(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数のガラスと、ガラス間に配置したスペーサーと、ガラスの四周のうちの少なくとも一辺に配置されたガラス枠組構成部材と縁部材とを備え、スペーサーは、一次シールでガラスの内側面と接着してあり、縁部材は、ガラスの外周側に配置され、基部と、基部から延出する延出部を有し、基部をガラスの小口に対向して配置すると共に、延出部をガラス間に差し込んで、縁部材とスペーサーとガラスとを二次シールで接着してあり、ガラス枠組構成部材は、一次シール及び二次シールを被覆する被覆部を有し、縁部材とガラス枠組構成部材とが固定してあることを特徴とする開口部建材。
複数のガラスと、ガラス間に配置したスペーサーと、ガラスの四周のうちの少なくとも一辺に配置されたガラス枠組構成部材と縁部材とを備え、スペーサーは、一次シールでガラスの内側面と接着してあり、縁部材は、ガラスの外周側に配置され、基部と、基部から延出する延出部を有し、基部をガラスの小口に対向して配置すると共に、延出部をガラス間に差し込んで、縁部材とスペーサーとガラスとを二次シールで接着してあり、ガラスは、一次シール及び二次シールを被覆する被覆部を有し、縁部材とガラス枠組構成部材とが固定してあることを特徴とする開口部建材。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、複層ガラスを枠組みするガラス枠組構成部材の見付面と複層ガラス表面との段差を小さくできる、意匠性、断熱性等に優れた開口部建材の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による開口部建材は、複数のガラスと、ガラス間に配置したスペーサーと、ガラスの四周のうちの少なくとも一辺に配置されたガラス枠組構成部材と縁部材とを備え、スペーサーは、一次シールでガラスの内側面と接着してあり、縁部材は、
ガラスの外周側に配置され、基部と、基部から延出する延出部を有し、基部をガラスの小口に対向して配置すると共に、延出部をガラス間に差し込んで、縁部材とスペーサーとガラスとを二次シールで接着してあり、ガラス枠組構成部材は、一次シール及び二次シールを被覆する被覆部を有し、縁部材とガラス枠組構成部材とが固定してあることを特徴とする。
【0005】
請求項2記載の発明による開口部建材は、複数のガラスと、ガラス間に配置したスペーサーと、ガラスの四周のうちの少なくとも一辺に配置されたガラス枠組構成部材と縁部材とを備え、スペーサーは、一次シールでガラスの内側面と接着してあり、縁部材は、
ガラスの外周側に配置され、基部と、基部から延出する延出部を有し、基部をガラスの小口に対向して配置すると共に、延出部をガラス間に差し込んで、縁部材とスペーサーとガラスとを二次シールで接着してあり、ガラスは、一次シール及び二次シールを被覆する被覆部を有し、縁部材とガラス枠組構成部材とが固定してあることを特徴とする。
【0006】
請求項3記載の発明による開口部建材は、請求項1又は2記載の発明の構成に加え、縁部材とガラス枠組構成部材とが係合していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明による開口部建材は、縁部材の基部をガラスの小口に対向して配置すると共に、延出部をガラス間に差し込んで、縁部材とスペーサーとガラスとを二次シールで接着し、縁部材とガラス枠組構成部材とを固定したことで、ガラス枠組構成部材の見付面とガラスの外側面との間にグレージングチャンネルやシール材を介在させる必要がないため、ガラス枠組構成部材の見付面とガラスの外側面との段差を小さくでき、略フラットで意匠性に優れたものとなる。また、ガラス枠組構成部材の見込み寸法を小さく抑えたまま、ガラス間の隙間を広くして断熱性を向上できる。さらに、ガラスの小口と内側面が縁部材の基部と延出部に二次シールで接着されるため、ガラス間に水蒸気が浸入するのを防止できると共に、ガラス間の層間変位を防止することができる。また、縁部材を介して複層ガラスとガラス枠組構成部材とが一体化されることで、剛性アップが図れる。ガラス枠組構成部材に、一次シール及び二次シールを被覆する被覆部を有しているので、紫外線による一次シール及び二次シールの劣化を防止できる。
【0008】
請求項2記載の発明による開口部建材は、縁部材の基部をガラスの小口に対向して配置すると共に、延出部をガラス間に差し込んで、縁部材とスペーサーとガラスとを二次シールで接着し、縁部材とガラス枠組構成部材とを固定したことで、ガラス枠組構成部材の見付面とガラスの外側面との間にグレージングチャンネルやシール材を介在させる必要がないため、ガラス枠組構成部材の見付面とガラスの外側面との段差を小さくでき、略フラットで意匠性に優れたものとなる。また、ガラス枠組構成部材の見込み寸法を小さく抑えたまま、ガラス間の隙間を広くして断熱性を向上できる。さらに、ガラスの小口と内側面が縁部材の基部と延出部に二次シールで接着されるため、ガラス間に水蒸気が浸入するのを防止できると共に、ガラス間の層間変位を防止することができる。また、縁部材を介して複層ガラスとガラス枠組構成部材とが一体化されることで、剛性アップが図れる。ガラスに、一次シール及び二次シールを被覆する被覆部を有しているので、紫外線による一次シール及び二次シールの劣化を防止できる。
【0009】
請求項3記載の発明による開口部建材は、二次シールでガラス及びスペーサーと接着される縁部材にガラス枠組構成部材を係合させることで、ガラス枠組構成部材を容易に組付けできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の開口部建材の第1実施形態を示す縦断面図である。
【
図2】本発明の開口部建材の第1実施形態を示す横断面図である。
【
図3-1】同開口部建材の障子の組立手順を示す説明図である。
【
図3-2】同開口部建材の障子の組立手順(
図3−1の続き)を示す説明図である。
【
図3-3】同開口部建材の障子の組立手順(
図3−2の続き)を示す説明図である。
【
図3-4】同開口部建材の障子の組立手順(
図3−3の続き)を示す説明図である。
【
図4】一次シール及び二次シールを被覆する被覆部の他の例を示す障子下框の縦断面図である。
【
図5】(a)は障子(外障子)の他の実施形態を示す縦断面図、(b)は同障子の横断面図である。
【
図6】本発明の開口部建材の第2実施形態を示す縦断面図である。
【
図7】本発明の開口部建材の第2実施形態を示す横断面図である。
【
図8】(a)は第2実施形態の開口部建材の外障子の平面図、(b)は同外障子の室外側正面図である。
【
図9】(a)(b)は同外障子の組立て方を示す縦断面図、(c)(d)は同外障子の組立て方を示す横断面図である。
【
図10】横框と縁部材とでガラスの四周を枠組みした後、竪框を取付ける様子を示す室外側正面図である。
【
図11】本発明の開口部建材の第3実施形態を示す縦断面図である。
【
図12】本発明の開口部建材の第3実施形態を示す横断面図である。
【
図13】(a)は第3実施形態の開口部建材の外障子の平面図、(b)は同外障子の室外側正面図である。
【
図14】(a)(b)は同外障子の組立て方を示す縦断面図、(c)(d)は同外障子の組立て方を示す横断面図である。
【
図15】本発明の開口部建材の第4実施形態を示す縦断面図である。
【
図16】本発明の開口部建材の第4実施形態を示す横断面図である。
【
図17】従来の複層ガラスを框に納めた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1,2は、本発明の開口部建材の第1実施形態であって、住宅の窓開口部に設置される引違いサッシに適用した場合を示している。本サッシは、躯体開口部に取付けたサッシ枠1と、サッシ枠1内に引違い状に開閉自在に収めた外障子2a及び内障子2bとを備えている。
【0012】
サッシ枠1は、上枠3と下枠4と左右の竪枠5,5とを枠組みして構成してある。上枠3と下枠4には、外障子2aと内障子2bをそれぞれ案内する外レール6aと内レール6bが、内周側に突出して形成されている。上枠3と下枠4と竪枠5の室内側の内周部には、樹脂製のアングル7が設けてある。下枠4は、室外側の下部に水切り37が係合取付けされている。上枠3と竪枠5は、室外側面にカバー38を係合取付けし、上枠3と竪枠5を躯体に固定するためのネジ39を隠してある。
【0013】
外障子2aと内障子2bは、
図1,2に示すように、スペーサー8を挟んで2枚のガラス9,9を室内外方向に間隔をおいて保持した複層ガラス10を、上下の横框11,12と左右の竪框13,14とで四周枠組みして構成してある。2枚のガラス9,9の間には、約16mmの隙間Sが形成されている。スペーサー8は、ステンレスの薄い板をロールフォーミングにより筒状に形成してあり、4本のスペーサー8を矩形に枠組みしてガラス9,9間に配置し、ガラス9,9の内側面9c,9cに一次シール15で接着してある。スペーサー8の内部には乾燥剤16が入れられ、スペーサー8の内周側面には多数の通気孔(図示省略)が形成してある。
【0014】
横框11,12は、
図1に示すように、室外側に配置したアルミ製框材35と、アルミ製框材35の室内側の見えがかりの部分を覆うようにアルミ製框材35に係合取付けした樹脂カバー36を有し、樹脂カバー36により室内側の結露を防止すると共に断熱性能を向上させている。
さらに横框11,12は、アルミ製框材35の内周側に縁部材26が長手方向に沿って配置してある。縁部材26は、アルミ合金の押出形材よりなり、ガラス9の小口9bに対向する基部27と、基部27より内周側に突出してガラス9,9間に延出する延出部28と、基部27の外周側面に室内外方向に間隔をあけて長手方向に沿って形成した2本の係合部29を有している。延出部28は、内周側に向かうにつれて幅が狭くなった中空の台形状に形成されている。縁部材26は、基部27と延出部28とがガラス9の小口9bと内側面9c及びスペーサー8と二次シール20により接着されており、係合部29はアルミ製框材35の内周側面に長手方向に沿って形成したアリ溝状の被係合部30に係合している。
アルミ製框材35と樹脂カバー36は、一次シール15及び二次シール20を被覆する板状の被覆部40a,40bを内周側に突出して有し、被覆部40a,40bはガラス9,9の外側面9a,9aと僅かな隙間を空けた状態で対峙している。樹脂カバー36は、室外側面の内周側と外周側に鉤状の係合部41a,41bを長手方向に沿って有し、アルミ製框材35は樹脂カバー36の係合部41a,41bと係合する被係合部42a,42bを長手方向に沿って有している。
【0015】
竪框13,14は、
図2に示すように、横框11,12と同様に、アルミ製框材35の室内側の見えがかりの部分を覆うように樹脂カバー36を組み付け、アルミ製框材35の内周側面に縁部材26を係合取付けしてあり、縁部材26の基部27と延出部28とがガラス9の小口9bと内側面9c及びスペーサー8と二次シール20により接着されている。竪框13,14は、一次シール15及び二次シール20を被覆する被覆部40a,40bを内周側に突出して有し、被覆部40a,40bはガラス9,9の外側面9a,9aと僅かな隙間を空けた状態で対峙している。
竪框13,14の室外側の見付面13a,14aは、横框11,12の室外側の見付面11a,12aと面一になっている。
【0016】
本サッシの障子2a,2bの組立て方を説明すると、
図3−1(a),(c)に示すように、予め2枚のガラス9,9間にスペーサー8を一次シール15で接着して配置すると共に、スペーサー8の外周側のガラス9,9間に二次シール20を充填し、縁部材26をガラス9,9の周囲から押し付ける。すると
図3−1(b),(d)に示すように、二次シール20が台形状の延出部28に押されて縁部材26の基部27とガラス9,9の小口9b,9bの間にはみ出し、縁部材26とガラス9,9とスペーサー8が二次シール20で接着される。こうしてガラス9,9の四周に縁部材26を取付けた後、
図3−2に示すように、横框11,12を長手方向に沿ってスライドさせながら、縁部材26の係合部29に横框11,12の被係合部30を係合させ、横框11,12を取付ける。次に、
図3−3に示すように、竪框13,14を長手方向に沿ってスライドさせながら、縁部材26の係合部29に被係合部30を係合させて竪框13,14を取付ける。その後、
図3−4に示すように、竪框13,14の側方から横框11,12のタッピングホール19(
図1参照)にネジ31を捩じ込み、竪框13,14と横框11,12とを連結・固定する。こうして竪横框11,12,13,14を固定すると、縁部材26は横框11,12間と竪框13,14間に挟み込まれ、長手方向に滑らないように固定される。
横框11,12及び竪框13,14は、アルミ製框材35と樹脂カバー36とを組合わせた状態で縁部材26に取付けてもよいし、先にアルミ製框材35のみを縁部材26に取付け、框組した後で樹脂カバー36を取付けることもできる。
【0017】
別の組み立て方として、横框11,12と竪框13,14に縁部材26を被係合部30に係合部29を係合させてそれぞれ取付け、ネジ止めや被係合部30をかしめるなどして縁部材26を框に固定し、その後に複層ガラス10の四周に横框11,12と竪框13,14を押し付けて各縁部材26を二次シール20でガラス9,9及びスペーサー8と接着させ、横框11,12と竪框13,14をネジ31で連結・固定することで組立てることもできる。このように縁部材26を竪横框11,12,13,14に先に取付けることで、障子2a,2bの組立手順をより簡略化できる。また、縁部材26を竪横框11,12,13,14と別体で形成することで、押出成形(特に中空台形状の延出部28の押出成形)が容易になる。
【0018】
以上に述べたように本サッシの障子2a,2bは、横框11,12と竪框13,14の内周側に縁部材26を長手方向に沿ってそれぞれ設け、縁部材26の基部27をガラス9,9の小口9b,9bに対向して配置すると共に、延出部28をガラス9,9間に差し込んで、縁部材26とスペーサー8とガラス9,9とを二次シール20で接着し、縁部材26の係合部29を竪横框11,12,13,14の被係合部30に係合して固定したことで、竪横框の被覆部40a,40bとガラス9,9との間にグレージングチャンネルやシール材を介在させることなく、ガラス9,9を竪横框11,12,13,14に固定できるため、竪横框11,12,13,14の見付面11a,12a,13a,14aとガラス9,9の外側面9a,9aとの段差を小さくできる。これにより室外側面と室内側面が略フラットになり、すっきりした意匠になる。さらに本障子2a,2bでは、竪横框11,12,13,14の室外側の見付面11a,12a,13a,14aを面一にしたので、フラット感を一層向上している。またこのように、框11,12,13,14の見付面とガラス9,9の外側面9a,9aとの段差が小さいことで、框11,12,13,14の見込み寸法を小さく抑えつつガラス9,9間の隙間Sを広くすることができ、障子2a,2bの断熱性能が向上する。各框11,12,13,14には、一次シール15及び二次シール20を被覆する被覆部40a,40bを有しているので、一次シール15及び二次シール20が外から見えず意匠性が向上すると共に、紫外線による一次シール15及び二次シール20の劣化を防止できる。
さらに本障子2a,2bは、ガラス9,9の小口9b,9bと内側面9c,9cが、ガラス9,9の四周全周にわたり、連続する二次シール20により縁部材26の基部27及び延出部28と接着されているため、ガラス9,9間に水蒸気が浸入するのを防止できると共に、ガラス9,9間の層間変位を防止することができる。また、複層ガラス10が各框11,12,13,14と一体化されているため、障子2a,2bの剛性アップが図れる。本障子2a,2bは、ガラス9,9の四周に縁部材26を設け、横框11,12及び竪框13,14を長手方向にスライドさせて縁部材26の係合部29に被係合部30を係合させることで容易に組付けでき、障子2a,2bの組立が容易に行える。また、障子2a,2bの組立てが複層ガラス10の製造工程に連続して行えるため、製作コストや輸送コストを削減することができる。
【0019】
図4は、一次シール15及び二次シール20を被覆する被覆部の他の実施形態を示している。
図4(a)は、框に被覆部を一体成形するのではなく、ガラス9,9の外側面9a,9aと框(横框)12の見付面12a,12aとに跨るようにテープ32,32を貼り、テープ32により一次シール15及び二次シール20を被覆している。
図4(b)は、ガラス9,9の内側面9c,9cの周縁部に印刷により塗料33を付着させ、塗料33により一次シール15及び二次シール20を被覆している。これらの構成によっても、紫外線による一次シール15及び二次シール20の劣化を防止できる。
【0020】
図5は、障子(外障子2a)の他の実施形態を示している。本実施形態のものは、樹脂カバー36の内周側の係合部41aが室外側に突出する突起状に形成され、この係合部41aをアルミ製框材35に設けた溝型の被係合部42aに室内側から挿入・係止することで、樹脂カバー36を簡易に取付けている。本障子は、ガラス9,9が縁部材26を介して框11,12,13,14に固定されているため、樹脂カバー36には室内側に押す力が働かないので、このような取付け方でも樹脂カバー36が外れない。
【0021】
図6〜8は、本発明の開口部建材の第2実施形態を示している。本実施形態は、サッシ枠1と外障子2aと内障子2bとを備える引違いサッシである点は第1実施形態と同様であり、横框11,12及び竪框13,14の構成が第1実施形態とは異なっている。横框11,12及び竪框13,14は、アルミニウム合金の押出形材よりなり、室内側に樹脂カバーを設けていない。
横框11,12は、
図6に示すように、内周側面にガラス9,9の小口9b,9bに対向する基部17と、基部17より室内外方向に間隔をあけて内周側に突出した延出部18,18と、延出部18間に外周側に開口して設けたタッピングホール19とを有しており、基部17と延出部18とがガラス9の小口9bと内側面9c及びスペーサー8と、二次シール20により接着されている。横框11,12の見付面11a,12aは、ガラス9の外側面9aと略面一になっている。横框11,12には、室外側と室内側に押縁21が長手方向に沿って取付けてあり、押縁21により一次シール15及び二次シール20を被覆している。押縁21は、室内外方向に突出する取付片22を有し、取付片22を基部17とガラス9の小口9bとの間の二次シール20内に差し込んで取付けてある。
【0022】
竪框13,14は、
図7に示すように、見込み壁23と一対の見付壁24,24とからなるコ字型断面の呑み込み部25を内周側に開口して有し、呑み込み部25の底部には縁部材26が配置してある。縁部材26は、アルミニウム合金の押出形材よりなり、ガラス9の小口9bに対向する基部27と、基部27より室内外方向に間隔をあけて内周側に突出した延出部28,28と、基部27の外周側面に室内外方向に間隔をあけて長手方向に沿って形成した2本の係合部29を有しており、基部27と延出部28とがガラス9の小口9bと内側面9c及びスペーサー8と二次シール20により接着されており、係合部29は竪框13,14の見込み壁23に長手方向に沿って形成したアリ溝状の被係合部30に係合している。竪框13,14の見付壁24は、ガラス9の外側面9aに僅かな隙間を空けた状態で対向しており、見付壁24により一次シール15及び二次シール20を被覆している。
縁部材26は、竪框13,14のほぼ全長にわたって設けてあり、
図8(b)に示すように、延出部28の上下端部が切り欠かれており、横框11,12は、
図8(a)に示すように、長手方向端部を竪框13,14の呑み込み部25内に呑み込み、両側の端面を縁部材26,26の内周側面に当接させてあり、横框11,12の側方から竪框13,14と縁部材26,26を貫通して横框11,12のタッピングホール19に捩じ込んだネジ31により、竪框13,14と縁部材26,26を横框11,12と固定している。
【0023】
次に、障子2a,2bの組立て方を説明する。
図9(a)に示すように、スペーサー8の室外側面と室内側面とに一次シール15を付着し、横框11,12には延出部18と基部17とのコーナー部に二次シール20を付着し、スペーサー8と延出部18を挟むように2枚のガラス9,9を両側から押し付ける。これと同時に、
図9(c)に示すように、ガラス9,9の縦辺部においても、スペーサー8の室外側面と室内側面とに一次シール15を付着し、縁部材26,26の延出部28と基部27とのコーナー部に二次シール20を付着し、スペーサー8と延出部28を挟むように2枚のガラス9,9を両側から押し付ける。こうしてガラス9,9を両側から押し付けると、
図9(b)と
図9(d)に示すように、横框11,12の延出部18と縁部材26,26の延出部28がガラス9,9の内側面9c,9cと二次シール20で接着されると共に、二次シール20が横框11,12と縁部材26,26の基部17,27とガラス9,9の小口9b,9bとの隙間にはみ出し、これらの基部17,27とガラス9,9の小口9b,9bとが二次シール20で接着される。その後、横框11,12の基部17とガラス9の小口9bとの間の二次シール20に取付片22を差し込んで押縁21を取付ける。こうしてガラス9,9の四周を横框11,12と縁部材26,26とで枠組みした後、
図10に示すように、竪框13,14を長手方向に沿ってスライドさせながら、縁部材26,26の係合部29,29に被係合部30,30を係合させて竪框13,14を取付ける。その後、横框11,12の側方からタッピングホール19にネジ31を捩じ込み、竪框13,14と縁部材26,26を横框11,12に固定する。なお、押縁21の取付けは、竪框13,14を取付けた後に行うこともできる。
【0024】
以上に述べたように本サッシの障子2a,2bは、竪框13,14の呑み込み部25内の底部に縁部材26,26を設け、縁部材26の基部27をガラス9,9の小口9b,9bに対向して配置すると共に、延出部28,28をガラス9,9間に差し込んで、縁部材26,26とスペーサー8とガラス9,9とを二次シール20で接着し、縁部材26,26の係合部29,29を竪框13,14の被係合部30,30に係合したことで、竪框13,14の見付壁24,24とガラス9,9の外側面9a,9aとの間にグレージングチャンネルやシール材を介在させる必要がないため、竪框13,14の見付壁24,24とガラス9,9の外側面9a,9aとの段差を小さくできる。また横框11,12は、基部17をガラス9,9の小口9b,9bに対向して配置すると共に、延出部18,18をガラス9,9間に差し込んで、横框11,12をガラス9,9及びスペーサー8と二次シール20で接着することで、横框11,12の見付面11a,12aとガラス9,9の外側面9a,9aとの段差も小さくできる。これにより、室外側面と室内側面が略フラットになり、しかも横框11,12に取付けた押縁21と竪框13,14の見付壁24により、二次シール20とスペーサー8が隠れているので、すっきりした意匠になる。またこのように、框11,12,13,14の見付面とガラス9,9の外側面9a,9aとの段差が小さいことで、框11,12,13,14の見込み寸法を小さく抑えつつガラス9,9間の隙間Sを広くすることができ、障子2a,2bの断熱性能が向上する。一次シール15及び二次シール20が押縁21と竪框13,14の見付壁24で隠れていることで、紫外線による一次シール15及び二次シール20の劣化を防止できる。
さらに本障子2a,2bは、ガラス9,9の小口9b,9bと内側面9c,9cが、ガラス9,9の四周全周にわたり、連続する二次シール20により横框11,12と縁部材26,26の基部17,27及び延出部18,28と接着されているため、ガラス9,9間に水蒸気が浸入するのを防止できると共に、ガラス9,9間の層間変位を防止することができる。また、複層ガラス10が各框11,12,13,14と一体化されているため、障子2a,2bの剛性アップが図れる。さらに、延出部18,28間には二次シール20を充填する必要がないため、二次シール20の使用量を少なくできる。竪框13,14は、縁部材26,26を複層ガラス10に二次シール20で接着した後、長手方向にスライドさせて縁部材26,26の係合部29,29に被係合部30,30を係合させることで、容易に組付けできる。
また本障子2a,2bは、横框11,12と縁部材26,26を複層ガラス10と二次シール20で接着し、竪框13,14を長手方向にスライドさせて縁部材26,26に係合取付けして、竪框13,14と縁部材26,26を横框11,12にネジ31で固定することで、障子2a,2bの組み立てをガラス9,9の接着と同時に簡易に行うことができ、製作コストや輸送コストを削減することができる。横框11,12の長手方向端部を竪框13,14の呑み込み部25に呑み込ませ、且つ横框11,12の端面を縁部材26,26の内周側面に当接しているため、竪・横框11,12,13,14をがたつきなく固定でき、障子2a,2bを正確に且つ堅牢に組み立てできる。押縁21を後付けにしたことで、障子2a,2bの組立が妨げられない。
【0025】
横框11,12に押縁21を取付ける代わりに、
図4(a)に示すように、ガラス9の外側面9aと横框12の見付面12aとに跨るようにテープ32を貼ったり、
図4(b)に示すように、ガラス9,9の内側面9c,9cの周縁部に印刷により塗料33を付着させたりすることで、一次シール15及び二次シール20を被覆することもできる。
【0026】
図11〜13は、本発明の開口部建材の第3実施形態を示している。本実施形態は、サッシ枠1と外障子2aと内障子2bとを備える引違いサッシである点は第1及び第2実施形態と同様であり、横框11,12の断面形状と竪框13,14の呑み込み部25内に配置する縁部材26,26の断面形状が第2実施形態とは異なっている。
横框11,12は、
図11に示すように、ガラス9,9間に差し入れられる延出部18が、内周側に向かって幅狭となった中空の台形状に形成されている。また、ガラス9,9の小口9b,9bに面する基部17の両側に、ガラス9,9の外側面9a,9aを被うカバー片34,34が横框11,12と一体に形成され、カバー片34,34はガラス9,9の外側面9a,9aに僅かな隙間を空けた状態で対向しており、カバー片34,34により一次シール15及び二次シール20を被覆している。横框11,12は、
図13に示すように、長手方向両端部のカバー片34を切除すると共に、長手方向両端部を竪框13,14の呑み込み部25に呑み込ませ、端面を縁部材26,26の内周側面に当接している。
竪框13,14の呑み込み部25内に設ける縁部材26,26は、
図12に示すように、ガラス9,9間に差し入れられる延出部28が、横框11,12と同様に中空の台形状に形成されている。
【0027】
本サッシの障子2a,2bの組立て方を説明すると、
図14(a),(c)に示すように、予め2枚のガラス9,9間にスペーサー8を一次シール15で接着して配置すると共に、スペーサー8の外周側のガラス9,9間に二次シール20を充填し、横框11,12と縁部材26,26をガラス9,9の周囲から押し付ける。すると
図14(b),(d)に示すように、二次シール20が台形状の延出部18,28に押されて横框11,12及び縁部材26,26の基部17,27とガラス9,9の小口9b,9bの間にはみ出し、横框11,12とガラス9,9とスペーサー8、縁部材26,26とガラス9,9とスペーサー8が、二次シール20で接着される。後は第2実施形態と同様に、
図10に示すように、竪框13,14を長手方向に沿ってスライドさせながら、縁部材26,26の係合部29,29に被係合部30,30を係合させて竪框13,14を取付ける。その後、横框11,12の側方からタッピングホール19にネジ31を捩じ込み、竪框13,14と縁部材26,26を横框11,12に固定する。
【0028】
本実施形態の障子2a,2bも、第1及び第2実施形態と同様に、框11,12,13,14の見付面とガラス9,9の外側面9a,9aの段差の小さいフラットな意匠になる、框11,12,13,14の見込み寸法を小さく抑えながらガラス9,9間の隙間Sを大きくでき、断熱性能が向上する、複層ガラス10と框11,12,13,14が一体化することで障子の剛性がアップする、二次シール20の量を少なくできる、障子2a,2bの組み立てが複層ガラス10の製作と同時に簡易に行えるといった効果を有する。さらに、横框11,12と縁部材26,26の延出部18,28を台形状とし、横框11,12と縁部材26,26をガラス9,9の周囲から押し付けて取付けるようにしたことで、複層ガラス10を既存の製造設備を用いて従来と同様に製作できる、横框11,12に二次シール20を隠すためのカバー片34を一体に形成できるといった効果も有する。
本実施形態では、台形状の延出部18,28の幅を第1実施形態(
図1,2参照)のものよりも広くしたことで、二次シール20の量をより少なくできる。なお第1実施形態のように延出部28の幅を狭くすると、ガラス9,9をより厚いものに変更した場合でも同一の縁部材26を使用できる利点がある。
【0029】
図15,16は、本発明の開口部建材の第4実施形態を示している。本実施形態は、障子2a,2bの横框11,12と竪框13,14が、室外側に配置したアルミ製框材35と、アルミ製框材35の室内側の見えがかりの部分を覆うようにアルミ製框材35に係合取付けした樹脂カバー36の二部材で形成されている。このように、框の室内側の見えがかり部分を樹脂カバー36で覆うことで、障子2a,2bの断熱性能をより一層向上させることができる。横框11,12と縁部材26,26に延出部18,28が2条の突起状に形成されている点は第2実施形態と同様で、障子2a,2bの組立て方も第2実施形態のものと同様である。
本実施形態において、
図11,12に示す第3実施形態のように、横框11,12と縁部材26,26に延出部18,28を中空の台形状に形成し、
図14に示すように、横框11,12と縁部材26,26をガラス9,9の周囲から押し付けて取付けるようにすることもできる。
【0030】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。障子は、引違い状に開閉するものに限らず、回動ないしすべり出して開閉するものや、サッシ枠に固定した嵌め殺し障子であってもよい。ガラス枠組構成部材は、ガラスの周囲を枠組みするものであればよく、実施形態のような竪框と横框に限らず、竪枠、横枠、方立、無目等であってもよい。ガラス枠組構成部材や縁部材の断面形状は、適宜変更することができる。縁部材は、ガラス枠組構成部材に係合して取付けるものに限らず、ネジ止め等によりガラス枠組構成部材に固定することもできる。ガラスは、3枚以上とすることもできる。本発明の開口部建材は、建物の窓に限らず、電車等の乗り物の窓等に用いることもできる。