【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的は、請求項1の組立体によって達成される。
【0010】
本発明の自動車に使用される組立体は、例えば、ねじ、リベット等の少なくとも1つの締結部材により互いに固定される第1の構成部品および第2の構成部品を備えている。前記第1および第2の構成部品は、それぞれ、2つの前記構成部品を互いに固定する前記締結部材が係合する開口を有している。前記第1の構成部品の第1の開口は、当該第1の構成部品の変位可能な縁部分によって縁取られている。この縁部分は、前記第1の構成部品と前記第2の構成部品が固定されていない負荷のない初期状態に比べ、前記締結部材から離れるように変位している。このとき、前記縁部分によって縁取られた前記第1の開口が、前記第1の構成部品の受け部内に形成されており、この受け部が前記第2の構成部品に対して後退している。
【0011】
本発明では、前記第2の構成部品の第2の開口を縁取り、当該第2の構成部品から前記第1の構成部品に向かって突出する突出部分が、前記第1の構成部品の前記受け部内に延出している。
【0012】
この構成によれば、前記第2の構成部品の前記突出部分(突起)が前記第1の構成部品の前記受け部内に突出することにより、前記第2の構成部品の一部が、前記第1の構成部品の受け部に収容される。これにより、2つの構成部品が(形状の嵌り合い(form fit)を介して)互いの相対位置に存在し、前記受け部および前記突出部分の寸法や形状等に応じて、一方の構成部品に対して他方の構成部品を調節することが可能となる。つまり、前記締結部材を前記突出部分の開口および前記受け部の開口に意図どおり係合させる前に、前記突出部分を前記受け部内に収容させて、一方の構成部品が他方の構成部品に対して(少なくとも若干)回転可能または移動可能となるようにすることができる。
【0013】
本発明にかかる組立体の構成によれば、開口を縁取る前記縁部分が変位可能であることにより、望ましくない荷重を減少させたり製造公差を補償したりできるだけでなく、締結部材によって互いに接続可能な2つの前記開口を具備した前述の部分により、その締結部材を取り付ける前または締める前の時点で、2つの構成部品を互いの相対位置に存在させることができる。
【0014】
好ましい一実施形態において、前記第1の構成部品における前記第1の開口を縁取る前記縁部分は、撓み変位可能(塑性変位可能)であるだけでなく、弾性変位可能に形成されている。これにより、前記第1の開口を縁取る前記縁部分(好ましくは、当該縁部分は、前記第1の開口を(当該第1の開口の平面視で)完全に取り囲んでいる)は、負荷のない初期状態から、対応する前記締結部材により、復元力に逆らうようにして変位させられて、かつ、負荷のない初期状態に復帰するように付勢される。前記第1の開口の領域において、前記受け部に所望の弾性が付加されることにより、前記縁部分を、その受け部内に挿入された前記突出部分(突起)に配置し易くなる。
【0015】
これにより、例えば、変位可能な(弾性的な)前記縁部分は、前記第2の構成部品の前記突起に当接(特に、面当接)し、さらに、前記締結部材によって当該突起に押し付けられる。このようにして、前記突起は、前記第1の構成部品の前記受け部内において、撓み変位可能な(弾性変位可能な)前記縁部分との相互作用により、受け部内に係止される。この場合、前記突起が前記受け部内に突出することによる2つの構成部品間の形状の嵌り合い(form fit)は、前記締結部材を取り付ける(または締め付ける)ことにより、変位可能な前記縁部分が前記突起に対して押圧または押し付けられて生じる力によってロックされる。
【0016】
前記第1の構成部品の受け部は、例えば、円錐形状、凹み形状、椀形状等に形成されてもよく、前記第1の開口は、その凹みの最下位置の中央に設けられてもよい。前記第2の構成部品の突起は、例えば、その受け部に対応する外形を有する形状に形成されてもよい。前記突起は、特に、前記第2の構成部品の壁に、円錐形状、凹み形状または椀形状の曲線によって形成されてもよい。
【0017】
一実施形態において、前記受け部の壁は、少なくとも一部が前記第2の構成部品に向かって傾斜して延びている。これにより、前記第2の構成部品の前記突出部分または突起が、前記受け部内に容易に挿入される。
【0018】
他の実施形態において、前記受け部が、円錐形状(円錐台形状)、特に、漏斗形状に形成されている。この場合、前記突起の、前記受け部内への挿入が容易になるだけでなく、さらに前記突起のデザインも当該受け部に合致する円錐形状(円錐台形状)であるならば、2つの前記開口の中心と中心とを合わせることも容易になる。つまり、前記突起と前記受け部との2つの円錐形状は互いに合致可能なので、双方の前記開口に前記締結部材を係合させることにより、2つの円錐、すなわち2つの前記開口の中心軸を合わせることができる。さらに、前記受け部の撓み変位可能な(弾性変位可能な)前記縁部分が、前記円錐形状の少なくとも一部を形成することになるので、前記締結部材を取り付ける(および締め付ける)ことにより、前記受け部の円錐形状は、前記突起の円錐形状に接触(摩擦接触)可能な状態となるか、または接触する。これにより、寸法ばらつきがあっても(所定の許容範囲内の程度であれば)、前記締結部材を意図どおり取り付けて締めることにより、前記突起(突出部分)とこれに対応する前記受け部とを正確に嵌め合わせることができる。
【0019】
一実施形態では、上記の構成に代えて、あるいは、上記の構成に加えて、前記第2の構成部品が、後退した前記受け部の外側で前記第1の構成部品の支持領域に当接しているかまたはその支持領域で前記第1の構成部品によって支持されている。この支持領域は、例えば、前記受け部の縁および/または前記第2の構成部品に向かって突出して隆起した、前記第1の構成部品における(平坦な)領域であってもよい。この場合、前記第2の構成部品は、前記突起を介して前記第1の構成部品に当接するか、あるいは前記第1の構成部品に支持される。
【0020】
本発明にかかる組立体の一実施形態において、前記第1の構成部品の前記縁部分は、弱化領域を介して前記受け部の縁に連結されており、これにより、当該縁部分が、前記受け部の縁に対して撓み変位可能または弾性変位可能である。これにより、好適なことに、前記第1の構成部品の前記第1の開口の一部または全部を縁取る縁部分が、前記受け部内で前記弱化領域を介してヒンジ連結状態となり、前記締結部材を介して撓み変位または弾性変位して、前記受け部内に突出した前記突出部分に当接(摩擦接触)することができる。これにより、例えば、前記締結部材が意図どおり係合すると、撓み可能または弾性的な部分が、前記第2の構成部品の前記突出部分に向かって意図どおり変位することができ、摩擦力により、当該突出部分に対して当接(面当接)する。
【0021】
好ましくは、前記弱化領域は、前記受け部内における前記縁部分を縁取る領域の肉厚を薄肉にすることによって得られる。このとき、その弱化領域の肉厚が、当該弱化領域に隣り合う前記縁部分よりも薄肉であり、かつ、当該弱化領域に隣り合う前記受け部の縁よりも薄肉である。
【0022】
他の例として、前記弱化領域は、少なくとも一部が、前記第1の開口と略同心に連なる経路に沿って延びている。この場合、前記弱化領域によって規定され、前記縁部分を変位させる軸が、(少なくとも部分的に)前記第1の構成部品の前記第1の開口の縁と平行となる。これにより、前記縁部分が、特に、前記開口に係合するまたは前記開口に挿通される前記締結部材の長手延在方向、すなわち長手軸と平行な方向成分に変位するか、あるいは変位可能な状態となる。
【0023】
好ましくは、開口は円形の底領域を有する孔として形成され、前記弱化領域が当該開口と同心な円形の経路に沿って延びる。
【0024】
受け部内には、空間的に離間した複数の弱化領域が設けられてもよく、当該複数の弱化領域は、1つの撓み可能な若しくは弾性を有する縁部分に対して割り当てられるか、または複数の撓み可能な若しくは弾性を有する縁部分のうちの1つに対して割り当てられる。
【0025】
例えば、受け部内に、単一の連なった撓み可能または弾性的なヒンジ連結状態の縁部分が設けられてもよく、この単一の縁部分は、前記開口周りに互いに離間して並べられた複数のセグメント状の弱化領域を介して、その受け部の縁に対して撓み変位または弾性変位可能である。他の例として、1つの受け部内に、前記開口の縁を形成して互いに(強固に)繋がっていない複数個の縁部分が設けられてもよく、この複数個の1つずつの縁部分が、対応する適切な弱化領域を介して、その受け部の縁で撓み可能または弾性的にヒンジ連結状態とされ得る。前記受け部は、例えば、略円形の底領域を有する円錐形状(円錐台形状)に形成されてもよく、この場合、前記締結部材用の開口は、その受け部の最下位置に設けられる。その円錐形状の受け部の内壁が、互いに離間した縁部分によって形成され、それら複数個の縁部分は、平面視で実質的に複数の部分円または円の複数の切片であり、複数の弱化領域のうちの対応する弱化領域(あるいは、外周にある共通の弱化領域)を介して、その受け部の縁に対して撓み変位可能または弾性変位可能に連結状態とされている。
【0026】
一例として、(単一のまたは複数個の変位可能な縁部分に対する)連なった前記弱化領域が、前記第1の開口の周りに環状に延びてもよい。
【0027】
他の例として、複数個の弱化領域を設け、各々が前記第1の開口の周りに部分円形に延びるようにしてもよい。
【0028】
本発明にかかる組立体の一実施形態において、2つの前記構成部品のうちの一方の構成部品が、他方の構成部品に対して後退した少なくとも1つのさらなる受け部を有しており、当該少なくとも1つのさらなる受け部は、少なくとも1つの撓み変位可能な縁部分を具備しており、この少なくとも1つの撓み変位可能な縁部分内に、他方の構成部品のさらなる突出部分が延出している。このような第2の受け部と第2の突起とからなるペアは、締結部材用の2つの開口を、必ずしも具備している必要はない。つまり、そのようなペアは、例えば、2つの前記構成部品の互いの相対位置を決めるためだけに設けられてもよく、このペアにおける撓み可能な/弾性を有する縁部分が公差を補償し、2つの構成部品が(さらなる第2の)前記受け部の領域においても互いに当接するようになる。
【0029】
当然ながら、上記の構成に代えて、あるいは、上記の構成に加えて、受け部と突起とのさらなる(同一機能の)ペアを、2つの前記構成部品に対してさらなる締結部材のために設けてもよい。
【0030】
本発明にかかる組立体の構成は、一方の構成部品が金属製で、他方の構成部品がプラスチック製である場合に、特に有利である。好ましくは、撓み変位可能または弾性変位可能な縁部分を具備した少なくとも1つの受け部を有する(第1の)構成部品が、プラスチック製である。
【0031】
2つの前記構成部品は、特に、自動車用のウィンドウリフタアセンブリの構成部品であってもよい。例えば、1つまたは複数の受け部を有する第1の構成部品は、自動車用のウィンドウリフタを保持する(プラスチック製の)キャリア部材の機能部品であり、他方の構成部品は、前記ウィンドウリフタによって調節されるウィンドウガラス用の調節路を決める(金属製の)ガイドレールであってもよい。しかしながら、本発明の実施形態は、自動車に使用される組立体の他の構成部品でも実施可能であり、例えば、ハウジング部材および当該ハウジング部材が固定されるキャリア部材でも実施可能である。
【0032】
一実施形態において、好ましくは、前記締結部材はリベットであり、これにより、2つの前記構成部品を互いに固定する(形状および摩擦による係止された)リベット接続部が得られる。この場合、そのリベット用の2つの前記開口は、それぞれ、当該リベットが挿通できる貫通開口として、2つの前記構成部品に設けられる。
【0033】
上述のように、好ましくは、受け部の撓み変位可能な(または弾性変位可能な)前記縁部分は、製造公差を補償する役割を果たし、対応する受け部に前記突起を係合することによって2つの前記構成部品が互いの決められた相対位置に存在している場合、それら2つの前記構成部品を当該撓み変位可能な縁部分の領域において(少なくとも若干)互いに揃えることができる。前記受け部内に突出した前記突出部分(突起)は、変位した前記縁部分がその突出部分に押し付けられることで(初めて)当該受け部内に係止される。つまり、この構成に基づく一実施形態において、前記撓み変位可能な縁部分は、2つの前記構成部品が締結過程に当該撓み変位可能な縁部分の領域において自動的に互いに揃い、意図どおり持続可能な接続が形成可能となるように形成される。このとき、変位した前記縁部分が前記突出部分に押し付けられることで当該突出部分が前記受け部に係止される。
【0034】
本発明のさらなる構成では、自動車に使用される組立体の2つの構成部品を互いに固定する改良方法を提供する。
【0035】
この固定方法は、自動車に使用される組立体の第1の構成部品と第2の構成部品とを、互いに固定する方法であって、2つの部材は少なくとも第1の締結部材および第2の締結部材によって固定され、各締結部材は一対の2つの開口に係合し、前記2つの開口のうちの一方の開口は前記第1の構成部品に設けられ、他方の開口は前記第2の構成部品に設けられる。このとき、締結部材用の一対の開口のうちの一方の開口は、前記構成部品のうちの一方における他方の構成部品に対して後退するように形成された受け部に設けられる。前記受け部の、前記開口を縁取る縁部分は、撓み変位可能(または弾性変位可能)に形成され、これにより、対応する前記開口に係合する締結部材から遠のくように変位できる。また、締結部材用の一対の開口のうちの他方の開口は、一方の構成部品における他方の構成部品に向かって突出する突出部分に設けられる。この突出部分(突起)は、その他方の構成部品における対応する受け部内に(完全に)延出可能である。
【0036】
この方法では、2つの前記構成部品が、一方の開口を具備した突出部分が他方の開口を具備した受け部内に延出するように、互いの相対位置に配置される。2つの前記構成部品を互いに固定するために、少なくとも1つの前記突出部分は、対応する受け部における撓み可能な(弾性を有する)縁部分をその突出部分に当接(面当接)させ、対応する前記締結部材によって前記縁部分とその突出部分とを互いに押し付けることにより、当該受け部に係止される。
【0037】
変位可能な前記縁部分を、前記受け部内に突出した前記突出部分に押し付けることにより、2つの前記構成部品間の既存の形状による係止が、摩擦による係止または力による係止でロックされる。この目的のために、例えば、リベットのような前記締結部材が、変位可能な前記縁部分に対して直接作用するか、あるいは、前記突出部分(突起)を有する構成部品に力を印加することで、当該突起を前記縁部分に押し付けてこの縁部分を変位させる。
【0038】
好ましくは、2つの前記受け部が、円錐形状(円錐台形状)に形成されている。当該2つの受け部に対応する各突出部分は、対応する受け部に合致する同じく円錐形状(円錐台形状)である。これにより、固定される2つの前記構成部品を、少なくとも2つの前記締結部材によって(最終的に)固定される前に、円錐形状である受け部と突出部分との2つのペアにより、互いの決められた相対位置に既に存在させることができる。また、受け部及び突出部分が円錐形状であることにより、(第1の)前記締結部材を取り付ける際に、2つの円錐軸同士を合わせることおよび2つの前記開口の中心と中心とを合わせることが容易になる。これにより、少なくとも1個目の締結部材が取り付けられる(および締め付けられる)受け部の領域において、2つの前記構成部品を、確実に意図どおり互いに揃えて互いに固定させることが可能になる。
【0039】
さらに、撓み可能な(弾性を有する)縁部分を具備した、少なくとも1つのさらなる受け部において、(2個目の)前記締結部材が後で取り付けられる際に、その(2個目の)受け部の領域で互いに接続される2つの前記構成部品に望ましくないテンションがもたらされること、あるいは、少なくとも大きなテンションがもたらされることを確実に防ぐことができる。
【0040】
本発明の好ましい実施形態は、ほかにも、従属請求項に記載されている。
【0041】
さらなる特徴および利点は、図面を参照しながら行う、実施形態についての以下の説明から明らかになる。