(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5808202
(24)【登録日】2015年9月18日
(45)【発行日】2015年11月10日
(54)【発明の名称】電磁誘導加熱調理器
(51)【国際特許分類】
H05B 6/12 20060101AFI20151021BHJP
【FI】
H05B6/12 319
H05B6/12 317
H05B6/12 308
H05B6/12 318
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-190672(P2011-190672)
(22)【出願日】2011年9月1日
(65)【公開番号】特開2013-54847(P2013-54847A)
(43)【公開日】2013年3月21日
【審査請求日】2013年12月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000176866
【氏名又は名称】三菱電機ホーム機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085198
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 久夫
(74)【代理人】
【識別番号】100098604
【弁理士】
【氏名又は名称】安島 清
(74)【代理人】
【識別番号】100087620
【弁理士】
【氏名又は名称】高梨 範夫
(74)【代理人】
【識別番号】100125494
【弁理士】
【氏名又は名称】山東 元希
(74)【代理人】
【識別番号】100141324
【弁理士】
【氏名又は名称】小河 卓
(74)【代理人】
【識別番号】100153936
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 健誠
(74)【代理人】
【識別番号】100160831
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 元
(72)【発明者】
【氏名】大久保 直也
【審査官】
土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】
特表2008−528918(JP,A)
【文献】
特開2009−093974(JP,A)
【文献】
特開2005−302406(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 6/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも誘導加熱コイル、前記誘導加熱コイルの下方に配置されて該誘導加熱コイルから生じる磁束の磁路となるフェライトコア、及び前記誘導加熱コイルと前記フェライトコアを保持するコイルベースを有するコイルユニットと、
前記コイルユニットの下方に設けられ前記誘導加熱コイルからの漏洩磁界を低減するためのシールド部材と、
前記コイルユニットを冷却する冷却風を噴出させるための複数の第1の穴を有し、前記シールド部材の下方に配置された噴流板とを備え、
前記コイルユニットは、前記噴流板と前記シールド部材に対し、複数のバネを介し弾性保持されて所定距離浮いた状態に配置されているとともに、
前記シールド部材は、前記噴流板の前記複数の第1の穴に対応する複数の第2の穴が形成され、前記第2の穴が前記噴流板の前記第1の穴と合致するように該噴流板上面に固定されており、
前記噴流板の上面に、前記シールド部材の外周に沿う凸条を設けたことを特徴とする電磁誘導加熱調理器。
【請求項2】
少なくとも誘導加熱コイル、前記誘導加熱コイルの下方に配置されて該誘導加熱コイルから生じる磁束の磁路となるフェライトコア、及び前記誘導加熱コイルと前記フェライトコアを保持するコイルベースを有するコイルユニットと、
前記コイルユニットの下方に設けられ前記誘導加熱コイルからの漏洩磁界を低減するためのシールド部材と、
前記コイルユニットを冷却する冷却風を噴出させるための複数の第1の穴を有し、前記シールド部材の下方に配置された噴流板とを備え、
前記コイルユニットは、前記噴流板と前記シールド部材に対し、複数のバネを介し弾性保持されて所定距離浮いた状態に配置されているとともに、
前記シールド部材は、前記噴流板の前記複数の第1の穴に対応する複数の第2の穴が形成され、前記第2の穴が前記噴流板の前記第1の穴と合致するように該噴流板上面に固定されており、
前記シールド部材の外周縁の一側部に突出部を設けるとともに、前記噴流板に前記シールド部材の前記突出部が挿入固定可能な受入部を設けたことを特徴とする電磁誘導加熱調理器。
【請求項3】
前記シールド部材と前記噴流板の挿入固定部の反対側に、前記シールド部材を前記噴流板に共締めするための止着部を設けたことを特徴とする請求項2記載の電磁誘導加熱調理器。
【請求項4】
少なくとも誘導加熱コイル、前記誘導加熱コイルの下方に配置されて該誘導加熱コイルから生じる磁束の磁路となるフェライトコア、及び前記誘導加熱コイルと前記フェライトコアを保持するコイルベースを有するコイルユニットと、
前記コイルユニットの下方に設けられ前記誘導加熱コイルからの漏洩磁界を低減するためのシールド部材と、
前記コイルユニットを冷却する冷却風を噴出させるための複数の第1の穴を有し、前記シールド部材の下方に配置された噴流板とを備え、
前記コイルユニットは、前記噴流板と前記シールド部材に対し、複数のバネを介し弾性保持されて所定距離浮いた状態に配置されているとともに、
前記シールド部材は、前記噴流板の前記複数の第1の穴に対応する複数の第2の穴が形成され、前記第2の穴が前記噴流板の前記第1の穴と合致するように該噴流板上面に固定されており、
被加熱物から放射される赤外線を検出する赤外線センサーをさらに備え、前記シールド部材は、前記赤外線センサーを設置する部分を切り欠いた平板で構成されていることを特徴とする電磁誘導加熱調理器。
【請求項5】
前記シールド部材の第2の穴の径を前記噴流板の第1の穴の径よりも大きくしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電磁誘導加熱調理器。
【請求項6】
少なくとも誘導加熱コイル、前記誘導加熱コイルの下方に配置されて該誘導加熱コイルから生じる磁束の磁路となるフェライトコア、及び前記誘導加熱コイルと前記フェライトコアを保持するコイルベースを有するコイルユニットと、
前記コイルユニットの下方に設けられ前記誘導加熱コイルからの漏洩磁界を低減するためのシールド部材と、
前記コイルユニットを冷却する冷却風を噴出させるための複数の第1の穴を有し、前記シールド部材の下方に配置された噴流板とを備え、
前記シールド部材は、前記噴流板の前記複数の第1の穴に対応する複数の第2の穴が形成され、前記第2の穴が前記噴流板の前記第1の穴と合致するように該噴流板上面に固定されており、
前記噴流板の上面に、前記シールド部材の外周に沿う凸条を設けたことを特徴とする電磁誘導加熱調理器。
【請求項7】
少なくとも誘導加熱コイル、前記誘導加熱コイルの下方に配置されて該誘導加熱コイルから生じる磁束の磁路となるフェライトコア、及び前記誘導加熱コイルと前記フェライトコアを保持するコイルベースを有するコイルユニットと、
前記コイルユニットの下方に設けられ前記誘導加熱コイルからの漏洩磁界を低減するためのシールド部材と、
前記コイルユニットを冷却する冷却風を噴出させるための複数の第1の穴を有し、前記シールド部材の下方に配置された噴流板とを備え、
前記シールド部材は、前記噴流板の前記複数の第1の穴に対応する複数の第2の穴が形成され、前記第2の穴が前記噴流板の前記第1の穴と合致するように該噴流板上面に固定されており、
前記シールド部材の外周縁の一側部に突出部を設けるとともに、前記噴流板に前記シールド部材の前記突出部が挿入固定可能な受入部を設けたことを特徴とする電磁誘導加熱調理器。
【請求項8】
前記シールド部材と前記噴流板の挿入固定部の反対側に、前記シールド部材を前記噴流板に共締めするための止着部を設けたことを特徴とする請求項7記載の電磁誘導加熱調理器。
【請求項9】
少なくとも誘導加熱コイル、前記誘導加熱コイルの下方に配置されて該誘導加熱コイルから生じる磁束の磁路となるフェライトコア、及び前記誘導加熱コイルと前記フェライトコアを保持するコイルベースを有するコイルユニットと、
前記コイルユニットの下方に設けられ前記誘導加熱コイルからの漏洩磁界を低減するためのシールド部材と、
前記コイルユニットを冷却する冷却風を噴出させるための複数の第1の穴を有し、前記シールド部材の下方に配置された噴流板とを備え、
前記シールド部材は、前記噴流板の前記複数の第1の穴に対応する複数の第2の穴が形成され、前記第2の穴が前記噴流板の前記第1の穴と合致するように該噴流板上面に固定されており、
被加熱物から放射される赤外線を検出する赤外線センサーをさらに備え、前記シールド部材は、前記赤外線センサーを設置する部分を切り欠いた平板で構成されていることを特徴とする電磁誘導加熱調理器。
【請求項10】
前記シールド部材の第2の穴の径を前記噴流板の第1の穴の径よりも大きくしたことを特徴とする請求項7〜9のいずれか一項に記載の電磁誘導加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁誘導加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電磁誘導加熱調理器として、誘導加熱コイルと、誘導加熱コイル下方に配置されて誘導加熱コイルから生じる磁束の磁路となるフェライトコアと、誘導加熱コイルとフェライトコアを保持するコイルベースと、誘導加熱コイルからの漏洩磁界を低減するためのシールド部材とを備え、シールド部材は円盤状の平板で構成してコイルベース下面に固定したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなものにおいて、誘導加熱コイルから発生する磁力線によりシールド部材に渦電流が流れると、その渦電流により誘導加熱コイルが発生する磁力線と反対方向の磁力線が発生し、漏洩磁力線はシールド部材の近傍、すなわち誘導加熱コイルの下方で相殺される。また、シールド部材には、部分的に開口を設けてあり、誘導加熱コイル下部より送風される冷却風により冷却されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−108432号公報(
図1、
図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、シールド部材をコイルベース下面に固定したものにあっては、コイルベースに保持される誘導加熱コイルとシールド部材との間の距離が小さく、漏洩磁界の低減効果は大きいが、シールド部材の発熱も大きくなってしまう。
【0006】
また、発熱体である誘導加熱コイルを、基本的にシールド部材で覆うことになるため、誘導加熱コイルの露出部分(冷却風にさらされる部分)が減り、誘導加熱コイルの冷却性能を低下させてしまうという難点があった。このことは、コイルユニットに搭載されている他の発熱部品にも言えることであった。
【0007】
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたもので、シールド部材の発熱を低減させ、かつシールド部材によりコイルユニットの冷却性能を低下させることなく漏洩磁界を低減させ得るようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電磁誘導加熱調理器は、少なくとも誘導加熱コイル、誘導加熱コイルの下方に配置されてこの誘導加熱コイルから生じる磁束の磁路となるフェライトコア、及び誘導加熱コイルとフェライトコアを保持するコイルベースを有するコイルユニットと、コイルユニットの下方に設けられ誘導加熱コイルからの漏洩磁界を低減するためのシールド部材と、コイルユニットを冷却する冷却風を噴出させるための複数の第1の穴を有し、シールド部材の下方に配置された噴流板とを備え、コイルユニットは、噴流板とシールド部材に対し、複数のバネを介し弾性保持されて所定距離浮いた状態に配置されているとともに、シールド部材は、噴流板の複数の第1の穴に対応する複数の第2の穴が形成さ
れ、第2の穴が噴流板の第1の穴と合致するように噴流板上面に固定され
ており、噴流板の上面に、シールド部材の外周に沿う凸条を設けたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の電磁誘導加熱調理器においては、コイルユニットは、噴流板とシールド部材に対し、複数のバネを介し弾性保持されて所定距離浮いた状態に配置されているとともに、コイルユニットを冷却する冷却風を噴出させるための複数の第1の穴を有する噴流板の上面に、噴流板の第1の穴に対応する複数の第2の穴を有するシールド部材を、その第2の穴が噴流板の第1の穴と合致するように配置して固定し
、また噴流板の上面に、シールド部材の外周に沿う凸条を設けているので、誘導加熱コイルとシールド部材との間の距離を大きくでき、シールド部材の発熱を小さくすることができる
とともに、凸条によってシールド部材のエッジによる配線の傷つきを防止し、組立時の安全性を確保することができる。さらに、シールド部材が冷却風の流れを妨げることがなくなって、コイルユニットの冷却性能を低下させることなく、漏洩磁界を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係る電磁誘導加熱調理器のトッププレートを取り外して示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る電磁誘導加熱調理器のトッププレートとコイルユニットを取り外して示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る電磁誘導加熱調理器のトッププレートとコイルユニットを取り外して示す平面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る電磁誘導加熱調理器のシールド部材と噴流板の関係を示す分解斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る電磁誘導加熱調理器のシールド部材を噴流板に共締めした状態を示す平面図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る電磁誘導加熱調理器のシールド部材を噴流板に共締めした状態を示す斜視図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る電磁誘導加熱調理器のコイルユニットを示す平面図である。
【
図12】本発明の実施形態に係る電磁誘導加熱調理器のコイルユニットを示す下面図である。
【
図14】本発明の実施形態に係る電磁誘導加熱調理器のコイルユニットとシールド部材と噴流板の関係を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は本発明の実施形態に係る電磁誘導加熱調理器のトッププレートを取り外して示す斜視図、
図2は本発明の実施形態に係る電磁誘導加熱調理器のトッププレートとコイルユニットを取り外して示す斜視図、
図3は本発明の実施形態に係る電磁誘導加熱調理器のトッププレートとコイルユニットを取り外して示す平面図である。
本発明の実施形態の電磁誘導加熱調理器は、
図1乃至
図3のように外郭を構成する加熱調理器本体1(以下、本体1)と、本体1の上部開口面を覆うように取り付けられるトッププレート(図示せず)と、本体1の前面に配置された操作部2と、本体1の前面に操作部2と隣接して設けられたグリル扉3とを備えている。
【0012】
トッププレートは、調理を行う際に上面に調理容器を載置するものであり、耐熱強化ガラスより構成されている。そして、このトッププレートの下には、左右に加熱容量の異なる2つのコイルユニットが配置されるが、ここでは右側に位置する加熱容量の小さい側のコイルユニット4に係る発明であるため、左側に位置するコイルユニットについては説明を省略する。コイルユニット4には、小径および大径のリング状の誘導加熱コイル5,6が設けられている。コイルユニット4下方の本体1上には、噴流板7と板状のシールド部材8が設置されている。コイルユニット4は、噴流板7とシールド部材8に対し、図示しない複数のバネを介し弾性保持されて所定距離浮いた状態に配置され、トッププレートの下面に押し付けられるようになっている。そのため、噴流板5には周方向の複数箇所にバネ座9が設けられているとともに、コイルユニット4の後述するコイルベース21(
図12)の下面の周方向の複数箇所にバネ受け27(
図12)が設けられている。グリル扉3は、魚などを調理するグリル庫の開口を被うものであり、使用者がグリル扉3に設けられた取手を手前に引くことで開くことができる。
【0013】
そして、前述のコイルユニット4を構成する誘導加熱コイルに、インバーター回路(図示せず)を介して高周波電流が流れると、加熱コイルから高周波電流に応じた磁束が発生し、その磁束によりトッププレートに載置された調理容器の鍋などが誘導加熱される。
【0014】
図4は本発明の実施形態に係る電磁誘導加熱調理器のシールド部材と噴流板の関係を示す分解斜視図、
図5は本発明の実施形態に係る電磁誘導加熱調理器のシールド部材を噴流板に共締めした状態を示す平面図、
図6は
図5のA−A線矢視断面図、
図7は
図5のB−B線矢視断面図、
図8は
図5のイ方向より見た側面図、
図9は本発明の実施形態に係る電磁誘導加熱調理器のシールド部材を噴流板に共締めした状態を示す斜視図である。
噴流板7には、
図4のように冷却風を噴出する複数の穴すなわち第1の穴7aが形成され、前記
図1乃至
図3に示す本体1の背面側に形成された吸気口11より送風機(図示せず)によって吸い込まれた空気が第1の穴7aより噴出され、風路12を介して本体1背面側に形成された排気口13より排気されるようになっている。
【0015】
一方、シールド部材8には、
図4乃至
図9のように噴流板7の第1の穴7aに対応する複数の第2の穴8aが形成されており、シールド部材8は、第2の穴8aが噴流板7の第1の穴7aと合致するように位置合わせされて噴流板7の上面に固定されるようになっている。なお、シールド部材8の第2の穴8aの径は、噴流板7の第1の穴7aの径よりも大きく形成されており、これによって組立誤差等を吸収できるようになっている。そして、第1の穴7aから第2の穴8aを通過する冷却風によってシールド部材8及び上方に配置される基板や誘導加熱コイル5,6が冷却され、これらを冷却した冷却風は、既述したように風路12を介して本体1背面側に形成された排気口13より排気されるようになっている。
【0016】
また、噴流板7の上面の周縁部には、
図4及び
図5のようにシールド部材8の外周に沿う複数の凸条7bが設けられており、これら凸条7bによってシールド部材8のエッジによる配線の傷つきを防止し、さらに組立時の安全性を確保できるようにしている。
【0017】
また、シールド部材8の外周縁の一側部には、
図4のように突出部8bが設けられているとともに、噴流板7にシールド部材8の突出部8bが挿入固定可能な受入部であるブリッジ7cが設けられており、これによって位置決め(仮止め)が容易となっている。
【0018】
また、噴流板7の挿入固定部の反対側、つまり反ブリッジ側にねじ穴7dが設けられているとともに、シールド部材8のねじ穴7dに対応する位置にねじ挿通孔8cが形成され、これらがねじ14によって共締めされるようになっている。これにより、シールド部材8の浮き上がりを防止でき、誘導加熱コイル等との接触を防ぐことができ、かつ組立作業時の安全性の確保が容易となる。
【0019】
ところで、コイルユニット4には、被加熱物から放射される赤外線を検出する赤外線センサーが取り付けられるが、赤外線センサーのユニットは他の電子部品等と比べると大型である。そのため、シールド部材8には、赤外線センサーに対応する部分に切欠き8dによる逃げが形成されているとともに、噴流板7にも孔7eが形成されている。
【0020】
図10は本発明の実施形態に係る電磁誘導加熱調理器のコイルユニットを示す平面図、
図11は
図10のC−C線矢視断面図、
図12は本発明の実施形態に係る電磁誘導加熱調理器のコイルユニットを示す下面図、
図13は
図12のロ方向より見た側面図である。
コイルユニット4は、
図10乃至
図13のようにコイルベース21と、このコイルベース21に設けられる複数のフェライトコア22と、複数の誘導加熱コイル5,6と、被加熱物から放射される赤外線を検出する赤外線センサー23と、温度調整を行うための複数のサーミスタ24と、コイルベース21内での誘導加熱コイル6の位置を規定するための複数のスペーサー25と、コイルベース21の側板21aの外周全体覆うように設けた防磁リング26とを備えており、赤外線センサー23のセンサーケース23aが下方に突出して配置されている。
【0021】
防磁リング26は、コイルユニット4の外に誘導加熱コイル5,6から生じる磁束を漏れ難くするためのもので、組立作業時に、作業者がコイルユニット4の上下がわかるように、コイルユニット4の上位置にリングを閉じるかしめ部26aが位置している。
【0022】
図14は本発明の実施形態に係る電磁誘導加熱調理器のコイルユニットとシールド部材と噴流板の関係を示す平面図、
図15は
図14のD−D線矢視断面図である。
本発明の実施形態に係る電磁誘導加熱調理器は、噴流板の第1の穴7aに対応する複数の第2の穴8aを有するシールド部材8を、
図14及び
図15のようにコイルベース21から分離し、下方に所定距離離して配置される噴流板7の上面に固定するようにしているので、誘導加熱コイル5,6とシールド部材との間の距離を大きくでき、シールド部材の発熱を小さくすることができる。さらに、シールド部材が冷却風の流れを妨げることがなくなって、コイルユニット4に搭載された誘導加熱コイル5,6や他の発熱部品の冷却性能を低下させることなく、漏洩磁界を低減させることができる。
【符号の説明】
【0023】
1 加熱調理器本体、2 操作部、3 グリル扉、4 コイルユニット、5,6 誘導加熱コイル、7 噴流板、7a 第1の穴、7b 凸条、7c ブリッジ(受入部)、7d ねじ穴、7e 孔、8 シールド部材、8a 第2の穴、8b 突出部、8c ねじ挿通孔、8d 切欠き、9 バネ座、11 吸気口、12 風路、13 排気口、14 ねじ、21 コイルベース、21a 側板、22 フェライトコア、23 赤外線センサー、23a センサーケース、24 サーミスタ、25 スペーサー、26 防磁リング、26a かしめ部、27 バネ受け。