(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記液晶ディスプレイの画素に前記グレイスケールレベル0電圧が印加された場合に前記画素を透過する光の透過率がほぼ最小になるように、前記液晶ディスプレイは、前記グレイスケールレベル0電圧を使用して動作するように構成されることを特徴とする請求項1記載の電子デバイス。
前記液晶ディスプレイの前記2つの液晶配向層のうち第1の液晶配向層は平坦であり、前記液晶ディスプレイの前記2つの液晶配向層のうち第2の液晶配向層は平坦ではなく、前記液晶材料の液晶配向子の方位角は、前記2つの液晶配向層のうち前記第1の液晶配向層と関連する第1の液晶分子配向軸とは整列されるが、前記2つの液晶配向層のうち前記第2の液晶配向層と関連する第2の液晶分子配向軸とは整列されないことを特徴とする請求項1記載の電子デバイス。
前記第1の偏光軸と前記第2の偏光軸のうち少なくとも1つの偏光軸は、前記2つの液晶配向層のそれぞれの前記液晶分子配向軸のうち一方の軸と平行でも垂直でもないことを特徴とする請求項1記載の電子デバイス。
前記第1の液晶分子配向軸又は前記第2の液晶分子配向軸と平行でもなく、垂直でもない前記第1の偏光軸と前記第2の偏光軸のうち少なくとも一方の偏光軸は、前記画素に電界が印加されていないとき、前記第1の偏光軸と前記第2の偏向軸の双方が前記第1の液晶分子配向軸と前記第2の液晶分子配向軸と平行又は垂直であった場合に前記画素に電界が印加されていないときに前記画素を透過すると考えられる光の量より少ない量の光が前記画素を透過するように、前記第1の液晶分子配向軸又は前記第2の液晶分子配向軸と平行又は垂直な状態から設定された角度だけずらされることを特徴とする請求項6記載の電子ディスプレイ。
前記第1の液晶分子配向軸又は前記第2の液晶分子配向軸と平行でもなく垂直でもない前記第1の偏光軸と前記第2の偏光軸のうち少なくとも一方の偏光軸は、前記第1の液晶分子配向軸又は前記第2の液晶分子配向軸と平行又は垂直な状態から、5°より小さい角度だけずらされることを特徴とする請求項6記載の電子ディスプレイ。
前記下部液晶配向層は、前記液晶層の中まで突出する突起を備え、前記液晶ディスプレイがOモードで動作するように構成されている場合、前記第1の偏光軸は、前記第1の液晶分子配向軸又は前記第2の液晶分子配向軸と平行な状態から、前記突起とより平行になる方向に向かってずらされることを特徴とする請求項6記載の電子ディスプレイ。
前記下部液晶配向層は、前記液晶層の中まで突出する突起を備え、前記液晶ディスプレイがOモードで動作するように構成されている場合、前記第2の偏光軸は、前記第1の液晶分子配向軸又は前記第2の液晶分子配向軸と垂直な状態から、前記突起とより垂直になる方向に向かってずらされることを特徴とする請求項6記載の電子ディスプレイ。
前記下部液晶配向層は、前記液晶層の中まで突出する突起を備え、前記液晶ディスプレイがEモードで動作するように構成されている場合、前記第1の偏光軸は、前記第1の液晶分子配向軸又は前記第2の液晶分子配向軸と垂直な状態から、前記突起とより垂直になる方向に向かってずらされることを特徴とする請求項6記載の電子ディスプレイ。
前記下部液晶配向層は、前記液晶層の中まで突出する突起を備え、前記液晶ディスプレイがEモードで動作するように構成されている場合、前記第2の偏光軸は、前記第1の液晶分子配向軸又は前記第2の液晶分子配向軸と平行な状態から、前記突起とより平行になる方向に向かってずらされることを特徴とする請求項6記載の電子ディスプレイ。
前記複数の突起は、前記第1の液晶配向層及び前記第2の液晶配向層の少なくとも一方の下方の画素電極又は共通電極のフィンガによるものであることを特徴とする請求項14記載のディスプレイ。
前記第1の液晶配向層は平坦であり、前記画素は、前記第1の液晶分子配向軸と垂直であるか又は平行である軸を有する第1の偏光層を備えることを特徴とする請求項13記載のディスプレイ。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1つ以上の特定の実施形態を以下に説明する。それらの実施形態を簡略的に説明するため、明細書において実際の実現形態のすべての特徴が説明されるとは限らない。技術プロジェクト又は設計プロジェクトなどの何らかの実際の実現形態の開発の過程で、システム関連の制約条件や業務関連の制約条件に準拠することなどの実現形態ごとに異なる開発者の特定の目標を達成するために、各実現形態独自の数多くの決定が下されなければならないことを理解すべきである。更に、そのような開発の努力は複雑で長い時間を要するものであるが、本発明の開示から利益を得た当業者にとっては、ごく日常的な設計、製造、生産の実施となることを理解すべきである。
【0009】
本実施形態は、高コントラスト液晶ディスプレイ(LCD)パネルに関する。詳細には、そのような高コントラストLCDパネルの開発、生産及び/又は使用は、透過率を最小にする電圧にLCDパネルのグレイレベル0(G0)を設定することを含む。これに加えて又はその代わりに、上部偏光層又は底部偏光層の軸は、LCDパネルの一方又は双方の配向層の液晶分子配向軸と平行又は垂直ではなく、液晶分子配向軸からずらされる。「液晶分子配向軸」という用語は、「摩擦軸」又は「配向子軸」とも呼ばれ、本明細書において使用される場合、一般に、配向層が平坦な場合、電界が印加されていない状態で配向層が液晶分子を整列させる角度を表す。いくつかの実施形態において、液晶配向層の上部液晶分子配向軸と底部液晶分子配向軸とは、低いグレイレベル電圧で液晶配向子が光を更に有効に排除させるように互いに更にずらされる。それらの実施形態が単独で又は組み合わされて使用された場合、グレイレベル電圧が増加するにつれて、LCDパネルの画素を透過する光の透過率は単調に増加する(例えば、減少することなく増加する)ので、グレイ反転(例えば、低いグレイスケール電圧で高いグレイスケールレベル電圧より高い透過率が発生する場合)は低減され、更に、光軸上コントラストは向上する。
【0010】
以下に説明するように、上記の実施形態では、ある特定の最新のLCDパネルにおいて液晶配向層が平坦でないことによって起こる歪みを考慮に入れることにより、高いコントラスト比が可能になると考えられる。画素電極が1つ以上の配向層の下方のスペースに配置されるため、液晶材料を含むスペースの中に配向層が突出してしまうことによって、そのような平坦でない構造が形成される。一般に、ある特定のインプレーンスイッチング/フリンジフィールドスイッチング(IPS/FFS)LCDパネルにおいて、画素電極が液晶材料のスペースに入り込み、他のいくつかのLCDパネルでは、共通電極が液晶材料のスペースに入り込む。
【0011】
通常、LCDパネルの動作モードに応じて、画素の上方にある偏光層の軸がLCDパネルの液晶分子配向軸と垂直であり、画素の下方にある偏光層の軸が液晶分子配向軸と平行である場合、あるいは上方の偏光層の軸がLCDパネルの液晶分子配向軸と平行であり、下方の偏光層の軸が液晶分子配向軸と垂直である場合に、高いコントラストが実現される。しかし、ある種のLCDパネルでは、配向層は平坦ではないので、上下の偏光層の軸がLCDパネルの液晶分子配向軸と垂直又は平行であると、突起の場所の付近で液晶材料の歪みが形成されると考えられる。この歪みは、液晶分子配向軸の方向に沿って偏光される光又は液晶分子配向軸に対して垂直に偏光される光の遅延を誘起し、その結果、暗状態で光軸上光の著しく多くの漏れが発生する。何らかの修正が実行されない場合、これにより、LCDパネルのコントラスト比が低下するという影響が生じる。
【0012】
このような光の漏れによるアーチファクトを考慮に入れるために、いくつかの実施形態は、パネルの透過率をグレイレベル電圧に伴って単調に増加させるように、ある特定のガンマ修正を実行することを含む。例えば、実施形態は、最小透過率を発生する電圧を判定することと、グレイレベル0(G0)電圧をその最小透過率電圧と等しくなるように設定することとを含む。実施形態は、まず、デフォルトガンマ設定を選択することと、グレイ反転状態の有無を検出するためにある特定の低いグレイ電圧レベル(例えば、G0、G3、G7)を試験することとを更に含む。グレイ反転条件が検出された場合、新たなガンマ設定が選択され、グレイ反転を検出するために、低いグレイレベル電圧でLCDパネルが再度試験される。グレイ反転が検出されなくなるまで、このパターンは繰り返される。グレイ反転が検出されなくなったということは、グレイスケールレベル0電圧(G0)がLCDパネルの最小透過率に近いことを示す。グレイスケールレベル0電圧(G0)がLCDパネルの最小透過率に近い場合、一般にLCDパネルのコントラストは最大値に達する。
【0013】
LCDパネルのガンマ設定を選択する技術の代わりに又はそれに加えて、上部偏光層の軸又は底部偏光層の軸がLCDパネルの配向層の液晶分子配向軸からずらされるようにLCDパネルは構成される。偏光層の軸を液晶分子配向軸からずらすことにより、画素電極又は共通電極が液晶材料の中に突出していることによって起こるわずかな歪みは修正されると考えられる。同様に、いくつかの実施形態において、上部配向層の液晶分子配向軸は下部配向層の液晶分子配向軸と一致しない。上下の配向層のそれぞれの液晶分子配向軸をずらすことにより、LCDパネルの歪みは同様に修正されると考えられる。本明細書において説明されるように偏光層の軸及び/又は液晶分子配向軸をずらすことにより、透過率はグレイレベル電圧に対してほぼ単調な関数になると予測される。
【0014】
以上の説明に留意して、
図1は、上記のような高コントラストディスプレイ18を使用する電子デバイス10を示すブロック図である。電子デバイス10は、特に、プロセッサ12、メモリ14、不揮発性記憶装置16、ディスプレイ18、入力構造20、入出力(I/O)インタフェース22、ネットワークインタフェース24及び/又は電源26を含む。別の実施形態において、電子デバイス10は、これより多い数又は少ない数の構成要素を含む。
図1に示される種々の機能ブロックは、ハードウェア要素(回路網を含む)、ソフトウェア要素(コンピュータ可読媒体に記憶されたコンピュータコードを含む)又はハードウェア要素とソフトウェア要素との双方の組み合わせを含む。更に、
図1は、特定の実現形態の一例であるにすぎず、電子デバイス8に含まれることが可能な種類の構成要素を例示することを意図する。
【0015】
一般に、プロセッサ12は、電子デバイス10の動作を制御する。いくつかの実施形態において、プロセッサ12は、不揮発性記憶装置16からメモリ14にロードされた命令に基づき、ディスプレイ18を介して入力されたユーザタッチジェスチャに応答する。それらの命令に加えて、不揮発性記憶装置16は、種々のデータを更に記憶する。例えば、不揮発性記憶装置16は、ハードディスクドライブ及び/又はフラッシュメモリなどの固体記憶装置を含む。
【0016】
ディスプレイ18は、本明細書において説明されるような高コントラスト液晶ディスプレイ(LCD)である。詳細には、ディスプレイ18は、ディスプレイ18の配向層が平坦ではないにもかかわらず、低いグレイレベル電圧でグレイスケール反転を減少させないか又は減少させ且つ/又は本明細書において説明される技術に基づいて高い光軸上コントラストを示す。ディスプレイ18は入力構造20の1つを代表するものでもある。他の入力構造20には、例えばキー、ボタン及び/又はスイッチが含まれる。電子デバイス10のI/Oポート22を使用して、電子デバイス10は、他の電子デバイス10及び/又は外部キーボード又はマウスなどの種々の周辺デバイスとの間でデータを送受信することができる。ネットワークインタフェース24は、パーソナルエリアネットワーク(PAN)への接続(例えば、Bluetooth)、ローカルエリアネットワーク(LAN)への接続(例えば、Wi‐Fi)及び/又はワイドエリアネットワーク(WAN)への接続(例えば、セルラ3G又は4G)を可能にする。電子デバイス10の電源26は、再充電可能リチウムポリマー(Li‐poly)バッテリ及び/又は交流(AC)電源などの何らかの適切な電力源である。
【0017】
図2は、ハンドヘルドデバイス30、この場合は携帯電話の形の電子デバイス10を示す。尚、ハンドヘルドデバイス30は携帯電話であるとして説明するが、他の種類のハンドヘルドデバイス(音楽及び/又は映像を再生するメディアプレイヤー、ハンドヘルドゲーム機及び/又はそのようなデバイスの組み合わせなど)も電子デバイス10として適している。更に、ハンドヘルドデバイス30は、メディアプレイヤー、携帯電話、ゲーム機、パーソナルデータオーガナイザなどの1つ以上の種類のデバイスの機能性を含んでもよい。
【0018】
例えば、図示される実施形態において、ハンドヘルドデバイス30は、更に別の種々の機能性(写真撮影機能、音声及び/又は映像の記録機能、ゲーム再生など)を提供する携帯電話の形態である。
図1の一般的な電子デバイスに関して述べたように、ユーザは、ハンドヘルドデバイス30を使用して、インターネット、あるいはローカルエリアネットワーク又はワイドエリアネットワークなどの他のネットワークに接続し、そのネットワークを介して通信することができる。更に、ハンドヘルドデバイス30は、Bluetooth及び/又は近距離通信(NFC)などの短距離接続を使用して他のデバイスと通信できる。例えば、ハンドヘルドデバイス30は、Cupertino, CaliforniaのApple Inc.から発売されているiPod(登録商標)又はiPhone(登録商標)のモデルの1つである。
【0019】
ハンドヘルドデバイス30は、内部構成要素を物理的な損傷から保護すると共に、内部構成要素を電磁妨害から遮蔽するエンクロージャ又は本体32を含む。エンクロージャ32は、プラスチック、金属又は複合材料などの何らかの適切な材料から形成され、無線通信を助けるために、エンクロージャ32を介してハンドヘルドデバイス30内部の無線通信回路網へある特定の周波数の電磁放射を透過させることができる。エンクロージャ32は、ユーザがデバイスとインタフェースするためのユーザ入力構造20を更に含む。各ユーザ入力構造20は、起動された場合にデバイス機能の制御を助けるように構成される。例えば、携帯電話として実現されている場合、1つ以上の入力構造20は、「ホーム」画面又はメニューの呼び出し、スリープモードと起動モードとの切り換え、携帯電話アプリケーション使用時のサイレントモードの起動、音量出力の増減などの機能を実行するように構成される。
【0020】
ディスプレイ18は、ユーザがハンドヘルドデバイス30と対話するためのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)を表示する。GUIのアイコンは、ディスプレイ18に含まれるタッチスクリーンを介して選択されるか、あるいはホイール又はボタンなどの1つ以上の入力構造20により選択される。ハンドヘルドデバイス30は、ハンドヘルドデバイス30と外部デバイスとの接続を可能にする種々のI/Oポート22を更に含む。例えば、1つのI/Oポート22は、ハンドヘルドデバイス30とコンピュータなどの別の電子デバイスとの間のデータ又はコマンドの送受信を可能にするポートである。そのようなI/Oポート22は、Apple Inc.の専用ポートであるか、又はオープンスタンダードI/Oポートである。別のI/Oポート22は、ヘッドホン34をハンドヘルドデバイス30に接続させるヘッドホンジャックを含む。
【0021】
図2のハンドヘルドデバイス30の他に、電子デバイス10は、コンピュータ又は他の種類の電子デバイスの形態をとる。そのようなコンピュータは、一般に持ち運び可能なコンピュータ(ラップトップコンピュータ、ノートブックコンピュータ及び/又はタブレットコンピュータなど)及び/又は一般に1つの場所で使用されるコンピュータ(従来のデスクトップコンピュータ、ワークステーション及び/又はサーバなど)を含む。ある特定の実施形態において、電子デバイス10は、Apple Inc.より発売されているMacBook(登録商標)、MacBook(登録商標)Pro、MacBook Air(登録商標)、iMac(登録商標)、Mac(登録商標)Mini又はMacPro(登録商標)の1つのモデルである。別の実施形態において、電子デバイス10は、Apple Inc.より発売されているiPad(登録商標)などのタブレット計算デバイスである。例えば、
図3にはラップトップコンピュータ36が示されるが、これは、本発明の一実施形態に係る電子デバイス10の一実施形態を表す。ラップトップコンピュータ36は、特に、筐体38と、ディスプレイ18と、入力構造20と、I/Oポート22とを含む。
【0022】
一実施形態において、入力構造22(キーボード及び/又はタッチパッド)を使用して、ユーザは、GUI又はコンピュータ36で実行されるアプリケーションの開始、制御又は操作などのコンピュータ36との対話を実行できる。例えば、ユーザは、キーボード及び/又はタッチパッドを使用して、ディスプレイ18に表示されているユーザインタフェース又はアプリケーションインタフェースをナビゲートできる。図示されるように、コンピュータ36は、別のデバイスの追加接続を可能にするための種々のI/Oポート22を更に含む。例えば、コンピュータ36は、別の電子デバイス、プロジェクタ、補助ディスプレイなどへの接続に適するUSBポート又は他のポートのような1つ以上のI/Oポート22を含む。更に、コンピュータ36は、
図1に関して説明したネットワーク接続機能、メモリ機能、記憶機能を含む。
【0023】
先に簡単に説明したように、
図1〜
図3の実施形態に示されるディスプレイ18は、液晶ディスプレイ(LCD)である。
図4は、一実施形態に係るそのようなディスプレイ18を示す回路図である。図示されるように、ディスプレイ18は、画素アレイ又は画素行列として配設された単位画素42を含むLCDディスプレイパネル40を示す。そのようなアレイにおいて、各単位画素42は、図示されるゲート線44(「走査線」とも呼ばれる)と、ソース線46(「データ線」とも呼ばれる)とによりそれぞれ表される行と列の交差により規定される。図を簡潔にわかりやすくするため、6つの単位画素42a〜42fのみが示される。しかし、実際の実現形態では、各ソース線46と各ゲート線44は、数千の単位画素42を含む。
【0024】
本実施形態に示されるように、各単位画素42は、その単位画素の画素電極50に蓄積されているデータ信号をスイッチングするための薄膜トランジスタ(TFT)48を含む。図示される実施形態において、各TFT48のソース52は、ソース線46に電気的に接続され、各TFT48のゲート54は、ゲート線44に電気的に接続される。各TFT48のドレイン56は、対応する画素電極50に電気的に接続される。各TFT48は、そのTFT48のゲート54に走査信号が入力されたか否かに基づいて動作されるか又は動作を停止される(オン/オフされる)スイッチング素子として機能する。
【0025】
動作状態にされると、TFT48は、それに対応するソース線46を介して受信された画像信号を対応する画素電極50に電荷として蓄積する。画素電極50により蓄積されるこの画像信号は、その画素電極50と共通電極(
図5には図示せず)との間に電界を発生するために使用される。画素電極50と共通電極との間の電界は、単位画素42の上方の液晶層の極性を変化させる。電界は、液晶層内部の液晶分子を配向させることにより、光の透過率を変調する。電界の変化に伴って、光の量は増減する。一般に、光は、印加される電圧(例えば、対応するソース線46から印加される)に対応する強さで単位画素42を透過する。しかし、以下に説明するように、上部液晶配向層と底部液晶配向層とは非対称であるので、画素電極50の電圧と画素42の透過率との関係に悪影響を与える何らかの歪みが発生すると考えられる。
【0026】
ディスプレイ18は、ソースドライバ集積回路(IC)58を更に含む。ソースドライバIC58は、プロセッサ12から画像データ60を受信し、対応する画像信号をパネル40の画素42へ送出するプロセッサ又はASICのようなチップを含む。ソースドライバIC58は、ゲート線44を介して単位画素42の行を動作させるか又はその動作を停止するゲートドライバIC62にも結合する。ソースドライバIC58は、画素42の個別の行の起動/動作停止を助けるために、
図4には図中符号64により示されるタイミング情報をゲートドライバIC62へ送出する。他の実施形態において、タイミング情報は、他の何らかの方法によりゲートドライバIC62に供給される。
【0027】
動作中、ソースドライバIC58は、プロセッサ12又は別のディスプレイコントローラから画像データ60を受信し、受信したデータに基づき、画素42を制御するための信号を出力する。例えば、画像データ60を表示するために、ソースドライバIC58は、画素電極50の電圧を一度に1行ずつ調整する。画素42の個別の行にアクセスするために、ゲートドライバIC62は、その画素42の行と関連するTFT48へ起動信号(例えば、起動電圧)を送出し、それにより、アドレス指定された行のTFT48を導通状態にする。ソースドライバIC58は、ある特定のデータ信号を対応するソース線46を介してアドレス指定された行の単位画素42へ送信する。その後、ゲートドライバIC62は、動作停止信号(例えば、接地電圧のように、起動電圧より低い電圧)を印加することによりアドレス指定された行のTFT48の動作を停止させ、それにより、それらの行が次にアドレス指定されるまで、その行の画素42が状態を変化させるのを阻止する。以上説明した処理は、パネル40の画素42の行ごとに繰り返され、その結果画像データ60は、観察可能な画像としてディスプレイ18で再生される。
【0028】
ディスプレイ18の画素42は、複数の層を含み、それらの層の多くが
図5の展開図に概略的に示される。各画素42は、バックライト構体70又は光反射面からの光を偏光するための上部偏光層66と下部偏光層68とを含む。下部基板72は、偏光層68の上に配設され、一般に、ガラス、石英及び/又はプラスチックなどの光透過性材料から形成される。
【0029】
薄膜トランジスタ(TFT)層74は、下部基板72の上に配設されるものとして図示される。図を簡潔にわかりやすくするため、
図5には、TFT層74は、一般化された構造として示される。実際には、TFT層74自体が、一般に画素42の動作を駆動する電気素子や電気経路を形成する種々の導電層、導電構造、非導電層、非導電構造、半導体層、半導体構造を含む。例えば、画素42がIPS/FFS LCDパネルの一部である実施形態において、TFT層74は、画素42のデータ線と、走査線と、画素電極と、共通電極(並びに他の導電トレースと、導電構造)とを含む。そのような導電構造は、画素の光透過部分では、酸化インジウムスズ(ITO)などの透明導電性材料を使用して形成される。更に、TFT層74は、適切な透明材料(酸化ケイ素など)から形成された絶縁層(ゲート絶縁膜など)と、適切な半導体材料(アモルファスシリコンなど)から形成された半導体層とを含む。一般に、導電構造と、導電トレースと、絶縁構造と、半導体構造とは、画素42を動作させるために使用される対応する画素電極と、共通電極と、TFTと、データ線と、走査線とを形成するために、先に
図4を参照して説明したように適切に配設される。
【0030】
ポリイミド(PI)又は他の適切な材料から成る下部配向層76及び上部配向層82は、電界が印加されていない場合、一般に、液晶層78の分子をその液晶分子配向軸と整列させる。下部配向層76及び上部配向層82の液晶分子配向軸は、任意の適切な方法で形成される。例えば、液晶分子配向軸は、繊維布で下部配向層76及び/又は上部配向層82を擦ることにより及び/又は下部配向層76及び/又は上部配向層82で光配向を発生させるために偏光紫外線(UV)光を使用することにより及び/又は酸化ケイ素(SiOx)又はダイヤモンド状炭素などの傾斜蒸着無機物質から成る下部配向層76及び上部配向層82を使用することにより形成される。
【0031】
画素電極50と共通電極との間に電界が印加されると、液晶層78の液晶粒子は、液晶分子配向軸の方向以外の方向に配向される(向きを変えられる)。液晶層78の液晶粒子の向きが規定されることにより、液晶層78を透過する光は、上部偏光層66を通過するように偏光される。従って、液晶層78に印加される電界を変調することによって、画素42を透過する光の量を変化させることができる。
【0032】
下部配向層76と上部配向層82とは、完全に対称ではない。下部配向層76と上部配向層82とが非対称であることにより、液晶分子の何らかの歪みが発生し、その結果、低電圧でグレイスケール反転が起こると考えられる。この非対称性を考慮して、いくつかの実施形態において、グレイスケール反転を防止し、コントラストを向上するために、グレイスケールレベル電圧0(G0)は、最小デバイス電圧より高くなるように選択される。これに加えて又はその代わりに、いくつかの実施形態において、偏光層66、68の軸は、下部配向層76及び上部配向層82の液晶分子配向軸と厳密に平行又は垂直ではなく、グレイスケール反転を減少又は排除し、コントラストを向上するのに十分な量だけ液晶分子配向軸からずらされる。いくつかの実施形態において、下部配向層76及び上部配向層82の液晶分子配向軸は、グレイスケール反転を減少又は排除し、コントラストを向上するのに十分なある特定の量だけ互いにずらされる。
【0033】
光がバックライト構体70から液晶層78を介して透過された場合に画素42が原色に対応するように、上に重なるカラーフィルタ86は、赤色フィルタ、緑色フィルタ又は青色フィルタである。カラーフィルタ86は、画素42の光透過部分を規定する光不透過マスク又はマトリクス、例えば、黒色マスク88により取り囲まれている。例えば、ある特定の実施形態において、黒色マスク88は、液晶層78の上方にカラーフィルタ86を取り囲む光透過開口を規定し、画素42の走査線・データ線駆動回路網、TFT及び/又は周囲部分などの光を透過しない画素42の部分を被覆又は遮蔽するような大きさ及び形状に形成される。図示される実施形態において、上部基板92は、黒色マスク88及びカラーフィルタ86と偏光層66との間に配設される。このような実施形態では、上部基板92は、光を透過するガラス、石英及び/又はプラスチックから形成される。
【0034】
前述のように、下部配向層76の面と上部配向層82の面とが共に平坦且つ/又は対称であれば、電界が印加されていない場合であり、上部偏光層66の軸が下部配向層76の液晶分子配向軸と平行であり且つ下部偏光層68の軸が上部配向層82の液晶分子配向軸と垂直である場合か、又は上部偏光層66の軸が下部配向層76の液晶分子配向軸と垂直であり且つ下部偏光層68の軸が上部配向層82の液晶分子配向軸と平行である場合(どちらになるかはディスプレイ18の動作モードによって異なる)に、画素42の光透過率は最小になると考えられる。しかし、画素42の一部分を表す
図6の画素選択100により示されるように、下部配向層76及び/又は上部配向層82は、対称でも平坦でもない。
【0035】
画素選択100は、TFT層74から黒色マスク層88に至るまでの画素42の断片を示す。詳細には、
図6は、画素選択100の側面
図Aと平面
図Bを示す。
図6の側面
図Aからわかるように、TFT層74は、ガラス基板102と、共通電極104と、画素電極50のフィンガとを含む。画素電極50のフィンガは、液晶材料78の中まで突出する下部配向層76の突起108を形成する。以下に説明するように、それらの突起108があるために、下部配向層76と上部配向層82とが非対称になることにより、画素42を介する光の透過に影響が及ぶと考えられる。
【0036】
下部配向層76及び/又は上部配向層82の液晶分子配向軸110は、一般に、液晶層78のある特定の分子を配向する。いくつかの実施形態において、下部配向層76と上部配向層82との双方の液晶分子配向軸110は、同一であるか又は互いに180°ずれている。他の実施形態において、下部配向層76の液晶分子配向軸110は、上部配向層82の液晶分子配向軸からわずかにずれている。液晶分子配向軸110を判定するために何らかの適切な方法が使用され、その角度は、例えば83°に設定される。設計上の制約条件に応じて、液晶分子配向軸110は異なる角度であってもよい。本明細書において配向軸とも呼ばれる液晶分子配向軸110は、一般に液晶層78の液晶分子を液晶分子配向軸110の方向に配向させる。
【0037】
しかし、液晶層78の実際の配向方向は、突起108を有する下部配向層76のような平坦ではない配向層の液晶分子配向軸110と厳密には一致しないと考えられる。詳細には、液晶層78の中まで突出する突起108が形成されているために、ある特定の歪みが画素電極106の付近に生じると考えられる。他の構成(例えば、下部配向層76又は上部配向層82の下方に共通電極104が配置される構成及び/又は上部配向層82の下方に画素電極50が配置される構成)を採用したことによってディスプレイ18に他の突起108が形成される場合にも、同様の影響が発生すると予想できるだろう。
【0038】
図7の特性
図120によりモデル化されるように、画素電極50のフィンガによって下部配向層76には突起108が形成されているが、下部配向層82は平坦なままである場合、液晶層78の液晶配向子(単位ベクトル配向方向)は、突起108の場所に近くなるほど液晶分子配向軸110からわずかに外れる。特性
図120において、縦座標122は液晶配向子の方位角(単位:度)を表し、横座標124は下部配向層76から上部配向層82までの液晶材料の深さ(単位:μm)を表す。特性
図120からわかるように、画素空胴の中における液晶配向子の方位角は、浅い場所(突起108の場所に近い)では液晶分子配向軸110の角度からより大きく外れ、深さが増すにつれて液晶分子配向軸110とより一致するようになる。
【0039】
曲線126は、画素選択100のx方向に沿った画素電極50のフィンガ又はそれに近い場所における液晶層78の液晶配向子の方位角を表す。曲線128は、画素選択100のx方向に沿った画素電極50のフィンガから離れた場所における液晶層78の液晶配向子の方位角を表す。突起108が存在するために平坦ではない下部配向層76に近い深さでは、液晶配向子の方位角は、84°を超えるまで、すなわち本明細書においては83°と設定されている液晶分子配向軸110の角度より1°大きい角度を超えるまで増加する。平坦である上部配向層82に近い深さでは、液晶配向子の方位角は、本明細書においては83°に設定されている液晶分子配向軸110の角度に収束する。
【0040】
曲線126と曲線128とを比較すると、液晶配向子の方位角が液晶分子配向軸110の角度から外れる原因が突起108の存在であることが更にわかる。詳細にいえば、前述のように、曲線126は突起108に近い液晶層78のx方向の場所を表し、曲線128は液晶層78のx方向に沿った突起108から離れた場所を表す。
図7にモデルとして示される液晶配向子の方位角は、曲線128より、曲線126(突起108により近い場所)において大きく外れていることがわかる。
【0041】
このような液晶配向子の方位角の偏差は、液晶分子配向軸110の方向に沿って偏光される光又は液晶分子配向軸110の方向に対して垂直に偏光される光に遅延を誘起し、その結果、暗状態で光軸上光に関して著しく大きな光の漏れが起こると考えられる。原因にかかわらず、ある種のLCDパネルは、
図8に示されるようなグレイ反転を示す。すなわち、画素42を透過する光の透過率をグレイスケール電圧の関数として示す
図8の特性
図140により示されるように、透過率は、当初単調に増加するのではなく、電圧の関数として低下する。最低のグレイレベル電圧で、画素42を透過する光は真の最小透過率より高い透過率を示すことになるので、このグレイ反転効果は更にコントラストを低下させる。
【0042】
特性
図140は、透過率(単位:吸光度単位(AU))を表す縦座標142と、グレイスケール電圧(単位:V)を表す横座標144とを含む。ディスプレイ18は、画素電極50に0Vを印加可能であるとしてモデル化されているので、特性
図140では、横座標144は0Vから始まるとして示される。しかし、他の実施形態では、該当する実施形態が供給可能な他の最小電圧が使用されることを理解すべきである。
【0043】
曲線146は、画素42を透過する光の透過率をグレイスケール電圧の関数として示す。曲線146からわかるように、グレイ反転148は、当初ディスプレイ18が供給可能な最小電圧から電圧が増加するために起こる。点150において、真の最小透過率に達した後、透過率は単調に増加し始める。このグレイ反転148が起こると、所定のグレイスケールレベル電圧におけるディスプレイ18の画素42がそれより高いグレイスケールレベル電圧の画素42より明るくなってしまう(例えば、G0がG3より明るくなる)ので、問題が生じる。
【0044】
グレイ反転148は、ディスプレイ18のコントラスト比にも影響を及ぼす。これは、最低のグレイスケールレベル電圧がディスプレイ18の最小透過率150に設定されていないからである。
図9及び
図10は、グレイスケールレベル0電圧(G0)を真の最小透過率150のポイント又はその近くに設定することにより、高コントラストディスプレイ18を実現する方法の実施形態を示すフローチャートである。すなわち、ディスプレイ18の透過率は、グレイスケールレベル電圧に伴って単調に増加する。
【0045】
図9を参照すると、フローチャート160は、ディスプレイ18の高コントラストを実現するグレイスケールレベル0電圧(G0)を選択する方法の一実施形態を示す。フローチャート160は、ディスプレイ18の画素42の画素電極50に初期電圧が印加された時点から始まる(ステップ162)。これにより発生する画素の透過率は、何らかの適切な光計量装置を使用して試験される(ブロック164)。画素電極50に印加されている現在の電圧が増加され(ブロック166)、その後、画素42の透過率は再度試験される(ブロック168)。
【0046】
次に、当初の電圧と関連する透過率と、増加後の電圧と関連する透過率とが比較され、電圧の増加に伴って透過率が増加していない場合(決定ブロック170)、グレイ反転が起こっていると理解できる。そこで、画素電極50に印加される電圧を再び増加させ(ブロック166)、画素42の電圧は再度試験される(ブロック168)。透過率が増加しなくなるまで(決定ブロック170)、この処理は繰り返される。透過率が増加しなくなった時点で、直前の電圧が真の最小透過率150に近いと理解できる。また、画素電極50に印加される電圧の関数として変化する透過率は、その電圧から増加方向に単調に変化することもわかる。従って、グレイスケールレベル0電圧(G0)はその直前の電圧と等しい値に設定される。
【0047】
グレイスケールレベル0電圧(G0)を判定する別の方法は、グレイスケール反転の1つ以上の定義済みガンマ設定を試験することを含む。
図10のフローチャート180により示されるように、まずディスプレイ18をデフォルトガンマ設定に従って動作させることにより、ディスプレイ18は校正される(ブロック182)。このデフォルトガンマ設定は、種々のグレイスケールレベル電圧(例えば、8ビットグレイスケールの場合、G0〜G255)を定義する。次に、ある特定の低いグレイスケールレベル電圧がディスプレイ18の画素42の画素電極50に印加され、その結果発生する透過率が試験される。例えば、G0電圧と、G3電圧と、G7電圧とがディスプレイ18の画素42の画素電極50に印加され、その結果が何らかの適切な方法で試験される(ブロック184〜194)。
【0048】
G3電圧がG0電圧より低い透過率を発生した場合、あるいはG7電圧がG0電圧又はG3電圧より低い透過率を発生した場合、ディスプレイ18は、おそらくは先に説明した理由によってグレイ反転を示している。そのようなグレイ反転が起こっていると判定された場合(決定ブロック196)、ディスプレイ18の新たなガンマ設定が選択される(ブロック198)。一般に、新たなガンマ設定は、直前のガンマ設定のG0より高いグレイスケールレベル0電圧(G0)の値を含む。実際、増加される電圧は0.2V以上になり、場合によっては、0.3V以上になる(
図7の真の最小透過率150に到達するように)。
【0049】
新たなガンマ設定を選択した後、ディスプレイ18の画素42の画素電極50にある特定の低いグレイスケールレベル電圧が再び印加され、その結果得られた透過率が試験される(ブロック184〜194)。その時点でもまだグレイ反転が発生している場合(決定ブロック196)、更に別のガンマ設定が選択される(ブロック198)。グレイ反転が起こらなくなるまで(決定ブロック196)、この処理は繰り返される。グレイ反転が起こらなくなった場合、フローチャート180は終了する(200)。フローチャート180が終了した時点(200)で、選択されたガンマ設定は、グレイスケール反転を起こすことのない単調なグレイスケールを実現する。
【0050】
図9及び
図10を参照して以上説明した技術は、ディスプレイ18で起こるグレイスケール反転を修正するが、以下に開示される実施形態は、第1にグレイスケール反転を低減するか又はグレイスケール反転の発生を防止し、更に光軸上コントラストを向上する。前述のように、ディスプレイ18の動作モードに応じて、偏光層66、68は、液晶分子配向軸110とそれぞれ平行又は垂直でなければならないという考えは、従来の知識として広く受け入れられている。しかし、発明者はこの従来の知識が誤りであるということを提唱する。実際、以下に更に詳細に説明するように、上部偏光層66の軸及び/又は下部偏光層68の軸を下部配向層76及び上部配向層82の液晶分子配向軸110から何らかの角度だけずらすことにより、光軸上コントラストは改善され且つ/又はグレイスケール反転は低減又は排除されるということを発明者は提唱する。これに加えて又はその代わりに、いくつかの実施形態は、下部配向層76の液晶分子配向軸110を上部配向層82の液晶分子配向軸110から何らかの角度だけずらすことを含む。偏光層66及び/又は68の軸並びに液晶分子配向軸110をずらす場合、下部配向層76が平坦ではないこと(例えば、突起108を含むために)から起こる歪みが考慮に入れられると考えられる。
【0051】
詳細には、画素電極50のフィンガにより下部配向層76には突起108が形成されているので、下部配向層76の表面構造は平坦ではなく、従って、上部配向層82とは非対称である。この非対称の配向状態によって、液晶層78の液晶配向子は、画素42全体にわたり液晶分子配向軸110に沿って均一に配向されず、画素電極50に近づくにつれて上から下に向かう方向に偏向する(
図6に示される通り)。この偏向は、液晶分子配向軸110の方向に沿って偏光される光又は液晶分子配向軸110の方向に対して垂直に偏光される光の遅延を誘起すると考えられる。従って、例えばわずかにねじれた液晶構造を介して伝播する直線偏光は、位相遅延を受け楕円偏光になる。修正されていない画素42を透過した楕円偏光は、上部偏光層66を通過しなくなってしまう。尚、この影響は非常にわずかであるが、グレイスケールレベル0電圧(G0)の暗状態透過率も非常に低く、きわめて小さな変化であっても、コントラスト比を著しく大きく減少させる。そのような場合、
図9及び
図10の技術は、グレイ反転を低減又は排除できるが、単独では光軸上コントラスト比を最大限にすることはできないだろう。
【0052】
そこで、
図11に示されるように、上部偏光層66の軸及び/又は下部偏光層68の軸は、従来の液晶分子配向軸110と垂直な構成又は平行な構成からわずかにずらされる。詳細には、何らかの適切な方法を使用して、液晶分子配向軸110が判定される。この場合、液晶分子配向軸110は83°であると判定されている。上部偏光層66及び/又は下部偏光層68のいずれか一方又は双方は、液晶分子配向軸110に対して従来の構成からずらされる。
【0053】
例えば、
図11は、Oモード構成を示す。Oモード構成では、下部偏光層68の軸204は、液晶分子配向軸110と平行な状態からある特定の量だけずらされ、実験及び/又はシミュレーションによって判定され、ディスプレイ18が供給可能な最低のグレイスケールレベルで画素42を透過する光の量が最小になる角度を表す。いくつかの実施形態において、下部偏光層68の軸204は、0.3°〜1°のような相対的に小さな角度だけずらされるが、この角度は、実験とシミュレーションによる判定に従って、これより小さくてもよく、あるいは大きくてもよい。軸204の角度は、画素電極50のフィンガの軸と平行になる方向に向かって(例えば、90°に近づくように)ずらされる。図示されるように、下部偏光層68の軸204は約83.3°の角度を有する。
【0054】
いくつかの実施形態において、上部偏光層66の軸206も、液晶分子配向軸110と垂直な状態(202)ではなく、液晶分子配向軸110と垂直な状態(202)からずらされる。軸206のずれ角度は、実験及び/又はシミュレーションによって判定され、ディスプレイ18が供給可能な最低のグレイスケールレベル電圧で画素42を透過する光の量が最小になるような角度を表す。いくつかの実施形態において、上部偏光層66の軸206は、0.3°〜1°のような相対的に小さな角度だけずらされるが、この角度は、実験とシミュレーションによる判定に従って、これより小さくてもよく、あるいは大きくてもよい。軸206の角度は、画素電極50のフィンガの軸と垂直になる方向に向かって(例えば、0°に近づくように)ずらされる。図示されるように、下部偏光層68の軸204は、約−16.7°の角度を有する。図示される実施形態では軸204と軸206とのずれ角度は同一であるが、いくつかの実施形態において、実験とシミュレーションに基づき、異なるずれ角度が使用されてもよい。
【0055】
図11の実施形態において、下部偏光層68の軸204と上部偏光層66の軸206との双方が液晶分子配向軸110からずらされる。別の実施形態において、動作モード(例えば、Oモード又はEモード)に応じて、それらの軸のうち一方の軸204又は206のみがデフォルト構成からずらされる。また、
図11の実施形態はディスプレイ18のOモード動作の構成に関するが、他の実施形態はEモードの構成に関する。その場合、例えば下部偏光層68の軸204は、液晶分子配向軸110と垂直な状態(202)から何らかの角度だけずらされ且つ/又は上部変更層66の軸206は、液晶分子配向軸110と平行な状態から何らかの角度だけずらされる。
【0056】
図9及び
図10を参照して先に説明した実施形態、並びに
図11に関連する図を参照して説明した実施形態に加えて又はその代わりに、下部配向層76及び上部配向層82の液晶分子配向軸110をずらすことにより、グレイスケールレベル反転が低減又は排除され、光軸上コントラストが改善される。
図12に示されるように、下部配向層76と関連する下部液晶分子配向軸110Aは、上部配向層82と関連する上部液晶分子配向軸110Bからずらされている。詳細には、下部配向層76の突起108から相対的に離れている上部液晶分子配向軸110Bが何らかの適切な方法により判定される。
図12に示されるように、上部液晶分子配向軸110Bの角度は約83°である。
図12はOモード構成を示すので、下部偏光層68の軸204は上部液晶分子配向軸110Bと平行であり、上部偏光層66の軸206は上部液晶分子配向軸110Bに対して垂直である。
【0057】
下部配向層76と関連する下部液晶分子配向軸110Aは、上部配向層82と関連する上部液晶分子配向軸110Bから何らかの角度だけずらされる。言い換えれば、液晶分子配向軸110Aは、上部液晶分子配向軸110Bと単に180°異なるという状態ではなく、何らかの角度、例えば、180°の倍数より小さい角度又はそれより大きい角度だけずらされる。このずれ角度は、実験及び/又はシミュレーションにより判定され、ディスプレイ18が供給可能な最低のグレイスケールレベル電圧で画素42を透過する光の量が最少になる角度を表す。いくつかの実施形態において、下部液晶分子配向軸110Aは、上部液晶分子配向軸110Bから0.3°〜1°のような相対的に少ない角度だけずれている。実験及び/又はシミュレーションの結果に応じて、このずれ角度は、それより小さくてもよく、あるいは大きくてもよい。いくつかの実施形態において、
図12に示されるように、下部液晶配向軸110Aは、上部液晶配向軸110Bから画素電極50のフィンガの軸と垂直になる方向に向かって(例えば、0°に近くなるように)ずらされる。図示されるように、下部液晶配向軸110Aは約82.7°の角度を有する。
【0058】
図12の実施形態はディスプレイ18のOモード動作の構成に関するが、他の実施形態はEモード動作の構成に関する。その場合、例えば下部偏光軸68の軸204は、上部液晶分子配向軸110Bと平行であり、上部偏光層66の軸206は、上部液晶分子配向軸110Bに対して垂直である。
【0059】
図11を参照して説明した実施形態と
図12を参照して説明した実施形態との組み合わせが可能であることを理解すべきである。すなわち、下部偏光層68の軸204と上部偏光層66の軸206とのうちいずれか一方又は双方が上部液晶分子配向軸110Bを含むデフォルト構成から何らかの角度だけずらされ、下部液晶分子配向軸110Aは、上部液晶分子配向軸110Bから何らかの角度だけずらされる。
【0060】
突起108の大きさと効果に応じて、
図11及び
図12と関連する実施形態により、
図13の特性
図210により示されるように、画素42の透過率とグレイスケール電圧との単調関数が得られる。特性
図210において、縦座標212は透過率(単位:吸収度単位(AU))を表し、横座標214はグレイスケール電圧(単位:V)を表す。ディスプレイ18が画素電極50に0Vを供給可能であるとしてモデル化されているので、横座標210は、0Vから始まるとしてモデル化されている。しかし、他の実施形態は、供給可能な他の最小電圧を有することを理解すべきである。
【0061】
曲線216は、画素42を透過する光の透過率をグレイスケール電圧の関数として示す。曲線216からわかるように、グレイスケール電圧の関数としての透過率はほぼ単調である。従って、真の最小透過率218は、ディスプレイ18が供給可能な最小電圧で始まる。これに対し、
図11及び/又は
図12と関連する実施形態では、グレイスケール反転が起こり、グレイスケール電圧の関数としての画素42を透過する光の透過率が単調ではない場合、先に
図9及び
図10を参照して説明したような方法により、グレイスケールレベル0電圧(G0)が選択される。
【0062】
以上説明した特定の実施形態は、単なる例として示されており、それらの実施形態の種々の変形や代替形態が可能であることを理解すべきである。更に、特許請求の範囲は、開示された特定の形態に限定されず、本発明の精神と範囲の中に含まれるすべての変形、等価物、代替構成を包含することを意図することを更に理解すべきである。