施の形態における線圧が小さくなるということは接触圧力が小さくなることと同等と言える。
【0050】
また、
図5に示されるように、現像ブレード39が現像ローラ37に接触しなかったと仮定した場合のエッジ部43の位置と、実際に現像ローラ37と接触しているエッジ部43の位置との距離を撓み量とすると、撓み量が大きくなるほど、現像ブレード39によって現像ローラ37に加えられる接触圧力も大きくなる。すなわち、撓み量を比較することで、現像ブレード39によって現像ローラ37に加えられる接触圧力も比較することができる。
【0051】
第1の実施の形態では、現像部33aと現像部33bの現像ローラ37は、それぞれ同じ材質・大きさのものを使用している。また、現像ブレード39a、現像ブレード39bもそれぞれ同じ材質・大きさのものを使用している。また、現像ブレード39が当接する現像ローラ37上の位置は同じで、現像ブレード39a、39bの取付位置p1、p2が異なっている。そのため、現像ローラ37の中心から現像ブレード39a、39bの取付位置p1、p2までの距離は現像ローラ37と現像ブレード39a、39bの接触部から現像ブレード39a、39bの取付位置p1、p2までの距離に対応する関係になっている。本実施の形態では、イメージドラムユニット12−1において現像ローラ37の中心から現像ブレード39bの取付位置p1までの距離L1は30mmで、白トナー以外を用いるイメージドラムユニット12−2において現像ローラ37の中心から現像ブレード39aの取付位置p2までの距離L2は25mmとしている。その結果、L1>L2となり、また、同じ現像ローラ37、現像ブレード39を使用しているため、現像ブレード39bは現像ブレード39aに比べ、撓み量が小さい。つまり、現像ブレード39bの取付位置p1を現像ローラ37の中心から5mm離すことによって、現像ブレード39bによって現像ローラ37に加えられる線圧を、現像ブレード39aによって現像ローラ37に加えられる線圧より低くすることができる。
【0052】
具体的には白トナー以外のトナーを用いたときの現像ブレード39aの線圧は15.5gf/cmであったが、白トナーを用いたイメージドラムユニット12−2の現像ブレード39bの線圧は10.9gf/cmとなっている。また、白トナーを用いたイメージドラムユニット12−2では線圧が小さくなるのに伴って、トナーの帯電量が低下し、トナー層厚が不安定になる。なお、線圧は現像ブレード39の単位長さ当たり現像ローラ37に加わる力のことである。
【0053】
次に、白トナーを用いる現像部33b及びイエロー・シアン・マゼンタを用いる現像部33aにおいて現像ブレード39の取付位置p1、p2を変更したときのスジ・帯(スジ及び帯)の発生状態及び画像の濃度について説明する。
【0054】
図6は本発明の第1の実施の形態におけるスジ・帯の発生状態及び画像の濃度の比較結果を示す図である。
【0055】
この場合、A4判の用紙Pに2万枚の印刷を行った後に、中間調濃度のパターンと100%濃度のパターンを印刷して、画像にスジ・帯が発生したかどうかを判断するとともに、画像の濃度を判断した。
【0056】
スジ・帯に関する判断基準は、目視で幅が1mm以上のスジ・帯が確認できた場合をNGとし、確認できなかった場合をOKとしている。また、画像の濃度に関しての判断基準は、濃度計X−Rite528(X−Rite製)を用い、1.3以下または1.7以上ならばNG、それ以外ならばOKとしている。なお、条件Aとは、取付位置をp1とし、線圧が10.9gf/cmとなる条件であり、条件Bとは、取付位置をp2とし、線圧が15.5gf/cmとなる条件である。
【0057】
比較例1では白トナーを用いる現像部33bとイエロー・シアン・マゼンタを用いる現像部33aと共に条件Aを適用し、比較例2では白トナーを用いる現像部33bとイエロー・シアン・マゼンタを用いる現像部33aと共に条件Bを適用して判定を行った。また、本発明では白トナーを用いる現像部33bには条件Aを、イエロー・シアン・マゼンタを用いる現像部33aには条件Bを適用し、比較例3では白トナーを用いる現像部33bには条件Bを、イエロー・シアン・マゼンタを用いる現像部33aでは条件Aを適用して判定を行った。比較例1ではスジ・帯はOKと判定されたが、濃度はNGと判定された。比較例2ではスジ・帯はNGと判定されたが、濃度はOKと判定された。本発明ではスジ・帯、濃度共にOKと判定された。比較例3ではスジ・帯、濃度共にNGと判定された。イエロー・シアン・マゼンタを用いる現像部33aに条件Aを適用すると、濃度がNGと判定されてしまう。これは、現像ブレード39a、現像ローラ37間の接触圧力が小さくなるため、画像形成に十分な濃度が出せなくなってしまうからである。一方、白トナーを用いる現像部33bに条件Bを適用すると、スジ・帯が生じ、NGと判定されてしまう。これは、白トナーが硬い着色剤である酸化チタンを多く含み、硬いトナー粒子が現像ブレード39bに擦り付けられることで現像ブレード39bが傷つきやすくなり摩耗しやすくなるためである。
図6によりイエロー・シアン・マゼンタを用いる現像部33aには条件Bを適用し、白トナーを用いる現像部33bには条件Aを適用することで、画像不良のない画像を得られる。
【0058】
本実施の形態により、白トナーを用いる現像部33bにおいて現像ブレード39bの線圧を小さく抑えることで、画像不良の発生を抑制することができる。なお、エッジ当接以外の当接方法でも現像ブレード39と現像ローラ37の当接部における線圧を変えることで、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0059】
一方で、現像ブレード39bから現像ローラ37にかかる接触圧力を減少させることで、トナーの帯電量が低下し、潜像を忠実に再現する能力、すなわち、ドット再現性が低下することが考えられる。しかし、白トナーを用いた場合にはこの問題の影響が少ない。白トナーの使用方法は、一般的に、例えば色紙や黒紙など色のついた媒体や透明素材などの媒体に白トナー画像により下引きを行い、すなわち、下地に白トナーを均一に隙間無く塗布することで隠蔽層を形成し、その上にカラー画像を形成することで地色の影響を軽減し発色性を向上させている。そのため、他の色のトナーと比べてドット再現性に対する要求度が低く、ドット再現性がある程度低下しても問題にならない。
【0060】
以上、第1の実施の形態に基づき、白トナーを用いるイメージドラムユニット12−1で現像ブレード39bの取付位置p1を調整し、現像ブレード39bの線圧を抑えることで、現像ブレード39bの摩耗を防ぎ、良好な画像を得ることができる。
【0061】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、カラープリンタ1の概略については、第1の実施の形態と同様なので説明を省略する。
〔イメージドラムユニット〕
図7は本発明の第2の実施の形態における白トナーを用いた場合の露光ユニット、イメージドラムユニット及び電源の構成図である。
【0062】
本実施の形態においては、白トナー以外のトナーを用いたイメージドラムユニット12−2として、
図2に示されるものが、白トナーを用いたイメージドラムユニット12−1として、
図7に示されるものが使用される。
【0063】
前記イメージドラムユニット12−1は、感光体ドラム31、帯電ローラ32、クリーニング部材34、及び感光体ドラム31の表面に形成された静電潜像をトナーにより現像する現像部33cを備える。また、現像部33cは現像ローラ37、供給ローラ38、及び現像ローラ37に供給されたトナーの層厚を調整する層規制部材としての現像ブレード39cを備える。
〔第2の実施の形態の特徴〕
次に、現像ブレード39cと現像ローラ37との関係について説明する。
【0064】
図8は本発明の第2の実施の形態における現像ブレードと現像ローラとの関係を示す図、
図8(a)は白トナー以外のトナーを用いたときの現像ブレードと現像ローラとの関係を示す図、
図8(b)は白トナーを用いたときの現像ブレードと現像ローラとの関係を示す図である。
【0065】
第2の実施の形態では、
図8(a)に示すように、白トナー以外のトナーを用いたとき第1の実施の形態と同様に現像ブレード39aはエッジ部43で現像ローラ37と接触し、いわゆるエッジ当接している(当接面α)。また、
図8(b)に示すように、白トナーを用いたとき現像ブレード39cは撓み部42で現像ローラ37と接触し、いわゆる腹当て当接している(当接面β)。本実施の形態では、現像ブレード39cはほぼL字型に折り曲げ加工したものを用いているが、折り曲げ加工していない平板ブレードを腹当て当接させる形態であっても構わない。
【0066】
このような構成にすると、現像ブレード39と現像ローラ37の接触面積の大きさの違いにより、現像ブレード39と現像ローラ37との間の接触圧力を変えることができる。
【0067】
図9は本発明の第2の実施の形態における白トナーを用いる現像部及びイエロー・シアン・マゼンタを用いる現像部の現像ブレードの接触面積及び接触圧力を示す図である。
【0068】
第2の実施の形態においては、
図9に示されるように、白トナー以外のトナーを用いた場合に、現像ブレード39aと現像ローラ37との接触面積は0.34cm
2 であり、現像ブレード39aによって現像ローラ37に1.25kgf/cm
2 の接触圧力が加わるのに対し、白トナーを用いた場合には、現像ブレード39aと現像ローラ37との接触面積は0.51cm
2 であり、現像ブレード39aによって現像ローラ37に0.63kgf/cm
2 の接触圧力が加わることになる。
【0069】
例えば、現像ブレード39から現像ローラ37に加わる力を同等としたとき、接触圧力は接触面積に反比例するため、本実施の形態のように当接面αが当接面βの三分の二の接触面積の場合、白トナー以外のトナーを用いたときの接触圧力は、白トナーを用いたときの接触圧力の1.5倍となる。
【0070】
次に、白トナーを用いる現像部33c及びイエロー・シアン・マゼンタを用いる現像部33aにおいて現像ブレード39の取付位置を変更したときのスジ・帯(スジ及び帯)の発生状態及び画像の濃度について説明する。
【0071】
図10は本発明の第2の実施の形態におけるスジ・帯の発生状態及び画像の濃度の比較結果を示す図である。
【0072】
この場合、A4判の用紙Pに2万枚の印刷を行った後に、中間調濃度のパターンと100%濃度のパターンを印刷して、画像にスジ・帯が発生したかどうかを判断するとともに、画像の濃度を判断した。
【0073】
スジ・帯に関する判断基準は、目視で幅が1mm以上のスジ・帯が確認できた場合をNGとし、確認できなかった場合をOKとしている。また、画像の濃度に関しての判断基準は、濃度計X−Rite528(X−Rite製)を用い、1.3以下または1.7以上ならばNG、それ以外ならばOKとしている。なお、条件Cにおいては、現像ブレード39と現像ローラ37と間の接触面積が0.34cm
2 にされ、現像ブレード39によって現像ローラ37に1.25kgf/cm
2 の接触圧力が加わり、条件Dにおいては、現像ブレード39と現像ローラ37との間の接触面積が0.51cm
2 にされ、現像ブレード39によって現像ローラ37に0.63kgf/cm
2 の接触圧力が加わる。
【0074】
比較例4では白トナーを用いる現像部33cとイエロー・シアン・マゼンタを用いる現像部33aと共に条件Cを適用し、比較例5では白トナーを用いる現像部33cとイエロー・シアン・マゼンタを用いる現像部33aと共に条件Dを適用して判定を行った。また、比較例6では白トナーを用いる現像部33cは条件Cを、イエロー・シアン・マゼンタを用いる現像部33aには条件Dを適用し、本発明では白トナーを用いる現像部33cには条件Dを、イエロー・シアン・マゼンタを用いる現像部33aでは条件Cを適用して判定を行った。比較例4ではスジ・帯はNGと判定され、濃度はOKと判定された。比較例5ではスジ・帯はOKと判定され、濃度はNGと判定された。比較例6ではスジ・帯、濃度共にNGと判定された。本発明ではスジ・帯、濃度共にOKと判定された。イエロー・シアン・マゼンタを用いる現像部33aに条件Dを適用すると、濃度がNGと判定されてしまう。これは、現像ブレード39a、現像ローラ37間の接触圧力が小さくなるため、画像形成に十分な濃度が出せなくなってしまうからである。一方、白トナーを用いる現像部33cに条件Cを適用すると、スジ・帯に関しNGと判定されてしまう。これは、白トナーが酸化チタンなどの無機性の硬い材料を多く含み、硬いトナー粒子が現像ブレード39cに大きな接触圧力で擦り付けられることで現像ブレード39cが傷つきやすくなり摩耗しやすくなるためである。
図9により、イエロー・シアン・マゼンタを用いる現像部33aには条件Cを適用し、白トナーを用いる現像部33cには条件Dを適用することで、画像不良のない画像を得られる。
【0075】
第2の実施の形態においても、白トナーを用いたイメージドラムユニット12−1において現像ブレード39cと現像ローラ37の接触面積を増やし、接触圧力を小さく抑えることで、画像不良のない画像を得られる。しかし、第1の実施の形態と同様に現像ローラ37と現像ブレード39cとの間の接触圧力の低下により、トナーの帯電量が低下してしまい、ドット再現性が低下することが考えられる。
【0076】
本実施の形態においては、第1の実施の形態と同様に白トナーを用いた場合にはこの問題の影響が少ない。白トナーの使用方法は、一般的に、例えば色紙や黒紙など色のついた媒体や透明素材などの媒体に白トナー画像により下引きを行い、つまり、白トナーで隠蔽層を形成し、その上にカラー画像を形成することで地色の影響を軽減し発色性を向上させている。そのため、他の色のトナーと比べてドット再現性に対する要求度が低く、ドット再現性がある程度低下しても問題にならない。
【0077】
以上、第2の実施の形態により白トナーを用いる現像部33cで現像ローラ37と現像ブレード39cの接触面積を増やし、接触圧力を減らすことにより、現像ブレード39cの摩耗を防ぎ、良好な画像を得ることができる。
【0078】
なお、前記第1、第2の実施の形態においては、白トナーを用いたものとしたが、白トナーを用いたものに限るものではない。酸化鉄(フェライト)を用いた黒色磁性トナーでも本発明の構成を用いることができ、現像ブレード39の摩耗を防ぐことができ、摩耗による画像不良を抑制することができる。
【0079】
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。