特許第5807104号(P5807104)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5807104タッチ検出装置およびその駆動方法、タッチ検出機能付き表示装置、ならびに電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5807104
(24)【登録日】2015年9月11日
(45)【発行日】2015年11月10日
(54)【発明の名称】タッチ検出装置およびその駆動方法、タッチ検出機能付き表示装置、ならびに電子機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20151021BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20151021BHJP
【FI】
   G06F3/041 422
   G06F3/041 412
   G06F3/041 512
   G06F3/044 129
【請求項の数】7
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2014-190602(P2014-190602)
(22)【出願日】2014年9月18日
(62)【分割の表示】特願2010-214188(P2010-214188)の分割
【原出願日】2010年9月24日
(65)【公開番号】特開2015-28801(P2015-28801A)
(43)【公開日】2015年2月12日
【審査請求日】2014年9月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(74)【代理人】
【識別番号】100118762
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 順
(72)【発明者】
【氏名】安住 康平
(72)【発明者】
【氏名】木田 芳利
(72)【発明者】
【氏名】野口 幸治
(72)【発明者】
【氏名】石崎 剛司
【審査官】 岩橋 龍太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−092275(JP,A)
【文献】 特開2010−072743(JP,A)
【文献】 特開2010−039602(JP,A)
【文献】 特開平06−250787(JP,A)
【文献】 特開2010−020443(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に延在するように並設された複数の駆動電極と、
前記駆動電極の延在方向と直交する方向に延在し、その交差部分に静電容量を形成するように配置された検出電極と、
前記複数の駆動電極から駆動対象電極を所定の複数本ずつ時分割的に順次選択し、その選択された駆動対象電極に対して外部近接物体を検出するための複数のパルス波形を有するタッチ検出駆動信号を印加することにより走査駆動を行う走査駆動部と、を備え、
前記複数の駆動電極は、同時に駆動される当該駆動電極を接続してなる互いに異なる幅をもつ複数の種類の駆動電極を含み、
前記走査駆動の走査ピッチが、所定の駆動範囲に応じて前記複数の種類の駆動電極を組み合わせた前記複数の種類の駆動電極の合計幅である、タッチ検出装置。
【請求項2】
前記検出電極の検出信号を前記駆動信号の前記複数のパルス波形の遷移に対応したタイミングでサンプリングすることにより外部近接物体を検出するタッチ検出部をさらに備えた、請求項1に記載のタッチ検出装置。
【請求項3】
前記タッチ検出部は、走査駆動部が前記駆動対象電極を駆動するごとに、その駆動された駆動対象電極に対応する領域についての外部近接物体の検出を完了する、請求項2に記載のタッチ検出装置。
【請求項4】
前記タッチ検出部は、順次選択された前記駆動対象電極ごとに得られた全ての検出結果に基づいてタッチ位置を求める、請求項3に記載のタッチ検出装置。
【請求項5】
一方向に延在するように並設され、同時に駆動される当該駆動電極を接続してなる互いに異なる幅をもつ複数の種類の駆動電極を含む複数の駆動電極から駆動対象電極を所定の複数本ずつ時分割的に順次選択し、その選択された駆動対象電極に対して外部近接物体を検出するための複数のパルス波形を有するタッチ検出駆動信号を印加し、走査ピッチが、所定の駆動範囲に応じて前記複数の種類の駆動電極を組み合わせた前記複数の種類の駆動電極の合計幅となるように走査駆動を行い、
前記駆動電極の延在方向と直交する方向に延在し、その交差部分に静電容量を形成するように配置された検出電極の検出信号に基づいて外部近接物体を検出する、タッチ検出装置の駆動方法。
【請求項6】
一方向に延在するように並設された複数の駆動電極と、
前記駆動電極の延在方向と直交する方向に延在し、その交差部分に静電容量を形成するように配置された検出電極と、
画素信号および表示駆動信号に基づいて表示を行う表示素子と、
前記複数の駆動電極に対して、前記表示駆動信号を時分割的に順次印加する第1の走査駆動と、前記複数の駆動電極から駆動対象電極を所定の複数本ずつ時分割的に順次選択し、その選択された駆動対象電極に対して外部近接物体を検出するための複数のパルス波形を有するタッチ検出駆動信号を印加する第2の走査駆動とを行う走査駆動部と
を備え、
前記複数の駆動電極は、同時に駆動される当該駆動電極を接続してなる互いに異なる幅をもつ複数の種類の駆動電極を含み、
前記走査駆動の走査ピッチが、所定の駆動範囲に応じて前記複数の種類の駆動電極を組み合わせた前記複数の種類の駆動電極の合計幅である、タッチ検出機能付き表示装置。
【請求項7】
タッチ検出装置と、
前記タッチ検出装置を利用した動作制御を行う制御部と
を備え、
前記タッチ検出装置は、
一方向に延在するように並設された複数の駆動電極と、
前記駆動電極の延在方向と直交する方向に延在し、その交差部分に静電容量を形成するように配置された検出電極と、
前記複数の駆動電極から駆動対象電極を所定の複数本ずつ時分割的に順次選択し、その選択された駆動対象電極に対して外部近接物体を検出するための複数のパルス波形を有するタッチ検出駆動信号を印加することにより走査駆動を行う走査駆動部と
を有し、
前記複数の駆動電極は、同時に駆動される当該駆動電極を接続してなる互いに異なる幅をもつ複数の種類の駆動電極を含み、
前記走査駆動の走査ピッチが、所定の駆動範囲に応じて前記複数の種類の駆動電極を組み合わせた前記複数の種類の駆動電極の合計幅である、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチ検出装置に係り、特に外部近接物体による静電容量の変化に基づいてタッチを検出するタッチ検出装置およびその駆動方法、そのようなタッチ検出装置を備えたタッチ検出機能付き表示装置、ならびに電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、いわゆるタッチパネルと呼ばれる接触検出装置を液晶表示装置等の表示装置上に装着し、あるいはタッチパネルと表示装置とを一体化し、その表示装置に各種のボタン画像等を表示させることにより、通常の機械式ボタンの代わりとして情報入力を可能とした表示装置が注目されている。このようなタッチパネルを有する表示装置は、キーボードやマウス、キーパッドのような入力装置を必要としないため、コンピュータのほか、携帯電話のような携帯情報端末などでも、使用が拡大する傾向にある。
【0003】
タッチ検出装置の方式としては、光学式や抵抗式などいくつかの方式が存在するが、比較的単純な構造をもち、かつ低消費電力が実現できる、静電容量式のタッチ検出装置が期待されている。例えば、特許文献1には、表示装置にもともと備えられている表示用の共通電極を、一対のタッチセンサ用電極のうちの一方の電極(駆動電極)として兼用し、他方の電極(タッチ検出電極)をこの共通電極と交差するように配置した表示装置が提案されている。この駆動電極とタッチ検出電極との間には静電容量が形成され、外部近接物体に応じてその静電容量が変化する。この表示装置は、これを利用して、駆動電極に駆動信号を印加したときにタッチ検出電極に現れるタッチ検出信号を解析することにより、外部近接物体を検出するようになっている。この表示装置では、共通電極(駆動電極)に駆動信号を順次印加し、線順次走査を行うことにより表示動作が行われるとともに、その駆動信号に応じてタッチ検出電極に現れるタッチ検出信号を解析することによりタッチ検出動作が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−244958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、タッチ検出装置の重要な特性として、タッチに対する検出感度と、タッチ位置を検出する際の位置分解能がある。静電容量式のタッチ検出装置において、検出感度を高めるためには、例えば、駆動電極の幅を太くする方法が考えられる。しかしながら、この場合には、タッチ検出走査の走査ピッチが広くなり、走査が粗くなってしまうため、位置分解能が低下してしまうおそれがある。
【0006】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、タッチに対する検出感度を高めつつ、高い位置分解能を実現できるタッチ検出装置およびその駆動方法、タッチ検出機能付き表示装置、ならびに電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のタッチ検出装置は、一方向に延在するように並設された複数の駆動電極と、前記駆動電極の延在方向と直交する方向に延在し、その交差部分に静電容量を形成するように配置された検出電極と、前記複数の駆動電極から駆動対象電極を所定の複数本ずつ時分割的に順次選択し、その選択された駆動対象電極に対して外部近接物体を検出するための複数のパルス波形を有するタッチ検出駆動信号を印加することにより走査駆動を行う走査駆動部と、を備え、前記複数の駆動電極は、同時に駆動される当該駆動電極を接続してなる互いに異なる幅をもつ複数の種類の駆動電極を含み、前記走査駆動の走査ピッチが、所定の駆動範囲に応じて前記複数の種類の駆動電極を組み合わせた前記複数の種類の駆動電極の合計幅である。
【0008】
本発明のタッチ検出装置においては、前記検出電極の検出信号を前記駆動信号の前記複数のパルス波形の遷移に対応したタイミングでサンプリングすることにより外部近接物体を検出するタッチ検出部をさらに備えたことが好ましい。
【0009】
本発明のタッチ検出装置においては、前記タッチ検出部は、走査駆動部が前記駆動対象電極を駆動するごとに、その駆動された駆動対象電極に対応する領域についての外部近接物体の検出を完了することが好ましい。
【0010】
本発明のタッチ検出装置においては、前記タッチ検出部は、順次選択された前記駆動対象電極ごとに得られた全ての検出結果に基づいてタッチ位置を求めることが好ましい。
【0011】
本発明のタッチ検出装置の駆動方法は、一方向に延在するように並設され、同時に駆動される当該駆動電極を接続してなる互いに異なる幅をもつ複数の種類の駆動電極を含む複数の駆動電極から駆動対象電極を所定の複数本ずつ時分割的に順次選択し、その選択された駆動対象電極に対して外部近接物体を検出するための複数のパルス波形を有するタッチ検出駆動信号を印加し、走査ピッチが、所定の駆動範囲に応じて前記複数の種類の駆動電極を組み合わせた前記複数の種類の駆動電極の合計幅となるように走査駆動を行い、前記駆動電極の延在方向と直交する方向に延在し、その交差部分に静電容量を形成するように配置された検出電極の検出信号に基づいて外部近接物体を検出する。
【0012】
本発明のタッチ検出機能付き表示装置は、一方向に延在するように並設された複数の駆動電極と、前記駆動電極の延在方向と直交する方向に延在し、その交差部分に静電容量を形成するように配置された検出電極と、画素信号および表示駆動信号に基づいて表示を行う表示素子と、前記複数の駆動電極に対して、前記表示駆動信号を時分割的に順次印加する第1の走査駆動と、前記複数の駆動電極から駆動対象電極を所定の複数本ずつ時分割的に順次選択し、その選択された駆動対象電極に対して外部近接物体を検出するための複数のパルス波形を有するタッチ検出駆動信号を印加する第2の走査駆動とを行う走査駆動部とを備え、前記複数の駆動電極は、同時に駆動される当該駆動電極を接続してなる互いに異なる幅をもつ複数の種類の駆動電極を含み、前記走査駆動の走査ピッチが、所定の駆動範囲に応じて前記複数の種類の駆動電極を組み合わせた前記複数の種類の駆動電極の合計幅である。
【0013】
本発明の電子機器は、タッチ検出装置と、前記タッチ検出装置を利用した動作制御を行う制御部とを備え、前記タッチ検出装置は、一方向に延在するように並設された複数の駆動電極と、前記駆動電極の延在方向と直交する方向に延在し、その交差部分に静電容量を形成するように配置された検出電極と、前記複数の駆動電極から駆動対象電極を所定の複数本ずつ時分割的に順次選択し、その選択された駆動対象電極に対して外部近接物体を検出するための複数のパルス波形を有するタッチ検出駆動信号を印加することにより走査駆動を行う走査駆動部とを有し、前記複数の駆動電極は、同時に駆動される当該駆動電極を接続してなる互いに異なる幅をもつ複数の種類の駆動電極を含み、前記走査駆動の走査ピッチが、所定の駆動範囲に応じて前記複数の種類の駆動電極を組み合わせた前記複数の種類の駆動電極の合計幅である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、タッチに対する検出感度を高めつつ、高い位置分解能を実現できるタッチ検出装置およびその駆動方法、タッチ検出機能付き表示装置、ならびに電子機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明のタッチ検出装置におけるタッチ検出方式の基本原理を説明するための図であり、指が接触または近接していない状態を表す図である。
図2】本発明のタッチ検出装置におけるタッチ検出方式の基本原理を説明するための図であり、指が接触または近接した状態を表す図である。
図3】本発明のタッチ検出装置におけるタッチ検出方式の基本原理を説明するための図であり、駆動信号およびタッチ検出信号の波形の一例を表す図である。
図4】本発明の第1の実施の形態に係るタッチ検出装置の一構成例を表すブロック図である。
図5図4に示したタッチ検出デバイスの駆動電極およびタッチ検出電極の一構成例を表す斜視図である。
図6図4に示したタッチ検出装置の走査駆動の一動作例を表す模式図である。
図7図4に示したタッチ検出装置の一動作例を表すタイミング波形図である。
図8】比較例に係るタッチ検出装置の走査駆動の一動作例を表す模式図である。
図9】比較例に係るタッチ検出装置の走査駆動の一動作例を表す模式図である。
図10】第2の実施の形態に係るタッチ検出デバイスの駆動電極の一構成例を表す平面図である。
図11】第3の実施の形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の一構成例を表すブロック図である。
図12図11に示したタッチ検出機能付き表示デバイスの概略断面構造を表す断面図である。
図13図11に示したタッチ検出機能付き表示デバイスの画素配列を表す回路図である。
図14】実施の形態を適用したタッチ検出装置のうち、適用例1の外観構成を表す斜視図である。
図15】適用例2の外観構成を表す斜視図である。
図16】適用例3の外観構成を表す斜視図である。
図17】適用例4の外観構成を表す斜視図である。
図18】適用例5の外観構成を表す正面図、側面図、上面図および下面図である。
図19】変形例に係るタッチ検出機能付き表示デバイスの概略断面構造を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.静電容量式タッチ検出の基本原理
2.第1の実施の形態(タッチ検出装置)
3.第2の実施の形態(タッチ検出装置)
4.第3の実施の形態(タッチ検出機能付き表示装置)
5.適用例
【0017】
<1.静電容量式タッチ検出の基本原理>
まず最初に、図1図3を参照して、本発明のタッチ検出装置におけるタッチ検出の基本原理について説明する。このタッチ検出方式は、静電容量式のタッチセンサとして具現化されるものであり、例えば図1(A)に示したように、誘電体Dを挟んで互いに対向配置された一対の電極(駆動電極E1およびタッチ検出電極E2)を用い、容量素子を構成する。この構造は、図1(B)に示した等価回路として表される。駆動電極E1、タッチ検出電極E2および誘電体Dによって、容量素子C1が構成される。容量素子C1は、その一端が交流信号源(駆動信号源)Sに接続され、他端Pは抵抗器Rを介して接地されると共に、電圧検出器(タッチ検出回路)DETに接続される。交流信号源Sから駆動電極E1(容量素子C1の一端)に所定の周波数(例えば数kHz〜数十kHz程度)の交流矩形波Sg(図3(B))を印加すると、タッチ検出電極E2(容量素子C1の他端P)に、図3(A)に示したような出力波形(タッチ検出信号Vdet)が現れる。なお、この交流矩形波Sgは、後述するタッチ検出駆動信号Vcomtに相当するものである。
【0018】
指が接触(または近接)していない状態では、図1に示したように、容量素子C1に対する充放電に伴って、容量素子C1の容量値に応じた電流I0が流れる。このときの容量素子C1の他端Pの電位波形は、例えば図3(A)の波形V0のようになり、これが電圧検出器DETによって検出される。
【0019】
一方、指が接触(または近接)した状態では、図2に示したように、指によって形成される容量素子C2が容量素子C1に直列に追加された形となる。この状態では、容量素子C1、C2に対する充放電に伴って、それぞれ電流I1、I2が流れる。このときの容量素子C1の他端Pの電位波形は、例えば図3(A)の波形V1のようになり、これが電圧検出器DETによって検出される。このとき、点Pの電位は、容量素子C1、C2を流れる電流I1、I2の値によって定まる分圧電位となる。このため、波形V1は、非接触状態での波形V0よりも小さい値となる。電圧検出器DETは、検出した電圧を所定のしきい値電圧Vthと比較し、このしきい値電圧以上であれば非接触状態と判断する一方、しきい値電圧未満であれば接触状態と判断する。このようにして、タッチ検出が可能となる。
【0020】
<2.第1の実施の形態>
[構成例]
(全体構成例)
図4は、本発明の第1の実施の形態に係るタッチ検出装置の一構成例を表すものである。このタッチ検出装置は、互いに交差するように配置された電極の間の静電容量が、外部近接物体により変化することを利用した、静電容量式のものである。なお、本発明の実施の形態に係るタッチ検出装置の駆動方法は、本実施の形態により具現化されるので、併せて説明する。
【0021】
このタッチ検出装置1は、制御部11と、駆動電極ドライバ14と、タッチ検出デバイス30と、タッチ検出部40とを備えている。
【0022】
制御部11は、駆動電極ドライバ14およびタッチ検出部40に対してそれぞれ制御信号を供給し、これらがお互いに同期して動作するように制御する回路である。
【0023】
駆動電極ドライバ14は、制御部11から供給される制御信号に基づいて、タッチ検出デバイス30の駆動電極COML(後述)にタッチ検出駆動信号Vcomtを供給する回路である。タッチ検出駆動信号Vcomtは、複数のパルス波形を有する信号である。駆動電極ドライバ14は、後述するように、所定本数の駆動電極COMLに対して、このタッチ検出駆動信号Vcomtを同時に印加するとともに、そのタッチ検出駆動信号Vcomtを印加する駆動電極COMLを、その所定本数よりも少ない本数ずつシフトすることにより走査を行うものである。
【0024】
タッチ検出デバイス30は、上述した静電容量式タッチ検出の基本原理に基づいて動作し、タッチ検出信号Vdetを出力するものである。このタッチ検出デバイス30は、後述するように、駆動電極ドライバ14から供給されるタッチ検出駆動信号Vcomtに従って走査を行い、タッチ検出を行うようになっている。
【0025】
図5は、タッチ検出デバイス30の一構成例を斜視的に表すものである。タッチ検出デバイス30は、駆動電極COMLおよびタッチ検出電極TDLにより構成されている。駆動電極COMLは、図の左右方向に延在し、互いに同じ幅で形成され並設されている。タッチ検出動作を行う際は、各電極パターンには、駆動電極ドライバ14によってタッチ検出駆動信号Vcomtが順次供給され、時分割的に順次走査駆動が行われるようになっている。タッチ検出電極TDLは、駆動電極COMLの電極パターンの延在方向と直交する方向に延びる電極パターンから構成されている。タッチ検出電極TDLの各電極パターンは、タッチ検出部40にそれぞれ接続されている。駆動電極COMLとタッチ検出電極TDLにより互いに交差した電極パターンは、その交差部分に静電容量を形成している。
【0026】
この構成により、タッチ検出デバイス30では、駆動電極ドライバ14が駆動電極COMLに対してタッチ検出駆動信号Vcomtを印加することにより、タッチ検出電極TDLからタッチ検出信号Vdetを出力し、タッチ検出が行われるようになっている。つまり、駆動電極COMLは、図1図3に示したタッチ検出の基本原理における駆動電極E1に対応し、タッチ検出電極TDLは、タッチ検出電極E2に対応するものであり、タッチ検出デバイス30はこの基本原理に従ってタッチを検出するようになっている。図5に示したように、互いに交差した電極パターンは、静電容量式タッチセンサをマトリックス状に構成している。よって、タッチ検出デバイス30のタッチ検出面全体にわたって走査することにより、外部近接物体の接触または近接が生じた位置の検出も可能となっている。
【0027】
タッチ検出部40は、制御部11から供給される制御信号と、タッチ検出デバイス30から供給されたタッチ検出信号Vdetに基づいて、タッチ検出デバイス30に対するタッチの有無を検出し、タッチがある場合においてタッチ検出領域におけるその座標などを求める回路である。このタッチ検出部40はアナログLPF(Low Pass Filter)部42と、A/D変換部43と、信号処理部44と、座標抽出部45と、検出タイミング制御部46とを有している。アナログLPF部42は、タッチ検出デバイス3から供給されるタッチ検出信号Vdetに含まれる高い周波数成分(ノイズ成分)を除去し、タッチ成分を取り出してそれぞれ出力する低域通過アナログフィルタである。アナログLPF部42の入力端子のそれぞれと接地との間には、直流電位(0V)を与えるための抵抗Rが接続されている。なお、この抵抗Rに代えて、例えばスイッチを設け、所定の時間にこのスイッチをオン状態にすることにより直流電位(0V)を与えるようにしてもよい。A/D変換部43は、駆動信号Vcomに同期したタイミングで、アナログLPF部42から出力されるアナログ信号をそれぞれサンプリングしてデジタル信号に変換する回路である。信号処理部44は、A/D変換部43の出力信号に基づいて、タッチ検出デバイス30に対するタッチの有無を検出する論理回路である。座標抽出部45は、信号処理部44においてタッチ検出がなされたときに、そのタッチ位置を補間演算などにより求める論理回路である。検出タイミング制御部46は、これらの回路が同期して動作するように制御するようになっている。
【0028】
ここで、タッチ検出電極TDLは、本発明における「検出電極」の一具体例に対応する。駆動電極ドライバ14は、本発明における「走査駆動部」の一具体例に対応する。
【0029】
[動作および作用]
続いて、本実施の形態のタッチ検出装置1の動作および作用について説明する。
【0030】
(全体動作概要)
まず、図4を参照して、タッチ検出装置1の全体動作概要を説明する。制御部11は、駆動電極ドライバ14およびタッチ検出部40に対してそれぞれ制御信号を供給し、これらがお互いに同期して動作するように制御する。駆動電極ドライバ14は、タッチ検出デバイス30の駆動電極COMLに複数のパルス波形を有するタッチ検出駆動信号Vcomtを順次印加する。タッチ検出デバイス30は、タッチ検出駆動信号Vcomtに基づいてタッチ検出動作を行い、タッチ検出電極TDLからタッチ検出信号Vdetを出力する。アナログLPF部42は、タッチ検出信号Vdetの高い周波数成分を除去して出力する。A/D変換部43は、駆動信号Vcomに同期したタイミングで、アナログLPF部42から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する。信号処理部44は、A/D変換部43の出力信号に基づいて、タッチ検出デバイス30に対するタッチの有無を検出する。座標抽出部45は、信号処理部44においてタッチ検出がなされたときに、そのタッチ位置を求める。検出タイミング制御部46は、アナログLPF部42、A/D変換部43、信号処理部44、座標抽出部45が同期して動作するように制御する。
【0031】
(詳細動作)
次に、走査駆動動作を詳細に説明する。
【0032】
図6は、タッチ検出装置1の走査駆動の一動作例を表すものである。図6に示したように、駆動電極COMLは、互いに同じ幅で形成され並設されている。駆動電極ドライバ14は、所定本数の駆動電極COML(例えば駆動範囲A1)を同時に駆動する。タッチ検出デバイス30では、この所定本数の駆動電極COMLに印加されたタッチ検出駆動信号Vcomtが、静電容量を介してタッチ検出電極TDLに伝わり、タッチ検出信号Vdetとして出力される。すなわち、この所定本数の駆動電極COML(例えば駆動範囲A1)に対応する領域が、タッチ検出面における、その時のタッチ検出領域となり、その領域の幅(タッチ検出幅b)は所定本数の駆動電極COMLの幅と同じである。そして駆動電極ドライバ14は、駆動範囲A1,A2,A3,A4…の順に、駆動電極COMLを時分割的に走査駆動する。すなわち、駆動電極ドライバ14は、走査ピッチaで走査駆動する。この例では、駆動電極ドライバ14は、5本の駆動電極COML(タッチ検出幅b)を同時に駆動し、その駆動に係る駆動電極COMLを4本ずつシフト(走査ピッチa)して走査するようになっている。
【0033】
タッチ検出装置1では、駆動電極の駆動の仕方により走査ピッチaおよびタッチ検出幅bを自由に設定することができる。すなわち、走査ピッチaは、図6において、互いに隣接する駆動範囲(例えば駆動範囲A1と駆動範囲A2)が重なる部分の駆動電極の本数により設定することができる。また、タッチ検出幅bは、各駆動範囲An(nは自然数)における駆動電極の本数により設定することができる。このように、タッチ検出装置1では、走査ピッチaおよびタッチ検出幅bを、それぞれ独立して設定することが可能である。
【0034】
走査ピッチaは、タッチ位置を検出する際の位置分解能と相関がある。すなわち、一般に、走査ピッチaを小さくすると、位置分解能を高くすることができる。一方、タッチ検出幅bは、タッチに対する検出感度と相関がある。一般に、タッチ検出幅bを大きくすると、検出感度を高くすることができる。これは、タッチ検出幅bを大きくすることにより、その面積に応じて、タッチ検出幅bに係る駆動電極COMLからの電気力線の本数が増加するためである。
【0035】
タッチ検出装置1では、走査ピッチaおよびタッチ検出幅bをそれぞれ独立して設定することができるため、位置分解能および検出感度をそれぞれ独立して設定することができる。例えば、検出感度を維持したまま、位置分解能を高くしたい場合には、タッチ検出幅bを維持したまま走査ピッチaを小さくすればよい。一方、例えば、位置分解能を維持したまま、検出感度を高くしたい場合には、走査ピッチaを維持したままタッチ検出幅bを大きくすればよい。また、例えば、位置分解能と検出感度の両方を高くしたい場合には、タッチ検出幅bを大きくするとともに、走査ピッチaを小さくすればよい。
【0036】
このように、タッチ検出装置1では、走査ピッチaおよびタッチ検出幅bを独立して設定できるようにしたので、タッチ位置を検出する際の位置分解能と、タッチに対する検出感度とを独立して設定することができる。
【0037】
図7は、タッチ検出装置1のタイミング波形例を表すものであり、(A)はタッチ検出駆動信号Vcomtの波形を示し、(B)はタッチ検出信号Vdetの波形を示す。
【0038】
駆動電極ドライバ14は、駆動電極COMLに対して、複数のパルス波形を有するタッチ検出駆動信号Vcomtを、駆動範囲Anごとに時分割的に印加する(図7(A))。タッチ検出デバイス30は、タッチ検出駆動信号Vcomtに基づく信号をタッチ検出信号Vdetとして出力する(図7(B))。そして、タッチ検出部40は、各駆動範囲Anのタッチ検出信号Vdetを、それぞれ別々に解析して、タッチの有無およびタッチ位置などを検出する。
【0039】
具体的には、まず、期間P1において、駆動電極ドライバ14は、駆動範囲A1に係る駆動電極COMLに対して、複数のパルス波形を有するタッチ検出駆動信号Vcomtを印加する(図7(A)のVcomt(A1))。タッチ検出デバイス30では、駆動範囲A1に係る駆動電極COMLと、タッチ検出電極TDLとの間の静電容量を介して、このタッチ検出駆動信号Vcomtがタッチ検出電極TDLに伝わり、タッチ検出信号Vdetが変化する(図7(B))。タッチ検出部40のA/D変換部43は、このタッチ検出信号Vdetが入力されたアナログLPF部42の出力信号を、タッチ検出駆動信号Vcomtの複数のパルス波形の遷移に対応したサンプリングタイミングtsでサンプリングし(図7(B))、A/D変換する。信号処理部44は、この複数のA/D変換結果に基づいて、駆動範囲A1に対応する領域におけるタッチの有無を求める。
【0040】
期間P2以降においても、タッチ検出装置1は、期間P1と同様にタッチ検出を行う。すなわち、例えば期間P2において、駆動電極ドライバ14は、駆動範囲A2に係る駆動電極COMLに対して、タッチ検出駆動信号Vcomtを印加する(図7(A)のVcomt(A2))。タッチ検出デバイス30では、駆動範囲A2に係る駆動電極COMLと、タッチ検出電極TDLとの間の静電容量を介して、このタッチ検出駆動信号Vcomtがタッチ検出電極TDLに伝わり、タッチ検出信号Vdetが変化する(図7(B))。そして、A/D変換部43および信号処理部44は、このタッチ検出信号Vdetに基づいて、駆動範囲A2に対応する領域におけるタッチの有無を求める。
【0041】
このように、タッチ検出面全面に対して上述した動作を行うことにより、信号処理部44は、各駆動範囲Anに対応する領域におけるタッチの有無を別々に求める。そして、タッチ検出部40の座標抽出部45は、全ての駆動範囲Anにおけるタッチ検出結果に基づいて、例えば、タッチが検出された複数の領域(位置)に対して重み平均などにより補間演算を行い、そのタッチ位置を検出する。
【0042】
タッチ検出装置1では、駆動電極ドライバ14が、各駆動範囲Anに対して、複数のパルス波形を有するタッチ検出駆動信号Vcomtを駆動電極COMLに印加し、タッチ検出部40のアナログLPF部42、A/D変換部43、および信号処理部44が、タッチ検出電極TDLから出力されたタッチ検出信号Vdetに基づいて、その駆動範囲Anに対応する領域におけるタッチを検出している。すなわち、これらのブロックは、各駆動範囲Anに対応する領域において、複数のサンプリング結果に基づいてタッチを検出している。これにより、サンプリング結果を統計的に解析することが可能となり、サンプリング結果のばらつきに起因するS/N比の劣化を最低限に抑えることができる。
【0043】
また、タッチ検出装置1では、駆動範囲Anに対応する領域ごとに、駆動電極ドライバ14が複数のパルス波形を有するタッチ検出駆動信号Vcomtを駆動電極COMLに印加し、タッチ検出部40のアナログLPF部42、A/D変換部43、および信号処理部44が、その領域ごとにタッチを検出している。これにより、駆動範囲Anごとに、複数回駆動して検出したデータを単純に積算(平均)するだけでよいため、タッチ検出部40の構成をシンプルにすることができる。
【0044】
S/N比を改善するために複数のサンプリング結果に基づいてタッチを検出する方法としては、以上に説明した方法の他、例えば、1つのパルス波形を有するタッチ検出駆動信号を所定本数の駆動電極COMLに同時に印加し、そのタッチ検出駆動信号が印加された駆動電極COMLを1本ずつシフトして走査する方法も考えられる。このような方法において、上述したように検出データを単純に積算(平均)した場合には、隣接する駆動電極COMLにおけるデータと混ざってしまうため、位置精度が著しく低下するおそれがある。この位置精度の低下を抑えるためには、例えば、タッチ検出面全体に対するA/D変換結果を全て収集したうえで、各駆動電極COMLに対応する領域による寄与を分離することにより、それぞれの領域におけるタッチ検出を求める方法が考えられるが、この場合には、信号処理部の構成が複雑になるおそれがある。一方、本実施の形態に係るタッチ検出装置1では、駆動範囲Anごとに独立してタッチ検出を行うことができるため、信号処理部44の構成をシンプルにすることができる。
【0045】
図8は、タッチ検出装置1の一動作例を表すものである。この例では、駆動範囲A1,A2の両方にまたがるように、ユーザの指などによりタッチが行われている(タッチ領域F)。この場合、駆動範囲A1に対してタッチ検出を行うときには、タッチ領域Fの半分しか駆動範囲A1と重なっていないため、タッチの検出感度が低くなり、タッチ検出がしにくくなる。しかしながら、駆動範囲A2に対してタッチ検出を行うときには、タッチ検出領域Fが駆動範囲A2とより広い面積で重なるため、検出感度が高くなり、タッチ検出がしやすくなる。
【0046】
このように、タッチ検出装置1では、駆動電極COMLを駆動する際、駆動範囲Anが重なるようにしたので、例えば2つの駆動範囲にまたがるようにタッチが行われた場合でも、そのタッチ領域と駆動範囲Anとの重なる面積を大きくすることができ、検出感度を高くすることができる。すなわち、駆動範囲Anが重ならないように駆動した場合、具体的には、例えば、駆動範囲A1と駆動範囲A2が隣接するように駆動した場合には、タッチ領域と駆動範囲A1とが重なる面積がタッチ領域の半分になったときには、そのタッチ領域と駆動範囲A2とが重なる面積もタッチ領域の半分となる。よって、このような場合には、駆動範囲A1に対してタッチ検出を行うとき、および駆動範囲A2に対してタッチ検出を行うときの両方において、ともに検出感度が低くなってしまう。一方、タッチ検出装置1では、図8に示したように、タッチ領域Fと駆動範囲A1との重なる面積がタッチ領域の半分になったときには、タッチ領域Fと駆動範囲A2とがより広い面積で重なるため、検出感度を高くすることができ、タッチ検出をしやすくすることができる。
【0047】
(比較例)
次に、いくつかの比較例と対比して、本実施の形態の作用を説明する。
【0048】
図9は、比較例に係るタッチ検出装置の走査駆動の一動作例を表すものであり、(A)はその一例(比較例1)を示し、(B)は他の例(比較例2)を示す。これらの比較例では、図9(A),(B)に示したように、タッチ検出感度を高くするために、駆動電極COMLRA,COMLRBの幅を、本実施の形態に係る駆動電極COML(図6)に比べて太く形成している。
【0049】
比較例1,2では、駆動電極ドライバは、各駆動範囲RAn,RBn(nは自然数)に対して、複数のパルス信号を有するタッチ検出駆動信号Vcomtを時分割的に順次印加する。この場合、走査ピッチaおよびタッチ検出幅bは、ともに駆動範囲RAn,RBnの幅(すなわち駆動電極COMLRA,COMLRBの幅)と等しくなってしまう。つまり、本比較例1,2では、走査ピッチaとタッチ検出幅bが互いに等しくなってしまい、走査ピッチaとタッチ検出幅bとを独立に設定することができない。よって、例えば、図9(A)に示した比較例1において、タッチに対する検出感度が十分でなかった場合において、図9(B)に示したように、駆動電極COMLRBを太く形成することにより(タッチ検出幅bを大きくすることにより)検出感度を高くしようとすると、走査ピッチaも大きくなってしまい、タッチ位置を検出する際の位置分解能が低下してしまう。また、例えば、図9(B)に示した比較例2において、タッチ位置を検出する際の位置分解能が十分でなかった場合において、図9(A)に示したように、駆動電極COMLRAを細く形成することにより(走査ピッチaを小さくすることにより)位置分解能を高くしようとすると、タッチ検出幅bも小さくなってしまい、検出感度が低下してしまう。
【0050】
一方、本実施の形態に係るタッチ検出装置では、タッチ検出装置1では、走査ピッチaおよびタッチ検出幅bを独立して設定できるようにしたので、タッチ位置を検出する際の位置分解能と、タッチに対する検出感度を独立して設定することができる。すなわち、タッチ検出幅bを大きくするとともに、走査ピッチaを小さくすることにより、位置分解能と検出感度の両方を高くすることができる。特に、走査ピッチaをタッチ検出幅bよりも小さくした場合には、比較例1,2と比べて、これらの両方の特性を高くすることができる。
【0051】
[効果]
以上のように、本実施の形態では、走査ピッチaをタッチ検出幅bよりも小さくしたので、タッチ位置を検出する際の位置分解能とタッチに対する検出感度の両方を高くすることができる。
【0052】
また、本実施の形態では、駆動電極の駆動の仕方により走査ピッチaおよびタッチ検出幅bを設定するようにしたので、走査ピッチaとタッチ検出幅bとを独立して設定することができ、位置分解能と検出感度とを独立して設定することができる。
【0053】
また、本実施の形態では、駆動範囲に対応する領域ごとに、駆動電極ドライバがタッチ検出駆動信号を印加するとともに、タッチ検出部がタッチを検出するようにしたので、各駆動範囲に対応する領域におけるタッチ検出を、他の領域とは独立して行うことができ、タッチ検出部の構成をシンプルにすることができる。
【0054】
また、本実施の形態では、駆動範囲が重なるようにしたので、例えば2つの駆動範囲にまたがるようにタッチが行われた場合でも、そのタッチ領域と駆動範囲との重なる面積を大きくすることができ、検出感度を高くすることができる。
【0055】
<3.第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態に係るタッチ検出装置5について説明する。上記第1の実施の形態(図6)では、全て同じ幅の駆動電極COMLを用いてタッチ検出デバイス30を構成したが、これに代えて、本実施の形態では、互いに異なる幅を有する複数の種類の駆動電極を用いてタッチ検出デバイスを構成している。すなわち、タッチ検出装置5は、このようなタッチ検出デバイス50、およびそれを駆動する駆動電極ドライバ16を用いて構成されたものである。その他の構成は、上記第1の実施の形態(図4)と同様である。なお、上記第1の実施の形態に係るタッチ検出装置1と実質的に同一の構成部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0056】
図10は、タッチ検出デバイス50の駆動電極の一構成例を表すものである。図10に示したように、タッチ検出デバイス50は、異なる幅をもつ3種類の駆動電極COMLA,COMLB,COMLCを有する。この例では、駆動電極COMLAの幅は、駆動電極COMLBの幅および駆動電極COMLCの幅の合計幅と同程度になっている。駆動電極ドライバ16は、各駆動範囲Bn(nは整数)において、これらの駆動電極COMLA,COMLB,COMLCを組み合わせて駆動する。例えば、駆動電極ドライバ16は、駆動範囲B2の駆動において、駆動電極COMLCと、その両側の駆動電極COMLBを同時に駆動する。そして、駆動電極ドライバ16は、駆動範囲B1,B2,B3,B4…の順に、これらの駆動電極を時分割的に走査駆動する。その際、隣接する駆動範囲Bn(例えば駆動範囲B2と駆動範囲B3)において重なった部分に係る駆動電極COMLBは、これらの隣接する駆動範囲の駆動において共用されている。このようにして、駆動電極ドライバ16は、タッチ検出幅bに係る駆動電極を同時に駆動し、駆動される駆動電極を走査ピッチaずつシフトして走査する。
【0057】
図10に示したように、走査ピッチaは、駆動電極COMLBの幅と駆動電極COMLCの幅の合計幅に対応するものである。また、タッチ検出幅bは、2つの駆動電極COMLの幅と駆動電極COMLCの幅の合計幅に対応するものである。よって、駆動電極COMLB,COMLCの幅は、必要な位置分解能(走査ピッチa)および検出感度(タッチ検出幅b)に基づいて決めることができる。
【0058】
タッチ検出装置5では、互いに異なる幅を有する3種類の駆動電極COMLA,COMLB,COMLCを用いている。すなわち、これらの駆動電極COMLA,COMLB,COMLC(図10)は、上記第1の実施の形態(図6)において、同時に駆動される駆動電極COMLを互いに接続して太く構成したものである。これにより、タッチ検出装置5では、上記第1の実施の形態に係るタッチ検出装置1に比べて、駆動電極の数を削減することができる。よって、駆動電極ドライバ16が駆動する駆動電極の数が減るため、駆動電極ドライバ16の構成をシンプルにすることができる。
【0059】
以上のように、本実施の形態では、互いに異なる幅を有する複数の種類の駆動電極を用いたので、駆動電極の本数を減らすことができ、駆動電極ドライバ16の構成をシンプルにすることができる。その他の効果は、上記第1の実施の形態の場合と同様である。
【0060】
<4.第3の実施の形態>
次に、本発明の第3の実施の形態に係るタッチ検出機能付き表示装置7について説明する。タッチ検出機能付き表示装置7は、上記第1の実施の形態に係るタッチ検出デバイス30と、表示素子として液晶表示素子を用いた液晶表示デバイスとを一体化した、いわゆるインセルタイプの装置である。なお、上記第1の実施の形態に係るタッチ検出装置1と実質的に同一の構成部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0061】
図11は、タッチ検出機能付き表示装置7の一構成例を表すものである。タッチ検出機能付き表示装置7は、タッチ検出機能付き表示デバイス10と、制御部17と、ゲートドライバ12と、ソースドライバ13と、駆動電極ドライバ14Bとを備えている。
【0062】
タッチ検出機能付き表示デバイス10は、タッチ検出機能を内蔵した表示デバイスである。タッチ検出機能付き表示デバイス10は、液晶表示デバイス20と、タッチ検出デバイス30Bとを有する。液晶表示デバイス20は、後述するように、ゲートドライバ12から供給される走査信号Vscanに従って、1水平ラインずつ順次走査して表示を行うデバイスである。タッチ検出デバイス30Bは、上記第1の実施の形態に係るタッチ検出デバイス30と同様の構成を有するものである。
【0063】
図12は、タッチ検出機能付き表示デバイス10の要部断面構造の例を表すものである。このタッチ検出機能付き表示デバイス10は、画素基板2と、この画素基板2に対向して配置された対向基板3と、画素基板2と対向基板3との間に挿設された液晶層6とを備えている。
【0064】
画素基板2は、回路基板としてのTFT基板21と、このTFT基板21上にマトリックス状に配設された複数の画素電極22とを有する。TFT基板21には、図示していないものの、各画素の薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)や、各画素電極22に画像信号Vpixを供給する画素信号線SGL、各TFTを駆動する走査信号線GCL等の配線が形成されている。
【0065】
対向基板3は、ガラス基板31と、このガラス基板31の一方の面に形成されたカラーフィルタ32と、このカラーフィルタ32の上に形成された複数の駆動電極COMLとを有する。カラーフィルタ32は、例えば赤(R)、緑(G)、青(B)の3色のカラーフィルタ層を周期的に配列して構成したもので、各表示画素にR、G、Bの3色が1組として対応付けられている。駆動電極COMLは、液晶表示デバイス20の共通駆動電極として機能するとともに、タッチ検出デバイス30Bの駆動電極としても機能するものである。駆動電極COMLは、図示しないコンタクト導電柱によってTFT基板21と連結され、このコンタクト導電柱を介して、TFT基板21から駆動電極COMLに交流矩形波形の駆動信号Vcom(表示駆動信号Vcomdおよびタッチ検出駆動信号Vcomt)が印加されるようになっている。ガラス基板31の他方の面には、タッチ検出デバイス30Bの検出電極であるタッチ検出電極TDLが形成されている。タッチ検出電極TDLは、例えばITO(Indium Tin Oxide)により構成されるものであり、透光性のある電極である。さらに、このタッチ検出電極TDLの上には、偏光板35が配設されている。
【0066】
液晶層6は、電界の状態に応じてそこを通過する光を変調するものであり、例えば、TN(ツイステッドネマティック)、VA(垂直配向)、ECB(電界制御複屈折)等の各種モードの液晶が用いられる。
【0067】
なお、液晶層6と画素基板2との間、および液晶層6と対向基板3との間には、それぞれ配向膜が配設され、また、画素基板2の下面側には入射側偏光板が配置されるが、ここでは図示を省略している。
【0068】
図13は、液晶表示デバイス20における画素構造の構成例を表すものである。液晶表示デバイス20は、マトリックス状に配列した複数の画素Pixを有している。画素Pixは、TFT素子Trおよび液晶素子LCを有している。TFT素子Trは、薄膜トランジスタにより構成されるものであり、この例では、nチャネルのMOS(Metal Oxide Semiconductor)型のTFTで構成されている。TFT素子Trのソースは画素信号線SGLに接続され、ゲートは走査信号線GCLに接続され、ドレインは液晶素子LCの一端に接続されている。液晶素子LCは、一端がTFT素子Trのドレインに接続され、他端が駆動電極COMLに接続されている。
【0069】
画素Pixは、走査信号線GCLにより、液晶表示デバイス20の同じ行に属する他の画素Pixと互いに接続されている。走査信号線GCLは、ゲートドライバ12と接続され、ゲートドライバ12より走査信号Vscan(後述)が供給される。また、画素Pixは、画素信号線SGLにより、液晶表示デバイス20の同じ列に属する他の画素Pixと互いに接続されている。画素信号線SGLは、ソースドライバ13と接続され、ソースドライバ13より画素信号Vpix(後述)が供給される。
【0070】
さらに、画素Pixは、駆動電極COMLにより、液晶表示デバイス20の同じ行に属する他の画素Pixと互いに接続されている。駆動電極COMLは、駆動電極ドライバ14Bと接続され、駆動電極ドライバ14Bより駆動信号Vcom(表示駆動信号Vcomdおよびタッチ検出駆動信号Vcomt)が供給される。
【0071】
制御部17は、外部より供給された映像信号Vdispに基づいて、ゲートドライバ12、ソースドライバ13、駆動電極ドライバ14B、およびタッチ検出部40に対してそれぞれ制御信号を供給し、これらがお互いに同期して動作するように制御する回路である。
【0072】
ゲートドライバ12は、制御部17から供給される制御信号に基づいて、タッチ検出機能付き表示デバイス10の表示駆動の対象となる1水平ラインを順次選択する機能を有している。具体的には、ゲートドライバ12は、走査信号Vscanを、走査信号線GCLを介して、画素PixのTFT素子Trのゲートに印加することにより、タッチ検出機能付き表示デバイス10の液晶表示デバイス20にマトリックス状に形成されている画素Pixのうちの1行(1水平ライン)を表示駆動の対象として順次選択するようになっている。
【0073】
ソースドライバ13は、制御部17から供給される制御信号に基づいて、タッチ検出機能付き表示デバイス10の各画素Pixに画素信号Vpixを供給する回路である。具体的には、ソースドライバ13は、後述するように、画素信号Vpixを、画素信号線SGLを介して、ゲートドライバ12により順次選択される1水平ラインを構成する各画素Pixにそれぞれ供給するものである。そして、これらの画素Pixでは、供給される画素信号Vpixに応じて、1水平ラインの表示が行われるようになっている。
【0074】
駆動電極ドライバ14Bは、制御部17から供給される制御信号に基づいて、タッチ検出機能付き表示デバイス10の駆動電極COMLに駆動信号Vcomを供給する回路である。具体的には、駆動電極ドライバ14Bは、表示動作の際には、駆動電極COMLに対して表示駆動信号Vcomdを時分割的に順次印加することにより表示走査を行う。そして、タッチ検出動作の際には、上記第1の実施の形態と同様に、駆動電極COMLに対してタッチ検出駆動信号Vcomtを時分割的に順次印加することによりタッチ検出走査を行う。
【0075】
タッチ検出動作において、タッチ検出機能付き表示装置7は、上記第1の実施の形態に係るタッチ検出装置1と同様に動作する。すなわち、駆動電極ドライバ14Bは、タッチ検出幅bに係る駆動電極を同時に駆動し、その駆動に係る駆動電極を走査ピッチaずつシフトして走査する。タッチ検出機能付き表示デバイス10は、この駆動において駆動電極に印加されたタッチ検出駆動信号Vcomtに応じたタッチ検出信号Vdetを出力する。タッチ検出部40は、タッチ検出信号Vdetに基づいてタッチの有無を検出し、タッチがある場合においてタッチ位置の座標などを求める。
【0076】
以上のように、本実施の形態では、タッチ検出デバイスと液晶表示デバイスとを一体化したので、タッチ検出機能付き表示装置をコンパクトにすることができる。その他の効果は、上記第1の実施の形態の場合と同様である。
【0077】
上記実施の形態では、上記第1の実施の形態に係るタッチ検出デバイス30と液晶表示デバイスとを一体化したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、上記第2の実施の形態に係るタッチ検出デバイス50と液晶表示デバイスとを一体化してもよい。
【0078】
<5.適用例>
次に、図14図18を参照して、上記実施の形態および変形例で説明したタッチ検出装置の適用例について説明する。上記実施の形態等のタッチ検出装置は、テレビジョン装置、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置あるいはビデオカメラなどのあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。言い換えると、上記実施の形態等のタッチ検出装置は、外部から入力された映像信号あるいは内部で生成した映像信号を、画像あるいは映像として表示するあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。
【0079】
(適用例1)
図14は、上記実施の形態等のタッチ検出装置が適用されるテレビジョン装置の外観を表すものである。このテレビジョン装置は、例えば、フロントパネル511およびフィルターガラス512を含む映像表示画面部510を有しており、この映像表示画面部510は、上記実施の形態等に係るタッチ検出装置により構成されている。
【0080】
(適用例2)
図15は、上記実施の形態等のタッチ検出装置が適用されるデジタルカメラの外観を表すものである。このデジタルカメラは、例えば、フラッシュ用の発光部521、表示部522、メニュースイッチ523およびシャッターボタン524を有しており、その表示部522は、上記実施の形態等に係るタッチ検出装置により構成されている。
【0081】
(適用例3)
図16は、上記実施の形態等のタッチ検出装置が適用されるノート型パーソナルコンピュータの外観を表すものである。このノート型パーソナルコンピュータは、例えば、本体531、文字等の入力操作のためのキーボード532および画像を表示する表示部533を有しており、その表示部533は、上記実施の形態等に係るタッチ検出装置により構成されている。
【0082】
(適用例4)
図17は、上記実施の形態等のタッチ検出装置が適用されるビデオカメラの外観を表すものである。このビデオカメラは、例えば、本体部541、この本体部541の前方側面に設けられた被写体撮影用のレンズ542、撮影時のスタート/ストップスイッチ543および表示部544を有している。そして、その表示部544は、上記実施の形態等に係るタッチ検出装置により構成されている。
【0083】
(適用例5)
図18は、上記実施の形態等のタッチ検出装置が適用される携帯電話機の外観を表すものである。この携帯電話機は、例えば、上側筐体710と下側筐体720とを連結部(ヒンジ部)730で連結したものであり、ディスプレイ740、サブディスプレイ750、ピクチャーライト760およびカメラ770を有している。そのディスプレイ740またはサブディスプレイ750は、上記実施の形態等に係るタッチ検出装置により構成されている。
【0084】
以上、いくつかの実施の形態および変形例、ならびに電子機器への適用例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等には限定されず、種々の変形が可能である。
【0085】
例えば、上記第3の実施の形態では、TNやVA、ECB等の各種モードの液晶を用いた液晶表示デバイス20とタッチ検出デバイス30とを一体化してタッチ検出機能付き表示デバイス10を構成したが、これに代えて、FFS(フリンジフィールドスイッチング)やIPS(インプレーンスイッチング)等の横電界モードの液晶を用いた液晶表示デバイスとタッチ検出デバイスとを一体化しても良い。例えば、横電界モードの液晶を用いた場合には、タッチ検出機能付き表示デバイス60を、図19に示したように構成可能である。この図は、タッチ検出機能付き表示デバイス60の要部断面構造の一例を表すものであり、画素基板2Bと対向基板3Bとの間に液晶層6Bを挟持された状態を示している。その他の各部の名称や機能等は図12の場合と同様なので、説明を省略する。この例では、図12の場合とは異なり、表示用とタッチ検出用の双方に兼用される駆動電極COMLは、TFT基板21の直ぐ上に形成され、画素基板2Bの一部を構成する。駆動電極COMLの上方には、絶縁層23を介して画素電極22が配置される。この場合、駆動電極COMLとタッチ検出電極TDLとの間の、液晶層6Bをも含むすべての誘電体が容量C1の形成に寄与する。
【0086】
なお、本発明は、以下の構成としてもよい。
【0087】
本発明のタッチ検出装置は、複数の駆動電極と、検出電極と、走査駆動部とを備えている。複数の駆動電極は、一方向に延在するように並設されたものである。検出電極は、駆動電極の延在方向と直交する方向に延在し、その交差部分に静電容量を形成するように配置されたものである。走査駆動部は、複数の駆動電極から駆動対象電極を所定の複数本ずつ時分割的に順次選択し、その選択された駆動対象電極に対して外部近接物体を検出するための複数のパルス波形を有するタッチ検出駆動信号を印加することにより走査駆動を行うものである。上記走査駆動の走査ピッチは、選択された複数本の駆動対象電極の全幅よりも小さいものである。
【0088】
本発明のタッチ検出装置の駆動方法は、一方向に延在するように並設された複数の駆動電極から駆動対象電極を所定の複数本ずつ時分割的に順次選択し、その選択された駆動対象電極に対して外部近接物体を検出するための複数のパルス波形を有するタッチ検出駆動信号を印加し、走査ピッチが、選択された複数本の駆動対象電極の全幅よりも小さくなるように走査駆動を行い、駆動電極の延在方向と直交する方向に延在し、その交差部分に静電容量を形成するように配置された検出電極の検出信号に基づいて外部近接物体を検出するものである。
【0089】
本発明のタッチ検出機能付き表示装置は、複数の駆動電極と、検出電極と、表示素子と、走査駆動部とを備えている。複数の駆動電極は、一方向に延在するように並設されたものである。検出電極は、駆動電極の延在方向と直交する方向に延在し、その交差部分に静電容量を形成するように配置されたものである。表示素子は、画素信号および表示駆動信号に基づいて表示を行うものである。走査駆動部は、複数の駆動電極に対して、表示駆動信号を時分割的に順次印加する第1の走査駆動と、複数の駆動電極から駆動対象電極を所定の複数本ずつ時分割的に順次選択し、その選択された駆動対象電極に対して外部近接物体を検出するための複数のパルス波形を有するタッチ検出駆動信号を印加する第2の走査駆動とを行うものである。上記走査駆動の走査ピッチは、選択された複数本の駆動対象電極の全幅よりも小さいものである。
【0090】
本発明の電子機器は、上記タッチ検出装置を備えたものであり、例えば、テレビジョン装置、デジタルカメラ、パーソナルコンピュータ、ビデオカメラあるいは携帯電話等の携帯端末装置などが該当する。
【0091】
本発明のタッチ検出装置、タッチ検出装置の駆動方法、タッチ検出機能付き表示装置、および電子機器では、複数のパルス波形を有するタッチ検出駆動信号を、所定の複数本ずつ時分割的に順次選択された駆動対象電極に印加することにより、タッチ検出の走査駆動が行われる。その走査駆動は、選択された複数本の駆動対象電極の全幅よりも小さい走査ピッチで行われる。
【0092】
本発明のタッチ検出装置では、例えば、検出電極の検出信号を駆動信号の複数のパルス波形の遷移に対応したタイミングでサンプリングすることにより外部近接物体を検出するタッチ検出部をさらに備えるのが望ましい。この場合、タッチ検出部は、例えば、走査駆動部が駆動対象電極を駆動するごとに、その駆動された駆動対象電極に対応する領域についての外部近接物体の検出を完了するのが望ましく、順次選択された駆動対象電極ごとに得られた全ての検出結果に基づいてタッチ位置を求めるのが望ましい。
【0093】
駆動電極は、例えば以下の2つの方法で構成することができる。
【0094】
例えば、複数の駆動電極は、それぞれ互いに同じ幅で構成してもよい。この場合、走査駆動は、例えば、複数本の駆動対象電極に対してタッチ検出駆動信号を同時に印加するとともに、その駆動対象電極を所定の複数本より少ない本数ずつシフトして走査を行うようにすることができる。
【0095】
また、例えば、複数の駆動電極は、互いに異なる幅をもつ2種類の駆動電極を含み、2種類の駆動電極は交互に並設されるように構成してもよい。この場合、走査駆動は、交互に並設された2種類の駆動電極のうちの隣接する3本からなる駆動対象電極に対してタッチ検出駆動信号を同時に印加するとともに、その駆動対象電極を2本ずつシフトして走査を行うようにすることができる。
【符号の説明】
【0096】
1,5…タッチ検出装置、2…画素基板、3,3B…対向基板、6,6B…液晶層、7
…タッチ検出機能付き表示装置、10,60…タッチ検出機能付き表示デバイス、11,
17…制御部、12…ゲートドライバ、13…ソースドライバ、14,14B,16…駆
動電極ドライバ、20…液晶表示デバイス、21…TFT基板、22…画素電極、30,
30B,50…タッチ検出デバイス、31…ガラス基板、32…カラーフィルタ、35…
偏光板、40…タッチ検出部、42…アナログLPF部、43…A/D変換部、44…信
号処理部、45…座標抽出部、46…検出タイミング制御部、A1〜A4,An…駆動範
囲、a…走査ピッチ、B1〜B4,Bn…駆動範囲、b…タッチ検出幅、COML,CO
MLA,COMLB,COMLC…駆動電極、GCL…走査信号線、LC…液晶素子、O
ut…出力信号、Pix…画素、P1〜P4…期間、SGL…画素信号線、TDL…タッチ検
出電極、Tr…TFT素子、Vcomt…タッチ検出駆動信号、Vdet…タッチ検出信号。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15
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図17
図18
図19