(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5807054
(24)【登録日】2015年9月11日
(45)【発行日】2015年11月10日
(54)【発明の名称】バッファー付ノルディックウォーキングポール
(51)【国際特許分類】
A63C 11/22 20060101AFI20151021BHJP
A45B 9/04 20060101ALI20151021BHJP
A63B 29/08 20060101ALI20151021BHJP
【FI】
A63C11/22 D
A63C11/22 A
A45B9/04
A63B29/08
【請求項の数】12
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2013-504199(P2013-504199)
(86)(22)【出願日】2011年4月6日
(65)【公表番号】特表2013-526909(P2013-526909A)
(43)【公表日】2013年6月27日
(86)【国際出願番号】EP2011055296
(87)【国際公開番号】WO2011128231
(87)【国際公開日】20111020
【審査請求日】2014年2月13日
(31)【優先権主張番号】00533/10
(32)【優先日】2010年4月14日
(33)【優先権主張国】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】507189965
【氏名又は名称】レキスポルト アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100086759
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 喜平
(74)【代理人】
【識別番号】100109128
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 功
(74)【代理人】
【識別番号】100112977
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 有子
(74)【代理人】
【識別番号】100100608
【弁理士】
【氏名又は名称】森島 なるみ
(74)【代理人】
【識別番号】100142099
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 真一
(74)【代理人】
【識別番号】100152803
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100154184
【弁理士】
【氏名又は名称】生富 成一
(74)【代理人】
【識別番号】100123548
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 晃二
(72)【発明者】
【氏名】エーバーハルト ハイム
【審査官】
高木 亨
(56)【参考文献】
【文献】
特表2010−504117(JP,A)
【文献】
実開平02−076909(JP,U)
【文献】
国際公開第2006/019303(WO,A1)
【文献】
独国特許出願公開第102008019181(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63C 11/22
A45B 9/02−04
A45B 7/00
A63B 29/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特にノルディックウォーキング用のポールであって、ポール本体(1)と、その下方端に端部(19)付のバッファー(2)を備え、内側スリーブ(3)がポール本体(1)に固定され、端部(19)および/または内側スリーブ(3)の最下方部(28、36)は、バッファー(2)の中央開口部(18)を通過するように配置され、バッファー(2)はこの中央開口部(18)において、ポール本体(2)に向かって軸方向に移動し固定されるように取り付けられ、バッファー(2)は、ポール本体(1)あるいは内側スリーブ(3)に対し、少なくとも2つの軸方向に異なった位置に形状嵌めによって固定でき、バッファー(2)は、内側スリーブ(3)の周りに係合し、軸方向に移動可能に取り付けられた外側スリーブ(25)を有し、外側スリーブの外側にはラッチレバー(4)が連結され、ラッチレバー(4)は、回転面(13)に向いたその下端(6)において、外側スリーブ(25)上に連結され、バッファー(2)の固定位置の上端(7)において、ポール本体(1)および/または内側スリーブ(3)の周りに、少なくとも部分的に形状嵌めで係合し、旋回することによって、外側スリーブ(25)から開放され、
外側スリーブ(25)が、その下方端にバッファーアタッチメント(16)を有し、バッファーアタッチメントは、ポール軸を横切って走行する固定ピン(17)により、外側スリーブ(25)に着脱可能に固定され、固定ピンは、同時に、内側スリーブ(3)上の外側スリーブ(25)の転位のための、回転防止装置として機能し、
固定ピン(17)は、内側スリーブ(3)のガイド凹み(27)に係合するガイドピンからなり、内側スリーブ(3)を、ポール軸(8)に対して、外側スリーブ(25)の捩れ方向ではなく軸方向にのみ移動可能にすることを特徴とする、ポール。
【請求項2】
バッファー(2)の固定位置にあるラッチレバー(4)が、内側スリーブ(3)の周りに少なくとも部分的に、好ましくはその周辺の半分以上、係合していることを特徴とする、請求項1に記載のポール。
【請求項3】
少なくとも部分的に周方向の延長部(11)および/または少なくとも部分的に周方向の凹部が、内側スリーブ(3)のレバーの係合領域に設けられ、その上あるいはその中において、ラッチレバー(4)の上端(7)が作動するかもしくは確動的に係合することを特徴とする、請求項2に記載のポール。
【請求項4】
ラッチレバー(4)の上端(7)の内側に、接触領域(22)の形状をした突出部が、内側スリーブ(3)の周辺上に設けられ、回転軸(5)の方向に対して直接続いて、アンダーカット(23)が、少なくとも一つの固定した位置の延長部(11)の周辺上に、接触のために設けられることを特徴とする、請求項3に記載のポール。
【請求項5】
ラッチレバー(4)の回転軸(5)が、ポール軸(8)と実質的に直交するように配置され、好ましくは、外方向に突出したベアリング延長部(9)が、この回転軸を軸方向の孔(10)に取り付けるために外側スリーブ(25)上に設けられることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のポール。
【請求項6】
内側スリーブ(6)および外側スリーブ(25)、ならびに好ましくはラッチレバー(4)が、実質的に非可撓性の硬質プラスチックから成り、バッファーアタッチメント(16)が、弾性材料もしくは回転面(13)を形成する弾性領域(15)を有する固定領域(26)から形成されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のポール。
【請求項7】
内側スリーブ(3)の上部領域(37)が、ポール本体(1)を受け止め、固定するための軸方向の凹み(24)を有し、端部(19)が内側スリーブ(3)の下方領域(36)に固定され、端部(19)は好ましくは金属から成り、特に、硬化および/またはコーティングされた金属あるいはセラミック、あるいはそれら材料の組み合わせから成り、特に好ましくは、端部(19)は、内側スリーブ(3)の下方領域(36)の軸方向の凹みに固定されていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のポール。
【請求項8】
端部(19)が固定要素(28)によって内側スリーブ(3)の下方領域(36)に固定され、固定要素は、下方領域(36)の凹みに固定される上部固定スタブ(26)と、下方向に隣接してフランジ(30)を有し、フランジは好ましくは前方および後方に向けて走行方向にのみ延長し、下方向には下方固定スタブ(35)が続き、そこにおいて、好ましくは金属、特に硬化および/またはコーティングされた金属あるいはセラミック、あるいはそれら材料の組み合わせから成る端部(19)が凹み(31)に入り、好ましくは上部固定スタブ(26)が非円形の断面を有することを特徴とする、請求項7に記載のポール。
【請求項9】
外側スリーブ(25)が内側スリーブ(3)に対して2つの位置に固定され、外側スリーブ(25)の上部で、端部(19)が、回転面(13)に向かって下方向に、好ましくは2−10ミリ突出し、外側スリーブ(25)の下方位置では、端部(19)が回転面(13)に向かって突出せず、この第二の位置において、好ましくは回転面(13)から2−10ミリ上方に配置され、且つバッファーの中に埋め込まれ、これらの2つの位置がそれぞれラッチレバー(4)によって確動的に固定されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のポール。
【請求項10】
端部(19)を有する、ポールのためのバッファーであって、内側スリーブ(3)がポール本体(1)に固定されるように形成され、端部(19)および/または内側スリーブ(3)の最下方部(28、36)が、バッファー(2)の中央開口部(18)を通るように配置され、バッファー(2)が、ポール本体(1)に対し軸方向に移動し固定されるようにこの中央開口部(18)に取り付けられ、バッファー(2)が、ポール本体(1)あるいは内側スリーブ(3)に対し、少なくとも2つの軸方向に異なる位置に形状嵌めで固定することができ、バッファー(2)が、内側スリーブ(3)の周りに係合し、内側スリーブ(3)上に軸方向に移動可能に取り付けられ、外側スリーブの外側には、ラッチレバー(4)が連結され、ラッチレバー(4)は、回転面(13)を向くその下方端(6)において、外側スリーブ(25)に連結し、バッファー(2)の固定位置におけるその上方端(7)において、ポール本体(1)および/または内側スリーブ(3)の周りに、少なくとも部分的に形状嵌めで係合し、旋回することによって、外側スリーブ(25)から開放され、
外側スリーブ(25)が、その下方端にバッファーアタッチメント(16)を有し、バッファーアタッチメントは、ポール軸を横切って走行する固定ピン(17)により、外側スリーブ(25)に着脱可能に固定され、固定ピンは、同時に、内側スリーブ(3)上の外側スリーブ(25)の転位のための、回転防止装置として機能し、
固定ピン(17)は、内側スリーブ(3)のガイド凹み(27)に係合するガイドピンからなり、内側スリーブ(3)を、ポール軸(8)に対して、外側スリーブ(25)の捩れ方向ではなく軸方向にのみ移動可能にすることを特徴とする、ポール用バッファー。
【請求項11】
アタッチメント(16)なしの外側スリーブ(25)を内側スリーブ(3)に押し込み、アタッチメント(16)を所定の位置につかせ、固定ピン(17)によって外側スリーブ(25)上に固定し、固定ピン(17)が内側スリーブ(3)のガイド凹み(27)に係合し、それによって、内側スリーブ(3)と外側スリーブ(25)がガイド凹み(27)によって前もって規定された軸方向の領域にのみ転位されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載のポールの取り付け方法。
【請求項12】
内側スリーブ(13)をポール本体(1)に、好ましくはポール本体(1)を内側スリーブ(3)の上部領域(37)の凹み(24)に固定することによって固定し、端部(19)が、好ましくは固定要素(28)によって内側スリーブ(3)上に固定され、あるいはその後、内側スリーブ(3)上に固定することを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スポーツ用品としてのポールに関する。特に、本発明は、請求項1のプレアンブルによる、ノルディックウォーキングポールとしてのポールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から複数のノルディックウォーキングポールが知られている。それは特に、スポーツとしてのノルディックウォーキングが、人口の多大な範囲において非常に人気があるためである。
【0003】
WO2005/120281は、ループ付のハンドル、ポール本体、ポール端部、およびポール端部の範囲内にあるゴム製のバッファーから成るノルディックウォーキングポールを開示している。ポール端部は、ポールの軸方向に向かって、軸方向に転位するようになっている。これにより、端部は、ゴム製のバッファーの回転面から延長するか、あるいは、ゴム製のバッファーのいかなる部分も回転面に延長しないように、完全に後退するようになる。この目的のため、バッファーは、典型的に、ポール軸の周りを特定の角度で回転し、軸方向に転位し、同じ角度で再び元に戻る。これにより、ユーザは、地面の状態によって、ポールをゴム製バッファーと共に使用すべきか、それとも延長した端部と共に使用すべきかの選択ができる。森の中の道あるいは、粗い石や砂利があって地面がやわらかい野原においては、例えば、ユーザは延長した端部を選択する。硬く、通常は非常に平坦なアスファルトの道においては、ユーザは好ましくはゴム製バッファーを選択する。
【0004】
CH384148は、ポール端部用の保護装置を開示している。この保護装置は、ポールの軸に沿って、軸方向に転位し、調整ネジあるいはクイックリリース装置によって、固定できる。この場合、保護スリーブは異なった位置をとることができる。すなわち、例えば、ポール端部を開放する位置あるいはポール端部を保護する位置である。保護端部は、調整ネジあるいはクイックリリース装置を通じてポール本体の周辺に放射状にかけられる力によって、非確動的にしっかりと締め付けられる。
【0005】
従来技術のポールの欠点は、端部からゴム製バッファー、ゴム製バッファーから端部への使用の切り替えが、複雑かつ面倒であることである。
【0006】
従来のポールの別の欠点は、軸方向に大きな力が働くとき、バッファーの多数が軸方向、すなわちポールの軸方向に転位する可能性があるという事実から起こる。
【0007】
さらに、調整可能なポール端部は、汚れやすい。特に、湿った道路では、泥がポール端部とポール本体の間につまる。ポール端部とポール本体の間には、わずかなあそびしか設けてはならないため、泥が貫通することにより、ポール端部の動きが妨げられるか、さらにはいかなる動きも不可能になる。
【0008】
WO2008/037098には、特にノルディックウォーキングポールであるポールであって、下端部に端部本体とバッファーが備えられたポール本体が開示されている。バッファーは、ポール本体に対して軸方向に固定できるように、転位可能に備えられている。バッファーは、ポール本体に対して、確動接続によって、少なくとも2つの軸方向の異なる位置に固定される。端部本体および/またはポール本体の最下部は、バッファーの中央の開口部を通り、バッファーがこの中央の開口部において、軸方向に固定されるように配置されている。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、よって、ポール、特にノルディックウォーキングポールのための優れたバッファーを提供することにある。前記バッファーは、端部が延長した位置、および、ゆるんだ部分が全くなく、バッファーを取り外して、転換のために収容する必要がない、端部が後退した位置の間を単純に切り替えることができる。特に、これは、バッファーあるいは特にポール本体を有するポールの改良に関し、その下端部に端部を有するバッファーが備えられており、端部および/またはポール本体に固定された内部スリーブは、バッファーの中央開口部(滑面あるいは回転面)を通るように配置されており、バッファーは、この中央開口部において、ポール本体に対して軸方向に(ポール軸に対して)移動かつ固定できるように取り付けられ、および、バッファーは、ポール本体あるいは内部スリーブに対し、少なくとも2つの、軸方向の異なる位置で、形状嵌めによって固定される。このようなポールあるいはバッファーにおいては、本発明のバッファーは、内部スリーブの周りに係合され、軸方向に移動可能な外部スリーブによって特徴づけられる。外側スリーブの外側には、ラッチレバーが連結され、ラッチレバーは、回転面に向いたその下端において、外側スリーブ上に連結し、バッファーに固定した上端において、ポール本体および/または内側スリーブに、少なくとも部分的に形状嵌めによって係合し、旋回して外側スリーブから離れる。
【0010】
形状嵌めは、構造的に単純であるが、泥が入り込まないようなできる限り強固な固定を行う。ラッチレバーを外部に配置した結果、レバーは簡単に手で外から操作でき、泥がつくこともほとんどない。これは、このようなラッチレバーが外部スリーブの内側に設置されている構造とは対照的である。それにもかかわらず、折りたたんだ状態では、2つの位置の一つが確動的に固定されたとき、ラッチレバーは少なくとも部分的に外側スリーブの凹みに係合し、そして、例えば、少なくとも部分に、あるいは完全にこの輪郭と同じ高さになる。底部に位置されたラッチレバーの回転軸により、上部に位置して、わずかに泥に曝される領域は、形状嵌めのために使用される。形状嵌めは、さらに確実になって、ラッチレバーの上端部が少なくとも部分的に内側スリーブかポールチューブの周りに係合される。
【0011】
第一の好適な態様によると、バッファーの固定された位置(あるいは好ましくは両方の固定された位置)にあるラッチレバーは、少なくとも部分的に内側スリーブの周り、好ましくは内側スリーブの周囲の半分以上、に係合する。特に、後者の設計が好ましい。なぜなら、この手段により、わずかに可撓性(しかし、非エラストマー)の材料をラッチレバーに使用すると同時に、ある程度、ラッチレバーの内側スリーブの周りへの自動的スナッピングが構造的に非常に単純に達成できる。こうして、ラッチレバーは、ばねを搭載することなく、単に外側スリーブ上に軸方向に設置するだけで、全体的に固定できる。これによって、構造はさらに単純になるものの、二つの位置を最適に固定することができる。さらに好ましい態様によると、少なくとも部分的な周辺の延長部(少なくとも部分的にポール軸の周りを通る、標準的には軸方向の幅が1−10ミリ、好ましくは2−6ミリであるリブという意味で)および/または少なくとも部分的な周辺部の凹み(少なくとも部分的にポール軸の周りを通る溝という意味で)が、レバーの係合部分の内側スリーブの上に設けることができ、その上あるいは中でラッチレバーは作動するかあるいは確動的に係合する。
【0012】
このような態様は、さらに好ましくは、ラッチレバーの上端の内側に、接触領域の形状をした突出部(上記の内側スリーブ上のリブに対応するかあるいは適合するような構造を有する、内側を向いたフランジか、周辺方向の内側を向いたリブという意味で)が、内側スリーブの周辺に設けられ、および回転軸の方向に直接続いた(すなわち下を向いた)アンダーカット(好ましくは少なくとも周辺方向の溝という意味で)が、延長部の周辺と接触するために少なくとも一つの固定した位置に設けられる。
【0013】
さらに好ましい態様においては、ラッチレバーの回転軸が、好ましくはラッチレバーを横切り、ラッチレバーから横方向にずれたポール軸に実質的に垂直に設けられる。好ましくは、この回転軸を軸方向の孔に搭載するため、外側に突出したベアリングの延長部が外側スリーブの上に設けられる。
【0014】
さらに好ましい態様においては、外側スリーブがその下端部においてバッファーアタッチメントを含む。バッファーアタッチメントは、好ましくは、ポール軸を横切るように設けられた固定ピンの助けにより、着脱可能に外側スリーブに固定される。この固定ピンが同時に、内側スリーブ上の外側スリーブの転位のための、回転防止装置として作用すると非常にとりわけ好ましい。一方、これは、さらに後述するように、組み立てを容易にし、また一方では、2つの部品の交換性およびお互いの回転防止ロックを確実なものにする。
【0015】
非常に一般的に好ましくは、内側スリーブ、外側スリーブそして好ましくはラッチレバーも、金属かあるいはポリエチレン、ポリカーボネート、ポリアミド、ABS、PVCおよび、場合によっては、それらの繊維強化体などの、実質的に非可撓性で熱可塑性の硬いプラスチックから成る。マルチコンポーネントの成分もまた使用可能である(例えば、金属とプラスチックの混合物)。バッファーアタッチメントは、好ましくは弾性材料から成る。例えば、TPE、TPU(ウレタン系熱可塑性エラストマー)などの熱可塑性エラストマーや、加硫ゴムから成る。あるいは前記バッファーアタッチメントは、実質的に非可撓性の硬いプラスチックから成る固定領域と、回転面を形成するエラストマー領域を有する、2コンポーネントのコンポーネントとして形成できる。WO2006/128312に記載されるように、スパイクもまた、バッファーアタッチメントの回転面に組み入れることができる。
【0016】
さらに好ましい態様において、上部領域において、内側スリーブは、ポール本体を受け止め、固定するための軸方向の凹みを有し、端部は内側スリーブの下方領域(下端部)に固定される。非常に一般的に、端部は別の金属から成る。特に、硬化および/またはコーティングされた金属あるいはセラミック、あるいはそれらの材料の混合物から成る。さらに好ましくは、端部は内側スリーブの下方部の軸方向の凹みに固定される。
【0017】
端部は、内側スリーブの下方領域に直接固定できる。あるいは、別の固定手段(例えば、金属やプラスチック製の固定手段)を用いて固定できる。その固定手段は、内側スリーブの下方領域の凹みに固定する上方固定スタブ、および下方に向かって隣接するフランジを有している。そのフランジは、前後の走行方向にのみ向かって延長し、好ましくは、端部を入れ、凹みに固定する下方固定スタブが下方向に続く。固定要素の、内側スリーブに対する回転位置を前もって規定するために、上方固定スタブは、好ましくは、非円形の断面を有し、よって、固定スタブが入る内側スリーブの凹みも、対応して非円形の断面を有する。
【0018】
既に上述したように、内側スリーブに対する外側スリーブの軸方向の転位の間、これらの2つの要素が同時に捩れるのを防止するのが好ましい。よって、本発明のさらに好ましい態様によれば、外側スリーブに対する内側スリーブの軸方向の転位に際して、ポールの軸の周りでこれら2つの要素が互いに捩れ合うのを防止する手段が設けられる。この手段は、好ましくは、ポール軸を横切って走行するガイドピンを含む。そのガイドピンは、捩れ合いではなく軸方向の転位だけを可能にする、内側スリーブのガイド凹み(あるいはガイドのくぼみ)に係合する。
【0019】
外側スリーブは、好ましくは、内側スリーブに対して2つの位置に固定される。しかし、例えば3つなどの、複数の異なる位置に固定してもよい。もし2つあるいは2つのみのこのような位置が設けられた場合、内側スリーブに対して外側スリーブの上部の位置に、端部が配置され、回転面に突出するようにするのが好ましい。好ましくは、2−10ミリの範囲で突出し、外側スリーブの下方位置において、端部は回転面に突出しない。これは、好ましくは、回転面から2−10ミリ上方(あるいは後方)のこの第二の位置に配置され、バッファーに埋め込まれる。そして、これら2つの位置は、それぞれラッチレバーによって確動的(positively)に固定される。
【0020】
本発明は、さらに、このようなポールのためのバッファーに関する。更に、本発明は、上述したポールの取り付け方法に関する。好ましくは、この方法は、バッファー要素付のアタッチメントがない外側スリーブを内側スリーブに押し込み、アタッチメントが位置につき、固定ピンで外側スリーブ上に固定され、固定ピンが内側スリーブのガイド凹みに係合し、それによって、内側スリーブと外側スリーブは、ガイド凹みによって前もって規定された軸方向の領域に、トルク耐性で転位可能となる。
【0021】
本発明の第一の好ましい態様によると、この方法は、内側スリーブがポール本体上に固定されることに特徴がある。好ましくは、ボール本体を内側スリーブの上方領域の凹みに固定することによって固定する。ここで、端部は好ましくは、固定要素によって固定でき、その後内側スリーブ上に固定できる。さらなる態様は、従属クレームに記載してある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して以下に記載するが、これらの図面は、本発明の好ましい実施形態を説明するためのものに過ぎず、これを限定することを目的としない。
【
図1】
図1は、本発明の第一の例示的態様による、端部が隠されている位置にある、バッファーのさまざまな図である。図において、
図a)は後ろから見た走行方向における図、図b)は側面図、図c)は前から見た走行方向における図、図d)は上から見た図、
図e)は回転面の下から見た図、図f)は図c)のA−A断面図、図g)は図b)のB−B断面図、そして図h)は斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の第一の例示的態様による、固定メカニズムが開放され、外側スリーブが上方に、距離の半分だけすでに転位されている位置にある、バッファーのさまざまな図である。図において、
図a)は後ろから見た走行方向における図、図b)は側面図、図c)は前から見た走行方向における図、図d)は上から見た図、
図e)は回転面の下から見た図、図f)は図c)のC−C断面図、図g)は図b)のD−D断面図、そして図h)は斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の第一の例示的態様による、端部が回転面の下方に向かって突出した、固定された位置にある、バッファーのさまざまな図である。図において、
図a)は、側面図、図b)は
図2f)あるいは
図1f)による断面と類似した断面、図c)は、
図2g)あるいは
図1g)による断面と類似した断面である。
【
図4】
図4は、本発明の第二の例示的態様におけるバッファーを示す図である。図において、
図a)は端部が後退した
図1f)における断面と類似の断面、図b)は端部が延長した
図2g)における断面と類似の断面、
図3b)は、端部が延長した
図3b)と類似の断面である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1−3は、本発明のポールあるいはバッファーの第一の例示的態様を示す。同じ参照番号は同じ部品を示す。
【0024】
図1は、端部が後退した位置にある、本発明の第一の例示的態様によるこのバッファーのさまざまな図を示す。
図2は、固定メカニズムが開放され、外側スリーブが、固定された端部に対して、半分の距離だけすでに転位した状態のさまざまな図を示す。
図3は、端部が回転面に突出した、固定した位置のさまざまな図を示す。
図1から特にわかるように、バッファーは、中央凹み部24を有する内側スリーブ2から成る。中央凹み部には、円錐状に先細となる筒体の下方端が押し込まれる、および/または、貼り付けられる。この内側スリーブ3の上方領域は、ある程度、ポール本体を囲むカフを形成する。内側スリーブ3は、このカフを形成する上方領域37を有し、ポールの筒体を受け止め、バッファーの2つの位置において、確動的接続を確実にする。さらに、内側スリーブ3の下方領域36は、下方向に続き、上方領域37と一体化する。実際の端部19は、耐摩耗性のある素材、例えば、金属、硬金属、セラミックスあるいはこれら材料の組み合わせから成り、この下方領域36の下方端に固定される。これは直接ではなく、典型的には金属か硬金属からなる固定要素28を介して固定される。
【0025】
内側スリーブ3の下方領域36は、軸方向の凹み部を有し、この凹み部に、固定要素28の上方固定スタブ29が入るか固定される。特に、
図1f)およびg)に参照して理解されるように、この固定スタブ29は、走行方向を横切る方向における幅(
図1g)よりも走行方向における幅(
図1f)のほうが大きい。内側スリーブの下方部36の凹みは、これに対応して、非円形になっている。好ましくは、この上部固定スタブ29は、もともとは、横方向に平たい、筒状の領域である。上部固定スタブ29の非円形の形状によって、固定要素28が確実に内側スリーブに、回転不能に固定される。
【0026】
上部固定スタブ29の下方には、その上に形成されたフランジ30が続き、これと一体に形成される。フランジは、その上面が、下方を向いた内側スリーブ3の端面にのっている。このフランジ30は、走行方向から見て、前方と後方にのみ形成され(
図1fと比較)、横方向には形成されない。なぜなら、横方向の空間の関係が、このようなフランジを形成するようになっていないためである。フランジ30は、固定要素28を内側スリーブに固定するためのはっきりとした衝撃点となる一方、端部が回転面に下方に突出する位置のための規定された下方の衝撃点ともなる(
図3bの断面図を特に比較)。
【0027】
固定要素28上のこのフランジ30の下方には、下方固定スタブ35が続く。下方固定スタブ35は、下方向を向いた凹み31を有している。この凹みには、上述した、硬質の金属から成る実際の別の端部19が押し込まれるか固着する。全体の下方固定スタブ35および端部19は、アタッチメント16あるいは弾性領域15および固定領域26に設けられたスルーオープニングに適合する断面形状を有する。その結果、内側スリーブに対する外側スリーブ25の異なった位置で、端部19がこのスルーオープニング18を通して転位する。
【0028】
外側スリーブ25は、軸方向に転位可能に取り付けられた内側スリーブ3の下方領域36に位置する。この外側スリーブ25の外側にラッチレバー4が連結される。このラッチレバーは、走行方向の後方に向かって形成された、外側スリーブ25の2つのベアリング延長部9を有する。この延長部は、整列した2つの孔10を有している。ラッチレバー4は、2つのベアリング延長部9の間に固定される。この目的のため、ラッチレバーの先細り領域6が、2つのベアリング延長部9の間に係合し、この領域はスルーオープニングを有し、回転軸5(典型的には金属ピン)が2つの軸方向の孔10とスルーオープニングの間に挿入される。その結果、ラッチレバー4は、外側スリーブ25の上に、この軸の周りに旋回可能に取り付けられる。
【0029】
その上端に、このラッチレバー4はクランプ領域7を有する。このクランプ領域と共に、ラッチレバーは、バッファーが固定された位置で、内側スリーブ3の上部37を自動ラッチングで取り囲む。このクランプ領域7の内側には、両方の位置における確動的接続を正確にするために、一方で、放射状かつ内側に延長する接触領域22が周辺部の内側にあり、周方向の溝と同様な、アンダーカット23が直接その下にある。
【0030】
外側スリーブの軸方向の転位性は、さらに、内側スリーブ3の下方領域36に設けられたガイド凹み部27によってより確実になる。ガイド凹み部は、軸方向に延長するように構成されている。外側スリーブ25に固定された、横切る方向に配置されるガイドピン17がこのガイド凹み部27に係合する。外側スリーブ25の下方位置に、特に
図1fからわかるように、このガイドピン17がガイド凹み部27の下方の停止点にのっている。他方の面で、レバー4の接触領域22は、内側スリーブの上方領域37における周辺方向のラッチング延長部11の上で、確動的に作動する。従って、
図1に示すように、外側スリーブ25の下方位置において、外側スリーブはこの位置で固定され、その結果、下方ストップ上のガイド凹み部27のガイドピン17の相対的な位置によって、そして他方の面において、ラッチング延長部11の下方面上の停止領域22の接触によって、一つの停止が行われる。
【0031】
外側スリーブ25の下方には、着脱可能なアタッチメント16が設けられている。このアタッチメントは、必要に応じて、別のより柔らかいバッファー領域がその上に位置されるように設計されている。例えば、バッファーの異なる硬さは、異なる色によって特徴づけられる。
【0032】
このアタッチメント16は、典型的には硬いプラスチックから成る固定領域26および固定領域26上に典型的には射出成形される弾性領域15から成る。この弾性領域の下辺部はプロファイル14と共に回転面13を形成する。回転面13は、ここでは、左右非対称に構成されており、特に、走行方向のさらに前方に向かって盛り上がっており、それによって、ノルディックウォーキングの走行方向に最適に適合する。端部19は、この回転面の後方三分の一を通過する。さらに、プロファイルは横方向の延長部21を有する。
【0033】
このようなアタッチメント16は、いまや、外側スリーブ上の突出部32に押し込まれることにより、外側スリーブ25に固定される。そして、上述したガイドピン17が横方向に挿入される。ガイドピン17は、同時に、アタッチメント16を固定するために使用され、これによって、アタッチメントは、2つの横方向に配列したウィングに、2つの整列したスルーホールを有する。そのウィングは、トランスバースピン17が通過する外側スリーブを取り囲む。
【0034】
ある程度、内側スリーブ3に対し外側スリーブ25の下側の位置から、
図1に示すように、このようなバッファーは、
図3に示すような端部が延長した位置に転位する。これにより、
図2に示すように、レバー4は外側に向かって横方向に旋回する。その結果、接触領域22はラッチ延長部11を開放する。そして、外側スリーブ25は、ガイド凹み部27のガイドピン17の可動性の中で、上方に連続して転位する。
図2は、内側スリーブ3に対する外側スリーブ25の軸方向の転位の途中の位置を示す。
【0035】
図3は、外側スリーブ25が、凹み部27あるいは固定ピン17で前もって規定された軸方向の可動性の停止部に押し込まれ、レバー4が再び内側スリーブの上に位置され、内側スリーブの周りにある程度セルフラッチングで固定された位置を示す。外側スリーブのこの上部の位置で、接触領域22は、ラッチ延長部11の上に位置し、ラッチ延長部11はアンダーカット23に確動的に係合する。この第二の位置において、ラッチレバー4の上部領域は完全に確動的固定をし、ガイド凹み27によって前もって規定された下方の停止部あるいはガイドピン17は、全く必要ではないが、あってもよい。
【0036】
わずかに変更され、単純になったバッファーの設計を
図4に示す。第一の例示的態様からの基本的な違いは、固定要素28の構成である。それ以外は、外観およびその他の部品は、第一の例示的態様と同じであり、よって、同じ参照符号は同じ要素を示す。この例示的態様では、固定要素28は、フランジ30のない単純なスタブとして構成されている。上部の固定スタブ29は、円形の断面を有し、よって、円形に左右対称であるので固定要素は製造が容易である。
【符号の説明】
【0037】
1 ポール本体
2 バッファー
3 内側スリーブ
4 ラッチレバー
5 4の回転軸
6 4の先細り領域
7 4のクランプ領域
8 ポール軸
9 25のベアリング延長部
10 9における軸方向の孔
11 25上のラッチング延長部
12 走行方向
13 回転面
14 13上のプロファイル
15 16の弾性領域
16 アタッチメント
17 25上の16のための固定ピン/ガイドピン
18 16のスルーオープニング
19 端部
21 15の横方向の延長部
22 7の接触領域
23 22の下のアンダーカット
24 1のための2における凹み
25 外側スリーブ
26 16の固定領域
27 17のガイド凹み
28 固定要素
29 28の上部固定スタブ
30 28のフランジ
31 20のための28における凹み
32 突出部
33 3のための25のガイド開口部
34 11の下の先細り
35 20のための28の下方固定スタブ
36 3の下方領域
37 3の上方領域