【実施例1】
【0013】
図1は、本発明の実施例1における色相変換装置のブロック図である。入力端子11には、デジタル化された色相データが入力される。映像データがアナログの場合には、アナログ−デジタル変換器(図示しない)にてサンプリングを行い、デジタル化するものとする。また、映像データが色相を含む形式でない(例えばRGB形式)場合には、マトリックス変換を行い、色相を含む形式(例えば、色相、彩度、明度。ただしこの組み合わせに限らない)に変換して、色相データを入力する。
【0014】
ここで、
図2を用いて実施例1における色相のデータ定義の例を説明する。
図2は、半径方向に色の彩度(濃さ)、位相方向に色相(色あい)をとり、色を二次元で表示した模式図である。色相は角度0の赤から増加するにしたがい、黄、緑、シアン、青、マゼンダと変化し、また赤へと戻ってくるものと定義する。本実施例では、例えば、8bitのデータで色相を表現するものとするが、1周回った赤は192で示し、0の赤と同一の色を示すものとする。なお、入力の色相データが8bitのフルレンジ(0〜255、256が0と同一の赤)を示す場合には、192/256倍を行い、変換して入力するものとする。または、入力端子11の後に変換処理部を設けてもよい。当該変換を行う理由は後述する。
【0015】
色相補正部31では、まず、
図3 (a)に示すようなテーブルに従い、入力された色相データに対して、補正を行った色相データを求める。補正のテーブルは、複数の入力に対する出力値と傾きによりそれぞれの折れ線を指定する方式となっている。このような補正テーブルを用いることにより、色相入力に対する色相補正を把握しやすくなるといった利点がある。また、特許文献1に開示される補正のように補正量が等脚台形となる補正とは異なり、補正開始点と補正終了点で傾きの異なる補正量を設定可能となる。これにより、より好適に色情報の補正を行うことが可能となる。
【0016】
また、この補正テーブルは、色相補正部31において入力映像に対して可変に設定するが、各折れ線の傾きについて負の値を許可しないことにより、入力色相に対して補正後の色相が逆転する(出力色相が単調増加にならない)現象を防止することが可能になる。
【0017】
なお本実施例では、色相補正出力のレンジに32のオフセットを持たせ、32を赤、224を一巡した赤として設定している。この条件において、色相補正の範囲を、例えば-32〜+31の範囲に制限する。
【0018】
ここで、上述のとおり、既に入力色相データのbit数のうちの色相表現範囲(色相表現階調)を192に低減しているため、入力色相データのbit数のうちの残りの64の範囲で色相補正を行えば、補正後の色相表現範囲は最大で255となる。これにより、映像信号のデータ表現のbit幅を8bitのままとして拡張せずにすむ。すなわち、入力色相データの色相表現範囲を変換により減らし、色相補正の制限範囲を上記色相表現範囲の減少分以下とする。これにより、回路規模を小さく保つことが可能になる。
【0019】
また、本実施例では、8bitのデータ表現の例を説明したが、これにとらわれるものではなく、色相の表現を例えば10bit等、他の所定のbit数を用いて行うものであってもかまわない。この場合も、入力色相データの色相表現範囲を変換により減少させ、色相補正の制限範囲を色相表現範囲の当該減少分以下とすれば、当該所定のbit数の範囲で効率的に色相補性を行うことが可能である。
【0020】
続いて、色相補正出力から、色相補正入力値および、オフセットを減算し、
図3 (b)に示すようにそれぞれの色相補正部における色相補正量を算出する。色相補正部31は算出した色相補正量を補正加算部61に出力する。
【0021】
補正加算部61では、色相補正部31から出力される補正量と入力端子11から入力された色相値を加算し、補正を行った色相値を、出力端子71から出力する。
【0022】
これにより、視覚的に好ましい色補正を容易に設定可能で、かつ比較的容易な構成で実装可能な色相補を行うことが可能となる。
【0023】
なお、色相補正部31と補正加算部61とが一体に構成される映像処理部を構成してもよい。
【0024】
また、映像入力後に上述のbit数低減処理を行う場合は、当該bit数低減処理を行う処理部と、色相補正部31、補正加算部61とが一体に構成される映像処理部を構成してもよい。
【実施例2】
【0025】
続いて、
図4を用いて本発明の実施例2に係る映像処理装置ついて説明する。
【0026】
映像情報入力端子201には、同期信号と、データ有効期間信号、映像情報、及び実施例1と同同様のデジタル化された色相値が入力される。ここで、映像情報入力端子201に入力される映像情報は、2次元映像のみならず、3次元立体視用映像も入力される。例えば、3次元立体視用映像には複数の視点の映像が含まれる。入力された映像情報は、色補正処理部211、ヒストグラム部221に送られる。
【0027】
ヒストグラム部221では、色補正処理部211の映像情報出力端子141から出力される情報が、3次元立体視用映像である場合には、左右の両目用の映像それぞれに対して、色相一定諧調ごと(例えば、色相16諧調ごと)に含まれる画素数のヒストグラムを取得する。
【0028】
CPU251は、記憶装置241に記録されているプログラムに基づき、ヒストグラム部221の情報を取得する。入力映像が3次元立体視用映像の場合には、左右の両目用の映像が同じようなヒストグラムとなるよう、色補正処理部211の色相補正部の色相補正処理を制御する。
【0029】
次に、色補正処理部211の詳細を、図
5を用いて示す。
【0030】
入力端子11には、映像情報入力端子201から入力された色相値が入力される。ただし、本実施例では、色相値は8bitのフルレンジ(0〜255、256が0と同一の赤)として入力されるものとする。
【0031】
オフセット処理部81、82では、入力端子11から入力された色相値に対し、
図5に示される内部バス等に接続されるパラメータ設定端子21から入力される設定情報により設定された値の加減算を行い、色相値を変換して出力する。なおこの時、演算値が負値となった場合は、色相1周分の表現幅(本実施例では256)を加算、演算値が256以上となった場合には、色相1周分の表現幅256を減算する処理を行い、使用bit幅のフルレンジ内に値が収まるようにする。この処理は、色相1周分の正の剰余を求める処理としても同一である。
【0032】
色相補正部91、92では、
図6に示すような補正特性に従い、オフセット処理部81、82から入力された色相データに対して、直接補正量を求める。当該補正特性は、パラメータ設定端子21から設定された、複数の入力に対する出力値と傾きにより折れ線を指定する。なお、傾きの取り得る範囲を所定の範囲に制限することにより、補正後の色相が逆転する(出力色相が単調増加にならない)現象を防止することが可能になる。これは実施例1における色相情報の入出力特性において、傾きが負の値をとらないようにする制御と等価な制御である。
【0033】
ここで、色補正処理部211に3次元立体視用映像が入力される場合には、例えば、色相補正部のオフセット処理部81と色相補正部91とが右目用映像のための色補正処理を行い、色相補正部のオフセット処理部82と色相補正部92とが左目用映像のための色補正処理を行う。
図4のヒストグラム部221の情報に基づいて、CPU251が3次元立体視用映像の複数視点の映像間の色の差異を低減するように、色相補正部のオフセット処理部81、色相補正部91、オフセット処理部82、色相補正部92のパラメータ設定値を算出し、
図5のパラメータ設定端子21を介して算出したパラメタ設定値を上記各部に送信して設定を変更する。
【0034】
次に、映像フォーマットの判定と色相補正処理の切替えについて説明する。映像情報入力端子201から
図4の映像処理装置に入力された同期信号とデータ有効期間信号とは、
図5の色補正処理部211においては入力端子111から入力される。フォーマット判定部121では、入力端子111から入力された信号を元に、映像フォーマットの判定を行う。例えば、水平・垂直の同期信号をもとにカウントを行い、それに対してデータ有効信号がどのタイミングに、どれだけの期間入っているかを確認することで、(1)映像サイズ、(2)同期信号に対する映像の座標範囲、(3)2次元映像であるか3次元立体視用映像であるか、(4)3次元立体視用映像であった場合、どの種類(方式)の3次元立体視を行うための映像であるかなどを判定する。また、判定結果である映像フォーマット判定信号を、座標処理部131に出力する。ここでは、同期信号とデータ有効信号を用いて判定する方式を記載した。これに替えて、映像データに付随して送信される付随情報を元に映像のフォーマットの判定を行っても良い。この場合、
図4の映像処理装置には、映像情報入力端子201または図示しない入力端子から映像フォーマット(例えば、映像サイズ、3次元立体視用映像であるか否か、3次元立体視用映像である場合の3次元立体視の方式)を識別する情報が格納された付随情報を入力する。
図5の入力端子111から当該付随情報を入力し、フォーマット判定部121でフォーマット判定に用いるように構成すればよい。
【0035】
座標処理部131では、フォーマット判定部121から受け取った映像フォーマット判定信号のうち、2次元映像であるか3次元立体視用映像であるかの判定信号が、3次元立体視用映像であることを示していた場合、同期信号もしくはデータ有効期間信号などに基づいて、右目用映像もしくは左目用映像であることを示す判定信号を、補正量のタイミングにあわせて切替部101及び座標情報出力端子141へ出力する。
【0036】
切替部101では、色相補正部91を右目用の補正量とし、色相補正部92からの補正量を左目用の補正量とし、座標処理部131からの判定信号に応じて切り替えて出力する。
【0037】
補正加算部61では、実施例1と同様に切替部101からの補正量を加算して、出力端子71から出力することにより、色相の補正を行う。
【0038】
なお、オフセット処理部81、82でオフセット設定値を変更するだけで、色相補正部91、92の数多くの設定を行わずとも、
図7に示すように色相補正を行う範囲を変更することが可能となる。そのため、3次元立体視用映像の補正を行う際、左右の映像の色相の調整を、色相補正部91、92の設定値の変更とは独立してオフセット処理部81、82の設定値の変更で調整する構成とすれば、設定値の変更処制御が単純化され、CPU251の負荷を低減することが可能になる。
【0039】
なお、本実施例では、色相補正部を2系統もち、それぞれの出力を切り替えて、3次元立体視を行うための映像の左右の映像をそれぞれ補正する方式として記載した。本実施例の別の構成例としては、色相補正部を1系統として一方の眼の映像のみ補正し、他方の眼の映像の色相に近づける色相補正を行う方式としても良い。その場合は、座標処理部131からの判定信号により、補正対象側の眼の映像の座標位置での処理の場合、色相補正部91からの補正量を選択し、補正非対象側の眼の映像の座標位置での処理の場合、補正加算部61へ補正量0を入力するよう切り替える制御としても良い。
【0040】
また、本実施例の別の構成例として、切替部101を持たず、色相補正部も1系統しか持たない構成とする構成としても良い。この場合、1つの色相補正部中に、2種の補正テーブルを格納し、座標処理部131からの判定信号を元に補正テーブルを切り替えるよう構成してもかまわない。
【0041】
本実施例では、色相のみの処理として記載したが、特許文献1記載のように、色の範囲を3次元で設定し、色の補正を行っても良い。なお、3次元で表現する色表現は、色相を含んでいれば、彩度と明度で示されるものに限らない。
【0042】
以上説明した本発明の実施例2に係る映像処理装置によれば、3次元立体視を行うための映像における映像間に色の差異を低減した視覚的に好ましい色補正を行うことが可能となる。
【0043】
なお、色補正処理部211とヒストグラム部221とが一体に構成される映像処理部を構成してもよい。