(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ページ代表値が、前記印刷媒体の前記印刷ページにおいてテストパッチ画像が印刷された範囲の面積に対して、同一の三刺激値であるXYZ値を有するパッチが占める面積比から算出した濃度の代表値であり、
前記ライン代表値が、前記転写ベルト上で前記パッチ濃度測定手段が濃度を読み取る位置に対応する前記用紙上の測定位置対応ラインの面積に対して、同一の三刺激値であるXYZ値を有するパッチが占める面積比から算出した濃度の代表値である
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【背景技術】
【0002】
一般に、複写機、プリンター、スキャナ、ファクシミリ及びこれらを複合した複合機(MFP:Multi Function Peripheral)などの画像形成装置においては、入力される印刷データに基づき画像データが形成され、トナー濃度が自動調整された上で印字出力されるようになっている。
このような画像形成装置においては、予め設定される設計濃度と実際に印刷される現状の濃度とを一致させるために、いわゆるガンマ特性(濃度階調特性)の補正処理が行われる。
【0003】
図10(i)〜(iii)は、ガンマ補正処理の一般的な概念を説明するためのグラフである。
同図(iii)に示すように、所望のガンマ特性は、入力値と出力値の変化量が線形であること、又は、設計者の意図するように入出力特性が変化することが理想的とされる。
ところが、実際には、個々の画像形成装置毎にバラツキがあり、理想の特性を得ることは困難である。つまり、同図(i)に示すように、実際の画像形成装置では、線形でない入出力特性となるのが通常である。
そこで、一般には、同図(ii)のような特性を有するいわゆるガンマ補正テーブル(本明細書においては、「補正テーブル」と略して記載することがある)を組み込むことによって、画像形成装置固有のガンマ特性(同図(i))を所望のガンマ特性(同図(iii))に近づけるようにしている。
【0004】
ところが、経年変化あるいは温度・湿度などの環境変化等によって感光体に付着するトナー濃度の出力値が低下するなど、実際のガンマ特性が当初のガンマ特性からずれてくることがある。
このため、従来の画像形成装置においては、定期的、あるいは、出力誤差が閾値を超えたとき等のタイミングで、ガンマ補正テーブルを補正する必要があった。
【0005】
この補正は、いくつかの階調に応じた出力パターンの濃度を実測し、その濃度特性や出力性能を考慮してガンマ補正テーブルを補正するというものである。
具体的には、トナー像が形成されている像担持体上に、濃度の異なる複数のテストパッチを形成し、そのパッチの濃度をセンサで検出して、得られた測定値から入出力特性を補正するテーブルを生成する方法がある。
また、記録媒体である紙にテストパッチを印刷し、読み取り装置を用いて測定することで入出力特性の補正を行う方法も知られている。
【0006】
ところで、画像形成装置を用いて用紙の全面に一様に所望の色でかつ一の濃度により印刷を行った場合、その印刷された面のすべての箇所において濃度が完全に同じとなるということはなく、例えば
図11に示すように、不規則に濃度ムラが発生する。なお、
図11の右側に示した凡例の数字は、白色点からの色差を示す。
このような濃度ムラには、例えば、感光体ドラムや現像スリーブの周長などに起因する副走査方向の濃度ムラと、感光体ドラムと現像スリーブの距離の偏りに起因する主走査方向の濃度ムラがある。
こうした濃度ムラは、キャリブレーションの測定結果の精度低下の原因となることから、そのキャリブレーションの測定結果に対する当該濃度ムラの影響を低減するための手法が提案されている。
【0007】
例えば、回転する像担持体の表面に、帯状のテストパッチを、その像担持体の表面の周方向に沿って形成するとともに、その帯状のテストパッチを、その像担持体の表面における当該像担持体の軸方向に離れた二箇所のそれぞれに形成し、これら2本のテストパッチのそれぞれに、CMYKの各パッチを像担持体の周方向に沿って順に配置し、1本のテストパッチに形成されたCMYKの各パッチの配置が、他の1本のテストパッチに形成されたCMYKの各パッチの配置よりも、像担持体の周方向に沿って相対的に半周期だけずらすようにして、それらテストパッチを描画する手法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
この手法によれば、2本のテストパッチにおいて、CMYKの各パッチの配置が、像担持体の周方向に沿って相対的に半周期だけずれているため、当該像担持体の副走査方向の濃度ムラを反映させた補正値を得ることができ、キャリブレーションの測定結果に対する当該副走査方向の濃度ムラの影響を低減させることができる。
【0008】
また、他の手法としては、例えば、感光体ドラムの全面を縦横に微小エリアごとに区分けして、各画素ごとに、当該感光体ドラムの感度ムラ補正値を算出し、これを画像内の濃度ムラの分布として主走査方向と副走査方向の二次元データとして保存し、その補正値を用いて、電気的な手段で、その感度ムラを補正する手法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
この手法によれば、感光体ドラムの全面における感度ムラ補正値を用いてその感度ムラを補正することができるため、キャリブレーションの測定結果に対して、主走査方向と副走査方向の双方向の濃度ムラの影響を低減させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る画像形成装置、キャリブレーション方法及びキャリブレーションプログラムの好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
【0019】
[画像形成装置]
まず、本発明の画像形成装置の実施形態について、
図1、
図2を参照して説明する。
図1、
図2は、本実施形態の画像形成装置の構成を示すブロック図である。
なお、
図1に示す画像形成装置の構成と、
図2に示す画像形成装置の構成は、いずれも一の画像形成装置に備えられているものとする。
【0020】
画像形成装置1は、プログラム制御により動作するコンピュータであって、
図1、
図2に示すように、印刷データ取得手段10と、画像処理手段20と、記憶手段30と、エンジン制御部40と、エンジン部50と、読み取り手段61と、操作表示手段62と、給紙部71と、搬送ベルト72と、転写ベルト73と、転写ローラ74と、定着手段75と、排紙保持部76とを備えている。
【0021】
ここで、印刷データ取得手段10は、ホストコンピュータ2から送信されてきた印刷データを受信するインタフェースである。
ホストコンピュータ2は、画像形成装置1に対して印刷要求を行うホスト装置であり、ユーザによるキーボードやマウス等の操作に基づいて画像データと制御コマンドを含む印刷データを画像形成装置1に送信する。
このホストコンピュータ2は、例えば、パーソナルコンピュータなどで構成することができる。
【0022】
画像処理手段20は、CPU(Central Processing Unit)等で構成されており、画像形成装置1において行われる各種処理を制御する。
特に、画像処理手段20は、印刷データ取得手段10で受信された印刷データに含まれる画像データを記憶手段30に記憶させる処理、印刷データに含まれる制御コマンドを解釈してエンジン制御部40に対して適切な印刷処理を指示する処理、印刷データに含まれる画像データに対して所定の処理を施してエンジン制御部40に提供する処理、ユーザとのインタフェースを形成する操作表示手段62を制御する処理等を実行する。
【0023】
また、画像処理手段20は、パッチ生成部21と、代表値算出部22と、補正係数算出部23と、補正テーブル生成部24とを有している。
パッチ生成部21は、テストパッチ画像の画像データを生成するパッチ生成手段である。
生成される画像データには、印刷媒体である用紙に印刷されるテストパッチ画像(第一のテストパッチ画像)の画像データと、転写ベルト73上に形成されるテストパッチ画像(第二のテストパッチ画像)の画像データがある。
用紙に印刷されるテストパッチ画像(第一のテストパッチ画像)は、
図3(i)に示すように、用紙の一の面(印刷ページ)のほぼ全体又は所定範囲に印刷されるテストパッチ画像である。つまり、一枚の用紙に印刷されるテストパッチ画像は、一の色で一の濃度のテストパッチ画像となる。ただし、パッチ生成部21においては、各色ごとに、かつ、複数段階の濃度のそれぞれについてのテストパッチ画像の画像データが生成される。このため、複数枚の用紙のそれぞれに、異なる色又は異なる濃度のテストパッチ画像が印刷される。
なお、用紙の印刷ページにテストパッチ画像が印刷される範囲は、その印刷ページの全体であってもよく、所定の範囲内であってもよい。所定の範囲内とする場合としては、例えば、用紙の縁部に余白を設ける場合などが挙げられる。ただし、所定の範囲内とする場合は、その印刷ページにおいて、できる限り広い範囲にテストパッチ画像を印刷することが望ましい。
【0024】
転写ベルト73上に形成されるテストパッチ画像(第二のテストパッチ画像)は、
図3(ii)に示すように、転写ベルト73の表面のうち、濃度センサ56がその転写ベルト73上で濃度を読み取る位置(センサ読み取り位置)の通る範囲(測定ライン)上に、帯状に印刷されるテストパッチ画像である。通常、一の画像形成装置1には、濃度センサ56が一つまたは二つ設けられている。
図3(ii)に示す例は、濃度センサ56が二つ設けられた場合であり、それら二つの濃度センサ56が転写ベルト73上で濃度を測定するセンサ読み取り位置の通る測定ラインのそれぞれに、テストパッチ画像が計二列で形成されるように、パッチ生成部21がテストパッチ画像の画像データを生成する。
また、パッチ生成部21は、一の列のテストパッチ画像に、CMYKの各色のパッチが当該転写ベルト73の移動方向に沿って順に並ぶように、それらテストパッチ画像の画像データを生成する。
さらに、パッチ生成部21は、CMYKの各色ごとに、段階的に濃度が変化するパッチが配置されたテストパッチ画像の画像データを生成する。
【0025】
代表値算出部22は、用紙に印刷されているテストパッチ画像を読み取り手段61が読み取ることで取得された濃度データにもとづいて、ページ代表値とライン代表値とを算出する代表値算出手段である。
ページ代表値とは、全パッチ面積(用紙においてテストパッチ画像が印刷された範囲の面積)に対して、その全パッチ面積内における画素ごとのパッチのうち同一の三刺激値であるXYZ値を有するパッチが占める面積比から算出した代表値のことである。
ライン代表値とは、全パッチ面積ではなく、センサ読み取り位置(転写ベルト73上で濃度センサ56が濃度を読み取る位置)の通る範囲(測定ライン)に対応した位置にある用紙上の部分(測定位置対応ライン、
図3(i)参照)の面積に対して、測定位置対応ライン内の画素ごとのパッチのうち同一の三刺激値であるXYZ値を有するパッチが占める面積比から算出した代表値のことである。
なお、測定ラインに対応した位置にある用紙上の部分とは、転写ベルト73の測定ライン上に形成された第二のテストパッチ画像が用紙に転写されるときに、その用紙に第二のテストパッチ画像が転写される範囲をいう。
【0026】
補正係数算出部23は、代表値算出部22にて算出されたページ代表値とライン代表値とを用いて補正係数を算出する補正係数算出手段である。
補正係数とは、ページ代表値とライン代表値との差分を表した数値をいう。例えば、ページ代表値とライン代表値との差分を比率として表したものを補正係数とすることができる。
【0027】
補正テーブル生成部24は、濃度センサ56が転写ベルト73上のテストパッチ画像を測定して得た濃度データ及び記憶手段30に保存されている補正係数を参照して、補正テーブルを生成する補正テーブル生成手段である。生成された補正テーブルは、記憶手段30に記憶される。
また、補正テーブルが新たに生成されて記憶手段30に記憶されると、画像処理手段20は、その後に印刷処理が実行されるとき
に使用する(補正テーブルの設定)。
【0028】
記憶手段30は、画像形成装置1を制御するための各種プログラムを記憶する。また、記憶手段30は、印刷データ取得手段10で受信された印刷データを記憶する。さらに、記憶手段30は、濃度階調調整の際に形成されるテストパッチ画像の画像データを記憶する。エンジン制御部40で印刷処理が行われる各ページの画像データは、この記憶手段30からエンジン制御部40に引き渡される。
【0029】
エンジン制御部40は、CPU、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等で構成されており、エンジン部50で印刷を実行する際に、所定のタイミングで記憶手段30に記憶されている画素データを読み出し、画素データに対してスクリーニングの処理(ハーフトーンの処理)を実行して、各画素の各色の濃度階調値のデータを各画素の紙面に付着させるトナー量を示す各色のスクリーニングからの出力階調値のデータに変換し、その出力階調値のデータにもとづき、パルス幅変調信号(各ラスター毎のレーザの点灯、非点灯の信号)を生成してエンジン部50に送る。画像処理手段20とエンジン制御部40で行われる、各画素の濃度階調値からなる画素データを、レーザの点灯、消灯を示す2値の信号に変換するためのスクリーニング(ハーフトーニング)の処理において、当該エンジン制御部40の特性に適した濃度階調補正が合わせて行われる。このエンジン制御部40は、具体的には、ASICで構成されている。
【0030】
エンジン部50は、エンジン制御部40からの指示にしたがって各色ごとのトナー像を形成し転写ベルト73に転写する機構部が備えられている。
機構部には、イエロー画像形成部Y、マゼンタ画像形成部M、シアン画像形成部C、及び、モノクロ(黒)画像形成部Kがある。そして、各画像形成部Y〜Kのそれぞれに、感光体ドラム51、主帯電器52、露光装置53、現像器54(54−1〜54−4)、除電器55などが配置されている。
【0031】
感光体ドラム51は、円筒状の導電性基材とその外周面に形成された感光層とを有し、静電潜像やトナー像が形成される像担持体である。感光体ドラム51は、円筒状の中心軸を中心として回転可能となっている。例えば、
図4に示す感光体ドラム51は、時計まわりに回転する。また、感光体ドラム51の周面において、その中心軸の軸方向が主走査方向、その周方向が副走査方向となる。
主帯電器52は、コロナ帯電により感光体ドラム51の周面を所定の極性に一様に帯電させる。
【0032】
露光装置53は、内蔵するレーザやLEDアレイなどの光源からのビームを、帯電された感光体ドラム51に照射して画像露光する。これにより、感光体ドラム51の周面に静電気による潜像が形成される。
露光装置53のビーム照射は、ホストコンピュータ2から入力される画像データにもとづいて変調された駆動信号により制御される。
【0033】
現像器54は、各画像形成部Y〜Kに対応する色のトナーを用いて感光体ドラム51の周面に形成された静電潜像を現像し、トナー像を形成する。
なお、イエロー画像形成部Yには、イエロートナーが充填されたイエロー現像器54−1が設けられている。また、マゼンタ画像形成部Mには、マゼンタトナーが充填されたマゼンタ現像器54−2が、シアン画像形成部Cには、シアントナーが充填されたシアン現像器54−3が、モノクロ画像形成部Kには、黒トナーが充填されたモノクロ現像器54−4が、それぞれ設けられている。
【0034】
このような構成を有するエンジン部50において、フルカラー画像を形成する場合には、各画像形成部Y、M、C、Kにおいて、画像形成がそれぞれ実行され、各色の単色トナー像が転写ベルト73上に順次重ね合わせることで写し取られた後、そのフルカラー画像が用紙上に転写される。
なお、画像形成部の順は、本実施形態においては、Y→M→C→Kとしているが、Y→M→C→Kに限るものではなく、任意の順にすることができる。
また、モノクロ画像を形成する場合には、モノクロ画像形成部Kにおいてのみ画像形成が実行され、黒のトナー画像が転写ベルト73上に写し取られ、そのモノクロ画像が用紙上に転写される。
【0035】
除電器55は、転写ベルト73にトナー像が転写された後の感光体ドラム51に残余した電荷を除去する。これにより、感光体ドラム51に付着した過剰トナーが取り払われる。また、過剰トナーは、機械的に取り払われる(クリーニング)。
【0036】
濃度センサ56は、転写ベルト73の近傍に設けられており、転写ベルト73上に形成されたテストパッチ画像の濃度を測定するパッチ濃度測定手段である。
この濃度センサ56にて測定されたテストパッチ画像の濃度を示す濃度データは、エンジン制御部40を介して、記憶手段30へ送られて記憶される。
【0037】
読み取り手段61は、原稿台(コンタクトガラス、図示せず)に載置された印刷媒体である用紙に表わされた画像を、CCD等を有するイメージセンサ(図示せず)により読み取り、これを画像データとして画像処理手段20へ送る。
【0038】
操作表示手段62は、操作画面を表示する表示部62aと、一般ユーザ又は管理者により操作可能に設けられた操作部62bとを有している。
表示部62aは、タッチパネルの機能を備えた液晶ディスプレイ等からなる表示装置であって、操作画面を表示する。
操作画面は、画像形成装置1の有する機能に関する各種項目を配置表示するとともに、一般ユーザ又は管理者により選択・設定される項目をソフトウエアキーとして表示する画面である。
【0039】
この操作画面には、例えば、パッチ画像印刷設定画面が含まれる。
パッチ画像印刷設定画面は、用紙にテストパッチ画像を印刷させようとするときに、その内容を設定したり、その印刷を開始させたりするための操作画面である。
このパッチ画像印刷設定画面には、例えば、画像処理手段20のパッチ生成部21にて生成されるテストパッチ画像の色(C,M,Y,K)や濃度を示す数値を表示させたり、これら色や濃度の中から実際に印刷させる色や濃度を設定するためのGUIウィジェット(例えば、ラジオボタン、チェックボックス、テキストボックスなど)等を表示させたりすることができる。
【0040】
操作部62bは、表示部62aに表示されるソフトウエアキーと、表示部62a以外の箇所に設けられたハードウエアキーとを含む入力手段である。操作部62bは、一般ユーザ又は管理者により操作されたとき、この操作により入力された情報を受け入れる。また、その操作の内容に応じた各種命令を画像処理手段20へ出力する。
この操作部62bには、例えば、パッチ画像印刷設定画面を表示部62aに表示させるための設定画面表示キーや、所定のテストパッチ画像を用紙に印刷する処理を画像形成装置1に実行させるためのパッチ画像印刷開始キーなどが含まれる。これら設定画面表示キーやパッチ画像印刷開始キーは、表示部62aに表示されるソフトウエアキーとして設けることができ、あるいは、表示部62a以外の箇所にハードウエアキーとして設けることもできる。
【0041】
給紙部71は、印刷処理前の用紙をストックするとともに、用紙を1枚ずつ取り出して搬送ベルト72に給紙する。この給紙部71には、主に規格サイズの用紙をストックする給紙カセットや、規格外サイズの用紙を少量セットし1枚ずつ給紙させるための手差し給紙部(図示せず)などが含まれる。
搬送ベルト72は、一対のローラ間に張架されたベルトであって、給紙部71から給紙された用紙を所定の方向に搬送する。
【0042】
転写ベルト73は、エンジン部50の各画像形成部Y〜Kにて形成された各色のトナー像を写し取り、これを用紙に転写する。
転写ローラ74は、転写ベルト73と搬送ベルト72とを挟み込む一対のローラで構成されており、転写ベルト73上に形成された各色のトナー像を、搬送ベルト72により搬送されてきた用紙上に一回の通紙で転写するようになっている。
【0043】
定着手段75は、定着ローラ、加圧ローラなどを有しており、用紙上に転写された各色のトナー像を、熱と機械的な圧によってその用紙に溶融付着される(熱定着処理)。
排紙保持部76は、印刷処理後に排紙された用紙を保持する。
【0044】
[キャリブレーション方法]
次に、本実施形態の画像形成装置が実行するキャリブレーション方法について、
図5、
図6を参照して説明する。
図5は、キャリブレーション方法のうち濃度代表値を算出する方法の動作手順を示すフローチャートである。
図6は、キャリブレーション方法のうち補正テーブルを生成し
て設定する方法の動作手順を示すフローチャートである。
なお、キャリブレーション方法には、
図5、
図6に示すように、濃度代表値の算出方法と補正テーブルの生成方法がある。
ここでは、「濃度代表値の算出方法」、「補正テーブルの生成方法」の順に、説明する。
【0045】
(濃度代表値の算出方法)
まず、濃度代表値の算出方法の手順について、
図5を参照して説明する。
画像形成装置1の管理者による操作部62bの設定画面表示キーの操作により、パッチ画像印刷設定画面が表示部62aに表示される。そして、表示部62aに表示されたパッチ画像印刷設定画面の表示内容にしたがって、管理者による操作部62bの操作により、テストパッチ画像の色や濃度が設定され、さらに、操作部62bのパッチ画像印刷開始キーが操作されると、操作表示手段62は、それらの操作を受け付けて、パッチ画像印刷機能の実行を開始することを示す信号を画像処理手段20へ送る。
【0046】
なお、上記のように、管理者は、表示部62aに表示されたパッチ画像印刷設定画面の表示内容にしたがって、テストパッチ画像の色や階調を設定することができる。
本来であれば、生成されるテストパッチ画像の画像データは、CMYKの各色ごとに、全ての階調(例えば、256階調の全て)について生成するのが理想的である。ただし、このようにすることは、現実的に困難であるため、CMYKの各色ごとに、異なる濃度で、所定数のテストパッチ画像の画像データを生成するようにする。パッチ画像印刷設定画面においては、濃度を示す具体的な数値を設定することができる。
【0047】
画像処理手段20のパッチ生成部21は、濃度測定用のテストパッチ画像の画像データを生成する(S10)。
このとき、パッチ生成部21は、
図3(i)に示すように、用紙の一の面(印刷ページ)のほぼ全体に、一の色で、一の濃度のテストパッチ画像が印刷されるように、パッチ画像印刷設定画面で設定された各色及び各濃度ごとのテストパッチ画像の画像データを生成する。
【0048】
エンジン部50は、パッチ生成部21で生成されたテストパッチ画像の画像データにもとづいて、それらテストパッチ画像を用紙に印刷する(S11)。
ここで、パッチ生成部21で複数のテストパッチ画像の画像データが生成された場合、エンジン部50は、それら複数のテストパッチ画像ごとに、異なる用紙に印刷する。これにより、用紙ごとに、異なる色及び濃度のテストパッチ画像が印刷される。
エンジン部50でテストパッチ画像が印刷された用紙は、排紙保持部76に排紙される。
【0049】
管理者は、排紙保持部76に排紙された用紙を取り出して、読み取り手段61の原稿台(コンタクトガラス)の上に載置する。
読み取り手段61は、用紙に印刷されたテストパッチ画像を読み取る(S12)。これにより、テストパッチ画像の濃度が、当該テストパッチ画像の所定エリアごと(例えば、読み取り手段61の解像度にもとづいて用紙の印刷ページを微小エリアである画素に区分けしたときの各画素ごと)に測定され、取得される。この取得されたテストパッチ画像の画素ごとの濃度は、記憶手段30に記憶される。
【0050】
画像処理手段20の代表値算出部22は、読み取り手段61で取得されたテストパッチ画像の濃度(記憶手段30から取り出したテストパッチ画像の濃度)にもとづいて、ページ代表値とライン代表値の算出を行う(S13)。
なお、このS13にて代表値算出部22が実行するページ代表値とライン代表値の算出については、後記の[代表値及び補正係数の算出の具体例]にて、その内容を詳述する。
【0051】
補正係数算出部23は、代表値算出部22で算出されたページ代表値とライン代表値の差分を表す補正係数を算出する(S14)。
なお、このS14にて補正係数算出部23が実行する補正係数の算出については、後記の[代表値及び補正係数の算出の具体例]にて、その内容を詳述する。
記憶手段30は、補正係数算出部23で算出された補正係数を記憶する(S15)。
【0052】
(補正テーブルの生成)
次に、補正テーブルの生成の手順について、
図6を参照して説明する。
なお、補正テーブルの生成を実行するタイミングは、例えば、画像形成装置1の電源投入時、画像形成装置1の起動時間の累計が所定時間以上となったとき、印刷処理を実行した時間又は印刷枚数の累計が閾値を超過したとき、管理者による操作部62bの操作により補正テーブルの生成の指示を受けたときのいずれであってもよく、あるいは、これら以外のタイミングであってもよい。
【0053】
画像処理手段20のパッチ生成部21は、濃度測定用のテストパッチの画像データを生成する(S20)。
ここで、パッチ生成部21は、転写ベルト73上に、
図3(ii)に示したテストパッチ画像が形成されるような画像データを生成する。
すなわち、パッチ生成部21は、転写ベルト73の表面において、テストパッチ画像が、帯状で、かつ二列で形成され、それら二列のテストパッチ画像が濃度センサ56により読み取り可能な位置に形成されるように、当該テストパッチ画像の画像データを生成する。
【0054】
エンジン部50は、パッチ生成部21で生成されたテストパッチ画像の画像データにもとづいて、転写ベルト73上にテストパッチ画像を形成する(S21)。
濃度センサ56は、転写ベルト73上に形成されたテストパッチ画像の濃度を測定する(S22)。
【0055】
補正テーブル生成部24は、濃度センサ56で測定された濃度を示すデータ及び記憶手段30に保存されている補正係数を参照して、補正テーブルを生成する(S23)。
なお、このS23にて補正テーブル生成部24が実行する補正テーブルの生成については、後記の[ガンマ補正テーブルの生成の具体例]にて、その内容を詳述する。
【0056】
記憶手段30は、補正テーブル生成部24で生成された補正テーブルを記憶する(S24)。
これにより、補正テーブル生成部24で生成され記憶手段30に記憶された補正テーブル
が設定される(S25)。すなわち、画像処理手段20は、以降に印刷処理が実行される場合においてガンマ補正を行うときは、記憶手段30に記憶された補正テーブルを参照する。
【0057】
このような内容でキャリブレーション方法を実行することにより、次のような効果を奏する。
例えば、用紙に印刷されたテストパッチ画像におけるページ内の濃度の代表値(ページ代表値)と、その用紙に印刷されたテストパッチ画像の測定位置対応ラインにおける濃度の代表値(ライン代表値)とを比較して得られた補正係数を用いることで、濃度センサ56により検出される、転写ベルト73上に形成されたテストパッチ画像の濃度から、ページ内の濃度の代表値を推測することができる。
【0058】
また、補正テーブルの生成に際して補正係数を反映させることとしたので、濃度センサ56の読み取り位置とページ全体との濃度差を補正係数として補正テーブルに反映させることができる。これにより、キャリブレーションの測定結果に対して、副操作方向と主操作方向の双方向の濃度ムラの影響を低減することができる。
さらに、転写ベルト73上に形成されたテストパッチ画像を測定して得られた濃度にもとづいて補正テーブルを生成する前に、事前に算出されるデータが、ページ代表値とライン代表値と補正係数という数個のデータであるため、これらを記憶するための記憶手段30のメモリ領域を必要最小限に抑えることができる。
【0059】
[代表値及び補正係数の算出の具体例]
次に、ページ代表値、ライン代表値、補正係数の算出の具体例について、説明する。
ここでは、ページ代表値を「Vp」、ライン代表値を「Vl」とする。
また、Black、Magentaは、XYZのY値、Cyanは、XYZのX値、Yellowは、XYZのZ値を用いるとよい。
【0060】
(1)ページ代表値の算出例
ページ代表値とは、前述したように、全パッチ面積(用紙においてテストパッチ画像が印刷された範囲の面積)に対して、その全パッチ面積内における画素ごとのパッチのうち同一の三刺激値であるXYZ値を有するパッチが占める面積比から算出した代表値のことである。
【0061】
ここで、色がBlackで、色値が50%のテストパッチ画像を用紙に印刷したときに、測定されたパッチごと(画素ごと)のY値と、全パッチ面積に対するY値ごとのパッチの面積の割合(%)が、次のようになったものとする。
Y値25のパッチの面積が全パッチ面積の15%
Y値20のパッチの面積が全パッチ面積の80%
Y値15のパッチの面積が全パッチ面積の5%
【0062】
この場合、ページ代表値Vpは、次式を用いて算出することができる。
ページ代表値Vp=25×0.15+20×0.8+15×0.05
=20.5 ・・・(式1)
【0063】
(2)ライン代表値の算出例
ライン代表値とは、前述したように、センサ読み取り位置(転写ベルト73上で濃度センサ56が濃度を読み取る位置)に対応する用紙上の部分(測定位置対応ライン)の面積に対して、当該測定位置対応ライン内の画素ごとのパッチのうち同一の三刺激値であるXYZ値を有するパッチが占める面積比から算出した代表値のことである。
【0064】
ここで、色がBlackで、色値が50%のテストパッチ画像を用紙に印刷したときに、測定位置対応ラインにおけるパッチごと(画素ごと)のY値と、ライン面積に対するY値ごとのパッチの面積の割合(%)が、次のようになったものとする。
Y値25のパッチの面積がライン面積の30%
Y値20のパッチの面積がライン面積の60%
Y値15のパッチの面積がライン面積の10%
【0065】
この場合、ライン代表値Vlは、次式を用いて算出することができる。
ライン代表値Vl=25×0.3+20×0.6+15×0.1
=21 ・・・(式2)
【0066】
(3)補正係数の算出例
補正係数とは、ページ代表値とライン代表値との差分を表した数値をいう。
ここでは、ページ代表値とライン代表値との差分を比率として表したものを補正係数とする。よって、補正係数kは、次式により算出することができる。
k=Vp/Vl ・・・(式3)
【0067】
この(式3)に、(式1)、(式2)で算出した数値を代入すると、次のようになる。
補正係数k=20.5/21=0.976 ・・・(式4)
【0068】
以上の手順により、ページ代表値、ライン代表値、補正係数をそれぞれ算出することができる。
そして、複数の色値(例えば、12.5%、25%、37.5%、50%、62.5%、75%、87.5%、100%の八つの色値)のそれぞれについて、補正係数kを算出する。
算出した補正係数kは、ガンマ補正テーブルの生成の際に使用される。この補正係数を使用したガンマ補正テーブルの生成については、次の[ガンマ補正テーブルの生成の具体例]の中で説明する。
【0069】
[ガンマ補正テーブルの生成の具体例]
次に、ガンマ補正テーブルの生成の具体例について、説明する。
ここでは、次の事項について、順に説明する。
(1)補正係数を使用した濃度の補正
(2)補正後の濃度によるガンマ補正テーブルの生成
【0070】
(1)補正係数を使用した濃度の補正
補正係数は、転写ベルト51上に描画したパッチを測定して得られた濃度に対する補正を行うときに用いられる。
その濃度の補正は、次式を用いて行われる。
補正後の濃度=転写ベルト51上に描画したパッチを測定して得られた濃度×補正係数
・・・(式5)
このように、転写ベルト51上に描画したパッチを測定して得られた濃度に対して、補正係数を乗算することで、その濃度を補正することができる。
【0071】
ここで、具体的な数値を用いて、その濃度の補正を説明する。
例えば、前述した[代表値及び補正係数の算出の具体例]の「(3)補正係数の算出例」においては、色がBlackで、色値が50%のテストパッチ画像を用紙に印刷したときの補正係数kを算出した。具体的に、その「(3)補正係数の算出例」においては、補正係数k=0.976が得られた。
この補正係数kは、前述したように、色値が50%のテストパッチ画像の濃度にもとづいて算出したものである。このため、例えば、現状の入出力特性曲線が
図7にて実線で示した曲線として得られる場合の色値50%の部分に、その補正係数kがかかる。
同図の入出力特性曲線においては、色値50%のとき、濃度が約11(同図に示す黒丸の点)である。よって、この濃度と補正係数kを(式5)に代入することで、当該濃度を補正することができる。具体的には、次式のように算出される。
補正後の濃度=11×0.976=10.736 ・・・(式6)
【0072】
(式6)は、色値が50%のテストパッチ画像の濃度にもとづいて算出した補正係数kを用いて、濃度を補正する式であるが、他の色値についても同様に(式5)を用いて濃度の補正を行う。
例えば、12.5%、25%、37.5%、50%、62.5%、75%、87.5%、100%の8点の色値のそれぞれについて、テストパッチ画像を生成し、用紙に印刷して、画素ごと(パッチごと)の濃度を測定し、補正係数kを算出した場合、それら8点の色値に対応する濃度のそれぞれについて、補正係数kを用いた補正が行われる。
それら濃度が補正された後の8点をスプライン補間などで補間を行うことにより、「現状の入出力特性曲線」の補正を行う。
その補正した現状の入出力特性曲線により、次に説明するように、ガンマ補正テーブルが生成される。
【0073】
(2)補正後の濃度によるガンマ補正テーブルの生成
(1)で説明した内容にしたがって、現状の入出力特性が補正されると、この補正後の入出力特性曲線によりガンマ補正テーブルが生成される。このガンマ補正テーブルの生成について、
図8、
図9を参照して説明する。
図8において、実線の曲線は、補正係数kを用いて補正された後の現状の入出力特性を示す。また、同図において、破線の曲線は、目標とする入出力特性を示す。さらに、
図9において、実線の曲線は、生成されたガンマ補正テーブルを示す。そして、同図において、破線は、実線のガンマ補正テーブルが生成される前のガンマ補正テーブルを示す。
【0074】
これらの図を参照して、ガンマ補正テーブルの生成の具体例を説明する。例えば、
図8に示す現状の入出力特性においては、色値が25%(約64)のとき、濃度は約70(同図に示す「現状」の位置)である。この濃度を、目標とする濃度である48(同図に示す「目標」の位置)に近づける。
同図中に矢印で示したように、現状で濃度を48とするためには、色値を35%(約90)にすればよいことがわかる。
そこで、
図9に示すガンマ補正テーブルについても、現在は入力階調値(In)=出力階調値(Out)としていたが(同図に示す破線)、入力階調値(In)が64のときは、出力階調値(Out)を90とすればよい(同図に示す白丸の点)。
同様に、複数箇所(例えば、8箇所)の測定を行い、得られたプロット(
図9の黒丸の点)をもとに線形補間やスプライン補間を行って、256階調に増点することで、ガンマ補正テーブルを生成することができる(
図9に示す実線の曲線)。
【0075】
[キャリブレーションプログラム]
次に、キャリブレーションプログラムについて説明する。
上記の実施形態におけるコンピュータ(画像形成装置1)のキャリブレーション機能(キャリブレーション方法を実行するための機能)は、記憶手段30(例えば、ROM(Read Only Memory)やハードディスクなど)に記憶されたキャリブレーションプログラムにより実現される。
【0076】
キャリブレーションプログラムは、コンピュータの制御手段(画像処理手段20やエンジン制御部40等に設けられたCPUなど)に読み込まれることにより、コンピュータの構成各部に指令を送り、所定の処理、たとえば、画像形成装置1の読み取り手段61の画像読み取り処理、エンジン制御部40及びエンジン部50のトナー像形成処理、濃度センサ56の濃度測定処理、パッチ生成部21のパッチ生成処理、代表値算出部22の代表値算出処理、補正係数算出部23の補正係数算出処理、補正テーブル生成部24の補正テーブル生成処理、操作表示手段62のパッチ画像印刷設定画面の表示処理などを行わせる。
これによって、キャリブレーション機能は、ソフトウエアであるキャリブレーションプログラムとハードウエア資源であるコンピュータ(画像形成装置1)の各構成手段とが協働することにより実現される。
【0077】
なお、キャリブレーション機能を実現するためのキャリブレーションプログラムは、コンピュータのROMやハードディスクなどに記憶される他、コンピュータ読み取り可能な記録媒体、たとえば、外部記憶装置及び可搬記録媒体等に格納することができる。
外部記憶装置とは、CD−ROM(Compact Disk-ROM)等の記憶媒体を内蔵し、キャリブレーション装置に外部接続されるメモリ増設装置をいう。一方、可搬記録媒体とは、記録媒体駆動装置(ドライブ装置)に装着でき、かつ、持ち運び可能な記録媒体であって、たとえば、フレキシブルディスク,メモリカード,光磁気ディスク等をいう。
【0078】
そして、記録媒体に記録されたプログラムは、コンピュータのRAM等にロードされて、CPU(制御手段)により実行される。この実行により、上述した実施形態のキャリブレーション装置の機能が実現される。
さらに、コンピュータでキャリブレーションプログラムをロードする場合、他のコンピュータで保有されたキャリブレーションプログラムを、通信回線を利用して自己の有するRAMや外部記憶装置にダウンロードすることもできる。このダウンロードされたキャリブレーションプログラムも、CPUにより実行され、上記実施形態のキャリブレーション装置のキャリブレーション機能を実現する。
【0079】
以上説明したように、本実施形態の画像形成装置、キャリブレーション方法及びキャリブレーションプログラムによれば、ページ代表値とライン代表値の差を補正する係数を予め記憶しておくことで、転写ベルト上でのテストパッチ画像の測定値から実際の印刷した場合における濃度ムラの代表値であるページ代表値を推測することができる。
【0080】
また、補正テーブルの生成に際して補正係数を反映させることとしたので、濃度センサの読み取り位置とページ全体との濃度差を補正係数として補正テーブルに反映させることができる。これにより、キャリブレーションの測定結果に対して、副操作方向と主操作方向の双方向の濃度ムラの影響を低減することができる。
さらに、転写ベルト上に形成されたテストパッチ画像を測定して得られた濃度にもとづいて補正テーブルを生成する前に、事前に算出されるデータが、ページ代表値とライン代表値と補正係数であるため、これらを記憶するための記憶手段のメモリ領域を必要最小限に抑えることができる。
【0081】
以上、本発明の画像形成装置、キャリブレーション方法及びキャリブレーションプログラムの好ましい実施形態について説明したが、本発明に係る画像形成装置、キャリブレーション方法及びキャリブレーションプログラムは上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
【0082】
例えば、上述した実施形態では、画像形成装置の読み取り手段が用紙に印刷されたテストパッチ画像の濃度を読み取ることとしたが、その読み取り手段は、画像形成装置の本体に組み込まれた読み取り手段であってもよく、あるいは、画像形成装置の本体に外部接続されたスキャナなどの読み取り手段であってもよい。また、読み取り手段は、画像形成装置の本体とは別個独立したハンディタイプの読み取り手段であってもよい。ここで、読み取り手段が画像形成装置の本体に外部接続されたもの、あるいは、画像形成装置の本体に接続されておらず別個独立したものである場合、当該読み取り手段は、用紙からテストパッチ画像の濃度を読み取った後に、外部接続されたケーブルを介して、あるいは、ケーブルを接続することで、濃度データをその画像処理装置の本体へ送信することができる。また、用紙からテストパッチ画像の濃度を読み取った後に、当該読み取り手段から記憶媒体を取り外し、この記憶媒体を画像形成装置に接続又は装着するなどして移し替えて、その記憶媒体に記憶されている濃度データを画像形成装置の本体が読み取るなどして取得するようにしてもよい。
【0083】
また、上述した実施形態では、一の画像形成装置に濃度センサが二つ設けられることを前提としている。このため、例えば、
図3(i)、(ii)に示すように、転写ベルト上の二本の測定ラインのそれぞれに第二のテストパッチ画像が形成され、用紙上には、二本の測定位置対応ラインが設定される。ただし、一の画像形成装置に設けられる濃度センサの数は、二つに限るものではなく、例えば、一つであってもよい。この場合、転写ベルト上の測定ラインは一本となり、この一本の測定ライン上に第二のテストパッチ画像が形成され、用紙上には、その測定ラインに対応した位置に一本の測定位置対応ラインが設定される。そして、ライン代表値については、その一本の測定位置対応ラインにおける濃度の代表値がライン代表値とされる。
さらに、画像形成装置の読み取り手段が用紙に印刷されたテストパッチ画像の濃度を読み取る際、そのテストパッチ画像の画像データに設定されている色及び濃度が何であるかについても取得できるように、用紙における任意又は特定の箇所に、それらテストパッチ画像の色及び濃度を文字等により印刷しておくことが望ましい。