(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態1に係るスプリンクラヘッドの縦断面図である。
【
図2】
図1のシーリングプレートの一部断面図である。
【
図4】
図2のシーリングプレートの変形例(その1)を示す断面図である。
【
図5】
図2のシーリングプレートの変形例(その2)を示す断面図である。
【
図6】本発明の実施の形態2に係るカバープレートの平面図及び正面図である。
【
図7】
図6のカバープレートが取り付けられた状態のスプリンクラヘッドの縦断面図及び一部断面図である。
【
図8】本発明の実施の形態3に係るカバープレートの平面図及び正面図である。
【
図9】
図8のカバープレートが取り付けられた状態のスプリンクラヘッドの縦断面図である。
【
図10】本発明の実施の形態4に係る保護網の正面図及び平面図である。
【
図11】
図10の保護網が取り付けられた状態のスプリンクラヘッドの縦断面図である。
【
図12】
図11のスプリンクラヘッドの放水時の状態を示す断面図である
。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係るスプリンクラヘッドの縦断面図である。
まず、スプリンクラヘッドの構成の概要について説明する。
スプリンクラヘッドは、上部にヘッド本体1を備えている。ヘッド本体1は内部に放水口2を有し、その下部に鍔部3が設けられており、鍔部3には円筒フレーム4が取り付けられている。放水口2は弁体5により閉塞されており、放水口2と弁体5との間はシール部材7によりシールされている。円筒フレーム4内には、摺動落下するデフレクタ8の連結棒の上端縁に取り付けられているストッパリング10が配置されている。
【0010】
スプリンクラヘッドは、下部に感熱板18を備えている。感熱板18は、有底筒体19と、該有底筒体19と一体的に設けられた感熱翼18aと、この有底筒体19の上端部に設けられた感熱補助翼18bとから構成されている。この感熱板18の上端部には、感熱補助翼18bを押さえる如くシリンダ22が嵌着されている。
【0011】
シリンダ22は、感熱板18より熱伝導率が低くなる如く形成される。具体的には、シリンダ22はステンレス鋼により形成され、感熱板18は黄銅により形成される。これは、感熱板18の熱がその有底筒体19を介してシリンダ22に逃げないようにするためである。
【0012】
感熱板18の感熱補助翼18bは、感熱翼18aの受熱を補助するために設けられるものである。
【0013】
シリンダ22及び有底筒体19には、リンク機構51を支持するピストンロッド15が遊装されており、有底筒体19には可溶合金20と圧縮ピストン25が順次挿入され、前記ピストンロッド15により押圧されている。
【0014】
リンク機構51は、弁体5を放水口に押圧し封鎖する為のリンク機構で、次のように構成される。即ち、アームガイド11の蓋板の下面にバランサ12が配設され、バランサ12の中央部には弁体5の突起5cを支持する支持受溝が形成されている。このバランサ12は、円筒フレーム4の荷重調整用スリットに係合部を懸架させた一対のアーム13の頂部にて支持されている。一対のアーム13、13は、リンク押さえ板14により支持されており、リンク押さえ板14は、ピストンロッド15の上端部に固定され、アーム13、13の下端部はアーム支持板23により保持されている。
【0015】
上記のヘッド本体1には、取り付け用の開口部90との隙間を塞ぐようにシーリングプレート100が取り付けられている。このシーリングプレート100の詳細を
図2及び
図3に基づいて説明する。
【0016】
図2は、
図1のシーリングプレートの一部断面図であり、
図3(a)(b)は、その斜視図である。
シーリングプレート100は、ヘッド本体1と接合されるために、周方向に一部が切り欠かれた円筒部101と、円筒部101の下端に形成されたフランジ部102と、リング状(環状)に形成された部材103とを備えている。フランジ部102は天井板の開口部90を覆うことができる大きさである。また、リング状の部材103は、フランジ部102にリブ104を介して取り付けられている。リング状の部材103は中央部に感熱板18が通り抜ける程度の開口部があり、スプリンクラヘッドの設置状態においては、リング状部材103の底面と感熱板18の底面はほぼ同じ高さにある。リング状部材103は、フランジ部102とリブ104を介して接続されている。リブ104は放射状に設けられ、リブの高さは2〜20mm程度である。つまり、フランジ部102とリング状の部材103は、2〜20mm程度離れている。また、リング状の部材103の周縁部は、外周側に行くにしたがって肉厚が薄くなる断面三角形になっており、外周方向に沿って誘導部105を構成している。即ち、この誘導部105は、上方に向かって縮経してテーパー状に形成されており、熱気流を斜め上方に誘導して感熱板18側に導く。
【0017】
次に、上記のスプリンクラヘッドの動作について説明する。
火災により熱気流が発生すると、熱気流はシーリングプレート100の誘導部105により斜め上方に誘導されて、感熱板18や有底筒体19等を加熱し、可溶合金20を溶融せしめる。可溶合金20が溶けると、圧縮ピストン25は、シリンダ22及び有底筒体19に案内されながら摺動する。この圧縮ピストン25の摺動により、リンク機構51が分解する。このリンク機構51の分解により、弁体5が放水口2から離れるとともにデフレクタ8が下方に摺動し、放水口2から放出される消火水は、デフレクタ8に衝突してその飛散方向を調整されながら、所定方向に散水される。
【0018】
以上のように本実施の形態によれば、シーリングプレート100は誘導部105を備えており、熱気流を内部の上方に導くようにしたので、感熱板18の天井からの露出量(吐出量)が少なくなっており、外力による破損の可能性を軽減することが可能になっている。また、シーリングプレート100の誘導部105が外力を受けたとしてもそれが感熱板18等の内部に伝わりにくく、この点からも外力による破損の可能性を軽減することが可能になっている。更に、シーリングプレート100のフランジ部102がスプリンクラヘッドの取り付け用の開口部90との隙間を覆うので、従来の意匠上のデメリットがないものとなっている。なお、感熱板18の底面を、天井板の底面と高さを同一にして、天井面を面一にすることも可能である。この場合、誘導部105により、天井面下面より上方にある感熱板18や有底筒体19等に熱気流が誘導される。
【0019】
なお、シーリングプレート100のリング状部材103に、一枚の円板からなる環状の誘導部105を設けても良いが、リング状部材103に、中央に向かって上方に傾斜する平板を、平板の面をスプリンクラヘッドに対向するように複数枚設けても良い。言い換えると、平板は、平板の面で中心部を囲うように複数枚設けられる。つまり、誘導部105は一体につながっていても良いが、必ずしもその必要はなく、分かれて設けられても良い。
【0020】
次に、上記の実施の形態の変形例について説明する。
図4及び
図5は、上記の実施の形態の変形例の要部の断面図である。
図4のスプリンクラヘッドは、シーリングプレート100のフランジ部102に誘導部105を形成するとともに、誘導部105付近の円筒部101にその周方向に沿って複数の開口部110が形成された例である。フランジ部102は上面開口の器型であり、複数の四角形のスリットがあり、そのスリットから熱気流が流入するようになっている。
図5のスプリンクラヘッドは、リング状部材103の外周縁に誘導部105が設けられると共に、誘導部105付近の円筒部101の下部及びフランジ部102に、その周方向に沿って複数の開口部110が形成された例である。詳細には、開口部110は、フランジ部102と接する円筒部101の下部に周方向に複数形成される開口部と、その開口部に連通するようにフランジ部102に周方向に複数形成される開口部とからなる。フランジ部102が有する開口部110は、誘導部105の上方に位置している。
図4及び
図5のような開口部110を付加した構成にすることにより、熱気流の流入量が増える。また、熱気流が流入した開口部110に対向した開口部110は熱気流の出口となり、内部により深く誘導することができる。このため、例えば感熱板18が天井から露出しないようにした場合にも、熱気流を感熱板18に誘導することができる。
【0022】
実施の形態1に係る誘導部105は、感熱板18より下方にあり、かつ、天井板よりも下方にあれば良く、また、誘導部105は感熱板18の外周に位置して、熱気流を上方の感熱板18に誘導できれば形態は問わない。例えば、誘導部105のみを別部品で形成し、シーリングプレート100や感熱板18の下方に取り付ける方法でも良い。また、誘導部105の中央部(内径側)にはデフレクタ8が降下できるように、通過可能な間隙があることは言うまでもない。
【0023】
実施の形態2.
図6(a)(b)は、本発明の実施の形態2に係るカバープレートの平面図及び正面図である。
図7(a)(b)はそのカバープレートの取り付け状態を示す縦断面図及び一部断面図である。なお、カバープレートは本発明の保護手段の一例を示すものである。
本実施の形態のカバープレート120は、周縁部の上面が斜めに形成された円板121と、この円板121に直立して外縁側から中心に向かって放射状に等間隔に設けられた複数枚の、例えば5枚の板部材122と、中央部に設けられた突起部123とを備えている。この突起部123が、感熱板18側に取り付けられている。また、板部材122の内周側の先端を結んだ範囲内に感熱板18が位置する。板部材122は外周縁から中心に向かって、少なくとも誘導部105を越える長さになっている。板部材の高さは2〜20mm程度であり、円板121と天井板の下面との間も、板部材の高さと同等、もしくはそれよりも大きくなっている。
図7の場合、可溶合金20を保持するフランジ付きのピストンの中心部には穴部があり、その穴部にカバープレート120の突起部123を圧入又は螺合等して、スプリンクラヘッドにカバープレート120を取り付けている。つまり、フランジ付きのピストンの穴部の内径と、突起部123の外径はほぼ同一となっている。穴部は、どの部材に設けられるかはスプリンクラヘッドの構造によって異なり、
図7の場合は、穴部はピストンに設けられたが、スプリンクラヘッドの作動時に落下する感熱部の下端に設けられれば良く、例えば、感熱板18の中心部に設けられても良い。また、上記の円板121の上面が斜めに形成され周縁部が誘導部105を構成している。カバープレート120の材質は金属や、熱気流で溶けない程度の樹脂等で形成される。なお、
図7のスプリンクラヘッドの構成は、上記の実施の形態1とは相違しているが、それ自体は公知のものであり、その説明は省略する。
【0024】
本実施の形態においても、カバープレート120が
図6に示される構成をしており、熱気流を内部の上方に導くようにしたので、感熱板18の天井からの露出量(突出量)を少なくすることが可能であり、外力による破損の可能性を軽減することが可能になっている。カバープレート120がスプリンクラヘッドを下方から覆うので意匠性に優れたものとなっている。なお、上記においては板部材122が5枚の例について説明したが、3枚以上であればその枚数は限定されない。また、板部材122は、その厚さが薄いほど誘導量が多くなる。誘導部105だけでも熱気流を上方へ誘導できるが、板部材122が設けられることにより、さらに感熱板18等に熱気流を効率良く誘導することができる。
また、カバープレート120は、上記のように誘導部105を備えており、上記のような効果が得られているが、それに加えて、スプリンクラヘッドの作動時には、感熱部と共に同時に落下するので、散水を乱さないのでこの点においても優れている。このカバープレート120は、その直径を拡大すれば、スプリンクラヘッドが設けられている天井板の開口部が見えなくなり、シーリングプレートとしての機能も発揮する。更に、カバープレート120の一部をシーリングプレートや天井と一部接触するような構成にすれば、外力からスプリンクラヘッドを守るプロテクターとしての機能を発揮させることができる。
なお、実施の形態2に係るカバープレート120は、突起部123をピストンの中心部の穴部に圧入して設けたが、カバープレートの取り付け方はどのような場合でも良く、例えば、従来通り、リテーナーを用いて固定される場合でも同様の効果を有する。
【0025】
実施の形態2に係るカバープレート120において、誘導部105は、上方の感熱板18に熱気流を誘導できれば良く、その形状は問わない。後述する実施の形態3においても、それは同様である。
【0026】
実施の形態3.
図8は、本発明の実施の形態3に係るカバープレートの平面図及び正面図である。
図9は、そのカバープレートが取り付けられた状態のスプリンクラヘッドの縦断面図である。
【0027】
図8に示されるように、本実施の形態のカバープレート120は、板状の円板126と、中央部に設けられた突起部127とを備えている。円板126は中央部周辺が突起して傾斜した形状になっており、突起部127は感熱板側に取り付けられる。円板126の傾斜部分が本発明の誘導部105を形成している。つまり、円板121の上面が斜めに形成され周縁部が誘導部105を構成する実施の形態2とは異なり、円板126の周縁部は水平な板であり、円板126の上面の半径方向における中央周辺から突起部のある中心127に向かって、上方に縮径する段部が形成されている。つまり、誘導部105間の直径は、円板126の直径の半分程度となっている。
【0028】
図9のスプリンクラヘッドは、ヘッド本体210、フレーム220、弁体230、散水部240及び弁体支持機構250を備えている。そして、弁体支持機構250は感熱部251を備えている。この構成は、従来の構成と同一であるのでその詳細は省略する。
【0029】
本実施の形態においてもカバープレート120が
図8に示される誘導部105を備えており、熱気流を内部の上方に導くようにしたので、感熱板18の天井からの露出量(突出量)を少なくしても、感熱板18等に熱気流が当たるので、早期にスプリンクラヘッドを作動させることができ、上記の実施の形態と同様な効果が得られる。
【0030】
実施の形態4.
図10(a)(b)は、本発明の実施の形態4に係る保護網の正面図及び平面図である。
図11は、保護網130が取付けられた状態のスプリンクラヘッドの縦断面図である。なお、保護網130は本発明の保護手段の一例を示すものである。
本実施の形態の保護網130は、
図10に示されるように網状に構成されており、その中央には感熱板側に取り付けられ突起部131が形成されている。突起部131は、実施の形態2に係る突起部123と同様に、感熱部の下端に設けられた穴部に圧入又は螺合されて係止される。保護網130を構成している線状の部材はその断面が例えば三角形から構成されている。例えば斜辺が外側(外周側)になる三角形から形成されており、上方に向かって縮経されたものとなっており、本発明の誘導部105を形成している。
【0031】
図12は、
図11のスプリンクラヘッドの放水時の状態を示す断面図である。
図12に示されるように、本実施の形態に係る保護網130は感熱部に取り付けられている。このため、従来の保護網であればスプリンクラヘッドのフレームに取り付けられていたので、作動後もその場に留まり、散水に影響を与える虞があったが、本実施の形態にかかる保護網は、作動時には落下するので、散水障害になることはない。