特許第5808286号(P5808286)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5808286
(24)【登録日】2015年9月18日
(45)【発行日】2015年11月10日
(54)【発明の名称】射出成形機の型締装置および射出装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/64 20060101AFI20151021BHJP
   B29C 45/76 20060101ALI20151021BHJP
【FI】
   B29C45/64
   B29C45/76
【請求項の数】10
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-97468(P2012-97468)
(22)【出願日】2012年4月23日
(65)【公開番号】特開2013-223979(P2013-223979A)
(43)【公開日】2013年10月31日
【審査請求日】2014年12月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 光志
【審査官】 増田 亮子
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−170013(JP,A)
【文献】 特開昭62−222821(JP,A)
【文献】 特開平03−038319(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00−45/84
B22D 17/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定プラテンとリアプラテンとを複数本の平行なタイバーによって連結し、該タイバーに平行に摺動する可動プラテンを、前記リアプラテンとの間に設けられた駆動機構によって前記固定プラテンへ押圧することにより、前記可動プラテンと前記固定プラテンのそれぞれの対向面に取り付けた金型を締付ける射出成形機の型締装置において、
前記タイバーの外周形状に係合する係合面を有し、前記タイバーの材質のヤング率よりも大きい材質からなる筒状部材を前記タイバーに固定部材を用いて固定したタイバー伸び量調整部を設けたことを特徴とする射出成形機の型締装置。
【請求項2】
前記タイバーに他の外周より径の小さい小径部を設け、前記筒状部材を係合させることを特徴とする請求項1に記載の射出成形機の型締装置。
【請求項3】
固定プラテンとリアプラテンとを複数本の平行なタイバーによって連結し、該タイバーに平行に摺動する可動プラテンを、前記リアプラテンとの間に設けられた駆動機構によって前記固定プラテンへ押圧することにより、前記可動プラテンと前記固定プラテンのそれぞれの対向面に取り付けた金型を締付ける射出成形機の型締装置において、
前記タイバーの端面にねじ穴を設け、該ねじ穴に調整ボルトを螺合させ、該調整ボルトに回転阻止部材を取り付けたタイバー伸び量調整部を設けたことを特徴とする射出成形機の型締装置。
【請求項4】
前記調整ボルトを駆動する駆動手段を設けたことを特徴とする請求項3に記載の射出成形機の型締装置。
【請求項5】
固定プラテンとリアプラテンとを複数本の平行なタイバーによって連結し、該タイバーに平行に摺動する可動プラテンを、前記リアプラテンとの間に設けられた駆動機構によって前記固定プラテンへ押圧することにより、前記可動プラテンと前記固定プラテンのそれぞれの対向面に取り付けた金型を締付ける射出成形機の型締装置において、
前記タイバーの外周形状に係合する係合面を有する筒状本体と、該筒状本体の端面に設けられたフランジ部を有し、該フランジ部を前記固定プラテンに取り付けたタイバー伸び量調整部を設けたことを特徴とする射出成形機の型締装置。
【請求項6】
射出シリンダが取り付けられたフロントプレートとリアプレートとを複数本の平行なタイロッドによって連結し、射出スクリュが取り付けられたプッシャープレートを前記タイロッドに平行に摺動させる機構を前記リアプレートに設けた射出成形機の射出装置において、
前記タイロッドの外周形状に係合する係合面を有し、前記タイロッドの材質のヤング率よりも大きい材質からなる筒状部材を前記タイロッドに固定部材を用いて固定したタイロッド伸び量調整部を設けたことを特徴とする射出成形機の射出装置。
【請求項7】
前記タイロッドに他の外周より径の小さい小径部を設け、前記筒状部材を係合させることを特徴とする請求項6に記載の射出成形機の射出装置。
【請求項8】
射出シリンダが取り付けられたフロントプレートとリアプレートとを複数本の平行なタイロッドによって連結し、射出スクリュが取り付けられたプッシャープレートを前記タイロッドに平行に摺動させる機構を前記リアプレートに設けた射出成形機の射出装置において、
前記タイロッドの端部にねじ穴を設け、該ねじ穴に調整ボルトを螺合させ、該調整ボルトを回転阻止部材を取り付けたタイロッド伸び量調整部を設けたことを特徴とする射出成形機の射出装置。
【請求項9】
前記調整ボルトを駆動する駆動手段を設けたことを特徴とする請求項8に記載の射出成形機の射出装置。
【請求項10】
射出シリンダが取り付けられたフロントプレートとリアプレートとを複数本の平行なタイロッドによって連結し、射出スクリュが取り付けられたプッシャープレートを前記タイロッドに平行に摺動させる機構を前記リアプレートに設けた射出成形機の射出装置において、
前記タイロッドの外周形状に係合する係合面を有する筒状本体と、該筒状本体の端面に設けられたフランジ部を有し、該フランジ部を前記フロントプレートまたは前記リアプレートに取り付けたタイロッド伸び量調整部を設けたことを特徴とする射出成形機の射出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は射出成形機に関し、特に射出成形機の2枚のプレートを複数の連結棒で結合し、連結棒に平行に摺動するプレートを有し、摺動するプレートが力を受けることにより、連結棒が伸びる射出成形機の型締装置および射出成形機の射出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形機は、2つのプレート(プレート1,プレート2)を複数の連結棒10で結合し、複数の連結棒10に平行に摺動するプレート3を有し、摺動するプレート3が力を受けることにより、複数の連結棒10が伸びる機構部を有する射出成形機の型締装置Mcおよび射出装置Miを機台Mbに備えている(図1図2参照)。
【0003】
図2図3に示すように、型締装置Mcは、固定プラテン21とリアプラテン22を複数のタイバー20によって結合している。固定プラテンナット26はタイバー20を固定プラテン21に固定している。リアプラテンナット27はタイバー20をリアプラテン22に固定している。但し、リアプラテンナット27はタイバー軸中心に回転可能に取り付けられており、リアプラテンナット27が回転することにより、リアプラテン22を機台Mb上において固定プラテン21方向に前後進させ、型厚調整を行うことができる。
型締装置Mcでは、4本のタイバーが使用されることが殆どである。それら4本のタイバー20,20,20,20間のタイバーバランスと型内平行度を高精度に調整するには、リアプラテンナット27のねじ込み量を調整するのが一般的である。しかし、平面は3点で決定するため、4本のタイバーを持つ型締装置Mcは、1つのリアプラテンナット27を調整すると残り3本のタイバーバランスが変化してしまい、型内平行度も変わってしまい、タイバーバランスと型内平行度の両方を高精度に調整するのが非常に困難であった。
【0004】
レンズ成形、薄肉成形、微細成形を行い場合、特に、タイバーバランス、型内平行度の高精度化が必要である。また、高精度な機構部を備えた型締装置Mcであっても、金型28の精度が悪いとこれらのデータ(タイバーバランスや型内平行度)は悪くなる。この問題を解決するため、特許文献1や特許文献2には、各タイバーにヒータを取り付け、熱膨張によりタイバーの長さを変更しタイバーバランス調整する仕組みが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−75499号公報
【特許文献2】特開2006−347078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
背景技術の欄で説明した従来技術では、常時ヒータを使用しなければならず、省エネの観点から問題がある。さらに、タイバーの温度を上昇させることによるタイバーの伸びは、リアプラテンの位置ずれを引き起こし、型内平行度を変動させてしまう問題があった。また、射出装置Miの場合、図2に示されるように4本のタイロッド30でフロントプレート31、リアプレート32を結合する。プッシャープレート33がタイロッド30を摺動する。加工の際に生じるタイロッド長さの差異や、上下左右の射出装置の機構部の重心の違いにより、タイロッド30が受ける力が異なり、折損に繋がる場合もある。
そこで本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みて、射出成形機に備わった連結棒のバランス調整を行うことが可能な射出成形機を提供することを課題とし、より具体的には、型内平行度の精度を維持しつつタイバーバランスの微調整を行なうことが可能な射出成形機の型締装置を提供することを課題とすると共に、組立後のタイロッドバランスの微調整を行なうことが可能な射出成形機の射出装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の請求項1に係る発明は、固定プラテンとリアプラテンとを複数本の平行なタイバーによって連結し、該タイバーに平行に摺動する可動プラテンを、前記リアプラテンとの間に設けられた駆動機構によって前記固定プラテンへ押圧することにより、前記可動プラテンと前記固定プラテンのそれぞれの対向面に取り付けた金型を締付ける射出成形機の型締装置において、前記タイバーの外周形状に係合する係合面を有し、前記タイバーの材質のヤング率よりも大きい材質からなる筒状部材を前記タイバーに固定部材を用いて固定したタイバー伸び量調整部を設けたことを特徴とする射出成形機の型締装置である。
請求項2に係る発明は、前記タイバーに他の外周より径の小さい小径部を設け、前記筒状部材を係合させることを特徴とする請求項1に記載の射出成形機の型締装置である。
請求項3に係る発明は、固定プラテンとリアプラテンとを複数本の平行なタイバーによって連結し、該タイバーに平行に摺動する可動プラテンを、前記リアプラテンとの間に設けられた駆動機構によって前記固定プラテンへ押圧することにより、前記可動プラテンと前記固定プラテンのそれぞれの対向面に取り付けた金型を締付ける射出成形機の型締装置において、前記タイバーの端面にねじ穴を設け、該ねじ穴に調整ボルトを螺合させ、該調整ボルトに回転阻止部材を取り付けたタイバー伸び量調整部を設けたことを特徴とする射出成形機の型締装置である。
請求項4に係る発明は、前記調整ボルトを駆動する駆動手段を設けたことを特徴とする請求項3に記載の射出成形機の型締装置である。
【0008】
請求項5に係る発明は、固定プラテンとリアプラテンとを複数本の平行なタイバーによって連結し、該タイバーに平行に摺動する可動プラテンを、前記リアプラテンとの間に設けられた駆動機構によって前記固定プラテンへ押圧することにより、前記可動プラテンと前記固定プラテンのそれぞれの対向面に取り付けた金型を締付ける射出成形機の型締装置において、前記タイバーの外周形状に係合する係合面を有する筒状本体と、該筒状本体の端面に設けられたフランジ部を有し、該フランジ部を前記固定プラテンに取り付けたタイバー伸び量調整部を設けたことを特徴とする射出成形機の型締装置である。
請求項6に係る発明は、射出シリンダが取り付けられたフロントプレートとリアプレートとを複数本の平行なタイロッドによって連結し、射出スクリュが取り付けられたプッシャープレートを前記タイロッドに平行に摺動させる機構を前記リアプレートに設けた射出成形機の射出装置において、前記タイロッドの外周形状に係合する係合面を有し、前記タイロッドの材質のヤング率よりも大きい材質からなる筒状部材を前記タイロッドに固定部材を用いて固定したタイロッド伸び量調整部を設けたことを特徴とする射出成形機の射出装置である。
請求項7に係る発明は、前記タイロッドに他の外周より径の小さい小径部を設け、前記筒状部材を係合させることを特徴とする請求項6に記載の射出成形機の射出装置である。
【0009】
請求項8に係る発明は、射出シリンダが取り付けられたフロントプレートとリアプレートとを複数本の平行なタイロッドによって連結し、射出スクリュが取り付けられたプッシャープレートを前記タイロッドに平行に摺動させる機構を前記リアプレートに設けた射出成形機の射出装置において、前記タイロッドの端部にねじ穴を設け、該ねじ穴に調整ボルトを螺合させ、該調整ボルトに回転阻止部材を取り付けたタイロッド伸び量調整部を設けたことを特徴とする射出成形機の射出装置である。
請求項9に係る発明は、前記調整ボルトを駆動する駆動手段を設けたことを特徴とする請求項8に記載の射出成形機の射出装置である。
請求項10に係る発明は、射出シリンダが取り付けられたフロントプレートとリアプレートとを複数本の平行なタイロッドによって連結し、射出スクリュが取り付けられたプッシャープレートを前記タイロッドに平行に摺動させる機構を前記リアプレートに設けた射出成形機の射出装置において、前記タイロッドの外周形状に係合する係合面を有する筒状本体と、該筒状本体の端面に設けられたフランジ部を有し、該フランジ部を前記フロントプレートまたは前記リアプレートに取り付けたタイロッド伸び量調整部を設けたことを特徴とする射出成形機の射出装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、型内平行度の精度を維持しつつタイバーバランスの微調整を行なうことが可能な射出成形機の型締装置を提供できると共に、組立後のタイロッドバランスの微調整を行なうことが可能な射出成形機の射出装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】射出成形機に備わった機構部(型締機構部,射出機構部)の概略構成を説明する斜視図である。
図2】型締装置と射出装置を機台に載置した射出成形機の側面図である。
図3】型締機構部の概略構成を説明する斜視図である。
図4】連結棒断面積調整部品の一例を示す斜視図である。
図5】連結棒断面積調整部品を取り付けることによって連結棒の断面積を調整する実施形態を説明する図である。
図6】連結棒断面積調整部品を取り付けることによって連結棒の断面積を調整する他の実施形態を説明する図である。
図7】連結棒にねじ穴を設けることによって連結棒の断面積を調整する実施形態を説明する図である。
図8】連結棒にねじ穴を設けることによって連結棒の断面積を調整する他の実施形態を説明する図である。
図9】連結棒固定端2点間距離を調整する実施形態を説明する図である。
図10】固定端変更部品の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
射出成形機は、図2について従来技術の欄で説明したように、機台Mb上に型締装置Mcと射出装置Miを備えている。型締装置Mcと射出装置Miのそれぞれに備わった機構部は、基本的な構成は図1に示されるとおりである。そのため、本発明は何れの機構部にも使用できるため、いずれかの機構部での説明は両者に適用できる。図1の各要素と型締装置Mcの型締機構部と射出装置Miの射出機構部の各要素は、連結棒10(タイバー20、タイロッド30)、プレート1(固定プラテン21、フロントプレート31)、プレート2(リアプラテン22、リアプレート32)、プレート3(可動プラテン23、プッシャープレート33)のように対応する。
【0013】
図3は、一般的な型締装置の型締機構部の概略斜視図である。リアプラテン22と可動プラテン23の間にあるリンク機構などの機構部は図示省略している。図示省略した機構部により可動プラテン23がタイバー20の長手方向に動作し、型締、型開き動作を行なう。型締動作時に、可動プラテン23とリアプラテン22が同方向に力を受け、タイバー20が長手方向に伸びる。複数のタイバー20(図3では4本のタイバー)にかかる力のバランスと型締時の固定プラテン21と可動プラテン23の型内平行度が、精密成形に必要である。固定プラテンナット26からリアプラテンナット27迄の距離がタイバー20の固定端2点間距離(L0)であり、タイバー20のこの部分が伸び、型締め力を発生する。
【0014】
温度の要因を無視した場合のタイバー20の伸び量は、(タイバーにかかる力/断面積)×(固定端2点間距離/ヤング率)で求められる。そこで、本発明は、タイバーの断面積もしくは固定端2点間距離を各々変更し、タイバー20の伸び量を調整する構造とする。
【0015】
以下、各実施形態を説明する。
<実施形態1>
実施形態1を図4図5を用いて説明する。図4は連結棒断面積調整部品の一例を示す斜視図である。図5は、連結棒断面積調整部品を取り付けることによって連結棒の断面積を調整する実施形態を説明する図である。ここでは、連結棒10としてタイバー20を例として説明する。
【0016】
図4の連結棒断面積調整部品40を図5に示されるように、タイバー20の固定プラテン21とリアプラテン22の間の所定箇所に取り付けると、タイバー20の断面積が擬似的に増加する。連結棒断面積調整部品40は、長さL1を持ち、タイバー20の外径と同じ半径の内周面を備えた2つの断面半円環状の部材から構成される。連結棒断面積調整部品40の半円環状の2つの部品は、ねじ孔42にねじ41がねじ込まれて円筒状部材としてタイバー20に密着される。固定端2点間距離L0(図3参照)が変化することなくタイバー20の断面積が増えるので、連結棒断面積調整部品40を装着したタイバー20によって生じる力を小さくすることができる。タイバー20の断面積を擬似的に増やすには、連結棒断面積調整部品40の外径を大きくする、若しくは、タイバー20の長手方向に、同等の形状部品を直列に配列し、タップ孔43にねじ44をねじ込んで結合していくことも可能である。
【0017】
ところで、型締動作と型開動作に伴って起きるタイバー20の伸縮動作の反復により、ねじ41の弛みが考えられる。このため、図6の様に、タイバー20に段差を設け、その部分に図4の連結棒断面積調整部品40を取り付けることによって、連結棒断面積調整部品40のタイバー20の軸方向の移動が規制されることから、ねじ41の弛みを防止することも可能である。
上述した実施形態では連結棒断面積調整部品40をタイバー20に取り付けたが、図2に示されるタイロッド30に取り付けるようにしてもよい。この場合、連結棒断面積調整部品40はフロントプレート31とリアプレート32の間の所定箇所のタイロッド30に取り付ける。
【0018】
<実施形態2>
実施形態2を図7を用いて説明する。連結棒10はタイバー20あるいはタイロッド30に対応する。連結棒10の一つの端面からその長軸方向にあらかじめ沿ってねじ穴11を開けておく。ねじ穴11は、固定プラテン21側あるいはリアプラテン22側の何れかの連結棒端面に開ける。ねじ穴11を設けることは空間が形成されたことになるから、このねじ穴11の空間分だけ連結棒10の断面積が減ることになる。このねじ穴11に連結棒断面積調整ボルト12がねじ込まれる。連結棒断面積調整ボルト12は、ナット13によって連結棒10に固定されており、連結棒10と連結棒断面積調整ボルト12とは一体化される。ナット13は回転阻止部材である。連結棒断面積調整ボルト12のねじ込み量により連結棒10の断面積を増減させることが可能である。なお、ねじによる形式は回転動作で行なえるので、連結棒断面積調整ボルト12のねじ穴11へのねじ込み量をモータ駆動により自動で制御することも可能である。回転阻止部材としてモータに付属するブレーキを使用することができる。
【0019】
<実施形態3>
実施形態3を図8を用いて説明する。図8に示されるように、連結棒10の一端面からその長軸方向に沿ってあらかじめ穴を開けておく。穴は、固定プラテン21側あるいはリアプラテン22側の何れかの連結棒端面に開ける。これによって穴分だけ連結棒10の断面積を減らすことができる。穴が設けられた連結棒10の断面積を変更するには、連結棒断面積調整スペーサ14を挿入するとよい。連結棒断面積調整スペーサ14の長さや挿入される連結棒断面積調整スペーサ14の個数は適宜選択される。また、連結棒断面積調整スペーサ14は連結棒10にあらかじめ開けられた穴と嵌め合いになっている。連結棒断面積調整スペーサ14を取り出す為、連結棒断面積調整スペーサ14には逆ねじ付き空間15の孔が加工されており、連結棒10に設けられた穴から引き抜くことが可能である。連結棒断面積調整スペーサ14を連結棒10に固定するには、テンションボルト17とナット16を使用する。
【0020】
<実施形態4>
固定端2点間距離を変更する実施形態4を図9図10を用いて説明する。ここでは連結棒10の例として型締装置Mcに備わったタイバー20として説明する。固定プラテン21とタイバー20の固定位置の変更を固定端変更部品50を用いて行う。固定端変更部品50は、図10に示されるように、長さL3を持ち、タイバー20の外径と同じ半径の内周面を備えた2つの断面半円環状の部材から構成される。固定端変更部品50は一端部にフランジ55を備えている。フランジ55にはねじ孔56が設けられている。また、フランジ55と反対側の筒状本体の端部にはタップ孔53が設けられている。フランジ55に設けられたねじ孔56にねじ57をねじ込んで2つの断面半円環状の部材を固定プラテン21の金型取り付け面側に密着させる。また、2つの断面半円環状の部材の側面部に設けられたねじ孔52にねじ51をねじ込んでタイバー20に密着させる。これによって、タイバー20のタイバー固定端2点間距離がL2短くなる。また、図10のL2の長さを変更することによりタイバー20の固定端位置を変更可能である。あるいは、図9の様に、図4に示される連結棒断面積調整部品40を連結し、タップ孔43とタップ孔53にねじ44をねじ込んで結合させることも可能である。
【符号の説明】
【0021】
1 プレート
2 プレート
3 プレート

10 連結棒
11 ねじ穴
12 連結棒断面積調整ボルト
13 ナット(回転阻止部材)
14 連結棒断面積調整スペーサ
15 逆ねじ付き空間

20 タイバー
21 固定プラテン
22 リアプラテン
23 可動プラテン
24 ギア
25 ギア
26 固定プラテンナット
27 リアプラテンナット
28 金型

30 タイロッド
31 フロントプレート
32 リアプレート
33 プッシャープレート
34 射出シリンダ
35 ノズル

40 連結棒断面積調整部品
41 ねじ
42 ねじ孔
43 タップ孔
44 ねじ

50 固定端変更部品
51 ねじ
52 ねじ孔
53 タップ孔

55 フランジ
56 ねじ孔
57 ねじ

M 射出成形機
Mb 機台
Mc 型締装置
Mi 射出装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10