(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
通信ユニットのケーシングに形成されたコネクタ装着用の開口部に、通信線挿入孔と、この通信線挿入孔に挿入された通信線の芯線を端子板に導電状態で抜止め保持する線抜止め機構と、当該線抜止め機構を抜止め解除する解除操作体とを備えた通信回線接続用コネクタが、前記通信線挿入孔及び前記解除操作体を解除作動させる操作部が前記開口部から外部に露出する状態で装着されている通信ユニットであって、
前記ケーシングの内面と前記通信回線接続用コネクタの筐体の外面との相対向する部位の少なくとも一方には、前記筐体の外面と前記開口部の内面との間の隙間に連通する前記筐体の外面と前記ケーシングの内面との間の空隙を減少する障壁が設けられ、
前記障壁が、前記解除操作体の操作部の解除作動範囲を前記開口部側に向かって囲む状態で設けられている通信ユニット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この種の通信ユニットにおいては、ケーシングのコネクタ装着用開口部から露出する通信線挿入孔は、それに挿入接続される通信線でほぼ閉鎖されているものの、コネクタ装着用開口部の内面とそれに対面する通信回線接続用コネクタの筐体の外面との間には、コネクタ装着用開口部に対して筐体を入り込み配置するための適当な間隙が形成されている。
【0007】
コネクタ装着用開口部の内面と通信回線接続用コネクタの筐体の外面との間に形成される間隙を、コネクタ装着作業に支障のない範囲で極力小さく設定しても、通信回線接続用コネクタをケーシング内に設けられる回路基板に実装するための端子板のターミナル等が撓み変形し易いため、コネクタ装着用開口部に対して通信回線接続用コネクタが隙間の範囲内で偏る場合がある。
【0008】
その結果、通信回線接続用コネクタの偏りによって隙間の一部分が大きくなるため、この間隙の拡大した部分を通して塵埃等の異物がケーシング内に侵入し易くなり、侵入した異物によってケーシング内に設けられる回路基板等の誤作動や故障等を招来する可能性があった。
【0009】
特に、通信回線接続用コネクタの解除操作体の操作部が、筐体の一側面に解除作動可能な状態で突出配置されている場合では、この筐体の一側面とケーシングのコネクタ装着用開口部の内面との間に、解除操作体の操作部の解除作動範囲を含めた大きな隙間を確保する必要があるため、コネクタ装着用開口部に対して通信回線接続用コネクタが偏らない場合でも、この大きな隙間を通して塵埃等の異物がケーシング内に侵入し易くなる不都合がある。
【0010】
本発明は、上述の実状に鑑みて為されたものであって、その主たる課題は、ケーシングのコネクタ装着用開口部に対する通信回線接続用コネクタの組付け作業の容易化を図りながらも、両者間の隙間からの異物の侵入を抑制することのできる通信ユニットを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
通信ユニットのケーシングに形成されたコネクタ装着用の開口部に、通信線挿入孔と、この通信線挿入孔に挿入された通信線の芯線を端子板に導電状態で抜止め保持する線抜止め機構と、当該線抜止め機構を抜止め解除する解除操作体とを備えた通信回線接続用コネクタを、前記通信線挿入孔が前記開口部から外部に露出する状態で装着してある通信ユニットであって、
前記通信回線接続用コネクタの筐体の外面と前記開口部の内面との間の隙間、又は、この隙間に連通する前記筐体の外面と前記ケーシングの内面との間の空隙を経由する異物の内部侵入を規制する異物侵入規制手段が、前記ケーシングと前記筐体との相対向する部位の少なくとも一方に形成されて
いる。
【0012】
上記構成によれば、ケーシングのコネクタ装着用開口部の内面と通信回線接続用コネクタの筐体の外面との間に、コネクタ装着用開口部に対して筐体を容易に組付けるための適当な間隙が形成されていても、この隙間からの異物の内部侵入、又は、この隙間に連通する筐体の外面とケーシングの内面との間の空隙を経由する異物の内部侵入を異物侵入規制手段で規制することができる。
【0013】
しかも、異物侵入規制手段はケーシングと筐体との相対向する部位の少なくとも一方に形成されているので、コネクタ装着用開口部に対する筐体の組み付け時に、異物の侵入を規制するための特別な組付け工程を必要とせず、従来と同様の作業性を確保することができる。
【0014】
したがって、ケーシングのコネクタ装着用開口部に対する通信回線接続用コネクタの組付け作業の容易化を図りながら、両者間の隙間又はこれに連通する空隙からの異物侵入に起因する回路基板の誤作動や故障等を抑制することができる。
【0015】
前記異物侵入規制手段には、前記空隙を減じる状態で、前記ケーシングの内面と前記筐体の外面との相対向する部位の少なくとも一方に形成される空隙減少手段が備えられて
いる。
【0016】
上記構成によれば、ケーシングのコネクタ装着用開口部に対して通信回線接続用コネクタを組み付けたとき、筐体の外面とケーシングの内面との相対向する部位の少なくとも一方に形成した空隙減少手段によって空隙を減じることができるので、コネクタ装着用開口部の内面と筐体の外面との間の隙間から異物が侵入しても、この隙間に連通する空隙において異物の侵入を規制することができ、異物の内部侵入に起因する回路基板等の誤作動や故障等を抑制することができる。
【0017】
前記異物侵入規制手段には、前記開口部に装着された前記通信回線接続用コネクタの筐体の外面に当接又は圧接する状態で前記ケーシングに形成された閉塞手段が備えられて
いる。
【0018】
上記構成によれば、ケーシングのコネクタ装着用開口部に対して通信回線接続用コネクタを装着したとき、ケーシングに形成された閉塞手段が通信回線接続用コネクタの筐体の外面に当接又は圧接して前記隙間を減少することができるから、異物の内部侵入を抑制することができる。
【0019】
前記空隙減少手段が、前記筐体の外面と前記ケーシングの内面との相対向する部位の少なくとも一方に前記空隙を減じる状態で形成した障壁から構成されて
いる。
【0020】
上記構成によれば、ケーシングのコネクタ装着用開口部に対して通信回線接続用コネクタを組付けたとき、筐体の外面とケーシングの内面との相対向する部位の少なくとも一方に形成した障壁の突出分だけ、当該障壁の先端とこれに相対向する部位との間隔が減少し、異物の侵入を良好に抑制することができる。
【0021】
それ故に、筐体の外面とケーシングの内面との相対向する部位の少なくとも一方に、空隙を減じる障壁を形成するだけであるから、簡単な構造の改良で空隙減少手段を構成することができる。
【0022】
前記閉塞手段が、前記ケーシングにおける前記開口部の周縁部の少なくとも一部において、前記開口部の側縁部に沿って外方側に突出形成され、かつ、前記隙間を減じる状態で前記ケーシングの開口部に挿入された通信回線接続用コネクタの筐体の外面に接触又は押圧接触する閉塞壁部から構成されて
いる。
【0023】
上記構成によれば、ケーシングのコネクタ装着用開口部に対して通信回線接続用コネクタを組付けたとき、コネクタ装着用開口部の周縁部の少なくとも一部において、開口部の側縁部に沿って外方側に突出形成された閉塞壁部が、コネクタ装着用開口部に挿入された筐体の外面に接触又は押圧接触して隙間を減少することができる。
【0024】
それ故に、ケーシングにおける開口部の周縁部の少なくとも一部に閉塞壁部を外方に突出形成するだけの簡単な構造の改良で閉塞手段を構成することができる。
【0025】
前記通信回線接続用コネクタの前記解除操作体の操作部が、前記筐体の一側面に解除作動可能な状態で突出配置され、前記障壁が、前記ケーシングの内面における前記筐体の前記一側面と対面する部位に、前記解除操作体の操作部の解除作動範囲を前記開口部側に向かって囲む状態で形成して構成されて
いる。
【0026】
上記構成によれば、例えば、通信回線接続用コネクタの解除操作体の操作部が筐体内に配置され、筐体の前壁部に形成された解除用操作孔に細長い工具を挿入して解除操作体の操作部を解除操作する場合に比して、解除操作体の操作部を目視しながら確実、容易に行うことができる。
【0027】
反面、解除操作体の操作部を、筐体の一側面に解除作動可能な状態で突出配置することに伴って、筐体の一側面とコネクタ装着用開口部の内面との間の隙間が大きくなるが、本願発明では、ケーシングの内面における筐体の前記一側面と対面する部位に、解除操作体の操作部の解除作動範囲を開口部側に向かって囲む状態で障壁を設けてあるので、大きくなった隙間から異物が侵入しても、この侵入した異物を障壁で囲まれた空間内に留めることができる。
【0028】
それ故に、解除操作体の操作部に対する解除操作時の操作性を高めながら、異物の内部侵入に起因する回路基板の誤作動や故障等を抑制することができ、しかも、解除操作体の操作部の解除作動範囲を開口部側に向かって囲む状態で障壁を突出形成するだけの簡単な構造の改良で異物侵入抑制効果の向上を達成することができる。
そして、本発明による第1の特徴構成は、通信ユニットのケーシングに形成されたコネクタ装着用の開口部に、通信線挿入孔と、この通信線挿入孔に挿入された通信線の芯線を端子板に導電状態で抜止め保持する線抜止め機構と、当該線抜止め機構を抜止め解除する解除操作体とを備えた通信回線接続用コネクタが、前記通信線挿入孔及び前記解除操作体を解除作動させる操作部が前記開口部から外部に露出する状態で装着されている通信ユニットであって、
前記ケーシングの内面と前記通信回線接続用コネクタの筐体の外面との相対向する部位の少なくとも一方には、前記筐体の外面と前記開口部の内面との間の隙間に連通する前記筐体の外面と前記ケーシングの内面との間の空隙を減少する障壁が設けられ、
前記障壁が、前記解除操作体の操作部の解除作動範囲を前記開口部側に向かって囲む状態で設けられている点にある。
本発明による第2の特徴構成は、前記ケーシングの開口部の周縁部の少なくとも一部には、前記筐体の外面に近接又は当接して前記隙間を減じる閉塞壁部が設けられている点にある。
本発明による第3の特徴構成は、前記障壁は、前記筐体の横幅方向で相対向する一対の縦方向障壁部と、当該両縦方向障壁部の端部同士を繋ぐ横方向障壁部とを備え、且つ、前記筐体の外面に近接する状態で前記ケーシングの内面に一体形成されている点にある。
本発明による第4の特徴構成は、前記閉塞壁部は、前記ケーシングにおける前記開口部の周縁部のうち、一方の側縁部に沿って外方側に突出形成され、且つ、前記開口部に前記ケーシングの内部から挿入される前記筐体を前記開口部の周縁部における他方の側縁部に向かって押圧しながら挿入案内する内側面が備えられている点にある。
【0029】
本発明による
第5の特徴構成は、前記筐体
には、前記ケーシングの
前記開口部に対して
前記通信回線接続用コネクタの筐体が前記ケーシングの内部から設定装着位置に挿入されたとき、前記ケーシングの内面に設けられた前記障壁の先端と当接又は近接する突条が形成されている点にある。
【0030】
上記構成によれば、コネクタ装着用開口部に対して通信回線接続用コネクタの筐体をケーシングの内部から設定装着位置に挿入したとき、筐体の一側面に設けた突条と障壁の先端とが当接又は近接して、空隙をより減少することができるから、異物の内部侵入に起因する回路基板の誤作動や故障等を良好に抑制することができる。
【0031】
本発明による
第6の特徴構成は、前記通信回線接続用コネクタが、前記通信線挿入孔を前壁部に形成してあり、且つ、横幅方向の一側方に開口する装着凹部に前記線抜止め機構と
前記解除操作体及び
前記端子板とを組み付けてある端子本体と、当該端子本体の装着凹部を閉止する端子カバーとを接合してあるコネクタ体の二組から構成され、前記二組のコネクタ体が、前記ケーシング内に配置される回路基板に並列状態で実装されている点にある。
【0032】
上記構成によれば、例えば、一方の端子本体の横幅方向の一側方に、これの装着凹部を閉止する状態で他方の端子本体を併設し、この他方の端子本体の装着凹部を端子カバーで閉止する場合に比して、一方の端子本体の通信線挿入孔と他方の端子本体の通信線挿入孔との間隔を大きくとることができるので、各通信線挿入孔に対する通信線の芯線挿入作業の容易化と各端子本体の解除操作体の操作部に対する操作の確実化、容易化を図ることができる。
【0033】
特
に、コネクタ装着用開口部に対して通信回線接続用コネクタをケーシングの内部から設定装着位置に挿入したとき、ケーシングにおける開口部の周縁部の少なくとも一部において、開口部の側縁部に沿って外方側に突出形成された閉塞壁部により、二組のコネクタ体を横幅方向から押圧接触させた場合には、回路基板に対する端子板のターミナル等の撓み変形を利用して二組のコネクタ体同士を密着させることができ、隙間の減少を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の通信ユニットの一例である情報通信ユニットU1を、設置対象部位の一例である壁Wに設置してある情報コンセント1に装備した状態を示している。
【0036】
情報コンセント1は、壁Wに貫通形成した矩形状の設置用穴Waの裏面側に配置したコンセントボックス1Aと、壁Wの表面側に配置した化粧カバー1Bとを、それらの間において壁Wの表面に当接する金属製の取付けフレーム(図示せず)を介して固定することにより構成されている。
【0037】
この情報コンセント1には、本発明の情報通信ユニットU1を含めて4つのユニットが装備されている。
つまり、情報コンセント1の左右方向の中央位置には、情報通信であるLAN用モジュラープラグが脱着自在に接続されるLAN用モジュラーローゼット2及び電話回線用モジュラープラグが脱着自在に接続される電話回線用モジュラーローゼット3を表面側に備えた本発明の情報通信ユニットU1が設けられている。
【0038】
また、情報コンセント1の左右方向の一側部(
図1の左側部)には、上下に2つの差込口4を備えた電源コンセントユニットU2が設けられ、情報コンセント1の左右方向の他側部(
図1の右側部)には、テレビアンテナ用の同軸ケーブルを接続する同軸接続ユニットU3の二組が設けられている。
【0039】
二つの同軸接続ユニットU3は、共に地上波放送及び衛星放送の混合波が出力されるものであってもよく、また、一方が地上波放送、他方が衛星放送などに分岐された短波が出力されるものであってもよい。
【0040】
コンセントボックス1Aの周壁部及び底壁部には、図示はしないが、壁Wの裏側空間に配線された電源ケーブル(図示せず)、通信線(通信ケーブル)の一例である電話ケーブル(電話線)5、同軸ケーブル(図示せず)、WAN側の通信ケーブル(図示せず)の端部が挿入される挿入口が形成されている。
【0041】
この挿入口を通してコンセントボックス1A内に導入された各ケーブルのうち、電源ケーブルは電源コンセントユニットU2に接続され、電話ケーブル5及びWAN側の通信ケーブルは情報通信ユニットU1に接続され、さらに、同軸ケーブルは同軸接続ユニットU3に接続されている。
【0042】
化粧カバー1Bには、前記各ユニットU1〜U3に対応した形状の取付け窓1aが形成され、各取付け窓1aを通して各ユニットU1〜U3の前面部分が前方に露出する形態で取付けられている。
【0043】
情報通信ユニットU1は、
図2〜
図4に示すように、壁Wに対して直交する表裏方向(前後方向)で二分割された合成樹脂製のケーシングC内に、情報通信のための各部品を納めて一体に構成されている。
【0044】
ケーシングCは、表裏方向から互いに脱着自在に嵌合する表側分割ケーシング6と裏側分割ケーシング7とからなり、表側分割ケーシング6の後端側の接合部位の複数個所には係合爪10が一体形成され、裏側分割ケーシング7の前端側の接合部位の複数個所には、表側分割ケーシング6の係合爪10が係合する係合孔11が形成されている。
【0045】
表側分割ケーシング6は、化粧カバー1Bの取付け窓1aを通して前方に突出する中央ケース部6Aと、取付けフレームの裏面に当接する左右の鍔状縦ケース部6Bとからなり、中央ケース部6Aの表面(前面)は、前方への突出代が少ない偏平な上側表面部6aと、これの下端から前方下方に向かって延びる傾斜姿勢の中間傾斜表面部6bと、これの下端から下方に延びる前方への突出代が大きな偏平な下側表面部6cとから構成されている。
【0046】
表側分割ケーシング6の上側表面部6aには、電話回線用モジュラーローゼット3の接続口部3aが外部に臨む第1接続窓12と、情報通信ユニットU1に電源が投入されており、ルーティング機能(有線LANや無線LANを利用した情報通信機能)が利用可能であるときに点灯する電源インジケータ13の光を透過させる第1表示孔14と、ネットワークのアクセス状態を点灯によって表示するアクセスインジケータ15の光を透過させる第2表示孔16と、ケーシングC内のリセットスイッチ17を爪楊枝等の細い棒状の操作具でリセット操作するための操作孔18が設けられている。
【0047】
表側分割ケーシング6の下側表面部6cには、LAN用モジュラーローゼット2の接続口部2aが外部に臨む第2接続窓19が設けられている。
【0048】
表側分割ケーシング6の両鍔状縦ケース部6Bの複数個所には、取付けフレームの係合突起と係合して、情報通信ユニットU1を取付けフレームに取付けるための係合凹部20が形成されている。
【0049】
裏側分割ケーシング7の裏面は、後方への突出代が最も少ない垂直で偏平な上側裏面部7aと、これの下端から水平方向に沿って裏側に延びる偏平な中間水平裏面部7bと、これの先端から下方に延びる突出代の最も大きな垂直で偏平な下側裏面部7cとから構成されている。
【0050】
裏側分割ケーシング7の中間水平裏面部7bには、WAN用の開口部25と電話回線用の開口部(以下、電話回線用開口部と記載する)26とが形成されている。WAN用の開口部25には、WAN側の通信ケーブルのモジュラープラグが脱着自在に接続されるWAN用のモジュラーローゼット27が、それの接続口部27aを上方に露出開口させた状態で装備され、また、電話回線用開口部26には、6極2芯の電話ケーブル5の二本の芯線5aが脱着自在に差し込み接続される通信回線接続用コネクタの一例である電話回線接続用コネクタ28が、それの両通信線挿入孔35を上方に露出開口させた状態で装備されている。
【0051】
ケーシングCの内部には、回路基板29が備えられている。この回路基板29は、情報通信ユニットU1が情報コンセント1に取付けられた状態において、設置面である壁面に沿う姿勢でケーシングCに固定されている。
【0052】
回路基板29は、表側分割ケーシング6に装備される第1回路基板29Aと、裏側分割ケーシング7に装備される第2回路基板29Bとから構成されている。
【0053】
第1回路基板29Aと第2回路基板29Bとの間は、信号コネクタ30やスペーサ31によって電気的な絶縁距離が確保されているとともに、第1回路基板29Aと第2回路基板29Bとは信号コネクタ30等を介して電気的に接続されている。
【0054】
第2回路基板29Bには、裏側分割ケーシング7の背面側に配備されるWAN用のモジュラーローゼット27及び電話回線接続用コネクタ28が実装されている。
【0055】
第1回路基板29Aには、表面側に配備される電話回線用モジュラーローゼット3とLAN用モジュラーローゼット2及び無線LAN用アンテナ32が実装されている。この無線LAN用アンテナ32としては、共に無線LANの周波数帯域に感度を有する第1アンテナ32Aと第2アンテナ32Bから構成されている。
【0056】
第1アンテナ32Aと第2アンテナ32Bとは、壁面に沿って直交する二方向における双方の位置が異なるほぼ対角位置に配置されている。この配置により送受信する電磁波の干渉を防ぐことが可能となり、ダイバーシティ効果により良好な通信環境を実現し易くなる。
【0057】
電話回線接続用コネクタ28は、
図5〜
図11に示すように、電話ケーブル5の二本の芯線5aが脱着自在に差し込み接続される二つの通信線挿入孔35を形成してある合成樹脂(例えば、ポリアミド樹脂)製の筐体36と、各通信線挿入孔35に挿入された電話ケーブル5の芯線5aを金属製の端子板37に弾性力で押し付けて当該芯線5aを端子板37に導電状態で抜止め保持する線抜止め機構38と、当該線抜止め機構38を抜止め解除する合成樹脂(例えば、ポリアミド樹脂)製の解除操作体39とが備えられている。
【0058】
詳しくは、
図7、
図9〜
図11に示すように、電話回線接続用コネクタ28は二組のコネクタ体28Aから構成されている。各コネクタ体28Aは、一つの通信線挿入孔35を前壁部41Aに形成してあり、且つ、横幅方向の一側方に開口する装着凹部41B内に線抜止め機構38と解除操作体39及びターミナル42を備えた端子板37とを組み付けてある端子本体41と、当該端子本体41の装着凹部41Bを閉止する端子カバー43とを接合して構成されている。
この二組のコネクタ体28Aの端子本体41及び端子カバー43をもって前記筐体36が形成されている。
【0059】
端子本体41のうち、通信線挿入孔35を形成してある前壁部41Aに連続する筐体36の一側面である天井壁部41Cには、線抜止め機構38に対する解除操作用開口部41Dが形成され、前壁部41Aに連続する筐体36の他側面である底壁部41Eには、端子板37のターミナル42が外部に突出する貫通孔41eが形成されている。
【0060】
二組のコネクタ体28Aの端子本体41と端子カバー43とをもって構成される筐体36の一側面である天井面は、端子本体41の前壁部41A側に位置する低い前側天井面部分36aと、端子本体41の後壁部41F側に位置する高い後側天井面部分36cと、これら両者36a,36cを繋ぐ傾斜姿勢の中間天井面部分36bとから構成されている。
【0061】
線抜止め機構38には、端子本体41の装着凹部41B内に略「つ」の字状に湾曲して装着された板バネ38Aが主要構成として備えられ、この板バネ38Aの一端側の挾持端部38aは、通信線挿入孔35から挿入された電話ケーブル5の芯線5aに対する遠近方向に撓み変形可能で、且つ、弾性復元力で電話ケーブル5の芯線5aを端子板37に押し付けて導電状態で挾持するように構成されている。
【0062】
解除操作体39は、端子本体41の装着凹部41B内に枢支ピン44周りで揺動自在に枢着された解除操作レバー39Aと、端子本体41の解除操作用開口部41Dから外部に突出配置される状態で解除操作レバー39Aの先端部に連設される操作部39Bとから構成されているとともに、解除操作レバー39Aには、板バネ38Aに突出形成された連動片38Bが係合する連動係合孔8が形成されている。
【0063】
そのため、解除操作レバー39Aの操作部39Bを指で押し込み操作する又は操作部39Bに形成されている操作凹部39bを細い工具で押し込み操作すると、解除操作レバー39Aの枢支ピン44周りでの揺動に伴って板バネ38Aの挾持端部38aが電話ケーブル5の芯線5aの挿入保持位置から弾性復元力に抗して端子本体41の底壁部41E側に離脱移動し、通信線挿入孔35に対する電話ケーブル5の芯線5aの挿入操作が抵抗の無い自由状態となる。
【0064】
解除操作レバー39Aの操作部39Bに対する押し込み操作力を解除すると、板バネ38Aの弾性復元力で解除操作レバー39A及び板バネ38Aの挾持端部38aが復帰移動し、板バネ38Aの挾持端部38aで電話ケーブル5の芯線5aを端子板37に押し付けて挾持する。
【0065】
上述のように、電話回線接続用コネクタ28の解除操作体39の操作部39Bが筐体36の一側面である天井面側において解除作動可能な状態で突出配置され、且つ、解除操作体39の操作部39Bが裏側分割ケーシング7の中間水平裏面部7bよりも外方に突出配置されているので、解除操作体39の操作部39Bを目視しながら確実、容易に解除操作することができる。
【0066】
そして、本願発明では、電話回線接続用コネクタ28の筐体36の外面とケーシングCにおける裏側分割ケーシング7の電話回線用開口部26の内面との間の隙間S1、又は、この隙間S1に連通する筐体36の外面と裏側分割ケーシング7の内面7dとの間の空隙S2を経由する塵埃等の異物の内部侵入を規制する異物侵入規制手段Aが、裏側分割ケーシング7と筐体36との相対向する部位の少なくとも一方に形成されている。
【0067】
異物侵入規制手段Aは、前記空隙S2を減じる状態で、筐体36の外面と裏側分割ケーシング7の内面7dとの相対向する部位の少なくとも一方に形成される空隙減少手段A1と、前記隙間S1を減じる状態で、電話回線用開口部26に装着された電話回線接続用コネクタ28の筐体36の外面に当接又は圧接される閉塞手段A2との組み合わせから構成されている。
【0068】
空隙減少手段A1は、筐体36の一側面である天井面と対面する裏側分割ケーシング7の内面7dに、筐体36の天井面と裏側分割ケーシング7の内面7dとの間の空隙S2を減少する障壁46を一体的に突出形成して構成されている。
【0069】
この障壁46は、筐体36の天井面側に突設する解除操作体39の操作部39Bの解除操作に伴う作動範囲を電話回線用開口部26側に向かって略「コ」の字状に囲む状態で一体形成されている。
【0070】
障壁46は、筐体36の横幅方向で相対向する一対の縦方向障壁部46aと、これらの端部同士を繋ぐ横方向障壁部46bとからなり、両縦方向障壁部46aの横幅方向の内面寸法L1は、両コネクタ体28Aに装備されている解除操作体39の操作部39Bの外面間寸法L2よりも僅かに大に構成されている。
【0071】
両縦方向障壁部46aの突出先端面は、筐体36の前側天井面部分36aと中間天井面部分36b及び後側天井面部分36cとに近接する階段状に形成され、さらに、横方向障壁部46bは、筐体36の後側天井面部分36cに近接するー直線状に形成されている。これにより、両解除操作体39の操作部39Bの解除作動範囲を略「コ」の字状に囲む状態で、筐体36の天井面と裏側分割ケーシング7の内面7dとの対向面間の空隙S2を減少している。
【0072】
筐体36の後側天井面部分36cにおける中間天井面部分36bとの境界部位には、裏側分割ケーシング7の電話回線用開口部26に対して電話回線接続用コネクタ28の筐体36が裏側分割ケーシング7の内部から設定装着位置に挿入されたとき、裏側分割ケーシング7の内面7dに形成された障壁46の突出先端と当接又は近接する異物侵入規制用の突条47が一体的に突出形成されている。
【0073】
閉塞手段A2は、裏側分割ケーシング7の外面における電話回線用開口部26の周縁部のうち、横幅方向の一方の短辺側の側縁部26aに沿って外方側に一体的に突出形成して、裏側分割ケーシング7の電話回線用開口部26に挿入された電話回線接続用コネクタ28の筐体36の外面に対して押圧状態で接触することにより、電話回線用開口部26の他方の短辺側の側縁部26bとそれに対面する筐体36の外面との間の隙間、及び、二組のコネクタ体28A間の隙間を無くする又は減じる閉塞壁部48から構成されている。
【0074】
この閉塞壁部48の基端部における電話回線用開口部26側の内側面は、電話回線用開口部26における一方の短辺側の側縁部26aと面一に構成され、閉塞壁部48の先端部における電話回線用開口部26側の内側面は、前記隙間を無くする又は減じる分だけ、電話回線用開口部26の他方の側縁部26b側に向かって張り出し形成されている。
【0075】
そのため、閉塞壁部48の内側面は、基端部から先端部にわたって滑らかな傾斜面に構成され、電話回線用開口部26に対して電話回線接続用コネクタ28の筐体36を裏側分割ケーシング7の内部から設定装着位置に挿入する際、筐体36を構成する二組のコネクタ体28Aを電話回線用開口部26の他方の側縁部26b側に向かって押圧しながら挿入案内する。
【0076】
これにより、電話回線用開口部26における一方の短辺側の側縁部26a及び閉塞壁部48の内側面とこれに対面する一方のコネクタ体28Aの端子カバー43との間の隙間と、電話回線用開口部26における他方の短辺側の側縁部26bとこれに対面する他方のコネクタ体28Aの端子本体41との間の隙間、及び、一方のコネクタ体28Aの端子本体41と他方のコネクタ体28Aの端子カバー43との隣接間の隙間を無くする又は減じることができる。
【0077】
また、裏側分割ケーシング7の電話回線用開口部26における筐体36の天井面と相対向する側縁部26cには、両解除操作レバー39Aの操作部39Bの対向側面と筐体36の天井面とで形成される凹部空間内に入り込む防塵用カバー体49が一体形成されている。
【0078】
〔その他の実施形態〕
(1)上述の第1実施形態では、有線LANや無線LANを利用した情報通信機能を備えた情報通信ユニットU1を例に挙げて、電話回線接続用コネクタ28の異物侵入規制構造について説明したが、電話用のモジュラープラグを接続する専用の電話接続ユニットに装備される電話回線接続用コネクタ28の異物侵入規制構造に適用してもよい。
【0079】
(2)上述の第1実施形態では、通信線(通信ケーブル)として電話線(電話ケーブル)を例に挙げて説明したが、UTPケーブルやSTPケーブル等の他の通信線であってもよい。
【0080】
(3)上述の第1実施形態では、解除操作レバー39Aの操作部39Bを端子本体41の解除操作用開口部41Dから外部に突出配置してある電話回線接続用コネクタ28を例に挙げて説明したが、解除操作レバー39Aの操作部39Bが端子本体41の装着凹部41B内に配置される内蔵タイプの電話回線接続用コネクタ28にも適用することができる。
【0081】
(4)上述の第1実施形態では、空隙減少手段A1を構成する障壁46を筐体36の一側面である天井面と対面する裏側分割ケーシング7の内面7dに形成したが、この障壁46を筐体36の天井面に形成してもよく、更に、障壁46を裏側分割ケーシング7の内面7dと筐体36の天井面とに形成してもよい。
【0082】
(5)上述の第1実施形態では、閉塞手段A2を構成する閉塞壁部48を、裏側分割ケーシング7における電話回線用開口部26の周縁部のうち、横幅方向の一方の短辺側の側縁部26aに沿って外方側に突出形成したが、この閉塞壁部48を、電話回線用開口部26における横幅方向の他方の短辺側の側縁部26bに沿って外方側に突出形成してもよく、さらに、閉塞壁部48を、電話回線用開口部26における横幅方向両側の側縁部26a,26bに沿って外方側に突出形成してもよい。
【0083】
(6)上述の第1実施形態では、閉塞手段A2を構成する閉塞壁部48を、裏側分割ケーシング7の電話回線用開口部26に挿入された電話回線接続用コネクタ28の筐体36の外面に対して押圧状態で接触させたが、閉塞壁部48を電話回線用開口部26に挿入された電話回線接続用コネクタ28の筐体36の外面に対して非押圧状態で接触させてもよく、さらに、閉塞壁部48を電話回線用開口部26に挿入された電話回線接続用コネクタ28の筐体36の外面に近接させてもよい。
【0084】
(7)上述の第1実施形態では、閉塞手段A2を構成する閉塞壁部48を、電話回線用開口部26の周縁部のうち、横幅方向の一方の短辺側の側縁部26aに沿って部分的に形成したが、この閉塞壁部48を電話回線用開口部26の全周縁部又は略全周縁部に沿って形成してもよい。
この場合、閉塞壁部48を、電話回線用開口部26に対して裏側分割ケーシング7の内部から設定装着位置に挿入される電話回線接続用コネクタ28の筐体36との当接に伴って後退側に撓み変形可能に構成してもよい。
【0085】
(8)上述の第1実施形態では、異物侵入規制手段Aを、空隙S2を減じる状態で、筐体36の外面と裏側分割ケーシング7の内面7dとの相対向する部位の少なくとも一方に形成される空隙減少手段A1と、電話回線用開口部26に装着された電話回線接続用コネクタ28の筐体36の外面に当接又は圧接することにより隙間S1を減じる閉塞手段A2との組み合わせから構成したが、空隙減少手段A1又は閉塞手段A2のいずれか一方から構成してもよい。
【0086】
(9)上述の第1実施形態では、電話回線接続用コネクタ28等の通信回線接続用コネクタを二組のコネクタ体28Aから構成したが、一つ又は三つ以上のコネクタ体28Aから構成してもよい。
【0087】
(10)上述の第1実施形態では、電話回線接続用コネクタ28等の通信回線接続用コネクタを二組のコネクタ体28Aから構成したが、二組のコネクタ体28Aを一体形成してある通信回線接続用コネクタであってもよい。
【0088】
(11)上述の第1実施形態では、情報通信ユニットU1等の通信ユニットのケーシングCを二分割したが、三つ以上に分割形成されているケーシングCであってもよい。
【0089】
(12)異物侵入規制手段Aに異物を粘着力等によって捕捉する機能を付加してもよい。
【解決手段】通信ユニットのケーシングに形成されたコネクタ装着用の開口部に、通信線挿入孔35に挿入された通信線5の芯線5aを端子板37に導電状態で抜止め保持する線抜止め機構38と、当該線抜止め機構38を抜止め解除する解除操作体とを備えた通信回線接続用コネクタ28を、通信線挿入孔35が開口部から外部に露出する状態で装着し、通信回線接続用コネクタ28の筐体36の外面と開口部の内面との間の隙間S1、又は、この隙間S1に連通する筐体36の外面とケーシングの内面7dとの間の空隙S2を経由する異物の内部侵入を規制する異物侵入規制手段Aが、ケーシングと筐体36との相対向する部位の少なくとも一方に形成されている。