(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5808170
(24)【登録日】2015年9月18日
(45)【発行日】2015年11月10日
(54)【発明の名称】高速充填制動システム
(51)【国際特許分類】
B60T 11/224 20060101AFI20151021BHJP
【FI】
B60T11/224
【請求項の数】6
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-150911(P2011-150911)
(22)【出願日】2011年7月7日
(65)【公開番号】特開2012-17095(P2012-17095A)
(43)【公開日】2012年1月26日
【審査請求日】2014年6月30日
(31)【優先権主張番号】12/832,524
(32)【優先日】2010年7月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100080137
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 昭男
(74)【代理人】
【識別番号】100096013
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100141025
【弁理士】
【氏名又は名称】阿久津 勝久
(72)【発明者】
【氏名】ミラン・クリメス
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー・ジェイ・アルバート
【審査官】
中尾 麗
(56)【参考文献】
【文献】
特表平08−502222(JP,A)
【文献】
特開昭59−096045(JP,A)
【文献】
米国特許第03946563(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 11/00−11/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高速充填制動システムにおいて、
マスタシリンダと、
前記マスタシリンダ内の第1の室部と、
前記第1の室部の前方に配置された前記マスタシリンダ内の第2の室部と、
内部室部を画定する、前記第1の室部内の高速充填ピストンと、
前記高速充填ピストンに対して可動かつ同軸であり、少なくとも一部分は前記内部室部内に移動可能に受容される、前記第1の室部内の一次ピストンと、
前記第2の室部内の二次ピストンと、
前記内部室部内に配置され、前記高速充填ピストンに対して後方方向に前記一次ピストンを付勢するように構成された一次バネとを備えた、高速充填制動システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記高速充填ピストンと前記二次ピストンとの間に配置され、前記二次ピストンに対して前記後方方向に前記高速充填ピストンを付勢するように構成された高速充填バネを更に備えた、システム。
【請求項3】
請求項2に記載のシステムにおいて、
前記後方方向に前記二次ピストンを付勢するように構成された二次バネを更に備え、
前記一次バネは第1のバネ定数を有し、
前記高速充填バネは第2のバネ定数を有し、
前記二次バネは第3のバネ定数を有し、
前記第2のバネ定数は前記第3のバネ定数よりもより大きく、前記第1のバネ定数よりもより小さい、システム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記二次ピストンは後方向き空洞を含み、
前記一次ピストンは前記後方向き空洞と位置合わせされ、
前記一次ピストンは、前記後方向き空洞内に嵌合するような大きさにされた前方部分を含む、システム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムにおいて、
前記第1の室部は第1の最大直径を有し、
前記第2の室部は第2の最大直径を有し、
前記第1の最大直径は前記第2の最大直径よりもより大きい、システム。
【請求項6】
請求項5に記載のシステムにおいて、
前記高速充填ピストンは前方向き部分を含み、
封止部が前記前方向き部分上に位置付けられ、
前記封止部は、前記第2の最大直径よりもより大きく、前記第1の最大直径よりもより小さい外径を有する、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は制動システム、具体的には、高速充填マスタシリンダに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]制動システムは、典型的には、下流の制動回路に流体的に連結されるマスタシリンダを含む。作動の初期時間の間、マスタシリンダは、例えば、ロータ又はドラムのような補完的な表面に対して、例えば、ブレーキパッドのような制動システムの摩擦部材を押圧するために、下流の制動回路内に流体圧力を生成し、流体を変位する。ある状況において、ブレーキパッドは、ロータから離れるように変位される恐れがあり、それによって、ブレーキパッドとロータとの間に隙間が生じる。したがって、作動が最初に開始されるとき、ブレーキパッドはホイールのロータと物理的に接触しない。
【0003】
[0003]ブレーキパッドとロータとの間のこの物理的接触の不足は、ブレーキパッドがホイールロータと接触するように再度位置付けられるまで、あらゆる物理的制動を妨げる。更に、システムには充分な抵抗がないため、下流の制動回路内の最小の圧力上昇だけが存在する。結果的に、制動不足に加えて、一旦、ブレーキパッドがロータと接触したときに、車両の運転者が受けるペダルのフィードバックと比較して、制動が最初に開始されたとき、運転者はペダルの異なるフィードバックを受ける場合がある。このペダルのフィードバックの差異は運転者にとって不安定である恐れがある。
【0004】
[0004]作動が最初に開始されるとき、制動不足を短くし、ペダルのフィードバックの不安定な差異を減少させる1つのやり方は、上記の隙間を迅速に取り除くために、制動システム内の多量の流体を変位させることである。このようなシステムは、一般に「高速充填」制動システムと呼ばれる。多量の流体を移送するために、制動システムは、所望される高速充填機能を提供するように設計されていない制動システムの作動ピストンと比較してより大きい直径を伴うマスタシリンダ内の作動ピストンを含む場合がある。より大きい直径のピストンはより大容量の流体を移動させ、それによって下流の制動回路を迅速に充填する。
【0005】
[0005]しかし、大きいピストンは、移動させるためにより大きい力を必要とする。大きいピストンを移動させるために必要とされる力は、作動の初期時間の間、比較的小さい一方で、作動の初期時間の後、一般的な大きさのピストンを伴うシステムで必要とされる力より、より大きい力がピストンを移動させるために必要とされる。この追加の力はより大きい与圧システムを必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[0006]したがって、下流の制動回路内の圧力を急速に増大することによって、作動が最初に開始されるとき、制動不足を最小化でき、より大きい与圧システムを使用する必要のない、ペダルのフィードバックの不安定な差異を減少できるマスタシリンダ構成を提供することが強く望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0007]本開示の一実施形態によると、マスタシリンダと、マスタシリンダ内の第1の室部と、第1の室部の前方に配置されるマスタシリンダ内の第2の室部と、第1の室部内の高速充填ピストンと、高速充填ピストンに対して可動である第1の室部内の一次ピストンと、第2の室部内の二次ピストンとを含む高速充填制動システムが提供される。
【0008】
[0008]他の一実施形態によると、高速充填制動システムが、マスタシリンダと、マスタシリンダ内の第1の室部と、第1の室部の前方に配置されるマスタシリンダ内の第2の室部と、第1の室部内の高速充填ピストンと、高速充填ピストン内の空洞内に摺動自在に受容される一次ピストンと、第2の室部内の二次ピストンとを含む。
【0009】
また、本発明は、高速充填制動システムにおいて、マスタシリンダと、前記マスタシリンダ内の第1の室部と、前記第1の室部の前方に配置される前記マスタシリンダ内の第2の室部と、前記第1の室部内の高速充填ピストンと、前記高速充填ピストン内の空洞内に摺動自在に受容される一次ピストンと、前記第2の室部内の二次ピストンとを備えたことを特徴とする。
【0010】
この場合において、前記高速充填ピストン及び前記一次ピストンは同軸であってもよい。前記空洞内に配置され、前記高速充填ピストンに対して前記一次ピストンを後方方向へ付勢するように構成された一次バネを更に備えていてもよい。前記高速充填ピストンと前記二次ピストンとの間に配置され、前記二次ピストンに対して前記後方方向へ前記高速充填ピストンを付勢するように構成された高速充填バネを更に備えていてもよい。前記後方方向へ前記二次ピストンを付勢するように構成される二次バネを更に備え、前記一次バネは第1のバネ定数を有し、前記高速充填バネは第2のバネ定数を有し、前記二次バネは第3のバネ定数を有し、前記第2のバネ定数は前記第3のバネ定数よりもより大きく、前記第1のバネ定数よりもより小さくてもよい。前記二次ピストンは後方向き空洞を含み、前記一次ピストンは前記後方向き空洞と位置合わせされ、前記一次ピストンは、前記後方向き空洞内に嵌合するような大きさにされる前方部分を含んでいてもよい。前記第1の室部は第1の最大直径を有し、前記第2の室部は第2の最大直径を有し、前記第1の最大直径は前記第2の最大直径よりもより大きくてもよい。前記高速充填ピストンは前方向き部分を含み、封止部が前記前方向き部分上に位置付けられ、前記封止部は、前記第2の最大直径よりもより大きく、前記第1の最大直径よりもより小さい外径を有していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】[0009]高速充填ピストンの空洞内に配置される一次ピストン組立体及び二次ピストン組立体を含むタンデム型制動システムの部分的断面図である。
【
図2】[0010]
図1の制動システムのマスタシリンダの断面図である。
【
図3】[0011]
図1の高速充填ピストンの断面図である。
【
図4】[0012]
図1の一次ピストン組立体の断面図である。
【
図5】[0013]
図1の二次ピストン組立体の断面図である。
【
図6】[0014]高速充填行程後の
図1に表される制動システムの部分的断面図である。
【
図7】[0015]全行程後の
図1に表される制動システムの部分的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[0016]本発明の原理の理解を促進する目的のために、ここで、図面で例示され、以下に記載される詳細に説明される実施形態を参照することとする。それによって、本発明の範囲への制限を意図するものでないことは理解されよう。本発明は、この発明が関連する技術分野の一般的な一当業者に通常に考えつくような、本発明の例示的実施形態のあらゆる代替及び改良を含み、その原理の更なる応用を含むことは理解されよう。
【0013】
[0017]
図1を参照すると、タンデム型制動システム100の部分的断面図が表される。制動システム100は、孔104を含むマスタシリンダ102を含む。高速充填ピストン106、一次ピストン組立体108及び二次ピストン組立体110が少なくとも部分的に孔104内に配置される。
【0014】
[0018]
図2を参照すると、孔104は、大径部分120と、中径部分122と、小径部分124とを含む。シール受け部126及び128が大径部分120内に配置され、Oリング受け部130が大径部分120の前方端部に配置される。シール受け部126と128との間に配置される排出室部132は、排出口134と流体連通であり、それはOリング受け部130に更に排出口をもたらす。
【0015】
[0019]大径部分120は密封唇部136によって中径部分122から分離される。一次室部出口138が中径部分122の前方部分に配置される。シール受け部140及び142が小径部分124内に配置され、シール受け部140と142との間に配置される排出室部144は排出口146と流体連通である。二次室部出口148が小径部分124の前方壁部分150の近くに配置される。
【0016】
[0020]シール受け部126、128、140及び142はそれぞれ封止部152、154、156及び158を受容する(
図1参照)。封止部152及び154は、
図3にも示される高速充填ピストン106を密封係合する。高速充填ピストン106は、開口164を通過して前方向き端部部分162に開口する内部室部すなわち空洞160を含む。遮断封止部166が前方向き端部部分162に配置される。遮断封止部166は密封唇部136に対して補完的な大きさにされる(
図2参照)。したがって、遮断封止部166は、孔104の中径部分122の直径よりもより大きく、高速充填ピストン106及び孔104の大径部分120の両方の直径よりもより小さい外径を有する。ロックリング168が、開口164に対向する内部室部160の端部に配置される。
【0017】
[0021]内部室部160は、
図4に表される一次ピストン組立体108を摺動的に受容するような大きさにされる。一次ピストン組立体108は、本体部分172及び前方部分174を伴う一次ピストン170を含む。一次バネ176が前方部分174の周囲に配置される。本体部分172は内部室部160の直径よりも僅かにより小さく、ロックリング168の内径よりもより大きい大きさにされる。本体部分172に取り付けられる封止部178が内部室部160の壁部との密封係合を提供し、空洞180がブレーキペダル(図示されず)と作動可能に連結されるように構成される。
【0018】
[0022]一次ピストン170の前方部分174は、高速充填ピストン106の開口164を通過し(
図3参照)、
図5に示される二次ピストン組立体110の後方向き空洞190内に受容される大きさにされる。後方向き空洞190は二次ピストン194の本体192によって画定される。二次ピストン194は前方向き空洞196及びバネ段198を更に画定する。二次バネ200が前方向き空洞196内に少なくとも部分的に位置付けられ、基部フランジ202と基部フランジ204との間に延在する。
図1に見られるように、基部フランジ202は二次ピストン194の本体192に固着され、一方、フランジ204は前方壁部分150に固着される。
【0019】
[0023]
図1に表されるように、制動システム100が組み立てられ、停止位置にあるとき、二次バネ200は、後方向き空洞190の開口を孔104の中径部分122の後方に隣接させながら、マスタシリンダ102の正面壁部部分150から間隔を開けた位置へ二次ピストン194を付勢する(
図2も参照のこと)。シール受け部140内に配置される封止部156は二次ピストン194を密封係合し、一次室部の前方端部を画定し、一方、シール受け部142内に配置される封止部158は二次ピストン194を密封係合し、二次室部の後部端部を画定する。
【0020】
[0024]Oリング210がOリング受け部130内に位置付けられ、バネ段198上に取り付けられる高速充填バネ212が、密封唇部136から間隔を開けた大径部分120内の位置へ高速充填ピストン106を付勢する。一次バネ176は、ロックリング168に当接する位置へ一次ピストン170を後方へ付勢する。一次ピストン170及び高速充填ピストン106は、高速充填ピストン106の開口164と位置合わせされた一次ピストン170の前方部分174、及び、二次ピストンの後方向き空洞190と同軸である。
【0021】
[0025]
図1の矢印220の方向へ一次ピストン170への力の印加を開始すると、力は、一次ピストン170から、一次バネ176を通過して、高速充填ピストン106へ伝達される。高速充填ピストン106は、次いで、高速充填バネ210に印加された力を伝え、それはバネ段198を押圧し、二次ピストン194に二次バネ200に対して圧縮力を及ぼさせる。高速充填バネ212のバネ定数は、二次バネ200のバネ定数よりもより大きく、一次バネ176よりもより小さい定数が選択される。したがって、二次バネ200は、二次ピストン194を前方壁部分150に向かって前方へ移動させながら、圧縮し始める。二次ピストン194の移動は、流体を二次室部出口148の外に押し出し、下流の制動回路(図示されず)に押し入れる。二次ピストン194が前方へ移動するにつれて、高速充填ピストン106及び一次ピストン170は一群として前方へ移動する。
【0022】
[0026]高速充填ピストン106及び一次ピストン170の移動は、多量の流体を大径部分120から、中径部分122内へ、そして、一次室部出口138の外に変位させる。多量の流体は封止部178、154及び156によって画定される高速充填室部内に配置される。大流量の流体は、一次室部出口138と流体連通である下流の制動回路(図示されず)を急速に充填する。高速充填ピストン106、一次ピストン170及び二次ピストン194の前方への移動は、高速充填行程の完了まで継続し、そのとき、制動システム100は
図1の構成から
図6の構成に移動している。
【0023】
[0027]
図6において、
図1の停止している構成と比較して、高速充填ピストン106、一次ピストン170及び二次ピストン194は前方壁部分150のより近くに移動している。加えて、遮断封止部166は密封唇部136と接触する状態に移動されている。したがって、封止部178は、内部室部160の一部分及び孔104の中径部分を含む封止部156までの一次室部の後部部分を画定し、一方、遮断封止部166は一次室部の外部部分を画定する。
【0024】
[0028]更に、矢印220の高速充填ピストン106の方向への更なる移動は、遮断封止部166と密封唇部136との間の接触によって防止される。結果的に、
図6の矢印220の方向への一次ピストン170への力の継続的印加は、一次バネ176の圧縮、及び、前方壁部分150に向かう一次ピストン170の移動をもたらし、それによって、封止部178と封止部156との間の一次室部内の圧力を増大させる。
【0025】
[0029]一次室部内の増大した圧力は、二次ピストン194へ伝達されて、二次バネ200に更なる圧縮力をかける。結果的に、封止部156から前方壁部分150へ延在する二次室部内の圧力が増大するにつれて、二次バネ200は圧縮される。一次ピストン170及び二次ピストン194の前方への移動は全行程の完了まで継続し、そのとき、制動システム100は
図6の構成から
図7の構成に移動している。
【0026】
[0030]
図7において、二次ピストン194は、二次バネ200が完全に圧縮された状態で、前方壁部分150に隣接する。加えて、一次ピストンの前方部分174は、
図6の構成と比較すると、孔164を通過して、後方向き空洞190内に移動しており、一次バネ176は完全に圧縮されている。したがって、
図7の全行程の状態は、一次及び二次室部の両方の内部の高圧を提供する。
【0027】
[0031]矢印220の方向への圧力が一次ピストン174から除去されるとき、先の説明は実質的に逆転する。したがって、一次バネ176は一次ピストン174に当たって作用して、前方壁部分150から離れるように一次ピストン174を移動させる。前方壁部分150から離れる一次ピストン174の移動は、二次バネ200を減圧縮させながら、(封止部130、178及び156の間の)一次室部内の圧力を減少させる。二次バネ200が減圧縮するにつれて、二次ピストン194は、前方壁部分150から離れるように付勢され、(封止部158と前方壁部分150との間の)二次室部内の圧力を減少させる。
【0028】
[0032]一次ピストン174及び二次ピストン194の後方への移動は、制動システム100が
図6に表される状態になるまで継続する。一次ピストン174に印加される力の欠如が、
図6の状態から、一次ピストン174の後方への移動がロックバネ168によって捕捉されるまで、一次バネ176を減圧縮させる。(封止部130、178及び156の間の)一次室部内の圧力の結果的減少は、二次バネ200を減圧縮させ、それによって、高速充填ピストン106に対して高速充填バネ212を押圧する。したがって、バネ200及び高速充填バネ212は、制動システム100が
図1に表される状態に達するまで、前方壁部分150から離れるように高速充填ピストン106を付勢する。
【0029】
[0033]本発明が図面及び先の説明において詳細に例示され、説明されたが、それらは、例示的であり、何ら制限を課すものではないとみなされるべきである。好ましい実施形態が示されたに過ぎず、本発明の精神に含まれる全ての変更、改良及び応用は、保護の対象とされることが所望されることを理解されたい。
(項目1)
高速充填制動システムにおいて、
マスタシリンダと、
前記マスタシリンダ内の第1の室部と、
前記第1の室部の前方に配置された前記マスタシリンダ内の第2の室部と、
前記第1の室部内の高速充填ピストンと、
前記高速充填ピストンに対して可動である前記第1の室部内の一次ピストンと、
前記第2の室部内の二次ピストンとを備えた、高速充填制動システム。
(項目2)
項目1に記載のシステムにおいて、
前記高速充填ピストン及び前記一次ピストンは同軸である、システム。
(項目3)
項目2に記載のシステムにおいて、
前記高速充填ピストンは内部室部を画定し、
前記一次ピストンの少なくとも一部分は前記内部室部内に移動可能に受容される、システム。
(項目4)
項目3に記載のシステムにおいて、
前記内部室部内に配置され、前記高速充填ピストンに対して後方方向に前記一次ピストンを付勢するように構成された一次バネを更に備えた、システム。
(項目5)
項目4に記載のシステムにおいて、
前記高速充填ピストンと前記二次ピストンとの間に配置され、前記二次ピストンに対して前記後方方向に前記高速充填ピストンを付勢するように構成された高速充填バネを更に備えた、システム。
(項目6)
項目5に記載のシステムにおいて、
前記後方方向に前記二次ピストンを付勢するように構成された二次バネを更に備え、
前記一次バネは第1のバネ定数を有し、
前記高速充填バネは第2のバネ定数を有し、
前記二次バネは第3のバネ定数を有し、
前記第2のバネ定数は前記第3のバネ定数よりもより大きく、前記第1のバネ定数よりもより小さい、システム。
(項目7)
項目3に記載のシステムにおいて、
前記二次ピストンは後方向き空洞を含み、
前記一次ピストンは前記後方向き空洞と位置合わせされ、
前記一次ピストンは、前記後方向き空洞内に嵌合するような大きさにされた前方部分を含む、システム。
(項目8)
項目1に記載のシステムにおいて、
前記第1の室部は第1の最大直径を有し、
前記第2の室部は第2の最大直径を有し、
前記第1の最大直径は前記第2の最大直径よりもより大きい、システム。
(項目9)
項目8に記載のシステムにおいて、
前記高速充填ピストンは前方向き部分を含み、
封止部が前記前方向き部分上に位置付けられ、
前記封止部は、前記第2の最大直径よりもより大きく、前記第1の最大直径よりもより小さい外径を有する、システム。
【符号の説明】
【0030】
102 マスタシリンダ
106 高速充填ピストン
160 内部室部
162 高速充填ピストンの前方向き端部部分
166 高速充填ピストンの前方向き部分上の遮断封止部
170 一次ピストン
174 一次ピストンの前方部分
176 一次バネ
190 二次ピストンの後方向き空洞
194 二次ピストン
200 二次バネ
212 高速充填バネ