特許第5808051号(P5808051)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5808051超高感度重量センサおよび超高感度重量検知システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5808051
(24)【登録日】2015年9月18日
(45)【発行日】2015年11月10日
(54)【発明の名称】超高感度重量センサおよび超高感度重量検知システム
(51)【国際特許分類】
   G01G 3/14 20060101AFI20151021BHJP
   G01G 21/28 20060101ALI20151021BHJP
   G01L 1/20 20060101ALI20151021BHJP
【FI】
   G01G3/14
   G01G21/28
   G01L1/20 G
【請求項の数】8
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-268355(P2011-268355)
(22)【出願日】2011年11月18日
(65)【公開番号】特開2013-108967(P2013-108967A)
(43)【公開日】2013年6月6日
【審査請求日】2014年10月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】500431601
【氏名又は名称】細田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100080654
【弁理士】
【氏名又は名称】土橋 博司
(72)【発明者】
【氏名】細田 哲郎
【審査官】 森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭53−18162(JP,U)
【文献】 実公平4−9595(JP,Y2)
【文献】 特公平7−36444(JP,B2)
【文献】 特公平6−46170(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G
G01L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁体の底部と側部とを備えるケースと、
前記底部の上面の中央付近に設けられた単一の導電体の柱と、
前記底部の上面で前記柱の周囲に設けられた、弾性を有する絶縁体のスペーサと、
前記側部の内側に前記柱と対向するように配置され、前記スペーサによって支持されるパネル電極と、
を有する超高感度重量センサであって、
前記パネル電極は、少なくとも前記柱との対向部に導電部を備え、
前記パネル電極に所定の大きさ以上の荷重が加わったときのみ、前記導電部と前記柱とが接触する超高感度重量センサ。
【請求項2】
請求項1において、
前記底部は、前記導電体の柱の一部を収容する穴を有する超高感度重量センサ。
【請求項3】
請求項2において、
前記底部は、前記導電体の柱に接続される導線を収容する溝を有する超高感度重量センサ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項において、
前記パネル電極は、長方形の板形状を有し、
柱形状を有する前記スペーサによって、四隅で前記パネル電極が支持される超高感度重量センサ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項において、
前記柱は、円柱形状を有する超高感度重量センサ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項において、
前記パネル電極は、アルミ樹脂複合パネルである超高感度重量センサ。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか1項において、
前記パネル電極は、ポリカーボネートまたは塩化ビニルからなる樹脂板の少なくとも一方の面に導電体を被覆したものである超高感度重量センサ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項の超高感度重量センサと、前記柱と前記パネル電極との間の通電を検知する外部機器とを有する超高感度重量検知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重量が数グラムである物体を正確に検知できる超高感度重量センサと、この超高感度重量センサを用いた超高感度重量検知システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
誘電体シートとステンレスの積層体の上下面に、複数の硬質ポリ塩化ビニルスペーサをそれぞれ設け、さらにその上下面に一対のコンデンサ電極を設けた重量センサがある(特許文献1)。この重量センサは、コンデンサ電極間が伸縮するため、コンデンサ電極に加わる重量の変化を、コンデンサ電極間の静電容量の変化として検出できる。
【0003】
しかしながら、重量が数グラムの物体をこの重量センサで検出しようとすると、静電容量の変化を検出するために、この重量センサの電気回路を複雑化せざるを得ない。このため、重量センサのコストアップを招いてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3778148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、数グラム単位の重量を検知するのに適した超高感度重量センサおよび超高感度重量検知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の超高感度重量センサは、絶縁体の底部と側部とを備えるケースと、底部の上面の中央付近に設けられた単一の導電体の柱と、底部の上面で柱の周囲に設けられた、弾性を有する絶縁体のスペーサと、側部の内側に柱と対向するように配置され、スペーサによって支持されるパネル電極と、を有し、パネル電極は、少なくとも柱との対向部に導電部を備え、パネル電極に所定の大きさ以上の荷重が加わったときのみ、導電部と柱とが接触する。
【0007】
本発明の超高感度重量センサにおいて、底部は、導電体の柱の一部を収容する穴を有していてもよい。本発明の超高感度重量センサにおいて、底部は、導電体の柱に接続される導線を収容する溝を有していてもよい。本発明の超高感度重量センサにおいて、パネル電極は、長方形の板形状を有し、柱形状を有するスペーサによって、四隅でパネル電極が支持されることが好ましい。
【0008】
本発明の超高感度重量センサにおいて、柱は、円柱形状を有することが好ましい。本発明の超高感度重量センサにおいて、パネル電極は、アルミ樹脂複合パネルであってもよい。本発明の超高感度重量センサにおいて、パネル電極は、ポリカーボネートまたは塩化ビニルからなる樹脂板の少なくとも一方の面に導電体を被覆したものであってもよい。
【0009】
本発明の超高感度重量検知システムは、上記の超高感度重量センサと、柱とパネル電極との間の通電を検知する外部機器とを有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、重量が数グラムの物体を高精度で検知できる超高感度重量センサおよび超高感度重量検知システムが低コストで得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る超高感度重量センサの平面模式図である。
図2】本発明の実施形態に係る超高感度重量センサの断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本考案の超高感度重量センサおよび超高感度重量検知システムについて、図面を参照しながら実施形態に基づいて説明する。なお、図面は、超高感度重量センサ、超高感度重量検知システム、およびこれらを構成する各部材を模式的に表したものであり、実際の寸法および寸法比は、図面上の寸法および寸法比と必ずしも一致していない。また、重複説明は適宜省略する。さらに、重量単位のグラム重や重量グラムを、単にグラムと表記する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る超高感度重量センサ10の平面模式図である。図2は、図1のA−A線で切断したときの超高感度重量センサ10の断面模式図である。超高感度重量センサ10は、ケース12と、柱状電極14と、スペーサ16と、パネル電極18とを備える。超高感度重量センサ10では、パネル電極18の上面に所定の大きさ以上の荷重、例えば5グラム以上の荷重が加わったときのみ、パネル電極18の下面と柱状電極14の上面とが接触する。パネル電極18の上面に所定の大きさ未満の荷重しか加わっていないときや全く加わっていないときには、パネル電極18の下面と柱状電極14の上面は離れている。
【0014】
超高感度重量センサ10は、パネル電極18と柱状電極14とが接触して通電することを、外部機器20で検知することによって、パネル電極18の上面に加わっている荷重を識別するセンサである。換言すると、超高感度重量センサ10では、所定の大きさ以上の重量を有する物体がパネル電極18の上面に存在することを検知できる。
【0015】
ケース12は、底部12aと、側部12bとを備える。ケース12は枡形状を有し、樹脂やセラミックス等の絶縁体からなる。本実施形態では、ケース12がABS樹脂からなるため、−20℃〜80℃の温度環境に適合する。底部12aは、底面が一辺約50mm〜100mmの正方形で、厚さが約2mmの板形状を有しており、側部12bは、厚さが約2mmで、高さが約6mmである板形状を有している。底部12aには、その中央付近に、柱状電極14の一部を収容する穴である底穴12cが設けられている。
【0016】
本実施形態では、底穴12cは円柱形状を有しており、底穴12cの内径が約5mm〜10mmで、底穴12cの深さが約1mmである。また、底部12aには、底穴12cからケース12の外部に向かってケーブル溝12dが設けられている。ケーブル溝12dは、柱状電極14に電気的に接続される導線22や、パネル電極18に電気的に接続される導線24を収容するための溝である。導線22は、ケース12の外部で、外部機器20に電気的に接続される。外部機器20については後述する。本実施形態では、ケーブル溝12dは半円柱形状を有しており、ケーブル溝12dの直径は約5mmである。
【0017】
導電体の柱である柱状電極14は、底部12aの上面の中央付近に設けられる。底部の上面の中央付近とは、例えば、底部上面の中央を含み、底部上面の面積の1/9以内で、底部上面の形状と相似する図形の内部領域が該当する。底部の面積の1/9以内に代えて、底部の面積の1/16以内であればより好ましく、底部の面積の1/25以内であれば更に好ましい。
【0018】
本実施形態では、底部12aの中央に設けられた底穴12cにその一部が埋まるように、柱状電極14がケース12に設置されている。柱状電極14は、底穴12cに接着されていてもよい。柱状電極14は、真鍮または銅等の導体からなり、直径が約5mm〜10mmで、高さが約1.5mm〜2mmの円柱形状を有している。
【0019】
なお、柱状電極14は、例えば、底面が一辺約5mm〜10mmの正方形で、高さが約1.5mm〜2mmの四角柱であってもよい。また、柱状電極14の高さを変えることによって、パネル電極18の下面と柱状電極14の上面との距離が調整できる。パネル電極18の下面と柱状電極14の上面との距離を調整することによって、重量が数グラムである物体の検知が可能となる。
【0020】
スペーサ16は、パネル電極18を支持する。スペーサ16は、弾性を有する絶縁体で、底部12aの上面で柱状電極14の周囲に設けられる。スペーサ16は、底部12aの上面に接着されている。スペーサ16は、ドーナツ形状や多角形状等の環状体の一体物であってもよく、環状体の一体物から一部分を除去したものであってもよく、複数の柱状物体であってもよい。本実施形態では、底面が一辺約5mm〜10mmの正方形で、高さが約1mm〜2mmの四角柱形状を有する4つのスペーサ16が、パネル電極の四隅を支持している。
【0021】
スペーサ16の材料としては、例えば、ウレタンフォームが挙げられる。ウレタンフォームを用いることによって、摩擦力が大きく、圧縮残留歪が非常に小さなスペーサ16が得られる。また、ウレタンフォームを用いることによって、適度な弾性があり、荷重に対する耐久性に優れるスペーサ16が得られる。
【0022】
パネル電極18は、側部12bの内側に柱状電極14と対向するように配置され、スペーサ16によって支持される。すなわち、側部12bで囲まれるように、スペーサ16の上面にパネル電極18が設置されている。パネル電極18が側部12bで囲まれているため、パネル電極18には横方向からの荷重がほとんどかからず、上方向からの荷重がかかるようになっている。
【0023】
パネル電極18は、スペーサ16の上面に接着されている。パネル電極18は、少なくとも柱状電極14との対向部に導電部を備える。本実施形態のように、パネル電極18の柱状電極14との対向面全体が導電体であってもよい。パネル電極18は、長方形(正方形を含む)の板形状を有することが好ましい。パネル電極18の製造が容易である上、円柱形状を有する4つのスペーサ16でパネル電極18が支持できるからである。
【0024】
本実施形態では、パネル電極18は、底面が一辺約約50mm〜100mmの正方形で、厚さが約1.5mm〜2mmの板形状を有している。パネル電極18は、絶縁板18aと、導体層18bと、補強板18cとから構成されている。パネル電極18は、軽量であり高強度を有することが好ましい。絶縁板18aは、パネル電極18の芯材となる。導体層18bは、パネル電極18が柱状電極14と接触したときに、パネル電極18と柱状電極14との間で通電できるように設けられている。補強板18cは、パネル電極18の強度を得るために設けられている。
【0025】
本実施形態では、絶縁板18aは、低発泡ポリエチレンからなり、導体層18bおよび補強板18cは、アルミニウム板からなる。すなわち、パネル電極18は、低発泡ポリエチレン板の両面にアルミニウム板を張り合わせたサンドイッチ構造を有するアルミ樹脂複合パネルである。アルミ樹脂複合パネルは弾性を有する。このため、パネル電極18の上面に所定の大きさ以上の荷重が加わったときに、パネル電極18自体も弾性変形しながら柱状電極14と接触する。
【0026】
パネル電極18の上面に所定の大きさ未満の荷重しか加わっていないときは、パネル電極18の下面と柱状電極14の上面は離れている。超高感度重量センサ10の使用目的に応じて、この所定の大きさの荷重値を設定する。所定の大きさの荷重値としては、例えば、3グラム、5グラム、10グラム、50グラム等が挙げられる。パネル電極18の厚さ、柱状電極14の高さ、またはスペーサ16の高さ、硬度、もしくは形状等によって、所定の大きさの荷重値が設定できる。このため、超高感度重量センサ10は、数グラム単位の重量の検知が可能である。
【0027】
アルミ樹脂複合パネルに代えて、パネル電極18は、ポリカーボネートまたは塩化ビニルからなる樹脂板の少なくとも一方の面に導電体を被覆したものであってもよい。具体的には、絶縁板18aをポリカーボネート板や塩化ビニル板等の樹脂板とし、この樹脂板の柱状電極14と対向する面に、導電テープ、導電塗装、または導電メッキ等を形成したものが、パネル電極18として使用できる。この場合、絶縁板18aの厚みを約0.5mm〜1mmとする。なお、パネル電極18の強度が確保できれば、補強板18cを設けなくてもよい。
【0028】
また、導体層18bには導線24が電気的に接続されており、導線24は、ケース12の外部で、外部機器20に電気的に接続されている。すなわち、外部機器20は、2つの導線22,24を通じて、導体層18bと柱状電極14に電気的に接続されている。外部機器20によって、導体層18bと柱状電極14との間に、一定の時間毎に電位を与えることができる。また、外部機器20によって、導体層18bと柱状電極14との間の通電を検知できる。このため、導体層18bと柱状電極14とが接触しているか否かを、外部機器20で随時検知できる。
【0029】
導体層18bと柱状電極14とが接触している場合には、パネル電極18の上面に所定の大きさ以上の荷重が加わっていることを示し、導体層18bと柱状電極14とが接触していない場合には、パネル電極18の上面に所定の大きさ未満の荷重しか加わっていないことを示す。こうして、超高感度重量センサ10の上に数グラムの物体が存在するか否かを識別できる。
【0030】
また、発信機を備える外部機器20であれば、超高感度重量センサ10から離れた場所に存在する受信機に、超高感度重量センサ10の上に物体が存在するか否かを知らせることができる。このため、超高感度重量センサ10は、防犯や在庫管理等に適したセンサである。また、超高感度重量センサ10と、柱状電極14とパネル電極18との間の通電を検知する外部機器20によって、超高感度重量検知システムが構成される。
【0031】
本発明の超高感度重量センサは、以下の効果を有する。柱状電極14とパネル電極18の間隔を、柱状電極14の高さ、またはスペーサ16の大きさもしくは硬度によって調整できるため、重量が数グラムの物体の存在を高精度で検知できる。また、パネル電極18に所定の大きさ以上の荷重が加わったときに、柱状電極14とパネル電極18が点接触するため、パネル電極18の上面の全ての箇所で均一な重量検知ができる。
【0032】
さらに、柱状電極14を用いることによって、パネル電極18の上面に加わった荷重の変動を均一に検知できる。また、本発明の超高感度重量センサおよび超高感度重量検知システムは簡易な構成であるため、材料、加工、および組立等の観点からコストダウンが図れる。
【符号の説明】
【0033】
10…超高感度重量センサ、 12…ケース、 14…柱状電極、 16…スペーサ、18…パネル電極、 20…外部機器、 22,24…導線
図1
図2