特許第5807846号(P5807846)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5807846
(24)【登録日】2015年9月18日
(45)【発行日】2015年11月10日
(54)【発明の名称】駆動装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/18 20060101AFI20151021BHJP
   H02K 9/22 20060101ALI20151021BHJP
   H02K 11/00 20060101ALI20151021BHJP
【FI】
   H02K5/18
   H02K9/22 Z
   H02K11/00 X
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-76248(P2012-76248)
(22)【出願日】2012年3月29日
(65)【公開番号】特開2013-207969(P2013-207969A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2014年6月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】坪井 貴志
(72)【発明者】
【氏名】若菜 剛志
【審査官】 安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−289505(JP,A)
【文献】 特開2000−349233(JP,A)
【文献】 特開2002−125346(JP,A)
【文献】 特開2011−041355(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/18
H02K 9/22
H02K 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のモータケース(21)、当該モータケースに固定されるステータ(22)、当該ステータの径方向内側に設けられるロータ(23)、および、当該ロータと共に回転するシャフト(24)を有するモータ(20)と、
前記モータケースの中心軸方向の一端に設けられる側壁(312)、および、前記シャフトを回転可能に支持する支持部(311)を有するフレームエンド(31、32、33)と、
前記支持部の前記モータケースとは反対側に設けられ、前記フレームエンドに当接するヒートシンク(45)、および、当該ヒートシンクに当接し前記モータを駆動する駆動素子(41、42)を有する制御部(40)と、を備え、
前記駆動素子は、前記シャフトの中心軸と直交する方向において、前記ヒートシンクと前記側壁との間に設けられており、
前記ヒートシンク、前記駆動素子、および前記フレームエンドを前記シャフトの中心軸方向と平行な平面に投影したとき、前記ヒートシンクと前記駆動素子と前記フレームエンドとは少なくとも一部が重なることを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
前記フレームエンド(32、33)は、前記側壁の径方向外側の壁面が凹凸状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記シャフトと直交する方向において、前記側壁と前記駆動素子との間に設けられ、前記側壁および前記駆動素子に当接する放熱部材(80)をさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記駆動素子は、前記シャフトの中心軸と平行に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記駆動素子は複数設けられ、
複数の前記駆動素子は、前記シャフトの中心軸に対して対称配置されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記ヒートシンクの前記フレームエンド側に設けられ、前記ヒートシンクと当接し、前記駆動素子に電気的に接続され、前記モータを制御する制御電流が流れる制御基板(44)をさらに備えることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記ヒートシンクの前記フレームエンドとは反対側に設けられ、前記ヒートシンクと当接し、前記駆動素子に電気的に接続され、前記モータを駆動する駆動電流が流れる駆動基板(43)をさらに備えることを特徴とする請求項に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記フレームエンド、前記ヒートシンク、前記駆動素子、前記制御基板、および前記駆動基板を前記シャフトの中心軸と直交する平面に投影したとき、前記フレームエンドの内側に前記ヒートシンク、前記駆動素子、前記制御基板、および前記駆動基板が入ることを特徴とする請求項に記載の駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータと当該モータを制御する制御部とを一体にした駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運転者の操舵をモータの駆動力によってアシストする電動パワーステアリングシステム(以下「EPS」という。)に用いられる駆動装置において、モータとそのモータの駆動を制御する制御部とを一体にした機電一体型の駆動装置が知られている。例えば、特許文献1に記載の駆動装置では、半導体モジュールをヒートシンクに設けることで放熱を図る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−177001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に記載の駆動装置では、ヒートシンクがカバー内に密閉されているため、ヒートシンクの放熱性能を十分に発揮することができない。
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、放熱性能を向上させる駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、シャフトを有するモータ、フレームエンド、および、ヒートシンクを有する制御部を備える駆動装置において、駆動素子は、シャフトの中心軸と直交する方向において、ヒートシンクと側壁との間に設けられている。また、ヒートシンク、駆動素子、およびフレームエンドをシャフトの軸方向と平行な平面に投影したとき、ヒートシンクと駆動素子とフレームエンドとは少なくとも一部が重なることを特徴としている。
【0006】
これにより、ヒートシンクとフレームエンドとの接触面積を増大させることができ、ヒートシンクからフレームエンドへの熱伝導を促進することができる。よって、駆動装置の放熱性能を向上させることができる。
また、ヒートシンクとフレームエンドとが径方向に重なるため、駆動装置の軸方向の体格を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の第1実施形態による駆動装置の電気的構成を示す模式図。
図2】本発明の第1実施形態による駆動装置の機械的構成を示す分解斜視図。
図3】本発明の第1実施形態による駆動装置の制御部を示す側面図。
図4図3のIV−IV線断面図。
図5図3のV−V線断面図。
図6】本発明の第2実施形態による駆動装置を示す断面図。
図7】本発明の第3実施形態による駆動装置を示す断面図。
図8】本発明の第4実施形態による駆動装置を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の複数の実施形態を図に基づいて説明する。なお、複数の実施形態において、実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による駆動装置は車両のEPSに適用される。本実施形態による駆動装置を図1〜5に示す。
図1、2に示すように、駆動装置1は、車両のEPSに適用され、モータ20、フレームエンド31、および制御部40を備える。駆動装置1は、車両の左右の操舵輪9を接続するラック10に対し、後述するシャフト24とラック10の軸とを平行にして取り付けられる。運転者によってステアリングホイール5が操舵されると、その操舵によってステアリングシャフト6に生じるトルクがトルクセンサ7により検出される。駆動装置1は、トルクセンサ7から出力される信号、および図示しないCAN(Control Area Network)から伝送される車速信号などに基づき、操舵をアシストするためのトルクを発生する。このトルクは、モータ20の出力端242からギア8を経由しラック10に伝達される。
【0009】
まず、制御部40の電気的構成を図1に基づいて説明する。図1に示すように、制御部40の電気回路は、大電流をモータ20に供給する駆動回路60、この駆動回路60を制御する制御回路70から構成されている。
駆動回路60は、第1平滑コンデンサ62、チョークコイル64、及び二組のインバータ回路91、92を有している。
【0010】
第1平滑コンデンサ62とチョークコイル64とは、フィルタ回路を構成し、電源100を共有する他の装置から伝わるノイズを低減する。チョークコイル64は、電源100と電源リレー97、98との間の配線に直列接続され電源変動を減衰する。
【0011】
一方のインバータ回路91は、電界効果トランジスタの一種であるMOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor、以下、「MOS」という。)911〜916を有している。MOS911〜916は、ゲート電位により、ソース−ドレイン間がON/OFFされる。
【0012】
上アーム側のMOS911、912、913は、ドレインが電源側に接続され、ソースが対応する下アーム側のMOS914、915、916のドレインに接続されている。下アーム側のMOS914、915、916のソースは、シャント抵抗99を介してグランドに接続されている。上アーム側のMOS911、912、913と対応する下アーム側のMOS914、915、916との接続点は、モータ20に電気的に接続されている。
他方のインバータ回路92は、上述した一方のインバータ回路91と同様の構成であるので説明を省略する。
【0013】
駆動回路60は、二組のインバータ回路91、92それぞれに電源リレー97、98を有している。電源リレー97、98は、MOS911〜916と同様のMOSFETにより構成されている。電源リレー97、98は、MOS911〜913とチョークコイル64との間に設けられ、異常時にMOS911〜916を経由してモータ20側へ電流が流れるのを遮断可能である。
【0014】
シャント抵抗99は、MOS914〜916とグランドとの間に電気的に接続される。シャント抵抗99に印加される電圧または電流を検出することにより、モータに通電される電流を検出する。
【0015】
第2平滑コンデンサ63は、上アーム側のMOS911〜913の電源側の配線と、下アーム側のMOS914〜916のグランド側の配線に接続されている。つまり、第2平滑コンデンサ63は、MOS911〜916と並列接続されている。第2平滑コンデンサ63は、電荷を蓄えることで、MOS911〜916への電力供給を補助し、また電流の切り替えにより生じるリップル電流を吸収する。
【0016】
制御回路70は、プリドライバ73、カスタムIC75、回転角センサ74、及びマイコン72を備えている。カスタムIC75は、機能ブロックとして、位置センサ信号増幅部751、レギュレータ部752、及び検出電圧増幅部753を有している。
【0017】
レギュレータ部752は、電源を安定化する安定化回路である。レギュレータ部752は、各部へ供給される電源の安定化を行う。例えばマイコン72は、このレギュレータ部752により、安定した所定電圧(例えば5V)で動作する。
【0018】
位置センサ信号増幅部751には、回転角センサ74からの信号が入力される。回転角センサ74は、モータ20の回転位置信号を検出し、検出された回転位置信号は、位置センサ信号増幅部751に送られる。位置センサ信号増幅部751は、回転位置信号を増幅してマイコン72へ出力する。
検出電圧増幅部753は、シャント抵抗99の両端電圧を検出し、その両端電圧を増幅してマイコン72へ出力する。
【0019】
マイコン72には、モータ20の回転位置信号、シャント抵抗99の両端電圧、操舵トルク信号、及び、車速情報等が入力される。マイコン72は、これらの信号が入力されると、回転位置信号に合わせてプリドライバ73を介してインバータ回路91を制御する。具体的にマイコン72は、プリドライバ73により6つのMOS911〜916のゲート電圧を変化させ、MOS911〜916のON/OFFを切り替えることで、インバータ回路91を制御する。
【0020】
また、マイコン72は、検出電圧増幅部753から入力されるシャント抵抗99の両端電圧に基づき、モータ20へ供給する電流を正弦波に近づけるようにインバータ回路91を制御する。なお、マイコン72は、一方のインバータ回路91を制御するのと同様に他方のインバータ回路92を制御する。
【0021】
次に、駆動装置1の機械的構成について、図2〜5に基づいて説明する。
図2、3に示すように、モータ20、フレームエンド31、および制御部40は、後述するシャフト24の中心軸(以下、シャフト24の中心軸を「回転軸」という)O方向に並べて配置され、フレームエンド31はモータ20と制御部40との間に設けられている。また、回転軸Oと垂直な方向を「径方向」という。回転軸O方向において、制御部40側を「一端側」といい、モータ20側を「他端側」という。
【0022】
モータ20は、モータケース21、ステータ22、ロータ23およびシャフト24を有している。
モータケース21は、例えば鉄板をプレス加工して有底筒状に形成され、モータ20の外郭を形成する。モータケース21は、筒状の周部211と、この周部211の中心軸方向の他端側に設けられる底部212とを有する。モータケース21の周部211の一端側の開口は後述するフレームエンド31が設けられている。
【0023】
ステータ22は、モータケース21の周部211の内壁に設けられ、磁性材料の薄板を積層してなる積層鉄心に巻線221が巻回することで形成される。巻線221から引き出されたモータ線222は、制御部40側へ引き出されている。モータ線222は、制御基板44およびパワーモジュール41、42の径方向外側を通って駆動基板43に電気的に接続されている。
【0024】
ロータ23は、ステータ22の径方向内側に、ステータ22に対して相対回転可能に設
けられている。ロータ23は、例えば鉄等の磁性体から筒状に形成されている。ロータ23は、ロータコア231、ロータコア231の径方向外側に設けられている永久磁石232、および、ロータコア231を覆うロータカバー233を有している。永久磁石232は、N極とS極とが周方向に交互に配列されている。
【0025】
シャフト24は、ロータコア231の中心に形成された軸穴234に固定されている。シャフト24は、モータケース21の底部212に設けられる軸受213および後述するフレームエンド31に設けられる軸受313によって回転可能に支持されている。これにより、シャフト24はロータ23と共に、ステータ22に対し相対回転可能となる。
【0026】
シャフト24は、制御部40側の端部にマグネット241を有している。このマグネット241は、制御部40側に露出し、制御基板44のモータ20側の端面と対向する。
一方、シャフト24は、制御部40の反対側の端部に出力端242を有する。出力端242は、シャフト24が回転することによって、ギア8と連結し、ギア8を回転させることによりラック10を駆動する(図1参照)。
【0027】
フレームエンド31は、例えば、アルミ等の熱伝導性の良い金属により形成され、モータケース21の一端側に設けられている。フレームエンド31は、有底筒状に形成され、支持部としての底壁311および側壁312を有する。
【0028】
底壁311の中央には、シャフト24を回転可能に支持する軸受313が設けられている。また、底壁311の径方向において互いに対向する位置に保持部材314が設けられている。保持部材314は複数の貫通孔315を有する。保持部材314は貫通孔315を通るモータ線222を支持する。
【0029】
側壁312は、底壁311の径方向外側の縁部から回転軸O方向の一端側に立設され、周方向に延びて形成される。底壁311と側壁312とは、一端側に開口する収容空間310を有する。
【0030】
制御部40は、ヒートシンク45、駆動素子としての二つのパワーモジュール41、42、駆動基板43、制御基板44、コネクタ46、コンポーネントキャリア47、および、カバー48などを有する。
【0031】
ヒートシンク45は、例えばアルミなどの熱伝導性の高い金属から形成され、回転軸O方向において、フレームエンド31の底壁311の一端側に設けられている。ヒートシンク45は、回転軸O方向の一部がフレームエンド31の収容空間310内に収容されるよう設けられる。つまり、ヒートシンク45およびフレームエンド31を回転軸O方向と平行な平面に投影したとき、ヒートシンク45とフレームエンド31とは一部が重なる。また、ヒートシンク45は、フレームエンド31の側壁312の内壁面と当接するよう設けられる(図5参照)。ヒートシンク45は、回転軸Oを挟んで向き合うように設けられた2個のブロック451、452を有する。
【0032】
一方のパワーモジュール41は、一方のインバータ回路91を形成する電源リレー97、98、MOS911〜916、シャント抵抗99およびそれらを接続する配線などを樹脂等の封止体で覆うことで構成される。
【0033】
他方のパワーモジュール42は、他方のインバータ回路92を形成するMOSなどを樹脂等の封止体で覆うことで構成される。一方のパワーモジュール41と他方のパワーモジュール42とは、実質的に同一の構成である。
【0034】
パワーモジュール41、42は、径方向において、ヒートシンク45とフレームエンド31との間に設けられる。一方のパワーモジュール41は一方のブロック451の外壁に取り付けられ、他方のパワーモジュール42は他方のブロック452の外壁に取り付けられる。これにより、パワーモジュール41、42は、回転軸Oに対して対称配置されている。ここでいう「対称」は、厳密な意味での対称でなくてもよい。また、パワーモジュール41、42は、回転軸O方向と平行となるよう、ヒートシンク45に設けられる。ここでいう、「平行」は、厳密な意味での平行でなくでもよい。
【0035】
駆動基板43には、上述した駆動回路60を構成する第2平滑コンデンサ63等が実装される。また、駆動基板43には、電源100から供給された電流が2個のパワーモジュール41、42を経由し、モータ20の三相巻線に流れる配線が形成される。よって、駆動基板43には、MOS911〜916が電気的に接続され、モータ20を駆動する駆動電流が流れる。駆動基板43は、ヒートシンク45の一端側に取り付けられ、ヒートシンク45と当接する。
【0036】
一方、制御基板44には、制御部40を構成するカスタムIC75、回転角センサ74、マイコン72およびプリドライバ73等が実装される。制御基板44には、2個のパワーモジュール41、42のMOS911〜916オンオフの切り替え動作を制御する信号を送信する配線が形成される。よって、制御基板44には、MOS911〜916が電気的に接続され、モータ20を制御する制御電流が流れる。制御基板44は、ヒートシンク45の他端側に取り付けられ、ヒートシンク45と当接する。
【0037】
図4、5に示すように、ヒートシンク45、パワーモジュール41、42、駆動基板43、制御基板44、および、フレームエンド31が回転軸O方向に投影されたとき、ヒートシンク45、パワーモジュール41、42、駆動基板43、および制御基板44がフレームエンド31の内側に入る。
【0038】
コネクタ46およびコンポーネントキャリア47は、例えば樹脂から一体に形成され、ヒートシンク45から見て出力端242と反対側に設けられる。
【0039】
コンポーネントキャリア47は、モータ20の回転軸O方向に対し略垂直に延びる略矩形の平板部471と、平板部471の矩形角部分からヒートシンク側に延びる足部472を有する。足部472に設けられた孔にボルト251が差し込まれ、コンポーネントキャリア47とヒートシンク45とフレームエンド31とが固定される。コンポーネントキャリア47には、コネクタ46、チョークコイル64、および第1平滑コンデンサ62が電気的に接続されているコネクタ基板460が設けられる。コネクタ基板460は、信号配線461と電気的に接続している。また、信号配線461は、制御基板44の電子回路と電気的に接続している。
【0040】
カバー48は、有底筒状に形成され、ヒートシンク45、制御基板44、駆動基板43、コンポーネントキャリア47を収容する。カバー48は、ボルト252によりフレームエンド31に固定される。
カバー48は、出力端242と反対側にコネクタ46が通る孔481を有する。コネクタ46は、カバー48の内側から孔481を通り、出力端242と反対側に延びている。
【0041】
本実施形態の駆動装置1が奏する効果について説明する。
本実施形態では、ヒートシンク45およびフレームエンド31を回転軸O方向と平行な平面に投影したとき、ヒートシンク45とフレームエンド31とは一部が重なる。これにより、ヒートシンク45とフレームエンド31との接触面積を増大させることができ、ヒートシンク45からフレームエンド31への熱伝導を促進することができる。よって、駆動装置1の放熱性能を向上させることができる。
また、ヒートシンク45およびフレームエンド31を回転軸O方向と平行な平面に投影したとき、ヒートシンク45とフレームエンド31とは一部が重なるため、駆動装置1の回転軸O方向の体格を小さくすることができる。
【0042】
本実施形態では、パワーモジュール41、42は、回転軸O方向と平行となるよう、ヒートシンク45に設けられる。これにより、駆動装置1の径方向の体格を小さくすることができる。
【0043】
本実施形態では、パワーモジュール41、42は、径方向において、ヒートシンク45とフレームエンド31との間に設けられる。これにより、駆動装置1の回転軸O方向の体格を小さくすることができる。
【0044】
本実施形態では、パワーモジュール41、42は、回転軸Oに対して対称配置されている。これにより、パワーモジュール41、42の配置設計や取り付け作業に要する時間が短縮される。
【0045】
本実施形態では、駆動基板43はブロック451、452の一端側の端面に当接し、制御基板44はブロック451、452の他端側の端面に当接する。これにより、駆動基板43および制御基板44からヒートシンク45への熱伝導を促進することができる。
【0046】
本実施形態では、ヒートシンク45、パワーモジュール41、42、駆動基板43、制御基板44、第1平滑コンデンサ62、チョークコイル64、第2平滑コンデンサ63、カスタムIC75、回転角センサ74、マイコン72、プリドライバ73、および、フレームエンド31が回転軸O方向に投影されたとき、ヒートシンク45、パワーモジュール41、42、駆動基板43、制御基板44、第1平滑コンデンサ62、チョークコイル64、第2平滑コンデンサ63、カスタムIC75、回転角センサ74、マイコン72、およびプリドライバ73等がフレームエンド31の内側に入る。これにより、駆動装置1の径方向体格を小さくすることができる。
【0047】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態による駆動装置を図6に示す。
図6に示すように、本実施形態では、フレームエンド32は、側壁312の径方向外側の壁面(以下、「外壁面」という)に凹凸部321が形成されている。凹凸部321は、側壁312から径方向外側に突出し回転軸O方向に延びる凸部322、および、側壁312から径方向内側に窪み回転軸O方向に延びる凹部323を有する。凸部322と凹部323とは周方向に交互に配置されている。
【0048】
本実施形態では、フレームエンド32の側壁312の径方向外壁面に凹凸部321が形成されるため、フレームエンド32の側壁312の外壁面の面積が増大する。よって、フレームエンド32の放熱性能を向上させることができる。
【0049】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態による駆動装置を図7に示す。
図7に示すように、本実施形態では、フレームエンド33は、側壁312の外壁面に凹凸部331が形成されている。凹凸部331は、側壁312から径方向外側に突出し周方向に延びる凸部332、および、側壁312から径方向内側に窪み周方向に延びる凹部333を有する。凸部332と凹部333とは回転軸O方向に交互に配置されている。
【0050】
本実施形態では、フレームエンド33の側壁312の径方向外壁面に凹凸部321が形成されるため、フレームエンド33の側壁312の外壁面の面積が増大する。よって、フレームエンド33の放熱性能を向上させることができる。
【0051】
(第4実施形態)
本実施形態の第4実施形態による駆動装置を図8に示す。
図7に示すように、本実施形態では、放熱部材80をさらに備える。放熱部材80は、径方向において、フレームエンド31の側壁312とパワーモジュール41、42との間に設けられる。放熱部材80は、例えば熱伝導性の良いシリコンなどにより形成され、フレームエンド31の側壁312の内壁面、および、パワーモジュール41、42と当接するよう設けられている。
これにより、パワーモジュール41、42およびヒートシンク45から、フレームエンド31への熱伝導を促進する効果を高めることができる。
【0052】
(他の実施形態)
上述した実施形態では、駆動装置を車両のEPSに適用する例を示した。これに対し、他の実施形態では、駆動装置を他の分野へ適用することとしても良い。
【0053】
上述した実施形態では、モータのギアボックスと反対側に制御部を設ける例を示した。これに対し、他の実施形態では、モータとギアボックスとの間に制御部を設けることとしても良い。この場合、モータのシャフトは、対峙するヒートシンクの間に形成される空間を通過しつつ、制御基板および駆動基板を貫通し、ギアボックス側へ延設される。
上述した実施形態では、二組のインバータ回路によりモータを駆動する例を示した。これに対し、本発明は、一組または三組以上のインバータ回路によりモータを駆動することとしても良い。
【0054】
上述した実施形態では、ヒートシンクおよびフレームエンドを回転軸と平行な平面に投影したとき、ヒートシンクとフレームエンドとが一部が重なる例を示した。これに対し、他の実施形態では、ヒートシンクおよびフレームエンドを回転軸と平行な平面に投影したとき、ヒートシンクとフレームエンドとが全部が重なることとしても良い。
【0055】
以上説明した本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。
【符号の説明】
【0056】
1・・・駆動装置、
20・・・モータ、
21・・・モータケース、
22・・・ステータ、
23・・・ロータ、
24・・・シャフト、
31、32、33・・・フレームエンド、
311・・・底壁(支持部)、
312・・・側壁、
40・・・制御部、
41、42・・・パワーモジュール(駆動素子)、
45・・・ヒートシンク。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8