(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電圧検出部により高電位側の印加電位が検出される発光画素の個数、及び前記電圧検出部により低電位側の印加電位が検出される発光画素の個数の少なくとも一方は、複数である、
請求項1に記載の表示装置。
前記電圧調整部は、前記電圧検出部で検出された複数の高電位側の印加電位のうち最小の印加電位と、前記電圧検出部で検出された複数の低電位側の印加電位のうち最大の印加電位とのうち少なくとも一方を選択し、当該選択した印加電位に基づいて前記電源供給部を調整する、
請求項2に記載の表示装置。
前記第2の電極及び前記第2の電源線は、前記複数の発光画素に共通して設けられた共通電極の一部を構成しており、前記共通電極の周囲から電位が印加されるように、前記電源供給部と電気的に接続されている、
請求項9に記載の表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る表示装置は、高電位側及び低電位側の出力電位を出力する電源供給部と、複数の発光画素が配置され、前記電源供給部から電源供給を受ける表示部と、前記表示部内における第1の発光画素に印加される高電位側の印加電位、及び、前記表示部内における前記第1の発光画素とは異なる第2の発光画素に印加される低電位側の印加電位を検出する電圧検出部と、前記高電位側の印加電位と前記低電位側の印加電位との電位差が所定の電位差となるように、前記電源供給部から出力される前記高電位側及び前記低電位側の出力電位の少なくとも一方を調整する電圧調整部とを備えることを特徴とする。
【0015】
これにより、電源供給部から少なくとも一つの発光画素までに発生する電圧降下量に応じて、電源供給部の高電位側の出力電位及び電源供給部の低電位側の出力電位の少なくとも一方を調整することにより、消費電力を削減することができる。また、高電位側の電源線の電圧降下分布と、低電位側の電源線の電圧降下(上昇)分布とが異なる場合に、異なる発光画素からの電位情報に基づいて電源供給部の出力電位を調整できるので、より効果的に消費電力を削減することが可能となる。
【0016】
また、本発明に係る表示装置の一態様は、前記電圧検出部により高電位側の印加電位が検出される発光画素の個数、及び前記電圧検出部により低電位側の印加電位が検出される発光画素の個数の少なくとも一方は、複数であってもよい。
【0017】
また、本発明に係る表示装置の一態様は、前記電圧調整部は、前記電圧検出部で検出された複数の高電位側の印加電位のうち最小の印加電位と、前記電圧検出部で検出された複数の低電位側の印加電位のうち最大の印加電位とのうち少なくとも一方を選択し、当該選択した印加電位に基づいて前記電源供給部を調整してもよい。
【0018】
これにより、検出された高電位側の電位または低電位側の電位のうちいずれかが複数であれば、複数の検出電位のうち最小または最大の電位を選択することができる。よって、電源供給部からの出力電位をより精密に調整することが可能となる。よって、表示部を大型化した場合であっても、消費電力を効果的に削減できる。
【0019】
また、本発明に係る表示装置の一態様は、さらに、前記第1の発光画素に一端が接続され、前記電圧検出部に他端が接続された、前記高電位側の印加電位を前記電圧検出部に伝達する高電位側検出線と、前記第2の発光画素に一端が接続され、前記電圧検出部に他端が接続された、前記低電位側の印加電位を前記電圧検出部に伝達する低電位側検出線とのうち少なくとも一方を備えてもよい。
【0020】
これにより、電圧検出部は、第1の発光画素に印加される高電位側の電位、及び、第2の発光画素に印加される低電位側の電位、の少なくとも一方を測定できる。
【0021】
また、本発明に係る表示装置の一態様は、前記電圧検出部は、さらに、前記電源供給部により出力される、前記高電位側の出力電位及び前記低電位側の出力電位の少なくとも一方を検出し、前記電圧調整部は、前記電源供給部により出力される前記高電位側の出力電位と前記低電位側の出力電位との電位差である電源電位差と、前記第1の発光画素に印加される高電位側の印加電位と前記第2の発光画素に印加される低電位側の印加電位との電位差である画素電位差とを入力し、前記電源電位差と前記画素電位差との電位差に応じて、前記電源供給部から出力される前記高電位側の出力電位及び前記低電位側の出力電位の少なくとも一方を調整してもよい。
【0022】
これにより、電圧検出部が電源供給部から予め定められた発光画素までの電圧降下量を実際に測定できるので、電源供給部の高電位側の出力電位及び電源供給部の低電位側の出力電位の少なくとも一方を、電圧検出部により測定された電圧降下量に応じた最適な電位にできる。
【0023】
また、本発明に係る表示装置の一態様は、前記電圧調整部は、前記電源電位差と前記画素電位差との電位差と、前記電源電位差とが、増加関数の関係となるように調整してもよい。
【0024】
また、本発明に係る表示装置の一態様は、前記電圧検出部は、さらに、前記電源供給部と前記複数の発光画素の高電位側とを接続する高電位側電流経路上における電位、及び前記電源供給部と前記複数の発光画素の低電位側とを接続する低電位側電流経路上における電位の少なくとも一方を検出し、前記電圧調整部は、前記高電位側電流経路上における電位と、前記第1の発光画素に印加される高電位側の印加電位との電位差、及び、前記低電位側電流経路上における電位と、前記第2の発光画素に印加される低電位側の印加電位との電位差のうち少なくとも一方の電位差である第1電位差に応じて、前記電源供給部から出力される前記高電位側の出力電位及び前記低電位側の出力電位の少なくとも一方を調整してもよい。
【0025】
これにより、発光画素に印加された電圧と、表示領域外の配線経路上における電圧との電位差を検出することにより、表示領域内のみにおける電圧降下量に応じて電源供給部からの出力電圧を調整することが可能となる。
【0026】
また、本発明に係る表示装置の一態様は、前記電圧調整部は、前記電源電位差と前記第1電位差とが、増加関数の関係となるように調整してもよい。
【0027】
また、本発明に係る表示装置の一態様は、前記複数の発光画素は、それぞれ、ソース電極及びドレイン電極を有する駆動素子と、第1の電極及び第2の電極を有する発光素子とを備え、前記第1の電極が前記駆動素子のソース電極及びドレイン電極の一方に接続され、前記ソース電極及びドレイン電極の他方と前記第2の電極との一方に高電位側の電位が印加され、前記ソース電極及びドレイン電極の他方と前記第2の電極との他方に低電位側の電位が印加されてもよい。
【0028】
また、本発明に係る表示装置の一態様は、前記複数の発光画素は、行列状に配列されており、行方向及び列方向の少なくとも一つの方向に隣接する前記駆動素子の前記ソース電極及びドレイン電極の他方どうしを接続する第1の電源線と、行方向及び列方向に隣接する前記発光素子の前記第2の電極どうしを接続する第2の電源線とをさらに備え、前記第1の電源線と第2の電源線を介して前記電源供給部からの電源供給を受けてもよい。
【0029】
また、本発明に係る表示装置の一態様は、前記第2の電極及び前記第2の電源線は、前記複数の発光画素に共通して設けられた共通電極の一部を構成しており、前記共通電極の周囲から電位が印加されるように、前記電源供給部と電気的に接続されていてもよい。
【0030】
これにより、表示部の中央付近となるにつれ電圧降下量が大きくなっていくが、特に表示部が大型化した場合に、電源供給部の高電位側の出力電位及び電源供給部の低電位側の出力電位をより適切に調整でき、消費電力を一層削減することができる。
【0031】
また、本発明に係る表示装置の一態様は、前記第2の電極は、金属酸化物からなる透明導電性材料で形成されていてもよい。
【0032】
また、本発明に係る表示装置の一態様は、前記発光素子は、有機EL素子であってもよい。
【0033】
これにより、消費電力が下がることにより発熱が抑えられるので、有機EL素子の劣化を抑制できる。
【0034】
以下、本発明の好ましい実施の形態を図に基づき説明する。なお、以下では、全ての図を通じて同一又は相当する要素には同じ符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0035】
(実施の形態1)
本実施の形態に係る表示装置は、高電位側及び低電位側の出力電位を出力する可変電圧源と、複数の発光画素が配置され当該可変電圧源から電源供給を受ける有機EL表示部と、当該有機EL表示部内における第1の発光画素に印加される高電位側の印加電位、及び、第1の発光画素とは異なる第2の発光画素に印加される低電位側の印加電位を検出する電位差検出回路と、第1の発光画素の高電位側の印加電位と第2の発光画素の低電位側の印加電位との電位差が所定の電位差となるように、可変電圧源から出力される高電位側及び低電位側の出力電位の少なくとも一方を調整する信号処理回路とを備える。
【0036】
これにより、本実施の形態に係る表示装置は、高い消費電力低減効果を実現する。
【0037】
以下、本発明の実施の形態1について、図を用いて具体的に説明する。
【0038】
図1は、本発明の実施の形態1に係る表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【0039】
同図に示す表示装置50は、有機EL表示部110と、データ線駆動回路120と、書込走査駆動回路130と、制御回路140と、信号処理回路165と、電位差検出回路170と、電圧マージン設定部175と、可変電圧源180と、モニタ用配線190A及び190Bとを備える。
【0040】
図2は、実施の形態1に係る有機EL表示部110の構成を模式的に示す斜視図である。なお、図中上方が表示面側である。
【0041】
同図に示すように、有機EL表示部110は、複数の発光画素111と、第1電源配線112と、第2電源配線113とを有する。
【0042】
発光画素111は、第1電源配線112及び第2電源配線113に接続され、当該発光画素111に流れる画素電流ipixに応じた輝度で発光する。複数の発光画素111のうち、予め定められた少なくとも一つの発光画素は、高電位側の検出点M
Aでモニタ用配線190Aに接続されている。また、複数の発光画素111のうち、予め定められた少なくとも一つの発光画素は、低電位側の検出点M
Bでモニタ用配線190Bに接続されている。以降、モニタ用配線190Aに直接接続された発光画素111をモニタ用の発光画素111M
Aと記し、モニタ用配線190Bに直接接続された発光画素111をモニタ用の発光画素111M
Bと記す。
【0043】
第1電源配線112は、マトリクス状に配置された発光画素111に対応させて、網目状に形成され、有機EL表示部110の周縁部に配置されている可変電圧源180に電気的に接続されている。可変電圧源180から高電位側の電源電位が出力されることにより、第1電源配線112には可変電圧源180から出力された高電位側の電源電位に対応した電位が印加される。一方、第2電源配線113は、有機EL表示部110にベタ膜状に形成され、可変電圧源180に電気的に接続されている。可変電圧源180から低電位側の電源電位が出力されることにより、第2電源配線113には可変電圧源180から出力された低電位側の電源電位に対応した電位が印加される。
図2では、第1電源配線112及び第2電源配線113の抵抗成分を示すために、第1電源配線112及び第2電源配線113を模式的にメッシュ状に図示している。なお、第2電源配線113は、例えば、有機EL表示部110の周縁部で表示装置50の共通接地電位に接地されていてもよい。
【0044】
第1電源配線112には、水平方向の第1電源配線抵抗R1hと垂直方向の第1電源配線抵抗R1vが存在する。第2電源配線113には、水平方向の第2電源配線抵抗R2hと垂直方向の第2電源配線抵抗R2vとが存在する。なお、図示されていないが、発光画素111は、書込走査駆動回路130及びデータ線駆動回路120に接続され、発光画素111を発光及び消光するタイミングを制御するための走査線と、発光画素111の発光輝度に対応する信号電圧を供給するためのデータ線とも接続されている。
【0045】
モニタ用の発光画素111M
A及び111M
Bは、第1電源配線112及び第2電源配線113の配線方法、第1電源配線抵抗R1h及びR1vの値、ならびに第2電源配線抵抗R2h及びR2vの値に応じて、最適位置が決定される。本実施の形態では、高電位側の検出点M
A及び低電位側の検出点M
Bを、異なる発光画素に配置する。これにより、検出点の最適化が可能となり、不要な箇所に検出点を配置する必要がなくなり、検出点の総数を減らすことができる。例えば、高電位側の電圧降下が大きい傾向にある発光領域に発光画素111M
Aを配置し、低電位側の電圧降下(上昇)が大きい傾向にある発光領域に発光画素111M
Bを配置する。
【0046】
図3Aは、高電位側のモニタ用配線190Aに接続された発光画素111M
Aの回路構成図であり、
図3Bは、低電位側のモニタ用配線190Bに接続された発光画素111M
Bの回路構成図である。マトリクス状に配置された発光画素のそれぞれは、駆動素子と発光素子とを含み、駆動素子は、ソース電極及びドレイン電極を含み、発光素子は、第1の電極及び第2の電極を含み、当該第1の電極が駆動素子のソース電極及びドレイン電極の一方に接続され、ソース電極及びドレイン電極の他方と第2の電極との一方に高電位側の電位が印加され、ソース電極及びドレイン電極の他方と第2の電極との他方に低電位側の電位が印加される。具体的には、発光画素111は、それぞれ、有機EL素子121と、データ線122と、走査線123と、スイッチトランジスタ124と、駆動トランジスタ125と、保持容量126とを有する。また、モニタ用の発光画素111M
Aは、さらに、駆動素子のソース電極及びドレイン電極の他方にモニタ用配線190Aが接続されており、モニタ用の発光画素111
Bは、さらに、発光素子の第2の電極にモニタ用配線190Bが接続されている。発光画素111M
A及び111M
Bは、それぞれ、有機EL表示部110に少なくとも1つ配置される。
【0047】
有機EL素子121は、第1の電極であるアノード電極が駆動トランジスタ125のドレイン電極に接続され、第2の電極であるカソード電極が第2電源配線113に接続された発光素子であり、アノード電極とカソード電極との間に流れる画素電流i
pixに応じた輝度で発光する。この有機EL素子121のカソード電極は、複数の発光画素111に共通して設けられた共通電極の一部を構成しており、該共通電極は、その周縁部から電位が印加される。つまり、上記共通電極が有機EL表示部110における第2電源配線113として機能する。また、カソード電極は、金属酸化物からなる透明導電性材料で形成されている。
【0048】
データ線122は、データ線駆動回路120と、スイッチトランジスタ124のソース電極及びドレイン電極の一方に接続され、データ線駆動回路120により映像データに対応する信号電圧が印加される。
【0049】
走査線123は、書込走査駆動回路130と、スイッチトランジスタ124のゲート電極に接続され、書込走査駆動回路130により印加される電圧に応じて、スイッチトランジスタ124の導通及び非導通を切り換える。
【0050】
スイッチトランジスタ124は、ソース電極及びドレイン電極の一方がデータ線122に接続され、ソース電極及びドレイン電極の他方が駆動トランジスタ125のゲート及び保持容量126の一端に接続された、例えば、P型薄膜トランジスタ(TFT)である。
【0051】
駆動トランジスタ125は、ソース電極が第1電源配線112に接続され、ドレイン電極が有機EL素子121のアノード電極に接続され、ゲート電極が保持容量126の一端及びスイッチトランジスタ124のソース電極及びドレイン電極の他方に接続された駆動素子であり、例えば、P型TFTである。これにより、駆動トランジスタ125は、保持容量126に保持された電圧に応じた電流を有機EL素子121に供給する。また、モニタ用の発光画素111M
Aにおいて、駆動トランジスタ125のソース電極はモニタ用配線190Aと接続されている。一方、モニタ用の発光画素111M
Bにおいて、有機EL素子121のカソード電極は発光画素111M
Bの陰極であり、モニタ用配線190Bと接続されている。
【0052】
保持容量126は、一端がスイッチトランジスタ124のソース電極及びドレイン電極の他方に接続され、他端が第1電源配線112に接続され、スイッチトランジスタ124が非導通となったときの第1電源配線112の電位と駆動トランジスタ125のゲート電極の電位との電位差を保持する。つまり、信号電圧に対応する電圧を保持する。
【0053】
以下、
図1に記載された各構成要素の機能について
図2,
図3A及び
図3Bを参照しながら説明する。
【0054】
データ線駆動回路120は、映像データに対応する信号電圧を、データ線122を介して発光画素111に出力する。
【0055】
書込走査駆動回路130は、複数の走査線123に走査信号を出力することで、複数の発光画素111を順に走査する。具体的には、スイッチトランジスタ124を行単位で導通または非導通とする。これにより、書込走査駆動回路130により選択されている行の複数の発光画素111に、複数のデータ線122に出力された信号電圧が印加される。よって、発光画素111が映像データに応じた輝度で発光する。
【0056】
制御回路140は、データ線駆動回路120及び書込走査駆動回路130のそれぞれに、駆動タイミングを指示する。
【0057】
信号処理回路165は、入力された映像データに対応する信号電圧をデータ線駆動回路120へ出力する。
【0058】
電位差検出回路170は、本実施の形態における本発明の電圧検出部であって、モニタ用の発光画素111M
Aに印加される高電位側の電位、及び、モニタ用の発光画素111M
Bに印加される低電位側の電位を測定する。具体的には、電位差検出回路170は、モニタ用の発光画素111M
Aに印加される高電位側の電位を、モニタ用配線190Aを介して測定し、モニタ用の発光画素111M
Bに印加される低電位側の電位を、モニタ用配線190Bを介して測定する。そして、電位差検出回路170は、測定されたモニタ用の発光画素111M
Aの高電位側の電位とモニタ用の発光画素111M
Bの低電位側の電位との電位差である画素間電位差を算出する。さらに、電位差検出回路170は、可変電圧源180の出力電圧を測定し、当該出力電圧と算出された画素間電位差との電位差ΔVを測定する。そして、測定した電位差ΔVを電圧マージン設定部175へ出力する。
【0059】
電圧マージン設定部175は、本実施の形態における本発明の電圧調整部であって、ピーク階調での(VEL+VTFT)電圧と、電位差検出回路170で検出された電位差ΔVとから、モニタ用の発光画素111M
Aの高電位側の電位とモニタ用の発光画素111M
Bの低電位側の電位との電位差である画素間電位差を、所定の電位差にするように可変電圧源180を調整する。具体的には、電圧マージン設定部175は、電位差検出回路170で検出された電位差を元に、電圧マージンVdropを求める。そして、ピーク階調での(VEL+VTFT)電圧と、電圧マージンVdropとを合計し、合計結果のVEL+VTFT+Vdropを第1基準電圧Vref1Aの電圧として可変電圧源180に出力する。
【0060】
可変電圧源180は、本実施の形態における本発明の電源供給部であって、高電位側の電位及び低電位側の電位の少なくとも一方を有機EL表示部110に出力する。この可変電圧源180は、電圧マージン設定部175から出力される第1基準電圧Vref1Aにより、モニタ用の発光画素111M
A及び111M
Bから検出された画素間電位差が所定の電圧(VEL+VTFT)となるような出力電圧Voutを出力する。
【0061】
モニタ用配線190Aは、一端がモニタ用の発光画素111M
Aに接続され、他端が電位差検出回路170に接続され、モニタ用の発光画素111M
Aに印加される高電位側の電位を電位差検出回路170に伝達する高電位側検出線である。
【0062】
モニタ用配線190Bは、一端がモニタ用の発光画素111M
Bに接続され、他端が電位差検出回路170に接続され、モニタ用の発光画素111M
Bに印加される低電位側の電位を電位差検出回路170に伝達する低電位側検出線である。
【0063】
次に、この可変電圧源180の詳細な構成について簡単に説明する。
【0064】
図4は、実施の形態1に係る可変電圧源の具体的な構成の一例を示すブロック図である。なお、同図には可変電圧源に接続されている有機EL表示部110及び電圧マージン設定部175も示されている。
【0065】
同図に示す可変電圧源180は、比較回路181と、PWM(Pulse Width Modulation)回路182と、ドライブ回路183と、スイッチング素子SWと、ダイオードDと、インダクタLと、コンデンサCと、出力端子184とを有し、入力電圧Vinを第1基準電圧Vref1に応じた出力電圧Voutに変換し、出力端子184から出力電圧Voutを出力する。なお、図示していないが、入力電圧Vinが入力される入力端子の前段には、AC−DC変換器が挿入され、例えば、AC100VからDC20Vへの変換が済んでいるものとする。
【0066】
比較回路181は、出力検出部185及び誤差増幅器186を有し、出力電圧Voutと第1基準電圧Vref1との差分に応じた電圧をPWM回路182に出力する。
【0067】
出力検出部185は、出力端子184と、接地電位との間に挿入された2つの抵抗R1及びR2を有し、出力電圧Voutを抵抗R1及びR2の抵抗比に応じて分圧し、分圧された出力電圧Voutを誤差増幅器186へ出力する。
【0068】
誤差増幅器186は、出力検出部185で分圧されたVoutと、電圧マージン設定部175から出力された第1基準電圧Vref1Aとを比較し、その比較結果に応じた電圧をPWM回路182へ出力する。具体的には、誤差増幅器186は、オペアンプ187と、抵抗R3及びR4とを有する。オペアンプ187は、反転入力端子が抵抗R3を介して出力検出部185に接続され、非反転入力端子が電圧マージン設定部175に接続され、出力端子がPWM回路182と接続されている。また、オペアンプ187の出力端子は、抵抗R4を介して反転入力端子と接続されている。これにより、誤差増幅器186は、出力検出部185から入力された電圧と電圧マージン設定部175から入力された第1基準電圧Vref1Aとの電位差に応じた電圧をPWM回路182へ出力する。言い換えると、出力電圧Voutと第1基準電圧Vref1Aとの電位差に応じた電圧をPWM回路182へ出力する。
【0069】
PWM回路182は、比較回路181から出力された電圧に応じてデューティの異なるパルス波形をドライブ回路183に出力する。具体的には、PWM回路182は、比較回路181から出力された電圧が大きい場合オンデューティの長いパルス波形を出力し、出力された電圧が小さい場合オンデューティの短いパルス波形を出力する。言い換えると、出力電圧Voutと第1基準電圧Vref1Aとの電位差が大きい場合オンデューティの長いパルス波形を出力し、出力電圧Voutと第1基準電圧Vref1Aとの電位差が小さい場合オンデューティの短いパルス波形を出力する。なお、パルス波形のオンの期間とは、パルス波形がアクティブの期間である。
【0070】
ドライブ回路183は、PWM回路182から出力されたパルス波形がアクティブの期間にスイッチング素子SWをオンし、PWM回路182から出力されたパルス波形が非アクティブの期間にスイッチング素子SWをオフする。
【0071】
スイッチング素子SWは、ドライブ回路183により導通または非導通となる。スイッチング素子SWが導通状態の間だけ、入力電圧VinがインダクタL及びコンデンサCを介して、出力端子184に出力電圧Voutとして出力される。よって、出力電圧Voutは0Vから徐々に20V(Vin)に近づいていく。この時、インダクタL及びコンデンサCに充電がなされる。インダクタLの両端には電圧が印加されている(充電されている)ので、その分だけ出力電圧Voutは入力電圧Vinより低い電位となる。
【0072】
出力電圧Voutが第1基準電圧Vref1Aに近づくにつれて、PWM回路182に入力される電圧は小さくなり、PWM回路182が出力するパルス信号のオンデューティは短くなる。
【0073】
するとスイッチング素子SWがオンする時間も短くなり、出力電圧Voutは緩やかに第1基準電圧Vref1Aに収束してゆく。
【0074】
最終的に、Vout=Vref1A付近の電位でわずかに電圧変動しながら出力電圧Voutの電位が確定する。
【0075】
このように、可変電圧源180は、電圧マージン設定部175から出力された第1基準電圧Vref1Aとなるような出力電圧Voutを生成し、有機EL表示部110へ供給する。
【0076】
次に、上述した表示装置50の動作について
図5〜
図7を用いて説明する。
【0077】
図5は、本発明の表示装置50の動作を示すフローチャートである。
【0078】
まず、電圧マージン設定部175は、予め設定された、ピーク階調に対応する(VEL+VTFT)電圧をメモリから読み出す(S10)。具体的には、電圧マージン設定部175は、各色のピーク階調に対応するVTFT+VELの必要電圧を示す必要電圧換算テーブルを用いて各色の階調に対応するVTFT+VELを決定する。
【0079】
図6は、電圧マージン設定部175が参照する必要電圧換算テーブルの一例を示す図である。同図に示すように、必要電圧換算テーブルにはピーク階調(255階調)に対応するVTFT+VELの必要電圧が格納されている。例えば、Rのピーク階調での必要電圧は11.2V、Gのピーク階調での必要電圧は12.2V、Bのピーク階調での必要電圧は8.4Vとなる。各色のピーク階調での必要電圧のうち、最大の電圧はGの12.2Vである。よって、電圧マージン設定部175は、VTFT+VELを12.2Vと決定する。
【0080】
一方、電位差検出回路170は、検出点M
A及びM
Bの電位を、それぞれ、モニタ用配線190A及び190Bを介して検出し、検出点M
Aの電位とM
Bの電位との電位差である画素間電位差を算出する(ステップS14)。
【0081】
次に、電位差検出回路170は、可変電圧源180の出力端子184の出力電圧と、上記画素間電位差との電位差ΔVを検出する(ステップS15)。そして、検出した電位差ΔVを電圧マージン設定部175へ出力する。なお、ここまでのステップS10〜S15は、本発明の電位測定処理に相当する。
【0082】
次に、電圧マージン設定部175は、電位差検出回路170から出力された電位差信号から、電位差検出回路170が検出した電位差ΔVに対応する電圧マージンVdropを決定する(ステップS16)。具体的には、電圧マージン設定部175は、電位差ΔVに対応する電圧マージンVdropを示す電圧マージン換算テーブルを有し、当該換算テーブルを参照して電圧マージンVdropを決定する。
【0083】
図7は、電圧マージン設定部175が参照する電圧マージン換算テーブルの一例を示す図である。
【0084】
同図に示すように、電圧マージン換算テーブルには、電位差ΔVに対応する電圧マージンVdropが格納されている。例えば、電位差ΔVが3.4Vの場合、電圧マージンVdropは3.4Vである。よって、電圧マージン設定部175は、電圧マージンVdropを3.4Vと決定する。
【0085】
ところで、電圧マージン換算テーブルに示すように、電位差ΔVと電圧マージンVdropとは増加関数の関係となっている。また、可変電圧源180の出力電圧Voutは電圧マージンVdropが大きいほど高くなる。つまり、電位差ΔVと出力電圧Voutとは増加関数の関係となっている。
【0086】
次に、電圧マージン設定部175は、次のフレーム期間に可変電圧源180に出力させる出力電圧Voutを決定する(ステップS17)。具体的には、次のフレーム期間に可変電圧源180に出力させる出力電圧Voutを、有機EL素子121と駆動トランジスタ125に必要な電圧の決定(ステップS13)で決定されたVTFT+VELと電位差ΔVに対応する電圧マージンの決定(ステップS15)で決定された電圧マージンVdropとの合計値であるVTFT+VEL+Vdropとする。
【0087】
最後に、電圧マージン設定部175は、次のフレーム期間の最初に、第1基準電圧Vref1AをVTFT+VEL+Vdropとすることにより、可変電圧源180を調整する(ステップS18)。これにより、次のフレーム期間において、可変電圧源180は、Vout=VTFT+VEL+Vdropとして、有機EL表示部110へ供給する。なお、ステップS16〜ステップS18は、本発明の電圧調整処理に相当する。
【0088】
このように、本実施の形態に係る表示装置50は、高電位側の電位及び低電位側の電位の少なくとも一方を出力する可変電圧源180と、異なる2つのモニタ用の発光画素111M
A及び111M
Bに印加される電位から画素間電位差を算出し可変電圧源180の出力電圧Voutを測定する電位差検出回路170と、上記画素間電位差を所定の電圧(VTFT+VEL)にするように可変電圧源180を調整する電圧マージン設定部175とを含む。また、電位差検出回路170は、さらに、測定した高電位側の出力電圧Voutと上記画素間電位差との電位差を検出し、電圧マージン設定部175は、電位差検出回路170で検出された電位差に応じて可変電圧源180を調整する。
【0089】
これにより、表示装置50は、水平方向の第1電源配線抵抗R1h及び垂直方向の第1電源配線抵抗R1vによる電圧降下、及び、水平方向の第2電源配線抵抗R2h及び垂直方向の第2電源配線抵抗R1vによる電圧上昇を検出し、その電圧降下及び電圧上昇の程度を可変電圧源180にフィードバックすることで、余分な電圧を減らし、消費電力を削減することができる。
【0090】
さらに、本実施の形態に係る表示装置50は、発光画素に印加される高電位側の電位及び低電位側の電位を、同一のモニタ用の発光画素から検出する場合と比較して、高電位側電源線の配線抵抗分布と低電位側電源線の配線抵抗分布が異なる表示態様においては、より効果的に消費電力を削減することが可能となる。
【0091】
また、消費電力を削減することにより有機EL素子121の発熱が抑えられるので、有機EL素子121の劣化を防止できる。
【0092】
次に、上述の表示装置50において、第Nフレーム以前と第N+1フレーム以降とで、入力される映像データが変わる場合の表示パターンの変遷について、
図8及び
図9を用いて説明する。
【0093】
最初に、第Nフレーム及び第N+1フレームに入力されたと想定する映像データについて説明する。
【0094】
まず、第Nフレーム以前において、有機EL表示部110の中心部に対応する映像データは、有機EL表示部110の中心部が白く見えるようなピーク階調(R:G:B=255:255:255)とする。一方、有機EL表示部110の中心部以外に対応する映像データは、有機EL表示部110の中心部以外がグレーに見えるようなグレー階調(R:G:B=50:50:50)とする。
【0095】
また、第N+1フレーム以降において、有機EL表示部110の中心部に対応する映像データは、第Nフレームと同様にピーク階調(R:G:B=255:255:255)とする。一方、有機EL表示部110の中心部以外に対応する映像データは、第Nフレームよりも明るいグレーに見えるようなグレー階調(R:G:B=150:150:150)とする。
【0096】
次に、第Nフレーム及び第N+1フレームに上述のような映像データが入力された場合の、表示装置50の動作について説明する。
【0097】
図8は、第Nフレーム〜第N+2フレームにおける表示装置50の動作を示すタイミングチャートである。
【0098】
同図には、電位差検出回路170で検出された電位差ΔVと、可変電圧源180からの出力電圧Voutと、モニタ用の発光画素111M
A及び111M
Bの画素輝度とが示されている。また、各フレーム期間の最後には、ブランキング期間が設けられている。
【0099】
図9は、有機EL表示部に表示される画像を模式的に示す図である。
【0100】
時間t=T10において、信号処理回路165は、第Nフレームの映像データを入力する。電圧マージン設定部175は、必要電圧換算テーブルを用いて、Gのピーク階調での必要電圧12.2Vを(VTFT+VEL)電圧と設定する。
【0101】
一方、このとき電位差検出回路170は、モニタ用配線190A及び190Bを介して検出点M
A及びM
Bの電位を検出し、これらの電位差である画素間電位差と可変電圧源180から出力されている出力電圧Voutとの電位差ΔVを検出する。例えば、時間t=T10においてΔV=1Vを検出する。そして、電圧マージン換算テーブルを用いて、第N+1フレームの電圧マージンVdropを1Vと決定する。
【0102】
時間t=T10〜T11は第Nフレームのブランキング期間であり、この期間において有機EL表示部110には、時間t=T10と同じ画像が表示される。
【0103】
図9(a)は、時間t=T10〜T11において、有機EL表示部110に表示される画像を模式的に示す図である。この期間において、有機EL表示部110に表示される画像は、第Nフレームの映像データに対応して、中心部が白く、中心部以外がグレーとなっている。
【0104】
時間t=T11において、電圧マージン設定部175は、第1基準電圧Vref1Aの電圧を、上記(VTFT+VEL)電圧と、電圧マージンVdropとの合計VTFT+VEL+Vdrop(例えば、13.2V)とする。
【0105】
時間t=T11〜T16にかけて、有機EL表示部110には、第N+1フレームの映像データに対応する画像が順に表示されていく(
図9(b)〜
図9(f))。このとき、可変電圧源180からの出力電圧Voutは、常に、時間t=T11で第1基準電圧Vref1Aの電圧に設定したVTFT+VEL+Vdropとなっている。しかしながら、第N+1フレームでは、有機EL表示部110の中心部以外に対応する映像データは、第Nフレームよりも明るいグレーに見えるようなグレー階調である。よって、可変電圧源180から有機EL表示部110に供給する電流量は、時間t=T11〜T16にかけて徐々に増加し、この電流量の増加に伴い第1電源配線112の電圧降下及び第2電源配線113の電圧上昇が徐々に大きくなる。これにより、明るく表示されている領域の発光画素111である、有機EL表示部110の中心部の発光画素111の電源電圧が不足する。言い換えると、第N+1フレームの映像データR:G:B=255:255:255に対応する画像よりも輝度が低下する。つまり、時間t=T11〜T16にかけて、有機EL表示部110の中心部の発光画素111の発光輝度は徐々に低下する。
【0106】
次に、時間t=T16において、信号処理回路165は、第N+1フレームの映像データを入力する。電圧マージン設定部175は、必要電圧換算テーブルを用いて、Gのピーク階調での必要電圧12.2Vを、継続して(VTFT+VEL)電圧と設定する。
【0107】
一方、このとき電位差検出回路170は、モニタ用配線190Aを介して検出点M
Aの電位を検出し、モニタ用配線190Bを介して検出点M
Bの電位を検出し、両検出点の画素間電位差と可変電圧源180から出力されている出力電圧Voutとの電位差ΔVを検出する。例えば、時間t=T16においてΔV=3Vを検出する。そして、電圧マージン換算テーブルを用いて、第N+1フレームの電圧マージンVdropを3Vと決定する。
【0108】
次に、時間t=T17において、電圧マージン設定部175は、第1基準電圧Vref1Aの電圧を、上記(VTFT+VEL)電圧と、電圧マージンVdropとの合計VTFT+VEL+Vdrop(例えば、15.2V)とする。よって、時間t=T17以降、検出点M
Aと検出点M
Bとの電位差は、所定の電位であるVTFT+VELとなる。
【0109】
このように、表示装置100は、第N+1フレームにおいて、一時的に輝度が低下するが、非常に短い期間であり、ユーザにとってほとんど影響はない。
【0110】
(実施の形態2)
本実施の形態に係る表示装置は、実施の形態1に係る表示装置と比較して、可変電圧源へ入力される基準電圧が、電位差検出回路で検出された電位差ΔVの変化に依存して変化するだけでなく、入力された映像データからフレームごと検出されたピーク信号にも依存して変化する点が異なる。以下、実施の形態1と同じ点は説明を省略し、実施の形態1と異なる点を中心に説明する。また、実施の形態1と重複する図面については、実施の形態1に適用された図面を用いる。
【0111】
以下、本発明の実施の形態2について、図を用いて具体的に説明する。
【0112】
図10は、本発明の実施の形態2に係る表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【0113】
同図に示す表示装置100は、有機EL表示部110と、データ線駆動回路120と、書込走査駆動回路130と、制御回路140と、ピーク信号検出回路150と、信号処理回路160と、電位差検出回路170と、可変電圧源180と、モニタ用配線190A及び190Bとを備える。
【0114】
有機EL表示部110の構成については、実施の形態1の
図2、
図3A及び
図3Bに記載された構成と同様である。
【0115】
同図に示すように、有機EL表示部110は、複数の発光画素111と、第1電源配線112と、第2電源配線113とを有する。
【0116】
ピーク信号検出回路150は、表示装置100に入力された映像データのピーク値を検出し、検出したピーク値を示すピーク信号を信号処理回路160へ出力する。具体的には、ピーク信号検出回路150は、映像データの中から最も高階調のデータをピーク値として検出する。高階調のデータとは、有機EL表示部110で明るく表示される画像に対応する。
【0117】
信号処理回路160は、本実施の形態における本発明の電圧調整部であって、ピーク信号検出回路150から出力されたピーク信号と、電位差検出回路170で検出された電位差ΔVとから、モニタ用の発光画素111M
Aの高電位側の電位とモニタ用の発光画素111M
Bの低電位側の電位との電位差である画素間電位差を、所定の電位差にするように可変電圧源180を調整する。具体的には、信号処理回路160は、ピーク信号検出回路150から出力されたピーク信号で発光画素111を発光させた場合に、有機EL素子121と駆動トランジスタ125とに必要な電圧を決定する。また、信号処理回路160は、電位差検出回路170で検出された電位差を元に、電圧マージンを求める。そして、決定した、有機EL素子121に必要な電圧VELと、駆動トランジスタ125に必要な電圧VTFTと、電圧マージンVdropとを合計し、合計結果のVEL+VTFT+Vdropを第1基準電圧Vref1の電圧として可変電圧源180に出力する。
【0118】
また、信号処理回路160は、ピーク信号検出回路150を介して入力された映像データに対応する信号電圧をデータ線駆動回路120へ出力する。
【0119】
電位差検出回路170は、本実施の形態における本発明の電圧検出部であって、モニタ用の発光画素111M
Aに印加される高電位側の電位、及び、モニタ用の発光画素111M
Bに印加される低電位側の電位を測定する。具体的には、電位差検出回路170は、モニタ用の発光画素111M
Aに印加される高電位側の電位を、モニタ用配線190Aを介して測定し、モニタ用の発光画素111M
Bに印加される低電位側の電位を、モニタ用配線190Bを介して測定する。そして、電位差検出回路170は、測定されたモニタ用の発光画素111M
Aの高電位側の電位とモニタ用の発光画素111M
Bの低電位側の電位との電位差である画素間電位差を算出する。さらに、電位差検出回路170は、可変電圧源180の出力電圧を測定し、当該出力電圧と算出された画素間電位差との電位差ΔVを測定する。そして、測定した電位差ΔVを信号処理回路160へ出力する。
【0120】
可変電圧源180は、本実施の形態における本発明の電源供給部であって、高電位側の電位及び低電位側の電位の少なくとも一方を有機EL表示部110に出力する。この可変電圧源180は、信号処理回路160から出力される第1基準電圧Vref1により、モニタ用の発光画素111M
A及び111M
Bから検出された画素間電位差が所定の電圧(VEL+VTFT)となるような出力電圧Voutを出力する。
【0121】
モニタ用配線190Aは、一端がモニタ用の発光画素111M
Aに接続され、他端が電位差検出回路170に接続され、モニタ用の発光画素111M
Aに印加される高電位側の電位を電位差検出回路170に伝達する高電位側検出線である。
【0122】
モニタ用配線190Bは、一端がモニタ用の発光画素111M
Bに接続され、他端が電位差検出回路170に接続され、モニタ用の発光画素111M
Bに印加される低電位側の電位を電位差検出回路170に伝達する低電位側検出線である。
【0123】
次に、この可変電圧源180の詳細な構成について簡単に説明する。
【0124】
図11は、実施の形態2に係る可変電圧源の具体的な構成の一例を示すブロック図である。なお、同図には可変電圧源に接続されている有機EL表示部110及び信号処理回路160も示されている。
【0125】
同図に示す可変電圧源180は、実施の形態1で説明した高電位側可変電圧源180と同様である。
【0126】
誤差増幅器186は、出力検出部185で分圧されたVoutと、信号処理回路160から出力された第1基準電圧Vref1とを比較し、その比較結果に応じた電圧をPWM回路182へ出力する。具体的には、誤差増幅器186は、オペアンプ187と、抵抗R3及びR4とを有する。オペアンプ187は、反転入力端子が抵抗R3を介して出力検出部185に接続され、非反転入力端子が信号処理回路160に接続され、出力端子がPWM回路182と接続されている。また、オペアンプ187の出力端子は、抵抗R4を介して反転入力端子と接続されている。これにより、誤差増幅器186は、出力検出部185から入力された電圧と信号処理回路160から入力された第1基準電圧Vref1との電位差に応じた電圧をPWM回路182へ出力する。言い換えると、出力電圧Voutと第1基準電圧Vref1との電位差に応じた電圧をPWM回路182へ出力する。
【0127】
PWM回路182は、比較回路181から出力された電圧に応じてデューティの異なるパルス波形をドライブ回路183に出力する。具体的には、PWM回路182は、比較回路181から出力された電圧が大きい場合オンデューティの長いパルス波形を出力し、出力された電圧が小さい場合オンデューティの短いパルス波形を出力する。言い換えると、出力電圧Voutと第1基準電圧Vref1との電位差が大きい場合オンデューティの長いパルス波形を出力し、出力電圧Voutと第1基準電圧Vref1との電位差が小さい場合オンデューティの短いパルス波形を出力する。なお、パルス波形のオンの期間とは、パルス波形がアクティブの期間である。
【0128】
出力電圧Voutが第1基準電圧Vref1に近づくにつれて、PWM回路182に入力される電圧は小さくなり、PWM回路182が出力するパルス信号のオンデューティは短くなる。
【0129】
するとスイッチング素子SWがオンする時間も短くなり、出力電圧Voutは緩やかに第1基準電圧Vref1に収束してゆく。
【0130】
最終的に、Vout=Vref1付近の電位でわずかに電圧変動しながら出力電圧Voutの電位が確定する。
【0131】
このように、可変電圧源180は、信号処理回路160から出力された第1基準電圧Vref1となるような出力電圧Voutを生成し、有機EL表示部110へ供給する。
【0132】
次に、上述した表示装置100の動作について
図12、
図13及び
図7を用いて説明する。
【0133】
図12は、本発明の表示装置100の動作を示すフローチャートである。
【0134】
まず、ピーク信号検出回路150は、表示装置100に入力された1フレーム期間の映像データを取得する(ステップS11)。例えば、ピーク信号検出回路150は、バッファを有し、そのバッファに1フレーム期間の映像データを蓄積する。
【0135】
次に、ピーク信号検出回路150は、取得した映像データのピーク値を検出(ステップS12)し、検出したピーク値を示すピーク信号を信号処理回路160へ出力する。具体的には、ピーク信号検出回路150は、色ごとに映像データのピーク値を検出する。例えば、映像データが赤(R)、緑(G)、青(B)のそれぞれについて0〜255(大きいほど輝度が高い)までの256階調で表されているとする。ここで、有機EL表示部110の一部の映像データがR:G:B=177:124:135、有機EL表示部110の他の一部の映像データがR:G:B=24:177:50、さらに他の一部の映像データがR:G:B=10:70:176の場合、ピーク信号検出回路150はRのピーク値として177、Gのピーク値として177、Bのピーク値として176を検出し、検出した各色のピーク値を示すピーク信号を信号処理回路160へ出力する。
【0136】
次に、信号処理回路160は、ピーク信号検出回路150から出力されたピーク値で有機EL素子121を発光させた場合の駆動トランジスタ125に必要な電圧VTFTと、有機EL素子121に必要な電圧VELとを決定する(ステップS13)。具体的には、信号処理回路160は、各色の階調に対応するVTFT+VELの必要電圧を示す必要電圧換算テーブルを用いて各色の階調に対応するVTFT+VELを決定する。
【0137】
図13は、信号処理回路160が有する必要電圧換算テーブルの一例を示す図である。
【0138】
同図に示すように、必要電圧換算テーブルには各色の階調に対応するVTFT+VELの必要電圧が格納されている。例えば、Rのピーク値177に対応する必要電圧は8.5V、Gのピーク値177に対応する必要電圧は9.9V、Bのピーク値176に対応する必要電圧は6.7Vとなる。各色のピーク値に対応する必要電圧のうち、最大の電圧はGのピーク値に対応する9.9Vである。よって、信号処理回路160は、VTFT+VELを9.9Vと決定する。
【0139】
一方、電位差検出回路170は、検出点M
A及びM
Bの電位を、それぞれ、モニタ用配線190A及び190Bを介して検出し、検出点M
Aの電位とM
Bの電位との電位差である画素間電位差を算出する(ステップS14)。
【0140】
次に、電位差検出回路170は、可変電圧源180の出力端子184の出力電圧と、上記画素間電位差との電位差ΔVを検出する(ステップS15)。そして、検出した電位差ΔVを信号処理回路160へ出力する。なお、ここまでのステップS11〜S15は、本発明の電位測定処理に相当する。
【0141】
次に、信号処理回路160は、電位差検出回路170から出力された電位差信号から、電位差検出回路170が検出した電位差ΔVに対応する電圧マージンVdropを決定する(ステップS16)。具体的には、信号処理回路160は、電位差ΔVに対応する電圧マージンVdropを示す電圧マージン換算テーブルを有し、当該換算テーブルを参照して電圧マージンVdropを決定する。
【0142】
図7に示すように、電圧マージン換算テーブルには、電位差ΔVに対応する電圧マージンVdropが格納されている。例えば、電位差ΔVが3.4Vの場合、電圧マージンVdropは3.4Vである。よって、信号処理回路160は、電圧マージンVdropを3.4Vと決定する。
【0143】
ところで、電圧マージン換算テーブルに示すように、電位差ΔVと電圧マージンVdropとは増加関数の関係となっている。また、可変電圧源180の出力電圧Voutは電圧マージンVdropが大きいほど高くなる。つまり、電位差ΔVと出力電圧Voutとは増加関数の関係となっている。
【0144】
次に、信号処理回路160は、次のフレーム期間に可変電圧源180に出力させる出力電圧Voutを決定する(ステップS17)。具体的には、次のフレーム期間に可変電圧源180に出力させる出力電圧Voutを、有機EL素子121と駆動トランジスタ125に必要な電圧の決定(ステップS13)で決定されたVTFT+VELと電位差ΔVに対応する電圧マージンの決定(ステップS15)で決定された電圧マージンVdropとの合計値であるVTFT+VEL+Vdropとする。
【0145】
最後に、信号処理回路160は、次のフレーム期間の最初に、第1基準電圧Vref1をVTFT+VEL+Vdropとすることにより、可変電圧源180を調整する(ステップS18)。これにより、次のフレーム期間において、可変電圧源180は、Vout=VTFT+VEL+Vdropとして、有機EL表示部110へ供給する。なお、ステップS16〜ステップS18は、本発明の電圧調整処理に相当する。
【0146】
このように、本実施の形態に係る表示装置100は、高電位側の電位及び低電位側の電位の少なくとも一方を出力する可変電圧源180と、異なる2つのモニタ用の発光画素111M
A及び111M
Bに印加される電位から画素間電位差を算出し可変電圧源180の出力電圧Voutを測定する電位差検出回路170と、上記画素間電位差を所定の電圧(VTFT+VEL)にするように可変電圧源180を調整する信号処理回路160とを含む。また、電位差検出回路170は、さらに、測定した高電位側の出力電圧Voutと上記画素間電位差との電位差を検出し、信号処理回路160は、電位差検出回路170で検出された電位差に応じて可変電圧源180を調整する。
【0147】
これにより、表示装置100は、水平方向の第1電源配線抵抗R1h及び垂直方向の第1電源配線抵抗R1vによる電圧降下、及び、水平方向の第2電源配線抵抗R2h及び垂直方向の第2電源配線抵抗R1vによる電圧上昇を検出し、その電圧降下及び電圧上昇の程度を可変電圧源180にフィードバックすることで、余分な電圧を減らし、消費電力を削減することができる。
【0148】
さらに、本実施の形態に係る表示装置100は、発光画素に印加される高電位側の電位及び低電位側の電位を、同一のモニタ用の発光画素から検出する場合と比較して、高電位側電源線の配線抵抗分布と低電位側電源線の配線抵抗分布が異なる表示態様においては、より効果的に消費電力を削減することが可能となる。
【0149】
また、消費電力を削減することにより有機EL素子121の発熱が抑えられるので、有機EL素子121の劣化を防止できる。
【0150】
次に、上述の表示装置100において、第Nフレーム以前と第N+1フレーム以降とで、入力される映像データが変わる場合の表示パターンの変遷について、
図8及び
図9を用いて説明する。
【0151】
最初に、第Nフレーム及び第N+1フレームに入力されたと想定する映像データについて説明する。
【0152】
まず、第Nフレーム以前において、有機EL表示部110の中心部に対応する映像データは、有機EL表示部110の中心部が白く見えるようなピーク階調(R:G:B=255:255:255)とする。一方、有機EL表示部110の中心部以外に対応する映像データは、有機EL表示部110の中心部以外がグレーに見えるようなグレー階調(R:G:B=50:50:50)とする。
【0153】
また、第N+1フレーム以降において、有機EL表示部110の中心部に対応する映像データは、第Nフレームと同様にピーク階調(R:G:B=255:255:255)とする。一方、有機EL表示部110の中心部以外に対応する映像データは、第Nフレームよりも明るいグレーに見えるようなグレー階調(R:G:B=150:150:150)とする。
【0154】
次に、第Nフレーム及び第N+1フレームに上述のような映像データが入力された場合の、表示装置100の動作について説明する。
【0155】
図8には、電位差検出回路170で検出された電位差ΔVと、可変電圧源180からの出力電圧Voutと、モニタ用の発光画素111M
A及び111M
Bの画素輝度とが示されている。また、各フレーム期間の最後には、ブランキング期間が設けられている。
【0156】
時間t=T10において、ピーク信号検出回路150は第Nフレームの映像データのピーク値を検出する。信号処理回路160は、ピーク信号検出回路150で検出されたピーク値からVTFT+VELを決定する。ここで、第Nフレームの映像データのピーク値はR:G:B=255:255:255であるので、信号処理回路160は、必要電圧換算テーブルを用いて第N+1フレームの必要電圧VTFT+VELを、例えば12.2Vと決定する。
【0157】
一方、このとき電位差検出回路170は、モニタ用配線190A及び190Bを介して検出点M
A及びM
Bの電位を検出し、これらの電位差である画素間電位差と可変電圧源180から出力されている出力電圧Voutとの電位差ΔVを検出する。例えば、時間t=T10においてΔV=1Vを検出する。そして、電圧マージン換算テーブルを用いて、第N+1フレームの電圧マージンVdropを1Vと決定する。
【0158】
時間t=T10〜T11は第Nフレームのブランキング期間であり、この期間において有機EL表示部110には、時間t=T10と同じ画像が表示される。
【0159】
図9(a)は、時間t=T10〜T11において、有機EL表示部110に表示される画像を模式的に示す図である。この期間において、有機EL表示部110に表示される画像は、第Nフレームの映像データに対応して、中心部が白く、中心部以外がグレーとなっている。
【0160】
時間t=T11において、信号処理回路160は、第1基準電圧Vref1の電圧を、決定した必要電圧VTFT+VELと、電圧マージンVdropとの合計VTFT+VEL+Vdrop(例えば、13.2V)とする。
【0161】
時間t=T11〜T16にかけて、有機EL表示部110には、第N+1フレームの映像データに対応する画像が順に表示されていく(
図9(b)〜
図9(f))。このとき、可変電圧源180からの出力電圧Voutは、常に、時間t=T11で第1基準電圧Vref1の電圧に設定したVTFT+VEL+Vdropとなっている。しかしながら、第N+1フレームでは、有機EL表示部110の中心部以外に対応する映像データは、第Nフレームよりも明るいグレーに見えるようなグレー階調である。よって、可変電圧源180から有機EL表示部110に供給する電流量は、時間t=T11〜T16にかけて徐々に増加し、この電流量の増加に伴い第1電源配線112の電圧降下及び第2電源配線113の電圧上昇が徐々に大きくなる。これにより、明るく表示されている領域の発光画素111である、有機EL表示部110の中心部の発光画素111の電源電圧が不足する。言い換えると、第N+1フレームの映像データR:G:B=255:255:255に対応する画像よりも輝度が低下する。つまり、時間t=T11〜T16にかけて、有機EL表示部110の中心部の発光画素111の発光輝度は徐々に低下する。
【0162】
次に、時間t=T16において、ピーク信号検出回路150は第N+1フレームの映像データのピーク値を検出する。ここで検出される第N+1フレームの映像データのピーク値はR:G:B=255:255:255であるので、信号処理回路160は第N+2フレームの必要電圧VTFT+VELを、例えば12.2Vと決定する。
【0163】
一方、このとき電位差検出回路170は、モニタ用配線190Aを介して検出点M
Aの電位を検出し、モニタ用配線190Bを介して検出点M
Bの電位を検出し、両検出点の画素間電位差と可変電圧源180から出力されている出力電圧Voutとの電位差ΔVを検出する。例えば、時間t=T16においてΔV=3Vを検出する。そして、電圧マージン換算テーブルを用いて、第N+1フレームの電圧マージンVdropを3Vと決定する。
【0164】
次に、時間t=T17において、信号処理回路160は、第1基準電圧Vref1の電圧を、決定した必要電圧VTFT+VELと、電圧マージンVdropとの合計VTFT+VEL+Vdrop(例えば、15.2V)とする。よって、時間t=T17以降、検出点M
Aと検出点M
Bとの電位差は、所定の電位であるVTFT+VELとなる。
【0165】
このように、表示装置100は、第N+1フレームにおいて、一時的に輝度が低下するが、非常に短い期間であり、ユーザにとってほとんど影響はない。
【0166】
(実施の形態3)
本実施の形態に係る表示装置は、実施の形態2に係る表示装置100とほぼ同じであるが、電位差検出回路170を備えず、検出点M
Aと検出点M
Bとの電位差を算出する画素間電位差算出回路を備え、算出された画素間電位差が可変電圧源に入力される点が異なる。また、信号処理回路は、可変電圧源に出力する電圧を必要電圧VTFT+VELとする点が異なる。これにより、本実施の形態に係る表示装置は、電圧降下量に応じてリアルタイムに可変電圧源の出力電圧Voutを調整できるので、実施の形態1と比較して、画素輝度の一時的な低下を防止できる。
【0167】
図14は、本発明の実施の形態3に係る表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【0168】
同図に示す本実施の形態に係る表示装置200は、
図10に示した実施の形態2に係る表示装置100と比較して、電位差検出回路170を備えず、検出点M
Aと検出点M
Bとの電位差を算出する画素間電位差算出回路171を備え、信号処理回路160に代わり信号処理回路260を備え、可変電圧源180に代わり可変電圧源280を備える点が異なる。
【0169】
信号処理回路260は、ピーク信号検出回路150から出力されたピーク信号から、可変電圧源280に出力する第2基準電圧Vref2の電圧を決定する。具体的には、信号処理回路260は、必要電圧換算テーブルを用いて、有機EL素子121に必要な電圧VELと駆動トランジスタ125に必要な電圧VTFTとの合計VTFT+VELを決定する。そして、決定したVTFT+VELを第2基準電圧Vref2の電圧とする。
【0170】
このように、本実施の形態に係る表示装置200の信号処理回路260が可変電圧源280に出力する第2基準電圧Vref2は、実施の形態2に係る表示装置100の信号処理回路160が可変電圧源180に出力する第1基準電圧Vref1と異なり、映像データのみに対応して決定される電圧である。つまり、第2基準電圧Vref2は、可変電圧源280の出力電圧Voutと上記画素間電位差との電位差ΔVに依存しない。
【0171】
画素間電位差算出回路171は、モニタ用の発光画素111M
Aに印加される高電位側の電位を、モニタ用配線190Aを介して測定し、また、モニタ用の発光画素111M
Bに印加される低電位側の電位を、モニタ用配線190Bを介して測定する。そして、測定された検出点M
Aの電位と検出点M
Bの電位との電位差である画素間電位差を算出する。
【0172】
可変電圧源280は、上記画素間電位差を画素間電位差算出回路171から入力する。そして、入力された画素間電位差と、信号処理回路260から出力された第2基準電圧Vref2とに応じて、出力電圧Voutを調整する。
【0173】
モニタ用配線190Aは、一端が検出点M
Aに接続され、他端が画素間電位差算出回路171に接続され、検出点M
Aの電位を画素間電位差算出回路171に伝達する。
【0174】
モニタ用配線190Bは、一端が検出点M
Bに接続され、他端が画素間電位差算出回路171に接続され、検出点M
Bの電位を画素間電位差算出回路171に伝達する。
【0175】
図15は、実施の形態3に係る可変電圧源280の具体的な構成の一例を示すブロック図である。なお、同図には可変電圧源に接続されている有機EL表示部110及び信号処理回路260も示されている。
【0176】
同図に示す可変電圧源280は、
図11に示した可変電圧源180の構成とほぼ同じであるが、比較回路181に代わり、画素間電位差算出回路171から出力された画素間電位差と第2基準電圧Vref2とを比較する比較回路281を備える点が異なる。
【0177】
ここで、可変電圧源280の出力電圧をVoutとし、可変電圧源280の出力端子184から検出点M
A及びM
Bでの電圧降下量をΔVとすると、検出点M
A及びM
Bでの画素間電位差はVout−ΔVとなる。つまり、本実施の形態において、比較回路281はVref2とVout−ΔVとを比較している。上述したように、Vref2=VTFT+VELなので、比較回路281はVTFT+VELとVout−ΔVとを比較していると言える。
【0178】
一方、実施の形態2において、比較回路181はVref1とVoutとを比較している。上述したように、Vref1=VTFT+VEL+ΔVなので、実施の形態2において、比較回路181はVTFT+VEL+ΔVとVoutとを比較していると言える。
【0179】
よって、比較回路281は、比較回路181と比較対象が異なるが、比較結果は同じである。つまり、実施の形態2と実施の形態3とで、可変電圧源280の出力端子184から検出点M
A及びM
Bまでの電圧降下量が等しい場合、比較回路181がPWM回路に出力する電圧と、比較回路281がPWM回路に出力する電圧とは同じである。その結果、可変電圧源180の出力電圧Voutと可変電圧源280の出力電圧Voutとは等しくなる。また、実施の形態3においても、電位差ΔVと出力電圧Voutとは増加関数の関係となっている。
【0180】
以上のように構成された表示装置200は、実施の形態2に係る表示装置100と比較して、出力端子184の出力電圧と検出点M
A及びM
Bの画素間電位差との電位差ΔVに応じて出力電圧Voutをリアルタイムに調整できる。なぜならば、実施の形態2に係る表示装置100においては、信号処理回路160から各フレーム期間の最初にだけ、当該フレームにおける第1基準電圧Vref1の変更がされていた。一方、本実施の形態に係る表示装置200においては、信号処理回路260を介さずに、可変電圧源280の比較回路181に直接ΔVに依存した電圧、つまりVout−ΔV、が入力されることにより、信号処理回路260の制御に依存せずにVoutを調整することができるからである。
【0181】
次に、このように構成された表示装置200において、実施の形態2と同様に、第Nフレーム以前と第N+1フレーム以降とで、入力される映像データが変わる場合の、表示装置200の動作について説明する。なお、入力される映像データは実施の形態2と同様に、第Nフレーム以前の、有機EL表示部110の中心部がR:G:B=255:255:255、中心部以外がR:G:B=50:50:50とし、第N+1フレーム以降の、有機EL表示部110の中心部がR:G:B=255:255:255、中心部以外がR:G:B=150:150:150とする。
【0182】
図16は、第Nフレーム〜第N+2フレームにおける表示装置200の動作を示すタイミングチャートである。
【0183】
時間t=T20において、ピーク信号検出回路150は第Nフレームの映像データのピーク値を検出する。信号処理回路260は、ピーク信号検出回路150で検出されたピーク値からVTFT+VELを求める。ここで、第Nフレームの映像データのピーク値はR:G:B=255:255:255であるので、信号処理回路160は、必要電圧換算テーブルを用いて第N+1フレームの必要電圧VTFT+VELを、例えば12.2Vと決定する。
【0184】
一方、出力検出部185は、画素間電位差算出回路171からの画素間電位差を、常に検出している。
【0185】
次に、時間t=T21において、信号処理回路260は、第2基準電圧Vref2の電圧を、決定した必要電圧VTFT+TEL(例えば、12.2V)とする。
【0186】
時間t=T21〜T22にかけて、有機EL表示部110には、第N+1フレームの映像データに対応する画像が順に表示されていく。このとき、可変電圧源280から有機EL表示部110に供給する電流量は、実施の形態1で説明したように徐々に増加する。よって、電流量の増加に伴い第1電源配線112における電圧降下及び第2電源配線113における電圧上昇が徐々に大きくなる。つまり、検出点M
A及びM
Bでの画素間電位差が徐々に小さくなる。言い換えると、電位差ΔVが徐々に増大する。
【0187】
ここで、誤差増幅器186は、VTFT+VELとVout−ΔVとの電位差に応じた電圧をリアルタイムに出力するので、電位差ΔVの増大に応じてVoutを上昇させるような電圧を出力する。
【0188】
よって、可変電圧源280は、電位差ΔVの増大に応じてVoutをリアルタイムに上昇する。
【0189】
これにより、明るく表示されている領域の発光画素111である、有機EL表示部110の中心部の発光画素111の電源電圧の不足は解消する。つまり、画素輝度の低下を解消する。
【0190】
以上のように、本実施の形態に係る表示装置200において、信号処理回路260と、可変電圧源280の誤差増幅器186、PWM回路182及びドライブ回路183は、出力検出部185で測定された画素間電位差算出回路171からの画素間電位差と、所定の電圧との電位差を検出し、検出した電位差に応じてスイッチング素子SWを調整する。これにより、本実施の形態に係る表示装置200は、実施の形態2に係る表示装置100と比較して、電圧降下量に応じてリアルタイムに可変電圧源280の出力電圧Voutを調整できるので、実施の形態1と比較して、画素輝度の一時的な低下を防止できる。
【0191】
なお、本実施の形態において、有機EL表示部110は本発明の表示部であり、画素間電位差算出回路171及び出力検出部185は本発明の電圧検出部であり、
図15において一点鎖線で囲まれている、信号処理回路260と、可変電圧源280の誤差増幅器186、PWM回路182及びドライブ回路183とは本発明の電圧調整部であり、
図15において2点鎖線で囲まれている、スイッチング素子SW、ダイオードD、インダクタL及びコンデンサCは本発明の電源供給部である。
【0192】
なお、実施の形態1〜3では、発光画素に印加された電圧と、可変電圧源から出力された電圧との電位差に基づいて、可変電圧源からの出力電圧を調整している。この場合には、可変電圧源から発光画素までの電流径路は、表示領域外の配線経路と発光画素が配置された表示領域内の配線経路とを含んでいる。つまり、上述した実施の形態1〜3では、発光画素に印加された電圧と可変電圧源から出力された電圧との電位差を検出することにより、表示領域内と表示領域外との双方における電圧降下量に応じて可変電圧源からの出力電圧を調整している。これに対し、発光画素に印加された電圧と、表示領域外の配線経路上における電圧との電位差を検出することにより、表示領域内のみにおける電圧降下量に応じて可変電圧源からの出力電圧を調整することが可能となる。これについて、以下、
図17A及び
図17Bを用いて説明する。
【0193】
図17Aは、本発明の表示装置が有する表示パネルの構成概略図である。また、
図17Bは、本発明の表示装置が有する表示パネルの外周付近の構成を模式的に示す斜視図である。
図17Aにおいて、複数の発光画素111がマトリクス状に配置された表示パネルの外周部には、書込走査駆動回路やデータ線駆動回路などのドライバーと、高電位側電源線と、低電位側電源線と、外部機器との電気接続をするインターフェイスであるフレキパッドとが配置されている。可変電圧源は、高電位側電源線とフレキパッド、及び、低電位側電源線とフレキパッド、を介して表示パネルに接続されている。
図17Bに示すように、表示領域外にも抵抗成分が存在し、当該抵抗成分は上記フレキパッド、高電位側電源線及び低電位側電源線によるものである。
【0194】
前述した実施の形態1〜3では、検出点M
Aの電位及び検出点M
Bの電位の画素間電位差と可変電圧源の高電位側の出力点Z
Aの電圧及び低電位側の出力点Z
Bの電源電位差とを検出し、当該画素間電位差と当該電源電位差との電位差ΔVにより、可変電圧源の出力電圧を調整するものである。
【0195】
これに対し、表示領域内のみの電圧降下量に応じた可変電圧源からの出力電圧調整を目的として、検出点M
A及びM
Bの画素間電位差と、表示パネル及び高電位側電源線の接続点Y
A及び低電位側電源線の接続点Y
Bの電位差である電流径路上電位差との電位差を検出することとしてもよい。これにより、表示領域内のみにおける電圧降下量に応じて、可変電圧源の出力電圧を調整することが可能となる。
【0196】
(実施の形態4)
本実施の形態では、複数の発光画素の高電位側の電位をモニタすることにより、モニタされた複数の高電位側の電位から特定された高電位側の電位と低電位側の電位との電位差を、所定の電位差へと調整する表示装置を説明する。
【0197】
以下、本発明の実施の形態4について、図を用いて具体的に説明する。
【0198】
図18は、本発明の実施の形態4に係る表示装置の概略構成を示すブロック図である。同図に示す表示装置300は、有機EL表示部310と、データ線駆動回路120と、書込走査駆動回路130と、制御回路140と、ピーク信号検出回路150と、信号処理回路160と、電位差検出回路170と、可変電圧源180と、モニタ用配線191A、191B、192A及び193Aと、電位比較回路370とを備える。
【0199】
本実施の形態に係る表示装置300は、実施の形態2に係る表示装置100と比較して、発光画素の高電位側の電位を検出するための複数のモニタ用配線及び電位比較回路370を備える点が異なる。以下、実施の形態2と同じ点は説明を省略し、異なる点のみ説明する。
【0200】
有機EL表示部310は、有機EL表示部110とほぼ同じであるが、有機EL表示部110と比較して、検出点M1
A、M2、M3の高電位側の電位を、それぞれ測定するためのモニタ用配線191A〜193Aと、検出点M1
Bの低電位側の電位を測定するためのモニタ用配線191Bとが配置されている。なお、検出点M1
A及びM1
Bは、例えば、同一のモニタ用の発光画素111M1における高電位側及び低電位側の電位測定点である。
【0201】
モニタ用の発光画素111M1〜111M3は、第1電源配線112及び第2電源配線113の配線方法、第1電源配線抵抗R1h及びR1vならびに第2電源配線抵抗R2h及びR2vの値に応じて、最適位置が決定される。
【0202】
モニタ用配線191A、191B、192A及び193Aは、それぞれ、対応する検出点M1
A、M1
B、M2、M3と、電位比較回路370とに接続され、対応する検出点の電位を、電位比較回路370に伝達する。
【0203】
電位比較回路370は、モニタ用配線191A、191B、192A及び193Aを介して、対応する上記検出点の電位を測定する。言い換えると、複数のモニタ用の発光画素111M1〜111M3に印加される高電位側の電位及びモニタ用の発光画素111M1に印加される低電位側の電位を測定する。さらに、測定した検出点M1
A、M2、M3の高電位側の電位のうち最小の電位を選択し、選択した電位を電位差検出回路170へ出力する。なお、測定した低電位側の電位が複数存在する場合には、これらのうち最大の電位を選択し、選択した電位を電位差検出回路170へ出力する。本実施の形態では、測定した低電位側の電位が1つであるため、当該電位をそのまま電位差検出回路170へ出力する。
【0204】
電位差検出回路170は、本実施の形態における本発明の電圧検出部であって、測定された検出点M1
A、M2、M3の高電位側の電位のうち最小の電位、及び、検出点M1
Bの低電位側の電位を電位比較回路370から入力する。そして、電位差検出回路170は、測定された検出点M1
A、M2、M3の高電位側の電位のうち最小の電位と検出点M1
Bの低電位側の電位との画素間電位差を算出する。さらに、電位差検出回路170は、可変電圧源180の出力電圧を測定し、当該出力電圧と算出された画素間電位差との電位差ΔVを測定する。そして、測定した電位差ΔVを信号処理回路160へ出力する。
【0205】
信号処理回路160は、上記電位差ΔVに基づいて可変電圧源180を調整する。その結果、可変電圧源180は、複数のモニタ用の発光画素111M1〜111M3のいずれにおいても輝度の低下が生じないような出力電圧Voutを、有機EL表示部310に供給する。
【0206】
以上のように、本実施の形態に係る表示装置300は、電位比較回路370により有機EL表示部310内における複数の発光画素111のそれぞれについて、印加される高電位側の電位が測定され、測定された複数の高電位側の電位のうち最小の電位が選択される。また、電位比較回路370により、有機EL表示部310内における複数の発光画素111のそれぞれについて、印加される低電位側の電位を測定し、測定された複数の低電位側の電位のうち最大の電位が選択される。そして、電位差検出回路170が、電位比較回路370で選択された高電位側の最小の電位と低電位側の最大の電位との画素間電位差と、可変電圧源180の出力電圧Voutとの電位差ΔVを検出する。そして、信号処理回路160により、上記電位差ΔVに応じて可変電圧源180が調整される。
【0207】
これにより、可変電圧源180の出力電圧Voutをより適切に調整することが可能となる。よって、有機EL表示部を大型化した場合であっても、消費電力を効果的に削減できる。
【0208】
なお、本実施の形態に係る表示装置300において、可変電圧源180は本発明の電源供給部であり、有機EL表示部310は本発明の表示部であり、電位比較回路370の一部は本発明の電圧検出部であり、電位比較回路370の他部、電位差検出回路170及び信号処理回路160は本発明の電圧調整部である。
【0209】
また、表示装置300では、電位比較回路370と電位差検出回路170とを別に設けていたが、電位比較回路370と電位差検出回路170の代わりに、可変電圧源180の出力電圧Voutと検出点M1
A、M2、M3のそれぞれの電位とを比較する電位比較回路を備えてもよい。
【0210】
次に、本実施の形態に係る表示装置300により奏される効果について説明する。
【0211】
図19は、本発明の実施の形態4に係る表示装置の電位分布及び検出点配置を表す図である。
図19の左図では、高電位側の電源出力として15Vを、また低電位側には接地電位である0Vが印加された場合の電位分布が示されている。高電位側の電位分布は、第1電源配線抵抗R1hと第1電源配線抵抗R1vとの比が1:10と仮定しているため、表示パネルの垂直方向に激しい電位変化となっている。一方、低電位側の電位分布は、第2電源配線抵抗R2hと第2電源配線抵抗R2vとの比が10:1と仮定しているが、表示パネル全体にわたり、小さい電位変化となっている。つまり、低電位側の電位分布は面内でほぼ均一になる傾向となっている。また、発光画素を飽和動作させるために必要な電圧は10Vであると仮定する。
【0212】
このような表示傾向において、例えば、表示パネルの中央に配置された発光画素A0のみの高電位側と低電位側の電位差を検出することにより、可変電圧源の出力電圧を調整する場合を考える。
【0213】
図19の左図において、高電位側と低電位側の電位差が最小となる場所は、表示パネルの上下の端に近い位置となっており、これらの位置において当該電位差は略10.5V(12V−1.5V)となっている。よって、本来削減可能な電圧は0.5V(10.5V−必要電圧10V)である。
【0214】
ところが、検出点が表示パネルの中心点に位置する発光画素A0のみの場合、測定される画素間電位差は、12.5V(14V−1.5V)と検出され、その結果、削減できる電圧が2.5V(12.5V−必要電圧10V)もあると誤検出をしてしまう。
【0215】
上記誤検出を防ぐためには、高電位側の電位を検出する発光画素を、
図19の右図に表された発光画素A0〜A2の3箇所とし、低電位側の電位を検出する発光画素を、発光画素A0の1箇所とし、これらの合計4箇所に検出点を配置していれば、最小の画素間電位差が解るので誤検出を防ぐことができる。
【0216】
また、上述した誤検出のない正確な削減電圧の検出を、従来手法により実施する場合、高電位側の電位と低電位側の電位とを、必ず同じ発光画素で検出するため、発光画素A0〜A2のそれぞれについて高電位側の電位と低電位側の電位とを測定する必要があり、合計6点での測定が必要となる。
【0217】
これに対し、本発明の実施の形態4に係る表示装置300では、高電位側の電位を検出する複数の発光画素のうち一の発光画素と低電位側の電位を検出する発光画素とは別の発光画素であるので、理想的には、4箇所の検出点を設けるだけでよいというメリットを有する。
【0218】
よって、高電位側及び低電位側で別々の発光画素の電位をモニタすることにより, 誤検出による必要以上の電源電圧の低減を回避でき、少ない検出点で省電力制御の精度を高めることができる。
【0219】
なお、同図には、高電位側の電位測定点として3つの検出点が図示されているが、当該検出点は複数であればよく、電源配線の配線方法、配線抵抗の値に応じて、最適位置及び点数を決定すればよい。
【0220】
以上、本発明に係る表示装置について実施に形態に基づき説明したが、本発明に係る表示装置は、上述した実施の形態に限定されるものではない。実施の形態1〜3に対して、本発明の主旨を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例や、本発明に係る表示装置を内蔵した各種機器も本発明に含まれる。
【0221】
例えば、有機EL表示部内のモニタ用配線が配置されている発光画素の発光輝度の低下を補償してもよい。
【0222】
図20は、映像データの階調に対応する、通常の発光画素の発光輝度及びモニタ用配線を有する発光画素の発光輝度を示すグラフである。なお、通常の発光画素とは、有機EL表示部の発光画素のうちモニタ用配線が配置されている発光画素以外の発光画素のことである。
【0223】
同図から明らかなように、映像データの階調が同じ場合、モニタ用配線を有する発光画素の輝度は、通常の発光画素の輝度よりも低下する。これは、モニタ用配線を設けたことにより、発光画素の保持容量126の容量値が減少してしまうからである。よって、有機EL表示部の全面を均一に同じ輝度で発光させるような映像データが入力されても、実際に有機EL表示部に表示される画像は、モニタ用配線を有する発光画素の輝度が他の発光画素の輝度より低くなるような画像となる。つまり、線欠陥が発生する。
図21は、線欠陥が発生している画像を模式的に示す図である。
【0224】
線欠陥を防止するために、表示装置は、データ線駆動回路120から有機EL表示部に供給する信号電圧を補正してもよい。具体的には、モニタ用配線を有する発光画素の位置は設計時に分かっているので、該当する場所の画素に与える信号電圧を、予め輝度が低下する分だけ高めに設定しておけばよい。これにより、モニタ用配線を設けたことによる線欠陥を防止できる。
【0225】
また、信号処理回路は、各色の階調に対応するVTFT+VELの必要電圧を示す必要電圧換算テーブルを有するとしたが、必要電圧換算テーブルに代わり駆動トランジスタ125の電流−電圧特性と有機EL素子121の電流−電圧特性とを有し、2つの電流−電圧特性を用いてVTFT+VELを決定してもよい。
【0226】
図22は、駆動トランジスタの電流−電圧特性と有機EL素子の電流−電圧特性とをあわせて示すグラフである。横軸は、駆動トランジスタのソース電位に対して下がる方向を正方向としている。
【0227】
同図には、2つの異なる階調に対応する駆動トランジスタの電流−電圧特性及び有機EL素子の電流−電圧特性が示され、低い階調に対応する駆動トランジスタの電流−電圧特性がVsig1、高い階調に対応する駆動トランジスタの電流−電圧特性がVsig2で示されている。
【0228】
駆動トランジスタのドレイン−ソース電圧の変動に起因する表示不良の影響を無くすためには、駆動トランジスタを飽和領域で動作させることが必要である。一方、有機EL素子の発光輝度は駆動電流によって決定される。したがって、映像データの階調に対応して有機EL素子を正確に発光させるためには、駆動トランジスタのソースと有機EL素子のカソードとの間の電圧から有機EL素子の駆動電流に対応する有機EL素子の駆動電圧(VEL)を差し引き、差し引いた残りの電圧が駆動トランジスタを飽和領域で動作させることが可能な電圧となっていればよい。また、消費電力を低減するためには、駆動トランジスタの駆動電圧(VTFT)が低いことが望ましい。
【0229】
よって、
図22において、駆動トランジスタの線形領域と飽和領域との境界を示す線上で駆動トランジスタの電流−電圧特性と有機EL素子の電流−電圧特性とが交差する点を通る特性により求められるVTFT+VELが、映像データの階調に対応して有機EL素子を正確に発光し、かつ、消費電力が最も低減できる。
【0230】
このように、
図22に示したグラフを用いて、各色の階調に対応するVTFT+VELの必要電圧を換算してもよい。
【0231】
これにより、消費電力を一層削減することができる。
【0232】
なお、実施の形態2〜4に係る表示装置は、ピーク信号検出回路を配置した構成となっているが、駆動トランジスタを飽和領域で動作させるという観点から考えれば、ピーク信号検出回路が無くとも、実施の形態1のように、ピーク階調での(VTFT+VEL)電圧を予めメモリに記憶させておき、常に当該(VTFT+VEL)電圧を基準電圧として参照するように設定しておけば、有機EL素子を正確に発光させることが出来る。
【0233】
また、実施の形態1において、電圧マージン設定部175は、電位差検出回路170で検出された電位差ΔVが加算された基準電圧Vref1Aを可変電圧源180に出力している。これに対し、実施の形態1に係る表示装置50を、実施の形態3に係る表示装置200のように、電位差検出回路がなく、検出点M1の電位が可変電圧源180に直接入力される構成としてもよい。本構成によっても、実施の形態1に係る表示装置50と同様の効果が奏される。
【0234】
また、実施の形態2において、信号処理回路は、フレームごとに第1基準電圧Vref1を変えずに、複数フレーム(例えば、3フレーム)ごとに第1基準電圧Vref1を変えてもよい。
【0235】
これにより、第1基準電圧Vref1の電位が変動するために可変電圧源180で生じる消費電力を低減できる。
【0236】
また、信号処理回路は複数フレームにわたって電位差検出回路又は電位比較回路から出力された電位差を測定し、測定した電位差を平均化し、平均化した電位差に応じて可変電圧源を調整してもよい。具体的には、
図12に示すフローチャートにおいて検出点の電位の検出処理(ステップS14)及び電位差の検出処理(ステップS15)を複数フレームにわたって実行し、電圧マージンの決定処理(ステップS16)において、電位差の検出処理(ステップS15)で検出された複数フレームの電位差を平均化し、平均化した電位差に対応して電圧マージンを決定してもよい。
【0237】
また、信号処理回路は、有機EL素子121の経年劣化マージンを考慮して、第1基準電圧Vref1及び第2基準電圧Vref2を決定してもよい。例えば、有機EL素子121の経年劣化マージンをVadとすると、信号処理回路160は第1基準電圧Vref1の電圧をVTFT+VEL+Vdrop+Vadとしてもよく、信号処理回路260は第2基準電圧Vref2の電圧をVTFT+VEL+Vadとしてもよい。
【0238】
また、上記実施の形態においては、スイッチトランジスタ124及び駆動トランジスタ125をP型トランジスタとして記載したが、これらをN型トランジスタで構成してもよい。
【0239】
また、スイッチトランジスタ124及び駆動トランジスタ125は、TFTであるとしたが、その他の電界効果トランジスタであってもよい。
【0240】
また、上記実施の形態に係る表示装置50、100、200及び300に含まれる処理部は、典型的には集積回路であるLSIとして実現される。なお、表示装置50、100、200及び300に含まれる処理部の一部を、有機EL表示部110及び310と同一の基板上に集積することも可能である。また、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0241】
また、本発明の実施の形態に係る表示装置50、100、200及び300に含まれるデータ線駆動回路、書込走査駆動回路、制御回路、ピーク信号検出回路、信号処理回路及び電位差検出回路の機能の一部を、CPU等のプロセッサがプログラムを実行することにより実現してもよい。また、本発明は、表示装置50、100、200及び300が備える各処理部により実現される特徴的なステップを含む表示装置の駆動方法として実現してもよい。
【0242】
また、上記説明では、表示装置50、100、200及び300がアクティブマトリクス型の有機EL表示装置である場合を例に述べたが、本発明を、アクティブマトリクス型以外の有機EL表示装置に適用してもよいし、電流駆動型の発光素子を用いた有機EL表示装置以外の表示装置、例えば液晶表示装置に適用してもよい。
【0243】
また、例えば、本発明に係る表示装置は、
図23に記載されたような薄型フラットTVに内蔵される。本発明に係る画像表示装置が内蔵されることにより、映像信号を反映した高精度な画像表示が可能な薄型フラットTVが実現される。