(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明について説明する。
本発明は、酸化物換算組成のガラス全物質量に対して、モル%で、P
2O
5成分を10.0〜60.0%、Nb
2O
5成分を5.0〜45.0%、TiO
2成分を0〜30.0%、B
2O
3成分を0%以上5.0%未満含有し、部分分散比(θg,F)がアッベ数(ν
d)との間で、ν
d≦25の範囲において次に示す式(1)の関係を満たし、ν
d>25の範囲において次に示す式(2)の関係を満たす光学ガラスである。
式(1)・・・(−0.0016×ν
d+0.63460)≦(θg,F)≦(−0.00563×ν
d+0.75873)
式(2)・・・(−0.0025×ν
d+0.65710)≦(θg,F)≦(−0.0034×ν
d+0.70300)
このような光学ガラスを、以下では「本発明の光学ガラス」ともいう。
【0013】
本発明の光学ガラスの各成分について説明する。
以下、特に断らない限り、各成分の含有率(%)は酸化物基準のモル%を意味する。
【0014】
P
2O
5成分は、ガラス形成酸化物として重要な成分であると共に、ガラスに高分散性を与えるのに有効な成分である。従って、P
2O
5成分は好ましくは10.0%、より好ましくは15.0%、さらに好ましくは20.0%を下限として含有することができ、好ましくは60.0%、より好ましくは50.0%、さらに好ましくは40.0%を上限として含有することができる。
P
2O
5成分は、原料として例えば正リン酸、リン酸塩等を用いてガラス内に含有させることができる。
【0015】
Nb
2O
5成分は、屈折率を高め、分散を大きくしつつ部分分散比を小さくし、化学的耐久性及び耐失透性を改善するのに有効な必須の成分である。しかし、その量が少なすぎるとその効果が不十分となり、多すぎると逆に耐失透性が悪くなり、可視光短波長域の透過率も悪化しやすくなる。従って、好ましくは5.0%、より好ましくは10.0%、さらに好ましくは15.0%を下限として含有することができ、好ましくは45.0%、より好ましくは40.0%、さらに好ましくは35.0%を上限として含有することができる。
Nb
2O
5成分は、原料として例えばNb
2O
5等を用いてガラス内に含有させることができる。
【0016】
TiO
2成分は、屈折率を高め、分散を大きくしつつ部分分散比を大きくする効果がある。しかし、その量が多すぎると可視光短波長域の透過率を悪化させる。従って、好ましくは30.0%、より好ましくは26.0%、さらに好ましくは15.0%、最も好ましくは12%を上限として含有することができる。
TiO
2成分は、原料として例えばTiO
2等を用いてガラス内に含有させることができる。
【0017】
B
2O
3成分は、ガラス形成酸化物として作用する任意成分であり、ガラス転移点(Tg)を下げるのに有効である。しかし、その量が多すぎると化学的耐久が悪化しやすくなる。従って、好ましくは5%未満、より好ましくは3.0%、さらに好ましくは2.37%未満を上限として含有することができる。
B
2O
3は、原料として例えばH
3BO
3、B
2O
3等を用いてガラス内に含有させることができる。
【0018】
本発明の光学ガラスでは、TiO
2とNb
2O
5の物質量比が、1.00以下であることが好ましい。この物質量比を1.00以下にすることで、部分分散比(θg,F)を小さくすることができる。加えて、可視域におけるガラスの透明性を高めることができ、ガラスへの着色を低減することができる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対する物質量比TiO
2/Nb
2O
5は、好ましくは1.00%、より好ましくは0.80%、さらに好ましくは0.63%を上限として含有することができる。
【0019】
WO
3成分は、光学定数を調整し、耐失透性を改善し、部分分散比を大きくする効果がある。しかし、その量が多すぎると逆に耐失透性や可視光領域の短波長域の光線透過率が悪くなる。従って、好ましくは8.9%、より好ましくは5.5%、さらに好ましくは1.9%未満を上限として含有することができる。
WO
3成分は、原料として例えばWO
3等を用いてガラス内に含有させることができる。
【0020】
Bi
2O
3成分は、屈折率を高め、分散を大きくしつつ部分分散比を小さくし、ガラス転移温度(Tg)を下げる効果がある。しかし、その量が多すぎると耐失透性が悪化しやすくなり、部分分散比を大きくする傾向がある。従って、好ましくは13.9%、より好ましくは11%、さらに好ましくは9%を上限として含有することができる。なお、Bi
2O
3は任意成分であるため、含有しなくとも本発明のガラスを製造することは可能であるが、前記効果を発揮させやすくするためには、好ましくは0%を超え、より好ましくは0.1%、さらに好ましくは1.0%を下限とする。
Bi
2O
3成分は、原料として例えばBi
2O
3等を用いてガラス内に含有させることができる。
【0021】
SiO
2成分は、ガラス形成酸化物として作用する任意成分であり、ガラスの粘度を高め、耐失透性及び化学的耐久性を向上させるのに有効である。しかし、その量が少なすぎるとその効果が不十分であり、多すぎると逆に耐失透性、溶融性が悪化しやすくなる。従って、好ましくは30.0%、より好ましくは25.0%、さらに好ましくは20.0%を上限として含有することができる。
SiO
2成分は、原料として例えばSiO
2等を用いてガラス内に含有させることができる。
【0022】
GeO
2成分は、屈折率を高め、耐失透性を向上させる効果を有する任意成分であり、ガラス形成酸化物として作用する。しかし、その量が多すぎると原料が非常に高価であるため、コストが高くなる。従って、好ましくは20.0%、より好ましくは15.0%、さらに好ましくは8.5%を上限として含有することができる。
GeO
2成分は、原料として例えばGeO
2等を用いてガラス内に含有させることができる。
【0023】
TeO
2成分は、屈折率を高める効果を有する成分であるが、白金製の坩堝や、溶融ガラスと接する部分が白金で形成されている溶融槽でガラス原料を溶融する際、テルルと白金が合金化し、合金となった箇所は耐熱性が悪くなりやすくなるため、その箇所に穴が開き、溶融ガラスが流出する事故がおこる危険性が憂慮される。従って、好ましくは20.0%、より好ましくは15.0%、さらに好ましくは7.6%を上限として含有できる。
TeO
2成分は、原料として例えばTeO
2等を用いてガラス内に含有させることができる。
【0024】
Li
2O成分は、部分分散比を小さくし、ガラス転移温度(Tg)を大幅に下げ、かつ、混合したガラス原料の溶融を促進する効果があり、本発明の組成系においてはリヒートプレス成形時の失透を抑制する効果がある。しかし、その量が多すぎると耐失透性が急激に悪化しやすくなる。従って、好ましくは30.0%、より好ましくは25.0%、さらに好ましくは17.0%未満を上限として含有することができる。なお、Li
2Oは任意成分であるため、含有しなくとも本発明のガラスを製造することは可能であるが、前記効果を発揮させやすくするためには、好ましくは0%を超え、より好ましくは0.1%、さらに好ましくは1.0%を下限とする。
Li
2O成分は、原料として例えばLi
2O又はその炭酸塩、硝酸塩、水酸化物等を用いてガラス内に含有させることができる。
【0025】
Na
2O成分は、ガラス転移温度(Tg)を下げ、混合したガラス原料の溶融を促進する効果がある。しかし、その量が多すぎると耐失透性が急激に悪化しやすくなる。従って、好ましくは50.0%、より好ましくは45.0%、さらに好ましくは40.0%を上限として含有することができる。なお、Na
2Oは任意成分であるため、含有しなくとも本発明のガラスを製造することは可能であるが、前記効果を発揮させやすくするためには、好ましくは0%を超え、より好ましくは0.1%、さらに好ましくは1.0%、最も好ましくは13%を下限とする。
Na
2O成分は、原料として例えばNa
2O又はその炭酸塩、硝酸塩、水酸化物等を用いてガラス内に含有させることができる。
【0026】
K
2O成分は、ガラス転移温度(Tg)を下げ、混合したガラス原料の溶融を促進する効果がある。しかし、その量が多すぎると耐失透性が急激に悪化し、本発明の組成系においてはリヒートプレス成形時の失透性が急激に悪化しやすくなる。従って、好ましくは25.0%、より好ましくは20.0%、さらに好ましくは18.0%、最も好ましくは13%を上限として含有することができる。
K
2O成分は、原料として例えばK
2O又はその炭酸塩、硝酸塩、水酸化物等を用いてガラス内に含有させることができる。
【0027】
Cs
2O成分は、ガラス転移温度(Tg)を下げ、混合したガラス原料の溶融を促進する効果がある。従って、好ましくは20.0%、より好ましくは19.0%、さらに好ましくは18.0%を上限として含有することができる。
Cs
2O成分は、原料として例えばCs
2O又はその炭酸塩、硝酸塩、水酸化物等を用いてガラス内に含有させることができる。
【0028】
MgO成分は光学定数の調整に有効である。しかし、その量が多すぎると耐失透性が悪化しやすくなる。従って、好ましくは15.0%、より好ましくは14.0%、さらに好ましくは13.0%を上限として含有することができる。
MgO成分は、原料として例えばMgO又はその炭酸塩、硝酸塩、水酸化物等を用いてガラス内に含有させることができる。
【0029】
CaO成分は光学定数の調整に有効である。しかし、その量が多すぎると耐失透性が悪化しやすくなる。従って、好ましくは20.0%、より好ましくは19.5%、さらに好ましくは19.0%を上限として含有することができる。
CaO成分は、原料として例えばCaO又はその炭酸塩、硝酸塩、水酸化物等を用いてガラス内に含有させることができる。
【0030】
SrO成分は光学定数の調整に有効である。しかし、その量が多すぎると耐失透性が悪化しやすくなる。従って、好ましくは20.0%、より好ましくは19.5%、さらに好ましくは19.0%を上限として含有することができる。
SrO成分は、原料として例えばSrO又はその炭酸塩、硝酸塩、水酸化物等を用いてガラス内に含有させることができる。
【0031】
BaO成分は光学定数の調整に有効である。しかし、その量が多すぎると耐失透性が悪化しやすくなる。従って、好ましくは30.0%、より好ましくは25.0%、さらに好ましくは17.0%を上限として含有することができる。
BaO成分は、原料として例えばBaO又はその炭酸塩、硝酸塩、水酸化物等を用いてガラス内に含有させることができる。
【0032】
ZnO成分は、ガラス転移温度(Tg)を低くし、化学的耐久性を改善する効果がある。しかし、その量が多すぎると耐失透性が悪化しやすくなる。従って、好ましくは40.0%、より好ましくは30.0%、さらに好ましくは20.0%、最も好ましくは3.0%を上限として含有することができる。
ZnO成分は、原料として例えばZnO等を用いてガラス内に含有させることができる。
【0033】
Al
2O
3成分は、化学的耐久性の改善に有効な任意成分である。しかし、その量が多すぎると耐失透性が悪化しやすくなる。従って、好ましくは20.0%、より好ましくは15.0%、さらに好ましくは10.0%を上限として含有することができる。
Al
2O
3成分は、原料として例えばAl
2O
3、Al(OH)
3等を用いてガラス内に含有させることができる。
【0034】
ZrO
2成分は、屈折率を高め、部分分散比を小さくし、化学的耐久性を向上させる効果がある。しかし、その量が多すぎると逆に耐失透性が悪化しやすくなる。従って、好ましくは20.0%、より好ましくは15.0%、さらに好ましくは10.0%を上限として含有することができる。
ZrO
2成分は、原料として例えばZrO
2等を用いてガラス内に含有させることができる。
【0035】
La
2O
3成分は、ガラスの屈折率を高め、低分散化させるのに有効な成分である。しかし、その量が多すぎると耐失透性が悪化しやすくなる。従って、好ましくは20.0%、より好ましくは15.0%、さらに好ましくは10.0%を上限として含有することができる。
La
2O
3成分は、原料として例えばLa
2O
3、硝酸ランタン又はその水和物等を用いてガラス内に含有させることができる。
【0036】
Gd
2O
3成分は、ガラスの屈折率を高め、低分散化させるのに効果がある。しかし、その量が多すぎると耐失透性が悪化しやすくなる。従って、好ましくは20.0%、より好ましくは15.0%、さらに10.0を上限として含有することができる。
Gd
2O
3は、原料として例えばGd
2O
3等を用いてガラス内に含有させることができる。
【0037】
Y
2O
3成分は、ガラスの屈折率を高め、低分散化させるのに効果がある。しかし、その量が多すぎると耐失透性が悪化しやすくなる。従って、好ましくは20.0%、より好ましくは15.0%、さらに好ましくは10.0%を上限として含有することができる。
Y
2O
3成分は、原料として例えばY
2O
3等を用いてガラス内に含有させることができる。
【0038】
Ta
2O
5成分は、屈折率を高め、化学的耐久性及び耐失透性を改善する効果がある。しかし、その量が多すぎると逆に耐失透性が悪化しやすくなる。従って、好ましくは20.0%、より好ましくは15.0%、さらに好ましくは10.0%を上限として含有することができる。
Ta
2O
5成分は、原料として例えばTa
2O
5等を用いてガラス内に含有させることができる。
【0039】
In
2O
3成分は、ガラスの屈折率を高め、低分散化させるのに効果がある。従って、好ましくは20.0%、より好ましくは15.0%、さらに好ましくは10.0%を上限として含有することができる。
In
2O
3成分は、原料として例えばIn
2O
3、In
2F
3等を用いてガラス内に含有させることができる。
【0040】
Yb
2O
3成分は、ガラスの屈折率を高め、低分散化させるのに効果がある。しかし、その量が多すぎると耐失透性及び化学的耐久性が悪化しやすくなる。従って、好ましくは20.0%、好ましくは15.0%、さらに好ましくは10.0%を上限として含有することができる。
Yb
2O
3成分は、原料として例えばYb
2O
3等を用いてガラス内に含有させることができる。
【0041】
Ga
2O
3成分は、屈折率を高める効果を有する成分であるが、原料が非常に高価である。従って、好ましくは10.0%を上限とし、より好ましくは8.0%、さらに好ましくは5.0%を上限として含有できる。
Ga
2O
3成分は、原料として例えばGa
2O
3等を用いてガラス内に含有させることができる。
【0042】
CeO
2成分は、耐失透性を改善する効果を有する成分であるが、その量が多すぎると短波長領域の光線透過率が悪化しやすくなる。従って、好ましくは1.0%、より好ましくは0.8%、さらに好ましくは0.5%を上限として含有することができる。
CeO
2成分は、原料として例えばCeO
2等を用いてガラス内に含有させることができる。
【0043】
Sb
2O
3成分は、ガラス溶融時の脱泡のために任意に添加しうるが、その量が多すぎると可視光領域の短波長領域における透過率が悪化しやすくなる。従って、好ましくは1.0%、より好ましくは0.8%、さらに好ましくは0.5%を上限として含有することができる。
なお、Sb
2O
3成分の含有率(%)は外割り添加量(モル%)を意味するものとする。ここで外割りとは、Sb
2O
3成分を除くガラス組成成分全体のモル量を100としたとき、酸化物基準の換算による Sb
2O
3単体のモル%を表すものである。
【0044】
本発明の光学ガラスでは、Na
2Oに対する物質量和(Li
2O+K
2O)の物質量比が、2.00以下であることが好ましい。この物質量比を2.00以下にすることで、部分分散比(θg,F)を小さくすることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全物質量に対する物質量比(Li
2O+K
2O)/Na
2Oは、好ましくは2.00%、より好ましくは1.70%、さらに好ましくは1.435%を上限として含有することができる。
【0045】
なお、上記ガラス中に存在する各成分を含有させるために使用される原料は、例示の目的で記載したものであり、上記列挙された酸化物等に限定されるものではない。つまり、ガラス製造の条件の諸変更に適宜対応させて、公知の原料から選択できる。
【0046】
Lu
2O
3、SnO
2、BeOの各成分は含有させることは可能であるが、Lu
2O
3は高額原料であるため原料コストが高くなり実際の製造においては現実的ではなく、SnO
2は白金製の坩堝や、溶融ガラスと接する部分が白金で形成されている溶融槽でガラス原料を溶融する際に錫と白金が合金化して合金となった箇所は耐熱性が悪くなり、その箇所に穴が開き溶融ガラス流出する事故がおこる危険性が憂慮され、BeOは、環境に有害な影響を与え、環境負荷の非常に大きい成分である、という問題がある。従って、好ましくは0.1%未満、より好ましくは0.05%を上限として含有され、さらに好ましくは含有しない。
【0047】
次に、本発明の光学ガラスに含有させるべきではない成分について説明する。
【0048】
鉛化合物は、ガラスの製造のみならず、研磨等のガラスの冷間加工及びガラスの廃棄に至るまで、環境対策上の措置が必要となり、環境負荷が大きい成分であるという問題があるため、本発明の光学ガラスに含有させるべきではない。
【0049】
As
2O
3、カドミウム、トリウム及びタリウムは、共に、環境に有害な影響を与え、環境負荷の非常に大きい成分であるため、本発明の光学ガラスに含有させるべきではない。
【0050】
さらに本発明の光学ガラスにおいては、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Eu、Nd、Sm、Tb、Dy、Er等の着色成分は、含有しないことが好ましい。ただし、ここでいう含有しないとは、不純物として混入される場合を除き、人為的に含有させないことを意味する。
【0051】
なお、本明細書において使用される各成分の含有量の酸化物基準での表記は、本発明のガラス構成成分の原料として使用される酸化物、複合塩、金属弗化物などが、溶融時に全て分解され酸化物へ変化すると仮定した場合に、組成物全体に対する各成分の当該生成酸化物のモル%を表すものである。
【0052】
次に本発明の光学ガラスの物性について説明する。
【0053】
本発明の光学ガラスは、部分分散比(θg,F)がノーマルラインに近い必要がある。より具体的には、本発明の光学ガラスは、部分分散比(θg,F)がアッベ数(ν
d)との間で、ν
d≦25の範囲において式(1):[(−0.0016×ν
d+0.63460)≦(θg,F)≦(−0.00563×ν
d+0.75873)]の関係を満たす。これにより、高分散を有しながらも部分分散比(θg,F)とアッベ数(ν
d)とのプロットの位置が
図1のノーマルライン(Normal Line)に近付けられる。そのため、この光学ガラスを用いた光学素子による色収差が低減されることが推論できる。
このようなν
d≦25の範囲において(−0.0016×ν
d+0.63660)≦(θg,F)の関係を満たすことが好ましく、(−0.0016×ν
d+0.63860)≦(θg,F)の関係を満たすことがより好ましい。
また、このようなν
d≦25の範囲において(θg,F)≦(−0.00563×ν
d+0.75673)の関係を満たすことが好ましく、(θg,F)≦(−0.00563×ν
d+0.75473)の関係を満たすことがより好ましく、(θg,F)≦(−0.00563×ν
d+0.75273)の関係を満たすことがさらに好ましい。
また、本発明の光学ガラスは、部分分散比(θg,F)がアッベ数(ν
d)との間で、ν
d>25の範囲において式(2):[(−0.0025×ν
d+0.65710)≦(θg,F)≦(−0.0034×ν
d+0.70300)]の関係を満たす。
このようなν
d>25の範囲において(−0.0025×ν
d+0.65910)≦(θg,F)の関係を満たすことが好ましく、(−0.0025×ν
d+0.66110)≦(θg,F)の関係を満たすことがより好ましい。
また、このようなν
d>25の範囲において(θg,F)≦(−0.00340×ν
d+0.70100)の関係を満たすことが好ましく、(θg,F)≦(−0.00340×ν
d+0.69900)の関係を満たすことがより好ましく、(θg,F)≦(−0.00340×ν
d+0.69700)の関係を満たすことがさらに好ましい。なお、特にアッベ数(ν
d)が小さい領域では、一般的なガラスの部分分散比(θg,F)はノーマルラインよりも高い値にあり、一般的なガラスの部分分散比(θg,F)とアッベ数(ν
d)の関係は曲線で表される。しかしながら、この曲線の近似が困難であるため、本発明では、一般的なガラスよりも部分分散比(θg,F)が低いことを、ν
d=25を境に異なった傾きを有する直線を用いて表した。
本発明の光学ガラスは、このような関係を満たすものである。すなわち、高屈折率高分散性を有し、部分分散比が小さい光学ガラスである。
【0054】
なお、本発明において部分分散比(θg,F)は、徐冷降温速度を−25℃/時にして得られた光学ガラスについてCライン(波長 656.27nm)における屈折率(nC)、Fライン(波長 486.13nm)における屈折率(nF)、gライン(波長 435.835nm)における屈折率(ng)を測定し、(θg,F)=(ng−nF)/(nF−nC)による式にて算出した値を意味するものとする。
【0055】
本発明の光学ガラスは、さらに透過率が良好である。具体的には、透過率が80%となる波長(λ
80)が好ましくは655nm以下、より好ましくは600nm以下、さらに好ましくは550nm以下である。また、透過率が70%となる波長(λ
70)が好ましくは500nm以下、より好ましくは480nm以下、さらに好ましくは450nm以下、最も好ましくは420nm以下である。また、透過率が5%となる波長(λ
5)が好ましくは450nm以下、より好ましくは420nm以下、さらに好ましくは400nm以下である。
なお、透過率は、厚さ10.0±0.1mmの互いに平行で平坦な光学研磨が施されたガラス試料の光学研磨面の一方に垂直に入射光を照射したとき、入射光強度に対する、ガラス試料を透過して他方の光学研磨面から出射する透過光の強度の比(透過光強度/入射光強度)で表される。そして、この透過率が80%になる波長がλ
80であり、70%になる波長がλ
70であり、5%になる波長がλ
5である。
【0056】
また、本発明の光学ガラスは、1.70以上2.00以下の屈折率(n
d)を有し、15以上29.5以下のアッベ数(ν
d)を有し、分光透過率が70%を示す波長(λ
70)が500nm以下であることが好ましい。
ここで屈折率(n
d)は1.70以上が好ましく、1.74以上がより好ましく、1.78以上がさらにこのましい。また、屈折率(n
d)は2.00以下が好ましく、1.98以下がより好ましく、1.96以下がさらに好ましい。
また、アッベ数(ν
d)は15以上がより好ましく、17以上がより好ましく、19以上がさらに好ましい。また、アッベ数(ν
d)は29.5以下がより好ましく、28以下がより好ましく、27以下がより好ましく、26以下がさらに好ましい。
【0057】
このように本発明の光学ガラスは、高屈折率高分散性を有し、部分分散比が小さく、さらに透過率が良好な光学ガラスである。
【0058】
本発明の光学ガラスにおいては、ガラス転移点(Tg)が高くなりすぎると前述したように精密プレス成形を行う場合、成形型の劣化などが起こり易くなる。従って、本発明の光学ガラスのTgは好ましくは700℃、より好ましくは680℃、さらに好ましくは650℃を上限とする。
また屈伏点(At)は好ましくは750℃、より好ましくは730℃、さらに好ましくは700℃以下とする。
【0059】
本発明の光学ガラスは、様々な光学素子及び光学設計に有用である。例えば本発明の光学ガラスを研削・研磨して光学ガラスを得ることができる。また、例えば本発明の光学ガラスから精密プレス成形用の光学ガラスを得ることができる。その中でも特に、本発明の光学ガラスからプリフォームを形成し、このプリフォームに対して研磨加工や精密プレス成形等の手段を用いて、レンズやプリズム、ミラー等の光学素子を作製することが好ましい。これにより、カメラやプロジェクタ等のような光学素子に可視光を透過させる光学機器に用いたときに、高精細で高精度な結像特性を実現しつつ、これら光学機器における光学系の小型化を図ることができる。ここで、プリフォーム材を製造する方法は特に限定されるものではなく、例えば特開平8−319124に記載のガラスゴブの成形方法や特開平8−73229に記載の光学ガラスの製造方法及び製造装置のように溶融ガラスから直接プリフォーム材を製造する方法を用いることもでき、また、光学ガラスから形成したストリップ材に対して研削研磨等の冷間加工を行って製造する方法を用いることもできる。
【実施例】
【0060】
以下、本発明の実施例について述べるが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0061】
本発明のガラスの実施例1〜29の組成及び比較例1〜3の組成を、これらのガラスの屈折率(n
d)、アッベ数(ν
d)、部分分散比(θg,F)、λ
80、λ
70、λ
5、Cライン(波長 656.27nm)における屈折率(nC)、Fライン(波長 486.13nm)における屈折率(nF)、gライン(波長 435.835nm)における屈折率(ng)と共に表1〜4に示す。
このうち、実施例1〜3、6〜10は、本発明の参考例とする。表中、各成分の組成はモル%で表示している。また、Sb
2O
3成分の含有率(%)は外割り添加量(モル%)を意味する。また、実施例1〜29及び比較例1〜3のガラスにおける、アッベ数(ν
d)及び部分分散比(θg,F)の関係を
図2に示す。
【0062】
表1〜3に示す本発明の実施例の光学ガラス(実施例1〜29)は、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩等の通常の光学ガラス用原料を表1〜4に示した各実施例の組成の割合となるように秤量し、混合し、白金るつぼに投入し、組成による溶融性に応じて、900〜1400℃で、3〜5時間溶融、清澄、攪拌して均質化した後、金型等に鋳込み徐冷することにより得たものである。
【0063】
屈折率(n
d)及びアッベ数(ν
d)は徐冷降温速度を−25℃/時にして得られた光学ガラスについて測定した。
【0064】
部分分散比(θg,F)は、徐冷降温速度を−25℃/時にして得られた光学ガラスについてCライン(波長 656.27nm)における屈折率(nC)、Fライン(波長 486.13nm)における屈折率(nF)、gライン(波長 435.835nm)における屈折率(ng)を測定し、θg,F=(ng−nF)/(nF−nC)による式にて算出した。
【0065】
また、λ
80、λ
70、λ
5については日立製作所社製「U−4100」を用いて測定した。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
【表3】
【0069】
【表4】
【0070】
表1〜3に見られる通り、本発明の実施例の光学ガラス(実施例1〜29)におけるアッベ数(ν
d)と部分分散比(θg,F)とは、式(1)及び式(2)を満たすものである。また、屈折率(n
d)も1.77以上であり高い。さらにλ
80は524.5nm以下であり、λ
70は447.5nm以下であり、λ
5は390nm以下である。すなわち透過率も良好である。よって実施例1〜29の光学ガラスは高屈折率高分散性を有し、部分分散比が小さく、透過率も良好なものといえる。
【0071】
また、
図2に示すように、実施例1〜29の光学ガラスは、部分分散比(θg,F)がアッベ数(ν
d)との関係において、ν
d>25において(−0.00250×ν
d+0.65710)以上、より詳細には(−0.00250×ν
d+0.66110)以上であり、(−0.00340×ν
d+0.70300)以下、より詳細には(−0.00340×νd+0.70100)以下であるとともに、νd≦25において(−0.00160×ν
d+0.63460)以上、より詳細には(−0.00160×ν
d+0.63860)以上であり、(−0.00563×ν
d+0.75873)以下であった。また、比較例1〜3の光学ガラスは、部分分散比(θg,F)がν
d>25において、(−0.00340×νd+0.70300)を超えており、νd≦25において、(−0.00563×νd+0.75873)を超えていた。このため、本発明の実施例の光学ガラスは、比較例1〜3)のガラスに比べて部分分散比(θg,F)がノーマルラインに近く、色収差が小さいことが明らかになった。
【0072】
さらに、本発明の実施例の光学ガラスを用いて、研磨加工用プリフォームを形成した後で研削及び研磨を行い、レンズ及びプリズムの形状に加工した。また、本発明の実施例の光学ガラスを用いて、精密プレス成形用プリフォームを形成し、精密プレス成形用プリフォームを精密プレス成形加工してレンズ及びプリズムの形状に加工した。いずれの場合も、様々なレンズ及びプリズムの形状に加工することができた。