(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5807324
(24)【登録日】2015年9月18日
(45)【発行日】2015年11月10日
(54)【発明の名称】合焦画像表示装置および合焦画像表示方法
(51)【国際特許分類】
G03B 17/18 20060101AFI20151021BHJP
G02B 7/28 20060101ALI20151021BHJP
G03B 13/36 20060101ALI20151021BHJP
H04N 5/232 20060101ALI20151021BHJP
【FI】
G03B17/18 Z
G02B7/28 N
G03B13/36
H04N5/232 H
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2010-200880(P2010-200880)
(22)【出願日】2010年9月8日
(65)【公開番号】特開2012-58447(P2012-58447A)
(43)【公開日】2012年3月22日
【審査請求日】2013年7月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】311015207
【氏名又は名称】リコーイメージング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 弘之
【審査官】
登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−242010(JP,A)
【文献】
特開2006−303707(JP,A)
【文献】
特開2007−286118(JP,A)
【文献】
特開2003−125269(JP,A)
【文献】
特開2006−325276(JP,A)
【文献】
特開2010−072659(JP,A)
【文献】
特開2002−209134(JP,A)
【文献】
特開2001−211351(JP,A)
【文献】
特開2008−079124(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/18
G02B 7/28
G03B 13/36
H04N 5/232
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効画素領域内の一部の領域の画像を用いて合焦を行う合焦手段と、
合焦後における前記領域内の合焦画像の空間周波数を算出する空間周波数手段と、
算出された前記空間周波数に基づいて前記合焦画像の拡大率を求める拡大率決定手段と、
前記拡大率に対応して前記合焦画像の解像度を変換し拡大した合焦画像をモニタに表示する合焦画像拡大表示手段とを備え、
解像度が変換され拡大された前記合焦画像の前記モニタへの表示を、前記合焦画像の表示がキャンセルされた場合、あるいは前記合焦画像の表示開始から所定時間が経過した場合に終了し、前記モニタの表示をライブビュー画像の表示に変更し、
前記拡大率は、前記空間周波数が低いときには前記空間周波数の増大にともない直線的に増大され、所定の空間周波数を超えると一定の最大拡大率に維持される
ことを特徴とする合焦画像表示装置。
【請求項2】
前記合焦画像の拡大が、前記領域内のフォーカスポイントを中心に拡大されることを特徴とする請求項1に記載の合焦画像表示装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2の何れか一項に記載の合焦画像表示装置を備えたことを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項4】
有効画素領域内の一部の領域の画像を用いて合焦を行い、
合焦後における前記領域内の合焦画像の空間周波数を算出し、
算出された前記空間周波数に基づいて前記合焦画像の拡大率を求め、
前記拡大率に対応して前記合焦画像の解像度を変換し拡大した合焦画像をモニタに表示し、
解像度が変換され拡大された前記合焦画像の前記モニタへの表示を、前記合焦画像の表示がキャンセルされた場合、あるいは前記合焦画像の表示開始から所定時間が経過した場合に終了し、前記モニタの表示をライブビュー画像の表示に変更し、
前記拡大率は、前記空間周波数が低いときには前記空間周波数の増大にともない直線的に増大され、所定の空間周波数を超えると一定の最大拡大率が維持される
ことを特徴とする合焦画像表示方法。
【請求項5】
前記合焦手段がコントラスト検出方式のオートフォーカスを用い、前記空間周波数が前記オートフォーカスの処理において最後に撮影された画像に対して算出されることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の合焦画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラにおいて合焦画像をモニタに表示し確認する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラのオートフォーカス(AF)では、コントラスト検出方式が一般的に用いられ、合焦された画像は撮影者が確認するために、カメラのディスプレイに一時的に表示される。しかし、通常カメラに設けられるディスプレイの大きさは、合焦画像全体を表示して合焦状態を確認するには十分な大きさではない。このような問題に対しては、合焦画像内で合焦の程度が最も高い領域をディスプレイに拡大表示し、更にその中で最も合焦しているサブブロックを枠で囲い明示する構成が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−242010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、撮影される画像にはポートレートや風景画など様々な態様があり、被写体によって好ましい拡大率は異なる。
【0005】
本発明は、被写体に応じた適切な拡大率で合焦画像を表示することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の合焦画像表示装置は、有効画素領域内の一部の領域の画像を用いて合焦を行う合焦手段と、合焦後におけるこの領域内の合焦画像の空間周波数を算出する空間周波数手段と、算出された空間周波数に基づいて合焦画像の拡大率を求める拡大率決定手段と、拡大率に対応して合焦画像の解像度を変換しモニタに表示する合焦画像拡大表示手段とを備えたことを特徴としている。
【0007】
合焦画像の拡大は、上記領域内のフォーカスポイントを中心に拡大されることが好ましい。
【0008】
本発明のデジタルカメラは、上記の合焦画像表示装置を備えたことを特徴としている。
【0009】
本発明の合焦画像表示方法は、有効画素領域内の一部の領域の画像を用いて合焦を行い、合焦後におけるこの領域内の合焦画像の空間周波数を算出し、算出された空間周波数に基づいて合焦画像の拡大率を求め、拡大率に対応して合焦画像の解像度を変換しモニタに表示することを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、被写体に応じた適切な拡大率で合焦画像を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態のデジタルカメラの構成を示すブロック図である。
【
図2】空間周波数が異なる2枚の画像とその合焦に利用される領域を示す。
【
図3】空間周波数と合焦確認のために表示される合焦画像の拡大率の関係を示すグラフである。
【
図4】本実施形態のCAF処理および合焦画像確認表示処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態であるデジタルカメラの概略的な構成を示すブロック図である。
【0013】
デジタルカメラ10は、例えばデジタル一眼レフカメラである。レンズ群11から入射した光は、絞り12、カラーフィルタアレイ13を通して撮像素子(例えばCMOSイメージセンサ)14の撮像面で結像する。撮像素子14は撮像素子ドライバ15からの駆動信号に基づいて制御される。撮像素子14で検出された画像信号は、画像信号処理回路16へと送られ、従来周知の様々な画像信号処理が施された後、必要に応じてモニタ17に表示される。
【0014】
レンズ群11におけるレンズの位置は、AF制御部19により制御され、これによりオートフォーカス処理が実行される。また、絞り12の開閉は、絞り制御部20により制御される。なお、撮像素子ドライバ15、AF制御部19、絞り制御部20は制御部21からの指令に基づいて制御され、制御部21は操作部22からの信号に基づいて、後述するオートフォーカス処理を含む各種所定の処理を実行する。なお、操作部22には、例えばレリーズスイッチ、AFボタン、各種ダイヤルスイッチ、タッチパネル等が含まれる。
【0015】
次に
図2、
図3を参照して、本実施形態における合焦画像の確認表示方法の概要を説明する。なお、本実施形態では、コントラスト検出方式のオートフォーカス(CAF)が用いられる。
【0016】
図2(a)、(b)は、空間周波数が異なる2種類の被写体を撮影したときの画像例であり、被写体とともに、実効画素領域(有効画素領域)A1においてCAF処理に利用されるCAF領域(コントラストが比較される領域)A2、A3が示される。
図2(a)は、画面中央に1人の人物の顔が大きく配置される画像であり、
図2(b)は、複数の人物が遠景を背に配置される画像である。一般に、
図2(b)のような画像は、
図2(a)のような画像に比べ空間周波数が高く、画像が込み入っているため合焦の度合いを確認することが難しい。
【0017】
したがって、本実施形態では、CAF処理後、CAF領域の合焦画像を、フォーカスポイントを中心に拡大してモニタ17(
図1参照)に表示するとともに、その際、拡大率をCAF領域内の空間周波数に応じて制御する。
図3のグラフに、本実施形態における空間周波数と拡大率の関係を示す。すなわち、本実施形態では、空間周波数が高いほど高い拡大率で合焦画像を拡大してモニタ17に表示する。なお、
図3に示される例では、空間周波数が低いときには、拡大率が空間周波数の増大にともない直線的に増大され、所定の空間周波数を超えると、一定の拡大率(最大拡大率)が維持される。しかし、空間周波数と拡大率の関係は、これに限定されるものではない。
【0018】
次に
図4のフローチャートを参照して、本実施形態の合焦画像確認表示処理について説明する。なお、合焦画像確認表示処理は主に制御部21(
図1参照)を中心に実行される。
【0019】
図4に示される処理は、モニタにライブビューが表示されているときに実行される。ステップS100においてAF開始要求が検出されると、ステップS102において、CAF処理が開始される。すなわち、AF制御部19(
図1参照)と協働して順次撮像される画像のCAF領域内のコントラストを比較してCAF処理が実行される。
【0020】
ステップS102のCAF処理が終了すると、ステップS104において合焦確認補助の要求があるか否かが判定される。合焦確認補助要求は、合焦画像を表示する際に上述した拡大率の制御を行うか否かを指定するもので、例えばユーザが予め合焦確認補助モードを設定しているか否かによってその有無が判定される。
【0021】
合焦確認補助要求がないと判定された場合には、この処理は直ちに終了し、通常のライブビュー処理に復帰するが、合焦確認補助要求があると判定された場合には、ステップS106において、ステップS102のCAF処理におけるCAF領域の最後の画像がメモリ(図示せず)に保持される。その後、ステップS108において、メモリに保持された画像の空間周波数が算出され、例えば
図3のグラフに対応するルックアップテーブルを参照してライブビュー画像に対する拡大率が求められる。
【0022】
ステップS110では、ステップS108で求められた拡大率に対応して、メモリに保持されたCAF領域の画像の解像度が変換され、モニタ17(
図1参照)に拡大表示され、ステップS112において、合焦画像のモニタ17への表示がキャンセルされたか、あるいは所定時間が経過したかが判定される。キャンセルは、例えば操作部22(
図1参照)に設けられた所定のボタン(図示せず)を操作することにより行われ、所定時間は、例えば2秒程度の時間に設定されている。
【0023】
ステップS112の判断は、合焦画像表示のキャンセル、または所定時間が経過していると判定されるまで繰り返され、何れかの条件が成立すると、本処理は終了し、処理は通常のライブビュー画像の表示に復帰する。
【0024】
以上のように本実施形態によれば、撮影される被写体の空間周波数に応じて、適切な拡大率で合焦画像を表示することができる。
【0025】
なお、CAF処理において、有効画素領域の中のCAF領域のみから画素信号を読み出しCAF処理を行うこともできる。
【0026】
なお、本実施形態では、一眼レフを例に説明を行ったが、本発明が適用されるデジタルカメラは、一眼レフに限定されるものではなく、例えば携帯電話などを含むデジタルカメラ機能を備える様々な装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0027】
10 デジタルカメラ
11 レンズ群
12 絞り
13 カラーフィルタアレイ
14 撮像素子
15 撮像素子ドライバ
16 画像信号処理回路
17 モニタ
19 AF制御部
20 絞り制御部
21 制御部
22 操作部