(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数枚の用紙に打ち抜き孔及びカット孔を形成するとともに、その打ち抜き孔から切り起こされた切起片の先端部分を前記カット孔に挿通させ、その切起片とカット孔との係わり合いによって複数枚の用紙を相互に綴じることができるようにした綴じ機に用いられる前記打ち抜き孔を形成し得る刃であって、
前記打ち抜き孔を形成する刃本体と、前記切起片を前記カット孔に挿通させる際の前記切起片の基端への応力集中を緩和する破れ抑制用の逃げ部を用紙に形成するための前記刃本体の基端から側方に連続して延びる補助刃部とを備えてなることを特徴とする刃。
抜き刃及び切込刃を複数枚の用紙に貫通させてそれら用紙に打ち抜き孔及びカット孔を形成するとともに、その打ち抜き孔から切り起こされた切起片を前記切込刃に形成された窓に挿入し、その切込刃を用紙から抜き取る際に前記窓に挿入されている切起片の先端部分を前記カット孔に挿通させ、その切起片とカット孔との係わり合いによってそれら複数枚の用紙を相互に綴じることができるようにした綴じ機であって、
前記抜き刃が、前記切起片を前記カット孔に挿通させる際の前記切起片の基端への応力集中を緩和する破れ抑制用の逃げ部を用紙に形成するための補助刃部を備えてなるものであることを特徴とする綴じ機。
前記逃げ部が、前記打ち抜き孔の基端から側方に延びるスリット状のものであり、この逃げ部を形成するための前記補助刃部が、前記抜き刃の刃本体の基端から側方に連続して延びるブレード状のものである請求項2記載の綴じ機。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0019】
この綴じ機1は、
図1ないし
図23に示すように、複数枚の用紙Pに打ち抜き孔P1及びカット孔P2を形成するとともに、その打ち抜き孔P1から切り起こされた切起片P5を前記カット孔P2に挿通させることにより、それら複数枚の用紙Pを相互に綴じて冊子B、すなわち用紙束を作ることができるようにしたものである。また、この綴じ機1に用いられる刃である抜き刃32は、前記打ち抜き孔P1を形成し得るものである。以下、詳述する。
【0020】
<冊子>
この冊子Bは、
図4ないし
図6及び
図21に示すように、複数枚の用紙Pを束ねてなるもので、それらの用紙Pは角部P4に設定した一ヵ所の接合部分P3において相互に接合されている。この接合部分P3は、用紙Pの一面Pa側から貫入させた抜き刃32により各用紙Pに形成された打ち抜き孔P1と、この打ち抜き孔P1に隣接させて前記各用紙Pに形成された引き上げ用カット孔P2と、前記打ち抜き孔P1から用紙Pの他面Pb側に切り起こされた切起片P5とから構成されている。そして、前記切起片P5の先端P51側を、前記カット孔P2に貫通させて前記用紙Pの一面Pa側に導出させることによって、前記複数枚の用紙Pの角部P4が相互に接合されている。冊子Bである用紙束は、詳しくは後述するように、用紙Pに切り起こされた切起片P5を用紙Pに形成されたカット孔P2に挿通させ、切起片P5とカット孔P2との係わり合いによって複数枚の用紙Pが相互に綴じられてなるものであって、用紙Pにおける切起片P5の基端P52に破れ抑制用の逃げ部P6を備えている。
【0021】
なお、接合部分は、種々の態様が考えられ、上述したものには限られない。
【0022】
<切起片>
切起片P5は、
図4ないし
図6、
図22及び
図23に示すように、先端側が膨らんだ形状、具体的には全体として矢印形状をなすもので、境界部P53を挟んで基端P52側に基端領域P54を備えるとともに、先端P51側に先端領域P55を備えている。前記基端領域P54は、ほぼ矩形状をなしており、切起片P5の基端P52から境界部P53にいたるまで同じ幅寸法W6に設定されている。すなわち、前記基端領域P54の左右対をなす側縁P50同士は、平行である。前記先端領域P55は、前記基端領域P54の境界部P53側から一体的に形成されたもので、先端P51を尖らせた多角形状としている。この先端領域P55は、切起片P5の境界部P53から先端P51にいたるまでの間に、境界部P53及び先端P51よりも大きな幅寸法W3を有する幅広部P56を備えている。換言すれば、先端領域P55は、この切起片P5の幅方向中央部分に設けた先端縁に先端角部P58を備えるとともに、前記幅広部P56の左右両側縁に対をなす側縁角部P59を備えたものである。なお、ここで言う「角部」とは、角張ったものに限られず、若干丸みを帯びたものも含む。
【0023】
なお、切起片は、種々の態様が考えられ、上述したものには限られない。
【0024】
<打ち抜き孔>
前記打ち抜き孔P1は、
図4ないし
図6、
図10、
図22及び
図23に示すように、前記切起片P5に対応する大きさ及び形状をなしており、抜き刃32による穿孔直後は、抜き刃32の形状に対応したスリット状のものであり、切起片P5を切り起こした後は、切起片P5の形状に対応した矢印形状の空間である。詳述すれば、この打ち抜き孔P1は、前記切起片P5の先端領域P55に対応する先端領域スリットP11と、この先端領域スリットP11に連続して形成され前記切起片P5の基端領域P54に対応する対をなす基端領域スリットP12とを備えている。本実施形態では、打ち抜き孔P1の基端P52に連続させて、前記切起片P5をカット孔P2に挿通させる際の前記切起片P5の基端P52への応力集中を緩和する破れ抑制用の逃げ部P6が設けてある。
【0025】
なお、打ち抜き孔は、種々の態様が考えられ、上述したものには限られない。
【0026】
<逃げ部>
前記逃げ部P6は、
図4、
図5、
図10、
図22及び
図23に示すように、前記打ち抜き孔P1の基端P13から側方に延びるもの、具体的には、左右両側の外側方に伸びるスリット状のものである。換言すれば、逃げ部P6は、前記打ち抜き孔P1の基端領域スリットP12に連続して形成され、切起片P5の長手方向に対して直交する方向に直線状に延びるものである。本実施形態においては、前記スリット状の逃げ部P6と前記打ち抜き孔P1の基端領域スリットP12とがなす角度αが略90度となっている。左右の逃げ部P6を構成するスリットの先端間距離W4は、前記打ち抜き孔P1の幅寸法よりも大きく、本実施形態においては、打ち抜き孔P1のうち最も幅の大きい部分である幅広部P56の幅寸法W3よりも大きい。また、左右の逃げ部P6を構成する各スリットの延出寸法W5は、切起片P5の基端P52の幅寸法W6と略同じにしている。用紙Pにおける打ち抜き孔P1の周辺には、
図5、
図22及び
図23に示すように、打ち抜き孔P1の基端領域スリットP12とスリット状の逃げ部P6とによって三角形状をなす片持ち片P9が形成されている。
【0027】
なお、逃げ部は、種々の態様が考えられ、上述したものには限られない。
【0028】
<カット孔>
一方、前記カット孔P2は、
図4ないし
図6、
図10、
図22及び
図23に示すように、切起片P5を主として係わり合わせるための第一のスリットL1と、この第一のスリットL1の途中から打ち抜き孔P1方向に屈曲して伸びる左右方向に対をなす第二のスリットL2とからなる。第一のスリットL1は、直線状をなすメインスリットL11と、このメインスリットL11の両端から所定の方向、すなわち第二のスリットL2と反対の方向に屈曲して伸びるサブスリットL12とを備えている。これらメインスリットL11とサブスリットL12との境界部分から前記第二のスリットL2が伸びている。本実施形態では、メインスリットL11とサブスリットL12との間の角度β1を略135度に設定している。また、このカット孔P2は、前記第一のスリットL1と前記第二のスリットL2とが一定の角度をなしており、具体的には、第一のスリットのメインスリットと第二のスリットとの間の角度β2を略90度に設定しているとともに、第一のスリットのサブスリットと第二のスリットとの間の角度β3を略135度に設定している。なお、この実施形態においては、第一のスリットL1におけるサブスリットL12の長さを前記第二のスリットL2の長さよりも長くしており、対をなす第二のスリットL2の長さはほぼ同じに設定してある。また、これら対をなす第二のスリットL2の離間距離W2は、前記切起片P5の基端領域P54の幅寸法W6と略同じかまたはそれよりも少し長く設定してある。
【0029】
これら、用紙Pのカット孔P2周辺には、
図5及び
図6に示すように、第一のスリットL1と第二のスリットL2とによって片持ち片P7、P8が形成されている。第一のスリットL1のメインスリットL11と第二のスリットL2によって形成される片持ち片P7は、矩形状をなしており、打ち抜き孔P1側を基端として自由端側を上下方向に変位可能にしている。また、第一のスリットL1のサブスリットL12と第二のスリットL2によって形成される片持ち片P8は、三角形状をなしており、第一のスリットL1の外端と第二のスリットL2の先端とを結ぶ部分を基端として自由端側を上下方向に変位可能にしている。
【0030】
前記切起片P5を前記カット孔P2に貫通させて前記用紙Pを綴じた状態では、
図4ないし
図6に示すように、前記切起片P5の先端P51側が前記第一のスリットL1に係わり合っているとともに、前記切起片P5の幅広部P56から基端P52に至る縁が前記第二のスリットL2に係わり合っている。より具体的には、第一のスリットL1に対しては、切起片P5の先端P51が一面Pa側に位置するとともに、切起片P5の基端P52及び境界部P53が他面Pb側に位置するように係わり合っている。また、第二のスリットL2に対しては、切起片P5の幅広部P56の外端P57が一面Pa側に位置するとともに、切起片P5の基端P52及び境界部P53が他面Pb側に位置するように係わり合っている。換言すれば、前記切起片P5の幅広部P56から基端P52に至る縁のうち、幅広部P56の外端P57側を片持ち片P8の下面側に位置するとともに、境界部P53を片持ち片P7の上面側に位置するようにしている。
【0031】
また、前記切起片P5の幅広部P56が、前記第二のスリットL2の先端L21よりも打ち抜き孔P1から離れる側に位置しているとともに、幅広部P56の幅寸法W3が、後述する窓D3の対応する部分の幅寸法W1よりも小さくなっている。さらに、前記幅広部P56の外端P57が、前記第二のスリットL2よりも外側に位置している。
【0032】
なお、カット孔は、種々の態様が考えられ、上述したものには限られない。
【0033】
<綴じ機>
このように用紙Pを綴じる際に使用される綴じ機1について、
図1ないし
図4、
図7ないし
図9、及び
図11ないし
図23を参照して説明する。
【0034】
なお、綴じ機は、種々の態様が考えられ、以下に説明するものには限られないはもちろんのことである。
【0035】
この綴じ機1は、
図1ないし
図4、
図7ないし
図9、及び
図11ないし
図23に示すように、複数枚の用紙Pに切起片P5を形成しつつ打ち抜き孔P1を穿設する抜き刃32と、この抜き刃32に隣接して設けられ前記切起片P5の先端P51側を係止させるためのカット孔P2を穿設する切込刃33と、これら抜き刃32及び切込刃33を保持するベース部2と、このベース部2に用紙挿入用隙間35を介して配設されたパンチ台4とを具備してなる。そして、前記ベース部2に保持された前記抜き刃32と切込刃33とを前記用紙挿入用隙間35に挿入された用紙Pを貫通してパンチ台4側に突出するように打ち込み動作させることによって、前記用紙Pに打ち抜き孔P1及びカット孔P2を形成する。次いで、前記打ち抜き孔P1からパンチ台4側に切り起こされた切起片P5の先端P51側を前記切込刃33に係わり合わせた状態でその切込刃33と前記抜き刃32とをベース部2側に復帰するように抜き取り動作させることによって、前記切起片P5を前記カット孔P2に貫通させて前記用紙Pを綴じるようにしたものである。換言すれば、この綴じ機1は、複数枚の用紙Pを接合して前記冊子Bを作るためのもので、待機位置(N)から一時的に突出側たる上方に移動することによって前記打ち抜き孔P1及びカット孔P2を形成するための抜き刃32及び切込刃33と、前記抜き刃32及び切込刃33を前記待機位置(N)で収容するベース部2と、前記抜き刃32及び切込刃33を保持し前記ベース部2に対して突没方向たる上下方向に昇降可能なスライド部材31と、このベース部2の外面側たる上向面F14側に用紙Pを挿入するための隙間35を介して配されたパンチ台4とを備えてなる。そして、前記ベース部2には、操作レバー5が回動可能に取り付けてあるとともに、このベース部2の内部には、前記操作レバー5に接続されたリンク機構6が収容してある。
【0036】
<ベース部>
ベース部2は、
図1、
図2、
図4、
図13及び
図14に示すように、内部に前記スライド部材31及び前記リンク機構6を配する空間を備えたベースフレーム21と、このベースフレーム21の下側に外嵌されるベースカバー22とからなる。
【0037】
ベースフレーム21は、
図1、
図4、及び
図13ないし
図21に示すように、ベース部2の上向面F14を形成する前部ハウジングFと、操作レバー5の上方に位置し操作レバー5を操作する際に手をかけるハンドル部を形成する後部ハウジングRとからなり、合成樹脂により一体に成形されている。
【0038】
前部ハウジングFは、
図4、及び
図13ないし
図21に示すように、天壁F1と、この天壁F1の前縁から垂下する前壁F2と、前記天壁F1の左右両側縁から垂下する左右の側壁F3とからなり、内部に刃ユニット3を収容するための空間を備えている。前記天壁F1は、前記抜き刃32及び切込刃33が通過するための開口F11を有している。この天壁F1の下面側には、前記開口F11縁の近傍に設けられ後述するインナーカム34の軸341を受けるための図示しない軸受部と、この軸受部に隣接して設けられインナーカム34のアーム344を係止するための係止壁F13とを設けている。この天壁F1の上面である上向面F14と、前記パンチ台4の下向面414との間に用紙Pを挿入するための隙間35を形成している。この実施形態においては、前記天壁F1の上向面F14の前記開口F11よりも用紙挿入側に位置する部位に、前記接合部分P13を下側から挟圧するための隆起部F15を設けている。この隆起部F15は、ベースフレーム21に一体に形成されたもので、前記隙間35に挿入された用紙Pを抜き取る際に前記切起片P5を案内するための傾斜面F16を備えている。前記側壁F3には、前側に前記スライド部材31を鉛直方向に案内するためのレール溝F31が設けられているとともに、中央にドライブシャフト36を上下方向に案内するための長孔F32が設けられている。この側壁F3には、下側の支軸53を介して操作レバー5が上下方向に回動可能に取り付けられている。また、この前部ハウジングFの天壁F1の上面と後述するアンビル41との間に用紙Pを挿入するための用紙挿入用隙間35を形成している。
【0039】
後部ハウジングRは、
図4、
図13及び
図14に示すように、手を掛けるのに適した形状をなすもので、前記前部ハウジングFの天壁F1の後端から立ち上がる前壁R1と、この前壁R1の上端から後方に延伸する天壁R2と、この天壁R2の左右両側端から垂下する左右の側壁R3と、前記天壁R2の後端から垂下する後壁R4とからなり、内部にリンク機構6を収容するための空間を備えている。前記側壁R3には、上側の支軸27を介して第1のリンクメンバ61が回動可能に取り付けられている。
【0040】
ベースカバー22は、
図1、
図2、
図13及び
図14に示すように、前記ベースフレーム21の下側に外嵌されるもので、これらベースカバー22とベースフレーム21とは前端部及び後端部にそれぞれ設けられた係合爪23a、23bによって係り合っている。このベースカバー22は、前側にスライドカバー取付部25を備えるとともに、中央部にキャップ取付部26と、このキャップ取付部26に隣接して操作レバー5との干渉を避けるための窓24が設けられている。なお、前記スライドカバー取付部25には、前記前部ハウジングF内に溜まった紙粉を外部に取り除くために開閉可能なスライドカバー28を取り付けている。また、前記キャップ取付部26には、前記ベースカバー22をベースフレーム21に取り付けるためのキャップ29を取り付けている。すなわち、このキャップ29に貫通させたビス20をトップケース42に設けられた図示しないねじ部に螺着することによって、トップケース42とベースカバー22とをベースフレーム21に着脱可能に取り付けている。
【0041】
なお、ベース部は、種々の態様が考えられ、上述したものには限られない。
【0042】
このようにしてなるベースフレーム21内に、抜き刃32及び切込刃33を有した刃ユニット3を収納している。
【0043】
<刃ユニット>
刃ユニット3は、
図7、
図8、
図10、及び
図13ないし
図21に示すように、前記ベースフレーム21のレール溝F31に案内されて鉛直姿勢を維持しつつ昇降可能なスライド部材31と、このスライド部材31に取り付けられた抜き刃32と、この抜き刃32に隣接させて配された切込刃33と、前記抜き刃32の内側に配され前記抜き刃32内に収まる初期姿勢(S)から抜き刃32外に突出する回動姿勢(K)との間で前記スライド部材31に軸341を介して回転可能に枢止されたインナーカム34と、前記初期姿勢(S)に自己復帰する方向に前記インナーカム34を回動付勢するコイルスプリングS2とを具備してなる。
【0044】
なお、刃ユニットは、種々の態様が考えられ、上述したものには限られない。
【0045】
スライド部材31は、
図7、
図8、及び
図13ないし
図21に示すように、前記ベースフレーム21のレール溝F31に上下方向にスライド可能に係合する突条311を備えたブロック状のもので、ドライブシャフト36を介して前記リンク機構6に接続されている。すなわち、このドライブシャフト36は、前記リンク機構6の第1のリンクメンバ61の先端に設けられた長孔614に係わり合わせてある。前記スライド部材31は、上方に開放された箱状のもので、前記抜き刃32及び切込刃33の下半部が収容され得るようになっている。
【0046】
なお、スライド部材は、種々の態様が考えられ、上述したものには限られない。
【0047】
<刃ユニットの切込刃>
切込刃33は、
図4、
図5及び
図10に示すような下駄状をなすカット孔P2を形成するための刃先391を有する刃本体39を備えている。具体的には、この刃本体39を有している切込刃33は、
図4、
図7ないし
図9、
図11ないし
図23に示すように、1枚の板金素材に打ち抜き加工及び折り曲げ加工を施すことにより作られたもので、前記第一のスリットL1を形成するための第一のブレードD1と、前記第一のスリットL1の途中から打ち抜き孔P1方向に伸びる第二のスリットL2を形成するための第二のブレードD2とを備えたものである。これら第一のブレードD1及び第二のブレードD2には、素材の厚み方向片側に刃先391を有した片刃構造をなす前記刃本体39を備えている。
【0048】
なお、刃本体は、片刃構造のものに限られず、また、第二のブレードD2は刃本体39及び刃先391を備えていないものであってもよい。
【0049】
また、本実施形態においては、第一のブレードD1は、用紙Pから打ち抜かれた切起片P5を通過させ前記切起片P5を係わり合わせるための窓D3を備えている。この第一のブレードD1は、直線状をなすメインスリットL11を形成するためのメインブレードD11と、このメインスリットL11の両端から他方向、すなわちこの切込刃33に対応する抜き刃32が配置されている側と反対の方向に屈曲して伸びるサブスリットL12を形成するためのサブブレードD12とを備えている。
【0050】
前記第一のブレードD1のメインブレードD11は、インナーカム34を受け入れるための窓D3を介して下ブレード部D4と上ブレード部D5とに分断されており、その下ブレード部D4と上ブレード部D5とはサブブレードD12により構造的に連結されている。この実施形態においては、サブブレードD12は、その基端縁が前記メインブレードD11に一体に連続するもので、このサブブレードD12の基端縁における前記窓D3に対応する部分に、前記第二のブレードD2が連続して形成されている。すなわち、この第二のブレードD2は、板金素材を前記折曲線部D6で折り曲げることにより、前記窓D3から一体に切り起こされたものである。
【0051】
なお、切込刃は、種々の態様が考えられ、上述したものには限られない。
【0052】
<切込刃の窓>
前記窓D3は、
図7、
図8、
図11、
図12及び
図15ないし
図21に示すように、第二のスリットL2を形成するための第二のブレードD2を左右両側縁に備えた縮幅部D31と、この縮幅部D31に隣接して設けられた拡幅部D32とからなる。本実施形態では、拡幅部D32は、前記縮幅部D31を挟んで上下両側、すなわち前記切込刃33の先端側及び基端側に設けられたものであり、その側縁には第二のブレードD2を備えていない構造となっている。この窓D3の縮幅部D31はメインブレードD11の幅内に形成されているものであり、窓D3の拡幅部D32の両側部分はサブブレードD12に亘って形成されているものである。
【0053】
前記窓D3の先端側の縁D34、すなわち第一のブレードD1の窓D3に臨む縁である上ブレード部D5の下縁は、
図7、
図8、
図11、
図12、
図15ないし
図21に示すように、切起片P5の少なくとも両側部を部分的に押圧してカット孔P2に挿通させるための接触部D35と、切起片P5に接触しない非接触部D36、D37とを備えている。詳述すれば、本実施形態における窓D3の先端側の縁D34は、この縁D34の中央部分を先端側に凹陥させた中央非接触部D36と、この中央非接触部D36の両端に連続して設けられた左右対をなす接触部D34と、この接触部D34の両端側に連続して設けられた左右対をなす両端非接触部D37とを備えている。すなわち、この切込刃33は、先端における幅方向中央部が最も突出する刃先391を有し、半円形状をなす前記中央非接触部D36がこの刃先391に対応させて幅方向中央に形成されている。
【0054】
なお、この窓D3の寸法は、切起片P5の寸法に対して以下のような関係を有している。すなわち、本実施形態における窓D3の縮幅部D31の幅寸法W11は、対をなす第二のスリットL2の離間距離W2とほぼ対応しており、前記切起片P5の幅広部P56の幅寸法W3よりも小さく設定されている。一方、窓D3の拡幅部D32の幅寸法W1は、前記切起片P5の幅広部P56の幅寸法W3よりも大きく設定されている。換言すれば、切起片P5の先端部分の最大幅寸法たる幅広部P56の幅寸法W3は、前記窓D3の拡幅部D32の幅寸法W1よりも小さく設定されている。また、本実施形態においては、切起片P5の幅広部P56の幅寸法W3が、前記凹陥させた中央非接触部D36の幅寸法W7よりも大きく設定されている。換言すれば、切起片P5の幅広部P56の幅寸法W3は、切起片P5の両側部を点状に押圧してカット孔P2に挿通させるための対をなす接触部D35同士の離間距離W7よりも大きく設定されている。
【0055】
また、第二のブレードD2は、
図9に示すように、その切り起こし加工の前に前記サブブレードD12に対して180度未満の角度G3をなすように予備切り起こし加工が施されている。これによって、前記サブブレードD12が直角よりも若干小さな角度G4で折り曲げられており、前記第二のブレードD2の前記メインブレードD11に対する切り起こし角度G2は最終的に略90度になるように設定されている。
【0056】
なお、切込刃の窓は、種々の態様が考えられ、上述したものには限られない。
【0057】
<刃ユニットの抜き刃>
抜き刃32は、
図4、
図7、
図8、
図9、
図13ないし
図21に示すように、用紙Pに対して先端領域P55に幅広部P56を備えた切起片P5を形成し得るものである。抜き刃32は、スライド部材31に設けられており、より具体的には、中間部に設けられた軸341を介して前記刃ユニット3のスライド部材31に支持されている。この抜き刃32は、1枚の板金素材に打ち抜き加工及び折り曲げ加工を施すことにより作られたもので、用紙Pに前記打ち抜き孔P1を打ち抜くための刃本体37と、用紙Pにスリット状の逃げ部P6を形成するための補助刃部38とを備えている。すなわち、抜き刃32は、用紙Pに対して形成される打ち抜き孔P1に対応する形状をなす刃本体37と、この刃本体37から外側方に連続して延びてなり、用紙Pに対して形成される直線スリット状の逃げ部P6に対応する形状をなすブレード状の補助刃部38とを備えている。より具体的には、ブレード状の補助刃部38は、刃本体37の平面視における基端から側方に延びてなるものである。また、用紙Pに貫通させる際に補助刃部38の刃先381は、刃本体37の刃先375よりも遅れて用紙Pに当たるように設定されている。
図7において示すものでは、補助刃部38の刃先381が刃本体37の刃先375よりも下に位置している。そして、刃補助部38の刃先381は、外方に向かうにつれて漸次下方に位置するように形成されている。
【0058】
抜き刃32の刃本体37と補助刃部38とは、共通の板金素材を用いて一体に形成されたものである。
【0059】
なお、抜き刃は、種々の態様が考えられ、上述したものには限られない。
【0060】
<抜き刃の刃本体>
前記刃本体37は、
図7ないし
図9、
図13ないし
図21に示すように、用紙Pに設けられる切起片P5の先端領域P55を形成するための先端領域形成部371と、この先端領域形成部371に連続して形成された前記切起片P5の基端領域P54を形成するための基端領域形成部374とを備えたものである。先端領域形成部371は、前記打ち抜き孔P1の先端領域スリットP11を形成するものであり、基端領域形成部374は、前記打ち抜き孔P1の基端領域スリットP12を形成するものである。換言すれば、先端領域形成部371は、前記切起片P5の先端角部P58に対応する箇所に屈曲部分372を備えるとともに、切起片P5の幅広部P56の側縁角部P59に対応する箇所に対をなす屈曲部分373を備えたものである。各基端領域形成部374は、それぞれ直線状をなしており、対をなす基端領域形成部374同士の離間距離W8は、一定に保たれている。すなわち、これら基端領域形成部374は、互いに平行にしてある。刃本体37の突没方向における先端には、前記打ち抜き孔P1の形状を打ち抜き形成するための平面視矢印形状をなす刃先375を備えている。詳述すれば、この刃本体37は、前記基端領域形成部374及び先端領域形成部371に、用紙Pへの貫入方向に沿って連続する刃先375を有している。
【0061】
なお、刃本体は、種々の態様が考えられ、上述したものには限られない。
【0062】
<抜き刃の補助刃部>
補助刃部38は、
図4、及び
図7ないし
図9に示すように、前記打ち抜き孔P1の基端P13、本実施形態においては、基端領域スリットP12の基端から左右両側の外側方に伸びるスリット状の逃げ部P6を用紙Pに形成するためのものである。換言すれば、補助刃部38は、前記刃本体37の基端領域形成部374に連続して設けられ、切起片P5の長手方向に対して直交する方向に直線状に延びるものである。本実施形態においては、ブレード状をなす前記補助刃部38が、前記刃本体37の基端領域形成部374に対して一定の角度γ、具体的には略90度になるように形成されている。前記補助刃部38の平面視における両側端縁同士の離間距離W9は、前記刃本体37の対をなす先端領域形成部371同士の離間距離W8よりも大きく、本実施形態においては切起片P5の幅広部P56に対応する最大離間距離W10よりも大きく設定されている。補助刃部38の突没方向における先端には、前記刃本体37の刃先375に連続する刃先381が形成されている。
【0063】
また、前記抜き刃32により囲まれた空間376には、前記切起片P5を前記切込刃33に設けられた窓D3に挿入させるためのインナーカム34を設けている。
【0064】
なお、補助刃部は、種々の態様が考えられ、上述したものには限られない。
【0065】
<刃ユニットのインナーカム>
インナーカム34は、
図4、
図7、
図9、
図13ないし
図21に示すように、基端に軸341を有するとともに先端に前記切起片P5を前記切込刃33に設けられた窓D3に挿入させるための押し出し部343を備えたもので、その軸341が前記抜き刃32及びスライド部材31に支持されている。前記インナーカム34の基端には、該インナーカム34を回動させるためのアーム344が突出させてある。このインナーカム34は、前記スライド部材31が上方へ移動する際に、前記アーム344の上面が前記ベースフレーム21に設けられた係止壁F13の下縁に当接するように設定してある。そして、当接後さらにスライド部材31が上方へ移動することにより、基端の軸341まわりに該インナーカム34が回動姿勢(K)にまで回動するように構成されている。すなわち、用紙Pに打ち抜き孔P1が形成された後に、前記インナーカム34が切起片P5を押圧しつつ切込刃33方向に回動するように構成されている。
【0066】
なお、インナーカム34は、抜き刃32により囲まれた空間376、より具体的には、抜き刃32における刃本体37の対をなす基端領域形成部374間に収容されるようにしており、インナーカム34が軸341の長手方向にぐらつくことを抑制している。
【0067】
なお、インナーカムは、種々の態様が考えられ、上述したものには限られない。
【0068】
以上のようにしてなる刃ユニット3は、操作レバー5を操作することで、前記ベースフレーム21に収容されたリンク機構6を介して上方に移動されるようにしている。
【0069】
<操作レバー>
操作レバー5は、
図1、
図2、
図8、
図13及び
図14に示すように、金属製のレバープレート51と、このレバープレート51の外方に装着される樹脂製のレバーカバー52とからなる。前記レバープレート51は、板金素材を折曲加工したもので、底壁511と、この底壁511の両側縁から立ち上がる側壁512とを有している。
【0070】
なお、操作レバーは、種々の態様が考えられ、上述したものには限られない。
【0071】
<リンク機構>
リンク機構6は、
図8、
図13及び
図14に示すように、先端61aが前記ドライブシャフト36を介して前記スライド部材31に接続されるとともに後端61bが前記ベースフレーム21に上側の支軸27を介して接続される第1のリンクメンバ61と、この第1のリンクメンバ61の下方に位置させて前記ベースフレーム21に保持された下側の支軸53を軸にして前記第1のリンクメンバ61を上方に押し上げるための第2及び第3のリンクメンバ62、63とを具備してなる。
【0072】
ここで、第2及び第3のリンクメンバ62、63は、トグル的な倍力作用をなすように配置されている。すなわち、前記第2のリンクメンバ62は、基端62aが前記ベースフレーム21に下側の支軸53を介して接続されたものであり、前記操作レバー5が上方に回動操作された場合に前記基端62aを中心に回転動作する。この第2のリンクメンバ62は、前記操作レバー5に一体に設けられており、下側の支軸53を操作レバー5の支軸と共通のものとしている。また、前記第3のリンクメンバ63は、前記第2のリンクメンバ62の回動端62bと前記第1のリンクメンバ61の中間61cとを連結するものである。具体的には、この第3のリンクメンバ63は、一端63aを第1結合軸66を介して前記第1のリンクメンバ61に枢着するとともに、他端63bを第2結合軸67を介して前記第2のリンクメンバ62の回動端62bに枢着したものである。したがって、第2結合軸67は、レバープレート51の底壁511にほぼ沿った操作レバー5の芯上に、直接は設けられておらず、操作レバー5の前記芯から第2のリンクメンバ62を介して離れた位置に設けられている。すなわち、第2結合軸67が操作レバー5の前記芯よりも第1のリンクメンバ61側に位置するように、前記操作レバー5と前記第3のリンクメンバ63との位置関係が設定されている。換言すれば、第2結合軸67が、前記操作レバー5の下側の支軸53とこの支軸53を中心に回動する回動端51aとを結んだ軸線と、前記第1のリンクメンバ61の上側の支軸27とこの支軸27を中心に回動する回動端たる先端61aとを結んだ軸線との間に配されるように設定されている。
【0073】
第1のリンクメンバ61は、
図8、
図13及び
図14に示すように、天壁611と、この天壁611の左右両側縁から垂下する左右の側壁612とを備えた金属製のものである。前記天壁611には、該天壁611と前記ベースフレーム21の後部ハウジングRの天壁R2との間に配されるコイルスプリングS3を配するためのスプリング保持部613が設けてあり、このコイルスプリングS3により前記第1のリンクメンバ61は下方に付勢されている。前記左右の側壁612の前端部には、前記ドライブシャフト36を案内するための長孔614を設けている。
【0074】
第2のリンクメンバ62は、
図8、
図13及び
図14に示すように、前記レバープレート51の側壁512に一体に設けられている。すなわち、この実施形態における前記第2のリンクメンバ62と前記操作レバー5のレバープレート51とは、共通の板金素材により作られた一体構造物であり、前記下側の支軸53を貫通させるための共通貫通孔621を備えている。
【0075】
第3のリンクメンバ63は、
図8、
図13及び
図14に示すように、底壁631と、この底壁631の左右両側縁から立ち上がる左右の側壁632とを備えたチャンネル状をなす金属製のものである。
【0076】
なお、リンク機構は、種々の態様が考えられ、上述したものには限られない。また、リンク以外の方法でベース部と刃ユニットとを接続するものであってもよい。
【0077】
<パンチ台>
パンチ台4は、
図1ないし
図3、
図7、及び
図13ないし
図21に示すように、前記抜き刃32及び切込刃33が挿入可能な刃貫通孔411、422と、この刃貫通孔411、422を通して前記用紙Pを視認可能な窓421とを有するものである。具体的には、このパンチ台4は、扁平箱形をなすトップケース42と、このトップケース42の下部に前記抜き刃32と協働して用紙Pに打ち抜き孔P1を穿孔するためのアンビル41とを備えている。前記トップケース42は、上方及び前方に開放された窓421を有している。このトップケース42は、前記抜き刃32が通過する穿孔部423と、前記切込刃33が通過する通過孔424とを備えた樹脂製のもので、前記刃貫通孔422から前記用紙Pの切り粉が落ちることを抑制する壁425、426が、前記穿孔部423及び通過孔424の縁から立ち上げて形成されている。
【0078】
壁425、426は、前記穿孔部423及び通過孔424の縁に沿って土手状をなすように連続的に形成されている。詳述すれば、この壁425、426は、前部に低い壁426を設けるとともに後部に高い壁425を設けて高低差のあるものとしている。そして、この高い壁425は、後述する窓カバー43を一定の位置まで開けた際に、刃貫通孔422の上方へ使用者の指が入って、前記抜き刃32及び切込刃33に不意に触ってしまうことを防止または抑制するための役割も担っている。また、トップケース42の前記壁425、426の後側は、前記ベースフレーム21の後部ハウジングRの外側を覆うようにして嵌め合わせられる。
【0079】
アンビル41は、
図7、及び
図13ないし
図21に示すように、前記抜き刃32と協働して用紙Pに打ち抜き孔P1及び逃げ部P6を穿設するための穿孔部412と、前記切込刃33が通過する通過孔413とを備えた金属製のもので、前記トップケース42の下面に重ね合わせた状態で、前記ベースフレーム21に図示しないビス及び位置決めピンを用いて取り付けられている。この実施形態においては、前記アンビル41の下向面414における前記刃貫通孔411よりも用紙挿入側に位置する部位に、前記接合部分P13を上側から挟圧するための隆起部415を設けている。
【0080】
窓421は、
図3、
図13及び
図14に示すように、透明な窓カバー43によって覆われている。この窓カバー43は、前記トップケース42内に溜まった紙粉を外部に取り除くために開閉可能に取り付けられている。また、この窓カバー43は、開放した際に抜き刃32及び切込刃33に使用者の手が届かなくなるように、一定の位置で止まるように設定されている。具体的には、
図2及び
図3に二点鎖線で示すように、前記アンビル41及びトップケース42の穿孔部412、423の上方を覆うとともに通過孔413、424の上方を露出させるような位置まで開放し得るようになっている。すなわち、この窓カバー43は、トップケース42の壁425、426の上方に設けられ、低い壁426の上方を覆うとともに高い壁425の上方を露出させるような位置まで開放し得るようになっている。
【0081】
なお、パンチ台は、種々の態様が考えられ、上述したものには限られない。
【0082】
このような綴じ機1において、
図4、
図13及び
図14に示すように、前記前記用紙挿入用隙間35に挿入された用紙Pが当接する部位、すなわち隙間35の奥に配された係止壁I3に、前記用紙Pの角部P4を当接させることにより用紙Pの位置決めを行う位置決め部I1を形成している。前記係止壁I3は、用紙Pの一辺を挿入した際の挿入量を規定するものである。この係止壁I3は、ベース部2の後部ハウジングRの前端に設けられたアンビル取付座としての機能を有しており、この係止壁I3の上面に前記パンチ台4のアンビル41が取り付けられる。前記係止壁I3の中央部には、該係止壁I3を平面視略直角二等辺三角形状に切り欠いて形成された位置決め部I1を有している。
【0083】
また、前記綴じ機1の両側面には、
図1ないし
図3に示すように、位置決め部I1により位置決めした用紙Pの位置決め状態を確認するための目印I2を設けている。具体的には、前記パンチ台4のトップケース42の外面に、位置決め部I1によって正確に位置決めされた場合の用紙Pの姿勢を示唆するための目印I2が設けられている。この目印I2は、平面視において用紙Pの辺とトップケース42の外面との交点に対応する部位に設けられた縦筋状の突条である。
【0084】
なお、位置決め部や目印は、種々の態様が考えられ、上述したものには限られない。
【0085】
なお、本実施形態における刃駆動機構7とは、
図8、及び
図13ないし
図21に示すように、前記ベース部2に設けられ、操作レバー5に加えられる操作力を利用して前記抜き刃32及び切込刃33の上下方向に動作させるものであり、詳述すれば、前記抜き刃32及び切込刃33を保持し前記ベース部2に対して上下方向に昇降可能なスライド部材31と、このスライド部材31を前記操作レバー5に加えられる操作力により前記抜き刃32及び切込刃33が用紙Pを貫通する穿孔位置(C)まで上方へ動作させる刃打ち込み機構8と、前記スライド部材31を前記抜き刃32及び切込刃33が用紙Pから抜き取られる前記待機位置(N)まで復帰させる刃抜き取り機構9とを主体に構成されている。なお、刃駆動機構は、以下に詳述するものに限られず、種々の態様が考えられるのはもちろんのことである。
【0086】
詳述すれば、前記刃打ち込み機構8は、
図8、
図13及び
図14に示すように、操作レバー5に加えられる操作力を利用して、前記抜き刃32及び前記切込刃33を保持したスライド部材31を上方に移動させ、前記抜き刃32及び切込刃33をベースフレーム21の上向面F14側の隙間35にセットされた用紙Pに貫入させるためのもので、前記操作レバー5とスライド部材31との間に配された前記リンク機構6を主体にして構成されている。
【0087】
また、本実施形態における刃抜き取り機構9は、
図8、
図13、
図14、及び
図18ないし
図21に示すように、前記抜き刃32及び前記切込刃33を保持したスライド部材31を前記ベースフレーム21を足場にして下方に付勢する弾性体たる前記コイルスプリングS1と、前記第1のリンクメンバ61を前記ベースフレーム21を足場にして下方に付勢する弾性体たる前記コイルスプリングS3とを主体に構成されている。
【0088】
なお、この実施形態のように、スライド部材31と、操作レバー5とをリンク機構6により接続しておけば、刃抜き取り機構9の性能をさらに向上させることができる。すなわち、用紙Pの枚数が多くなり、前記コイルスプリングS1及びコイルスプリングS3の力だけでは切起片P5を用紙Pの一面Pa側に引き抜くことができない場合でも、前記操作レバー5に、下方への操作力を加えることによって、引き抜きを完了させることが可能となる。
【0089】
<作動説明>
次に、この綴じ機1の作動を説明する。
【0090】
操作レバー5を操作しない状態では、
図13及び
図15に示すように、スライド部材31が下限位置に保持されており、前記インナーカム34が抜き刃32内に収容された初期姿勢(S)を保っている。この状態で、重ね合わせた複数枚の用紙Pをベースフレーム21の上向面F14とアンビル41の下向面414との間に形成されている隙間35の奥まで挿入する。そして、窓カバー43の上方から、刃貫通孔411、422を通して用紙Pに穿孔される打ち抜き孔P1、逃げ部P6及びカット孔P2の位置を確認する。また、綴じ機1の側面側に設けた目印I2を用いて、位置決め部I1により位置決めした用紙Pの位置決め状態を確認する。しかる後に、操作レバー5を上方に操作すると、この操作レバー5に加えられた力が、リンク機構6を通じてスライド部材31の上方への動きに変換して伝えられる。
【0091】
詳述すれば、操作レバー5を上方に操作すると、この操作レバー5のレバープレート51は、下側の支軸53を中心に回転動作するとともに、このレバープレート51に一体に設けられた第2のリンクメンバ62が下側の支軸53を中心に上方に回転動作する。その結果、この第2のリンクメンバ62の回動端側に設けられた第2結合軸67は、第1のリンクメンバ61の方向へ、すなわち前方上方へと移動することとなる。前記第2結合軸67を介して接続された第3のリンクメンバ63は、第2のリンクメンバ62の回転動作に伴って、起立しながら第1のリンクメンバ61を上方へ押し上げる。すなわち、前記第3のリンクメンバ63の回動端側に設けられた第1結合軸66は、前記コイルスプリングS3の付勢力に抗して第1のリンクメンバ61の中央61cを上方に押す方向へと移動する。それによって、前記第1のリンクメンバ61は、上側の支軸27を中心に回転動作するため、その前端部61aが上方に移動する。
【0092】
このようにして、前記操作レバー5を上方に操作した力が、前記第2のリンクメンバ62、第3のリンクメンバ63、及び第1のリンクメンバ61を介してドライブシャフト36に伝達される。その結果、前記スライド部材31を上方に移動させることとなる。
【0093】
スライド部材31が上方に移動を始めると、最初に前記スライド部材31の底壁と前記ベースフレーム21の前部ハウジングFの天壁F1との間に配されたコイルスプリングS1が圧縮され、このコイルスプリングS1の付勢力に抗してスライド部材31が上昇する。その後、このスライド部材31に取り付けられた抜き刃32及び切込刃33の先端が用紙Pの一面Paに当接し、この用紙Pがアンビル41に押し付けられる位置まで押し上げられる。そして、この位置から操作レバー5をさらに上方に操作すると、前記抜き刃32及び切込刃33の刃先375、381、391によって用紙Pがアンビル41に押しつけられた状態のまま、
図16に示す状態を経て、前記抜き刃32及び前記切込刃33が前記用紙Pを貫通し、その用紙Pに打ち抜き孔P1、逃げ部P6及びカット孔P2が穿孔される。なお、本実施形態においては、前記抜き刃32の刃本体375による打ち抜き孔P1の穿孔とほぼ同時またはその後に抜き刃32の補助刃部38によって逃げ部P6が穿孔される。穿孔後さらに、前記抜き刃32及び前記切込刃33が上昇すると、
図17に示すように、前記抜き刃32の内部に配されるインナーカム34のアーム344が前記係止壁F13に当接し、インナーカム34とスライド部材31との間に配されるコイルスプリングS2の付勢力に抗して、前記インナーカム34が
図18に示すような回動姿勢(K)まで回動する。その結果、打ち抜き孔P1から用紙Pの他面Pb側に切り起こされた切起片P5の先端P51側が、切込刃33の窓D3に挿入される。
【0094】
ついで、操作レバー5への操作を解除すると、
図19に示すように、前記コイルスプリングS2の付勢により前記インナーカム34が回動姿勢(K)から初期姿勢(S)に復帰する。そして、前記抜き刃32及び切込刃33がコイルスプリングS1及びコイルスプリングS3の付勢により没入側たる下方に移動し、用紙Pがアンビル41から引き離されながら抜き刃32及び切込刃33が用紙Pから抜き取られる。その際に、
図20に示すように、切込刃33の窓D3に挿入されている切起片P5がカット孔P2を通過して用紙Pの一面Pa側に抜き出され、
図21に示すように、前記切込刃33により複数の用紙Pが結合される。
【0095】
この状態で、用紙Pを綴じ機1から抜き取れば、その途上において、前記ベースフレーム21の隆起部F15と、前記アンビル41の隆起部415との間に形成された狭い隙間に、前記傾斜面F16の案内作用により強制的に導かれることになり、前記用紙Pの接合部分P3が厚み方向に圧縮変形され、
図21に二点鎖線で示すように、前述した冊子Bができあがる。なお、前記コイルスプリングS1及びコイルスプリングS3の弾性力のみでは前記抜き刃32及び切込刃33を用紙Pの一面Pa側に引き抜くことができない場合には、前記操作レバー5を下方に操作してその引き抜きを助勢すればよい。
【0096】
次に、切起片P5とカット孔P2との係わり合わせについて詳述する。なお、
図22及び
図23は、係わり合わせについて説明するために刃駆動機構7を構成する要素のうち、用紙P及び切込刃33のみを模式的に表したものである。
【0097】
まず、切込刃33が穿孔位置(C)に到達する過程で、打ち抜き孔P1から用紙Pの他面Pb側に切り起こされた切起片P5の先端P51側は、切込刃33の窓D3に挿入される。すなわち、
図17に示すように、切起片P5の先端P51側は、前記窓D3の先端側の縁D34に形成された中央非接触部D36を最初に通過し、切込刃33の窓D3に挿入される。詳述すれば、
図17及び
図18に示すように、切込刃33が可動し得る最上端まで達する過程で、インナーカム34が回動姿勢(K)となり、前記切込刃33の窓D3に切起片P5を挿入しつつ、インナーカム34自体も窓D3に挿入される。その際、切起片P5の先端領域P55は、前記窓D3の中央非接触部D36及び前記窓D3の拡幅部D32を通過した後、この拡幅部D32に隣接して設けられた縮幅部D31に達する。この縮幅部D31に押し込まれた切起片P5は、先端領域P55の左右両端側が前記縮幅部D31よりも大きい幅寸法W3を有しているので、前記縮幅部D31の側縁に設けられた第二のブレードD2に沿って湾曲した状態となる。
【0098】
次に、操作レバー5への操作が解除され、切込刃33が用紙Pから抜き取り方向に移動し始めると、切込刃33が降下し、切起片P5の先端領域P55は、縮幅部D31による拘束から解放されて拡幅部D32内に移行する。すなわち、前記切込刃33の第二のブレードD2が用紙P2側へと沈み込むにつれて、先端領域P55の左右両端部が前記第二のブレードD2から解放され、拡幅部D32側へと移動するものである。なお、拡幅部D32側へと移動された切起片P5の幅広部P56は、前記第二のスリットL2の先端L21よりも打ち抜き孔P1から離れる側に位置している。さらに、切起片P5の幅広部P56の幅寸法W3が、窓D3の縮幅部D31の幅寸法W11よりも大きくなるように抜き刃32の形状及び寸法、切込刃33の形状及び寸法、並びに前記抜き刃32と切込刃33の相対位置が設定されているので、前記幅広部P56の外端P57が、前記第二のスリットL2よりも外側に位置している。
【0099】
さらに、
図19及び
図22に示すように、切込刃33が降下し、窓D3の拡幅部D32が用紙P側へと沈み込むにつれて、前記窓D3の先端側の縁D34が、切起片P5の先端領域P55に部分的に当接し始める。
【0100】
そして、
図20及び
図23に示すように、切起片P5の先端領域P55が前記切込刃33の抜出動作に伴って用紙Pの他面Pb側から一面Pa側に引き抜かれる。すなわち、切込刃33が用紙Pから抜き取られる際に、前記窓D3の先端側の縁D34が切起片P5の先端領域P55に圧接し、前記切起片P5の先端領域P55が前記カット孔P2を通過して用紙Pの他面Pb側から一面Pa側に導かれる。換言すれば、切起片P5は、切込刃33の窓D3の先端側の縁D34により用紙Pの一面側に引っ張られる。その際に、前記先端側の縁D34が前記接触部D35及び非接触部D36、D37を備えているので、前記切起片P5の先端領域P55に圧接した際に切起片P5が湾曲する。その結果、先端領域P55と窓の先端側の縁D34とが前記接触部D35において点接触状態、あるいはそれに近い状態となる。換言すれば、本実施形態においては、切込刃33を用紙Pから抜き取る際に、切起片P5が対をなす接触部D35によって切起片P5の両側部を部分的に押圧することになる。一方、前記接触部D35間に存在する中央非接触部D36や前記接触部D35より外側に存在する両端非接触部D37には切起片P5が接触しないことになる。つまり、前記接触部D35が、切起片P5の両側部を点状に押圧して、切起片P5をカット孔P2に通過させるようにしている。したがって、前記切込刃33を引き抜く際、換言すれば、切起片P5が切込刃33の窓D3に入ってカット孔P2を通過する際に切込刃33と切起片P5との間に生じる摩擦力を低減させることができる。詳述すれば、切込刃33の変位により前記切起片P5を前記カット孔P2の中に導く際には、前記接触部D35と切起片P5との接触位置が、切起片P5の長手方向に沿って滑らかにすべるように変化することとなる。したがって、綴じ機1で用紙Pを綴じこむ際に、切込刃33と切起片P5との摩擦による操作の負担を軽減することが可能になる。
【0101】
また、このように切起片P5の先端部分が用紙Pの一面Pa側に押し出される際に、
図20及び
図23に示すように、切起片P5の基端P52は切起片P5が押される方向、すなわち切起片P5の長手方向に沿って一時的に付勢される。その際、切起片P5の基端P52近傍にスリット状の逃げ部P6が形成されているため、用紙Pにおける打ち抜き孔P1の基端P13の周囲には応力が集中せずに分散される。そして、切起片P5が付勢されることにより、応力が集中しやすい切起片P5の基端P52及びこの近傍の用紙Pが微細に変移する。
【0102】
具体的には、
図22及び
図23に示すように、用紙Pにおける逃げ部P6よりもカット孔P2側に位置する部分P10が、用紙Pにおける逃げ部Pよりもカット孔P2側に位置する片持ち片P9に対して相対的に厚み方向に変位する。換言すれば、切起片P5が付勢された際に、用紙Pにおける逃げ部P6よりもカット孔P2側に位置する部分P10が、切起片P5の基端P52近傍の用紙Pが破れないように一時的に弾性変形することとなる。
【0103】
したがって、本実施形態では、用紙Pの枚数が比較的多い場合であっても、用紙Pの所要箇所に逃げ部P6を設けることにより、切起片P5の基端P51、より具体的には、用紙Pにおける打ち抜き孔P1の基端P13の周囲が破断してしまうという不具合を防止または抑制することが可能となっている。
【0104】
さらに、第一のブレードD1で切り欠いた第一のスリットL1と第二のブレードD2で切り欠いた第二のスリットL2とによって片持ち状態となった用紙Pの片持ち片P7、P8が、片観音開きのように反り返る。そして、この片持ち片P7、P8の自由端側が上下方向に変位することによって、前記切起片P5が前記カット孔P2に貫通させられる。詳述すれば、
図5に示すように、前記切起片P5の先端領域P55のうち、第一のスリットL1を挟んで打ち抜き孔P1と反対側の部分を第一のスリットL1に係わり合わせるとともに、前記切起片P5の先端領域P55のうち、第二のスリットL2よりも外側の部分を第二のスリットL2に係わり合わせる。換言すれば、切起片P5の幅広部P56から先端P51に至る縁を第一のスリットL1に係わり合わせるとともに、幅広部P56から境界部P53に至る縁を第二のスリットL2に係わり合わせている。
【0105】
なお、
図20に示す状態から、さらに切込刃33が没入方向、すなわち下方に移動すると、切込刃33の第一のブレードD1によって下方に引っ張られていた切起片P5の先端領域P55が元の位置に復帰しようとする。したがって、切込刃33が用紙Pから完全に離れると、
図21に示すように、前記切起片P5の先端P51側は、前記用紙Pの一面Pa側に添うこととなる。
【0106】
<第1実施形態の効果>
以上に述べたように、本実施形態に係る綴じ機1においては、前記抜き刃32が、前記切起片P5を前記カット孔P2に挿通させる際の前記切起片P5の基端P52への応力集中を緩和する破れ抑制用の逃げ部P6を用紙Pに形成するための補助刃部P6を備えてなるものであるため、複数枚の用紙Pを綴じる過程において、切起片P5の基端P52の周囲が破断してしまうという不具合、より詳しく言えば、用紙Pにおける切起片P5の基端P52の両側部分に対応している打ち抜き孔P1の基端P13から用紙Pに破れが生じてしまうという不具合を好適に解消又は抑制することができ、綴じ力を安定したものとすることができる。しかも、複数枚の用紙Pにおいて綴じられる部分に、用紙Pが破断した部分が出現しにくいものとなるため、用紙Pが綴じられた状態でも利用者等からみた見苦しさが抑制されるものとなる。換言すれば、複数枚の用紙Pを綴じた状態で、綴じ部分の見栄えを良好なものとすることができる。
【0107】
特に、多くの枚数の用紙P、例えば5〜6枚以上の一般的な紙製の用紙Pを綴じる場合には、切起片P5の基端に大きな応力が生じて破断が生じやすいが、抜き刃32が、用紙Pの所定箇所に逃げ部P6を形成するための補助刃部P6を備えているものであれば、多くの枚数の用紙Pを綴じる場合であっても所期の目的を達成することができる。
【0108】
前記逃げ部P6が、前記打ち抜き孔P1の基端P13から側方に延びるスリット状のものであり、逃げ部P6を形成するための補助刃部38が、抜き刃32の刃本体37の基端、すなわち、平面視における基端から側方に連続して延びるブレード状のものであるので、用紙Pに対して打ち抜き孔P1とともに逃げ部P6を無理なく形成することができる。
【0109】
前記抜き刃32の刃本体37と補助刃部38とが共通の板金素材を用いて一体に形成されたものであるので、用紙Pに対して打ち抜き孔P1及び逃げ部P6を形成するための刃先375、381が連続した抜き刃32を形成しやすいものとなっている。
【0110】
前記切起片P5が、前記先端部分を含む先端領域P55と、この先端領域P55に連続し前記先端領域P55の最も幅の広い幅広部P56よりも幅狭な基端領域P54とを有してなるものであり、前記刃本体37が、前記先端領域P55を形成するための先端領域形成部371と、この先端領域形成部371に連続して形成された前記基端領域P54を形成するための基端領域形成部374とを備えたものであるので、用紙Pに形成される切起片P5の形状を、カット孔P2に係り合わせるための好適なものとすることができる。
【0111】
補助刃部38が、前記切起片P5の長手方向に対して直交する方向に延びるものであるため、逃げ部P6を切起片P5に対して好適に設けることができる。すなわち、本実施形態では、切起片P5の長手方向に対して直交する方向に延びるスリット状の逃げ部P6が、打ち抜き孔P1の基端P13から前述した方向に延びているため、切込刃33によって切起片P5が引っ張られる際に、用紙Pの変形を促しやすいものとなる。
【0112】
また、本実施形態に示される綴じ機1に使用される刃、すなわち抜き刃32は、前記刃本体37の刃先375と補助刃部38の刃先381とが連続して形成されているものであるので、切起片P5をカット孔P2に挿通させる際の切起片P5の基端P52への応力集中を緩和することができ、所期の目的を達成することができる。
【0113】
前記窓D3の先端側の縁D34が、切起片P5の少なくとも両側部を部分的に押圧してカット孔P2に挿通させるための接触部D35と、切起片P5に接触しない非接触部D36、D37とを備えているので、切起片P5の枚数が比較的多い場合であっても切起片P5が窓D3の縁D34に巻き付いたり、引っ掛かったりして摩擦力が増大することを抑制することができる。すなわち、従来のように切起片を窓の先端側の縁に沿わせるようにしたものにおいて生じていた不具合を抑制することができる。
【0114】
詳述すれば、従来のものは、窓の先端側の縁と切起片とを全体的に当接させており、切込刃を用紙から抜き取る際に窓の縁と切起片との間に生じる摩擦が大きくなっていた。すなわち、従来は、窓の先端側の縁が切起片に線状に接触しており、切込刃の変位により前記切起片をカット孔の中に導く際には、切起片と窓の先端側の縁との係わり合いが強くなりすぎて先端側の縁に対して切起片がすべりづらいものであった。このようなものであると、コイルスプリングS1及びコイルスプリングS3の力だけでは切起片を用紙の一面側に引き抜くことが難しくなる。ところが、本実施形態に示すものは、切起片P5の両側部を前記先端側の縁D34に点状に当接させるものであるので、切込刃33を用紙Pから抜き取る際に窓D3の縁D34と切起片P5との間に生じる摩擦を小さくすることができる。そのため、無理なく切起片P5をカット孔P2に挿通させることができ、切込刃33に無駄な抵抗力がかかるのを抑制することができる。したがって、操作レバー5の初期位置までの戻り動作をスムーズなものとすることができ、操作レバー5から使用者に与える違和感を小さくすることができる。
【0115】
また、切起片P5と切込刃33との間に生じる摩擦力が増大することを緩和することができるので、コイルスプリングS1及びコイルスプリングS3として弾性力の大きいスプリングを用いる必要がなくなる。そのため、軽い操作力で操作可能な綴じ機1を提供することができる。
【0116】
本実施形態の窓D3は、先端側の縁D34に前記切起片P5をカット孔P2に押し込むための接触部D35を備えているので、切起片P5の先端領域P54を積極的にカット孔P2に差し込むことができる。特に、接触部D35が、前記窓D3の先端側の縁D34に面取り加工を施したものであるので、湾曲した接触部D35が切起片P5の上を滑りながら点状に押圧することとなり、切起片P5を損傷させるおそれが少ない。また、中央非接触部D36が切込刃33の幅方向ほぼ中央に設けられており、接触部D35がその両端の左右対称位置に設けられているので、切起片P5の先端領域P54を左右均等に押すことができる。
【0117】
また、接触部D35はメインスリットL11と同じ平面内に位置しており、その厚み寸法はメインスリットL1の厚み寸法と同じである。そのため、この接触部D35によって、切起片P5の先端P51側を確実に用紙Pの一面Pa側に表出させることができる。さらに、切起片P5の先端P51側が一面Pa側に表出される勢いで、係わり合わされる前に片持ち片P8の上方、すなわち用紙Pの他面Pb側に位置していた切起片P5の先端領域P55における左右両端部分を、片持ち片P8の下方、すなわち用紙Pの一面Pa側に位置させることができる。すなわち、片持ち片P7、P8が用紙Pの厚み方向に反り上がることで、この片持ち片P7と片持ち片P8とが隣接する第二のスリットL2部分で、切起片P5をカット孔P2に係わり合わせることができる。
【0118】
特に、本実施形態に示した中央非接触部D36は、前記窓D3の先端側の縁D34の中央部分を先端側に凹陥させたものであるので、切起片P5を窓D3に挿通させやすい。すなわち、先に切起片P5の先端P51部分が窓D3に挿入される前に前記中央非接触部D36に挿入されるため、切起片P5の先端P51がメインブレードD11に引っ掛かることを抑制することができる。特にこの効果は、以上の実施形態に示したように切起片P5が矢印形状をなす等、先端領域P55が先細りの形状をなしている場合に顕著となる。また、中央非接触部D36が、湾曲部分を有した半円形状をなすものであるので、対をなす接触部D35によって両側部を押圧され厚み方向に湾曲した切起片P5が挿通しやすい構造となっている。
【0119】
前記中央非接触部D36が、窓D3の先端側の縁D34の中央部分を先端側に凹陥させたものであるので、板金素材の打ち抜き加工によって容易に形成することができる。また、従来のような板金素材の折曲加工によって円滑案内部を作る場合のように、折り曲げた余剰素材を挿入するための孔をメインブレードの先端側に設ける必要がなくなるため、切込刃33の刃先391と窓D3の先端側の縁D34との距離を小さく設定することができる。特に、この切込刃33は、先端における幅方向中央部が最も突出する刃先391を有し、前記非接触部D36がこの刃先391に対応させて幅方向中央に形成されているので、刃先391と窓D3との距離を小さくするができる。そのため、切込刃33の基端から先端までの距離を従来のものに比べて短くすることができ、切込刃33の進退方向のストロークを従来のものよりも小さく設定することができる。したがって、綴じ機1全体の進退方向のコンパクト化を図ることができる。
【0120】
また、前記切起片P5の先端領域P55における最大幅寸法である幅広部P56の幅寸法W3が、前記窓D3の拡幅部D32の幅寸法W1よりも小さく、かつ、前記凹陥させた中央非接触部D36の幅寸法W7よりも大きく設定されたものであるので、切起片P5を窓D3の拡幅部D32に容易に挿通させることができ、一旦窓D3に挿通された切起片P5は、対をなす接触部D35によって切起片P5の両側部を押圧しながらカット孔P2に挿通させることができる。
【0121】
切込刃33は、前記窓D3を有した第一のブレードD1と、この窓D3の両側縁に形成された第二のブレードD2とを備えたものであるので、前記切起片P5を適切に係止し得るカット孔P2を形成することができる。
【0122】
特に、本実施形態のものは、前記第二のブレードD2により形成される第二のスリットL2が、前記第一のブレードD1により形成される第一のスリットD1の途中から打ち抜き孔P1方向に伸びるものであり、前記切起片P5が、先端P51側に幅広部P56を備え、前記切起片P5の幅広部P56から基端P52に至る縁を前記第二のスリットL2に係わり合わせるように構成されているので、用紙Pの素材にかかわりなく切起片P5の係止状態を維持できる。
【0123】
詳述すれば、切込刃33が、前記切起片P5を係わり合わせるための窓D3を有し第一のスリットL1を形成するための第一のブレードD1と、前記第一のスリットL1の途中から打ち抜き孔P1方向に伸びる第二のスリットL2を形成するための第二のブレードD2とを備えたものであり、切起片P5の幅広部P56から基端P52に至る縁を前記第二のスリットL2に係わり合わせ得るようにしているので、切起片P5が第一のスリットL1と係わり合わされるのみならず、第二のスリットL2とも係わり合わされ、切起片P5とカット孔P2との接合状態をより信頼性の高いものにすることができる。
【0124】
すなわち、切起片を第一のスリットのみに係わり合わせるようにしたものは、冊子になんらかの力が加わって第一のスリットが上下方向に大きく開口してしまうと、切起片とカット孔との係わり合いが解除されるというおそれがある。しかしながら、本実施形態のようなものであれば、切起片P5が第二のスリットL2にも係わり合っているため、第一のスリットL1が上下方向に大きく開口してしまった場合であっても、切起片P5と第二のスリットL2との係わり合いは解除されることなく、その係合状態が保たれるものである。したがって、切起片P5とカット孔P2との接合状態を従来のものよりも良くすることができる。
【0125】
特に、プラスチック製のシート等、比較的表面の摩擦抵抗の少ない材質で作られたシートを多枚数綴じる場合であっても、切起片P5の幅広部P56から境界部P53に至る縁を前記第二のスリットL2に係わり合わせているため、片持ち片P8の下面側に切起片P5の先端領域P55の一部が潜り込んだ状態とすることができる。したがって、切起片P5と第二のスリットL2の係わり合いは解除されることなく係合状態が保たれ、切起片P5とカット孔P2との接合状態を保持することができる。
【0126】
前記幅広部P56が、前記第二のスリットL2の先端L21よりも打ち抜き孔P1から離れる側に位置するように、前記抜き刃32の形状及び寸法、前記切込刃33の形状及び寸法、並びに前記抜き刃32と切込刃33の相対位置を設定しているので、切起片P5の幅広部P56から基端P52に至る縁を前記第二のスリットL2に係わり合わせ得るようにすることができる。すなわち、幅広部P56が前記第二のスリットL2の先端L21よりも打ち抜き孔P1側にある場合には、切起片P5の幅広部P56から基端P52に至る縁が第二のスリットL2に係わり合うことなく、切起片P5とカット孔P2との接合状態が比較的容易に解除されてしまうが、幅広部P56の幅寸法W3が窓D3の縮幅部D31の幅寸法W11よりも大きく設定されていることと相俟って、切起片P5と第二のスリットL2との係合状態を保持することができる。すなわち、切起片P5が第一のスリットL1に係わり合うのみならず、この第一のスリットL1の途中から延出する第二のスリットL2にも係わり合っているため、第一のスリットL1のみからなるほぼ一直線状のカット孔に係わり合わせる場合よりも係わり合いやすくなっている。
【0127】
さらに、本実施形態では、前記幅広部P56が、前記第一のスリットL1とほぼ一致するように前記抜き刃32の形状及び寸法、前記切込刃33の形状及び寸法、並びに前記抜き刃32と切込刃33の相対位置を設定していたが、前記幅広部P56が、前記第一のスリットL1よりも打ち抜き孔P1側に位置するように、前記抜き刃32の形状及び寸法、前記切込刃33の形状及び寸法、並びに前記抜き刃32と切込刃33の相対位置を設定するのが好ましい。このようにすれば、第二のスリットL2と切起片P5とが係わり合う部分が増えることで、切起片P5とカット孔P2との接合状態の信頼性を高めることができる。換言すれば、片持ち片P8の一面側に位置する切起片P5の面積が比較的大きくなるため、より確実に切起片P5の幅広部P56から基端P52に至る縁を前記第二のスリットL2に係わり合わせ得るようにすることができる。
【0128】
また、前記幅広部P56の外端P57が、前記第二のスリットL2よりも外側に位置するように、換言すれば、前記幅広部P56の幅寸法W3が、前記窓D3の縮幅部D31の幅寸法W11よりも大きくなるように、前記抜き刃32の形状及び寸法、前記切込刃33の形状及び寸法、並びに前記抜き刃32と切込刃33の相対位置を設定しているので、切起片P5の幅広部P56から基端P52に至る縁を前記第二のスリットL2に係わり合わせ得るようにすることができる。すなわち、幅広部P56の外端P57を確実に一面Pa側に表出させることで、切起片P5が第二のスリットL2部分にひっかかった状態とすることができる。
【0129】
さらに、前記幅広部P56の幅寸法W3が、前記窓D3の拡幅部D32の幅寸法W1よりも小さくなるように、前記抜き刃32の形状及び寸法、前記切込刃33の形状及び寸法、並びに前記抜き刃32と切込刃33の相対位置を設定しているので、幅広部P56の左右両端が窓D3の左右両側枠に引っ掛かるおそれが抑制され、切起片P5を確実に窓D3に入れることができる。したがって、切起片P5とカット孔P2とをスムーズに係わり合わせることができる。
【0130】
この綴じ機1は、パンチ台4を備えてなり、前記パンチ台4が、抜き刃32及び切込刃33が挿入可能な刃貫通孔411、422と、この刃貫通孔411、422を通して用紙Pを視認可能な窓421とを有するので、窓421から刃貫通孔411、422を通して用紙Pを視認可能であり、用紙Pのどの部分に打ち抜き孔P1が穿孔されるかを視覚的に把握することができる。そのため、刃貫通孔411、422に対する用紙Pの位置を調整するだけで、用紙Pの所望の位置に打ち抜き孔P1を穿孔することができる。本実施形態で説明した綴じ機1によれば、打ち抜き孔P1があけられる位置を把握することができるとともに、切込刃33の上方においても窓421を介して視認可能としているため、用紙Pの所望の位置に切込刃33を形成することもできる。
【0131】
また、この綴じ機1の使用者は用紙Pがどのように綴じられるのかを目で見ることができるため、綴じ機1の使用の際に、心地良い使用感を与えることができる。
【0132】
特に、本実施形態では、前記窓42には窓カバー43が取り付けられることによって窓42が覆われている。しかし、この窓カバー43が透明なものであるため、窓カバー43を通して刃貫通孔411、422及び用紙Pを視認することができる。
【0133】
冊子Bの接合部分P3が厚み方向に圧縮変形させられているので、打ち抜き孔P1から切り起こされた切起片P5により複数枚の用紙Pを接合することになる。すなわちステープルの役割をなす切起片P5と用紙Pとが同質の紙製のものとなるため、廃棄する際にステープルを除去する必要がなくなる。そのため、用紙Pから金属製の針等を除去する細かな作業が不要となり、多くの用紙Pを廃棄する場合であっても、多大な労力と時間を要することなく廃棄することが可能となる。
【0134】
さらに、前記切起片P5による接合部分P3が圧縮されて、前記接合部分P3が用紙Pの弾性により接合直後の形態に戻らない状態まで圧縮変形させられているため、接合部分P3がかさばるのを抑制することができる。
【0135】
また、使用者がこのような綴じ機1に設けられた操作レバー5を握る及び解除するという一連の操作を行うことにより、複数枚の用紙Pの打ち抜き孔P1を形成するとともにその打ち抜き孔P1から切り起こされた切起片P5を用いてそれら複数枚の用紙Pが相互に接合されており、その接合部分P3が圧縮変形された冊子Bを作ることができる。
【0136】
また、アンビル41をベースフレーム21に固定しているので、綴じ機1全体の剛性を高めることができ、安定した操作が可能になる。
【0137】
用紙Pが比較的厚みを有する場合や、用紙Pの枚数が多い場合であっても、第一のスリットL1と第二のスリットL2とにより囲まれた部分、例えば片持ち片P7、P8が切込刃33の引き抜き時に用紙Pの厚み方向に変形することになるので、より軽い操作力で操作レバー5を引き上げることができる。すなわち、操作レバー5へ反発力を与えるコイルスプリングをそれほど強力なものとする必要がなくなる。
【0138】
また、本実施形態における冊子Bである用紙束は、用紙Pにおける切起片P5の基端P52に破れ抑制用の逃げ部P6を備えているので、複数枚の用紙Pが綴じられた状態においても切起片P5の破断の可能性を好適に抑制するものとなる。すなわち、複数枚の用紙Pが綴じられた状態の用紙束を使用者等が把持したり用紙をめくったりしても、各用紙Pにおける切起片P5の基端P52の近傍に、打ち抜き孔P1の基端P13に連続させてなるスリット状の破れ抑制用の逃げ部P6が設けられているため、切起片P5の基端P52が破断することを好適に抑制することができる。
【0139】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限られない。
【0140】
<綴じ機の変形例>
綴じ機は、複数の切込刃を備えたものや、複数の抜き刃を備えたものであってもよい。例えば、複数の切起片を形成するための単一の抜き刃と、前記複数の切起片に対応した数の切込刃を備えたものや、複数の切起片を形成するための複数の抜き刃と、前記複数の切起片を係止可能なカット孔を形成するための単一の切込刃を備えたものや、複数の切起片を形成するための複数の抜き刃と、前記前記複数の切起片に対応した数の切込刃を備えたものであってもよい。
【0141】
また、これら切込刃及び抜き刃の突没方向は、第1実施形態に示すように、切込刃及び抜き刃の突出側を上方とし没入側を下方とするものに限られず、例えば、上下を逆向きにして、切込刃及び抜き刃の突出側を下方とし、没入側を上方として使用することも可能である。さらに、抜き刃及び切込刃の移動方向は、一時的に下方に移動することによって打ち抜き孔及びカット孔を形成するものや、左右方向、または斜め方向に移動することによって打ち抜き孔及びカット孔を形成するものであってもよい。例えば、前記第1実施形態のものと上下を逆にした仕様のものも考えられる。この仕様の綴じ機は、前述した実施形態における「上方」、「下方」、「上昇」、「降下」、「上面」、「下面」、「上側」、「下側」、「上ブレード部」、「下ブレード部」をそれぞれ「下方」、「上方」、「降下」、「上昇」、「下面」、「上面」、「下側」、「上側」、「下ブレード部」、「上ブレード部」と読み替えた構造をなしている。
【0142】
<第2実施形態(
図24、
図25)>
この実施形態は、複数の切込刃及び複数の抜き刃を備えたものであり、前記第1実施形態とは上下逆の仕様をなしている。
【0143】
図24、
図25に示すものは、第2実施形態である綴じ機を示したものである。なお、第2実施形態において上記第1実施形態に対応する構成要素には、頭に「A」をつけた上で第1実施形態で使用した符号と同様の符号を付して示すものとし、具体的な説明を省略する。
【0144】
この綴じ機A1は、複数枚の用紙Pを接合して前記冊子Bを作るためのもので、
図24及び
図25に示すように、卓上に載置されるパンチ台A4と、このパンチ台A4上に固設された本体A2と、この本体A2内に昇降可能に収容され抜き刃A32及び切込刃A33を備えた左右対をなす刃ユニットA3と、この刃ユニットA3が穿孔動作を終えて上昇した際に前記綴じられた用紙Pを持ち上げるためのペーパーベースA10と、このペーパーベースA10及び刃ユニットA3を作動させるために前記本体A2に上下方向に回動可能に取り付けた操作レバーA5とを備えている。本実施形態における綴じ機A1は、第1実施形態に示すような用紙Pを綴じるための1組の切込刃33及び抜き刃32を備えているものとは異なり、用紙Pを綴じるための2組の切込刃A33及び抜き刃A32を備えている。この第2実施形態においては、対をなす刃ユニットA3は、前記各切込刃A33のメインブレードAD11同士が平行になるように配置されている。そして、インナーカムA34のアームA344の先端同士が対面するように配置されている。なお、本発明は、3組以上の切込刃及び抜き刃を備えたものであってもよい。また、ペーパーベースA10は、綴じ機A1の必須の構成要素ではない。
【0145】
このような綴じ機A1により作られた冊子Bは、
図24に示すように、複数枚の用紙Pを束ねてなるもので、それらの用紙Pは綴じ元側に設定した2箇所の接合部分P3において相互に接合されている。各接合部分P3は、用紙Pの一面Pa側から貫入させた抜き刃92により各用紙Pに形成された打ち抜き孔P1と、前記打ち抜き孔P1に隣接させて前記各用紙Pに形成されたカット孔P2と、前記打ち抜き孔P1から用紙Pの他面Pb側に切り起こされた切起片P5とから構成されている。そして、前記切起片P5の先端P51側を、前記カット孔P2を貫通させて前記用紙Pの一面Pa側に導出させることによって、前記複数枚の用紙Pの綴じ元側が相互に接合されている。対をなす打ち抜き孔P1は、基端P13同士を対向させて配されており、最も離間する先端同士の距離を図示しないファイルの綴じ桿ピッチに対応させてある。
【0146】
このようなものであれば、1回の穿孔動作によって、複数の切込刃A33及び抜き刃A32、すなわち2組の切込刃A33及び抜き刃A32を進退動作させることができる。また、1箇所のみで綴じる場合よりも好適な綴じ状態を維持することができる。
【0147】
また、第2実施形態の据え置きタイプの綴じ機は、第1実施形態で説明したいわゆるハンディタイプのものに比べて、本体A2を卓上に配置されたパンチ台A4に固定しているので、綴じ機A1全体の剛性を高めることができ、安定した操作が可能になる。
【0148】
なお、綴じ機はここで説明するものに限定されないのはもちろんのことである。
【0149】
なお、用紙に打ち抜き孔及びカット孔を設ける位置は、角部に限られず、第2実施形態のように、用紙Pの辺に沿った位置であってもよい。さらに、打ち抜き孔及びカット孔は、冊子に対して1つに限られず、複数の打ち抜き孔及びカット孔を有するものであってもよい。第2実施形態に示すものは、用紙Pに2箇所の接合部分P3を形成するようにしているので、切起片P5とカット孔P2との接合状態が外れて切起片P5がカット孔P2から抜け出てしまうという不具合や、切起片P5の横ずれが発生しやすいという不具合を好適に抑制することができる。打ち抜き孔P1及びカット孔P2を複数にする場合に、第2実施形態に示すように、2つの打ち抜き孔P1をファイル等の綴じ具の綴じ桿のピッチに対応させて形成すれば、前記打ち抜き孔P1を2つの綴じ桿を有したファイルに冊子Bを綴じるための綴じ孔として利用することができる。また、打ち抜き孔及びカット孔の大きさ及び形状も種々変更可能である。
【0150】
<抜き刃、打ち抜き孔、切起片の変形例>
抜き刃の形状、この抜き刃によって形成される打ち抜き孔の形状、及び切起片の形状も、上述した実施形態のものに限られない。すなわち、
図26に模式的に示すような第1実施形態の打ち抜き孔P1及び逃げ部P6の態様以外にも種々のものが考えられる。他の実施形態としては、例えば、
図27ないし
図32に示すものが考えられる。
【0151】
ここで、
図26ないし
図32は、打ち抜き孔の形状を実線で示している。一方で、抜き刃については図示していないが、図示されている打ち抜き孔の形状に対応する形状の刃本体及び補助刃部を有している。しかして、以下の他の実施形態において第1実施形態に対応する構成要素には、頭に「B」、「C」、「D」、「E」、「F」または「G」をつけた上で、第1実施形態で使用した符号と同様の符号を付して示すものとし、具体的な説明を省略する。
【0152】
なお、抜き刃、打ち抜き孔、切起片はここで説明するものに限定されないのはもちろんのことである。
【0153】
<第3実施形態(
図27)>
用紙BPに図示しない抜き刃を貫通させることにより形成される打ち抜き孔BP1は、上述した第1実施形態の打ち抜き孔P1とは異なり、先端側を半円形状にした略U字状のものである。すなわち、この実施形態では、打ち抜き孔BP1により形成される切起片BP5は舌片状のものである。詳述すれば、この打ち抜き孔BP1は、切起片BP5の形状に対応するスリット、具体的にはU字スリットBP11’を備えている。そして、このU字スリットBP11’の2か所の基端BP13からそれぞれ外側方に延びる態様で用紙BPにスリット状の逃げ部BP6が設けられている。なお、この実施形態においては、逃げ部BP6のスリットと前記打ち抜き孔BP1のスリットとが交差する角度αが略90度となっている。ここで、角度αは、90度以上に設定しても良いし90度以下に設定しても良い。言い換えれば、逃げ部BP6のスリットと打ち抜き孔BP1のスリットとが交差する角度は鋭角なものであっても良いし、鈍角なものであってもよい。また、打ち抜き孔BP1における基端BP13の近傍のスリットは、打ち抜き孔BP1の2か所の基端BP13同士を結んだ仮想線に対して直角であるか否かを問わない。すなわち、鋭角であってもよいし、鈍角であってもよい。例えば、打ち抜き孔BP1における基端BP13の近傍のスリットが、打ち抜き孔BP1の2か所の基端BP13同士を結んだ仮想線に対して鋭角であるものとしては、当該打ち抜き孔BP1により形成される切起片BP5の形状が山形状になっているものを挙げることができる。
【0154】
切起片BP5は、その先端部分を図示しないカット孔(図における下側に位置する)と係り合わせる際には、打ち抜き孔BP1の2か所の基端BP13同士を結んだ仮想線と略一致する箇所、又は打ち抜き孔BP1の2か所の基端BP13同士を結んだ仮想直線よりも切起片BP5の先端に変移した箇所、すなわち切起片BP5の基端BP52において屈曲するようになっている。
【0155】
<第4実施形態(
図28)>
用紙CPに図示しない抜き刃を貫通させることにより形成される打ち抜き孔CP1は、矢尻状のもので、詳述すれば、この打ち抜き孔CP1は、前記切起片CP5の先端領域に対応する先端領域スリットCP11と、この先端領域スリットCP11に連続して形成され切起片CP5の基端領域に対応する基端領域スリットCP12とを備えている。対をなす基端領域スリットCP12は、カット孔方向に向かって離間距離を漸次大きくしている。換言すれば、この打ち抜き孔CP1により形成される切起片CP5の基端領域CP54は、先端側の幅寸法よりも基端側の幅寸法を大きくした台形状をなしている。しかして、この実施形態では、打ち抜き孔CP1の基端CP13から延びてなるスリット状の逃げ部CP6が用紙CPに形成されている。この逃げ部CP6は、前記打ち抜き孔CP1の基端CP13から左右両側の外側方に伸びるスリット状のものである。換言すれば、逃げ部CP6は、打ち抜き孔CP1の基端領域スリットCP12に連続して形成され、切起片CP5の長手方向に伸びる仮想中心線に対して直交する方向に直線状に延びるものである。この実施形態においては、逃げ部CP6のスリットと打ち抜き孔CP1の基端領域スリットCP12とが交差する角度αが略90度よりも大きくなっている。
【0156】
切起片CP5は、その先端部分を図示しないカット孔(図における下側に位置する)と係り合わせる際には、打ち抜き孔CP1の2か所の基端CP13同士を結んだ仮想線と略一致する箇所、又は打ち抜き孔CP1の2か所の基端CP13同士を結んだ仮想直線よりも切起片CP5の先端に変移した箇所、すなわち切起片CP5の基端CP52において屈曲するようになっている。
【0157】
<第5実施形態(
図29)>
用紙DPに図示しない抜き刃を貫通させることにより形成される打ち抜き孔DP1は、前述した第1実施形態のものと同様であるが、この実施形態においては、スリット状の逃げ部DP6の形状が異なっている。
【0158】
すなわち、この逃げ部DP6は、打ち抜き孔DP1の基端DP13から左右両側の外側方に伸びるスリット状のものであり、打ち抜き孔DP1の基端領域スリットDP12に連続して形成されているものであるが、スリットが直線状ではなく曲線状をなしている。詳述すれば、曲線状のスリットからなる左右の逃げ部DP6は、図示しないカット孔側(図における下側)に凸となるように湾曲してなる。換言すれば、左右の逃げ部DP6のスリットは、打ち抜き孔DP1の基端DP13からまず図示しないカット孔側の斜め外側方に延び、その後、略中間部分からカット孔と相反する側に向かって曲がっているものである。この実施形態で示すような、曲線スリット状の逃げ部DP6であっても所期の目的を十分に達成することができる。
【0159】
切起片DP5は、その先端部分を図示しないカット孔(図における下側に位置する)と係り合わせる際には、打ち抜き孔DP1の2か所の基端DP13同士を結んだ仮想線と略一致する箇所、又は打ち抜き孔DP1の2か所の基端DP13同士を結んだ仮想直線よりも切起片DP5の先端側に変移した箇所、すなわち切起片DP5の基端DP52において屈曲するようになっている。
【0160】
<第6実施形態(
図30)>
用紙EPに図示しない抜き刃を貫通させることにより形成される打ち抜き孔EP1は、前述した第1実施形態のものと同様であるが、この実施形態においては、スリット状の逃げ部EP6の形状が異なっている。
【0161】
すなわち、この逃げ部EP6は、打ち抜き孔EP1の基端EP13から連続して伸びるスリット状のもの、より具体的には、打ち抜き孔EP1の基端領域スリットEP12に連続して形成されているものであるが、スリット状の逃げ部EP6が直線状の部分と曲線状の部分とをそれぞれ有している。詳述すれば、スリット状の逃げ部EP6における直線状の部分は、打ち抜き孔EP1の2か所の基端EP13から基端領域スリットEP12の延伸方向と同一方向に延びているスリットである。逃げ部EP6における曲線状の部分は、前記直線状の部分と連続するスリットであり、図示しないカット孔側(図における下側)に凸となるように湾曲してなるスリットである。この実施形態で示すような、直線スリットと曲線スリットとにより形成された逃げ部EP6であっても所期の目的を十分に達成することができる。
【0162】
切起片EP5は、その先端部分を図示しないカット孔(図における下側に位置する)と係り合わせる際には、切起片EP5の基端EP52において屈曲するようになっている。より具体的には、この実施形態では、切起片EP5は、打ち抜き孔EP1の2か所の基端EP13同士を結んだ仮想線と略一致する箇所、又は打ち抜き孔EP1の2か所の基端EP13同士を結んだ仮想直線よりも切起片EP5の先端側に変移した箇所、又は打ち抜き孔EP1の2か所の基端EP13同士を結んだ仮想直線よりも図示しないカット孔側に変移した箇所のいずれかの箇所において屈曲するようになっている。
【0163】
<第7実施形態(
図31)>
用紙FPに図示しない抜き刃を貫通させることにより形成される打ち抜き孔FP1は、前述した第1実施形態のものと同様であるが、この実施形態においては、スリット状の逃げ部P6の形状が異なっている。
【0164】
すなわち、この逃げ部FP6は、打ち抜き孔FP1の基端FP13から左右両側の外側方に伸びるスリット状のものであり、打ち抜き孔FP1の基端領域スリットFP12に連続して形成されるものであるが、スリットの形状が直線状ではなく曲線状をなしている。詳述すれば、曲線状のスリットからなる左右の逃げ部FP6は、図示しないカット孔側(図における下側)に凹となるように湾曲されている。換言すれば、左右の逃げ部FP6のスリットは、打ち抜き孔FP13からまず基端領域スリットFP12に対して略直交する方向に外側に延び、その後、漸次カット孔側に向かって曲がっているものである。この実施形態で示すような、曲線スリットにより形成された逃げ部FP6であっても所期の目的を十分に達成することができる。
【0165】
切起片FP5は、その先端部分を図示しないカット孔(図における下側に位置する)と係り合わせる際には、打ち抜き孔FP1の2か所の基端同士を結んだ仮想線と略一致する箇所、又は打ち抜き孔FP1の2か所の基端FP13同士を結んだ仮想直線よりも切起片FP5の先端部分に若干変移した箇所、すなわち切起片FP5の基端FP52において屈曲するようになっている。
【0166】
<第8実施形態(
図32)>
用紙GPに図示しない抜き刃を貫通させることにより形成される打ち抜き孔GP1は、前述した第1実施形態のものと同様であるが、この実施形態においては、スリット状の逃げ部GP6の延出方向、換言すれば、用紙GPにおけるスリット状の逃げ部GP6の形成箇所が異なっている。
【0167】
すなわち、この実施形態における逃げ部GPは、打ち抜き孔GP1の基端から内側方に延びるものである。なお、図示例では、左右の逃げ部GP6のスリットは互いに相寄る方向に直線状に延びているが、曲線状のものとしてもよいのはもちろんのことである。この実施形態で示すような、対をなすスリット状の逃げ部GP6が相寄る方向に向かって延びる態様であっても所期の目的を十分に達成することができる。
【0168】
切起片GP5は、その先端部分を図示しないカット孔(図における下側に位置する)と係り合わせる際には、打ち抜き孔GP1の2か所の基端GP13同士、又は対をなすスリット状の逃げ部GP6の先端同士を結んだ仮想直線と略一致する箇所、すなわち切起片GP5の基端GP52において屈曲するようになっている。
<その他>
刃である抜き刃は、本実施形態に示される綴じ機以外にも種々のものに適用することができる。すなわち、刃は、用紙に打ち抜き孔を形成するための刃本体と、用紙に逃げ部を形成するための補助刃部とを備えたものであればよい。つまり、刃は、用紙に形成された切起片が何らかの外力を受けて付勢されたり、引っ張られたりした際に、切起片の基端への応力集中を抑制し得る逃げ部を形成できるものであればよく、用紙を綴じるという目的に相応する種々のものに適用することができる。
【0169】
用紙は、シート状であれば、紙製またはプラスチック製等種々変更可能である。また、同質の材料により作られた複数枚のシート体を綴じるようにすれば、分別廃棄の際の手間をより少なくすることができる。なお、前述した各実施形態では、主として、オフィス等で好適に用いられる用紙である紙製用紙を前提に説明をしているが、かかる紙製の用紙においても破断を好適に抑制するものとなり、所期の目的を達成することができる。
【0170】
また、本実施形態では、前記幅広部の幅寸法が、前記拡幅部の幅寸法よりも小さくなるように、前記抜き刃の形状及び寸法、前記切込刃の形状及び寸法、並びに前記抜き刃と切込刃の相対位置を設定していたが、刃駆動機構の動作スピードを遅くしたり、綴じる用紙の枚数を少なくしたりすれば、このような設定に限られずに実施することができる。
【0171】
上述した実施形態においては、切起片の幅広部から基端に至る縁のうち、幅広部から境界部に至る縁において切起片を第二のスリットに係わり合わせるようにしていたが、これに限られず、境界部から基端に至る縁において切起片を第二のスリットに係わり合わせるようにしてもよい。また、係わり合わせる箇所は、一箇所であっても複数箇所であっても構わない。
【0172】
刃ユニットは、切込刃、抜き刃、及びインナーカムの3ピース構造のみならず、切込刃及び抜き刃の2ピース構造であってもよい。この際、抜き刃は、穿孔姿勢から回動姿勢までの間で回動可能に設けられ穿孔姿勢において打ち抜き孔を形成し得るものとするのが好ましい。すなわち、抜き刃が、パンチ台の下面側に配された用紙に一面側から該抜き刃を貫入させる穿孔機構と、用紙を貫通した抜き刃を回動姿勢まで回動させて打ち抜き孔から他面側へ切り起こされた切起片を保持した切込刃を切起片とともに用紙の一面側に抜き出させる刃抜き取り機構とを備えたものにすればよい。なお、3ピース構造にすれば、2ピース構造のものと比べて、切起片を押し入れる用途としてのインナーカムを用いるので、抜き刃の設計の自由度を高めることができる。
【0173】
切込刃の形状、及びこの切込刃によって形成されるカット孔の形状は、上述した実施形態のものに限られない。また、切込刃の刃本体、すなわち、第一のブレード及び第二のブレードに形成された刃はそれぞれ、本実施形態で示したようないわゆる片刃構造であってもよいが、素材の厚み方向中央に刃先を有した両刃構造であってもよい。また、片刃構造であっても、切込刃の刃本体、すなわち第一のブレード及び第二のブレードに形成された刃をそれぞれ、素材の厚み方向外側にのみ刃先を有した外刃構造としたり、素材の厚み方向内側にのみ刃先を有した内刃構造としたりしてもよい。前記外刃構造であれば、コ字形またはH字形に折曲げ加工した場合であっても、カット孔の切り口を途切れのない連続したものにすることができるので、切り口の見栄えをよくすることができる。しかしながら、外刃構造であると刃先の全長距離が長くなるため、前記切込刃を用紙に貫入する際に抵抗が大きくなるという問題がある。一方、切込刃を内刃構造とすれば、前記切込刃を用紙に貫入する際に抵抗が大きくなるという問題を解消することができる。しかしながら、内刃構造であるとカット孔に途切れが生じるためカット孔の切り口の見栄えが悪くなってしまうだけでなく、第一のブレードのメインブレードと第二のブレードとの間の前後離間距離に対してカット孔のメインスリットと第二のスリットとの距離が切込刃の厚み分だけ小さくなってしまうという問題も生じる。そのため、素材の厚み方向中央に刃先を有した両刃構造を採用すれば、上述したような問題を一気に解消することができるとともに、外刃構造や内刃構造のように片側のみに刃先を有するもので生じやすい刃の反りの問題を抑制することもできる。
【0174】
第二のブレードは、上記実施形態で説明したように窓から一体に切り起こしたものに限られず、別体を取り付けたものであってもよい。また、第二のブレードは、窓の両側に配されるものに限られず、窓の片側のみに備えるものであってもよい。
【0175】
インナーカムは、アームが直接係止壁に当接するものに限られず、アームの先端に設けられた軸状の突起を有するものであってもよい。この場合、前記軸状の突起が前記係止壁の下面に該インナーカムが初期姿勢から回動姿勢まで回動するようにすればよい。
【0176】
また、パンチ台のアンビルは、本実施形態に示すようなベース部に取り付けられるいわゆる固定式のものに限られず可動式のものであってもよい。このようなものとしては、例えば、アンビルが、一定位置に保持される静止アンビル部と、この静止アンビル部と協働して用紙を裏当て支持可能な穿孔位置から前記静止アンビル部から離間し前記切起片を前記カット孔に挿通させるのを阻害しない離間位置まで移動可能な可動アンビル部とを備えたもの等が考えられる。
【0177】
窓カバーは、本実施形態においては、切込刃の上方が開放されるように設定していたが、土手状の壁が比較的低い場合には、使用者の安全確保のため、切込刃の上方も覆う位置までしか開かないように設定するのがよい。
【0178】
第2のリンクメンバとレバープレートは、それぞれ別体として設けられるものであってもよく、さらに、第2のリンクメンバの下側の支軸とレバープレートの支軸とは、それぞれベース部に回転可能に軸支されるものであれば、それらの支軸を共通とするものには限られない。
【0179】
位置決め部は、ベースフレーム及びその係止壁に設けられているものに限られず、その形状も種々変更可能である。例えば、位置決め部は、ベース部のベースカバー、アンビル、トップケース等に設けられるものであってもよい。また、係止壁を有さずに用紙の角部を合わせる得る窪み等を設けるものであってもよい。
【0180】
上述した実施形態においては、前記ベースフレームの隆起部と、前記アンビルの隆起部とを主体に圧縮機構を構成したものであるが、綴じるべき用紙の枚数が比較的少ない場合には、このような圧縮機構を有しないものであってもよい。すなわち、本発明は、切起片が引き上げ用カット孔を貫通してなる接合部分を厚み方向に圧縮変形させる圧縮機構を有しないものであっても、その効果を奏し得るものであるが、さらに前記圧縮機構を有していれば、冊子の接合部分がかさばるのを抑制することができる。
【0181】
刃打ち込み機構は、リンク機構を利用しないものであっても、前記ベース部に操作レバーに加えられる操作力を利用して前記抜き刃及び切込刃を上下方向に動作させるものであればどのようなものであってもよい。
【0182】
また、刃抜き取り機構は、コイルスプリングS3のみを主体に構成されるものであってもよい。すなわち、前記コイルスプリングS1を配さない場合であっても、コイルスプリングS3の下方への付勢力によって第1のリンクメンバ61が下方に回動し、この回動動作によってドライブシャフト36が下方に押し下げられ、その結果として刃ユニット3が待機位置まで退避するようにすればよい。
【0183】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変更してよい。