(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5807243
(24)【登録日】2015年9月18日
(45)【発行日】2015年11月10日
(54)【発明の名称】異なるステーション間で容器を搬送するシステムおよび容器キャリヤ
(51)【国際特許分類】
B65G 54/02 20060101AFI20151021BHJP
B65G 51/03 20060101ALI20151021BHJP
B65G 1/04 20060101ALI20151021BHJP
G01N 35/04 20060101ALI20151021BHJP
【FI】
B65G54/02
B65G51/03 E
B65G1/04 565
G01N35/04 H
【請求項の数】18
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-508519(P2013-508519)
(86)(22)【出願日】2011年5月6日
(65)【公表番号】特表2013-525232(P2013-525232A)
(43)【公表日】2013年6月20日
(86)【国際出願番号】EP2011057344
(87)【国際公開番号】WO2011138448
(87)【国際公開日】20111110
【審査請求日】2013年5月21日
(31)【優先権主張番号】102010028769.5
(32)【優先日】2010年5月7日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501205108
【氏名又は名称】エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】テオドレスク、ゲオルグ
(72)【発明者】
【氏名】ハイゼ、ミハエル
【審査官】
大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭61−217434(JP,A)
【文献】
特開平02−087903(JP,A)
【文献】
特開平11−304812(JP,A)
【文献】
特開2001−240245(JP,A)
【文献】
特開2005−249740(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 54/00−54/02
B65G 1/00− 1/20
B65G 51/03
G01N 35/00−35/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実験室分析システムの異なるステーション(20−23)間で、試料(11)を含む容器(10)を搬送するシステム(100)であって、前記容器が容器キャリヤ(30)に収容され、
前記容器キャリヤの搬送を制御する制御ユニット(40)と、
副領域(51)に格子状に分割される搬送領域(50)であって、ステーションに隣接する副領域が、前記ステーションへの転送領域として機能し、前記搬送領域(50)上で前記容器キャリヤが移動可能に配列されることが可能な搬送領域(50)と、
前記制御ユニットにより作動される駆動手段(60−63)であって、それぞれの駆動手段が、それぞれの副領域に割り当てられ、他の容器キャリヤとの許容できない衝突を避けるために、副領域(51)の細分化された単位で前記関連する容器キャリヤが移動でき、それによって異なるステーション(20−30)間で前記関連する容器キャリヤのための個別のパスを形成することができるように、関連する容器キャリヤに駆動力を加えるように設計され、前記関連する容器キャリヤを固定するように機能することが可能である駆動手段(60−63)とを備え、
それぞれの駆動手段が、少なくとも第一、第二、第三、または第四の方向に選択的に前記駆動力を発生させるように設計され、
前記搬送領域(50)には、前記副領域(51)により形成され、異なるステーション(20−30)のそれぞれに隣接する2つの副領域区域(52、53)が設けられ、前記副領域区域(52、53)が、通常試料の待機ラインおよび緊急試料の待機ラインとしてそれぞれ機能することを特徴とするシステム(100)。
【請求項2】
前記実験室分析システムの前記異なるステーションが、前記容器(10)からストッパを取り外すステーションと、分注するステーションと、試料分析のステーションとからなる群から選択されることを特徴とする請求項1記載のシステム。
【請求項3】
それぞれの駆動手段が、関連する容器キャリヤに非接触式で前記駆動力を加えるように設計されることを特徴とする請求項1または2記載のシステム。
【請求項4】
前記搬送領域が、同一サイズの格子状領域に分割される少なくとも1つの搬送領域区域を備え、前記格子状領域が少なくとも部分的に前記副領域を形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記搬送領域が、複数の搬送領域区域を備え、それぞれの搬送領域区域が同一サイズの格子状領域に分割され、異なる搬送領域区域の格子状領域のサイズが異なることを特徴とする請求項4記載のシステム。
【請求項6】
前記容器キャリヤが、強磁性材料(31)を備え、
前記駆動手段が、関連する容器キャリヤに前記駆動力を与えるために、可変磁場を発生させるように設計されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
それぞれの駆動手段が、4つのコイル(60−63)を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
それぞれの駆動手段が、強磁性コアを有さない4つのコイル(60−63)を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記制御ユニットが、前記駆動力を発生させるために、前記4つのコイルのうちの2つにそれぞれ電流を流すことを特徴とする請求項7または8記載のシステム。
【請求項10】
前記コイルが、それらの巻回軸が平行四辺形を形成するように配置され、前記平行四辺形が、前記搬送領域に平行な平面に位置することを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記駆動手段が、圧縮空気によって、関連する容器キャリヤに前記駆動力を与えるように設計されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記駆動手段が、前記搬送領域の下方に配置されることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
前記容器および/または前記容器キャリヤにトランスポンダ(32)が備えられ、
前記システムが、前記容器および/もしくは前記容器キャリヤの識別、ならびに/または、
前記搬送領域上での前記容器および/もしくは前記容器キャリヤの位置決定を実行するように設計される、少なくとも1つのトランスポンダリーダ(70)を備えることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記搬送領域上にエアクッションを発生させる手段(80、81)を備えることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
容器(10)を受け取る容器キャリヤ(30)であって、
該容器キャリヤが、請求項1〜14のいずれか1項に記載のシステムにおいて使用するために構成され、
前記容器キャリヤが、強磁性材料(31)でできた部分または挿入物を備えることを特徴とする容器キャリヤ。
【請求項16】
前記容器キャリヤが、分析される試料(11)を含む試料容器(10)の形の容器を受け取るように設計されることを特徴とする請求項15記載の容器キャリヤ。
【請求項17】
前記容器キャリヤが、ドライブフリー容器キャリヤであることを特徴とする請求項15または16記載の容器キャリヤ。
【請求項18】
前記容器キャリヤが、トランスポンダ(32)を備えることを特徴とする請求項15〜17のいずれか1項に記載の容器キャリヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なるステーション間で容器を搬送するシステムおよび容器キャリヤに関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明の課題は、異なるステーション間で容器を搬送するシステムおよび容器キャリヤを提供することである。そのシステムおよび容器キャリヤは、たとえば、異なるステーション間を、特定の容器を優先して搬送するために、高い柔軟性を同時に兼ね備えた高い搬送能力を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は、請求項1の特徴を有する、異なるステーション間で容器を搬送するためのシステムと、請求項14の特徴を有する容器キャリヤとによって、この課題を解決する。
【0004】
好ましい実施形態は、従属請求項の主題であり、明細書の内容を参照することにより実施される。
【0005】
異なるステーション間で容器を搬送するシステムにおいて、容器、たとえば実験室分析システムの試料容器は、たとえば容器キャリヤの開口部に挿入されて、容器キャリヤに収容される。システムは、たとえば従来のPCの形で、容器キャリヤの搬送を制御する制御ユニットを備えている。さらに、機能的な副領域に分割される、特に平坦かつ水平の搬送領域または2D領域が提供される。搬送領域は、矩形、またはたとえば他の形状とすることができる。容器キャリヤは、自由に移動可能なように、搬送領域に配列することができる。ステーションは、搬送領域に隣接して、または搬送領域上に配列することができる。ステーションに隣接する副領域は、ステーションへの転送領域として機能することができる。システムは、さらに、制御ユニットにより作動される駆動手段を備えており、それぞれの駆動手段、特に複数の駆動手段のうち、まさに1つの駆動手段は、それぞれの副領域に割り当てられる。駆動手段は、関連する容器キャリヤに、すなわち、駆動手段が割り当てられる副領域、または隣接する副領域、または駆動手段の操作範囲内に位置付けられる容器キャリヤに、搬送領域平面の方向で駆動力を加えるように設計されている。独自の駆動手段を有する副領域に搬送領域を分割することは、容器キャリヤの運動自由度の増加をもたらす。すなわち、容器キャリヤは、許容できない衝突を防ぎながら、搬送領域上を自由に、または副領域の細分化された単位で動くことができる。これは、たとえば、容器キャリヤに個々のパスを可能にし、これによって、たとえばステーション間における特定容器または容器キャリヤの加速輸送を可能にする。
【0006】
1つの実施形態において、それぞれの駆動手段は、関連する容器キャリヤに、非接触式で、すなわち駆動手段と容器キャリヤが直接機械的に接触せずに駆動力が加えられるように設計されている。
【0007】
1つの実施形態において、それぞれの駆動手段は、第一、第二、第三、または少なくとも第四の方向に選択的に駆動力を発生させるように設計されるが、その方向はそれぞれ異なる。好ましくは、第二の方向は第一の方向に垂直で、第三の方向は第一の方向に対向し、そして第四の方向は第二の方向に対向している。その方向、すなわち、駆動力ベクトルは、搬送領域平面に平行な平面内に位置していることが好ましい。
【0008】
1つの実施形態において、搬送領域は、特に矩形で、同一サイズの格子状領域に分割される少なくとも1つの搬送領域区域を備えており、格子状領域は少なくとも部分的に副領域を形成している。好ましくは、搬送領域は、複数の搬送領域区域を備えており、それぞれの搬送領域区域は同一サイズの格子状領域に分割され、異なる搬送領域区域の格子状領域のサイズはそれぞれ異なる。これにより、たとえば、より粗雑に格子状にされた、すなわち、より大きい副領域を有する搬送領域区域における容器キャリヤの高速搬送が可能になり、より精密に格子状にされた、すなわち、より小さい副領域を有する搬送領域区域における高い位置決め精度が可能になる。
【0009】
1つの実施形態では、容器キャリヤは、永久磁化性または非永久磁化性を有する磁性材料または強磁性材料を備えており、駆動手段は、関連する容器キャリヤに非接触式で駆動力を加えるために、可変の磁場を発生させるように設計されている。
【0010】
1つの実施形態では、それぞれの駆動手段は、磁場を発生させるために、4つのコイル、特に強磁性コアを有さない4つのコイルを備えている。制御ユニットは、駆動力または適当な磁場を発生させるために、4つのコイルのうち2つのそれぞれに電流を同時に流すことが好ましい。コイルは、それらの巻き軸が平行四辺形、特に矩形、特に好ましくは正方形を成すように配列されることが好ましく、平行四辺形は搬送領域平面と平行な平面内に位置することが好ましい。
【0011】
1つの実施形態では、駆動手段は、圧縮空気によって、関連する容器キャリヤに駆動力を加える。
【0012】
1つの実施形態では、駆動手段は、搬送領域の下方に配置されている。
【0013】
1つの実施形態では、容器および/または容器キャリヤは、パッシブまたはアクティブ(RFID)トランスポンダが備えられ、システムが、少なくとも1つのトランスポンダリーダを備えている。トランスポンダリーダは、容器および/または容器キャリヤの識別を実行し、搬送領域上で容器および/または容器キャリヤの位置決定を実行するように設計されている。
【0014】
1つの実施形態では、システムは、可能な限り摩擦の無い搬送領域上での容器キャリヤの移動を可能にするため、搬送領域上にエアクッションを発生させる手段を備えている。
【0015】
本発明の容器キャリヤは、容器を受け取るように機能し、上述のシステムで使用できるように構成される。容器キャリヤは、特にその底部側で、すなわち、搬送領域の方を向いた側で、またはより低い区域において、強磁性材料でできた部分または挿入物を備えている。
【0016】
1つの実施形態では、容器キャリヤは、分析される試料、たとえば体液試料を含む試料容器の形の容器を受け取るように設計されている。
【0017】
1つの実施形態では、容器キャリヤは、ドライブフリー(drive-free)容器キャリヤ、すなわち、それ自身が能動的な駆動力を有していない容器である。容器キャリヤは、その駆動に使用されるエネルギー貯蔵を有していないことが好ましい。
【0018】
1つの実施形態では、容器キャリヤはトランスポンダを備えている。
【0019】
完全な試料分配システムまたは実験室分析システムは、たとえば、上述の搬送システム、ステーション、そして複数の上述の容器キャリヤを備えることが可能である。
【0020】
本発明の有利な実施形態は、図面において概略的に示され、以下で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】異なるステーション間で容器を搬送するシステムの斜視図である。
【
図2】
図1に示されたシステムの詳細側面図である。
【
図3】
図1および2に示されたシステムの副領域および関連する駆動手段の概略上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、異なるステーション20、21、22および23の間で容器10を搬送するシステム100の概略斜視図を示している。
【0023】
ステーション20〜23は、医療用試料のための試料分析システムの異なるステーションであり得る。分析される試料、たとえば、血液または尿などの体液11(
図2参照)は、ここでは、ストッパによって密閉された試料管10の形の容器に外部から供給され、試料管はドライブフリー容器キャリヤ30に収容される。ステーション20〜23は、ここでは、この文脈において通常生じる機能を発揮する。たとえば、1つのステーションは、試料管からストッパを取り外すように機能することが可能であり、さらなるステーションは、分注目的で使用することが可能であり、さらなるステーションは、第一の試料分析を実行することが可能である。
【0024】
示されるシステム100の目的は、異なるステーション20〜23の間で試料管10を搬送することである。容器または試料管10は、最初、関連する容器キャリヤ30をともなうそれぞれの場合に、副領域51から形成される、搬送領域50の入力区域54に手動または機械的に配置される。その入力区域54から、試験管10または容器キャリヤ30は、システム100によって、ステーション20〜23に搬送され、そこで適切に処理され、次に、副領域51により形成される出力区域56に搬送され、手動または機械的に搬送領域50から取り去られる。
【0025】
所定の最大期間内に分析されることとなる緊急試料の優先された処理のために、副領域51から形成された緊急入力区域55が存在する。そこでは、関連する容器キャリヤ30を伴う試料管10が配置され、その試料管は優先順位に基づいて処理される。
【0026】
システムは、たとえば処理コンピュータとしてPCの形で、容器キャリヤ30の搬送を制御する制御ユニット40(
図3参照)と、格子状を基本に、同一の大きさを有する四角形の副領域または格子状領域51に分割され、容器キャリヤ30が移動可能に配列される搬送領域50と、複数の駆動手段とを備えている。複数の駆動手段のそれぞれの駆動手段は、それぞれの副領域51に割り当てられ、関連する容器キャリヤ30に駆動力を加えるように設計されている。搬送領域50は、完全に副領域51に分割されるが、ここでは、表現可能性の理由から、例示的な副領域のみに参照符号51が付されている。
【0027】
図3は、例示的な部分領域51および関連する駆動手段の概略上面図を示している。
図3を参照すると、例示的な副領域51の下方に、強磁性コアを有さない4つのコイル60〜63が配置され、コイルは、例示的な副領域51の関連する駆動手段を形成する。コイル60〜63は、それらの巻回軸が四角形を形成するように配列され、四角形は、搬送領域50に、または、搬送領域50により形成される搬送領域平面に平行な平面内に位置している。さらなる副領域51に、対応する駆動手段またはコイルが割り当てられる。
【0028】
制御ユニット40は、磁場または駆動力を発生させるために、4つのコイル60〜63のうち2つのそれぞれに電流を流す。
【0029】
図2を参照すると、容器キャリヤ30は、強磁性材料31または永久磁石でできた部分をその下部側に備えており、コイル60〜63によって発生した磁場により、容器キャリヤ30に非接触式で駆動力が加えられる。
【0030】
コイル60〜63の適度な励磁を通して、第一、第二、第三または少なくとも第四の方向に磁場または駆動力が発生する。同時に励磁されるコイルの対は、たとえば、コイル(60、63)、コイル(62、63)、コイル(61、62)およびコイル(60、61)により形成され、電流給電の極性を逆にすることにより、駆動力の方向を反転することが可能である。
【0031】
容器キャリヤ30を、たとえば、適度に発生する駆動力によって、副領域51から押すことが可能であり、および/または、隣接した副領域の駆動手段によって適度に発生する駆動力によって、隣接した副領域に引くことが可能である。単一の副領域の単一の駆動手段が、容器キャリヤ30の移動または駆動に作用することが可能であり、または、複数の副領域の複数の駆動手段が作用することが可能である。駆動手段は、同時に、容器キャリヤ30を減速させ、および/または、固定するように機能することが可能である。
【0032】
副領域51から形成され、ステーション20〜23と隣接する副領域区域52は、ステーションへの搬送領域として、すなわち待機ラインとして機能する。副領域51から形成され、ステーション20〜23の他方のサイドで隣接する副領域区域53は、ステーションへの優先搬送領域として、たとえば緊急試料の待機ラインとして機能する。
【0033】
すべての機能的な副領域区域52、53、54、55および56は、所定数の副領域51から形成される。
【0034】
図2は、
図1に示されるシステム100の詳細側面図を示している。
【0035】
図2を参照すると、適切な供給路を介して搬送領域50に導かれ、搬送領域50の開口部81を介して放出される圧縮空気を発生させる圧縮空気発生器が提供されている。圧縮空気発生器80および開口部81は、できる限り摩擦の無い搬送領域50上での容器キャリヤ30の移動を可能にするため、搬送領域50上にエアクッションを発生させるように機能する。開口部81は、搬送領域50を覆うように分配され、特に均等に分配される。択一的にまたは付加的に、摩擦の低減は、磁気的に実現されることも可能であり、その目的のために、搬送領域50上での容器キャリヤ30の接触圧力を減らすように、または容器キャリヤ30の浮揚を生じさせるように、垂直成分を有する適度な磁場を発生させ、特に動的に発生させることが可能である。摩擦を減少させるさらなる選択肢は、搬送領域50および/または容器キャリヤ30の底面または滑り面を、低摩擦被覆、たとえばテフロン(登録商標)で被覆することである。その場合、エアクッションの生成を省略しても良い。
【0036】
容器キャリヤ30には、それぞれ、トランスポンダ32が提供され、システム100は少なくとも1つのトランスポンダリーダ70を備えている。トランスポンダリーダ70は、容器キャリヤ30の識別を実行し、搬送領域50上での容器キャリヤ30の位置決定を実行するように機能する。たとえば、少なくとも3つのトランスポンダリーダ70がシステム100に含まれる場合、位置決定は、三角測量により実現することが可能である。
【0037】
示されるシステム100においては、搬送領域50は、正確に1つの搬送領域区域を備えているが、搬送領域区域は、搬送領域50と同一であり、同一サイズの格子状領域に分割され、格子状領域は副領域51を形成する。選択的に、搬送領域50は、複数の搬送領域区域を備えることが可能で、それぞれの搬送領域区域は同一サイズの格子状領域に分割され、異なる搬送領域区域の格子状領域の大きさはそれぞれ異なる。これにより、たとえば、より粗雑に格子状にされた、すなわち、より大きい副領域51を有する搬送領域区域における容器キャリヤ30の高速搬送が可能になり、より精密に格子状にされた、すなわち、より小さい副領域51を有する搬送領域区域における、より高い位置決め精度が可能になる。
【0038】
示される実施形態では、容器キャリヤ30は、その底面側が搬送領域50に面し、実質的に完全に副領域51を覆う。特に大きさの異なる副領域51の場合には、容器キャリヤ30の底面側は、明らかに複数の副領域を覆うことも可能であり、その場合、複数の副領域51の駆動手段は、それぞれの駆動力によって寄与することが可能であり、それぞれの寄与が重ね合わされて、結果として駆動力を形成する。
【0039】
示される実施形態では、駆動力は電磁的に発生する。選択的にまたは付加的に、駆動力を発生させるための圧縮空気によって、容器キャリヤ30を加圧することが可能である。
【0040】
示される実施形態は、たとえば、好ましくは異なるステーション間で緊急試料を搬送するために、高い柔軟性を同時に兼ね備えた高い搬送能力を可能にする。