(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
[第1の実施形態]
次に本発明の第1の実施形態を
図1から
図9を参照して説明する。第1の実施形態では、本発明をレーザプリンタに適用させた場合について説明する。
【0025】
(レーザプリンタの全体構成)
図1は、本発明の実施形態に係るレーザプリンタを示す要部側断面図である。
図1において、レーザプリンタ1は、本体ケーシング2内に、用紙3を供給するためのフィーダユニット4や、供給された用紙3に所定の画像を形成するための画像形成ユニット5などを備えている。フィーダユニット4は、本体ケーシング2内の底部に、着脱自在に装着される給紙トレイ41と、給紙トレイ41内に設けられた用紙押圧板6と、給紙トレイ41の一端側端部の上方に設けられる給紙ローラ7および給紙パット8と、給紙ローラ7に対し用紙3の搬送方向の下流側に設けられるレジストローラ9とを備えている。
【0026】
用紙押圧板6は、用紙3を積層状にスタック可能とされ、給紙ローラ7に対して遠い方の端部が揺動可能に支持されるとともに、近い方の端部が上下方向に回動可能とされており、また、その裏側から図示しないばねによって上方向に付勢されている。そのため、用紙押圧板6は、用紙3の積層量が増えるに従って、給紙ローラ7に対して遠い方の端部を支点として、ばねの付勢力に抗して下向きに回動される。給紙ローラ7および給紙パット8は、互いに対向状に配設され、給紙パット8の裏側に配設されるばね10によって、給紙パット8が給紙ローラ7に向かって押圧されている。用紙押圧板6上の最上位にある用紙3は、用紙押圧板6の裏側から図示しないばねによって給紙ローラ7に向かって押圧され、その給紙ローラ7の回転によって給紙ローラ7と給紙パット8とで挟まれた後、1枚毎に給紙される。レジストローラ9は、駆動側および従動側の2つのローラから構成されており、給紙ローラ7から送られてくる用紙3を、所定のレジスト後に、画像形成ユニット5に送るようにしている。
【0027】
画像形成ユニット5は、スキャナユニット11、現像ユニット12および定着ユニット13を備えている。
【0028】
スキャナユニット11は、本体ケーシング2内の上部に設けられ、図示しないレーザ発光部、回転駆動されるポリゴンミラー14、レンズ15および16、反射鏡17、18および19などを備えており、レーザ発光部からの発光される所定の画像データに基づくレーザビームを、鎖線で示すように、ポリゴンミラー14、レンズ15、反射鏡17および18、レンズ16、反射鏡19の順に通過あるいは反射させて、後述する現像ユニット12の感光ドラム21の表面上に高速走査にて照射させている。
【0029】
図2は、本発明の実施形態に係る現像ユニットを拡大して示す側断面図である。次に、
図2に基づいて現像ユニット12を説明する。
図2において、現像ユニット12は、スキャナユニット11の下方に配設され、本体ケーシング2に対して着脱自在に装着されるドラムカートリッジ20と、このドラムカートリッジ20に対して着脱自在に装着される現像カートリッジ36とを備えている。ドラムカートリッジ20は、感光ドラム21、転写ローラ26およびスコロトロン型帯電器25を備えている。これによって、現像カートリッジ36は、感光ドラム21やスコロトロン型帯電器25と分離可能に構成されている。
【0030】
現像カートリッジ36内は、トナーを現像するための現像室51と、トナーを収容するためのトナー収容室27とに区画形成されており、現像室51内には、現像ローラ22、層厚規制部材としての層厚規制ブレード23および供給ローラ24が収容されている。本実施形態のトナー収容室27は、本発明の収容部の一例である。
【0031】
また、現像室51とトナー収容室27との間は、上側仕切り壁53と下側仕切り壁54とによって仕切られており、この上側仕切り壁53と下側仕切り壁54との間には、幅方向に延びる略矩形状の開口部52が形成されている。この開口部52は、トナー収容室27のトナーと現像室51のトナーとが相互に循環できるように開口されている。トナー収容室27内には、現像剤として、正帯電性の非磁性1成分のトナーが収容されている。
【0032】
図3は、本発明の実施形態に係るトナー収容室を示す、
図2におけるX−X線断面図である。なお、この
図3では、説明の容易化を図るべく、後述するアジテータ29およびワイパー39の位置を、
図2に示す位置ではなく、上側仕切り壁53と平行な方向である鉛直方向に位置する状態として現している。本実施形態のアジテータ29は、本発明の攪拌部材の一例である。
【0033】
図2および
図3に示すように、トナー収容室27には、トナーを撹拌して開口部52から現像室51に向かって供給するためのアジテータ29と、後述する光透過窓58および59を清掃するためのワイパー39と、これらアジテータ29およびワイパー39を支持する回転軸28とが設けられている。
【0034】
回転軸28は、
図3に示すように、トナー収容室27のほぼ中心において、トナー収容室27の両側壁56および57間にわたって延び、その一端がトナー収容室27の一方の側壁56から突出されており、その突出した端部には、この回転軸28を回転駆動させるためのアジテータ歯車44が設けられている。
【0035】
アジテータ29は、
図2および
図3に示すように、この回転軸28に、その長さ方向にわたって設けられており、回転軸28から径方向外方に向かって延びる樹脂からなる支持部材42と、その支持部材42の先端に取り付けられるポリエチレンテレフタレートなどからなるフィルム状の摺接部材43とを備えている。
【0036】
そして、このアジテータ29は、回転軸28の回転によってトナー収容室27内を回転して、その摺接部材43が、略円筒形状に形成されるトナー収容室27の底面に撓んだ状態で摺接することにより、トナーを押し上げて、その押し上げられたトナーを開口部52から現像室51に放出するようにしている。
【0037】
なお、このアジテータ29の回転においては、支持部材42も摺接部材43と同様にトナーを押し上げるので、大きな抵抗を受けるが、そのトナーによる抵抗を少なくするために、支持部材42における長手方向には、所定の間隔ごとに開口部45が形成されている。
【0038】
また、ワイパー39は、この回転軸28の長さ方向両側部において、アジテータ29に対して回転軸28の周りに180°の間隔を隔てて設けられており、回転軸28から径方向外方に向かって延びる樹脂からなる支持部材46と、その支持部材46の両側端部に設けられるウレタンゴムなどからなる清掃部材47とを備えている。
【0039】
そして、このワイパー39は、回転軸28の回転によってトナー収容室27内を回転し、この回転に伴って、清掃部材47が光透過窓58および59に接触して、それら光透過窓58および59に付着するトナーを拭き取るようにしている。このように、1つの回転軸28にアジテータ29およびワイパー39を支持すると、光透過窓58および59は、アジテータ29の回転速度にかかわらず、常に、アジテータ29の回転の周期ごとに、ワイパー39によって清掃される。そのため、後述する光センサ62によって、トナーの残存量を正確かつ確実に検知することができる。
【0040】
なお、
図2に示すように、アジテータ29には、略扇板状の遮光板85が設けられている。このような遮光板85を設けることによって、後述するように、アジテータ29の1回転における光センサ62の光を遮光する長さをより長く画成して、誤検知をより少なくし、より正確な検知を達成している。
【0041】
一方、
図2において、現像室51には、開口部52に近い側に、供給ローラ24がローラ軸131を中心に矢印方向、つまり反時計方向に回転可能に配設されており、また、この供給ローラ24に対向して、現像ローラ22がローラ軸132を中心に矢印方向に回転可能に配設されている。そして、これら供給ローラ24と現像ローラ22とは、そのそれぞれがある程度圧縮するような状態で互いに当接されている。
【0042】
供給ローラ24は、金属製のローラ軸131に、導電性の発泡材料からなるローラが被覆されている。また、現像ローラ22は、金属製のローラ軸131に、導電性のゴム材料からなるローラが被覆されている。なお、現像ローラ22には、感光ドラム21との間に電位差が生じるような所定の現像バイアスが印加されている。
【0043】
また、現像ローラ22の近傍には、層厚規制ブレード23が配設されている。この層厚規制ブレード23は、金属の板ばね材からなるブレード本体37と、ブレード本体37の先端部に設けられ、絶縁性のシリコーンゴムからなる半円形状の押圧部材38とを備えており、ブレード本体37における押圧部材38と反対側の端部が、現像ローラ22の近くにおいて現像カートリッジ36のフレームに支持されるとともに、押圧部材38がブレード本体37の弾性力によって現像ローラ22上に圧接されるように構成されている。
【0044】
そして、開口部52から現像室51に向けて放出されるトナーは、供給ローラ24の回転により、現像ローラ22に供給され、この時、供給ローラ24と現像ローラ22との間で正に摩擦帯電され、さらに、現像ローラ22上に供給されたトナーは、現像ローラ22の回転に伴って、層厚規制ブレード23の押圧部材38と現像ローラ22との間に進入し、ここで、この押圧部材38と現像ローラ22との間で摺擦されて、十分に摩擦帯電され、一定厚さの薄層として現像ローラ22上に担持される。
【0045】
なお、層厚規制ブレード23の押圧部材38と現像ローラ22との間で摺擦されたトナーは、そのトナーに外添されるシリカなどの外添剤がトナーの母粒子の中に埋まり込んでしまい、流動性が低下したり、あるいは、帯電性が低下するようになる。そのため、画像形成時には、アジテータ29の回転速度を一定速度以上に保ち、現像カートリッジ36内におけるトナーの循環を効率よく行なって、劣化したトナーの滞留による画像の形成不良を防止する必要がある。
【0046】
このような現像カートリッジ36の駆動系について
図4を用いて説明する。
図4の(a)は本発明の第1実施形態に係る歯車機構の模式図であり、(b)は本発明の第1実施形態に係る歯車機構の斜視図である。本実施形態では、感光ドラム21、現像ローラ22、及び、アジテータ29は、複数枚の歯車等かなる歯車機構を介して1つのメインモータ78から駆動力を得て回転する。本実施形態のメインモータ78は、本発明の駆動源の一例である。
【0047】
メインモータ78の駆動力を現像ローラ22、及び、アジテータ29に伝達する歯車機構90は、
図4に示すように第1速度で現像ローラ22、及び、アジテータ29を回転させる場合と第1速度より遅い第2速度で現像ローラ22、及び、アジテータ29を回転させる場合とを切り替えるための変速機構100を有している。以下、第1速度をノーマル速度といい、第2速度をスロー速度という。
【0048】
そして、
図4(a)の実線で示す経路は、ノーマル速度で現像ローラ22、及び、アジテータ29を駆動するための駆動力伝達回路を示し、
図4(a)の二点鎖線で示す経路は、スロー速度で現像ローラ22、及び、アジテータ29を回転させるための駆動力伝達回路を示している。
【0049】
なお、本実施形態では、ノーマル速度は感光ドラム21の速度より大きく、スロー速度は感光ドラム21の速度より小さく、かつ、感光ドラム21は変速機構100の作動状態によらず、一定の速度で回転するように設定されている。
【0050】
歯車機構90は、
図4(a)に示すように、メインモータ78から出力された駆動力を減速して変速機構100に伝達するため歯車91〜94、及び変速機構100から出力された駆動力を現像ローラ22、及び、アジテータ29に伝達するための歯車95等から構成されている。
【0051】
歯車91はメインモータ78から駆動力を受けて分配歯車92に駆動力を伝達する駆動歯車であり、分配歯車92は、
図4(b)に示すように、同軸状に配列された3種類の歯車92A〜92Cが一体化された3段歯車であって、駆動歯車91から伝達された駆動力をノーマル速度用の駆動力伝達回路とスロー速度用の駆動力伝達回路とに分配する。
【0052】
具体的には、分配歯車92の歯車92Aは駆動歯車91と噛み合う従動歯車であり、歯車92Bは、変速機構100の第1入力歯車100A側に駆動力を伝達する従動歯車であり、歯車92Cは、変速機構100の第2入力歯車100B側に駆動力を伝達する従動歯車である。
【0053】
なお、分配歯車92の歯車92Bは、第1中間歯車93を介して第1入力歯車100Aに駆動力を伝達し、分配歯車92の歯車92Cは、第2中間歯車94を介して第2入力歯車100Bに駆動力を伝達する。
【0054】
このため、メインモータ78が回転すると、これに連動して歯車91〜94が回転するので、変速機構100の第1入力歯車100A及び第2入力歯車100Bもメインモータ78の回転・停止に連動して回転・停止する。つまり、第1入力歯車100A及び第2入力歯車100Bは、変速機構100の状態によらず、メインモータ78の回転・停止に連動して回転・停止する。
【0055】
変速機構100の詳細構造について
図5を用いて説明する。
図5の(a)及び(b)は本発明の第1の実施形態に係る変速機構の断面図である。変速機構100は、
図5(a)に示すように、第1入力歯車100A、第2入力歯車100B及び出力歯車100C、並びにワンウェイクラッチ101及び電磁クラッチ75等から構成されている。
【0056】
第1入力歯車100Aは、現像ローラ22、及び、アジテータ29をノーマル速度で回転させるための第1入力部であり、第2入力歯車100Bは現像ローラ22、及び、アジテータ29をスロー速度で回転させるための第2入力部であり、出力歯車100Cは、第1入力歯車100A又は第2入力歯車100Bから駆動力を得て回転し、歯車95と噛み合って現像ローラ22、及び、アジテータ29側に駆動力を出力する出力部である。
【0057】
そして、出力歯車100Cには回転軸103が一体化されており、この回転軸103は、軸線方向に延びて第1入力歯車100A及び第2入力歯車100Bを貫通しているとともに、第2入力歯車100Bとワンウェイクラッチ101を介して連結されている。
【0058】
このため、第2入力歯車100Bから出力歯車100Cに至る駆動力伝達回路においては、ワンウェイクラッチ101により、第2入力歯車100Bから出力歯車100Cに向かう回転力のみが回転軸103に伝達され、出力歯車100Cから第2入力歯車100Bに向かう回転力の伝達は遮断される。
【0059】
また、電磁クラッチ75のロータコイル102Aは、回転軸103に設けられたスプライン(JIS D 2001等参照)やセレーション(JIS B 1602等参照)等を介して係合しているため、回転軸103と一体的に回転しながら、軸方向に変位することができる。
【0060】
一方、電磁クラッチ75の固定鉄心をなすアーマチャ102Bは、第1入力歯車100Aに一体化されており、この第1入力歯車100Aは、図示しない軸受を介して回転軸103に対して回転自在に組み付けられている。
【0061】
したがって、
図5の(a)に示すように、ロータコイル102Aへ通電すると、電磁吸引力によりロータコイル102Aがアーマチャ102Bに吸着されてロータコイル102Aとアーマチャ102Bとが一体化するので、第1入力歯車100Aから伝達されてきた駆動力が回転軸103に伝達されるので、第1入力歯車100Aから出力歯車100Cまでの駆動力伝達回路が繋がる。
【0062】
このとき、回転軸103には、第1入力歯車100Aから伝達されてきたノーマル駆動力と第2入力歯車100Bから伝達されてきたスロー駆動力とが作用するが、スロー駆動力はノーマル駆動力より回転数が低いので、回転軸103から見ると、スロー駆動力は、ノーマル駆動力による回転方向と逆向きに回転軸103を回転させようとするので、ワンウェイクラッチ101によりスロー駆動力の伝達が遮断される。
【0063】
このため、ロータコイル102Aに通電されているON状態である場合には、ノーマル駆動力のみが回転軸103に伝達されるので、現像ローラ22、及び、アジテータ29はノーマル速度にて回転する。
【0064】
一方、ロータコイル102Aへ通電が遮断されたOFF状態である場合には、電磁吸引力が消滅し、第1入力歯車100Aから伝達されてきた駆動力の出力歯車100Cへの伝達が遮断されるので(
図5(b)参照)、スロー駆動力のみが回転軸103に伝達され、現像ローラ22、及び、アジテータ29はスロー速度にて回転する。
【0065】
次に、感光ドラム21、及び、現像カートリッジの駆動伝達機構について、
図6を用いて説明する。
図6は、本発明の実施形態に係る感光ドラム、及び、現像カートリッジの駆動伝達機構を示す模式図である。
【0066】
図6に示すように、ドラムカートリッジ20の一方の側壁には、感光ドラム21を回転駆動するためのドラム駆動伝達機構111が設けられている。現像カートリッジ36の一方の側壁には、供給ローラ24、現像ローラ22、及び、アジテータ29を回転駆動するための現像駆動伝達機構112が設けられている。
【0067】
ドラム駆動伝達機構111は、感光ドラム21のローラ軸130に直結されるドラム歯車113と、このドラム歯車113と噛合するドラム駆動歯車114とを備えている。
【0068】
ドラムカートリッジ20が本体ケーシング2に装着された状態で、本体ケーシング2内に設けられる図示しない入力歯車がドラム駆動歯車114と噛合し、本体ケーシング2内に設けられるメインモータ78からの駆動力が、その入力歯車を介して、ドラム駆動歯車114に入力される。ドラム駆動歯車114に入力される駆動力は、ドラム歯車113に伝達されて、ドラム歯車113と一体的に感光ドラム21を回転駆動する。
【0069】
また、現像駆動伝達機構112は、供給ローラ24のローラ軸131に直結される供給ローラ歯車115と、現像ローラ22のローラ軸132に直結される現像ローラ歯車116と、これらの供給ローラ歯車115及び現像ローラ歯車116と噛合する第1アイドル歯車117と、この第1アイドル歯車117と同軸上に設けられて、第1アイドル歯車117よりも小径に形成された第2アイドル歯車118と、第2アイドル歯車118と噛合する第3アイドル歯車119と、第3アイドル歯車119と同軸上に設けられて、第3アイドル歯車119よりも小径に形成された第4アイドル歯車120と、この第4アイドル歯車120と噛合し、アジテータ29の回転軸28に直結されるアジテータ歯車44と、第1アイドル歯車117及び第2アイドル歯車118と同軸上に設けられて、図示しないカップリング雄部材が結合されるカップリング雌部材122とを備えている。カップリング雄部材は、歯車95と同軸上に設けられ、歯車95から現像ローラ22、及び、アジテータ29側に出力される駆動力をカップリング雌部材122に伝達する。
【0070】
現像カートリッジ36が本体ケーシング2に装着された状態で、カップリング雄部材にカップリング雌部材122が結合されて、メインモータ78からの駆動力が、変速機構100、カップリング雄部材を介してカップリング雌部材122に入力される。カップリング雌部材122に入力された駆動力は、カップリング雄部材と一体的に第1アイドル歯車117及び第2アイドル歯車118を回転させる。第1アイドル歯車117が回転すると、供給ローラ歯車115及び現像ローラ歯車116が回転し、これによって、供給ローラ24及び現像ローラ22が回転する。また、第2アイドル歯車118が回転すると、第3アイドル歯車119が回転し、この第3アイドル歯車119と一体となって第4アイドル歯車120が回転する。そして、第4アイドル歯車120の回転は、アジテータ歯車44に伝達され、アジテータ歯車44が回転することにより、アジテータ29が回転する。
【0071】
また、
図2に示すように、感光ドラム21は、ローラ軸130を中心に、現像ローラ22の側方において、現像ローラ22に対向状に接触する状態で矢印方向、つまり時計方向に回転可能に配設されている。この感光ドラム21は、ドラム本体が接地されるとともに、その表面が、ポリカーボネートを主成分とする有機感光体などの正帯電性の材料により形成されている。また、スコロトロン型帯電器25は、感光ドラム21の上方に、所定の間隔を隔てて配設されている。このスコロトロン型帯電器25は、タングステンなどの帯電用ワイヤからコロナ放電を発生させる正帯電用のスコロトロン型の帯電器であり、感光ドラム21の表面を一様に正帯電させることができるように構成されている。
【0072】
そして、感光ドラム21の表面は、スコロトロン型帯電器25により一様に正帯電された後、スキャナユニット11からのレーザービームの高速走査により露光され、所定の画像データに基づく静電潜像が形成される。そして、現像ローラ22の回転により、現像ローラ22上に担持されかつ正帯電されているトナーが、感光ドラム21に対向して接触する時に、感光ドラム21の表面上に形成される静電潜像、すなわち、一様に正帯電されている感光ドラム21の表面のうち、レーザービームによって露光され電位が下がっている部分に、選択的に転着することによって可視像化され、これによって現像が達成される。本実施形態のスキャナユニット11は、本発明の露光器の一例である。
【0073】
感光ドラム21の下方には、この感光ドラム21に対向する転写ローラ26が、矢印方向、つまり反時計方向に回転可能に配設されている。転写ローラ26は、金属製のローラ軸に、導電性のゴム材料からなるローラが被覆されており、所定の転写バイアスが印加されている。そのため、感光ドラム21上に現像されたトナーは、用紙3が感光ドラム21と転写ローラ26との間を通る間に、その用紙3に転写される。
【0074】
また、
図1に示すように、定着ユニット13は、現像ユニット12の側方下流側に配設され、加熱ローラ32、加熱ローラ32に押圧される押圧ローラ31、および、これら加熱ローラ32および押圧ローラ31の下流側に設けられる1対の搬送ローラ33を備えている。加熱ローラ32は、金属製で加熱のためのハロゲンランプを備えており、現像ユニット12において用紙3上に転写されたトナーを、用紙3が加熱ローラ32と押圧ローラ31との間を通過する間に熱定着させ、その後、その用紙3を搬送ローラ33によって、1対の排紙ローラ34に搬送するようにしている。1対の排紙ローラ34に送られた用紙3は、その排紙ローラ34によって排紙トレイ35上に排紙される。
【0075】
また、このレーザプリンタ1には、トナー収容室27内に残存するトナーの残量を検知するための残量検知センサとしての光センサ62が設けられている。
【0076】
この光センサ62は、後述する
図7に示すように、発光素子を備えた発光部60と受光素子を備えた受光部61とを備えている。すなわち、
図3において、トナー収容室27の両側壁56および57には、トナー収容室27の中心から開口部52により近い適宜の位置に、光センサ62の光を透過させるための光透過窓58および59が、それぞれ互いに対向するように設けられており、発光部60および受光部61は、これら光透過窓58および59にそれぞれ対向する本体ケーシング2のフレーム63および64に取り付けられている。
【0077】
より具体的には、一方の光透過窓58に対向するフレーム63には、レンズ65が埋設されており、そのレンズ65の外方対向位置には、支持基板69がホルダ部材67を介して支持されており、発光部60は、その支持基板69上に、発光素子がレンズ65に向かうようにして設けられている。また、他方の光透過窓59に対向するフレーム64にも、レンズ66が埋設されており、そのレンズ66の外方対向位置には、支持基板70がホルダ部材68を介して支持されており、受光部61は、その支持基板70上に、受光素子がレンズ66に向かうようにして設けられている。
【0078】
なお、
図3には、ドラムカートリッジ20のケース部分40が、現像カートリッジ36の下側を囲むように略凹状に現れているが、このケース部分40における光透過窓58および59にそれぞれ対向する両側壁にも、開口部71および72が形成されている。
【0079】
そのため、発光部60、レンズ65、開口部71および光透過窓58と、受光部61、レンズ66、開口部72および光透過窓59とは、トナー収容室27を挟んで一直線状に配置され、これによって、発光部60から発光される指向性の強い光は、レンズ65、開口部71および光透過窓58を介して、トナー収容室27内を通過し、光透過窓59、開口部72およびレンズ66を介して、受光部61において受光される。
【0080】
(レーザプリンタの電気的構成)
次に、レーザプリンタ1の電気的構成について
図7を用いて説明する。
図7は、本発明の第1の実施形態に係るレーザプリンタの制御系の要部構成を示すブロック図である。
図7において、このレーザプリンタ1では、CPU79に、ROM80、RAM81、操作パネル部82、インターフェース83、メインモータ78、電磁クラッチ75、発光部60および受光部61の各部がバス84を介して接続されている。メインモータ78、及び、電磁クラッチ75は、CPU79等により制御されている。
【0081】
ROM80には、このレーザプリンタ1において画像を形成するための各種のプログラムや、後述するトナー残量検知プログラム、アジテータ駆動制御プログラムなどが格納されている。RAM81には、各種のプログラムにおいて設定される数値などが一時的に格納される。操作パネル部82には、このレーザプリンタ1を操作するための入力キーや、各種の設定を表示するためのLEDなどが設けられている。インターフェース83は、パーソナルコンピュータなどの外部装置との間で送受信されるデータを監視する。本実施形態の操作パネル部82は、本発明の報知部の一例である。
【0082】
(トナー残量検知制御)
次に、このような制御系において、トナーの残量を検知するための制御について
図8を用いて説明する。
図8は、本発明の実施形態に係る光センサの受光部から出力される出力信号のタイミングチャートであって、(a)は、トナーが全くない状態、かつ、スロー速度の状態、(b)は、トナーが十分にある状態、かつ、スロー速度の状態、(c)は、トナーの残量が少ないと判断される状態、かつ、スロー速度の状態、(d)は、トナーなしと判断される状態、かつ、スロー速度の状態、(e)は、トナーが全くない状態で、かつ、ノーマル速度の状態をそれぞれ示す。トナーの残量検知は、ROM80内に格納されているトナー残量検知プログラムの処理により行なわれる。すなわち、このトナー残量検知プログラムでは、受光部61によって受光された光量に応じて受光素子から出力される電圧が変化し、受光部61から出力される電圧の変化を出力信号として認識して、この出力信号のアジテータ29の所定回転周期あたりの変化からトナーの残量を検知するようにしている。より具体的には、発光部60から発光された光が、トナー収容室27内において遮られずに、受光部61において受光された場合には、受光量が多く、受光部61から出力される電圧が低くなるので、これを、「LOW」レベルの出力信号として認識する。一方、発光部60から発光された光が、トナー収容室27内において遮られた場合には、受光量が少なく、受光部61から出力される電圧が高くなるので、これを、「HIGH」レベルの出力信号として認識する。この出力電圧の変化を検知することで、トナー収容室27内を通過する光が、残存するトナーによって遮られるか否かを検知することができる。例えば、高い出力電圧を5Vとし、低い出力電圧を0Vとする。
【0083】
一方、発光部60から発光された光は、アジテータ29の回転によって周期的に遮られるので、トナーがない状態では、出力信号は、アジテータ29の回転に同期して、
図8(a)に示すように、「HIGH」レベルと「LOW」レベルとが、所定の割合において周期的に交互に連続するようになる。一方、トナーが十分にある状態では、発光部61から発光されトナー収容室27を通過する光は、トナーによってすべての時間遮られるので、
図8(b)に示すように、「HIGH」レベルのみが連続する。これによって、トナーをまだ補給しなくてもよいことを、正確かつ確実に検知することができる。
【0084】
そして、画像形成動作が進むにつれて、トナーの量が少なくなると、アジテータ29の回転によって、トナー収容室27内に残存するトナーが押し上げられた時にのみ、発光部61から発光された光が遮られるので、「HIGH」レベルと「LOW」レベルとが、所定の割合において周期的に交互に連続するようになる。この時、押し上げられたトナーの量が多い場合には、より長い時間光が遮られて、
図8(c)に示すように、「LOW」レベルに対する「HIGH」レベルの割合が長いが、さらに画像形成動作が進み、トナーの量が少なくなると、光が遮られる時間が短くなり、「LOW」レベルに対する「HIGH」レベルの割合が短くなる。
【0085】
そのため、このトナー残量検知プログラムでは、
図8(a)に示すようにアジテータ29が3回転する期間T2である所定回転周期における「LOW」レベルの期間T1の割合を算出することで、トナーの残存量を検知するようにしている。より具体的には、
図8(c)に示すように、通常の画像形成時における「LOW」レベルの割合に対して、その「LOW」レベルの割合が2%を超えた時には、トナーの残量が少ないと判断して、操作パネル部82のLEDに、トナーの残量が少ないことを示す警告を表示し、さらに、
図8(d)示すようにその「LOW」レベルの割合が18%を超えた時には、トナーがないと判断して、操作パネル部82のLEDにトナーがないことを示す警告を表示するとともに、メインモータ78の駆動を停止するようにしている。
【0086】
したがって、このトナー残量検知プログラムによって、発光部60と受光部61とを結ぶ光の遮光時間または透過時間の長短を検知することによって、トナーの残量を正確かつ確実に検知することができる。
【0087】
なお、このトナー残量検知プログラムの処理は、レーザプリンタ1の電源投入時、画像形成動作の開始時および終了時、連続画像形成時の途中など、適宜のタイミングで実行される。
【0088】
そして、たとえば、レーザプリンタ1の高速化を図る場合には、アジテータ29をノーマル速度で回転させることにより、現像カートリッジ36内においてトナーを効率よく循環させて、帯電効率のよいトナーをより多く現像ローラ22に供給する必要があるが、アジテータ29をノーマル速度で回転させると、トナー収容室27内においてトナーが舞ってしまい、その舞ったトナーが、発光部61から発光された光を遮ってしまう場合がある。そのような場合には、トナーの残量が少ない場合にも、この舞っているトナーによる遮光によって、トナー残量の誤検知を生じる。
【0089】
とりわけ、このレーザプリンタ1では、重合トナーが使用されており、その良好な流動性により、アジテータ29をノーマル速度で回転した時に、スロー速度で回転した時に比べて舞いやすくなっている。
【0090】
そのため、このレーザプリンタ1では、トナーの残量を検知する時には、アジテータ29をスロー速度で回転させて、トナーがトナー収容室27内において舞うことを防止して、正確なトナーの残量検知を行なう一方、画像形成時には、アジテータ29をノーマル速度で回転させて、現像カートリッジ36内においてトナーを効率よく循環させて、層厚規制ブレード23による摺擦などにより劣化したトナーの滞留を防止して、トナーの帯電効率を向上させるとともに、より多くのトナーを現像ローラ22に供給するようにしている。
【0091】
より具体的には、この制御は、ROM80内に格納されているアジテータ駆動制御プログラムの処理により行なわれる。すなわち、アジテータ駆動制御プログラムの処理は、トナー残量検知プログラムの処理と互いに同期して実行され、トナー残量検知プログラムが実行されている間は、電磁クラッチ75をOFF状態にしてアジテータ29をスロー速度で回転させ、トナー残量検知プログラムが実行されていない間は、電磁クラッチ75をON状態にしてアジテータ29をノーマル速度で回転させるようにしている。トナー残量検知プログラムが実行されていない間は、
図8(e)に示すような出力信号が出力される。
図8(e)は、アジテータ29がノーマル速度で回転が制御されている時に、トナー収容室27にトナーが全くない状態で光センサ62の受光部61から出力される出力信号のタイミングチャートである。「HIGH」レベルから「LOW」レベルになった時点から、「LOW」レベルの期間T3が3回計測された後に「HIGH」レベルから「LOW」レベルになった時点までの期間T4を計測する。期間T4は、アジテータ29がノーマル速度で3回転する期間である。アジテータ29の回転速度は、より具体的には、たとえば、ノーマル速度の場合には、90.1min
−1、スロー速度の場合には、45.5min
−1であり、ノーマル速度からスロー速度には、1/2程度に減速される。
【0092】
期間T2から1回転あたりの回転周期が算出されることで、アジテータ29がスロー速度で制御されている時に1回転する回転周期TP1が算出される。同様に期間T4から1回転あたりの回転周期が算出されることで、アジテータ29がノーマル速度で制御されている時に1回転する回転周期TP2が算出される。
【0093】
このようなアジテータ駆動制御プログラムの処理によって、アジテータ29の回転速度を制御することにより、トナーの残量を正確に検知するとともに、良好な画像を形成することを、簡易かつ確実に達成することができ、画像形成速度の高速化に十分に対応することができる。
【0094】
(変速機構の異常検知動作)
変速機構100の異常検知動作について
図9を用いて説明する。
図9は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の変速機構の異常検知動作を説明するためのフローチャートである。本異常検知動作の制御を実行するためのプログラムは、ROM80に記憶されている。
【0095】
図9のフローチャートの処理は、レーザプリンタ1の電源が投入されると開始される。CPU79は、レーザプリンタ1に電源が投入され、初期化動作が開始されると(S101)、電磁クラッチ75をOFF状態にしてメインモータ78への通電を開始する。つまり、CPU79は、スロー速度に切り替えるために、電磁クラッチ75のON状態とOFF状態とをOFF状態に制御して、スロー速度にて現像ローラ22、及び、アジテータ29を回転させる(S102)。初期化動作には、定着器温度調整、及び、ガラ回し等がある。
【0096】
次に、アジテータ29がスロー速度で回転するように制御されている時に、アジテータ29の回転周期の計測を開始する(S103)。光センサ62によりアジテータ29の回転周期TP1が検出され、検出された回転周期TP1がRAM81に記憶されると、回転周期TP1の計測を終了する(S104:Yes)。光センサ62によりアジテータ29の回転周期TP1が検出されるまで、回転周期TP1の計測が終了していないと判断される(S104:No)。回転周期TP1の計測が終了した後に(S104:Yes)、初期化動作が終了する(S105)。
【0097】
その後、CPU79は、パーソナルコンピュータ等から送信される画像形成開始指令を受信し、画像形成動作が開始されると(S106)、電磁クラッチ75をON状態にして現像ローラ22、及び、アジテータ29の速度をノーマル速度に切り替える。つまり、CPU79は、スロー速度からノーマル速度に切り替えるために、電磁クラッチ75のON状態とOFF状態とをON状態に制御して、ノーマル速度にてアジテータ29を回転させる(S107)。なお、画像形成動作の開始タイミングは、例えば、フィーダユニット4への給紙開始指示タイミングである。S106で画像形成動作が開始されると、フィーダユニット4から用紙3が給紙され、搬送される用紙3に感光ドラム21の静電潜像が転写ローラ26により転写され、定着ユニット13により熱定着されることにより用紙3に画像が形成され、排紙トレイ35に用紙3が排紙される。本実施形態のS102、S107、CPU79は、本発明の制御部の一例である。
【0098】
この画像形成動作が行われている時、つまり、アジテータ29がノーマル速度で回転するように制御されている時に、アジテータ29の回転周期TP2の計測が開始される(S108)。例えば、1枚目の用紙に画像を形成する時で、トナーを攪拌して現像ローラ22へ供給するためにアジテータ29を回転させたタイミングに回転周期TP2の計測が開始される。CPU79は、光センサ62によりアジテータ29の回転周期TP2が検出され、検出された回転周期TP2がRAM81に記憶されると、回転周期TP2の計測を終了する(S109:Yes)。光センサ62によりアジテータ29の回転周期TP2が検出されるまで、回転周期TP2の計測が終了していないと判断される(S109:No)。アジテータ29の回転周期TP2の計測を終了すると(S109:Yes)、S110の処理に進む。回転周期TP2の計測の終了は、回転周期TP2の計測が開始されてからアジテータ29がノーマル速度で3回転する期間T4が経過したタイミングである。本実施形態のS103、S104、S108、S109、光センサ62、及び、CPU79は、本発明の検出部の一例である。
【0099】
次に、S110では、RAM81に記憶された回転周期TP1と回転周期TP2とが一致するか否かが判断される。回転周期TP1と回転周期TP2とが一致する場合は、変速機構100によりアジテータ29の回転速度を切り替えられなかったと判断する。変速機構100の異常は、例えば、電磁クラッチ75のロータコイル102Aとアーマチャ102Bとの間に異物が混入した場合に、ロータコイル102Aとアーマチャ102Bとが吸着されていないのにも関わらず、ロータコイル102Aとアーマチャ102Bとが同期して回転してしまうことにより生じる。このような異常が発生した場合、アジテータ29の回転速度は、ノーマル速度になり、スロー速度に切り替えられない状態となる。また、変速機構100の異常は、例えば、電磁クラッチ75に通電するための信号線が断線されてしまったことにより、ロータコイル102Aとアーマチャ102Bとが吸着されなくなってしまい生じる。このような異常が発生した場合、アジテータ29の回転速度は、スロー速度になり、ノーマル速度に切り替えられない状態となる。本実施形態のS110、及び、CPU79は、本発明の比較判断部の一例である。
【0100】
回転周期TP1と回転周期TP2とが一致しない場合は、変速機構100が正常に動作していると判断する。したがって、回転周期TP1と回転周期TP2とが一致するか否かを判断することにより、変速機構100の異常を検知することができる。回転周期TP1と回転周期TP2とが一致しないと判断されると(S110:No)、変速機構100は正常に動作しているとしてこのフローチャートの処理が終了する。回転周期TP1と回転周期TP2とが一致すると判断されると(S110:Yes)、CPU79は、変速機構100が異常であると判断して、S201の処理に進む。本実施形態のCPU79、及び、S110:Yesは、本発明の異常判断部の一例である。
【0101】
S201では、
図10に示す異常処理が開始される。
図10は、本発明の実施形態に係る異常処理の動作を説明するためのフローチャートである。異常処理が開始されると、変速機構100が異常である旨を操作パネル部82のLEDに表示される(S202)。次に回転周期TP1及び回転周期TP2がスロー速度に対応する回転周期であるか、又は、ノーマル速度に対応する回転周期であるかが判断される(S203)。回転周期TP1及び回転周期TP2がスロー速度に対応する回転周期である場合(S203:Yes)、画像形成の濃度が薄くなる旨を操作パネル部82のLEDに表示させる(S204)。変速機構100に異常が発生し、現像ローラ22とアジテータ29との回転速度がスロー速度からノーマル速度に切り替えられない場合に、画像形成動作が行われると感光ドラム21が通常の速度で回転し、現像ローラ22が通常の速度よりも遅いスロー速度で回転する。現像ローラ22がノーマル速度で回転しているときに比べて現像ローラがスロー速度で回転しているときの方が、現像ローラ22から感光ドラム21に供給されるトナーの量が少なくなる。つまり、トナーの量が少ない分だけ画像形成の濃度が薄くなり、画像形成の品質に影響を与える。したがって、ユーザは、画像形成の品質に影響があることを認識して画像形成動作を行うことができる。
【0102】
次に、CPU79は、画像形成を中止するか否かを判断する(S205)。画像形成を中止するか否かは、ユーザの操作パネル部82への入力により判断される。画像形成の継続が入力されると(S205:No)、S209に進む。画像形成の継続が入力されることで、画像形成の濃度が薄くなり画像形成の品質に影響があっても、画像形成動作を継続させることができる。画像形成の品質に影響があっても画像形成結果を求めるユーザにとって便利である。S209で画像形成動作が継続されると、この異常処理が終了する。
【0103】
画像形成の中止が入力されると(S205:Yes)、S206に進む。画像形成の濃度が薄くなり画像形成の品質に影響があるので、画像形成の中止が入力されることで、無駄な画像形成が行われてしまうことを防止できる。画像形成の品質を求めるユーザにとって便利である。S206では、画像形成が中止され、この異常処理が終了する。
【0104】
また、回転周期TP1及び回転周期TP2がノーマル速度に対応する回転周期である場合(S203:No)、画像形成動作を引き続き行うことが可能である旨を操作パネル部82のLEDに表示させる(S207)。そして更に、トナーの寿命が短くなる旨を操作パネル部82のLEDに表示させる(S208)。トナーの寿命は、トナーが攪拌される回数がスロー速度よりもノーマル速度の方が多くなるため、トナーの劣化を抑制する効果が減り、寿命が短くなる。次に、S209で画像形成動作が継続されると、この異常処理(S201)が終了し、
図9のフローチャートの処理に戻る。
【0105】
画像形成動作が終了すると(S111)、変速機構100の異常検知動作のフローチャートの処理が終了する。画像形成動作の終了後は、アジテータ29の速度をノーマル速度からスロー速度に切り替えてもよい。なお、アジテータ29の速度をノーマル速度からスロー速度への切り替えは、感光ドラム21の現像が終了した時以降であればよい。
【0106】
以上より、アジテータ29の回転周期を検出する専用のセンサを設けることなく、光センサ62を兼用することで、アジテータ29の回転周期が検出されるため、部品点数の増加を抑制できる。
【0107】
[第2の実施形態]
第2の実施形態について、
図11、
図12、及び、
図13を用いて説明する。
図11は、本発明の第2の実施形態に係る変速機構の分解斜視図である。
図12、及び、
図13は、本発明の第2の実施形態に係る歯車機構の斜視図である。第2の実施形態は、第1の実施形態における
図1に示すレーザプリンタの内部構成、
図2に示す現像ユニットの内部構成、
図3に示すトナー収容室の内部構成、
図6に示す感光ドラム、及び、現像カートリッジの駆動伝達機構、
図8に示す光センサの受光部から出力される出力信号、
図9に示す変速機構の異常検知動作、
図10に示す異常処理の動作について第1の実施形態と共通する。第1の実施形態と共通する構成については説明を省略する。第2の実施形態に係るレーザプリンタの制御系の要部構成は、
図7に示すレーザプリンタの制御系の要部構成において電磁クラッチ75がソレノイド104に置き換えられた構成からなり、その他の構成は共通する。第1の実施形態では、電磁クラッチ75により変速機構100を構成したが、第2の実施形態は、
図11に示すように、遊星歯車機構により変速機構100を構成するとともに、
図12に示すソレノイド104により遊星歯車機構の太陽歯車105Aの状態を切り替えるものである。
【0108】
すなわち、遊星歯車機構は、
図11に示すように、太陽歯車105A、太陽歯車105Aを旋回中心して太陽歯車105Aと噛み合いながら旋回、かつ、回転可能な遊星歯車105B、各遊星歯車105Bを旋回、かつ、回転可能に支持するとともに、メインモータ78から駆動力を受けて回転するキャリア歯車105C、及び太陽歯車105Aと同軸上に回転可能に配設されて遊星歯車105Bと噛み合う内歯車105D等から構成されている。
【0109】
また、太陽歯車105Aと一体的に回転する回転軸105Eには、第1出力歯車105F及びソレノイド104と協働して太陽歯車105Aの回転を許容する場合と規制する場合とを切り替えるためのラチェット歯車105Gが設けられている。
【0110】
そして、ソレノイド104に通電されてON状態となると、
図12に示すように、ラチェット歯車105Gに係止爪105Hが係合して太陽歯車105Aの回転が規制され、ソレノイド104への通電が遮断されてOFF状態となると、
図13に示すように、ラチェット歯車105Gと係止爪105Hとの係合が解除されて太陽歯車105Aが自由に回転可能となる。
【0111】
また、内歯車105Dには、内歯車105Dと一体的に回転して歯車95と噛み合う第2出力歯車105Jが設けられている。一方、第1出力歯車105Fは、ワンウェイクラッチ101を内蔵した2段歯車106の大径部106Aに噛み合っており、この2段歯車106の小径部106Bは、中間歯車107を介して歯車95と噛み合っている。
【0112】
そして、太陽歯車105Aの回転が規制された状態でキャリア歯車105Cがメインモータ78からの駆動力を受けて回転すると、その駆動力はノーマル速度とするまで減速されて内歯車105Dに伝達された後、歯車95に伝達される。
【0113】
なお、このとき、歯車95の駆動力は、中間歯車107を介して2段歯車106の小径部106Bに伝達されるものの、2段歯車106に内蔵されたワンウェイクラッチ101により、第1出力歯車105F側への伝達が遮断される。
【0114】
一方、太陽歯車105Aが回転可能とした状態でキャリア歯車105Cがメインモータ78からの駆動力を受けて回転すると、第2出力歯車105の回転の向きと第1出力歯車105Fの回転の向きとが逆向きであることから、キャリア歯車105Cの回転に連動して第1出力歯車105Fが回転し、その駆動力は、
図13に示すように、2段歯車106及び中間歯車107を介してスロー速度とするまで減速されて歯車95に伝達される。
【0115】
なお、スロー速度とノーマル速度との切替タイミング、つまりソレノイド104のON/OFF切替タイミングは、CPU79により第1実施形態と同じタイミングで制御される。
【0116】
このような構成を用いて第1の実施形態と同様に
図9に示す変速機構100の異常検知動作が行われる。第2の実施形態において、変速機構100の速度が切り替えられない異常は、例えば、係止爪105Hが破損してしまい、ラチェット歯車105Gと係止爪105Hとの係合が解除されて太陽歯車105Aが自由に回転可能となることにより生じる。このような異常が発生した場合、アジテータ29の回転速度は、スロー速度となり、ノーマル速度に切り替えられない状態となる。また、例えば、ソレノイド104に通電するための信号線が断線されてしまったために、ソレノイド104がOFF状態となり、ラチェット歯車105Gと係止爪105Hとの係合が解除されて太陽歯車105Aが自由に回転可能となってしまうことにより生じる。従って、このような異常が発生した場合、アジテータ29の回転速度は、スロー速度となり、ノーマル速度に切り替えられない状態となる。
【0117】
[変形例]
本発明は、本実施形態に限定されることはなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。以下にその変形の一例を述べる。
【0118】
本実施形態では、本発明にかかる第2速度としてスロー速度を用いた場合について説明したが、本発明にかかる第2速度は、アジテータ29の回転が停止される速度を用いてもよい。