(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
農業機械が複数の圃場で農作業したときの農作業情報と衛星測位システムによって検出された前記農業機械の作業位置とを対応付けて記憶する情報記憶部と、前記各圃場の地図データを記憶する地図データ記憶部と、前記作業位置及び前記地図データを用いて前記情報記憶部に記憶された前記農作業情報を圃場毎に整理する情報整理部とを備えており、
前記情報整理部は、
前記衛星測位システムによって検出された作業位置と前記圃場に定められた位置とのズレ量を演算するズレ量演算部と、
前記ズレ量演算部で求められたズレ量に基づいて、前記情報記憶部に記憶された農作業情報が前記地図データで示されたどの圃場に対応しているかを判定する情報対応関係判定部と、
を備え、
前記ズレ量演算部は、前記作業位置に基づいて求めた農業機械の変化位置と前記地図データに基づいて定められた圃場の基準位置とのズレ量であるポイントズレ量を求めるポイントズレ量演算部と、前記圃場の輪郭を示す輪郭線の中で向きの異なる少なくとも2つの辺部と前記作業位置とのズレ量である輪郭ズレ量を求める輪郭ズレ量演算部とを備え、
前記情報対応関係判定部は、前記ポイントズレ量演算部で求めたポイントズレ量と前記農業機械のイベント発生とに基づいて前記情報記憶部に記憶された農作業情報が前記地図データで示されたどの圃場に対応しているかを判定する第1情報対応関係判定部と、前記輪郭ズレ量に基づいて前記情報記憶部に記憶された農作業情報が前記地図データで示されたどの圃場に対応しているかを判定する第2情報対応関係判定部とを備えていることを特徴とする農作業情報管理装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、農作業情報管理システムの全体図を示したものである。
図1、4に示すように、農作業情報管理システム1は、コンバインや田植機等の農業機械2を用いて、圃場3内で農作業したときの農作業情報(農作業情報という)を当該農業機械2で収集し、収集した農作業情報を圃場毎に管理するものである。
【0011】
具体的には、農作業情報管理システム1では、農業機械1の作業位置を衛星測位システム(Global Positioning System、Positioning systemなど)を用いて検出しながら、農業機械1の農作業情報を収集する。収集した農作業情報や作業位置は、携帯端末などの通信機器を用いてサーバ等から構成された農作業情報管理装置6に送信し、農作業情報管理装置6によって圃場毎に農作業情報が整理される。圃場毎に整理された農作業情報は、例えば、圃場3で農作業するときの作業計画に利用したり、農作業を行った作業日報などの作成等に用いることができる。
【0012】
まず、コンバインを例にとり、農業機械の構成について説明する。
図14はコンバインの全体図を示している。
コンバイン2は、左右一対の走行装置11を備えた機体12に、運転席13、エンジン14、脱穀処理する脱穀装置15、脱穀された作物を貯留するグレンタンク16等を備えて構成されたもので、機体12の前側には、作物(例えば、穀物)を刈り取る刈取部17が設けられている。
【0013】
図1,2に示すように、コンバイン2は、農作業を行ったときの農作業情報として作物の水分、食味、収穫量などを測定する手段を備えている。具体的には、コンバイン2は、作物に含まれる水分量を測定する水分測定部20と、作物の食味を計測する食味測定部21と、作物の収穫量を測定する収穫量測定部22とを備えている。水分測定部20と食味測定部21とは、グレンタンク16の内部、又は、グレンタンク16の周囲に設けられている。
【0014】
食味測定部21は、近赤外光を作物に照射して、透過光の分光分析に基づいて吸収スペクトルを解析し、その解析結果により、作物に含まれるタンパク質等の成分量を求める。収穫量測定部22は、ロードセル等で構成されている。
図2(a)に示すように、農作業情報の中で、水分及び食味の測定は、グレンタンク16に入れられる作物の一部を測定ケース23に入れ、測定ケース23に入れられた作物の水分及び食味を、水分測定部20や食味測定部21によって測定することによって行われる。
【0015】
図2(b)に示すように、測定ケース23内の作物は、測定が終了するとグレンタンク16内に入れられる。また、収穫量は、グレンタンク16内が作物で満杯になった時などに、グレンタンク16の重量を収穫量測定部22によって測定し、グレンタンク16の重量を収穫量に換算することによって求める。
即ち、水分及び食味は、測定ケース23に作物を貯めてサンプリング用の作物を確保後、当該サンプリング用の作物を測定し、一方、収穫量は、グレンタンク16内の作物が満杯になった時点等にグレンタンクの重量を測定しているため、水分及び食味のサンプリング周期と、収穫量のサンプリング周期とは異なり、水分及び食味のサンプリング周期は、収穫量のサンプリング周期よりも周期が短くなる。
【0016】
さて、コンバイン2には、衛星測位システムの1つであるGPS衛星等の信号を受信して位置(例えば、緯度、経度)を検出する位置検出装置25が備えられている。この位置検出装置25によってコンバイン2が農作業を行ったときの作業位置を検出することができる。なお、位置検出装置25を、GPS衛星等の信号を受信して位置を検出可能な携帯端末(タブレットPCや電話機能を有するスマートフォン等)で構成してもよい。この場合、コンバイン2を操作する操作者が携帯端末を持参して当該コンバイン2を操作するか又は携帯端末をコンバイン2内に設置して、携帯端末の位置をコンバイン2の作業位置とすればよい。
【0017】
作物の水分や食味の測定が終了すると、水分や食味の測定時(測定終了時)でのコンバイン2の作業位置が、水分及び食味に関連付けられ、水分及び食味は、コンバイン2を制
御する制御装置26、又は、コンバイン2に設けられた無線通信機器27に送信される。また、作物の収穫量の測定が終了すると、収穫量の測定時(測定終了時)でのコンバイン2の作業位置が、収穫量に関連付けられ、収穫量は、制御装置26又は無線通信機器27に送信される。
【0018】
そして、農作業情報(水分、食味、収穫量等)と、作業位置は、制御装置26又は無線通信機器27等に一時的に保存される。これら、制御装置26や無線通信機器27等に一時的に保存された農作業情報及び作業位置は、例えば、外部との無線通信を行う無線通信機器27を介して農作業情報管理装置6に送信される。
図3に示すように、農作業情報管理装置6は、水分、食味、収穫量、作業位置を受信すると、当該農作業情報管理装置6に設けられた情報記憶部30に、所定の間隔で順に、水分、食味、収穫量、作業位置を記憶(保存)する。即ち、情報記憶部30には、所定の間隔(作業位置の検出間隔)で、複数の農作業情報(水分、食味、収穫量)が保存されることになる。例えば、コンバイン2が第1位置(経度34.55989、緯度135.467494)から第2位置(経度34.56449、緯度135.472094)まで移動する間に、情報記憶部30には、24個の農作業情報が保存されることになる。
【0019】
位置検出装置25で検出できる作業位置の精度(位置精度)は、数十cm〜数m程度であり、高性能なものは数cmであるのが実情である。このように、位置精度が数cmである位置検出装置25は開発されているものの、位置精度が数cmであるは非常に高価であり、コンバインの作業位置を検出するものとして採用することは難しい。
即ち、コンバイン2等に採用される位置検出装置25は、位置精度(測定誤差)が数十cm〜数mであるものが多く、これらの誤差を含んだ作業位置を用いて、コンバイン2が位置する圃場3を特定することは、従来の技術では難しい。
【0020】
また、
図4に示すように、圃場3は一般的に長方形状であって、規則的に縦や横並びになっていることが多いため、形状的な差が少なく、この点からも、作業位置のみによる圃場の特定は難しい。例えば、圃場A、圃場B、圃場C、圃場Dのうち、圃場Aでコンバイン2による農作業を行った場合を考える。
圃場Aで農作業を開始した直後の時点では、コンバイン2は圃場3の入口側に位置することになるが、圃場3の入口は、圃場Aだけでなく圃場Bにも近いため、位置検出装置25によって、コンバイン2の1点の作業位置を検出したとしても、位置検出装置25による作業位置には誤差が含まれるため、1点のみの作業位置を見ただけでは、実際のコンバイン2が圃場Aに居るのか圃場Bに居るのか判定が行い難い。
【0021】
そこで、本発明では、農業機械(コンバイン)が圃場で移動したときの状態(測位衛星システムで検出した作業位置の状態)と、圃場との関係とに基づき、コンバイン2で農作業したときの圃場の特定を行うと共に、収集した複数の農作業情報がどの圃場に対応しているかを適正に判定することとしている。
まず、コンバイン2で農作業(作物の収穫)を行った場合の移動ルートについて
図5を用いて説明する。
【0022】
なお、
図5の説明では、圃場を見て、右側に位置し且つ紙面の上下に延びる辺を「右縦辺部」とし、左側に位置し且つ紙面の上下に延びる辺を「左縦辺部」とし、上側に位置し且つ紙面の左右に延びる辺を「上横辺部」とし、下側に位置し且つ紙面の左右に延びる辺を「下横辺部」という。また、コンバインは、
図5に示した圃場Aと圃場Bのうち、圃場Aで農作業を行っているとする。
【0023】
図5に示すように、圃場A内で作物の収穫を行うにあたっては、まず、圃場Aの入口へとコンバイン2を進める。圃場Aの入口に入ると、コンバイン2を、畦際(右縦辺部R1)に沿って進ませながら条刈りを行う。コンバイン2を入口の反対側まで進めると、反対側で90度ターンし、圃場Aの右縦辺部R1と略直交する圃場Aの上横辺部U2に沿って進み、横刈りを行う。
【0024】
上横辺部U2の周辺の横刈りが終了すると、圃場Aの右縦辺部R1と略平行な左縦辺部L1に沿って進みながら条刈りを行う。左縦辺部L1の周辺での条刈りが終了すると、90度向きを変えて、圃場Aの上横辺部U2と略平行な下横辺部D2に沿って進みながら横
刈りを行う。
即ち、コンバイン2で作物の収穫を行う場合、まず、圃場Aの入口から圃場Aの各辺(輪郭線E)に沿って反時計回りに周りながら作物の収穫を行い、圃場A内を輪郭線Eに沿って1周した後は、同じように、圃場A内を反時計回りに移動しながら作物の収穫を行う。
【0025】
さて、従来の技術では、コンバイン2の実際の位置を検出するに際しては、測位衛星システムで検出した作業位置を、地図データ内の圃場に照合することによって行う。しかしながら、上述したように、測位衛星システムで検出した作業位置は、実際の位置と異なることがあり、作業位置と、地図データ内の圃場との照合だけでは、位置を特定することは難しい。
【0026】
本発明では、コンバイン2の作業位置と、圃場A或いは圃場Bに任意に定められた位置(任意位置)との差(ズレ量)を演算し、各圃場におけるズレ量の傾向からコンバイン2が農作業した圃場を特定することとしている。
具体的には、第1に、圃場(圃場Aや圃場B)の重心位置(中心位置)を任意位置としたうえで当該重心位置と作業位置とのズレ量の傾向からコンバイン2が農作業した圃場を特定することとしている。また、第2に、圃場の輪郭線上を任意位置としたうえで当該輪郭線と作業位置とのズレ量の傾向からコンバイン2が農作業した圃場を特定することとしている。
【0027】
まず、圃場の重心位置(中心位置)と作業位置とのズレ量に基づいてコンバイン2が農作業した圃場を特定する方法について説明する。
上述したように、コンバイン2は、圃場Aの輪郭線Eに沿って反時計回りに進みながら農作業を行う。そのため、コンバイン2が作業位置である緯度や経度を足して平均し、その平均値(変化位置)と、圃場の重心位置との差(ズレ)がほとんど無くなる。
【0028】
例えば、圃場3の入口であるP1から圃場3の入口の反対側であるP2までコンバイン2が移動した場合、
図5、6に示すように、P1からP2までの作業位置の平均値(変化位置)と、圃場3の重心位置との差は大きい。しかしながら、さらに、コンバイン2が圃場3内を移動し、例えば、P3で圃場3内を2周した場合、P1からP3までの作業位置の変化位置は、圃場3の重心位置とほぼ同じとなり、変化位置と重心位置とのズレは無い。
【0029】
ここで、圃場Aの重心位置と、圃場Bの重心位置とは、それぞれ異なる。例えば、変化位置と各圃場(圃場A、圃場B)の重心位置とのズレを求めたとすると、圃場Aの重心位置と変化位置とのズレが少なく、圃場Bの重心位置と変化位置とのズレが大きい場合、コンバイン2は圃場Aに居ると推測することができる。一方、圃場Aの重心位置と変化位置とのズレが大きく、圃場Bの重心位置と変化位置とのズレが少ない場合、コンバイン2は圃場Bに居ると推測することができる。
【0030】
次に、圃場の輪郭と作業位置とのズレ量に基づいてコンバイン2が農作業した圃場を特定する方法について説明する。
任意位置を、圃場Aの輪郭の1つである右縦辺部R1としたとき、上述したように、コンバイン2が圃場Aの右縦辺部R1に沿って移動している状態では、圃場Aの右縦辺部R1(任意位置)と作業位置との差(ズレ)は、殆ど無いと考えられる。
【0031】
同様に、任意位置を、圃場Aの輪郭の1つである上横辺部U2としたときも、コンバイン2が圃場Aの上横辺部U2に沿って移動している状態では、圃場Aの上横辺部U2(任意位置)と作業位置との差(ズレ)は、殆ど無いと考えられる。つまり、任意位置を圃場Aの輪郭線Eとしたときは、作業位置は輪郭線Eとは殆ど変わらず、輪郭線Eと作業位置との差(ズレ)もない。
【0032】
ここで、任意位置を圃場Aの輪郭ではなく、圃場Bの輪郭としたとする。例えば、任意位置を圃場Bの輪郭の1つである左縦辺部L1(任意位置)とした場合、この左縦辺部L1と、圃場Aの右縦辺部R1とは隣接して近いため、コンバイン2が圃場A内を移動したとしても、コンバイン2の作業位置と、圃場Bの左縦辺部L1(任意位置)との差は殆どなく圃場Aの結果と同じである。
【0033】
しかしながら、任意位置を圃場Bの上横辺部U2とした場合、圃場Aの上横辺部U2と、圃場Bの上横辺部U2とは反対に向いているため、圃場Aを移動するコンバイン2の作業位置と、圃場Bの圃場Bの上横辺部U2(任意位置)との差は、大きくなる。
このように、コンバイン2が圃場Aを移動したときの作業位置と圃場Aの輪郭線Eとの差(ズレ)を見ると共に、作業位置と圃場Bの輪郭線Eとの差を比べることよって、圃場Aと圃場Bとが隣接している場合であっても、コンバイン2がどの位置に居るのかを判定することが可能となる。
【0034】
上述したように、圃場3の重心位置と作業位置とのズレ量によって、コンバイン2が農作業した圃場を特定すると共に、農作業中に収集した複数の農作業情報がどの圃場に対応しているかの判定は、農作業情報管理装置6によって行う。また、圃場3の輪郭と作業位置とのズレ量によって、コンバイン2が農作業した圃場を特定すると共に、農作業中に収集した複数の農作業情報がどの圃場に対応しているかの判定も、農作業情報管理装置6によって行う。
【0035】
次に、農作業情報管理装置6について詳しく説明する。
農作業情報管理装置6は、コンバイン2から送信された水分、食味、収穫量等の農作業情報を収集して、収集後に農作業情報(水分、食味、収穫量)をオフラインにて整理するものであり、整理の際に、農作業情報と圃場との対応関係も抽出する。農作業情報管理装置6は、ユーザ等が所有するパーソナルコンピュータ、農業管理会社が所有する管理サーバ等で構成されている。
【0036】
例えば、コンバイン2を用いて所定の圃場3で農作業(収穫作業)を行うと自動的にコンバイン2の制御装置26に、農作業を行ったときの農作業情報が自動的に収集(保存)される。コンバイン2(制御装置26)に保存された農作業情報及び作業位置は、農作業情報管理装置6に送信される。農作業情報管理装置6は、収集した多くの農作業情報と、作業位置と、圃場の地図データ等によって、圃場毎に農作業情報の整理を行う。
【0037】
なお、農作業情報管理装置6に農作業情報を送信する方法は、どのような方法であってもよい。例えば、自動で、定期的(1日毎、1週間毎)に農作業情報を農作業情報管理装置6に送信してもよいし、作業者がコンバイン2の運転席周りに設けた表示装置等を操作することにより送信する農作業情報を決定して無線通信機器27を介して農作業情報管理装置6に農作業情報等を送信してもよいし、無線通信機器27を無線通信する携帯端末等を手動操作して当該携帯端末を介して農作業情報等を農作業情報管理装置6に送信してもよいし、その他の方法で送信してもよい。
【0038】
さて、農作業情報管理装置6には、水分、食味、収穫量の農作業情報の他に、農作業情報としてコンバイン2のイベントが発生したときの情報が蓄積される。
具体的には、コンバイン2にて農作業を行っている状況下で、グレンタンク16に作物を貯める動作から作物を排出する動作に切り換えるというイベント(排出イベントということがある)が発生すると、グレンタンク16から作物を排出したことを示すイベント内容と、イベント発生時の作業位置を制御装置26に一時的に保存される。そして、これらイベント内容及びイベント発生時の作業位置は、農作業管理装置6に送信される。
【0039】
この実施形態の場合は、作物排出レバー(籾排出レバー)を切りの状態から入りの状態にしてグレンタンク16内の作物をアンローダを介して外部に排出したことを示す排出イベントのフラグと、排出イベント発生時の位置情報とが一時的に保存され、これらの情報がコンバイン2から農作業情報管理装置6に送信される。農作業管理装置6は、排出イベントのフラグと、排出イベント発生時の位置情報とを受信すると、
図3に示すように、情報記憶部30に、排出イベントが発生したことを示すフラグと、位置情報とが関連付けられて保存する。なお、排出イベントが発生したタイミングは、農作業情報を整理するときに必要なため、排出イベントが発生時の位置情報だけでなく、発生した時間をコンバイン側で検出して、その発生時間を農作業情報管理装置6の情報記憶部30に保存してもよい。
【0040】
さらに詳しくは、農作業情報管理装置6は、農作業情報及び作業位置を記憶する情報記憶部30と、複数の圃場3の地図データを記憶する地図データ記憶部31と、作業位置及
び地図データを用いて農作業情報を圃場毎に整理する情報整理部32とを備えている。
情報記憶部30は、不揮発性のメモリ等で構成され、上述したように、コンバイン2から送信された複数の農作業情報(水分、食味、収穫量、イベント内容)及び作業位置(緯度、経度)を記憶すると共に、農作業を行ったときの作業位置とを関連付けて記憶する。
【0041】
地図データ記憶部31も、情報記憶部30と同様に、不揮発性メモリ等から構成されており、複数の圃場3に関する地図データ(例えば、圃場3の緯度、経度、圃場3の輪郭など)を記憶する。
この地図データ記憶部31(地図データ)には、圃場毎の重心位置(圃場の中心)が格納されていると共に、圃場3の輪郭線(各辺)に対応する緯度及び経度が格納されている。なお、地図データ記憶部31に圃場毎の重心位置が格納されていない場合であっても、地図データには、圃場3の輪郭線(各辺)に対応する緯度及び経度が含まれるため、地図データを用いると圃場3の重心位置を求めることも可能である。
【0042】
情報整理部32は、CPUやプログラム等から構成されており、農作業情報(水分、食味、収穫量、イベント内容)、作業位置(緯度、経度)、地図データ等を用いて農作業情報の整理を行う。情報整理部32は、例えば、収集した複数の農作業情報の中で、まず、各農作業情報を圃場毎に分け、分けた農作業情報について必要に応じて整理を行う。例えば、圃場毎に分けた複数の農作業情報を用いて、圃場毎の水分や食味を求めたり、圃場毎の収穫量を求める。情報整理部32は、数学等の様々な手法によって農作業情報を整理するものであるが、その整理の仕方は、どのような方法であってもよい。
【0043】
また、農作業情報がどの圃場に対応しているか判定するために、情報整理部32は、上述したように、コンバイン2が圃場内を移動したときの作業位置と圃場3に予め定められた位置(任意位置)とのズレ量を用いて、収集した農作業情報がどの圃場3に対応しているかを判定する。
この情報整理部32は、ズレ量演算部40と、情報対応関係判定部41とを備えている。これらズレ量演算部40、情報対応関係判定部41は、CPUやプログラム等から構成されている。
【0044】
ズレ量演算部40は、作業位置と圃場3に定められた位置(任意位置)とのズレ量を演算するもので、ポイントズレ量演算部40aと、輪郭ズレ量演算部40bとを備えている。また、情報対応関係判定部41は、第1情報対応関係判定部41aと、第2情報対応関係判定部41bとを備えている。
ポイントズレ量演算部40aは、上述したように、コンバイン2の変化位置と圃場3の基準位置(重心位置)とのズレ量であるポイントズレ量を求めるものである。第1情報対応関係判定部41aは、ポイントズレ量に基づいて情報記憶部30に記憶された農作業情報がどの圃場に対応しているかを判定するものである。
【0045】
ポイントズレ量演算部40a及び第1情報対応関係判定部41aについて詳しく説明する。
ポイントズレ量演算部40aは、情報記憶部30に記憶された農作業情報を整理するとき、まず、情報記憶部30に保存された複数の作業位置を用いて、コンバイン2が農作業したときの位置変化を求める。
【0046】
具体的には、ポイントズレ量演算部40aは、情報記憶部30に保存された作業位置を読み込み、読み込まれた作業位置の平均を求める(情報記憶部30内の複数の作業位置に対して、先頭から後ろに掛けて順番に作業位置を足し合わせていき、足し合わせた作業位置を総数で割る)。平均した作業位置を変化位置とする。なお、ポイントズレ量演算部40aは、作業位置を読み込む毎に、既に読み込んだ作業位置の平均を算出する。即ち、作業位置の個数がn個ある場合、ポイントズレ量演算部40aは、n個の作業位置の平均を求める。例えば、n−10個目の作業位置を読み込んだ場合、ポイントズレ量演算部40aは、n−10個の作業位置における平均を求め、n−2個の作業位置を読み込んだ場合、n−2個の作業位置の平均を求め、それぞれの平均を保持する。
【0047】
次に、ポイントズレ量演算部40aは、変化位置と圃場3の基準位置である重心位置とのズレ量であるポイントズレ量を求める。具体的には、ポイントズレ量演算部40aは、
予め設定された候補圃場の重心位置を読み出し、読み出した重心位置と変化位置との差であるポイントズレ量を求める。ここで、以下、説明の便宜上、一の圃場A(一圃場ということがある)と、この圃場Aに隣接する圃場B(他圃場ということがある)との2つの圃場3を候補圃場とし、説明を進める。なお、候補圃場の設定は、限定されないが、予め作業者(ユーザ)が農作業情報管理装置6に設定しておいた圃場3を候補圃場としてもよい。或いは、農作業情報管理装置6が情報記憶部30に保存された作業位置を参照し、作業位置の周辺の複数の圃場3を自動的にピックアップして、ピックアップした複数の圃場3を候補圃場としてもよい。
【0048】
ポイントズレ量演算部40aは、一圃場である圃場Aの重心位置と変化位置とのポイントズレ量(圃場Aズレ量)を求めると共に、他圃場である圃場Bの重心位置と変化位置とのポイントズレ量(圃場Bズレ量)を求める。
第1情報対応関係判定部41aは、圃場Aズレ量及び圃場Bズレ量に基づいて、コンバイン2が農作業していたときの圃場が、圃場Aであるか圃場Bであるかを判定する。即ち、情報記憶部30に記憶された農作業情報が、圃場Aに対応しているのか圃場Bに対応しているのかを判定する。
【0049】
情報記憶部30には、圃場Aで農作業を行ったときの作業位置と農作業情報とが保存されていたとすると、圃場Aズレ量は、
図7(a)に示す傾向となり、圃場Bズレ量は、
図7(b)に示す傾向になる。
図7(a)、(b)に示すように、圃場Aズレ量は、最初は大きいものの次第に収束して小さい値となり、圃場Bズレ量は、収束するものの大きい値のままでとなる。
【0050】
第1情報対応関係判定部41aは、ポイントズレ量演算部40aで演算した圃場Aズレ量と圃場Bズレ量とを比べる。例えば、
図7に示すように、圃場Aに対応する圃場Aズレ量が圃場Bズレ量よりも小さく、且つ、ズレ量自体(絶対値)も所定値以下で小さい場合は、コンバイン2が農作業していたときの圃場は、圃場Aであると判断する。そして、第1情報対応関係判定部41aは、圃場Aズレ量が所定値以下であって収束した収束区間(安定区間)に対応する農作業情報と、収束区間が始まる区間開始ポイントよりも前の農作業情報とを圃場Aに対応する農作業情報とする。
【0051】
以上まとめると、候補圃場の重心位置と変化位置とのポイントズレ量を候補圃場毎に複数求め、この候補圃場毎のポイントズレ量の中で、ポイントズレ量の変動が少なく、最もポイントズレ量が小さい候補圃場を、農作業を行った圃場3として決定することができる。また、ポイントズレ量の変動が少なく安定した区間(収束区間)の位置情報に対応する農作業情報を、農作業を行った圃場3のものであると判定することもできる。
【0052】
さて、上述したように、ポイントズレ量を見ることによってコンバイン2が農作業した圃場を特定し、且つ、農作業を行いながら収集した複数の農作業情報がどの圃場に対応しているか決めることができるが、
図8に示すように、圃場Aでの農作業が終了し、これに続けて、圃場Bで農作業を行うことがある。
このような場合は、どの時点で、コンバイン2が圃場Aから圃場Bに移り変わり、収集した複数の農作業情報の中で、どの部分が圃場Bに対応するものであるか判定する必要がある。
【0053】
そこで、本発明では、上述したようにポイントズレ量に加え、コンバイン2が農作業を行ったときの排出イベント発生のタイミングも用いて、複数の農作業情報のうち、圃場Aに対応する農作業情報と、圃場Bに対応する農作業情報との区別を情報対応関係判定部41によって行うこととしている。
なお、農作業を行ったときの農作業情報を収集するシステムでは、圃場Aから圃場Bに移り変わる前に、圃場Aから圃場Bに持ち越してしまうデータをリセットすることとしている。例えば、農作業情報の1つである収穫量は、グレンタンク16の重量に基づいて求めるため、グレンタンク16に作物を入れたまま、コンバイン2が圃場Aから圃場Bに移り変わると、収集した収穫量が圃場Aのものであるのか、圃場Bのものであるのかの混同する可能性がある。そのため、圃場Aから圃場Bへ農作業が移り変わる場合、圃場Aで農作業が終了した時点(例えば、後述する6回目の排出イベント)で、グレンタンク16内
の作物を排出し、圃場Bで農作業を開始する前までに、グレンタンク16を空にした後、圃場Bにおける農作業を開始することとしている。
【0054】
次に、ポイントズレ量(圃場Aズレ量)と、排出イベント発生のタイミングとを用いて情報対応関係判定部41について説明する。
図9は、圃場A及び圃場Bで農作業を行った場合でのポイントズレ量の傾向と、排出イベントのタイミングとをまとめたものである。
圃場Aの農作業に続けて、圃場Bの農作業を行った場合、情報記憶部30には、圃場Aの作業位置と圃場Bの作業位置との両方が格納される。そのため、ポイントズレ量の計算には、圃場Aの作業位置と圃場Bの作業位置とのデータが使用されることになるため、圃場Aズレ量の傾向を見ると、
図9に示すように、一旦、圃場Aに対応する重心位置付近で収束していた圃場Aズレ量は、圃場Bでの作業位置の影響によって、圃場Aとされる所定値を超え、次第に増加することになる。
【0055】
一方、圃場Aで農作業を行った場合でも、圃場Bで農作業を行った場合でも、グレンタンク16内の作物が満タンなった時点で、グレンタンク16内の作物を外部に排出するという排出イベントが発生する。排出イベントは、グレンタンク16内の作物が満タンになる度に発生すると共に、圃場Aから圃場Bへ農作業を切り換える際にも行う。
例えば、圃場Aの農業作業中に、複数回の排出イベントがあったとする。圃場A内で発生した排出イベントと、そのときの圃場Aズレ量とを見比べてみると、当該排出イベント時の前後でも、圃場Aズレ量は増加してない。しかしながら、
図9に示すように、圃場Bの農業作業中での排出イベント時は、圃場Aズレ量が所定値以上となる。このように、圃場Bへのコンバイン2の移動に伴って変化する圃場Aズレ量と、排出イベントとを見ることによって、複数の農作業情報のうち、圃場Aに対応する農作業情報なのか、圃場Bに対応する農作業情報なのかを判別することが可能となる。
【0056】
ここで、圃場Aから圃場Bで農作業を行った際、8回の排出イベントが発生したとし、情報対応関係判定部41について説明する。
情報対応関係判定部41は、農作業情報を整理する際、まず、情報記憶部30に記憶された農作業情報の中から排出イベントが発生したときの作業位置を抽出する。情報対応関係判定部41は、例えば、1回目〜8回目までの排出イベントの作業位置を抽出する。
【0057】
そして、情報対応関係判定部41は、1回目〜8回目までの排出イベントの各作業位置を用いて、各排出イベント発生時での圃場Aズレ量を参照し、この中から圃場Aズレ量が所定値以上となっている7回目、8回目までの排出イベントを抽出する。そして、初めに圃場Aズレ量が所定値以上となった排出イベント(最初排出イベント)がどれであるか判定する。
【0058】
情報対応関係判定部41は、最初排出イベントが発生した時(7回目の排出イベント)を起点とて、7回目の排出イベント時の農作業情報は、圃場Bに対応ていると判定し、最初排出イベントよりも以降(8回目の排出イベント)に収集された農作業情報も、圃場Bに対応しているとする。
最初排出イベントよりも以前に収集された農作業情報(6回目の排出イベント以前の農作業情報は、圃場Aに対応しているものとする。つまり、情報対応関係判定部41は、圃場Aズレ量が所定値以上であるときの最初排出イベント発生時を起点として、圃場A(一圃場)に対応する農作業情報と、圃場B(他圃場)に対応する農作業情報との判定を行っている。
【0059】
言い換えれば、コンバイン2が作業を開始してから、圃場Aズレ量が所定値以上となり且つ最初排出ベント発生時までの間に、情報記憶部30に記憶された複数の農作業情報を見たとき、情報対応関係判定部41は、最初排出イベント発生時の農作業情報を圃場Bに対応する農作業情報とし、残りの農作業情報を圃場Aに対応する農作業情報としている。
より詳しく説明すると、情報対応関係判定部41は、7回目の排出イベントを行ったときの圃場Aズレ量が所定値以上であるため、7回目の排出イベントは圃場Aではなく圃場Bで行ったと判定する。そして、情報対応関係判定部41は、6回目の排出イベントが終了後、7回目の排出イベントが開始されるまでの間で収集した水分、食味は圃場Bで農作
業したときのものとし、6回目の排出イベントの開始時を起点として、当該起点前までに収集した水分及び食味は、圃場Aで農作業したものとする。
【0060】
以上のように、ポイントズレ量演算部40a及び第1情報対応関係判定部41aによれば、圃場Aに対応する農作業情報と、圃場Bに対応する農作業情報との区別をすることができる。即ち、複数の圃場3で農作業して得られた農作業情報が、どの圃場3に対応しているかを正確に判定し、分けることができる。
次に、輪郭ズレ量演算部40b及び第2情報対応関係判定部41bについて説明する。
【0061】
輪郭ズレ量演算部40bは、圃場の輪郭線Eの中で向きの異なる少なくとも2つの辺部と、作業位置とのズレ量である輪郭ズレ量を求めるものである。第2情報対応関係判定部41bによって、求めた輪郭ズレ量に基づいて情報記憶部に記憶された農作業情報がどの圃場に対応しているかを判定することとしている。
図5を用いて、輪郭ズレ量と、輪郭線Eと、コンバイン2の作業位置とについて説明しながら、輪郭ズレ量演算部40b及び第2情報対応関係判定部41bについて詳しく説明する。
【0062】
図5に示すように、圃場Aの右縦辺部R1に沿ってコンバイン2が移動している場合、コンバイン2は、圃場Aの右縦辺部R1に隣接する圃場Bの左縦辺部L1にも近い位置にある。そのため、情報記憶部30に記憶されたコンバイン2の作業位置の移動軌跡だけを見ても、コンバイン2が圃場Aに居るのか圃場Bに居るのか判別し難い。しかしながら、コンバイン2は、圃場Aのコーナ部で向きを変え、圃場Aの上横辺部U2に沿って移動して圃場Bから離れる方向に進むため、圃場Aの右縦辺部R1に沿って移動したときの移動軌跡Qに加え、上横辺部U2に沿って移動しているときのコンバイン2の作業位置の移動軌跡Qを見れば、コンバイン2が圃場Aに位置しているのか、圃場Bに位置しているのかを区別することが可能となる。
【0063】
つまり、各圃場(圃場A、圃場B)のうち、どちら側にコンバイン2が居るのかを判定したい場合、例えば、一方向(上下方向)に延びる圃場Aの右縦辺部R1及び圃場Bの左縦辺部L1を抽出し、さらに、一方向と直交していて他の方向に延びる圃場Aの上横辺部U2及び圃場Bの上横辺部U2とを抽出して、これら圃場Aの右縦辺部R1、圃場Bの左縦辺部L1、圃場Aの上横辺部U2、圃場Bの上横辺部U2と、情報記憶部に記憶された作業位置との関係により、特定することができる。
【0064】
圃場Aの右縦辺部R1に沿う(縦区間)において、圃場Aを移動するコンバイン2の各作業位置と、圃場Aの右縦辺部R1との相対距離(輪郭ズレ量)を求めると、輪郭ズレ量は、
図10(a)に示す傾向となる。また、圃場Bの左縦辺部L1に沿う(縦区間)において、圃場Aを移動するコンバイン2の各作業位置と、圃場Bの左縦辺部L1との輪郭ズレ量を求めると、輪郭ズレ量は、
図10(a)に示す傾向となる。
【0065】
即ち、
図10(a)に示すように、圃場Aの右縦辺部R1と作業位置との輪郭ズレ量と、圃場Bの左縦辺部L1と作業位置との輪郭ズレ量とは、同じ傾向を示している。
一方、圃場Aの上横辺部U2に沿う(横区間)において、圃場Aを移動するコンバイン2の各作業位置と、圃場Aの上横辺部U2との相対距離(輪郭ズレ量)を求めると、輪郭ズレ量は、
図10(b)に示す傾向となる。
【0066】
また、圃場Bの上横辺部U2に沿う(横区間)において、圃場Aを移動するコンバイン2の各作業位置と、圃場Bの上横辺部U2との輪郭ズレ量を求めると、ズレ量は、
図10(b)に示す傾向となる。
即ち、
図10(b)に示すように、圃場Aの上横辺部U2と作業位置との輪郭ズレ量と、圃場Bの上横辺部U2と作業位置との輪郭ズレ量とは、異なる傾向を示し、圃場Bの上横辺部U2と作業位置とのズレ量が大きくなる。
【0067】
このように、複数の圃場(圃場A、圃場B)において、共通する縦辺部(第1辺部)と作業位置との輪郭ズレ量の傾向を比べると共に、共通する横辺部(第2辺部)と作業位置との輪郭ズレ量の傾向を比べることにより、コンバイン2が農作業した圃場を特定することが可能となる。
輪郭ズレ量演算部40bは、まず、情報記憶部30に保存された農作業情報を農作業を
行った圃場に紐付けするため、複数の圃場3と、それぞれの圃場3の輪郭線Eの全部又は一部を、地図データから抽出する。
【0068】
具体的には、まず、輪郭ズレ量演算部40bは、情報記憶部30内の作業位置を参照する。例えば、
図5に示すように、情報記憶部30内の作業位置の軌跡が、左側に位置する圃場A(一圃場)の輪郭線Eに沿っていた場合、輪郭ズレ量演算部40bは、圃場Aを農作業を行った候補とする。
また、輪郭ズレ量演算部40bは、圃場Aの他に、圃場Aの右側に位置していて当該圃場Aに隣接する圃場B(他圃場)も候補圃場とする。
【0069】
輪郭ズレ量演算部40bは、候補圃場の抽出が終了すると、当該候補圃場の輪郭線Eの抽出を行う処理に移行する(輪郭線抽出処理)。
輪郭線抽出処理では、まず、圃場Aの4つの輪郭線E(右縦辺部R1、左縦辺部L1、上横辺部U2、下横辺部D2)のうち、作業位置の移動軌跡Qと隣接し、向きの異なる少なくとも2つの辺部を抽出する。上述したように、圃場Aにおいては、一方向に延び且つ移動軌跡Qに近い右縦辺部R1と、一方向と直交する方向に延び且つ移動軌跡Qに近い上横辺部U2を抽出する。
【0070】
次に、輪郭線抽出処理では、圃場Aと同様に、圃場Bの4つの輪郭線E(右縦辺部R1、左縦辺部L1、上横辺部U2、下横辺部D2)のうち、作業位置の移動軌跡Qと隣接し、向きの異なる少なくとも2つの辺部を抽出する。圃場Bにおいては、一方向に延び且つ移動軌跡Qに近い左縦辺部L1と、一方向と直交する方向に延び且つ移動軌跡Qに近い上横辺部U2を抽出する。
【0071】
即ち、輪郭ズレ量演算部40bは、候補圃場となる圃場A及び圃場Bにおいて、作業位置から近くて且つ一方向に延びる共通辺(縦辺部)の抽出を行うと共に、一方向と直交する方向に延びる共通辺(横辺部)の抽出を行う。以降、輪郭ズレ量演算部40bで抽出した共通の縦辺部のことを第1辺部といい、共通の横辺部のことを第2辺部という。
輪郭ズレ量演算部40bは、圃場A及び圃場Bにおいて、第1辺部の抽出と、第2辺部の抽出が終了すると、第1辺部の位置情報(緯度、経度)を地図データから抽出すると共に、第2辺部の位置情報(緯度、経度)を地図データから抽出する。
【0072】
輪郭ズレ量演算部40bは、第1辺ズレ量演算部45と、第2辺ズレ量演算部46とを備えている。
第1辺ズレ量演算部45は、候補圃場毎に、第1辺部と作業位置とのズレ量である第1辺ズレ量を求める。詳しくは、上述したように、圃場Aにおける第1辺部は、右縦辺部R1であるため、第1辺ズレ量演算部45は、圃場Aの右縦辺部R1の位置情報を用いて当該右縦辺部R1と、縦区間の各作業位置との第1辺ズレ量(圃場A用第1辺ズレ量という)を求める。
【0073】
また、圃場Bにおける第1辺部は、左縦辺部L1であるため、第1辺ズレ量演算部45は、圃場Bの左縦辺部L1の位置情報を用いて当該左縦辺部L1と、縦区間の各作業位置との第1辺ズレ量(圃場B用第1辺ズレ量という)を求める。
第2辺ズレ量演算部46は、候補圃場毎に、第2辺部と作業位置とのズレ量である第2辺ズレ量を求める。詳しくは、上述したように、圃場Aにおける第2辺部は、上横辺部U2であるため、第2辺ズレ量演算部46は、圃場Aの上横辺部U2の位置情報を用いて当該上横辺部U2と、横区間の各作業位置との第2辺ズレ量(圃場A用第2辺ズレ量という)を求める。
【0074】
また、圃場Bにおける第2辺部は、上横辺部U2であるため、第2辺ズレ量演算部46は、圃場Bの上横辺部U2の位置情報を用いて当該上横辺部U2と、横区間の各作業位置との第2辺ズレ量(圃場B用第2辺ズレ量という)を求める。
なお、ズレ量の演算では、第1辺部(縦辺部)に対しては、同じ縦区間の作業位置を用い、第2辺部(横辺部)に対しては、同じ横区間の作業位置を用いている。また、1つの辺部(縦辺部又は横辺部)に着目したとき、当該1つの辺部を示す位置情報は複数存在するため、その1つの辺部における各位置情報から1つの作業位置までの距離の平均値を、各作業位置の輪郭ズレ量とするのが好ましい。言い換えれば、1点の作業位置と、複数の
位置情報(1つの辺部を示す情報)との差の平均値を、各作業位置に対応するズレ量(輪郭ズレ量)とすることが好ましい。
【0075】
以上のように、輪郭ズレ量演算部40b(第1辺ズレ量演算部45、第2辺ズレ量演算部46)によって、4種類のズレ量(圃場A用第1辺ズレ量、圃場B用第1辺ズレ量、圃場A用第2辺ズレ量、圃場B用第2辺ズレ量)が求められる。
第2情報対応関係判定部41bは、各圃場における第1辺ズレ量(圃場A用第1辺ズレ量、圃場B用第1辺ズレ量)と、第2辺ズレ量(圃場A用第2辺ズレ量、圃場B用第2辺ズレ量)とに基づいて、作業位置に対応する農作業情報が、どの圃場に対応しているかを判定する(コンバイン2がどの圃場で作業したかを判定する)。この第2情報対応関係判定部41bは、第1辺ズレ量比較部47と、第2辺ズレ量比較部48と、圃場判定部49とを備えている。
【0076】
第1辺ズレ量比較部47は、予め定められたA圃場(一圃場)における第1辺ズレ量(圃場A用第1辺ズレ量)と、A圃場に隣接するB圃場(他圃場)の第1辺ズレ量(圃場B用第1辺ズレ量)とを比較する。
例えば、
図10(a)に示したように、圃場A用第1辺ズレ量の変化傾向と、圃場B用第1辺ズレ量の変化傾向とを並べ、これら第1辺ズレ量の変化傾向に違いがないか比べる。なお、圃場A用第1辺ズレ量の変化傾向と、圃場B用第1辺ズレ量の変化傾向との比較を行うにあたっては、ズレ量の計算を開始したときの計算開始点(作業位置の緯度又は経度)を合わしておく。
【0077】
第2辺ズレ量比較部48は、予め定められたA圃場における第2辺ズレ量(圃場A用第2辺ズレ量)と、B圃場(他圃場)の第2辺ズレ量(圃場B用第2辺ズレ量)とを比較する。
例えば、
図10(b)に示したように、圃場A用第2辺ズレ量の変化傾向と、圃場B用第2辺ズレ量の変化傾向とを並べ、これら第2辺ズレ量の変化傾向に違いがないか比べる。
【0078】
圃場判定部49は、第1辺ズレ量比較部47における第1辺ズレ量(圃場A用第1辺ズレ量、圃場B用第1辺ズレ量)を比較したときの比較結果と、第2辺ズレ量比較部48における第2辺ズレ量(圃場A用第2辺ズレ量、圃場B用第2辺ズレ量)を比較したときの比較結果とに基づいて、農作業情報が圃場Aに対応しているか圃場Bに対応しているかを判定する。
【0079】
具体的には、
図10に示したように、圃場判定部49は、圃場A用第1辺ズレ量と圃場B用第1辺ズレ量とは殆ど変わらず、圃場A用第2辺ズレ量と圃場B用第2辺ズレ量との変化傾向が異なり、且つ、圃場B用第2辺ズレ量が、圃場A用第2辺ズレ量に比べて非常に大きくなった場合、作業位置に対応した農作業情報は、ズレ量が大きい側(圃場B用第2辺ズレ量側)の圃場Bでは無く、圃場Aであると判定する。
【0080】
これから分かるように、コンバイン2が沿って移動する縦辺部と、横辺部と、作業位置とを用いることによって、作業位置に関連付けられた農作業情報が、どの圃場に属しているかを簡単に把握することができる。
つまり、コンバイン2によって圃場Aや圃場Bで農作業を行いながら農作業情報を収集した場合であっても、圃場Aに対応する農作業情報と、圃場Bに対応する農作業情報との区別をすることができる。即ち、複数の圃場3で農作業して得られた農作業情報が、どの圃場3に対応しているかを正確に判定されて分けることができるため、各圃場3における農作業情報が、混同することを防止することができる。
【0081】
なお、上述した実施形態では、横に隣接した圃場A及び圃場Bについて、農作業情報がどちらのものであるか判定を行っているが、縦に隣接した圃場A及び圃場Cについて、農作業情報がどちらのものであるか判定することもできる。
以下、変形例として、縦に隣接する圃場Aと圃場Cの場合について説明する。
図11に示すように、コンバイン2が移動した場合、輪郭ズレ量演算部40bは、第2辺部(横辺部)として、圃場Cの下横辺部D2を抽出すると共に、圃場Aの上横辺部U2を抽出する。また、輪郭ズレ量演算部40bは、第1辺部(縦辺部)として、圃場Cの左
縦辺部L1を抽出すると共に、圃場Aの左縦辺部L1を抽出する。
【0082】
第1辺ズレ量演算部45は、圃場Aの左縦辺部L1の位置情報を用いて当該左縦辺部L1と、縦区間の作業位置との第1辺ズレ量(圃場A用第1辺ズレ量という)を求める。また、第1辺ズレ量演算部45は、圃場Cの左縦辺部L1の位置情報を用いて当該左縦辺部L1と、縦区間の作業位置との第1辺ズレ量(圃場C用第1辺ズレ量という)を求める。
第2辺ズレ量演算部46は、圃場Aの上横辺部U2の位置情報を用いて当該上横辺部U2と、横区間の作業位置との第2辺ズレ量(圃場A用第2辺ズレ量という)を求める。また、第2辺ズレ量演算部46は、圃場Cの下横辺部D2の位置情報を用いて当該下横辺部D2と、横区間の作業位置との第2辺ズレ量(圃場C用第2辺ズレ量という)を求める。
【0083】
第1辺ズレ量比較部47は、例えば、
図12(a)に示したように、圃場A用第1辺ズレ量の変化傾向と、圃場C用第1辺ズレ量の変化傾向とを並べ、これら第1辺ズレ量の変化傾向に違いがないか比べる。第2辺ズレ量比較部48は、例えば、
図12(b)に示したように、圃場A用第2辺ズレ量の変化傾向と、圃場C用第2辺ズレ量の変化傾向とを並べ、これら第2辺ズレ量の変化傾向に違いがないか比べる。
【0084】
圃場判定部49は、
図12に示したように、圃場A用第2辺ズレ量と圃場C用第2辺ズレ量とは殆ど変わらず、圃場A用第1辺ズレ量と圃場C用第1辺ズレ量との変化傾向が異なり、且つ、圃場C用第1辺ズレ量が、圃場A用第1辺ズレ量に比べて非常に大きくなった場合、作業位置に対応した農作業情報は、ズレ量が大きい側(圃場C用第1辺ズレ量側)の圃場Cでは無く、圃場Aであると判定する。
【0085】
以上のように、輪郭ズレ量演算部40b及び第2情報対応関係判定部41bによっても、圃場Aに対応する農作業情報と、圃場Bに対応する農作業情報との区別をすることができる。即ち、複数の圃場3で農作業して得られた農作業情報が、どの圃場3に対応しているかを正確に判定し、分けることができる。
つまり、圃場に定めた任意位置(重心位置又は輪郭)と作業位置とのズレ量に基づいて、コンバイン2が農作業したときの圃場を特定することができると共に、収集した複数の農作業情報を圃場毎に分割することができる。
【0086】
さて、圃場の重心位置と作業位置とのズレ量に基づく第1の方法(重心ズレ方式)であっても、圃場の輪郭と作業位置とのズレ量に基づく第2の方法(輪郭ズレ方式)のいずれであっても、コンバインが農作業した圃場の特定と、複数の農作業情報の切り分けを容易に行うことができる。例えば、輪郭ズレ方式にあっては、コンバインが圃場の輪郭のうち、第1辺部の近傍及び第2辺部の近傍を通過した時点で圃場を特定することが可能である。一方、重心ズレ方式では、大よそ、コンバイン2が圃場内を1周した時点で圃場を特定することができる。
【0087】
言い換えれば、輪郭ズレ方式では、コンバイン2が輪郭を沿って移動すれば、圃場の特定が可能で、重心ズレ方式では、コンバイン2が圃場内を回りながら移動すれば、圃場の特定が可能であり、それぞれの方式で圃場を特定するためには、コンバイン2の移動態様が異なる。そのため、コンバイン2が圃場内でどのような移動を行っても容易に、圃場を特定と農作業情報の切り分けを行うことができる。
【0088】
図13に示すように、例えば、コンバイン2が圃場Aに入って農作業開始位置P5で農作業を開始後、農作業中断位置P6で圃場Aにおける農作業を一時中断し、急遽、圃場Bに移動して農作業を行うような事態が発生したとする。圃場Aにおいて農作業開始位置P5〜農作業中断位置P6の区間をコンバイン2が移動しているため、途中でコンバイン2が圃場Bに移動したとしても、輪郭ズレ方式により、農作業開始位置P5〜農作業中断位置P6に収集した農作業情報は、圃場Aで行ったものと認識することができる。
【0089】
また、圃場Aから圃場Bに移動した後、農業開始位置P7〜農作業終了位置P8において収集した農作業情報は、重心ズレ方式によって圃場Bに対応していると認識することができる。さらに、コンバイン2が再び、圃場Bから圃場Aに移動して、圃場Aの農作業中断位置P6で農作業を再開した場合、農作業を再開した農作業中断位置P6以降に収集した農作業情報は、重心ズレ方式によって圃場Aに対応していると認識することができる。
【0090】
なお、農作業情報管理装置6に、重心ズレ方式によって農作業情報の区別を行うか、輪
郭ズレ方式によって農作業情報の区別を行うかの切り換えを手動で行う手段を設けても良い。例えば、農作業情報管理装置6を起動したときに、当該農作業情報管理装置6の表示部(モニター)に、重心ズレ方式(ポイントズレ量演算部40a、第1情報対応関係判定部41a)によって農作業情報の区別を行うか、輪郭ズレ方式(輪郭ズレ量演算部40b、第2情報対応関係判定部41b)によって農作業情報の区別を行うかの選択画面を表示しておき、ユーザがマウス、キーボート等の入力インタフェースを用いて、どちらかを選択できるようにしてもよい。
【0091】
上述した実施形態では、隣接する圃場が同じ形状である場合について説明したが、
図14に示すように、例えば、圃場Aと、この圃場Aとは異なる形状の圃場Bであっても、農作業情報に対応する圃場を求めることができる。
図15を用いて、形状の異なる圃場における圃場の特定について説明する。
図14に示すように、コンバイン2がP10から位置P11まで移動した場合、辺抽出部40は、第1辺部(縦辺部)として、圃場Aの右縦辺部R1を抽出すると共に、圃場Bの左縦辺部L1を抽出する。また、辺抽出部40は、第2辺部(横辺部)として、圃場Aの上横辺部U2を抽出すると共に、抽出した上横辺部U2に近い側の圃場Bの下横辺部D2を抽出する。
【0092】
次に、第1辺ズレ量演算部45は、圃場Aの右縦辺部R1の位置情報を用いて当該右縦辺部R1と、縦区間の作業位置との圃場A用第1辺ズレ量を求める。また、第1辺ズレ量演算部45は、圃場Bの左縦辺部L1の位置情報を用いて当該左縦辺部L1と、縦区間の作業位置との圃場B用第1辺ズレ量を求める。
また、第2辺ズレ量演算部46は、圃場Aの上横辺部U2の位置情報を用いて当該上横辺部U2と、横区間の作業位置との圃場A用第2辺ズレ量を求める。また、第2辺ズレ量演算部46は、圃場Bの下横辺部D2の位置情報を用いて当該下横辺部D2と、横区間の作業位置との圃場B用第2辺ズレ量を求める。
【0093】
上述したように、第1辺ズレ量演算部45や第2辺ズレ量演算部46によって各種ズレ量(圃場A用第1辺ズレ量、圃場B用第1辺ズレ量、圃場A用第2辺ズレ量、圃場B用第2辺ズレ量)を求めたとしても、第1辺ズレ量の変化傾向も第2辺ズレ量の変化傾向も変わらないため、この時点では、圃場判定部49によって農業機械の圃場の特定をすることができない。
【0094】
しかしながら、コンバイン2がP11からさらに進んでP12に達したときは、辺抽出部40は、第2辺部(横辺部)として、圃場Aの上横辺部U2を抽出すると共に、圃場Bの下横辺部D2を抽出する。辺抽出部40は、第1辺部(縦辺部)として、圃場Aの左縦辺部L1を抽出すると共に、抽出した左縦辺部L1に近い側の圃場Bの左縦辺部L1を抽出する。
【0095】
次に、第1辺ズレ量演算部45は、圃場Aの左縦辺部L1の位置情報を用いて当該左縦辺部L1と、縦区間の作業位置との圃場A用第1辺ズレ量を求める。また、第1辺ズレ量演算部45は、圃場Bの左縦辺部L1の位置情報を用いて当該左縦辺部L1と、縦区間の作業位置との圃場B用第1辺ズレ量を求める。
また、第2辺ズレ量演算部46は、圃場Aの上横辺部U2の位置情報を用いて当該上横辺部U2と、横区間の作業位置との圃場A用第2辺ズレ量を求める。また、第2辺ズレ量演算部46は、圃場Bの下横辺部D2の位置情報を用いて当該下横辺部D2と、横区間の作業位置との圃場B用第2辺ズレ量を求める。
【0096】
この場合(コンバインがさらにP11からP12まで進んだ場合)、圃場判定部49は、
図15に示したように、圃場A用第2辺ズレ量と圃場B用第2辺ズレ量とは殆ど変わらず、圃場A用第1辺ズレ量と圃場B用第1辺ズレ量との変化傾向が異なり、且つ、圃場B用第1辺ズレ量が、圃場A用第1辺ズレ量に比べて非常に大きくなるため、作業位置に対応した農作業情報は、ズレ量が大きい側(圃場B用第1辺ズレ量側)の圃場Cでは無く、圃場Aであると判定する。
【0097】
このように、隣接する互いの圃場が異なる場合であっても、各辺部毎にズレ量を計算することにより、圃場を特定することができる。
なお、農作業情報管理システム1を、
図16に示すように、携帯端末60と、管理サーバ61とで構成してもよい。言い換えれば、農作業情報管理装置6の機能を、携帯端末60と管理サーバ61とで構成してもよい。
【0098】
携帯端末60は、例えば、比較的演算能力の高いスマートフォン(多機能携帯電話)やタブレットPC等の携帯型コンピュータ等で構成され、ネットワークを介して管理サーバ61にアクセスできるようになっている。この携帯端末60は、上述した農作業情報管理装置6と同様に、ズレ量演算部40と、情報対応関係判定部41とを備えている。ズレ量演算部40、ポイントズレ量演算部40a、輪郭ズレ量演算部40b、情報対応関係判定部41、第1情報対応関係判定部41a、第2情報対応関係判定部41b、第1辺ズレ量演算部45、第2辺ズレ量演算部46、第1辺ズレ量比較部47、第2辺ズレ量比較部48及び圃場判定部49は、上述した実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0099】
携帯端末60において、ズレ量などの演算を行うときに必要な作業位置や地図データなどデータ(情報)は、携帯端末60が管理サーバ61にアクセスして情報記憶部30や地図データ記憶部31から取得するようになっている。即ち、携帯端末60は、管理サーバ61から演算に必要な情報を適宜取得して、上述した農作業管理装置6と同様にズレ量に基づいて、農業機械がどの圃場で農作業を行ったか判定することができる。なお、
図16では、ズレ量演算部40と、情報対応関係判定部41の全てを携帯端末60に設けているが、これらの一部を管理サーバ61に設けて、携帯端末60と管理サーバ61とでデータ通信を行いながらズレ量を求めるようにしてもよい。
【0100】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。上述した実施形態では、農業機械の1つであるコンバイン2について説明したが、田植機に適用することも可能である。田植機においては、例えば、施肥の開始や終了を行う動作をイベント発生とすることができ、ズレ量演算部41で求めたズレ量と田植機のイベント発生(施肥開始、終了等)とに基づいて、農作業(田植え)を行ったときの作業位置が地図データで示されたどの圃場に対応しているかを判定することができる。
【0101】
また、農作業情報管理装置6を、無線通信機器27と通信可能な携帯端末で構成してもよい。これに加え、携帯端末に位置検出装置25の機能を設けておけば、ユーザが携帯端末を持って農業機械に乗車するだけで、農作業を行いながら携帯端末に農作業情報及び作業位置を取り込むことができ、さらには、携帯端末を用いて整理も行うことができる。