(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1増感剤以外の増感剤が、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、ジフェニルスルホン、炭素数10〜21の脂肪酸アミド、β−ベンジルオキシナフタレン、1,2−ビス(フェノキシメチル)ベンゼン、シュウ酸ジ(p−メチルベンジル)及びシュウ酸ジベンジルからなる群より選ばれる少なくとも一種である、請求項1に記載の感熱記録材料。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
【0021】
本発明の感熱記録材料は支持体の少なくとも片面上に感熱記録層が積層されてなり、この感熱記録層は、顕色剤として、下記一般式(1)で表されるフェノールスルホン酸アリールエステル(以下、単に「式(1)のフェノールスルホン酸アリールエステル」ともいう。)を少なくとも1種以上含有する。
【0023】
[式中、R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基又はヒドロキシ基を示し、且つ、R
1及びR
2は同時に水素原子を示さず;R
3及びR
4は、それぞれ独立して、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシ基、シアノ基、炭素数6〜14のアリール基又は炭素数7〜15のアラルキル基を示し;mは、0〜3の整数を示し;nは、0〜4の整数を示す。]
【0024】
以下に、上記一般式(1)における各記号の定義について詳述する。
一般式(1)において、R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基又はヒドロキシ基を示し、且つ、R
1及びR
2は同時に水素原子を示さない。R
1及びR
2は、同一でも異なっていても良く、同一であることが好ましいが、同時に水素原子を示さない。
【0025】
R
1又はR
2で示される「炭素数1〜8のアルキル基」は、直鎖又は分岐のいずれでもよく、このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基等が挙げられる。アルキル基の炭素数は、好ましく1〜5、より好ましくは1〜3である。
【0026】
R
1又はR
2で示される「炭素数1〜8のアルコキシ基」は、直鎖又は分岐のいずれでもよく、このようなアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペントキシ基、イソペントキシ基、ネオペントキシ基、t−ペントキシ基、n−ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基等が挙げられる。中でも合成の容易さと原料の入手のし易さ、工業化の面において、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましい。
【0027】
R
1又はR
2で示される「ハロゲン原子」としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、又はヨウ素原子が挙げられ、中でも塩素原子又は臭素原子が好ましい。
【0028】
R
1及びR
2は、好ましくは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基を示し、且つ、R
1及びR
2は同時に水素原子を示さない。
【0029】
R
3及びR
4は、それぞれ独立して、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシ基、シアノ基、炭素数6〜14のアリール基又は炭素数7〜15のアラルキル基を示す。
【0030】
R
3又はR
4で示される「炭素数1〜8のアルキル基」、「炭素数1〜8のアルコキシ基」及び「ハロゲン原子」としては、各々、上記R
1又はR
2で示される「炭素数1〜8のアルキル基」、「炭素数1〜8のアルコキシ基」及び「ハロゲン原子」と同様のものが挙げられる。
【0031】
R
3又はR
4で示される「炭素数2〜8のアルケニル基」は、直鎖又は分岐のいずれでもよく、例えば、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、1−プロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1,3−ブタンジエニル基、2−メチル−2−プロペニル基等が挙げられ、中でもビニル基、アリル基が好ましい。
【0032】
R
3又はR
4で示される「炭素数が6〜14のアリール基」としては、単環〜3環式の芳香族炭化水素基が挙げられる。例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられ、中でもフェニル基が好ましい。アリール基は、例えば、上記アルキル基、上記アリール基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよく、置換基の位置及び数は任意であって特に限定されるものではない。2個以上の置換基で置換されている場合、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。また、アリール基は、結合しているベンゼン環と縮合していてもよい。
【0033】
R
3又はR
4で示される「炭素数7〜15のアラルキル基」としては、例えば、フェニルメチル基(ベンジル基)、フェニルエチル基(フェネチル基)、ジフェニルメチル基、3−フェニルプロピル基、2−フェニルプロピル基、4−フェニルブチル基、ビフェニル基、ビフェニルメチル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。中でもベンジル基等の炭素数7〜8のアラルキル基が好適である。
【0034】
R
3及びR
4は、好ましくは、それぞれ独立して、炭素数1〜8のアルキルを示し、特に好ましくは、メチル基又はエチル基を示す。
【0035】
一般式(1)において、mは、0〜3の整数、好ましくは0〜2の整数、特に好ましくは0又は1を示す。nは、0〜4の整数、好ましくは0〜2の整数、特に好ましくは0又は1を示す。
【0036】
一般式(1)で表されるフェノールスルホン酸アリールエステルとしては、好ましくは、
R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基を示し、且つ、R
1及びR
2は同時に水素原子を示さず;
R
3及びR
4は、それぞれ独立して、炭素数1〜8のアルキル基(好ましくは、メチル基又はエチル基)を示し;
mは、0〜2の整数(好ましくは0又は1)を示し;
nは、0〜2の整数(好ましくは0又は1)を示す
化合物である。
【0037】
本発明においては、一般式(1)で表されるフェノールスルホン酸アリールエステルの中でも、下記一般式(1A)で表されるものが特に好ましい。
【0039】
[式中、R
1a及びR
2aは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基を示し、且つ、R
1a及びR
2aが同時に水素原子を示さず;R
3aは、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシ基、シアノ基、炭素数6〜14のアリール基又は炭素数7〜15のアラルキル基を示し;maは、0〜3の整数を示す。]
【0040】
以下に、上記一般式(1A)における各記号の定義について詳述する。
一般式(1A)中、R
1a及びR
2aは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基を示し、且つ、R
1a及びR
2aが同時に水素原子を示さない。また、R
1a及びR
2aは、同一でも異なっていても良く、同一であることが好ましいが、同時に水素原子を示さない。
【0041】
R
1a又はR
2aで示される「炭素数1〜8のアルキル基」は、直鎖又は分岐のいずれでもよく、このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基等が挙げられる。当該アルキル基の炭素数は、好ましく1〜5、より好ましくは1〜3である。
【0042】
R
1a又はR
2aで示される「炭素数1〜8のアルコキシ基」は、直鎖又は分岐のいずれでもよく、このようなアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基等が挙げられる。中でも合成の容易さと原料の入手のし易さ、工業化の面において、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましい。
【0043】
R
1a及びR
2aとしては、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、メトキシ基又はエトキシ基が好ましく、これらの中でも、R
1a及びR
2aが、それぞれ独立して、メチル基又はエチル基であることが好ましく、特に、R
1a及びR
2aがいずれも、メチル基又はエチル基であることが好ましい。
【0044】
R
3aは、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシ基、シアノ基、炭素数6〜14のアリール基又は炭素数7〜15のアラルキル基を示す。
【0045】
R
3aで示される「炭素数1〜8のアルキル基」、「炭素数1〜8のアルコキシ基」及び「ハロゲン原子」としては、各々、上記R
1又はR
2で示される「炭素数1〜8のアルキル基」、「炭素数1〜8のアルコキシ基」及び「ハロゲン原子」と同様のものが挙げられる。
【0046】
R
3aで示される「炭素数2〜8のアルケニル基」は、直鎖又は分岐のいずれでもよく、例えば、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、1−プロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1,3−ブタンジエニル基、2−メチル−2−プロペニル基等が挙げられ、中でもビニル基、アリル基が好ましい。
【0047】
R
3aで示される「炭素数が6〜14のアリール基」としては、単環〜3環式の芳香族炭化水素基が挙げられる。例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられ、中でもフェニル基が好ましい。アリール基は、例えば、上記アルキル基、上記アリール基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子で置換されていてもよく、置換基の位置及び数は任意であって特に限定されるものではない。2個以上の置換基で置換されている場合、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。また、アリール基は、結合しているベンゼン環と縮合していてもよい。
【0048】
R
3aで示される「炭素数7〜15のアラルキル基」としては、例えば、フェニルメチル基(ベンジル基)、フェニルエチル基(フェネチル基)、ジフェニルメチル基、3−フェニルプロピル基、2−フェニルプロピル基、4−フェニルブチル基、ビフェニル基、ビフェニルメチル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。中でもベンジル基等の炭素数7〜8のアラルキル基が好適である。
【0049】
R
3aとしては、「炭素数1〜8のアルキル基」が好ましく、メチル基又はエチル基が特に好ましい。
【0050】
一般式(1A)において、maは0〜3の整数、好ましくは0〜2の整数、特に好ましくは0又は1を示す。
また、maが1である場合、R
3aは、ベンゼン環の4位の位置(スルホニル基に対してパラ位)に置換されていることが好ましい。
【0051】
一般式(1A)中のヒドロキシ基は、ベンゼン環の4位の位置(スルホニル基に対してパラ位)に置換されていることが好ましい。
【0052】
一般式(1A)で表されるフェノールスルホン酸アリールエステルとしては、好ましくは、R
1a及びR
2aは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、メトキシ基又はエトキシ基(好ましくは、メチル基又はエチル基)を示し、且つ、R
1及びR
2は同時に水素原子を示さず;
R
3aは、炭素数1〜8のアルキル基(好ましくは、メチル基又はエチル基)を示し;
maは、0〜2の整数(好ましくは0又は1)を示す
化合物である。
【0053】
本発明の上記一般式(1)又は(1A)で表されるフェノールスルホン酸アリールエステルとして、例えば、下記式(a1)〜(a11)で表される化合物が好適に挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、以下では「式(a1)で表される化合物」等を「例示化合物(a1)」等と略称することがある。
【0065】
これらの中では、発色感度と保存性のバランスの点から例示化合物(a3)〜(a8)が好ましい。
【0066】
本発明における上記一般式(1)で表されるフェノールスルホン酸アリールエステルは、公知のスルホン酸エステルの製造方法に準じて合成される。例えば、前述の特許文献3に記載されているように、アセトキシベンゼンスルホニルクロライドとフェノール誘導体とを反応させてエステル体とした後、塩基性条件下あるいは酸性条件下で、脱アセチル化し目的物を得ることができる。
【0067】
[第2顕色剤]
感熱記録層には、顕色剤として、上記一般式(1)で表されるフェノールスルホン酸アリールエステル(すなわち、第1顕色剤)に加え、その他の顕色剤(以下、「第2顕色剤」とも称す)を含有することができる。
【0068】
感熱記録層における第2顕色剤の含有量は、式(1)のフェノールスルホン酸アリールエステル1重量部に対し、通常0.005〜1重量部であり、好ましくは0.01〜0.8重量部であり、特に好ましくは0.02〜0.7重量部である。第2の顕色剤の含有量がかかる範囲内であることにより、高い発色感度を維持すると共に、耐水性、耐湿性等の画像保存性をさらに向上させることができる。
【0069】
第2の顕色剤としては、従来の感圧あるいは感熱記録紙の分野で公知のものはすべて使用可能であり、特に制限されるものではないが、ビスフェノールスルホン系化合物、ビスフェノール系化合物、ウレア系化合物およびノボラック型フェノール系化合物が好ましい。以下に代表的な顕色剤の具体例を示す。
【0070】
<ビスフェノールスルホン系化合物>
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−n−プロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−アリルオキシジフェニルスルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4−ヒドロキシフェニル−4’−ベンジルオキシフェニルスルホン、3,4−ジヒドロキシフェニル−4’−メチルフェニルスルホン、特許第3913820号公報記載のビスフェノールスルホン架橋型化合物、特許第4004289号公報記載のビスフェノールスルホン誘導体化合物等
<ビスフェノール系化合物>
4,4’−イソプロピリデンジフェノール、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、ジ(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、2,2’−チオビス(3−tert−オクチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェノール)等
<ウレア系化合物>
4,4’−ビス(3−(フェノキシカルボニルアミノ)メチルフェニルウレイド)ジフェニルスルホン、特許第4601174号公報に記載されたN−(p−トルエンスルホニル)−N’−(3−p−トルエンスルホニル−オキシ−フェニル)ウレア化合物等
<ノボラック型フェノール系化合物>
国際公開第02/098674号パンフレットに記載のフェノール−ホルマリン縮合物等
<その他>
活性白土、アタパルジャイト、コロイダルシリカ、珪酸アルミニウム等の無機酸性物質、ヒドロキノンモノベンジルエーテル、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、特開平8−59603号公報記載のアミノベンゼンスルホンアミド誘導体、ビス(4−ヒドロキシフェニルチオエトキシ)メタン、1,5−ジ(4−ヒドロキシフェニルチオ)−3−オキサペンタン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)酢酸メチル、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,4−ビス[α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、1,3−ビス[α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、国際公開第02/081229号パンフレットあるいは特開2002−301873号公報記載の化合物、N,N’−ジ−m−クロロフェニルチオウレア等のチオ尿素化合物、p−クロロ安息香酸、没食子酸ステアリル、ビス[4−(n−オクチルオキシカルボニルアミノ)サリチル酸亜鉛]2水和物、4−[2−(p−メトキシフェノキシ)エチルオキシ]サリチル酸、4−[3−(p−トリルスルホニル)プロピルオキシ]サリチル酸、5−[p−(2−p−メトキシフェノキシエトキシ)クミル]サリチル酸の芳香族カルボン酸、及びこれらの芳香族カルボン酸の亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、チタン、マンガン、スズ、ニッケル等の多価金属塩との塩、さらにはチオシアン酸亜鉛のアンチピリン錯体、テレフタルアルデヒド酸と他の芳香族カルボン酸との複合亜鉛塩等が挙げられる。特開平10−258577号公報記載の高級脂肪酸金属複塩や多価ヒドロキシ芳香族化合物などの金属キレート型発色成分を含有することもできる。
【0071】
これらの第2顕色剤の中でも、好ましくは、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−n−プロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−アリルオキシジフェニルスルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、2,2’−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、特許第3913820号公報記載のジフェニルスルホン架橋型化合物、特許第4004289号公報記載のジフェニルスルホン誘導体化合物、国際公開第02/098674号パンフレットに記載のフェノール−ホルマリン縮合物、4,4’−ビス(3−(フェノキシカルボニルアミノ)メチルフェニルウレイド)ジフェニルスルホン、特許第4601174号公報に記載されたN−(p−トルエンスルホニル)−N’−(3−p−トルエンスルホニル−オキシ−フェニル)ウレア化合物であり、特に好ましくは、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−n−プロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−アリルオキシジフェニルスルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、特許第3913820号公報記載のビスフェノールスルホン架橋型化合物、特許第4004289号公報記載のビスフェノールスルホン誘導体化合物である。これらの第2顕色剤は単独、あるいは2種以上混合しても使用できる。また、これらの化合物は、公知の方法によって製造することができる。
【0072】
[無色ないし淡色の塩基性(電子供与性)ロイコ染料]
本発明において、感熱記録層は、無色ないし淡色の塩基性(電子供与性)ロイコ染料を含有する。かかる無色ないし淡色の塩基性(電子供与性)ロイコ染料としては、従来の感圧あるいは感熱記録紙分野で公知のものは全て使用可能であり、特に制限されるものではないが、トリフェニルメタン系化合物、フルオラン系化合物、フルオレン系化合物、ジビニル系化合物等が好ましい。以下に代表的なロイコ染料(染料前駆体)の具体例を示す。また、これらの染料前駆体は単独又は2種以上混合して使用してもよい。
【0073】
<トリフェニルメタン系ロイコ染料>
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド〔別名クリスタルバイオレットラクトン〕;
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド〔別名マラカイトグリーンラクトン〕
【0074】
<フルオラン系ロイコ染料>
3−ジエチルアミノ−6−メチルフルオラン;
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン;
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン;
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン;
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン;
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン;
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン;
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン;
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−メチルアニリノ)フルオラン;
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−n−オクチルアニリノフルオラン;
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−n−オクチルアミノフルオラン;
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−ベンジルアミノフルオラン;
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−ジベンジルアミノフルオラン;
3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン;
3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン;
3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−p−メチルアニリノフルオラン;
3−ジエチルアミノ−6−エトキシエチル−7−アニリノフルオラン;
3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン;
3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン;
3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン;
3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン;
3−ジエチルアミノ−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン;
3−ジエチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン;
3−ジエチルアミノ−ベンゾ〔a〕フルオラン;
3−ジエチルアミノ−ベンゾ〔c〕フルオラン;
3−ジブチルアミノ−6−メチル−フルオラン;
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン;
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン;
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン;
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン;
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン;
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン;
3−ジブチルアミノ−6−メチル−クロロフルオラン;
3−ジブチルアミノ−6−エトキシエチル−7−アニリノフルオラン;
3−ジブチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン;
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−p−メチルアニリノフルオラン;
3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン;
3−ジブチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン;
3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン;
3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン;
3−ジ−n−ペンチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン;
3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン;
3−ジ−n−ペンチルアミノ−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン;
3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン;
3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン;
3−(N−メチル−N−プロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン;
3−(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン;
3−(N−エチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン;
3−(N−エチル−N−シクロヘキシルアミノ)−6−メチル−7−(p−クロロアニリノ)フルオラン;
3−(N−エチル−p−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン;
3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン;
3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−クロロ−7−アニリノフルオラン;
3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン;
3−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン;
3−(N−エチル−N−エトキシプロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン;
3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン;
2−(4−オキサヘキシル)−3−ジメチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン;
2−(4−オキサヘキシル)−3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン;
2−(4−オキサヘキシル)−3−ジプロピルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン;
2−メチル−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン;
2−メトキシ−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン;
2−クロロ−3−メチル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン;
2−クロロ−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン;
2−ニトロ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン;
2−アミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン;
2−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン;
2−フェニル−6−メチル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン;
2−ベンジル−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン;
2−ヒドロキシ−6−p−(p−フェニルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン;
3−メチル−6−p−(p−ジメチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン;
3−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジエチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン;
3−ジエチルアミノ−6−p−(p−ジブチルアミノフェニル)アミノアニリノフルオラン;
2,4−ジメチル−6−〔(4−ジメチルアミノ)アニリノ〕−フルオラン
【0075】
<フルオレン系ロイコ染料>
3,6,6’−トリス(ジメチルアミノ)スピロ〔フルオレン−9,3’−フタリド〕;
3,6,6’−トリス(ジエチルアミノ)スピロ〔フルオレン−9,3’−フタリド〕
【0076】
<ジビニル系ロイコ染料>
3,3−ビス−〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド;
3,3−ビス−〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)エテニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド;
3,3−ビス−〔1,1−ビス(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド;
3,3−ビス−〔1−(4−メトキシフェニル)−1−(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド
【0077】
<その他>
3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド;
3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド;
3−(4−シクロヘキシルエチルアミノ−2−メトキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド;
3,3−ビス(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド;
3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(3’−ニトロ)アニリノラクタム;
3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオラン−γ−(4’−ニトロ)アニリノラクタム;
1,1−ビス−〔2’,2’,2’’,2’’−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2,2−ジニトリルエタン;
1,1−ビス−〔2’,2’,2’’,2’’−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2−β−ナフトイルエタン;
1,1−ビス−〔2’,2’,2’’,2’’−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−2,2−ジアセチルエタン;
ビス−〔2,2,2’,2’−テトラキス−(p−ジメチルアミノフェニル)−エテニル〕−メチルマロン酸ジメチルエステル
【0078】
[増感剤]
本発明において、感熱記録層は、下記一般式(2)で表されるスルホンアミド系化合物を少なくとも1種以上含有する。
【0080】
[式中、R
iは、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基又はアリールオキシ基を示し;pは、0〜3の整数を示す。]
【0081】
以下に、上記一般式(2)における各記号の定義について詳述する。
一般式(2)において、R
iは、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基又はアリールオキシ基を示す。
【0082】
R
iで示される「炭素数1〜8のアルキル基」は、直鎖又は分岐のいずれでもよく、このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基等が挙げられる。アルキル基の炭素数は、好ましく1〜5、より好ましくは1〜3である。
【0083】
R
iで示される「炭素数1〜8のアルコキシ基」は、直鎖又は分岐のいずれでもよく、このようなアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペントキシ基、イソペントキシ基、ネオペントキシ基、t−ペントキシ基、n−ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基等が挙げられる。中でも合成の容易さと原料の入手のし易さ、工業化の面において、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましい。
【0084】
R
iで示される「ハロゲン原子」としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子、又はヨウ素原子が挙げられ、中でも塩素原子又は臭素原子が好ましい。
【0085】
R
iで示される「アリールオキシ基」としては、例えば、フェノキシ基等が挙げられる。
【0086】
R
iは、好ましくは、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基である。
【0087】
一般式(2)において、pは0〜3の整数を示し、好ましくは、0〜2であり、特に好ましくは0又は1である。R
iが複数個存在する場合、それぞれのR
iは互いに同一でも、異なっていてもよい。
【0088】
一般式(2)で表されるスルホンアミド系化合物としては、好ましくは、R
iが、各々独立して、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基であり;pが、0〜2の整数(好ましくは、0又は1)
である化合物である。
【0089】
一般式(2)で表されるスルホンアミド系化合物としては、例えば、ベンゼンスルホンアミド、メタトルエンスルホンアミド、オルトトルエンスルホンアミド、パラトルエンスルホンアミド、2−エチルベンゼンスルホンアミド、3−エチルベンゼンスルホンアミド、4−エチルベンゼンスルホンアミド、2−プロピルベンゼンスルホンアミド、3−プロピルベンゼンスルホンアミド、4−プロピルベンゼンスルホンアミド、2−イソプロピルベンゼンスルホンアミド、3−イソプロピルベンゼンスルホンアミド、4−イソプロピルベンゼンスルホンアミド、2−クロロベンゼンスルホンアミド、3−クロロベンゼンスルホンアミド、4−クロロベンゼンスルホンアミド、2−ブロモベンゼンスルホンアミド、3−ブロモベンゼンスルホンアミド、4−ブロモベンゼンスルホンアミド、2−メトキシベンゼンスルホンアミド、3−メトキシベンゼンスルホンアミド、4−メトキシベンゼンスルホンアミド、2−エトキシベンゼンスルホンアミド、3−エトキシベンゼンスルホンアミド、4−エトキシベンゼンスルホンアミド、2,3−ジクロロベンゼンスルホンアミド、3,4−ジクロロベンゼンスルホンアミド、2,5−ジクロロベンゼンスルホンアミド、4−ブロモ−2−メトキシベンゼンスルホンアミド、5−ブロモ−2−メトキシベンゼンスルホンアミド等が挙げられ、中でも増感効果に優れ、コストが安価であるといった観点から、オルトトルエンスルホンアミド、パラトルエンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミドが好ましい。これらの化合物は、公知の方法によって製造することができる。
【0090】
本発明において、感熱記録層は、上記一般式(2)で表されるスルホンアミド系化合物(すなわち、第1増感剤)に加え、当該スルホンアミド系化合物以外の他の増感剤(以下、「第2増感剤」とも称する)を含有する。かかる第2増感剤としては、従来公知の増感剤をすべて使用可能であり、特に制限されるものではないが、例えば、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド等の炭素数10〜21の脂肪酸アミド、エチレンビスアミド、モンタン酸ワックス、ポリエチレンワックス、1,2−ジ−(3−メチルフェノキシ)エタン、p−ベンジルビフェニル、β−ベンジルオキシナフタレン、ジフェニルスルホン、4−ビフェニル−p−トリルエーテル、m−ターフェニル、1,2−ジフェノキシエタン、1,2−ビス(フェノキシメチル)ベンゼン、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ジ(p−クロロベンジル)、シュウ酸ジ(p−メチルベンジル)、テレフタル酸ジベンジル、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、ジ−p−トリルカーボネート、フェニル−α−ナフチルカーボネート、1,4−ジエトキシナフタレン、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステル、o−キシレン−ビス−(フェニルエーテル)、4−(m−メチルフェノキシメチル)ビフェニル、4,4’−エチレンジオキシ−ビス−安息香酸ジベンジルエステル、ジベンゾイルオキシメタン、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エチレン、ビス[2−(4−メトキシ−フェノキシ)エチル]エーテル、p−ニトロ安息香酸メチル、p−トルエンスルホン酸フェニル等が挙げられ、これらの増感剤は、1種又は2種以上が使用される。なかでも、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、ジフェニルスルホン、炭素数10〜21の脂肪酸アミド、β−ベンジルオキシナフタレン、1,2−ビス(フェノキシメチル)ベンゼン、シュウ酸ジ(p−メチルベンジル)及びシュウ酸ジベンジルからなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましく、より好ましくは、1,2−ジ−(3−メチルフェノキシ)エタン又はジフェニルスルホンであり、特に好ましくは、1,2−ジ−(3−メチルフェノキシ)エタンである。
【0091】
感熱記録層に含有される増感剤全量中、上記一般式(2)で表されるスルホンアミド系化合物(第1増感剤)の割合は1重量%以上が好ましく、より好ましくは5重量%以上、さら一層好ましくは10重量%以上、とりわけ好ましくは20重量%以上である。また、90重量%以下が好ましく、より好ましくは85重量%以下、さら一層好ましくは75重量%以下、とりわけ好ましくは70重量%以下である。
【0092】
[安定剤]
本発明の感熱記録材料において、上記課題に対する所望の効果を阻害しない範囲で、白紙部と記録部画像の保存性向上等のため、感熱記録層は安定剤を含有させることができる。かかる安定剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系化合物、4,4’−ブチリデン(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、2,2’−ジ−t−ブチル−5,5’−ジメチル−4,4’−スルホニルジフェノール、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン等、あるいはベンゾフェノン系やトリアゾール系の紫外線吸収剤が挙げられるが、特にこれらに制限されるものではない。これらの安定剤は、単独又は二種以上を混合して使用してもよい。これらの中でも特に好ましくは、ヒンダードフェノール系化合物である。
【0093】
<ヒンダードフェノール系化合物>
本発明で使用するヒンダードフェノール系化合物は、一分子中に、通常1個以上、15個以下、好ましくは2個以上、6個以下のフェノール基を有し、分子量が通常200以上、2000以下、好ましくは250以上、1800以下、より好ましくは300以上、1500以下の化合物である。
【0094】
本発明で使用するヒンダードフェノール系化合物の融点は、好ましくは100℃以上であり、また、通常300℃以下である。
【0095】
本発明で使用するヒンダードフェノール系化合物は、2位又は6位のいずれかが水素原子であるフェノール基(ヒドロキシフェニル基)を少なくとも1個有することが好ましい。
【0096】
本発明で使用するヒンダードフェノール系化合物の好適な態様としては、例えば、トリス(ヒドロキシフェニル)アルカン、1,1,3−トリス置換ブタン系化合物等が挙げられ、具体的には、特公昭39−4469号公報、特開昭56−40629号公報等に記載されているトリス(ヒドロキシフェニル)アルカン、1,1,3−トリス置換ブタン系化合物等が挙げられる。
【0097】
本発明において、ヒンダードフェノール系化合物は、保存性向上の観点から、特に好ましくはトリス(ヒドロキシフェニル)アルカン又は1,1,3−トリス置換ブタン系化合物であり、殊更好ましくは下記一般式(3)で表される化合物(以下、一般式(3)の化合物ともいう)である。
【0099】
[式中、R
5、R
8及びR
11は、それぞれ独立して、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数3〜8のシクロアルキル基を示し、R
6、R
7、R
9、R
10、R
12及びR
13は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数3〜6のシクロアルキル基を示す。]
【0100】
当該一般式(3)の化合物において、式中、R
5、R
8及びR
11で示される「炭素数1〜8のアルキル基」は、直鎖状又は分岐状のいずれでもよく、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、2−メチルブチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。当該アルキル基の炭素数は1〜6が好ましい。
【0101】
当該一般式(3)の化合物において、式中、R
5、R
8及びR
11で示される「炭素数3〜8のシクロアルキル基」としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。当該シクロアルキル基の炭素数は3〜6が好ましい。
【0102】
当該一般式(3)の化合物において、式中、R
5、R
8及びR
11は、互いに同一の基であってもよいし、異なる基であってもよいが、互いに同一の基であることが好ましい。
【0103】
当該一般式(3)の化合物において、式中、R
6、R
7、R
9、R
10、R
12及びR
13で示される「炭素数1〜8のアルキル基」は、直鎖状又は分岐状のいずれでもよく、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、2−メチルブチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。当該アルキル基の炭素数は、1〜5が好ましい。
【0104】
当該一般式(3)の化合物において、式中、R
6、R
7、R
9、R
10、R
12及びR
13で示される「炭素数3〜6のシクロアルキル基」としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。当該シクロアルキル基の炭素数は3〜5が好ましい。
【0105】
当該一般式(3)の化合物において、式中、R
6、R
7、R
9、R
10、R
12及びR
13は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数3〜5のシクロアルキル基であることが好ましく、R
7、R
10及びR
13の少なくとも1つが水素原子であることがより好ましい。
【0106】
一般式(3)の化合物の中でも、下記一般式(3A)で表される化合物(以下、一般式(3A)の化合物ともいう)が特に好ましい。
【0108】
[式中、R
5a、R
8a及びR
11aは、tert−ブチル基又はシクロヘキシル基を示し、R
6a、R
9a及びR
12aは、メチル基を示し、R
7a、R
10a及びR
13aは、水素原子を示す。]
【0109】
当該一般式(3A)の化合物において、式中、R
5a、R
8a及びR
11aは、互いに同一の基であってもよいし、異なる基であってもよいが、互いに同一の基であることが好ましい。
【0110】
一般式(3)及び(3A)の化合物は、自体公知の製造方法に準じて合成することができる。また、一般式(3)及び(3A)の化合物は市販品を使用してもよく、R
5a、R
8a及びR
11aがtert−ブチル基である一般式(3A)の化合物の市販品としては、例えば、アデカ社製のアデカスタブAO−30(商品名)、大阪新薬社製のOS−930(商品名)等が挙げられ、R
5a、R
8a及びR
11aがシクロヘキシル基である一般式(3A)の化合物の市販品としては、例えば、アデカ社製のアデカアークルズDH−43(商品名)等が挙げられる。
【0111】
また、ヒンダードフェノール系化合物として、下記一般式(4)〜(10)で表される化合物を使用することもできる。これらの化合物は、公知の方法によって製造することができる。
【0120】
これらの中でも、下記一般式(3A)で表される化合物、下記一般式(4)で表される化合物及び下記一般式(5)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を好ましく使用することができる。
【0122】
[式中、R
5a、R
8a及びR
11aは、tert−ブチル基又はシクロヘキシル基を示し、R
6a、R
9a及びR
12aは、メチル基を示し、R
7a、R
10a及びR
13aは、水素原子を示す。]
【0126】
本発明において、ヒンダードフェノール系化合物は、いずれか1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0127】
本発明の感熱記録材料において、感熱記録層中のヒンダードフェノール系化合物の含有量は、フェノールスルホン酸アリールエステル1重量部に対し0.001〜2重量部であり、好ましくは、0.005〜1重量部であり、特に好ましくは0.01〜0.5重量部である。ヒンダードフェノール系化合物の含有量がかかる範囲より少ない場合は、使用効果が十分に得られない可能性があり、またかかる範囲よりも多い場合は、発色感度や記録部画像の耐可塑剤性が低下する可能性がある。
【0128】
[その他の成分]
本発明において、その他の成分として上記課題に対する所望の効果を阻害しない範囲でバインダー、架橋剤、顔料、滑剤、その他の助剤なども感熱記録層に使用できる。また、バインダー、架橋剤、顔料、滑剤、その他の助剤などは、感熱記録層のみならず保護層等をはじめとする必要に応じて設けられた各塗工層にも使用することができる。
【0129】
<バインダー>
本発明で使用するバインダーとしては、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、アセトアセチル化ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、アマイド変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール、ブチラール変性ポリビニルアルコール、オレフィン変性ポリビニルアルコール、ニトリル変性ポリビニルアルコール、ピロリドン変性ポリビニルアルコール、シリコーン変性ポリビニルアルコール、その他の変性ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体並びにエチルセルロール、アセチルセルロースのようなセルロース誘導体、カゼイン、アラビヤゴム、酸化澱粉、エーテル化澱粉、ジアルデヒド澱粉、エステル化澱粉、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸エステル、ポリビニルブチラール、ポリスチロール及びそれらの共重合体、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、石油樹脂、テルペン樹脂、ケトン樹脂、クマロン樹脂等を例示することができる。これらの高分子物質は水、アルコール、ケトン類、エステル類、炭化水素などの溶剤に溶かして使用するほか、水又は他の媒体中に乳化又はペースト状に分散した状態で使用し、要求品質に応じて併用することも出来る。
【0130】
<架橋剤>
本発明で使用する架橋剤としては、グリオキザール、メチロールメラミン、メラミンホルムアルデヒド樹脂、メラミン尿素樹脂、ポリアミンエピクロロヒドリン樹脂、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ソーダ、塩化第二鉄、塩化マグネシウム、ホウ砂、ホウ酸、ミョウバン、塩化アンモニウムなどを例示することができる。
【0131】
<顔料>
本発明で使用する顔料としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、ケイソウ土、タルク、酸化チタン、水酸化アルミニウムなどの無機又は有機充填剤などが挙げられる。
【0132】
<滑剤>
本発明で使用する滑剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩、ワックス類、シリコーン樹脂類などが挙げられる。
【0133】
<その他の助剤>
本発明においては、上記課題に対する所望の効果を阻害しない範囲で、分散剤、消泡剤、蛍光染料等の各種助剤を用いることができる。
【0134】
本発明の感熱記録材料において、感熱記録層に使用するロイコ染料、顕色剤、増感剤、その他の各種成分の感熱記録層中の量は要求される性能及び記録適性に従って決定され、特に限定されるものではないが、通常、ロイコ染料1重量部に対して顕色剤0.5〜10重量部(好ましくは1〜8重量部)程度、増感剤0.5〜10重量部(好ましくは1〜8重量部)程度、その他の成分0.01〜10重量部(好ましくは0.5〜8重量部)程度が使用される。
【0135】
<支持体>
支持体としては、その形状、構造、大きさ、材料等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。形状としては、例えば、シート状、ロール状、平板状などが挙げられる。構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、大きさとしては、目的とする感熱記録材料の用途等に応じて適宜選択することができる。材料としては、例えば、プラスチックフィルム、合成紙、上質紙、古紙パルプ、再生紙、片艶紙、耐油紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、微塗工紙、樹脂ラミネート紙、剥離紙などが挙げられる。またこれらを組み合わせた複合シートを支持体として使用してもよい。
【0136】
支持体の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、30〜2,000μmが好ましく、50〜1,000μmがより好ましい。
【0137】
本発明の感熱記録材料において、感熱記録層の形成方法は、特に制限はなく、一般に知られている方法により形成することができる。例えば、ロイコ染料、顕色剤、増感剤、並びに必要に応じて添加する材料を、ボールミル、アトライター、サンドグライダーなどの粉砕機あるいは適当な乳化装置によって数ミクロン以下の粒子径になるまで微粒化し、バインダー及び目的に応じて各種の添加材料を加えて塗液とする。この塗液に用いる溶媒としては、水あるいはアルコール等を用いることができ、その固形分は、通常20〜40重量%程度である。
【0138】
本発明の感熱記録材料は、上記塗液を支持体の少なくとも片面上に塗工して感熱記録層を形成することによって得ることができる。塗工する手段は特に限定されるものではなく、周知慣用技術に従って塗工することができ、例えば、エアーナイフコーター、ロッドブレードコーター、ベントブレードコーター、ベベルブレードコーター、ロールコーター、カーテンコーターなど各種コーターを備えたオフマシン塗工機やオンマシン塗工機が適宜選択され使用される。
【0139】
感熱記録層の塗工量は、その組成や感熱記録材料の用途等により適宜選択することができるが、通常、乾燥重量で1〜20g/m
2、好ましくは2〜12g/m
2の範囲である。
【0140】
<保護層>
本発明の感熱記録材料においては、感熱記録層上に、保護層を設けることが可能である。一般的に、感熱記録層上に保護層を設けて白紙部と記録部画像の保存性(耐熱性、耐可塑剤性等)を良好とすると、保護層中で印加エネルギーが低減するため、保護層を設けないよりも低印加エネルギーでの発色感度(すなわち、立ち上がり感度)が特に劣る。しかしながら、本発明の感熱記録材料においては、感熱記録層上に保護層を設けても立ち上がり感度は良好である。
保護層に使用する各種成分の種類及び量は要求される性能及び記録適性に従って決定され、特に限定されるものではない。
【0141】
本発明の感熱記録材料においては、発色感度をさらに高める目的で、顔料を含有した高分子物質などのアンダー層を、支持体と感熱記録層との間に設けることもできる。また、支持体の感熱記録層とは反対側の面にバック層を設け、カールの矯正を図ることも可能である。支持体とアンダー層との間、感熱記録層と保護層との間、支持体とバック層との間に、中間層(断熱層)を形成してもよい。また、各層の塗工後にスーパーカレンダー等による平滑化処理を施すなど、感熱記録材料分野における各種公知の技術を必要に応じて適宜付加することができる。
【実施例】
【0142】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0143】
[合成例1]
例示化合物(a3)の合成
4−アセトキシベンゼンスルホニルクロライド84gと2,6−ジメチルフェノール36g及びトルエン400mlを1000ml四つ口フラスコに入れ撹拌下、トリエチルアミン45gを滴下し25℃で3時間反応を行った。反応終了後、反応液に10%酢酸水溶液を加え、抽出操作を行った。pHが中性付近になるまで有機層を数回水洗した後、有機層からトルエンを減圧留去した。残渣にメタノール100ml及び炭酸カリウム16gを加えたあと、還流下、1時間撹拌し、脱アセチル化反応を行った。反応終了後、反応液に10%酢酸水溶液を加え、酢酸エチルで抽出操作を行った。水洗、乾燥(無水硫酸ナトリウムを使用)した後に、酢酸エチルを留去し、残渣を再結晶法により精製して目的とする例示化合物(a3)の白色結晶を得た。HPLC分析の結果、得られた例示化合物(a3)の純度は98面積%であった。
【0144】
高速液体クロマトグラフィーによる分析(HPLC分析)の条件は、以下のとおりである。
カラム :SHISEIDO社製CAPCELL PAK C18
粒径 :3μm
内径×長さ :内径4.6mm×長さ75mm
溶離液 :アセトニトリル:0.05vol%リン酸水溶液=60:40(容積比)
流速 :0.8ml/min
波長 :254nm
注入量 :1μL
カラム温度 :40℃
分析時間 :15min
サンプル濃度:約10ppm
【0145】
得られた白色結晶の物性は以下の通りであった。
<融点>
149℃
尚、融点は、JIS K 0064に準拠して測定を行った値である。
<IRスペクトル(ATR)>
3432,1601,1588,1473,1437,1437,1347,1284,1218,1080,873,757,681,537 cm
−1
<
1H−NMRスペクトル(270MHz、CDCl
3)>
δ2.11 (6H, s), 5.76(1H, OH, brd), 6.96 (2H, d, J = 15.9 Hz), 7.02-7.09 (3H, m), 7.85 (2H, d, J=15.9 Hz)
<分子量>
276.8(M−1)
【0146】
以下の実施例及び比較例においては、支持体の片面にアンダー層、感熱記録層を形成した。
感熱記録体の各塗工層に用いた塗液を以下のように調製した。尚、以下の説明中、部及び%はそれぞれ重量部及び重量%を示す。
【0147】
アンダー層塗液
焼成カオリン(BASF社製、商品名:アンシレックス90)90.0部
スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(固形分50%) 10.0部
水 50.0部
上記組成よりなる混合物を混合攪拌してアンダー層塗液を調製した。
【0148】
感熱記録層塗液
下記のA液〜D液を、それぞれ別々にサンドグラインダーで平均粒子径が0.5μmになるまで湿式磨砕を行った。なお、ここでの平均粒子径は体積基準分布での体積平均径であり、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置で測定した。
【0149】
A液(顕色剤分散液)
4’−ヒドロキシベンゼンスルホン酸2,6ジメチルフェニル(例示化合物a3)
6.0部
ポリビニルアルコール 10%水溶液 5.0部
水 1.5部
【0150】
B液(ロイコ染料分散液)
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(山本化成社製、商品名:ODB−2)
6.0部
ポリビニルアルコール 10%水溶液 5.0部
水 1.5部
【0151】
C液(増感剤分散液)
パラトルエンスルホンアミド 1.8部
ジフェニルスルホン 4.2部
ポリビニルアルコール 10%水溶液 5.0部
水 1.5部
【0152】
D液(ヒンダードフェノール系化合物分散液)
1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン(大阪新薬社製、商品名:OS−930)
6.0部
ポリビニルアルコール 10%水溶液 5.0部
水 1.5部
【0153】
次いで下記の割合で各分散液を混合して感熱記録層塗液1とした。
A液(顕色剤分散液) 36.0部
B液(ロイコ染料分散液) 18.0部
C液(増感剤分散液) 36.0部
D液(ヒンダードフェノール系化合物分散液) 1.8部
シリカ(水澤化学社製、商品名:P537 25%分散液) 17.5部
ポリビニルアルコール 10%水溶液 25.0部
【0154】
[実施例1]
支持体である上質紙(坪量47g/m
2の基紙)の片面にアンダー層塗液をマイヤーバーで塗工量が乾燥重量で10g/m
2になるように塗工及び乾燥(送風乾燥機、60℃、2分間)し、アンダー塗工紙を得た。このアンダー塗工紙のアンダー層上に感熱記録層塗液1を塗工量が乾燥重量で3.5g/m
2となるように塗工及び乾燥(送風乾燥機、60℃、2分間)した。得られたシートをスーパーカレンダーで平滑度が500〜1000秒になるように処理して感熱記録材料を得た。
【0155】
[実施例2]
実施例1のC液(増感剤分散液)中のパラトルエンスルホンアミドの量を3.0部、ジフェニルスルホンの量を3.0部に変更した以外は実施例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
【0156】
[実施例3]
実施例2のC液(増感剤分散液)中のジフェニルスルホンを1,2−ジ−(3−メチルフェノキシ)エタン(三光社製、商品名:KS−232)に変更した以外は実施例2と同様にして感熱記録材料を作製した。
【0157】
[実施例4]
実施例3のC液(増感剤分散液)中のパラトルエンスルホンアミドの量を3.6部、1,2−ジ−(3−メチルフェノキシ)エタンの量を2.4部に変更した以外は実施例3と同様にして感熱記録材料を作製した。
【0158】
[比較例1]
実施例1のC液(増感剤分散液)中のパラトルエンスルホンアミド1.8部及びジフェニルスルホン4.2部の計6.0部を、1,2−ジ−(3−メチルフェノキシ)エタン6.0部に変更した以外は、実施例1と同様にして、感熱記録材料を作製した。
【0159】
[比較例2]
比較例1のC液(増感剤分散液)中の1,2−ジ−(3−メチルフェノキシ)エタンをパラトルエンスルホンアミドに変更した以外は、比較例1と同様にして、感熱記録材料を作製した。
【0160】
[比較例3]
比較例1のC液(増感剤分散液)中の1,2−ジ−(3−メチルフェノキシ)エタンをジフェニルスルホンに変更し、D液を0部に変更した以外は比較例1と同様にして感熱記録材料を作製した。
【0161】
[比較例4]
比較例3のA液(顕色剤分散液)中の例示化合物(a3)を4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン(日本曹達社製、商品名:D−8)に変更した以外は比較例3と同様にして感熱記録材料を作製した。
【0162】
上記の実施例及び比較例で得られた感熱記録材料について次のような評価を行った。
【0163】
<立ち上がり感度>
大倉電機社製の感熱プリンタ(TH−PMD)を使用して、感熱記録材料に印加エネルギー0.255mJ/dotで市松模様を印字し、記録部画像の濃度をマクベス濃度計(Gretag Macbeth社製、RD-914、アンバーフィルター使用)で測定した。結果を表1に示す。
【0164】
<印字濃度>
大倉電機社製の感熱プリンタ(TH−PMD)を使用して、感熱記録材料に印加エネルギー0.35mJ/dotで市松模様を印字し、白紙部及び記録部画像の濃度をマクベス濃度計(Gretag Macbeth社製、RD-914、アンバーフィルター使用)で測定した。結果を表1に示す。
【0165】
<耐可塑剤性>
大倉電機社製の感熱プリンタ(TH−PMD)を使用して、感熱記録材料に印加エネルギー0.35mJ/dotで市松模様を印字し、表裏にダイアラップ(三菱樹脂社製)を接触させ23℃で2時間放置する試験を行った後、記録部画像の濃度をマクベス濃度計(Gretag Macbeth社製、RD-914、アンバーフィルター使用)で測定し、下記の式にて残存率を算出した。結果を表2に示す。
残存率(%)=(試験後の記録部画像濃度)/(試験前の記録部画像濃度)×100(%)
【0166】
<耐熱性>
大倉電機社製の感熱プリンタ(TH−PMD)を使用して、感熱記録材料に印加エネルギー0.35mJ/dotで市松模様を印字し、60℃において24時間放置する試験を行った後、記録部画像の濃度をマクベス濃度計(Gretag Macbeth社製、RD-914、アンバーフィルター使用)で測定し、下記の式にて残存率を算出した。残存率の結果を表2に示す。
残存率(%)=(試験後の記録部画像濃度)/(試験前の記録部画像濃度)×100(%)
【0167】
<耐水性>
大倉電機社製の感熱プリンタ(TH−PMD)を使用して、感熱記録材料に印加エネルギー0.35mJ/dotで市松模様を印字し、20℃の水中に24時間放置した後、記録部画像の濃度をマクベス濃度計(Gretag Macbeth社製、RD-914、アンバーフィルター使用)で測定し、下記の式にて残存率を算出した。結果を表2に示す。
残存率(%)=(試験後の記録部画像濃度)/(試験前の記録部画像濃度)×100(%)
【0168】
【表1】
【0169】
【表2】
【0170】
実施例から明らかなように、本発明の感熱記録材料は、発色感度が極めて高く、低印加エネルギーで印字されても良好な画像濃度を与え(すなわち、立ち上がり感度が高く)、かつ、記録部画像の良好な保存性(耐熱性、耐可塑剤性及び耐水性等)も兼ね備えたバランスの良い感熱記録材料である。