(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、着脱可能な各ユニットに設けられた各感光体の膜厚について、そのユニットに適した予測を行う技術を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る情報処理装置は、感光体を含む複数の部品で構成され、画像形成装置に着脱可能に形成されたユニットから、前記複数の部品のうちの予め定められた
2以上の部品に関する部品情報を
それぞれ取得する第1取得手段と、前記ユニットが前記画像形成装置に装着されてからの
該ユニットにおける前記感光体の累積回転数を取得する第2取得手段と、
前記第1取得手段で取得された前記
各部品情報
の組に対
応する補正係数
を取得し、該補正係数と、前記第2取得手段で取得された前記感光体の累積回転数とに基づいて、前記感光体の膜厚予測値を算出する算出手段と、前記算出手段の算出結果に基づく
情報であって、前記ユニットの交換を促すための報知情報を出力する出力手段と
、を備えることを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項2に係る情報処理装置は、上記情報処理装置において、前記ユニットには、
前記複数の部品として、前記感光体のほか、
該感光体の表面に残留しているトナーを除去する除去部材が含まれ、前記第1取得手段は、前記ユニットが装着されたときに、前記部品情報として、前記ユニットが装着される前の感光体の膜厚を示す膜厚情報及び前記除去部材の特性を示す特性情報を取得し、前記算出手段は、前記第1取得手段で取得された膜厚情報と特性情報と
の組に対応する前記補正係数を取得し、取得した前記補正係数を用いて前記感光体の膜厚予測値を算出することを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項3に係る情報処理装置は、上記情報処理装置において、前記ユニット
には、
前記複数の部品として、前記感光体と、前記除去部材とが少なくと
も収納されて
いるハウジングが含まれ、前記第1取得手段は、前記部品情報として前記ハウジングの種別を示すハウジング情報を更に取得し、前記算出手段は、前記第1取得手段で取得された前記膜厚情報と前記特性情報と前記ハウジング情報と
の組に対応する前記補正係数を取得し、取得した前記補正係数を用いて前記感光体の膜厚予測値を算出することを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項4に係る情報処理装置は、上記情報処理装置において、前記ユニットには、
前記複数の部品として、前記感光体のほか、
該感光体を帯電させる帯電装置が含まれ、前記画像形成装置内の温度と湿度とを示す温度情報と湿度情報の少なくとも一方を環境情報として取得する第3取得手段を備え、前記第1取得手段は、前記部品情報として前記帯電装置の抵抗を示す抵抗情報を取得し、前記算出手段は、
前記2以上の部品に関する部品情報の組に代えて、前記第3取得手段で取得された前記環境情報と、前記第1取得手段で取得された前記抵抗情報と
の組に対応する前記補正係数を取得し、取得した前記補正係数を用いて前記感光体の膜厚を算出することを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項5に係る情報処理装置は、上記情報処理装置において、前記算出手段は、前記帯電装置に
電圧を印加
するパターンに応じた前記補正係数を用いて前記感光体の膜厚予測値を算出することを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項6に係る情報処理装置は、上記情報処理装置において、前記出力手段は、前記算出手段で算出された前記感光体の膜厚予測値が閾値以下である場合に、膜厚予測値が閾値以下であることを示す前記報知情報を出力することを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項7に係る画像形成装置は、感光体を含む複数の部品で構成され、本体装置に対して着脱可能に形成されたユニットを備える画像形成手段と、前記ユニットにおける複数の部品のうちの予め定められた
2以上の部品に関する部品情報を前記ユニットから
それぞれ取得する取得手段と、前記ユニットが前記本体装置に装着されてからの
該ユニットにおける前記感光体の累積回転数を検出する検出手段と、
前記取得手段で取得された前記
各部品情報
の組に対
応する補正係数
を取得し、該補正係数と、前記検出手段で検出された前記感光体の累積回転数とに基づいて、前記感光体の膜厚予測値を算出する算出手段と、前記算出手段の算出結果に基づく
情報であって、前記ユニットの交換を促すための報知情報を出力する出力手段と
、を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項8に係るプログラムは、
画像形成装置を制御するコンピュータを、感光体を含む複数の部品で構成され、
前記画像形成装置に対して着脱可能に形成されたユニットから、前記複数の部品のうちの予め定められた
2以上の部品に関する部品情報を
それぞれ取得する第1取得手段と、前記ユニットが前記画像形成装置に装着されてからの
該ユニットにおける前記感光体の累積回転数を取得する第2取得手段と、
前記第1取得手段で取得された前記
各部品情報
の組に対
応する補正係数
を取得し、該補正係数と、前記第2取得手段で取得された前記感光体の累積回転数とに基づいて、前記感光体の膜厚予測値を算出する算出手段と、前記算出手段の算出結果に基づく
情報であって、前記ユニットの交換を促すための報知情報を出力する出力手段として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1、7、及び8に係る発明によれば、着脱可能な各ユニットに設けられた感光体の膜厚ついて、そのユニットに適した予測を行うことができる。
【0014】
請求項2に係る発明によれば、各ユニットにおける感光体の膜厚と除去部材の特性とが考慮された膜厚予測値を算出することができる。
【0015】
請求項3に係る発明によれば、各ユニットのハウジングの種類が考慮された感光体の膜厚予測値を算出することができる。
【0016】
請求項4に係る発明によれば、各ユニットにおける帯電装置と画像形成装置内の温度と湿度とが考慮された膜厚予測値を算出することができる。
【0017】
請求項5に係る発明によれば、各ユニットの帯電装置に印加される電圧に応じた感光体の膜厚予測値を算出することができる。
【0018】
請求項6に係る発明によれば、例えば閾値として感光体の寿命となる膜厚が設定されている場合、ユニットに応じた感光体の膜厚予測値を算出しない構成と比べ、感光体の寿命をより正確に報知することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<概要>
本発明に係る情報処理装置は、画像形成装置に設けられている感光体の磨耗に直接又は間接的に関連する画像形成装置を構成する部品等の情報に基づき、感光体の膜厚を予測する。以下、本発明に係る情報処理装置を含む画像形成装置を説明する。
<実施形態1>
(構成)
図1は、本発明に係る画像形成装置の構成例を示す図である。画像形成装置10は、電子写真方式によるプリンタである。
図1に示すように、制御部11、記憶部12、画像形成部13、UI部14、第1通信部15、及び第2通信部16を有する。
【0021】
制御部11は、本発明に係る情報処理装置の一例であり、CPU(Central Processing Unit)11aと、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含むメモリ11bとを有する。CPU11aは、ROM又は記憶部12に記憶されている制御プログラムを実行することにより制御部11と接続されている各部を制御する。具体的には、後述する第1通信部15を介して図示しないPCから指示された画像データに基づく画像を用紙などの記録媒体に形成する画像形成処理を画像形成部13に行わせると共に、画像形成部13における各感光体の膜厚を予測する膜厚予測処理を行う。
【0022】
記憶部12は、ハードディスクなどの記憶装置である。記憶部12は、制御部11の制御の下、各種データの書き込みや読み出しを行う。なお、記憶部12には、後述する補正係数テーブルが予め記憶されており、補正係数テーブルは感光体の膜厚を予測する処理が行われる際に読み出される。補正係数テーブルの詳細は後述する。
【0023】
次に、画像形成部13について説明する。
図2(a)は、本実施形態に係る画像形成部13の構成を示す図である。本実施形態では、各色(イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K))に各々対応する感光体132を有する画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kによりカラー画像を形成する中間転写方式の画像形成装置の例を説明する。画像形成部13は、制御部11の制御の下、各画像形成ユニットにより帯電、露光、現像、転写、定着の各処理を行って指示された画像データに基づくカラー画像を用紙などの記録媒体に形成する。以下、画像形成ユニットと画像形成に関わる周辺の構成について説明する。画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kの構成は共通しているため、画像形成ユニット13Yを例にして説明する。
【0024】
図2(b)は、画像形成ユニット13Yの構成例を示す図である。画像形成ユニット13Yは、感光体132を含む複数の部品で構成されたユニット130と、ユニット130に対して露光光を照射する露光装置134とを有する。ユニット130は、ハウジング131内に感光体132、帯電装置133、現像装置135、クリーニング装置136、及び記憶装置137を有し、画像形成装置10本体に対して着脱可能に構成されている。画像形成装置10におけるユニット130の装着位置には、制御部11と接続された図示しないスイッチが設けられており、ユニット130が装着されるとオン信号が制御部11に送出され、ユニット130が取り外されるとオフ信号が制御部11に送出されるように構成されている。
【0025】
以下、画像形成処理に関わる構成の詳細について説明する。感光体132は、表面に光導電膜が形成された円筒状の部材で構成され、表面の露光によって形成された静電潜像を保持し、図示しないモータの駆動により感光体132の軸(紙面に対して垂直方向)を中心として図中矢印の方向に回転する。帯電装置133は、感光体132の表面に接触して配置され、感光体132の回転に従動して回転する帯電ロールを有し、図示しない電圧印加部により帯電ロールに電圧を印加することで感光体132の表面をある電位に帯電させる。露光装置134は、画像データに応じて感光体132の表面を露光して感光体132の表面に静電潜像を形成する。現像装置135は、感光体132の表面に形成された静電潜像を現像剤であるトナーにより現像する。
【0026】
クリーニング装置136は、感光体132の表面に押圧されて配置され、感光体132の表面において転写されずに残留したトナーを除去するブレード状の除去部材136aと、除去部材136aによって回収されたトナーを収納するトナー回収容器136bとを有する。なお、本実施形態では、除去部材136aはブレード状のものを用いるがブラシ状のものであってもよい。
【0027】
図2(a)に戻り、画像形成に関わる周辺の構成について説明する。一次転写ロール210は、中間転写ベルト250を介して感光体132と対向する位置に設けられている。図示しない電圧印加部により、一次転写ロール210と中間転写ベルト250とを介して、トナーが帯電する極性とは逆極性の一次転写電圧が感光体132に印加される。一次転写電圧の印加により、感光体132と中間転写ベルト250とに電位差が生じて、帯電しているトナーが中間転写ベルト250に移動する。中間転写ベルト250は、無端のベルトであり、複数のロール251により回転可能に支持されて矢印方向に回転する。二次転写ロール211aとバックアップロール211bは、中間転写ベルト250を挟んで対向する位置に設けられ、ニップ部を形成している。記録媒体は、ニップ部において中間転写ベルト250と接触し、図示しない電圧印加部により、二次転写ロール211aを介して中間転写ベルト250に二次転写電圧が印加されることで、中間転写ベルト250から記録媒体にトナー像が二次転写される。
【0028】
定着装置212は、定着ローラ212aと加圧ローラ212bとが対向して配置され、ニップ部を形成している。定着装置212は、定着ローラ212aと加圧ローラ212bのニップ部において記録媒体を搬送しつつ、加熱された定着ローラ212a、及び加圧ローラ212bによりそのトナー像を記録媒体に定着させる。定着装置212でトナー像が定着された記録媒体は、制御部11の制御により排出される。
【0029】
次に、ユニット130に設けられている記憶装置137について説明する。記憶装置137は、例えばRFID(Radio Frequency IDentification)タグなどの無線ICタグであり、本実施形態ではパッシブ型のRFIDタグで構成されている。記憶装置137は、第2通信部16から発せられた電波をアンテナにより受信して駆動し、制御部11からの指示に応じて記憶装置137に記憶されているデータを読み出し、予め定められた変調方式で変調してデータを送信する。
【0030】
ここで、記憶装置137に記憶されているデータについて説明する。記憶装置137には、ユニット130を識別する識別情報やユニット130における感光体132とクリーニング装置136に関する部品情報が記憶されている。この部品情報は、画像形成装置10に装着される前の感光体132の膜厚を示す膜厚情報と、クリーニング装置136の除去部材136aの特性を示す特性情報である。この膜厚情報は、膜厚に応じて分類された種別を表すものであり、特性情報は、例えば除去部材136
aの硬度や弾性力などの特性に応じて分類された種別を表すものである。ユニット130を構成する感光体132の膜厚や除去部材136aの特性は、感光体132や除去部材136aが製造されるロットによってばらつきがある。そのため、本実施形態では、感光体132と除去部材136aの各ロットから複数の感光体132と除去部材136aとをサンプリングしてその感光体132の膜厚と除去部材136aの特性(例えば硬度)を計測し、各々のロットの傾向に基づいて、ロット単位で感光体132と除去部材136aとを分類している。そして、各ロットで製造された感光体132と除去部材136aとに対する部品情報(膜厚情報、特性情報)として各々のロットを示す情報が設定されている。
【0031】
この例では、感光体132は、ロット番号R1、R2、R3の各ロットで製造されており、R1、R2、R3のうち、感光体132が製造されたロット番号が膜厚情報として記憶されている。なお、ロットR2で製造される感光体132の膜厚は、予め定められた範囲内の値(以下、膜厚基準値と言う)であり、ロットR1で製造される感光体132の膜厚は膜厚基準値よりも大きい値であり、ロットR3で製造される感光体132の膜厚は膜厚基準値よりも小さい値となる傾向がある(R1>R2>R3)。また、除去部材136aはロット番号G1、G2、G3の各ロットで製造されており、G1、G2、G3のうち、除去部材136aが製造されたロット番号が特性情報として記憶される。ロットG2で製造される除去部材136
aの硬度は、予め定められた範囲内の値(以下、硬度基準値と言う)であり、ロットG1で製造される除去部材136
aの硬度は硬度基準値よりも大きい値であり、ロットG3で製造される除去部材136
aの硬度は硬度基準値よりも小さい値となる傾向がある(G1>G2>G3)。このようにして各ユニット130の記憶装置137には、そのユニット130を構成する部品に関する部品情報が予め記憶されている。以上が、画像形成部13の構成である。
【0032】
UI(User Interface)部14は、タッチパネルとキーとを有する。UI部14は、をユーザがタッチパネルとキー操作した内容を示す操作信号を制御部11に送出し、また、制御部11の制御の下、指示された画像をタッチパネルに表示する。第1通信部15は、有線又は無線LANなどの通信プロトコルに準拠した通信インタフェースであり、制御部11の制御の下、通信接続されたPCとでデータのやりとりを行う。第2通信部16は、アンテナを有し、制御部11の制御の下、予め定められた周波数帯域の電波をアンテナを介して送信し、画像形成部13の記憶装置137とデータのやりとりを行う。
【0033】
(制御部11の機能ブロック)
次に、制御部11における膜厚予測処理に係る機能について説明する。
図3は、制御部11の機能ブロック図である。
図3に示すように、制御部11は、第1取得部111、検出部112、算出部113、及び出力部114を有する。第1取得部111は、本発明の第1取得手段及び取得手段の一例である。第1取得部111は、画像形成部13の各ユニット130が画像形成装置10に装着されたときに、第2通信部16を介してそのユニット130の記憶装置137から部品情報を取得する。検出部112は、本発明の検出手段及び第2取得手段の一例である。検出部112は、各ユニット130における感光体132の回転を検知し、感光体132の累積回転数をカウントする。
【0034】
算出部113は、本発明の算出手段の一例である。算出部113は、第1取得部111で取得されたユニット130毎の部品情報に対応する補正係数を記憶部12内の補正係数テーブルから読み出し、ユニット130毎の補正係数を補正係数情報として記憶部12に記憶する。また、算出部113は、検出部112で検出された各感光体132の累積回転数とその感光体132のユニット130に対応する補正係数情報とを、以下の(式1)に示す演算式に代入してその感光体132の膜厚予測値を算出する。
膜厚予測値(y)=初期値(α)−補正係数(e)×累積回転数(x)・・・(式1)
【0035】
出力部114は、本発明の出力手段の一例である。出力部114は、算出部113で算出された感光体132の膜厚予測値が予め定められた閾値以下であるときに、その感光体132に対応するユニット130の交換を促す画像をUI部14に表示させて報知する。
【0036】
(データ)
次に、記憶部12に記憶されている補正係数テーブルについて説明する。
図4は、補正係数テーブルの構成及びデータを例示した図である。
図4に示すように、補正係数テーブル121には、除去部材136aの特性の傾向を示す種別(g1,g2,g3)と感光体132の膜厚の傾向を示す種別(r1,r2,r3)の各々と対応する値(a11,b11・・・c13)が補正係数として記憶されている。この補正係数は、予め実験により感光体132の膜厚と除去部材136aの特性を示す値を変えて感光体132の磨耗を計測し、膜厚と除去部材136aの特性との関係に適した値が定められている。また、感光体132と除去部材136aの各種別は、上述した感光体132と除去部材136aの各ロットの傾向と対応している。即ち、種別r2は、膜厚が予め定められた膜厚基準値であり、種別r1は膜厚が膜厚基準値よりも大きく、種別r3は膜厚が膜厚基準値よりも小さい(r1>r2>r3)。また、種別g2は、除去部材136aの硬度が予め定められた硬度基準値であり、種別g1は硬度が硬度基準値より大きく、種別g3は硬度が硬度基準値より小さい(g1>g2>g3)。この例では、感光体132の種別がr3、除去部材136aの種別がg1に近づくほど補正係数の値が大きくなり、感光体132の種別がr1、除去部材136aの種別がg3に近づくほど補正係数の値が小さくなるように設定されている。
【0037】
(動作例)
次に、本実施形態に係る画像形成装置10の動作について説明する。
図5は、画像形成装置10の補正係数設定処理の動作例を示す動作フロー図である。制御部11は、画像形成装置10において、予め定められた装着位置にユニット130が装着されると、装着位置に設けられた図示しないスイッチから出力されたオン信号を受け付け(ステップS11:YES)、第2通信部16を介してユニット130の記憶装置137からそのユニット130内の感光体132の膜厚を示す膜厚情報と除去部材136aの硬度を示す特性情報とを含む部品情報を取得する(ステップS12)。
【0038】
制御部11は、ステップS12で取得したユニット130の部品情報に対応する補正係数を記憶部12内の補正係数テーブル121から読み出す(ステップS13)。
図4に示す補正係数テーブル121において、例えば、取得した部品情報の膜厚情報が「R1」、特性情報が「G2」である場合には、補正係数テーブル121において、感光体種別「r1」と除去部材種別「g2」とに対応する補正係数「a12」が読み出される。
【0039】
制御部11は、ステップS13で読み出した補正係数と、その補正係数に対応するユニット130を識別する識別情報とを補正係数情報として記憶部12に記憶する(ステップS14)。
【0040】
また、ステップS11において、各ユニット130の装着位置に設けられているスイッチからオン信号が出力されなければ、制御部11は補正係数設定処理を終了する(ステップS11:NO)。なお、ユニット130が画像形成装置10から取り外され、そのユニット130の装着位置に設けられたスイッチからオフ信号が出力された場合、制御部11は、そのユニット130に対応する補正係数情報を記憶部12から消去し、ユニット130が装着される毎に、上述したステップS11からS14の処理を行う。
【0041】
次に、補正係数設定処理後における画像形成装置10の膜厚予測処理の動作について説明する。本実施形態では、画像形成装置10において、各感光体132が1回転する毎に膜厚予測処理を行う。
図6は、画像形成装置10の膜厚予測処理の動作例を示す動作フロー図である。
【0042】
制御部11は、例えば、第1通信部15を介して画像データを受け付けた場合、画像形成部13を制御し、画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kによりその画像データに基づく画像を記録媒体に形成する画像形成処理を行う。制御部11は、その画像形成処理において、画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kにおける各感光体132の回転を検知し、各感光体132の回転数の累積値をカウントする(ステップS21)。具体的には、制御部11は、記憶部12内の予め定められた領域に各感光体132の回転数の累積値を記憶し、各感光体1
32が1回転する毎に、その感光体132の累積値に1を加算する。
【0043】
制御部11は、記憶部12内の補正係数情報から各感光体132に対応するユニット130の補正係数を読み出し(ステップS22)、記憶部12内の各感光体132に対応する回転数の累積値と、ステップS22で読み出した各感光体132に対応する補正係数とを上記演算式(式1)に代入し、各感光体132の膜厚予測値を算出する(ステップS23)。そして、制御部11は、ステップS23で算出した各感光体132の膜厚予測値のうち、閾値以下となる膜厚予測値がある場合には(ステップS24:YES)、その膜厚予測値の感光体132に対応するユニット130の交換を促す画像をUI部14に表示させる(ステップS25)。また、制御部11は、ステップS24において、ステップS23で算出した各感光体132の膜厚予測値のうち、閾値以下となる膜厚予測値がない場合には(ステップS24:NO)、ステップS23に戻り、各感光体132の膜厚予測値の算出を行う。
【0044】
上述した実施形態では、ユニット130毎の膜厚予測処理において、そのユニット130における感光体132と除去部材136aに関する部品情報に応じた補正係数が用いられる。
図7は、補正係数が固定値である場合の膜厚の変位(実線)と各ユニット130に応じた補正係数を用いる場合の膜厚の変位(破線)とを例示した図である。
図7の実線で示すように、補正係数が固定値である場合には、ユニット130の感光体132の膜厚や除去部材136aの硬度等の特性に差異があっても膜厚が閾値となるタイミング(回転数)は変わらない。一方、
図7の破線で示すように、ユニット130の感光体132と除去部材136aに応じた補正係数が用いられる場合には、各ユニット130に適した膜厚予測値が算出され、ユニット130毎に感光体132の膜厚が閾値となるタイミング(回転数)が変わる。そのため、各補正係数が固定値である場合と比べて各感光体132の膜厚の予測精度が向上する。
【0045】
<実施形態2>
上述した実施形態1では、各ユニット130における感光体132の膜厚と除去部材136aの特性とに応じた補正係数を用いて各感光体132の膜厚を予測する例について説明した。本実施形態では、各ユニット130における帯電装置133に関する部品情報と画像形成装置10内の温度及び湿度に応じた補正係数を用いて各感光体132の膜厚を予測する例を説明する。
【0046】
(構成)
図8は、本実施形態に係る画像形成装置10aの構成例を示す図である。実施形態1と共通する構成については共通の符号を付している。
図8に示すように、画像形成装置10aは、環境情報検知部17を備えている点で実施形態1と異なる。以下、実施形態1と異なる構成について説明する。
【0047】
環境情報検知部17は、画像形成装置10a内部の温度と湿度とを各々検出する温度センサと湿度センサとを有し、環境情報として、温度センサ及び湿度センサが検出した各検出値を示す温度情報及び湿度情報を制御部21に送出する。
【0048】
制御部21は、実施形態1で説明したように画像形成処理を行うと共に、環境情報検知部17から出力された温度情報及び湿度情報と、各ユニット130の帯電装置133に関する部品情報とを用い、各ユニット130の各感光体132の膜厚を予測する膜厚予測処理を行う。
【0049】
ここで、本実施形態における膜厚予測処理に係る制御部21の機能について説明する。
図9は、制御部21の膜厚予測処理に係る機能ブロック図である。
図9に示すように、制御部21は、検出部112及び出力部114に加えて、第1取得部111a、第3取得部115、及び算出部113aとを有する。
【0050】
第1取得部111aは、本発明に係る第1取得手段の一例である。第1取得部111aは、第1通信部15を介して各ユニット130の記憶装置137から各ユニット130内の帯電装置133に関する部品情報を取得し、取得した各ユニット130の部品情報をユニット130毎に記憶部12内に記憶する。この部品情報には、帯電装置133の抵抗値を表す抵抗情報が含まれている。本実施形態において、抵抗情報は、帯電装置133の帯電ロールの抵抗値に応じて分類した種別を表すものであり、帯電装置133が製造されたロット番号が抵抗情報として設定されている。本実施形態では、ロット番号「S1」のロットで製造された帯電装置133の抵抗値は予め定められた範囲内の値(以下、抵抗基準値と言う)より大きく、ロット番号「S2」のロットで製造された帯電装置133の抵抗値は抵抗基準値であり、ロット番号「S3」のロットで製造された帯電装置133の抵抗値は抵抗基準値より小さくなるという傾向がある。
【0051】
第3取得部115は、本発明に係る第3取得手段の一例である。第3取得部115は、環境情報検知部17で検出された温度を示す温度情報と湿度を示す湿度情報とを含む環境情報を取得する。
【0052】
算出部113aは、各ユニット130における各感光体132が1回転する毎に、各ユニット130における各帯電装置133の抵抗情報と第
3取得部115で取得された環境情報とに応じた補正係数を記憶部12内の補正係数テーブルから取得し、取得した各ユニット130に対応する補正係数と検出部112でカウントされた各感光体132の回転数の累積値とを上述した演算式(式1)に代入して各感光体132の膜厚予測値を算出する。以上が、制御部21の構成である。
【0053】
記憶部12aには、本実施形態に係る補正係数テーブル121aが記憶されている。
図10は、補正係数テーブル121aの構成及びデータを例示した図である。
図10に示すように、補正係数テーブル121aは、帯電装置133の抵抗を示す種別と画像形成装置10a内の温度と湿度とに対応する補正係数を記憶する。この補正係数は、予め実験により帯電装置133の抵抗値と温度及び湿度とを変えて感光体132の磨耗を計測し、抵抗値と温度及び湿度との関係に適した値が定められている。帯電装置133の種別は、抵抗値を分類したものであり、上述した帯電装置133の各ロットの傾向と対応している。即ち、種別「s1」は抵抗値が抵抗基準値より大きく、種別「s2」は抵抗値が抵抗基準値であり、種別「s3」は抵抗値が抵抗基準値より小さい(s1>s2>s3)。また、補正係数テーブル121aの温度(T1,T2,T3)と湿度(W1,W2,W3)は、各々ある範囲内の温度及び湿度と対応する。即ち、例えば、T2は、t1≦T2≦t2の範囲内の温度(℃)に対応し、W2は、w1≦W2≦w2の範囲内の湿度(%)に対応する。なお、T2の温度範囲を基準温度として、T1は基準温度より高い温度範囲が設定され、T3は基準温度より低い温度範囲が設定されている。また、W2の湿度範囲を基準湿度として、W1は基準湿度より高い湿度範囲が設定され、W3は基準湿度より低い湿度範囲が設定されている。
【0054】
この例において、温度情報がT1、湿度情報がW1の状態では、温度及び湿度が基準温度及び基準湿度より高い状態であり、温度及び湿度が基準温度及び基準湿度の状態(以下、基準状態と言う)より帯電装置133の抵抗が低くなりやすいため、帯電装置133にある電圧が印加されている場合には感光体132表面が磨耗されにくい。一方、温度情報がT3、湿度情報W3の状態では、基準状態より温度及び湿度が低い状態であり、基準状態より帯電装置133の抵抗値が高くなりやすく、帯電装置133にある電圧が印加されている場合には感光体132表面が磨耗しやすい。そのため、補正係数は、温度T1及び湿度W1の状態に近づくほど低い値が設定され、温度T3及び湿度W3の状態に近づくほど高い値が設定されている。
【0055】
(動作例)
次に、本実施形態に係る画像形成装置10aの動作について説明する。
図11は、画像形成装置10aの部品情報設定処理の動作例を示す動作フロー図である。制御部21は、画像形成装置10aにおいて、予め定められた装着位置にユニット130が装着されると、装着位置に設けられたスイッチから出力されたオン信号を受け付け(ステップS31:YES)、部品情報として、第2通信部16を介してユニット130の記憶装置137からそのユニット130内の帯電装置133の抵抗情報を取得する(ステップS32)。
【0056】
制御部21は、ステップS32で取得したユニット130を識別する識別情報と部品情報とを記憶部12内に記憶する(ステップS33)。制御部21は、ステップS11において、各ユニット130の装着位置に設けられているスイッチからオン信号が出力されなければ、部品情報設定処理を終了する(ステップS31:NO)。なお、ユニット130が画像形成装置10から取り外され、そのユニット130の装着位置に設けられたスイッチからオフ信号が出力された場合、制御部21は、そのユニット130に対応する部品情報を記憶部12から消去し、ユニット130が装着される毎に、上述したステップS31からS33の処理を行う。
【0057】
部品情報設定処理後における画像形成装置10の膜厚予測処理の動作について説明する。本実施形態では、画像形成装置10において、各感光体132が1回転する毎に膜厚予測処理を行う。
図12は、画像形成装置10aの膜厚予測処理の動作例を示す動作フロー図である。制御部21は、例えば、第1通信部15を介して画像データの印刷指示を受け付けた場合、画像形成部13を制御し、画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kによりその画像データに基づく画像を記録媒体に形成する画像形成処理を行う。制御部11は、その画像形成処理において、各画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kにおける各感光体132の回転を検知し、各感光体132の回転数の累積値をカウントする(ステップS41)。具体的には、制御部21は、記憶部12内の予め定められた領域に各感光体132の回転数の累積値を記憶し、各感光体132が1回転する毎に、その感光体132の累積値に1を加算する。
【0058】
また、制御部21は、記憶部12から回転を検知した感光体132のユニット130に対応する部品情報を読み出し(ステップS42)、更に、環境情報検知部17から画像形成装置10a内の温度を示す温度情報と湿度を示す湿度情報とを含む環境情報を取得する(ステップS43)。制御部21は、部品情報(抵抗情報)と環境情報とに対応する補正係数を記憶部12内の補正係数テーブル121aから読み出し(ステップS44)、そのユニット130に対する補正係数と回転数の累積値とを予め定められた演算式(式1)に代入し、そのユニット130における感光体132の膜厚予測値を算出する(ステップS45)。例えば、回転した感光体132のユニット130に対応する部品情報(抵抗情報)が「S1」であり、温度「T2」の範囲内の温度情報と湿度「W3」の範囲内の湿度情報を取得した場合、帯電装置の種別「s1」に対応する補正係数テーブル121aにおいて、温度「T2」と湿度「W3」とに対応する補正係数「y13」を用いて膜厚予測値が算出される。
【0059】
そして、制御部21は、ステップS44で算出した感光体132の膜厚予測値が閾値以下である場合には(ステップS46:YES)、その感光体132に対応するユニット130の交換を促す画像をUI部14に表示させる(ステップS47)。また、制御部21は、ステップS46において、ステップS45で算出した感光体132の膜厚予測値が閾値以下で場合には(ステップS46:NO)、ステップS43に戻って環境情報検知部17から環境情報を取得し、上述したステップS44以下の処理を行う。
【0060】
帯電装置133の抵抗は温度及び湿度によって変化するが、各ユニット130の帯電装置133の抵抗値に差異ある場合には、帯電装置133毎に放電強度に差異が生じるため各感光体132の磨耗度合も異なる。上述した実施形態では、ユニット130毎の膜厚予測処理において、そのユニット130に対して、そのユニット130内の帯電装置133に関する部品情報と画像形成装置10a内の温度及び湿度とに応じた補正係数が用いられる。そのため、補正係数が固定値である場合と比べて各感光体132の膜厚の予測精度が向上する。
【0061】
<変形例>
本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。例えば、上述の実施形態を以下のように変形して本発明を実施してもよく、各変形例を組み合わせて実施してもよい。以下、本発明の変形例について説明する。
【0062】
(1)上述した実施形態1では、各ユニット130の記憶装置137において、そのユニット130内の感光体132と除去部材136aの膜厚情報及び特性情報を部品情報として記憶し、その部品情報に応じた補正係数を用いて、その感光体132の膜厚を予測する例を説明したが、部品情報には、膜厚情報及び特性情報に加えて、ユニット130のハウジング131の種別を表すハウジング情報が含まれていてもよい。形状が共通するハウジングの型であっても、ハウジング131が製造されるロットによって、ハウジング131に設けられる感光体132やクリーニング装置136などの部品の取り付け位置などに差異が生じる場合がある。そのため、本変形例では、各ロットで製造されたハウジング131に設けられた感光体132の膜厚の磨耗度合を実験により予め検証し、ハウジング131のロット番号とハウジング131内の感光体132及び除去部材136aの部品情報とに応じた補正係数を設定し、
図13に示す補正係数テーブルを記憶部12内に記憶させるように構成する。
【0063】
図13(a)(b)は、本変形例に係る補正係数テーブル122a,122bの構成及びデータを例示した図である。この例では、2つのロットでハウジング131が製造される例であり、各ユニット130の記憶装置137には、部品情報として、ハウジング131のロット番号(種別)を表すCav1とCav2のいずれか一方が含まれている。
図13(a)は、ハウジング131のロット番号が「Cav1」に対応する補正係数テーブル122aであり、
図13(b)は、ハウジング131のロット番号が「Cav2」に対応する補正係数テーブル122bである。例えば、ユニット130から取得した部品情報にハウジング情報「Cav2」、膜厚情報「R2」、特性情報「G3」が含まれている場合には、補正係数テーブル122bにおいて、感光体種別「r2」、除去部材種別「g3」に対応する補正係数「b23」が膜厚予測処理に用いられる。
【0064】
(2)上述した実施形態2では、ユニット130における帯電装置133の抵抗情報と、画像形成装置10a内の温度及び湿度とに対する補正係数を用いて、そのユニット130における感光体132の膜厚を予測する例を説明したが、帯電装置133の抵抗情報と、画像形成装置10a内の温度及び湿度に加えて、帯電装置133に
電圧を印加
するパターンに応じた補正係数が予め決められていてもよい。以下、この場合の例について説明する。本変形例では、画像形成装置10aは、中間転写ベルト250にテストパターンのトナー像を形成してYMCKの色ずれを補正する機能を有する。画像形成装置は、感光体132の表面電位の均一性が要求されないテストパターンの画像を形成するときは、帯電装置133に直流電圧を印加する。また、画像形成装置は、感光体132の表面電位の均一性が要求される画像、つまりユーザによって指示された画像データに基づく画像を形成する場合には、直流に交流が重畳された脈流電圧を帯電装置133に印加する。また、画像形成装置は、帯電装置133に電圧を印加せず、感光体132をクリーニングする目的で感光体132を回転させる。
【0065】
脈流電圧を帯電装置133に印加すると、直流電圧を印加する場合よりも帯電装置133の放電強度は高くなり感光体132の表面が磨耗しやすくなる。また、帯電装置133に電圧を印加せず、感光体132を回転させる場合、上記の場合と比べて感光体132の磨耗の程度は小さいものの、感光体132と帯電装置133の回転により感光体132は磨耗する。そのため、本変形例では、帯電装置133に印加される電圧が(a)直流電圧の場合、(b)脈流電圧の場合、(c)帯電装置133に電圧を印加せず感光体132を回転させる場合の各パターンに応じた補正係数テーブルが記憶部12内に記憶されるよう構成されている。
【0066】
図14は、本変形例に係る補正係数テーブル123の構成及びデータを例示した図である。
図14に示すように、補正係数テーブル123は、上記パターン毎に、実施形態2の補正係数テーブル121aで説明した構成を有する補正係数テーブル123a,b,cで構成されている。補正係数テーブル123aは、(a)のパターンにおける補正係数が記憶されている。補正係数テーブル123bは、(b)のパターンにおける補正係数が記憶されている。また、補正係数テーブル123cは、(c)のパターンにおける補正係数が記憶されている。例えば、制御部21は、第1通信部15を介して受け付けた画像データに基づく画像を形成する場合には、補正係数テーブル123bに記憶されている補正係数のうち、ユニット130における帯電装置133の抵抗情報と画像形成装置10a内の温度及び湿度とに対応する補正係数を用いて、そのユニット130における感光体132の膜厚予測処理を行う。なお、(c)の場合には帯電装置133に電圧が印加されないため、帯電装置133の抵抗情報に関わらず温度と湿度とに応じた共通の補正係数が設定されていてもよい。
【0067】
(3)上述した実施形態及び変形例において、補正係数テーブルには、各々値が異なる補正係数が記憶されていてもよいし、値が重複する補正係数が含まれていてもよい。
【0068】
(4)上述した実施形態及び変形例では、予め記憶部12内に記憶されている補正係数テーブルから各ユニット130に対応する補正係数を取得する例を説明したが、補正係数を演算により取得してもよい。この場合には、例えば、部品情報を補正係数に変換するための予め定められた演算式に、各ユニット130から取得した部品情報を代入して補正係数を算出する。
【0069】
(5)上述した実施形態及び変形例では、ユニット130の記憶装置137には、部品情報として、そのユニット130における感光体132と除去部材136aが製造されたロットのロット番号、又は帯電装置133が製造されたロットのロット番号が記憶されている例を説明したが、感光体132が画像形成装置10に装着される前の膜厚値、除去部材136aの硬度や弾性率などの特性を示す値、又は帯電装置133の抵抗値が部品情報として記憶されていてもよい。この場合には、制御部11又は制御部21において、部品情報の各値を予め定められた演算式やテーブルを用いて補正係数テーブルに定められている各条件(膜厚及び特性、又は抵抗)にあてはめるようにしてもよい。
【0070】
(6)上述した実施形態及び変形例では、感光体132が回転する毎に感光体132の膜厚予測値を算出する例を説明したが、予め定められた周期で各感光体132の膜厚予測値を算出する構成であれば、以下のように構成してもよい。例えば、画像形成処理を行う毎に各ユニット130における感光体132の膜厚予測値を算出してもよいし、画像形成処理などが行われているときの各ユニット130における感光体132の回転数をカウントして累積値を記憶部12内に記憶させておき、予め定められた時間毎にその累積値を用いて各感光体132の膜厚予測値を算出してもよい。
【0071】
(7)上述した実施形態では、感光体132の回転数の累積値を用いて膜厚予測値を算出する例であったが、現在の膜厚予測値を記憶部12内に記憶し、感光体132が1回転する毎に、記憶部12内の膜厚予測値から補正係数を減算して新たな膜厚予測値を求め、記憶部12内の膜厚予測値を求めた膜厚予測値に置き換えるように構成してもよい。
【0072】
(8)上述した実施形態2では、環境情報として温度情報と湿度情報とを取得し、温度情報及び湿度情報と帯電装置133の抵抗情報とに対応する補正係数を用いて膜厚予測値を算出する例を説明したが、温度情報と湿度情報の少なくとも一方と抵抗情報とに対応する補正係数を用いて膜厚予測値を算出するようにしてもよい。この場合には、補正係数テーブルにおいて温度情報と湿度情報のいずれか一方の環境情報と抵抗情報とに対応する補正係数を予め記憶し、膜厚予測処理を行う際に、その環境情報を環境情報検知部17から取得するように構成する。
【0073】
(9)上述した実施形態及び変形例では、画像形成装置10,10aにおいて、各ユニット130の感光体132の膜厚予測値を算出する例であったが、例えば第1通信部15を介して画像形成装置と通信接続されたPCなどの外部装置で膜厚予測値を算出するように構成してもよい。例えば、膜厚情報と特性情報とに基づく補正係数を用いて膜厚予測処理を行う場合には、第1通信部15を介して画像形成装置10と接続された外部装置において膜厚情報と特性情報とに対応する補正係数が設定された補正係数テーブル121を予め記憶させ、画像形成装置10から各ユニット130に対応する部品情報とそのユニット130における感光体132の回転数とを外部装置に送信するように構成する。外部装置は、感光体132毎の回転数と部品情報とに対応する補正係数と上述した演算式(式1)とに基づいて膜厚予測値を算出し、算出結果を示す報知情報を出力するように構成する。
【0074】
(10)上述した実施形態では、膜厚予測値が閾値以下である場合に、感光体132を交換することを促す画像をUI部14に表示して報知する例であったが、膜厚予測値に基づく報知情報として、例えばユニット130毎に設けられたLEDを膜厚予測値に応じて点灯させたり、ユニット130毎に感光体132の膜厚の閾値と膜厚予測値とを示す画像をUI部14に表示するようにしてもよい。
【0075】
(11)上述した実施形態では、ハウジング131内に、感光体132、帯電装置133、現像装置135、クリーニング装置136、及び記憶装置137を有する例を説明したが、ハウジング131内には、感光体132、帯電装置133、クリーニング部材が少なくとも設けられていればよく、記憶装置137はハウジング131の外側に接着されるなどして設けられていてもよい。
【0076】
(12)上述した実施形態及び変形例における画像形成部は、複数の現像装置が回転体の周方向に沿って設けられたいわゆるロータリー式の現像装置を備えるものでもよいし、モノクロ画像を形成するものであっても良い。
【0077】
(13)上述した実施形態及び変形例では、記憶装置137がRFIDタグの例を説明したが、例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)などの記憶媒体でもよく、ユニット130の装着位置において、そのユニット130における記憶装置137が設けられる位置で制御部11と記憶装置137とがバスで接続されるように構成し、ユニット130が装着されたときにバスを介して記憶装置137から部品情報を取得するようにしてもよい。
【0078】
(14)実施形態及び変形例におけるCPU11aによって実行されるプログラムは、磁気記録媒体(磁気テープ、磁気ディスクなど)、光記録媒体(光ディスクなど)、光磁気記録媒体、半導体メモリなどのコンピュータが読取可能な記録媒体に記憶した状態で提供し得る。また、インターネットなどの通信手段を用いて画像形成装置にダウンロードさせてもよい。