(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明にかかる一実施例について図面を用いて説明する。
A.第1実施例
(1) 紙幣入出金装置1の概略構成
図1は本発明の一実施例にかかる紙幣入出金装置1の外観を示す斜視図、
図2は紙幣入出金装置1の内部の構成を説明する説明図である。紙幣入出金装置1は、銀行などの金融機関によって管理され、顧客に対応する係員(銀行員など)の操作に応じて各種取引を行なうための装置である。
【0017】
紙幣入出金装置1は、紙幣の入出金口などがある上部紙幣処理機構1U(紙幣処理機構)と、紙幣が収納されるリサイクル庫(第1紙幣収納庫)などがある下部紙幣収納機構1L(第1紙幣収納機構)と、下部紙幣収納機構1Lを収納する金庫筐体1Sと、上部紙幣処理機構1Uと下部紙幣収納機構1Lの間に連結されて紙幣の搬送を行う連結搬送機構1Tuと、リサイクル庫から回収される紙幣やリサイクル庫へ装填する紙幣を収納する装填回収庫(第2紙幣収納庫)を有する前部紙幣収納機構1F(第2紙幣収納機構)と、紙幣処理の制御を行う端末制御部1Cと、紙幣入出金装置全体の制御指令信号を発信する上位制御部100と、係員に対して必要な情報を表示する情報表示部1D(報知手段)と、係員が操作に必要な入力を行う情報入力部1Iと、情報送信を行う通信網111,112などから構成されている。
【0018】
下部紙幣収納機構1Lは、上部紙幣処理機構1Uの下方に、前部紙幣収納機構1Fは、下部紙幣収納機構1Lの前部に取り付けられる構造となっており、このために上部紙幣処理機構1Uは、このような取り付け構成を可能とするレイアウト構成となっている。ここで、紙幣の入出金口が配置されて係員がこれらにアクセスする方向を操作側、つまり前方としている。上部紙幣処理機構1U、下部紙幣収納機構1Lおよび前部紙幣収納機構1Fは、分割可能となるようにユニット化されており、それらの機構は、紙幣を搬送可能である搬送機構を介して連結されている。なお、本実施例では、上部紙幣処理機構1Uと下部紙幣処理機構1Lとの間には、下部紙幣処理機構1Lが金庫筐体1S内部に内蔵されているため連結搬送機構1Tuが、また上部紙幣処理機構1Uと前部紙幣処理機構1Fとの間にも連結搬送機構1Tfが設けられているが、これらの連結搬送機構は、例えば下部紙幣処理機構1Lが金庫筐体1Sに内蔵されない構成においては必ずしも必要ではない。
【0019】
(2) 紙幣入出金装置1の構成
以下、紙幣入出金装置1の構成を詳細に説明する。
(2)−1 上部紙幣処理機構1Uの構成
図3は本実施例における上部紙幣処理機構1Uの構成を説明する説明図である。上部紙幣処理機構1Uは、係員との紙幣の授受に必要な機構を備えており、入金部10と、紙幣識別部20と、出金部30と、搬送機構60の一部と、ゲート機構の一部とを備えている。
【0020】
入金部10は、係員が紙幣を投入することで該紙幣を機構の内部へ搬送するための機構であり、紙幣繰り出し機構11を備えている。紙幣繰り出し機構11は、紙幣を収納載置して上方へ付勢する押圧機構11Lと、ピックアップローラ11P、フィードローラ11Fおよびゲートローラ11Gとを備えている。入金部10の構成により、投入された紙幣は、押圧機構11Lとピックアップローラ11Pとで押圧されてピックアップローラ11Pとゲートローラ11Gの間へ送られ、さらにピックアップローラ11P、フィードローラ11F、ゲートローラ11Gにより一枚ずつに分離されて入金部10の外へ繰り出される。
【0021】
紙幣識別部20は、紙幣を搬送する搬送路21と、この搬送路21で搬送される紙幣の真偽や金種を識別するための情報や紙幣の画像情報を取得するセンサを備えている。センサは、紙幣の枚数を検出する通過検知センサ22と、紙幣の真偽や金種を判別する金種判別センサ23と、紙幣の画像を取り込むカメラ24(画像情報取得手段)とを備え、これらの検出信号が端末制御部1Cや上位制御部100へ伝達され、あらかじめ定められた手法で紙幣処理や紙幣入出金装置1の各処理に活用される。出金部30は、係員が紙幣を受け取るところで、入金部10の下方かつ手前側に配置されている。
【0022】
図4は上部紙幣処理機構1U内の搬送機構60を説明する説明図、
図5は紙幣入出金装置1の搬送機構60を説明するブロック図である。
図4および
図5において、搬送機構60は、入金部10、出金部30、下部紙幣収納機構1Lおよび前部紙幣収納機構1Fの間で紙幣を搬送するための機構であり、図示されないギヤやベルトを介して単一の駆動源(アクチュエータ)、または複数の駆動源を用いて駆動される。
【0023】
上部紙幣処理機構1U内の搬送路は、第1分岐合流部61、紙幣識別部20、第2分岐合流部62、第3分岐合流部63、第4分岐合流部64を基準とすると、搬送路60A〜60Iの9経路に分けることができる。すなわち、搬送路60Aは、入金部10と第1分岐合流部61との間に配置されている。搬送路60Bは、第1分岐合流部61と紙幣識別部20の搬送路21との間に配置されている。搬送路60Cは、搬送路21と第2分岐合流部62の間に配置されている。また、搬送路60Dは、第2分岐合流部62と下部紙幣収納機構1Lとの連結機構である連結搬送機構1Tu内の搬送路60Jとの間に配置されている。搬送路60Eは、第2分岐合流部62と第3分岐合流部63との間に配置されている。搬送路60Fは、第3分岐合流部63と第4分岐合流部64との間に配置されている。搬送路60Gは、第4分岐合流部64と前部紙幣収納機構1Fとの連結機構である連結搬送機構1Tf(連結部)の搬送路60Kとの間に配置されている。搬送路60Hは、第4分岐合流部64と出金部30との間に配置されている。搬送路60Iは、第3分岐合流部63と第1分岐合流部61の間に配置されている。第1ないし第4分岐合流部61〜64では、複数の搬送路を分岐または合流されており、紙幣の搬送先を切り換えられるゲート機構71,72,73,74がそれぞれ配置されている。
【0024】
こうした搬送機構60は、紙幣を双方向に搬送可能である双方向搬送部と、一方向しか搬送しない一方向搬送路とを備えている。双方向搬送路として、紙幣識別部20を基準とすると、搬送路60C,60D,60Jを含む第1主搬送部と、搬送路60B,60I,60F,60G,60Kを含む第2主搬送部からなる主搬送路が設けられている。また、一方向搬送路として、入金部10から第1分岐合流部61までの第1副搬送部と、第4分岐合流部64から出金部30までの第2副搬送部とを有する副搬送路が設けられている。さらに、一方向搬送路として、第2分岐合流部62から第3分岐合流部63に接続された第3副搬送部が配置されている。
【0025】
(2)−2 下部紙幣収納機構1Lおよび連結搬送機構1Tuの構成
図6は本実施例にかかる下部紙幣収納機構1Lの構成を示す説明図である。下部紙幣収納機構1Lは、金庫筐体1Sに内蔵され、連結搬送機構1Tuを介して上部紙幣処理機構1Uに接続されており、上部紙幣処理機構1Uとの間で紙幣を双方向に搬送するとともに紙幣を収納している。下部紙幣収納機構1Lは、リサイクル庫40と、リサイクル庫40(第1紙幣収納庫)の上部に配置された下部搬送機構ユニット1LTとを備えている。金庫筐体1Sは、リサイクル庫40を囲む収納筐体1Saと、収納筐体1Saの前部に開閉可能に設けられ、開くことでリサイクル庫40にアクセス可能である開閉部1Sbと、開閉部1Sbを開閉可能にロックするロック機構1Scとを備えている。ロック機構1Scは、例えば、ダイヤル式や特定の開閉情報を記憶したカードを用いることにより開閉可能であり、特定人だけが開閉可能となるようにセキュリティを高めている。
【0026】
リサイクル庫40は、紙幣を保管するための金庫であり、本実施例では5個のリサイクル庫40A〜40Eから構成されており、これらはほぼ同じ構成である。ここで、リサイクル庫40のうち4個のリサイクル庫40A〜40Dは、入金された紙幣を出金する紙幣庫として、かつ扱う紙幣の種類を異なるように用いている。例えば、各々のリサイクル庫40A〜40Dは、1万円、5千円、2千円、千円にそれぞれ適用することができる。また、リサイクル庫40のうち1個のリサイクル庫40Eは、出金紙幣として使用されない非還流紙幣を収納する紙幣庫として用いることができる。リサイクル庫40A〜40Eは、同じ構成であることから、リサイクル庫40Aを代表して説明する。リサイクル庫40Aは、紙幣を載置するとともに昇降する昇降板40aと、フィードローラ40bと、ゲートローラ40cと、ガイド板40dとを備えており、フィードローラ40bの駆動により紙幣を双方向に搬送する。
【0027】
下部搬送機構ユニット1LTは、連結搬送機構1Tuを介して上部紙幣処理機構1Uとの間で紙幣を双方向に搬送する機構であり、搬送路60Lと、搬送路60Lに沿って複数配置され紙幣の搬送方向を切り換えるゲート機構75(75a,75b,75c,75d)とを備えており、ゲート機構75の切換によりリサイクル庫40A〜40Eのいずれかを選択して紙幣を搬出・搬入するものである。
【0028】
連結搬送機構1Tuは、上部紙幣処理機構1Uの下面において金庫筐体1Sの上部開口部に対応する位置に設けられ、上部紙幣処理機構1Uと下部紙幣収納機構1Lとの間で紙幣を搬送する機構であり、上部紙幣処理機構1Uの搬送路60Dと下部紙幣収納機構1Lの搬送路60Lの双方に連結する搬送路60Jを備えている。連結搬送機構1Tuは、搬送ローラを備えており、この搬送ローラは、金庫筐体1Sの上面に開けられた開口部において、紙幣が通過するための長さと、この開口部に搬送されてきた紙幣を挟持して紙幣を搬送する搬送ローラの幅の大きさを有している。各搬送機構の駆動源は、上部紙幣処理機構1Uの搬送機構と下部紙幣収納機構1Lの搬送機構で別々に設けてもよいが、他の駆動源をギヤで伝達するようにして単一の駆動源を用いてもよい。
【0029】
(2)−3 前部紙幣収納機構1Fおよび連結搬送機構1Tfの構成
図7は本実施例における前部紙幣収納機構1Fの構成を示す図である。前部紙幣収納機構1Fは、搬送路60Mと、装填回収庫50と、これらを収納する収納筐体1Faとを備えている。装填回収庫50は、上述したリサイクル庫40Aと同様な構成であり、昇降板50aと、集積分離機構50Fとを備えている。集積分離機構50Fは、フィードローラ50b、ゲートローラ50c、ガイド板50dを備えており、搬送路60Mを介して上部紙幣処理機構1Uへ紙幣を搬送する。収納筐体1Faは、装填回収庫50を囲み、収納筐体1Faの前部に開閉可能に設けられた開閉部1Fbと、開閉部1Fbを開閉可能にロックするロック機構1Fcとを備えている。ロック機構1Fcは、係員などによって迅速にアクセス可能な構成である。連結搬送機構1Tfは、上述した連結搬送機構1Tuと同様な構成であり、上部紙幣処理機構1Uの下面の前方に設けられ、ローラなどから構成された搬送路60Kを備え、上部紙幣処理機構1Uと前部紙幣収納機構1Fとの間で紙幣を双方向に搬送する機構である。
【0030】
(2)−4 制御部の構成
図8は紙幣入出金装置1を制御する制御部を説明するブロック図である。制御部は紙幣入出金装置1の入金部10などの各機構を制御する端末制御部1Cと、端末制御部1Cに通信網110を介して接続されデータやデータを送受することで紙幣入出金装置1を制御する上位制御部100とを備えている。端末制御部1Cは、入金部10、紙幣識別部20、出金部30、リサイクル庫40、装填回収庫50、搬送機構60、ゲート機構71〜75の各機構を制御するとともに、これらを制御するためにセンサからの信号を受ける。センサとして、上述した通過検知センサ22の他に、連結搬送機構1Tu,1Tfの付近に紙幣通過検知センサ25U,25L,26U,26Fが配置されており、上部紙幣処理機構1Uと下部紙幣処理機構1L、および上部紙幣処理機構1Uと前部紙幣収納機構1Fとの連結部で紙幣のジャムなどの異常を検出することで搬送状態を監視している。
【0031】
また、上位制御部100には、紙幣入出金装置1を取り扱う係員が取引に必要なデータを入力する情報入力部1Iや、取引の状態や結果を係員へ表示する情報表示部1Dが通信網112を介して接続されている。係員は、情報入力部1Iからの入力動作や情報表示部1Dに示される情報によって紙幣入出金装置1の操作や紙幣入出金装置1で取得された取引情報や装置の状態などの確認を行うことができる。また、紙幣入出金装置1の外壁またはその周縁に外部カメラ120(
図1)が設置されており、取引の状態を監視可能なように配置されており、また紙幣入出金装置1の内部には、取引の時刻を表示するための時計が内蔵されている。上位制御部100は、これらの情報を紙幣の情報などとともに、情報表示部1Dに表示することで紙幣の処理状態を監視している。
【0032】
紙幣入出金装置1の制御部は、入金処理などを実行するプログラムに基づいて、搬送機構60や搬送路21のアクチュエータ(モータ)を駆動して所定の搬送方向へ紙幣を搬送するとともに、各分岐・合流部に設けられた全てのゲート機構71〜75をソレノイドで駆動して搬送路を切り換えることにより、各処理を実行するとともに、これらの処理に関する情報を情報表示部1Dに表示する。
【0033】
(3) 紙幣取扱処理
紙幣入出金装置1により実行される各処理について説明する。なお、以下に説明する処理は、操作の責任を負う係員が、該係員の認識コードを情報入力部1Iから入力することで、処理との関連づけを行ない、後述するようにこれらの情報が情報表示部1Dに表示される。
(3)−1 紙幣の装填処理
図9は紙幣の装填処理を説明するフローチャート、
図10は紙幣入出金装置1による紙幣の装填処理の動作を説明する説明図である。本処理は、係員が前部紙幣収納機構1Fの装填回収庫50に紙幣を収納し、情報入力部1Iから装填動作開始の入力を行うことにより実行される。
図9のステップにて、装填回収庫50に収納された紙幣は、上部紙幣処理機構1Uを通じてリサイクル庫40に搬送される。すなわち、
図10に示す装填回収庫50に装填した紙幣は、フィードローラ50b、ゲートローラ50cにより搬送路60M、連結搬送機構1Tfの搬送路60Kに繰り出され、さらに上部紙幣処理機構1Uへ搬送される。そして、ゲート機構74,73,71の切り換えにより、紙幣は、搬送路60Kから搬送路60G,60F,60I,60Bを経て、紙幣識別部20に送られる。ステップS106にて、紙幣識別部20は、搬送路21を通過する紙幣を識別する。すなわち、紙幣識別部20は、通過検知センサ22により紙幣の枚数を判別し、カメラ24により紙幣の画像を取り込み、金種判別センサ23により紙幣の真偽や金種などの情報を取得する。これらの情報は、
図8に示す端末制御部1Cおよび上位制御部100へ送信されて処理される。続くステップS108にて、紙幣識別部20からの情報に基づいて、紙幣が正常紙幣であるかリジェクト紙幣であるかが判定される。すなわち、紙幣が複数枚重なっている場合や、汚れなどで正常の紙幣とされない場合にリジェクト紙幣と判定される。ステップS108にて、正常紙幣であると判定されるとステップS110に進み、紙幣は、
図10に示すように、下部紙幣収納機構1Lのリサイクル庫40A〜40Dの金種に対応して搬送される。すなわち、紙幣は、搬送路21から搬送路60Cを通り、第2分岐合流部62へ送られる。第2分岐合流部62のゲート機構72は、連結搬送機構1Tu側へ切り換えられているから、搬送路60D、連結搬送機構1Tuの搬送路60Jを介して下部紙幣収納機構1Lへ搬送される。そして、ゲート機構75の切り換えにより、紙幣は、リサイクル庫40A〜40Dのいずれかに搬送される。一方、ステップS108にて、紙幣がリジェクト紙幣であると判定されると、ステップS112に進み、
図10の破線で示すように、ゲート機構75の切り換えにより、リサイクル庫40Eに搬送される。つまり、リサイクル庫40に装填される紙幣が、還流しない紙幣であったり、複数枚繰り出されていたり、斜行したりして紙幣判別部にて正常に紙幣の情報が読み取れなかった場合には、リサイクル庫40Eへ搬送される。
【0034】
続く、ステップS114にて、前部紙幣収納機構1Fから上部紙幣処理機構1Uへ、または上部紙幣処理機構1Uから下部紙幣収納機構1Lへ出て行く紙幣の枚数やタイミングが、紙幣通過検知センサ26F,26U,25U,25Lから検出信号により紙幣が正常に搬送されていないと判定された場合に、ステップS116にて異常処理がされる。すなわち、情報表示部1Dに搬送が正常にされていない旨が表示され、その異常内容に対応した処理がとられる。そして、ステップS118にて全ての紙幣の装填が正常に終えたと判定されたときに本処理が終了する。
【0035】
(3)−2 入金処理
(a) 入金搬送処理
図11は入金処理を説明するフローチャート、
図12および
図13は紙幣入出金装置1の入金処理における動作を説明する説明図である。
図11のステップS122にて、係員が情報入力部1Iから入金操作の選択を行い、入金部10に紙幣が投入されると、ステップS124に進む。ステップS124では、投入された紙幣が入金部10から紙幣識別部20に搬送される。すなわち、
図12に示すように、入金部10の紙幣は、紙幣繰り出し機構11を構成するピックアップローラ11P、フィードローラ11F、ゲートローラ11Gによって、一枚ずつ搬送路60Aへ繰り出され、さらに、第1分岐合流部61におけるゲート機構71および搬送路60Bによって、紙幣識別部20内部の搬送路21に搬送される。続くステップS126にて、紙幣識別部20が上述したように紙幣を識別するための情報を取得し、これらの情報は、
図2に示す端末制御部1Cや上位制御部100などへ送信されて処理される。続くステップS128にて、紙幣識別部20からの各センサ信号に基づいた上位制御部100の処理結果により、紙幣が正常紙幣であるかリジェクト紙幣であるかが判定される。ステップS128にて、正常紙幣であると判定されるとステップS130に進み、紙幣が下部紙幣収納機構1Lのリサイクル庫40に搬送される。このステップS130では、紙幣は、金種判別センサ23からの検出信号に基づいて、金種に対応したリサイクル庫40A〜40Dに分別して搬送される。すなわち、
図12に示すように、紙幣識別部20から送られる紙幣は、搬送路60Cを通り、第2分岐合流部62へ送られる。このとき、第2分岐合流部62のゲート機構72は、連結搬送機構1Tu側へ切り換えられているから、紙幣は、搬送路60D、連結搬送機構1Tuの搬送路60Jを介して下部紙幣収納機構1Lへ搬送される。そして、ゲート機構75の切り換えにより、紙幣は、リサイクル庫40A〜40Dのいずれかに搬送される。また、環流されない紙幣として、例えば、2千円札が入金部10に投入されている場合には、
図12の破線で示すように、紙幣識別部20で取得された情報に基づいて判別された金種結果により、リサイクル庫40Eに搬送される。
【0036】
一方、ステップS128にて、紙幣がリジェクト紙幣であると判定されると、ステップS132に進み、紙幣は、
図13に示すように、ゲート機構72,73,74が切り換えられ、搬送路60E,60F,60Hを通って出金部30へ搬送される。
【0037】
続くステップS134にて、出金部30に紙幣があるか否かの判定がされ、紙幣がないと判定されると、ステップS136にて、正常紙幣としてリサイクル庫40A〜40Dへ集積された金額を情報表示部1Dに表示する。この表示により、表示された金額が入金部10に入金した金額と同じであるかの確認を求める。ステップS140にて、入金された金額が正常であると確認され、情報入力部1Iからその旨の入力があると、入金処理が終了する。
【0038】
一方、ステップS134にて、出金部30に紙幣があると判定された場合には、ステップS138にて、その旨の情報表示部1Dに警報表示をし、または警告音を発生し、リジェクト紙幣を取り出すことを係員に促す。これにより、係員は、リジェクト紙幣の有無を知ることができる。リジェクト紙幣がある場合、再度紙幣を入金部10へ投入するといった処理が行われる。ステップS140にて、係員によって、金額が正しくないといったような理由で、取り消し処理が選択され、その旨が情報入力部1Iから入力されたときには、ステップS142にて、取消返却処理が実行され、そうでない場合は入金処理が終了となる。
【0039】
(b) 入金取消返却処理
図14は取消返却処理を説明するフローチャート、
図15は紙幣入出金装置1による取消返却処理の動作を説明する説明図である。例えば、窓口利用者からの依頼によって、係員が入金操作を取りやめる場合に情報入力部1Iから取消返却操作を行なうと、取消返却処理(
図11のステップS142)が実行される。まず、
図14のステップS152にて、リサイクル庫40(40A〜40E)から紙幣が、一枚ずつ入金された金額分だけ繰り出される。
図15において、繰り出された紙幣は、ゲート機構75,72,71,73,74の切り換えにより、搬送路60L,60J,60D,60Cを介して紙幣識別部20へ搬送される。さらに、紙幣識別部20から紙幣は、搬送路21,60B,60I,60F,60Hを通り、出金部30に向けて搬送される。
【0040】
続くステップS154にて、紙幣が紙幣識別部20を通過している際に、通過検知センサ22、金種判別センサ23、紙幣の画像を取り込むカメラ24によって、紙幣の情報が取り込まれ、端末制御部1Cや上位制御部100などへ送信される。続くステップS158にて、リサイクル庫40Aから繰り出された紙幣の情報が、入金時の紙幣の情報に一致しているかが比較される。すなわち、紙幣には、紙幣の固有の番号を表わす記番号が付されているが、紙幣の画像情報から記番号を抽出し、繰り出された紙幣と入金時の紙幣との記番号とが比較される。そして、ステップS160にて、紙幣の情報が一致しているか否かが判定される。すなわち、取消返却動作の際にリサイクル庫40(40A〜40D)から繰り出される紙幣に、紙幣が複数枚繰り出されていたり、紙幣が斜行したりして紙幣識別部20にて正常に紙幣の情報が読み取れないといった現象が発生しなければ、すべてその取引の際に入金された紙幣となっているはずである。よって、ステップS160にて、異常なしと肯定判定された場合には、次のステップS166へ進み、一方、異常ありと判定された場合には、ステップS164にて、異常信号を発生し、ステップS166へ進む。
【0041】
続くステップS166にて、ステップS152で指定した入金した紙幣の全ての枚数を搬送の確認を実行し、紙幣の枚数だけ全て搬送したことを確認するまで、ステップS152へ戻る。そして、ステップS168にて、異常信号の発生の有無が判定される。ステップS164で発生した異常信号がない場合には、本処理を終了する。この処理により、係員は、指定された金額の紙幣を出金部30で受け取ることができ、つまり、入金した紙幣を戻すことができる。
入金された紙幣と取消返却された紙幣とが一致していることを確認するために、その取引の際に入金された紙幣と取消返却時に出金部30へ搬送された紙幣に関する情報を情報表示部1Dに表示してもよい。
図16(A)は、情報表示部1Dに表示される紙幣に関する情報の一実施例を示したものである。ここで表示される情報は、処理された順によって自動的に割り付けられるデータナンバー401、該当する紙幣の処理作業ID402、該当する処理作業の間に上位制御部100に内蔵された図示されないクロック手段によって計測された時刻情報403、該当する紙幣の画像情報404、該当する紙幣の処理作業の間に外部カメラ120によって撮影された画像情報405である。そして、これらの5種類の情報で一つの組となっている。これらの情報は、図示されない通信線を介して上位制御部100内に設けられた図示されない情報収納部に自動的に保存されており、例えば情報入力部1Iからの係員からの入力により情報表示装置1Dへ表示する指令信号を受け付けた場合に係員から指定された該当する処理作業に関する情報を情報表示部1Dに表示される。ここで、データナンバー401は処理される日付などによってシステムから自動的に付与されるナンバーであり、紙幣の処理作業ID402は、各処理作業において紙幣識別部20を通過した紙幣の順に自動的に付与されるIDである。本実施例においては、入金された紙幣の順番と取消返却される紙幣の順番は逆となるため、
図16(A)の実施例に示すように、対応する紙幣の時刻情報は逆の情報となる。係員は、情報表示部1Dに示される紙幣の画像情報から読み取ることのできる紙幣の金種や記番号、さらには紙幣が処理された時刻情報や外部カメラの画像情報などの情報から入金された紙幣と取消返却された紙幣が同一のものであると確認することができる。また顧客からの要求がある場合にはこれらの情報を開示することができ、顧客の納得を得ることもできる。
【0042】
一方、ステップS168にて異常信号があったと判定された場合、例えば入金した紙幣とリサイクル庫40から出金した紙幣の記番号が一致しない場合には、情報表示部1Dへ表示される情報は
図16(B)に示すようになる。
図16(B)では、返却される紙幣の最初のものが重なって繰出された場合の例を示している。この場合には、入金された紙幣の最後に紙幣識別部20を搬送された紙幣が取消返却時に最初に紙幣識別部20を搬送される紙幣となる。しかし、2枚同時に繰出されたため、取消返却時に紙幣識別部20を搬送される紙幣の情報は、入金時に搬送された対応すべき紙幣の情報とはずれた情報が表示される。そして取消返却された最後の紙幣は、別の入金処理の際に入金された紙幣が返却紙幣として表示されている。一方、取消返却の表示情報には、ステップS160における比較処理において検出された「複数枚搬送」や「記番号不一致」といった検出結果が、データナンバー401、該当する紙幣の処理作業ID402、該当する処理作業の間にクロック手段によって計測された時刻情報403、該当する紙幣の画像情報404、該当する紙幣の処理作業の間に外部カメラ120によって撮影された画像情報405とともに、ステップS164で発生される異常信号と一緒になって異常情報406として表示されている。係員はこれらの情報から、どの紙幣がその入金時において入金された紙幣であるかを確認することができる。そしてこれらの確認結果を用いて出金部30へ返却された紙幣とを照合させ、該当する紙幣のみを取消返却すべき紙幣として抽出する。この場合にも顧客からの要請によってこれらの情報を開示することがあってもよい。なお、この時に取消返却とすべきでない紙幣は係員によって入金部10へ投入され、再度装置内へ収納される。このときには係員はその紙幣が入金されたものではなく、他の取引処理の際の紙幣の処理であることを装置へ知らせるコードを情報入力部1Iから入力後、処理を行う。異常情報としては、上述の「複数枚搬送」の他、例えば、紙幣が斜行したりして紙幣識別部20にて正常に紙幣の情報が読み取れなかった場合に「紙幣金種が正しく検出できず」といった異常の内容によってその後、係員が入金紙幣と取消返却すべき紙幣を合致させることができるような有益な情報を表示することができる。
【0043】
係員は、このような異常表示を見ることにより、出金部30に戻された紙幣が入金紙幣と不一致であることが認識でき、さらに、情報表示部1Dに表示される入金時に採取された紙幣画像情報と取消返却時に障害発生前までにカメラ24を通過した紙幣の画像情報を参考にしながら、係員は搬送機構60やリサイクル庫40に残留している紙幣を含めて照合させることで入金された紙幣の現物であるかどうかを確認することができる。そして、異常の原因が取消返却時に搬送ジャムなどの障害が発生して装置が起動できない状態などを知ることができる。このとき、外部カメラで撮影された画像も表示されるから、これらの時間や装置付近の状態、その装置を取り扱っている係員や顧客の状態といった他の情報とあわせて表示できるようにすることで、表示される情報の信憑性を高めることができる。
【0044】
なお、異常表示画面に表示されるデータとしては、上述した各データを適宜選択することができ、例えば、紙幣の記番号の表示および一致・不一致の情報、紙幣の全体の画像情報などを適宜選択し、また、紙幣や取引状態に関連する各種情報を適宜加えてもよい。
【0045】
(3)−3 出金処理
次に出金処理について説明する。
図17は出金処理を説明するフローチャート、
図18および
図19は紙幣入出金装置1の出金処理における動作を説明する説明図である。
図17のステップS202にて、係員が情報入力部1Iから出金操作の選択を行い、さらに、出金金額を情報入力部1Iから入力すると、ステップS204にて、入力金額に対応して、紙幣がリサイクル庫40(40A〜40D)から指定の枚数だけ順次繰り出され、紙幣識別部20へ搬送される。すなわち、
図18に示すように、リサイクル庫40(40A〜40D)から繰り出された紙幣は、搬送路60L,60J,60D,60Cを介して紙幣識別部20へ搬送される。このとき、ゲート機構72は、紙幣を搬送路60Cへ搬送する方向へ切り換えている。続くステップS206では、入金処理と同様に、紙幣識別部20により入金処理と同様に紙幣が識別され、端末制御部1Cおよび上位制御部100へ信号が送られる。
【0046】
続くステップS208にて、紙幣が正常に搬送されていると判定された場合には、ステップS210に進み、紙幣は出金部30へ搬送される。すなわち、
図18に示すように、紙幣が搬送路21から搬送路60B,60I,60F,60Hを通って出金部30へ搬送される。このとき、ゲート機構71,73,74は、それぞれ切り換えられている。
【0047】
一方、ステップS208にて、紙幣が正常でないと判定されたときには、ステップS212に進み、紙幣は、前部紙幣収納機構1Fの装填回収庫50へ搬送される。このとき、ゲート機構74は、装填回収庫50へ搬送と判断された紙幣が搬送されてきたタイミングで該紙幣を搬送路60Gへ搬送するように切り換えられる。続くステップS214にて、出金金額がステップS202で入力された金額だけ搬送されていないとき、つまり、出金される紙幣に装填回収庫50へ搬送される紙幣があると判定された場合には、ステップS204へ戻り、該紙幣と同じ金種の紙幣を同じ枚数だけ追加して繰り出す。そして、ステップS214にて、出金金額が出金部30に全て搬送されたときには、ステップS216へ進み、出金部30の扉を開き、さらにステップS218にて、全ての紙幣が取り出されたときに、出金処理を終了し、一方、紙幣が取り出されていない場合に、ステップS220にて取り忘れ処理をする。取り忘れ処理は、情報表示部1Dに表示したり、警告音を出すことにより行なうことができる。
【0048】
(3)−4 紙幣の回収処理
図20は紙幣入出金装置1による紙幣の回収処理を説明する説明図である。回収処理は、基本的には紙幣の装填動作の逆である。すなわち、紙幣の回収プログラムにより、該当するリサイクル庫40から紙幣が一枚ずつ繰り出され、下部紙幣収納機構の搬送路60L、連結搬送機構1Tuの搬送路60J、さらに上部紙幣処理機構1Uの搬送路60D,60Cを経て紙幣識別部20へ搬送され、さらに搬送路21,60B,60I,60F,60Gを経て前部紙幣収納機構1Fへ搬送され、装填回収庫50へ回収される。このとき、回収動作の場合には、還流しない紙幣を収納したリサイクル庫40Eからも繰り出されて紙幣が回収される。なお、紙幣識別部20により、紙幣がリジェクト紙幣であると判定された場合には、出金部30へ搬送する。係員は、このように回収処理時に出金部30へ搬送された紙幣を、一旦、手作業で別の保管庫などへ移し、この紙幣の金額や金種などの情報を入力すれば、係員が責任を持つ最終の金額情報は、紙幣入出金装置1で管理できる。
【0049】
(4) 実施例の作用・効果
上記実施例の構成により、上述した効果のほか、以下の効果を奏する。
【0050】
(4)−1 図に示すように、紙幣入出金装置1は、紙幣を多量に装填した下部紙幣収納機構1Lの上部に、係員が操作するための上部紙幣処理機構1Uを載置し、下部紙幣収納機構1Lの前方であって係員側に前部紙幣収納機構1Fを配置しているので、係員による上部紙幣処理機構1Uによる入出金などの現金を直接扱う作業が容易であるとともに、下部紙幣収納機構1Lが前部紙幣収納機構1Fでブロックされて係員がサクセスすることが容易でなく、セキュリティを高めることができる。
【0051】
(4)−2 金庫筐体1Sは、大量の紙幣を装填した下部紙幣収納機構1Lを収納してセキュリティを高めている。一方、少量の紙幣や一時的な紙幣の装填のためにしか使用しない前部紙幣収納機構1Fは金庫筐体1Sに内蔵されていないから、前部紙幣収納機構1Fへのアクセスが容易であり、操作性に優れている。つまり、セキュリティと操作性とを両立させることができる。
【0052】
(4)−3 上部紙幣処理機構1Uは、入金部10および出金部30が係員に対面した位置に配置され、紙幣識別部20が入金部10および紙幣識別部20の奥側、つまり係員と離れている位置に配置されているので、係員の操作性と構成のコンパクト化を両立させている。
【0053】
(4)−4 上部紙幣処理機構1U、下部紙幣収納機構1Lおよび前部紙幣収納機構1Fとの間で紙幣を搬送する搬送機構は、上部紙幣処理機構1Uの下面中央部で下部紙幣収納機構1Lに接続され、上部紙幣処理機構1Uの前部で前部紙幣収納機構1Fに接続されているので、紙幣の搬送路が短くなり、構成を簡単にできる。
【0054】
(4)−5 従来の紙幣入出金装置1では、入金処理時に取消返却が発生した場合に、紙幣の現物返却のために、一時保管庫を設けているが、本実施例にかかる紙幣入出金装置1は、係員が直接取扱い、顧客から現金を受け取ったときに、取引が成立していることに着目し、入金処理の際に、入金した紙幣を一時的に保管するための一時保管庫を廃止したことにより、上部紙幣処理機構1Uなどの構成を簡単にでき、小型化を実現することができる。
【0055】
(4)−6 入金処理における一時的保管庫を設けなくても、リサイクル庫40から紙幣の返却を行なうから、入金処理の際の返却処理に支障がない。
【0056】
(4)−7 入金処理の際に、リサイクル庫40から紙幣の返却を行なう場合に、図に示すように、返却紙幣が入金紙幣に一致しているかの判定を行ない、一致している場合にはそのまま現物紙幣の返却を行ない、一致していない場合には、不一致である旨の警告などを行なうから、取引の安全性を高めることができる。
【0057】
(5) 他の実施例
(5)−1
図21は他の実施例にかかる取消返却処理を説明するフローチャートである。本取消返却処理は、前部紙幣収納機構1F内の装填回収庫50を用いて、リサイクル庫40から出金部30へ搬送する途中に異常があった場合に装填回収庫50に一時的に保管して、再度、紙幣の識別をしてからリサイクル庫40に戻す構成に特徴を有する。すなわち、取消返却操作の入力の後に、リサイクル庫40から紙幣が一枚ずつ紙幣識別部20へ繰り出され(ステップS242)、搬送異常がないとき(ステップS244)、紙幣識別部20により紙幣の情報が取り込まれ(ステップS246)、さらに紙幣の記番号などが比較される(ステップS248)。続くステップS250の判定により、入金処理の場合と取消返却の場合の対応すべき紙幣において、例えば紙幣の記番号といった紙幣の情報が一致しているか否かが判定される。一致していれば、出金部30へ搬送されて異常信号なしを発生し、一方、一致してない場合には、装填回収庫50に搬送され、異常信号を発生する。入金紙幣がすべて搬送された場合には(ステップS260)、装填回収庫50に紙幣があるかについて判定され(ステップS262)、肯定判定の場合には、
図16(B)に示すような紙幣の情報が表示され(ステップS264)、取消異常処理が実行される(ステップS266)。
【0058】
図22は取消返却時に異常処理された紙幣の処理を説明するフローチャートである。ステップS270にて、装填回収庫50に一時保管されている紙幣は、紙幣識別部20を介して、リサイクル庫40へ戻される。このとき、搬送異常がない場合には(ステップS272)、紙幣識別部20により紙幣の情報を取得し(ステップS274)、さらに返却紙幣が入金紙幣と比較される(ステップS276)。そして、ステップS278にて、装填回収庫50に保管されていた紙幣が、入金紙幣に一致しているかについて判定し(ステップS278)、一致している場合には入金時一致信号を発生させる(ステップS280)。一致していない場合には、さらに取消返却した紙幣に一致しているかについて判定する(ステップS282)。S282の判定で一致しているときには、取消返却時一致信号を発生させる(ステップS284)。そして、すべての紙幣の搬送を終えた後に(ステップS288)、少なくとも1枚は入金時一致信号がある場合、つまり、リサイクル庫40から装填回収庫50へ戻す紙幣が、少なくとも1枚入金時における紙幣と一致する場合には(ステップS290)、再度取消返却の動作を行うための信号を発生させる(ステップS292)。これにより、装填回収庫50からリサイクル庫40に戻された紙幣で少なくとも1枚入金紙幣と一致する紙幣が検出されたときには紙幣の入金時の返却処理を再度、行なうことができ、入金紙幣の取消返却を行うことができる。なお、この動作の際にも先の
図16(A)、
図16(B)で示したように情報表示部1Dに紙幣識別部を通過した紙幣の画像情報などを表示させるようにしてもよい。そうすることで、係員が入金時に投入された紙幣の現物を識別することが容易となる。
【0059】
(5)−2
図9で説明した装填処理は、取り扱う紙幣の枚数が少ない場合には、入金処理と同様に、つまり入金部10に紙幣を投入して、情報入力部1Iから装填指令を入力することで、リサイクル庫40に搬送する方法をとってもよい。また、回収処理は、紙幣が少額の場合には、出金処理と同様に、つまり情報入力部1Iから回収指令を入力することで、リサイクル庫40から出金部30に紙幣を搬送する処理であってもよい。
【0060】
B.第2実施例
(1) 紙幣入出金装置1Bの構成
本実施例は、前部紙幣収納機構1Fの装填回収庫50に2つの機能、つまり、紙幣の装填処理の他に、入金処理の際における紙幣を一時的に保管する一時保管庫として利用する構成に特徴を有する。
図23は紙幣入出金装置1Bの内部の構成を説明する説明図である。紙幣入出金装置1Bは、第1実施例とほぼ同様な構成であるが、ゲート機構74Bが、装填回収庫50から出金部30へも紙幣を直接搬送可能に、3方向切換機構を用いている構成が異なっている。
【0061】
図24はゲート機構74Bを説明する説明図である。
図24において、ゲート機構74Bは、搬送路60Gから搬送路60Hへの一方向搬送モード(
図24)と、搬送路60Fと搬送路60Gとの間の双方向搬送モードと(
図25(A))と、搬送路60Fから搬送路60Hへの一方向搬送モード(
図25(B))とを切り換える構成である。すなわち、ゲート機構74Bは、く字形のゲート手段81と、このゲート手段81が固定して取り付けられている第1回転軸手段82と、この第1回転軸手段82に固定して取り付けられたブラケット83と、このブラケット83の一部に取り付けられた第1ピン84と、この第1ピン84に対して回転自在に動く第1リンク手段85と、この第1リンク手段85に連結して取り付けられた上記ゲート手段81を駆動するソレノイドから構成される第1駆動手段86と、上記ブラケット83の一部にその一端が取り付けられたばね手段87と、上記ブラケット83の一部に接触するように取り付けた停止部材88と、この停止部材が回転するための第2回転軸手段89と、この第2回転軸手段89の一部に取り付けた第2ピン90と、この第2ピン90に対して回転自在に動く第2リンク手段91と、この第2リンク手段91に連結して取り付けられ停止部材88を駆動するソレノイドから構成される第2駆動手段92と、上記停止部材88の一部にその一端が取り付けられたばね手段93と、く字形のゲート手段81と軸方向に入れ子状に配置された固定ゲート手段94とを備えている。
【0062】
このゲート機構74Bの構成により、3つのモードに切り換えられる。すなわち、
図24において、ゲート機構74Bは、第1および第2駆動手段86,92を非励磁とした場合には、ばね手段87,93の付勢力により、搬送路60Gから搬送路60Hへ紙幣が搬送される位置になる。また、
図25(A)において、ゲート機構74Bは、第1駆動手段86を励磁し、第2駆動手段92を非励磁とすると、第1リンク手段85を介してゲート手段81が
図24の状態から時計方向に回動し、搬送路60Fと搬送路60Gとの間双方向に紙幣が搬送される位置になる。さらに、
図25(B)において、ゲート機構74Bは、第2駆動手段92を励磁し、第1駆動手段86を非励磁とすると、停止部材88がゲート手段81に当たって、ゲート手段81が
図24の状態から反時計方向に回動し、搬送路60Fから搬送路60Hに沿って紙幣が搬送される位置になる。
【0063】
(2) 入金処理
紙幣入出金装置1Bによる入金処理について説明する。本処理は、入金処理時に、装填回収庫50を一時保管庫として利用する設定が行なわれる。
図26は一時保管庫の設定処理を説明するフローチャートである。
図26において、ステップS302にて、係員が情報入力部1Iにより、前部紙幣収納機構1Fの装填回収庫50を一時的な紙幣の保管庫とするための設定画面が表示される。続くステップS304にて、係員が情報入力部1Iから入金操作の選択を行なうと、ステップS306にて、入力データに基づいて一時保管庫とするか否かの判定が実行され、肯定判定の場合には、ステップS308にて、装填回収庫50を一時的な紙幣保管庫として運用するプログラムが実行され、一方、否定判定の場合には、ステップS310にて、第1実施例のような通常処理を行なうためのプログラムが実行される。
【0064】
図27および
図28は入金処理を説明するフローチャートである。本入金処理は、第1実施例にかかる
図11の入金処理に対して、入金部10に投入された紙幣の搬送先が、リサイクル庫40の代わりに、装填回収庫50へ送るために、ステップS330の処理が主に異なっている。すなわち、入金指令(ステップS322)、入金部10から紙幣識別部20への紙幣の搬送(ステップS324)、紙幣識別部20による紙幣の情報の取得(ステップS328)を経た後に、紙幣が正常か否かを判定し(ステップS328)、紙幣が正常である場合には、ステップS330へ進む。ステップS330では、
図23に示すように、ゲート機構72が搬送路60Cから搬送路60Eへ、さらにゲート機構74Bが前部紙幣収納機構1Fへ紙幣を搬送するように切り換えられる。これにより、紙幣は、搬送路60E,60F,60Gを介して前部紙幣収納機構1Fへ搬送され、装填回収庫50に収納される。一方、ステップS328にて、紙幣がリジェクト紙幣であると判定されると、ステップS332に進み、実施例1と同様に、出金部30に搬送される。
【0065】
続くステップS334にて、出金部30に紙幣があるか否かが判定され、紙幣がある場合には、ステップS336にてリジェクト処理、つまり、係員に警告を出して再度の入金部10への紙幣の投入を促す。さらに、ステップS334にて、出金部30に紙幣がない場合には、ステップS338にて入金額の表示を確認するための表示がされる。ステップS340にて、係員の入力により、紙幣の確認がされた場合には、ステップS342にて紙幣の装填処理が実行される。紙幣の装填処理は、
図9で説明した装填回収庫50からリサイクル庫40へ紙幣を搬送する処理である。
【0066】
一方、ステップS340にて、否定判定された場合には、ステップS350にて、装填回収庫50から出金部30へ紙幣を戻す取消返却処理が実行される。
図28は紙幣の取消返却処理を説明するフローチャートである。ステップS352にて、
図29に示すように、ゲート機構74Bが搬送路60Gから搬送路60Hへ紙幣を出金部30へ返却可能なように切り換えられる。続くステップS354にて、一時保管庫として代換させている装填回収庫50に収納されている紙幣を、搬送路60M,60K,60G,60Hを介して紙幣を出金部30へ搬送する。ステップ356にて、装填回収庫50に紙幣が全て繰り出されたと判定されたときに、ステップS358へ進む。そして、ステップS358にて取消動作が正常に行なわれなかった場合には、ステップS360にて警報などの異常処理を実行する。これにより、装填回収庫50に一時的に保管された紙幣は、出金部30へ戻される。このように出金部30に戻された紙幣は、係員によって取り出されて、顧客に返却するか、再度、入金処理を実行することになる。
【0067】
(3) 実施例の作用・効果
上記実施例の構成により、第1実施例の作用・効果のほかに、以下の効果を奏する。
(3)−1 本実施例では、紙幣入出金装置1Bによると、前部紙幣収納機構1Fの装填回収庫50として、本来的な使用のほかに、搬送機構60の切換制御により、入金処理の際の一時保管庫としても利用しているので、従来の一時保管庫が上部紙幣処理機構1Uにある場合の入金処理のやり方を維持しつつも構成を簡単で小型化を実現することができる。
【0068】
(3)−2 入金処理の際に、一時保管庫として使用された装填回収庫50の紙幣は、リサイクル庫40に収納されず、ゲート機構74を介して直接、出金部30に送られるから、取引取消の際に、入金と同じ紙幣を戻すことができる。
【0069】
C.他の実施例
この発明は上記実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0070】
(1)
図30ないし
図33は他の実施例にかかる前部紙幣処理機構の変形例をそれぞれ説明する説明図である。
図30において、前部紙幣収納機構1F−Aは、装填回収庫150と、装填回収庫150へ紙幣を双方向に搬送するための集積分離機構150Fと、装填回収庫150の上方にリジェクト庫152とを備えている。リジェクト庫152の前面側、つまり操作側には、開閉扉154が配置されている。開閉扉154は、ロック機構のロックを解除することでリジェクト庫152にアクセス可能に設けられている。この構成により、係員は、入金処理時に、出金部にリジェクト紙幣が搬送されたときに、手作業でリジェクト紙幣を取り出し、ロック機構のロックを解除して開閉扉154を開けて、リジェクト紙幣をリジェクト庫152へ直接収納することができる。この場合において、手作業で確認した紙幣の金額や金種などの情報を情報入力部から入力し上位制御部へ送信すると、係員が責任を持つ金額情報は紙幣入出金装置で管理できる。なお、
図31の前部紙幣収納機構1F−Bに示すように、搬送機構150F−Bの構成として、装填回収庫150−Bに紙幣を搬入する一方向の搬送路だけで構成してもよい。この場合には、紙幣の繰り出しに必要な機構が不要となるために、前部紙幣収納機構の簡素化、小型化、軽量化、低コスト化が可能である。
【0071】
(2)
図32において、前部紙幣収納機構1F−Cは、装填回収庫150−Cと、装填回収庫150−Cと分離可能な集積分離機構150F−Cとを備えている。集積分離機構150F−Cは、装填回収庫150−Cと分離される構造となっていることから、装填回収庫150−Cだけを前部紙幣収納機構1Fから取り出し可能である。また、前部紙幣収納機構1F−Cの前面には、開閉扉154−Cが配置されている。これにより、係員が装填や回収する紙幣は、開閉扉154−Cを開けることにより、装填回収庫150−C全体を持ち出しや持込みが可能となる。この装填回収庫150−Cは、集積分離機構150F−Cが一体になっていないので、小型化や軽量化を図ることができ、しかも持ち運びが容易となる。
【0072】
(3)
図33において、前部紙幣収納機構1F−Dは、装填回収庫150−Dと、装填回収庫150−Dの上方に配置されたリジェクト庫154−Dと、装填回収庫150−Dおよびリジェクト庫154−Dにそれぞれ紙幣を搬送する搬送路60Mと、外部から手作業で取扱可能であるリジェクト庫152−Dと、搬送路60Mとを備えている。搬送路60Mには、装填回収庫150−Dとリジェクト庫154−Dとに紙幣の搬送先を切り換えるゲート機構70Fが設けられており、また、装填回収庫150−Dには、紙幣の繰り出すための紙幣繰り出し機構150−Daが設けられている。これにより、装填回収庫150−Dは、搬送路60Mに対して紙幣を双方向に搬送可能であり、一方、リジェクト庫154−Dは、紙幣を収納する方向だけに搬送可能である。
【0073】
前部紙幣収納機構1F−Dの構成により、出金処理の際に搬送された紙幣が複数枚重なっている場合や、汚れなどで正常紙幣と認識されなかった紙幣をリジェクト庫154−Dへ搬送することができ、装填回収庫150−Dを一時保管庫として利用することできる。これにより、一度、リジェクトされた紙幣をリサイクル庫へ再度搬送して収納することなく、リジェクト庫154−Dに保管することができる。なお、リジェクト庫152−Dは、前述したものと同じく、入金処理時に出金部にリジェクト紙幣が搬送されたときに、係員が手作業でリジェクト紙幣を取り出し、ロック機構のロックを解除して開閉扉154を開けて、リジェクト紙幣をリジェクト庫152へ直接収納するために設けられている。そして、手作業で確認した紙幣の金額や金種などの情報を情報入力部から入力し上位制御部へ送信すると、係員が責任を持つ金額情報は紙幣入出金装置で管理することができる。