特許第5808256号(P5808256)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5808256-アダプタ取付構造 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5808256
(24)【登録日】2015年9月18日
(45)【発行日】2015年11月10日
(54)【発明の名称】アダプタ取付構造
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20151021BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20151021BHJP
【FI】
   H02G3/04
   B60R16/02 623D
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-2824(P2012-2824)
(22)【出願日】2012年1月11日
(65)【公開番号】特開2013-143832(P2013-143832A)
(43)【公開日】2013年7月22日
【審査請求日】2014年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】森 貞男
【審査官】 甲斐 哲雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−225626(JP,A)
【文献】 特開平11−339893(JP,A)
【文献】 特開2005−176503(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にハーネス挿通部が設けられたプロテクタの外部にアダプタ固定部が設けられ、コネクタを前記プロテクタに固定するアダプタを取り付けるアダプタ取付構造であって、
前記アダプタ固定部にはアダプタがスライドして嵌合するプロテクタ側ガイドレールが設けられ、
前記アダプタには、前記プロテクタ側ガイドレールにスライドして嵌合するアダプタ側ガイドレールが設けられ、
前記アダプタ固定部又は前記アダプタのいずれか一方にスライド方向に沿う案内溝を設け、いずれか他方に該案内溝に挿入してアダプタをアダプタ固定部の正規位置に位置決め案内する位置決めリブを設けたことを特徴とするアダプタ取付構造。
【請求項2】
請求項1記載のアダプタ取付構造であって、
前記案内溝は、少なくとも位置決めリブを挿入する開口端が前記プロテクタの側面に位置して視認可能であることを特徴とするアダプタ取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタをプロテクタに固定するためのアダプタに関し、車両等に搭載されるアダプタの取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プロテクタに、例えば分岐ワイヤハーネス固定用の分岐用アダプタを取り付けることが特許文献1に提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−30359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなプロテクタに分岐アダプタを取り付けるとき、取り付け位置であるアダプタのロックがアダプタの裏面にあり、作業者から見えない状態で、いわゆる目くら作業となるため、取り付けに手間がかかり、取り付け作業が面倒であった。
【0005】
すなわち、図4に示すように、アダプタ100に設けられるコネクタ固定部101をプロテクタ200に設けられるアダプタ固定部201に挿入する際に、目くら作業で、斜め挿入した場合、アダプタ100のガイドレール102とプロテクタ200のガイドレール202とが完全に嵌合せず、半嵌合となるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、作業者から見えない目くら作業の状態であっても、プロテクタをアダプタに容易に、かつ、正規位置に取り付けることができるアダプタ取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明請求項1の発明によれば、内部にハーネス挿通部が設けられたプロテクタの外部にアダプタ固定部が設けられ、コネクタをプロテクタに固定するアダプタを取り付けるアダプタ取付構造であって、アダプタ固定部にはアダプタがスライドして嵌合するプロテクタ側ガイドレールが設けられ、アダプタには、プロテクタ側ガイドレールにスライドして嵌合するアダプタ側ガイドレールが設けられ、アダプタ固定部又はアダプタのいずれか一方にスライド方向に沿う案内溝を設け、いずれか他方に該案内溝に挿入してアダプタをアダプタ固定部の正規位置に位置決め案内する位置決めリブを設けたことを特徴とする。
【0008】
また、請求項2の発明によれば、請求項1記載のアダプタ取付構造であって、案内溝は、少なくとも位置決めリブを挿入する開口端がプロテクタの側面に位置して視認可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、アダプタ固定部又はアダプタにスライド方向に沿う案内溝を設け、他方に該案内溝に挿入してアダプタをアダプタ固定部の正規位置に位置決め案内する位置決めリブを設けたことにより、アダプタとプロテクタを正規位置に位置決めすることができ、例えめくら作業であっても、容易にアダプタをプロテクタに取り付けることができる。
【0010】
また、アダプタをプロテクタに斜めに挿入した場合であっても、位置決めリブが案内溝内に挿入されるので、位置決めリブによってアダプタとプロテクタが半嵌合するのを防止することができる。
【0011】
さらに、案内溝を、少なくとも位置決めリブを挿入する開口端がプロテクタの側面に位置して視認可能とすることにより、目くら作業でも、より確実にアダプタとプロテクタを嵌合させることができ、かつ、アダプタとプロテクタが半嵌合することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】(a)アダプタの表面斜視図、(b)アダプタの裏面斜視図。
図2】アダプタをプロテクタに挿入する前の斜視図。
図3】(a)アダプタがプロテクタに嵌合された斜視図、(b)(a)のA−A断面図。
図4】従来のアダプタとプロテクタとの半嵌合状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0014】
<実施例1>
図1〜3を用いて本発明のアダプタ取付構造を説明する。図1(a)は、本実施例のアダプタ1の表面1aの斜視図である。また、図1(b)は、アダプタ1の裏面1bの斜視図である。図2(a)、(b)は、アダプタ1とプロテクタ2との組み付け前の状態を示す斜視図である。図3(a)は、アダプタ1をプロテクタ2にスライドして挿入している状態の斜視図であり、図3(b)は、アダプタ1とプロテクタ2との嵌合状態を示す概略断面図である。
【0015】
図1〜3に示すように、本実施例のアダプタ取付構造は、内部にハーネス挿通部が設けられたプロテクタ2と図示しないコネクタをプロテクタ2に取り付けるためのアダプタ1とから構成されている。
【0016】
プロテクタ2は、略箱状に形成され、プロテクタ内部をハーネスが挿通するハーネス挿通部とプロテクタ2の表面に設けられたアダプタ固定部3とから構成されている。
【0017】
アダプタ固定部3は、後述するアダプタ1がスライドして嵌合する断面L字状の一対のプロテクタ側ガイドレール8とアダプタ1のスライド挿入方向に沿う案内溝9とから構成されている。
【0018】
プロテクタ側ガイドレール8は、プロテクタ2の表面から突出する突設壁8aと、この突設壁8aの先端から離間する方向に突設する突設片8bとから構成されて略L字形状となっている。本実施例においては、プロテクタ側ガイドレール8が2箇所に設けられており、アダプタ1をプロテクタ2の嵌合をより確実なものとしている。この一対の突設壁8a間には、後述するアダプタ1の固定爪部14aが嵌合される固定片部8cが形成されている。
【0019】
プロテクタ側ガイドレール8と一定の間隔を置いて形成される案内溝9は、プロテクタ2の表面2aにおいて一端から他端にかけて形成され、端部にはそれぞれ拡幅部9aが設けられている。また、案内溝9の深さは、アダプタ1に設けられる位置決めリブ6の突出高さとほぼ同じか、位置決めリブ6の突出高さよりも深く形成されることが好ましい。また、案内溝9の幅においても、位置決めリブ6の厚さとほぼ同じ幅とするか、もしくは位置決めリブ6の厚さよりも幅を大きくすることが望ましい。
【0020】
上記において説明したプロテクタ2に取り付けられるアダプタ1は、略台形形状の本体部4とアダプタ1の裏面1bに設けられプロテクタ2に固定する固定部5と、プロテクタ2に設けられた案内溝9内に挿入される位置決めリブ6とから構成されている。
【0021】
アダプタ1の本体部4の表面1aには、図示しないコネクタが固定される固定部5が表面1aから突設して形成されている。また、固定部5には、アダプタ1にコネクタを取り付ける際に、コネクタを案内するコネクタ案内溝10が設けられ、コネクタ案内溝10の端部には、コネクタをアダプタ1に固定するコネクタ嵌合部11がアダプタ1の表面1aから突出するように弾性を有して形成されている。
【0022】
アダプタ1の裏面1bには、プロテクタ2に設けられたプロテクタ側ガイドレール8に挿入され係合するアダプタ側ガイドレール12とプロテクタ2の案内溝9に挿入される位置決めリブ6が形成されている。
【0023】
このアダプタ側ガイドレール12は、一端側には幅広凹部13が形成され、他端側には、幅狭凹部14が形成されている。幅狭凹部14には、プロテクタ側ガイドレール8の突設片8bと嵌合するアダプタ側突設片12aが互いに近接するように突設している。また、幅狭凹部14内には、略三角形状の固定爪部14aが位置決めリブ6と同方向に突出して設けられ、一対のプロテクタ側ガイドレール8間に設けられる固定片部8cに嵌合する形状となっている。
【0024】
アダプタ1の裏面1bから突出するように形成される位置決めリブ6は、アダプタ側ガイドレール12に沿うように突設されている。この位置決めリブ6のアダプタ1裏面1bからの突出高さは、案内溝9の深さによって適宜変更可能である。
【0025】
次に、アダプタ1をプロテクタ2に取り付ける手順について説明する。
【0026】
図2図3(a)に示すように、アダプタ1の裏面1bに設けられた位置決めリブ6とプロテクタ2の表面2aに設けられた案内溝9とを対峙させ、幅広凹部13にプロテクタ側ガイドレール8が収容されるように配置し、かつ、アダプタ1の裏面1bに設けられた案内溝9に位置決めリブ6を挿入する。
【0027】
そして、幅広凹部13から幅狭凹部14へ向けて位置決めリブ6が案内溝9を摺動するようにスライドさせる。
【0028】
このように、案内溝9内を位置決めリブ6が修道するようにアダプタ1をプロテクタ2に対してスライドさせることにより、アダプタ1の裏面1bに設けられた位置決めリブ6が、プロテクタ2の表面2aに設けられた案内溝9に案内され、正規位置にアダプタ1を位置決めする。位置決めリブ6が案内溝9に挿入されることによって、断面略U字状のアダプタ側ガイドレール12にプロテクタ2に設けられた一対の断面L字状のプロテクタ側ガイドレール8が挿入してプロテクタ側ガイドレール8の突設片8bがアダプタ側ガイドレール12のアダプタ側突設片12aと係止することで、アダプタ1がプロテクタ2に取り付けられて嵌合する。
【0029】
本実施例では、アダプタに位置決めリブを設け、プロテクタに案内溝を設け、案内溝に位置決めリブを挿入し、案内溝に沿って位置決めリブをスライドさせることによって、アダプタとプロテクタを正規位置に位置決めすることができ、例えめくら作業であっても、容易にアダプタとプロテクタを嵌合させることができる。
【0030】
また、アダプタをプロテクタに斜めに挿入した場合、位置決めリブによってアダプタとプロテクタが半嵌合するのを防止することができる。
【0031】
さらに、案内溝を、少なくとも位置決めリブを挿入する開口端がプロテクタの側面に位置して視認可能とすることにより、目くら作業であっても、より確実にアダプタとプロテクタを嵌合させることができ、かつ、アダプタとプロテクタが半嵌合することを防止することができる。
【0032】
本実施例において、位置決めリブは、アダプタの裏面に設けられているが、アダプタ側ガイドレールに干渉しない箇所であれば、アダプタの裏面であればどこに設けてもよい。この場合、アダプタ側ガイドレールと挿入方向が同一方向であればよい。
【0033】
また、本実施例において、位置決めリブは、アダプタの裏面に設けているが、プロテクタの表面に設けてもよい。この場合、案内溝をアダプタの裏面に設けることが好ましい。さらに、位置決めリブの挿入方向先端部分にテーパ部を設け、テーパ部が位置決めリブを案内溝に案内するような構成としてもよい。
【0034】
さらに、本実施例では、アダプタをプロテクタに固定する例を示したが、プロテクタ以外のコネクタに取り付ける場合にも適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、コネクタをアダプタを介してプロテクタに取り付ける際に利用することができる。
【符号の説明】
【0036】
1 アダプタ
2 プロテクタ
3 アダプタ固定部
4 本体部
5 固定部
6 位置決めリブ
8 プロテクタ側ガイドレール
9 案内溝
10 コネクタ案内溝
図1
図2
図3
図4