(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5807260
(24)【登録日】2015年9月18日
(45)【発行日】2015年11月10日
(54)【発明の名称】車両用充電装置
(51)【国際特許分類】
H02G 11/02 20060101AFI20151021BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20151021BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20151021BHJP
H01M 10/46 20060101ALI20151021BHJP
B60L 11/18 20060101ALI20151021BHJP
【FI】
H02G11/02
H02J7/00 301B
H02J7/00 P
H01M10/44 Z
H01M10/46 101
B60L11/18 C
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-201369(P2011-201369)
(22)【出願日】2011年9月15日
(65)【公開番号】特開2013-62992(P2013-62992A)
(43)【公開日】2013年4月4日
【審査請求日】2014年6月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227401
【氏名又は名称】日東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085523
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 文夫
(74)【代理人】
【識別番号】100078101
【弁理士】
【氏名又は名称】綿貫 達雄
(74)【代理人】
【識別番号】100154461
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 由布
(72)【発明者】
【氏名】高橋 洋一
【審査官】
脇岡 剛
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−226817(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3036835(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3142979(JP,U)
【文献】
特開2010−052861(JP,A)
【文献】
特開平08−190683(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 11/02
B60L 11/18
H01M 10/44
H01M 10/46
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の充電時に車両と接続される充電用コネクタと、該充電用コネクタを先端に有する充電用ケーブルとを備える車両用充電装置であって、
該充電用ケーブルは、充電用機器を収納した筺体から引き出され、
該筐体は、背面部と、背面部から垂直方向に立ち上げた第一壁部と、第一壁部を筐体の外周方向に向けて拡大形成したフランジ部と、蓋体部とを有し、これらに囲まれた内部空間を機器収納部とし、
該第一壁部を、充電用ケーブルを巻付けるケーブル巻付部とし、
フランジ部の前面と蓋体部との間を、前記機器収納部と一体となった拡張収納部とすることを特徴とする車両用充電装置。
【請求項2】
該筐体は、更に、フランジ部から前方側に立ち上げ形成した第二壁部を有し、
筐体内に、該フランジ部と第二壁部で囲まれた拡張空間を拡張収納部としたことを特徴とする請求項1記載の車両用充電装置。
【請求項3】
フランジ部の背面を、ケーブル巻付部に巻付けられた充電用ケーブルの前方への脱落を防止するケーブル抜止部としたことを特徴とする請求項1又は2記載の車両用充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用充電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、脱石油燃料やCO
2排出削減ニーズの高まりといった観点から、電気自動車等の車両に対する関心が高まると共に、車両用充電装置の普及が求められている。
【0003】
一般に、車両用充電装置には、先端に充電用コネクタを有する充電用ケーブルが備えられ、充電を行う際に、該車両用充電装置から充電用コネクタを外して、車両に設けたコネクタと接続して使用される(特許文献1)。
【0004】
今後、一般家庭における車両用充電装置の設置率の増加につれて、車両用充電装置の小型化への需要が高まることが予想される。小型の簡易な構造からなる車両用充電装置の構造としては、例えば、充電用の電気機器(ブレーカ等)や制御機器(CPLTユニット)が収納された筐体の外周側面に沿って充電用ケーブルを巻付けて保持する構造が考えられる。
【0005】
このような構造においては、車両用充電装置の小型化への要請から、筐体サイズはできる限りコンパクトであることが好ましいが、一方、筐体のコンパクト化を図ると筐体の開口面積も小さくなるため、収納する機器の大きさや配置が制限される上、機器への配線やメンテナンス等の作業性が悪化する問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−226817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は前記の問題を解決し、充電用の電気機器(ブレーカ等)や制御機器(CPLTユニット)が収納された筐体の外周側面に沿って充電用ケーブルを巻付けて保持する構造を有する車両用充電装置において、筐体内に収納される充電用の各種機器の制限を低減するとともに、配線やメンテナンス等の作業性を悪化させることなく、筐体のコンパクト化を図ることができる構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた本発明の車両用充電装置は、車両の充電時に車両と接続される充電用コネクタと、該充電用コネクタを先端に有する充電用ケーブルとを備える車両用充電装置であって、該充電用ケーブルは、充電用機器を収納した筺体から引き出され、該筐体は、背面部と、背面部から垂直方向に立ち上げた第一壁部と、第一壁部を筐体の外周方向に向けて拡大形成したフランジ部と、蓋体部とを有し、
これらに囲まれた内部空間を機器収納部とし、該第一壁部を、充電用ケーブルを巻付けるケーブル巻付部とし、フランジ部の前面と蓋体部との間を、
前記機器収納部と一体となった拡張収納部
としたことを特徴とするものである。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の車両用充電装置において、該筐体は、更に、フランジ部から前方側に立ち上げ形成した第二壁部を有し、筐体内に、該フランジ部と第二壁部で囲まれた拡張空間を拡張収納部としたことを特徴とするものである。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の車両用充電装置において、フランジ部の背面を、ケーブル巻付部に巻付けられた充電用ケーブルの前方への脱落を防止するケーブル抜止部としたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、筐体の外周側面である第一壁部に沿って充電用ケーブルを巻付けて保持する構成により筐体のコンパクト化を実現すると同時に、第一壁部を筐体の外周方向に向けて拡大形成したフランジ部の前面と蓋体部との間を拡張収納部とすることにより、収納する機器の大きさや配置の制限を低減され、特に配線やメンテナンス等の作業性が求められる機器を該拡張収納部に収納して、内部収納機器の作業性を確保可能としている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態の車両用充電装置の全体斜視図である。
【
図4】
図1からカバーと蓋体部を省略した断面斜視図である。
【
図5】
図1から充電用ケーブルおよび充電用コネクタを省略した全体斜視図である。
【
図7】
図5からカバーと蓋体部を省略した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の好ましい実施形態を示す。
図1〜4において、1は車両用充電装置、2は本体部、3は蓋体部、4はカバー、5は充電用コネクタ、6は充電用ケーブルである。本実施形態では本体部2と蓋体部3により車両用充電装置1の筐体を構成している。
【0014】
本体部2は、
図4に示すように、前面開口部7と、背面部8と、背面部8を略垂直方向に延出形成した第一壁部9と、第一壁部9を筐体の外周方向に向けて拡大形成したフランジ部10と、フランジ部10から前方側に立ち上げ形成した第二壁部11を有する箱体からなり、蓋体部3によってその前面開口が施蓋される。背面部8は、電気機器や制御機器を取り付ける背面板部8aと、後述する第一壁部9に巻付けられた充電用ケーブル6をフランジ部10の背面との間に挟み込んで保持する背面支持部8bとで構成されている。
該箱体の内部空間は、電気機器や制御機器を収納する機器収納部として使用される。本実施形態において、筐体の形状は、略円形で、やや縦長としているが、形状は特に限定されず、円形でも良いし、オーバル形、方形の角を円弧状にしたもの、その他、方形の上部を円弧状としたもの等でも良い。
【0015】
背面支持部8bは、第一壁部9の全周に亘って張出形成され、
図5に示すように、本体部2を建物壁面に設置するねじの貫通穴部12を有している。車両用充電装置1は、背面支持部8bを、建物壁面にねじ固定して使用され、建物壁面から引出された電源ケーブルおよび通信線を本体部2の下部に形成した挿通穴2a、2bから引き込む構造を有している。該電源ケーブルは、機器収納部に収納した端子台・CPLT回路等を介して充電用ケーブル6に接続される。
【0016】
本実施形態の車両用充電装置1は、先端に充電用コネクタ5を有する充電用ケーブル6を、第一壁部9に沿って巻付け保持する構造を有している。充電用ケーブル6の巻付けの際に第一壁部9への誘い込みを促す構造として、フランジ部10には、
図3に示すように、背面板側に向けた僅かな傾斜を持たせることが好ましい。
【0017】
第一壁部9に巻付けられた充電用ケーブル6は、
図3、
図4に示すように、背面支持部8bとフランジ部10の背面との間で挟み込んで保持されている。すなわち、フランジ部10は第一壁部9から筐体1の外周方向に向けて拡大形成されているので、フランジ部の背面は、ケーブル巻付部に巻付けられた充電用ケーブル6の前方への脱落を防止するケーブル抜止部として機能する。
【0018】
フランジ部10の前面と蓋体部3との間には、
図4、
図7に示すように、拡張収納部10aが形成され、端子台17が設置されている。端子台17は、固定ねじ18を使用して固着されており、固定ねじ18に対応する固着部は、フランジ部10の前面と、背面板部8aから立設した脚部19とに、各々設けられている。また、フランジ部10から前方側に立ち上げ形成した第二壁部11を形成しフランジ部10と第二壁部11で囲まれた拡張空間を、拡張収納部10aとしている。このように、端子台17等の機器を拡張収納部10aに収納することにより、機器の大きさや配置の制限が低減される。また、機器を背面板部8aから持ち上げて配置することにより、容易に配線作業を行うことができる。なお、フランジ部の前面に固着部は必ずしも必要なく、機器がフランジ部の前面と蓋体部3との間に位置しているのみでもよい。
【0019】
本実施形態では、筐体外周の第一壁部9の上部に充電用ケーブル6を支持するケーブル支持体13が形成されている。第一壁部9とケーブル支持体13との間には空間部が形成されていて、該ケーブル支持体13に充電用ケーブル6を支持させることにより、充電用ケーブル6の一部が、該ケーブル巻付部に残された状態で車両の充電が行われ充電用ケーブル6が熱を持った場合であっても、該充電用ケーブル6の発熱の影響による機器収納部内の温度上昇を効果的に回避することができる。ケーブル支持体13は、
図7に示すように円弧状に形成し、ケーブルを極度に折曲することなく支持できる構造とすることが好ましい。
【0020】
本実施形態では、更に、
図7に示すように、筐体外周の四隅の第一壁部を外側に張出して張出部14を形成している。筐体の四隅に形成された張出部14に沿って充電用ケーブルの巻付けを行うと、充電用ケーブル6と筐体の外周側面との間に凹状の空間部が形成されるため、充電用ケーブル6からの発熱に起因する筐体内の温度上昇を更に効果的に抑制することができる。
【0021】
本体部2の前面開口部を施蓋する蓋体部3には、非充電時の充電用コネクタを保持する充電コネクタ収納部15が形成されている。充電コネクタ収納部15は本体部2の機器収納部に向けて袋状に突出した構造であり、蓋体部3に一体的に形成されている。
【0022】
本体部2および蓋体部3は、ABS等の強度的・電気的な強度を満たす素材で構成され、該本体部2に蓋体部3を施蓋することにより、車両用充電装置1に必要とされる防水機能・構造的強度を満たしている。
【0023】
蓋体部3の前面を被覆するカバー4は、下部に貫通孔16を有している。該貫通孔16は、蓋体部3の充電コネクタ収納部15が露出される位置に形成されている。すなわち、充電コネクタ5は貫通孔16を介して充電コネクタ収納部15に収納する。
【0024】
カバー4は、車両用充電装置1が設置される建物の外観に合わせて取り替えられるように、蓋体部3と着脱自在に形成されている。車両用充電装置1が住宅の壁面に設置される場合、多様な住宅の外観にあわせるために、従来、複数のバリエーションからなる車両用充電装置を用意する必要があり、コスト高の要因となっていたが、本発明によれば、カバー4のみの取り替えで対応が可能となり、より安価に各住宅の外観にフィットする意匠を備えた車両用充電装置を提供することができる。
【0025】
カバー4は、遮光性も備えることが好ましく、ポリカーボネード等、耐候性・外観性の性能を満たす素材で構成することが好ましい。これにより、夏場の屋外環境の温度にも対応可能とすることができる。
【0026】
カバー4は、蓋体部3の前面から数mm浮かせて保持し、蓋体部3とカバー4との間に上下に渡る通気空間を形成することが好ましい。この構造により、機器収納部に収納された電気機器や制御機器から生じた熱は、蓋体部3に伝達され通気空間に放熱される。なお、蓋体部3の前面から数mm浮かせて保持することにより、カバー4が遮光板としての役割を果たし日射による機器収納部7の温度上昇を防止することができる。
【0027】
本実施形態(実施形態1)は、本体部2が、背面部8と第一壁部9とフランジ部10と第二壁部11を有するものであるが、他の実施形態として、本体部2が、背面部8と第一壁部9とフランジ部10有し、蓋体部3が第二壁部11を有するもの(実施形態2)とすることもできる。実施形態2によれば、本体部2に第二壁部11がないため、背面板部8aへの機器の取付が容易となる。
【符号の説明】
【0028】
1 車両用充電装置
2 本体部
3 蓋体部
4 カバー
5 充電用コネクタ
6 充電用ケーブル
7 前面開口部
8 背面部
9 第一壁部
10 フランジ部
11 第二壁部
12 貫通穴部
13 ケーブル支持体
14 張出部
15 充電コネクタ収納部
16 貫通孔
17 端子台
18 固定ねじ
19 脚部