(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記受信制御手段は、メンテナンスモード用の前記グループアドレスを含む前記告知放送信号による告知放送を前記出力手段が出力している場合において、自己に設定されたグループアドレスに一致する前記グループアドレスを含む前記告知放送信号を前記受信手段が受信した場合、当該自己に設定されたグループアドレスに一致するグループアドレスを含む前記告知放送信号による告知放送を、メンテナンスモード用の前記グループアドレスを含む前記告知放送信号による告知放送よりも優先して当該出力手段により出力させる、
請求項1に記載の告知放送システム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る告知放送システムの実施の形態を詳細に説明する。最初に、告知放送システムの構成を説明し、次に、告知放送システムが実行する処理について説明し、最後に本実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0012】
(構成)
最初に、この実施の形態に係る告知放送システムの構成を説明する。
図1は、実施の形態に係る告知放送システムの構成図である。この
図1に示すように、告知放送システム1は、役場等のセンターに設置されたセンターシステム10、各住戸内に設置された受信装置20(告知放送受信機)、及びセンターシステム10から送信された信号を受信装置20に送信する伝送系統40を備えている。
【0013】
このうち、センターシステム10は告知放送に関する情報を管理する。また、伝送系統40は、ヘッドエンド41、及びヘッドエンド41から各住戸の受信装置20に至る伝送線路42を備えている。ヘッドエンド41は、センターシステム10から送信された信号を受信し、この信号を各住戸側へ伝送するための信号に変換した上で伝送線路42に送出する送信手段である。伝送線路42は、告知放送信号を送信する送信線路であり、例えば、CATV信号を伝送するCATV伝送線路(同軸ケーブルや光ファイバケーブル)を用いて構成される。この伝送線路42には、アンプ43、分配増幅器44、分配器46、及び保安器48が配置されている。
【0014】
アンプ43は、伝送線路42を流れる信号を増幅する増幅手段である。分配増幅器44は、信号を増幅した上で、各住戸に向けて分配する分配増幅手段である。分配器46は、分配増幅器44にて増幅された信号を各住戸に向けて分配する分配手段である。保安器48は、各住戸に設けられ、伝送線路42に乗って受信装置20に至る直流成分を制御する。なお、特記する構成を除き、センターシステム10、伝送系統40、及び受信装置20は、公知の装置又は公知のシステムと同様に構成することができる。
【0015】
(構成−センターシステム)
次に、センターシステム10の構成について説明する。
図1に示すように、センターシステム10は、表示部11、BGM源12、及び送信装置70を備えている。
【0016】
(構成−センターシステム−表示部、BGM源)
表示部11は、所要の情報を操作者に向けて表示する表示手段であり、例えば、モニタ及び表示灯(いずれも図示省略)を有する。BGM源12は、告知放送用の背景音楽の音源になる音源手段である。
【0017】
(構成−センターシステム−送信装置)
送信装置70は、受信装置20に告知放送信号を送信するものである。
図1に示すように、この送信装置70は、操作部71、マイク72、送信部73、制御部75、及びデータ記録部76を備えている。
【0018】
操作部71は、送信装置70に対する各種の操作入力を受け付ける操作手段である。この操作部71としては、例えば、各種のスイッチやタッチパネル等の公知の操作手段を用いて構成することができる。
【0019】
マイク72は、告知放送用の音声の入力を受け付ける音声入力手段である。送信部73は、告知放送信号を送信する送信手段である。
【0020】
制御部75は、送信装置70の各部を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するための内部メモリを備えて構成されるコンピュータである(後述する受信装置20の制御部29についても同じ)。この制御部75は、機能概念的に、信号生成部75aを備えている。信号生成部75aは、受信装置20を区分するグループを一意に識別するためのグループアドレスを告知放送信号に含める信号生成手段である。なお、この制御部75によって実行される処理の詳細については後述する。
【0021】
図2は、信号生成部75aにより生成された告知放送信号に含まれる情報(電文データ)の構成を例示した図である。この
図2に示すように、告知放送信号は、例えば、アドレス/グループ、種別コード、スタートコード、告知データ、及びストップコードを含んで構成される。このうち、アドレス/グループは、告知放送信号の宛て先を特定するための情報であり、例えば宛て先となる受信装置20を一意に識別する個別アドレスや、宛て先となる受信装置20を区分するグループを一意に識別するためのグループアドレス等が含まれる。種別コードは、告知放送の種別(例えば一般放送、緊急放送、メンテナンス放送等)を特定するための情報である。スタートコードは、告知放送用の情報の先頭を示す区切り情報である。告知データは、データ記録部76に記録されている告知放送用の情報、又はマイク72を介して入力された音声に基づいて生成されたデータであり、具体的には音声データである。ストップコードは、告知放送用の情報の末尾を示す区切り情報である。なお、スタートコード又はストップコードの一方を省略してもよい。
【0022】
図1に戻り、データ記録部76は、告知放送用の情報を記録する記録手段であり、例えば、外部記憶装置としてのハードディスク(図示省略)を用いて構成されている。ただし、ハードディスクに代えてあるいはハードディスクと共に、磁気ディスクの如き磁気的記録媒体、又はDVDやブルーレイディスクの如き光学的記録媒体を含む、その他の任意の記録媒体を用いることができる(後述する受信装置20のデータ記録部30についても同じ)。なお、前述の制御部75に設けられたRAMやROMをデータ記録部76の一部または全部として適宜利用することができる。このデータ記録部76は、複数種類の告知放送用の情報(すなわち告知データ。例えば、マイク72を介して入力された音声情報や、予め記録されたメンテナンス用の音声情報等)や、告知放送信号の生成に用いる各種情報(例えばアドレス/グループ、種別コード、スタートコード、ストップコード等)を記録している。
【0023】
(構成−受信装置)
次に、受信装置20の電気的構成について説明する。
図1に示したように、受信装置20は、受信部21、音声切換え部22、音声記録部23、音量調整部24、アンプ25、スピーカ26、操作部27、表示部28、制御部29、及びデータ記録部30を備えている。
【0024】
受信部21は、送信装置70から送信された告知放送信号を復調する告知放送復調手段であり、音声情報を音声切換え部22に出力する。音声切換え部22は、受信部21から出力された音声情報を音声記録部23又は音量調整部24に出力し、あるいは、音声記録部23から出力された音声情報を音量調整部24に出力する音声切換え手段である。音声記録部23は、音声情報を所定回数だけ録音する音声情報格納手段である。音量調整部24は、音声切換え部22から出力された音声情報の音量を調整してアンプ25に出力する。この音声情報は、アンプ25にて増幅された後、スピーカ26から出力される。スピーカ26は、告知放送信号による告知放送を出力する出力手段であり、アンプ25にて増幅された音声情報を音声出力する。操作部27は、当該受信装置20に対する各種の操作入力を受け付ける入力手段である。表示部28は、受信装置20に関する各種情報を表示するための表示手段である。制御部29は、受信装置20の各部を制御する受信制御手段である。データ記録部30は、受信装置20の各種制御に必要な情報を記録する記録手段であり、例えば受信装置20毎に設定される個別アドレスや、当該受信装置20が属するグループを示すグループアドレス、メンテナンス時に用いられるメンテナンスモード用のグループアドレス等が記録されている。
【0025】
図3は、受信装置20の正面図である。受信装置20は、方形箱状の筐体の内部に、上述した当該受信装置20の各部のうち、操作部27、及び表示部28を除く各部を収容している。操作部27としては、具体的には、FM放送を選択するためのFM放送選択スイッチ27a、録音された告知放送の再生を指示するための告知再生スイッチ27b、及び放送音量を調節するためのボリュームスイッチ27cが設けられている。また、告知再生スイッチ27bは、受信装置20の受信モードを通常受信モード又はメンテナンスモードに設定するための入力も受け付ける。ここで「通常受信モード」とは、受信装置20が通常の告知放送信号(例えば一般放送や緊急放送の告知放送信号)を受信するための受信モードであり、「メンテナンスモード」とは、受信装置20がメンテナンス用の告知放送信号を受信するための受信モードである。例えば、受信装置20の受信モードが通常受信モードである場合において、告知再生スイッチ27bが所定時間(例えば5秒)以上長押しされた場合に、受信モードがメンテナンスモードに設定される。また、受信装置20のモードがメンテナンスモードである場合において、告知再生スイッチ27bが押された場合に、受信モードが通常受信モードに設定される。表示部28としては、具体的には、電源ON時に点灯する電源表示灯28a、緊急放送時に点灯する緊急放送表示灯28b、一般放送時に点灯し、受信装置20のモードがメンテナンスモードである場合には点滅する一般放送表示灯28c、及び受信部21によって受信された各種信号の受信状態を表示する状態表示部28d(例えば1桁の7セグメント表示及びドット表示を行う公知の7セグメントLED(Light Emitting Diode))を備える。
【0026】
(処理)
次に、このように構成された告知放送システム1が実行する処理について説明する。告知放送システム1が実行する処理は、送信装置70が実行する告知放送処理と、受信装置20が実行する受信処理とに大別される。以下、これらの告知放送処理と受信処理とについて説明する。
【0027】
(処理−告知放送処理)
まず、告知放送処理について説明する。
図4は、告知放送システム1が実行する告知放送処理のフローチャートである(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)。この告知放送処理は、例えば送信装置70の電源が投入された場合に起動される。
【0028】
図4に示すように、告知放送処理が起動されると、制御部75は、告知放送の種別の選択を受け付けるための種別選択画面を表示部11に表示させる(SA1)。
図5は、表示部11に表示された種別選択画面を例示した図である。この
図5に示すように、制御部75は、例えば告知放送の各種別(
図5では「緊急放送」、「一般放送」、及び「メンテナンス放送」)を示すボタンを表示部11に表示させる。
【0029】
図4に戻り、SA1の処理の後、制御部75は操作部71を介して告知放送の種別が選択されるまで待機する(SA2、No)。そして、操作部71を介して告知放送の種別が選択された場合(SA2、Yes)、制御部75は、選択された告知放送の種別が緊急放送、一般放送、又はメンテナンス放送のいずれであるかを判定する(SA3)。
【0030】
その結果、選択された告知放送の種別が一般放送である場合(SA3、一般)、制御部75は、告知放送の宛て先とする範囲の入力を受け付けるための範囲選択画面を表示部11に表示させる(SA4)。この範囲選択画面では、例えば、特定の受信装置20の個別アドレス、特定のグループアドレス、あるいは、全ての受信装置20を告知放送の宛て先として選択可能となっている。
【0031】
次に、信号生成部75aは、操作部71を介して告知放送の宛て先とする範囲が入力されると共に、告知放送を開始する旨の指示が入力されるまで待機する(SA5、No)。例えば、SA4で表示部11に表示させた範囲選択画面において、特定の受信装置20の個別アドレス、特定のグループアドレス、あるいは全ての受信装置20が、操作部71を介して告知放送の宛て先として選択された場合に、告知放送の宛て先とする範囲が入力されたと判定する。また、SA4において表示部11に「放送開始」ボタンを表示させておき、操作部71を介してこの「放送開始」ボタンが選択された場合に、告知放送を開始する旨の指示が入力されたと判定する。
【0032】
また、SA2で選択された告知放送の種別が緊急放送である場合(SA3、緊急)、制御部75は、告知放送の宛て先として全ての受信装置20を選択する(SA6)。
【0033】
また、SA2で選択された告知放送の種別がメンテナンス放送である場合(SA3、メンテナンス)、制御部75は、告知放送の宛て先としてメンテナンスモード用のグループアドレスを選択する(SA7)。なお、このメンテナンス用グループアドレスは、一般放送や緊急放送をグループ単位の受信装置20に放送するために送られるグループアドレスとは重複しないメンテナンス放送専用のグループアドレスであり、送信装置70及び受信装置20に予め記憶されている。このメンテナンス用グループアドレスは、送信装置70でアドレスを変更操作することや、メンテナンス用グループアドレスを複数登録することができる。送信装置70から変更や登録したメンテナンス用グループアドレスを受信装置20に送って、更新することもできる。
【0034】
SA5において、操作部71を介して告知放送の宛て先とする範囲が入力されると共に、告知放送を開始する旨の指示が入力された場合(SA5、Yes)、又はSA6若しくはSA7の処理を行った後、信号生成部75aは放送開始データを生成し、当該生成した放送開始データを送信部73から送信させる(SA8)。
【0035】
例えばSA2で選択された告知放送の種別が一般放送であった場合、信号生成部75aは、データ記録部76に記録されている情報に基づき、一般放送の宛て先として選択された受信装置20の個別アドレス又はグループアドレス、告知放送の種別が一般放送であることを示す種別コード、及びスタートコードを含む放送開始データを生成し、送信部73から送信させる。
【0036】
また、SA2で選択された告知放送の種別が緊急放送であった場合、信号生成部75aは、データ記録部76に記録されている情報に基づき、緊急放送の宛て先が全ての受信装置20であることを示すアドレス、告知放送の種別が緊急放送であることを示す種別コード、及びスタートコードを含む放送開始データを生成し、送信部73から送信させる。なお、緊急放送の場合であっても、一般放送と同じように宛て先として選択された受信装置20の個別アドレス、グループアドレスを指定して送信することもできる。
【0037】
また、SA2で選択された告知放送の種別がメンテナンス放送であった場合、信号生成部75aは、データ記録部76に記録されている情報に基づき、メンテナンスモード用のグループアドレス、告知放送の種別がメンテナンス放送であることを示す種別コード、及びスタートコードを含む放送開始データを生成し、送信部73から送信させる。
【0038】
SA8の処理の後、信号生成部75aは告知データを生成し、当該生成した告知データを送信部73から送信させる(SA9)。
【0039】
例えば、SA2で選択された告知放送の種別が一般放送や緊急放送であった場合、信号生成部75aは、マイク72により音声入力の受付を開始させ、入力された音声に基づいて告知データを生成し、当該生成した告知データを送信部73から送信させる。あるいは、操作部71を介して選択された情報をデータ記録部76から読み出し、当該情報に基づいて告知データを生成し、当該生成した告知データを送信部73から送信させる。
【0040】
また、SA2で選択された告知放送の種別がメンテナンス放送であった場合、信号生成部75aは、データ記録部76からメンテナンス用の音声情報を読み出し、当該音声情報に基づいて告知データを生成し、当該生成した告知データを送信部73から送信させる。
【0041】
次に制御部75は、操作部71を介して告知放送を終了させる旨の指示が入力されたか否かを判定する(SA10)。例えば、SA8で信号生成部75aが放送開始データを送信部73から送信させる際に、制御部75が表示部11に「放送終了」ボタンを表示させておき、操作部71を介してこの「放送終了」ボタンが選択された場合に、告知放送を終了させる旨の指示が入力されたと判定する。
【0042】
その結果、操作部71を介して告知放送を終了させる旨の指示が入力されていない場合(SA10、No)、制御部75はSA9に戻る。以降、操作部71を介して告知放送を終了させる旨の指示が入力されるまで、SA9及びSA10の処理を繰り返す。
【0043】
一方、操作部71を介して告知放送を終了させる旨の指示が入力された場合(SA10、Yes)、信号生成部75aは、ストップコードを生成し、当該生成したストップコードを送信部73から送信させる(SA11)。その後、制御部75は告知放送処理を終了する。
【0044】
(処理−受信処理)
次に、受信処理について説明する。
図6は、受信装置20が実行する受信処理のフローチャートである。この受信処理は、例えば受信装置20の電源が投入された場合に起動され、所定周期にて繰り返し実行される。
【0045】
図6に示すように、受信処理が起動されると、制御部29は、受信装置20の受信モードがメンテナンスモードか否かを判定する(SB1)。例えば制御部29は、受信装置20のモードが通常受信モードであった場合において告知再生スイッチ27bが所定時間(例えば5秒)以上長押しされ、当該告知再生スイッチ27bによりメンテナンスモードの設定の入力が受け付けられた場合に、受信装置20の受信モードがメンテナンスモードであると判定する。また、受信装置20のモードがメンテナンスモードであった場合において、告知再生スイッチ27bが押され、当該告知再生スイッチ27bにより通常受信モードの設定の入力が受け付けられた場合には、受信装置20の受信モードが通常受信モードであると判定する。
【0046】
その結果、受信装置20の受信モードがメンテナンスモードではない(すなわち、通常受信モードである)場合(SB1、No)、制御部29は、受信部21により放送開始データが受信されるまで待機する(SB2、No)。
【0047】
そして、受信部21により放送開始データが受信されると(SB2、Yes)、当該受信された放送開始データに含まれる個別アドレス又はグループアドレスに基づき、告知放送信号の宛て先に自己の受信装置20が含まれているか否かを判定する(SB3)。例えば、放送開始データに含まれる個別アドレス又はグループアドレスが、受信装置20のデータ記録部30に予め記録されている個別アドレス又はグループアドレスと一致した場合に、告知放送信号の宛て先に自己の受信装置20が含まれていると判定する。
【0048】
その結果、告知放送信号の宛て先に自己の受信装置20が含まれていない場合(SB3、No)、制御部29はSB2に戻る。以降、受信部21により放送開始データが受信され(SB2、Yes)、告知放送信号の宛て先に自己の受信装置20が含まれていると判定される(SB3、Yes)まで、SB2及びSB3の処理を繰り返す。
【0049】
一方、告知放送信号の宛て先に自己の受信装置20が含まれている場合(SB3、Yes)、制御部29は受信部21により受信された放送開始データに含まれる種別コードに基づき、告知放送の種別(例えば、緊急放送又は一般放送のいずれか)を判定する(SB4)。
【0050】
その結果、告知放送の種別が一般放送である場合(SB4、一般)、制御部29は一般放送表示灯28cを点灯させる(SB5)。
【0051】
一方、告知放送の種別が緊急放送である場合(SB4、緊急)、制御部29は緊急放送表示灯28bを点灯させ(SB6)、音量調整部24により音量を最大に設定させる(SB7)。
【0052】
また、SB1において、受信装置20の受信モードがメンテナンスモードである場合(SB1、Yes)、制御部29は、受信部21により放送開始データが受信されるまで待機する(SB8、No)。
【0053】
そして、受信部21により放送開始データが受信されると(SB8、Yes)、当該受信された放送開始データに含まれる個別アドレス又はグループアドレスに基づき、告知放送信号の宛て先に自己の受信装置20が含まれているか否かを判定する(SB9)。例えば、放送開始データに含まれる個別アドレス又はグループアドレスが、受信装置20のデータ記録部30に予め記録されている個別アドレスやグループアドレスと一致した場合に、告知放送信号の宛て先に自己の受信装置20が含まれていると判定する。
【0054】
その結果、告知放送信号の宛て先に自己の受信装置20が含まれている場合(SB9、Yes)、制御部29は受信部21により受信された放送開始データに含まれる種別コードに基づき、告知放送の種別(例えば、緊急放送又は一般放送のいずれか)を判定する(SB4)。
【0055】
一方、告知放送信号の宛て先に自己の受信装置20が含まれていない場合(SB9、No)、制御部29は受信部21により受信された告知放送信号にメンテナンスモード用のグループアドレスが含まれているか否かを判定する(SB10)。
【0056】
その結果、告知放送信号にメンテナンスモード用のグループアドレスが含まれていない場合(SB10、No)、制御部29はSB8に戻る。以降、SB9において告知放送信号の宛て先に自己の受信装置20が含まれているか(SB9、Yes)、又はSB10において告知放送信号にメンテナンスモード用のグループアドレスが含まれていると判定されるまで(SB10、Yes)、制御部29はSB8からSB10の処理を繰り返す。
【0057】
一方、告知放送信号にメンテナンスモード用のグループアドレスが含まれている場合(SB10、Yes)、制御部29は一般放送表示灯28cを点滅させる(SB11)。
【0058】
SB5、SB7、又はSB11の処理の後、制御部29は告知放送の音声出力を開始する(SB12)。すなわち制御部29は、告知放送信号に含まれる告知データを受信部21により音声情報に復調させ、当該音声情報を音声切換え部22、音量調整部24、及びアンプ25を介してスピーカ26から出力させる。
【0059】
続いて制御部29は、受信部21によりストップコードが受信されるまで待機する(SB13、No)。受信部21によりストップコードが受信された場合(SB13、Yes)、制御部29は告知放送の音声出力を停止する(SB14)。この場合、制御部29は緊急放送表示灯28b又は一般放送表示灯28cを消灯させ、音量調整部24により音量を設定されていた音量に戻す。その後、制御部29は受信処理を終了する。
【0060】
なお、受信装置20の受信モードがメンテナンスモードで(SB1、Yes)、告知放送信号にメンテナンスモード用のグループアドレスが含まれていた場合において(SB10、Yes)、SB12でメンテナンスモード用のグループアドレスを含む告知放送信号による告知放送をスピーカ26から出力させている間に、自己に設定されたグループアドレスに一致するグループアドレスを含む告知放送信号を受信部21が受信した場合、制御部29が、当該自己に設定されたグループアドレスに一致するグループアドレスを含む告知放送信号による告知放送を、メンテナンスモード用のグループアドレスを含む告知放送信号による告知放送よりも優先してスピーカ26により出力させるようにしてもよい。
【0061】
例えばSB12でメンテナンスモード用のグループアドレスを含む告知放送信号による告知放送をスピーカ26から出力させている間、並行して制御部29は受信部21により新たに放送開始データが受信されるまで待機する。そして、受信部21により新たに放送開始データが受信された場合、制御部29は当該受信された放送開始データに含まれる個別アドレス又はグループアドレスに基づき、告知放送信号の宛て先に自己の受信装置20が含まれているか否かを判定する。その結果、告知放送信号の宛て先に自己の受信装置20が含まれている場合、制御部29は、当該告知放送信号による告知放送を、メンテナンスモード用のグループアドレスを含む告知放送信号による告知放送に代えてスピーカ26から出力させる。一方、告知放送信号の宛て先に自己の受信装置20が含まれていない場合には、制御部29は、メンテナンスモード用のグループアドレスを含む告知放送信号による告知放送の出力を継続させる。
【0062】
(効果)
このように実施の形態によれば、送信装置70は、告知放送信号に含まれるグループアドレスを変更することで、通常の告知放送信号又はメンテナンス用の告知放送信号のいずれかを送信する。そして、受信装置20の制御部29は、告知再生スイッチ27bにより通常受信モードの設定の入力が受け付けられた場合には、受信部21により受信された告知放送信号に含まれているグループアドレスと自己に設定されたグループアドレスとが一致する場合に、当該受信した告知放送信号による告知放送をスピーカ26により出力させ、告知再生スイッチ27bによりメンテナンスモードの設定の入力が受け付けられた場合には、受信部21により受信された告知放送信号に含まれているグループアドレスと自己に設定されたグループアドレスとが一致するか、又は受信部21により受信された告知放送信号にメンテナンスモード用のグループアドレスが含まれている場合に、当該受信した告知放送信号による告知放送をスピーカ26により出力させる。これにより、メンテナンス専用の送信装置を設けることなく、受信装置20が送信装置70から伝送線路42を介して告知放送を適切に受信可能か否かを確認することができ、告知放送システム1の設置コストの増大を防止することができる。
【0063】
また、受信装置20の制御部29は、メンテナンスモード用のグループアドレスを含む告知放送信号による告知放送をスピーカ26が出力している場合において、自己に設定されたグループアドレスに一致するグループアドレスを含む告知放送信号を受信部21が受信した場合、当該自己に設定されたグループアドレスに一致するグループアドレスを含む告知放送信号による告知放送を、メンテナンスモード用のグループアドレスを含む告知放送信号による告知放送よりも優先してスピーカ26により出力させるので、受信装置20のメンテナンス中であっても緊急放送や一般放送等を優先的にスピーカ26から出力させることができ、緊急放送や一般放送等の聞き逃しを防止することができる。
【0064】
〔実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0065】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0066】
(告知放送処理について)
上述の実施の形態では、
図4の告知放送処理において、信号生成部75aが、データ記録手段に記録されている告知放送用の情報に、区切り情報としてスタートコード及びストップコードの両方を付加する場合を例として説明したが、これらのスタートコード又はストップコードの一方を省略してもよい。なお、ストップコードの付加を省略した場合、
図6の受信処理におけるSB13の処理を省略し、SB12において告知放送の音声出力を開始してから一定時間が経過した場合、又は新たな放送開始データを受信した場合に、それまでの告知放送の音声出力を停止する(SB14)。
【0067】
また、
図4の告知放送処理では、制御部75は、告知放送の種別の選択を受け付けるための種別選択画面を表示部11に表示させ(SA1)、操作部71を介して選択された告知放送の種別が緊急放送、一般放送、又はメンテナンス放送のいずれであるかを判定する(SA3)と説明したが、これとは異なる方法により告知放送の種別の選択を受け付けてもよい。例えば、ネットワークを介して送信装置70と接続された携帯型情報端末から、送信装置70から送信させる告知放送の種別を選択できるようにしてもよい。これにより、受信装置20のメンテナンスを行う作業者が、当該受信装置20が設置されている住戸から、携帯型情報端末を用いて告知放送の種別としてメンテナンス放送を選択し、メンテナンスモード用のグループアドレスを含む告知放送信号を送信装置70から送信させることが可能となる。