【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来技術には、以下のような改良すべき点があると考えられる。
まず、特許文献1に記載された靴では、アウトソールが面ファスナーのみで固定されており、分離する可能性があるので、歩行時にアウトソールが分離することを完全に防止したい。
特許文献2に記載された靴では、歩行することなどによって部材に欠損や歪み等が生じた場合には、アウトソールを取り外すことが困難になる。
【0005】
本発明は、靴本体とアウトソールとを容易で確実に結合することができ、しかもアウトソールの取り外しも容易にできる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(第一の発明)
第一の発明は、使用者の足が挿入される靴本体(10)に対して、面ファスナー(12,22)および結束具(30)を介して着脱可能なアウトソール(20)を備えた靴(50)に係る。
すなわち、前記靴本体(10)は、その底面の外部(11b)に面ファスナーの一方の片面(12)を備えるとともに、バンド部(30d)およびバックル部(30e)からなる結束具(30)における前記バンド部(30d)を挿通させる貫通孔(13c)を備えたバンド保持具(13)を保持し、
前記アウトソール(20)は、その靴本体(10)側に面ファスナーの他方の片面(22)を備えるとともに、 前記結束具(30)の前記バンド部(30d)が前記バンド保持具(13)を挿通して折り返されて前記バックル部(30e)
に通すことが可能であるように前記バンド部(30d)
が貫通させられる二つの貫通孔(25a,25a)を備えた板部材(25)を備え、
前記結束具(30)の前記バンド部(30d)が前記バンド保持具(13)を緩みなく結束した場合のバックル部(30e)は、前記アウトソール(20)における靴本体(10)側へ位置するように形成したアウトソール着脱靴に係る。
【0007】
(用語説明)
「アウトソール(20)」とは、フェルト素材のアウトソール、ゴム素材のアウトソールなど、いずれであってもよい。
バンド保持具(13)および結束具(30)の組み合わせは、少なくとも一組であり、二組以上であっても構わない。ただし、一組だけの場合には靴のつま先側に設ける。アウトソールのつま先側が部分的に靴本体から剥がれた状態では、歩行時に躓くおそれが高まるからである。
【0008】
(作用)
本願に係るアウトソール着脱靴の使用者が靴本体(10)にアウトソール(20)を取り付けるには、まず、靴本体(10)の面ファスナーの片面(12)とアウトソール(20)の面ファスナー(22)とをかみ合わせる。この段階で、靴本体(10)に保持されたバンド保持具(13)とアウトソール(20)に備えられた板部材(25)との位置決めを行うこととなる。
続いて、結束具(30)のバンド部(30d)を、板部材(25)における一方の貫通孔(25a)とバンド保持具(13)の貫通孔(13c)とを通す。そして、バンド部(30d)を折り返し、板部材(25)における他方の貫通孔(25a)を挿通させ、バックル部(30e)を通す。バンド部(30d)に緩みが無くなるまで締め付け、結束作業が完了する。その後、使用者はバックル部(30e)から出た余分なバンド部(30d)を切り落とす。すると、使用者が歩行する場合に、結束具(30)が邪魔になることはない。
【0009】
アウトソール着脱靴の使用者が靴本体(10)からアウトソール(20)を取り外す場合には、結束具(30)のバンド部(30d)を切断する。すると、バンド部(30d)およびバックル部(30e)によって結束されていた状態が解放され、靴本体(10)とアウトソール(20)とは、面ファスナーの片面(12,22)による固定のみとなる。その固定状態は、使用者が手でアウトソール(20)を靴本体(10)から剥がすことで解除できる。
以上により、靴本体とアウトソールとを容易で確実に結合することができ、しかもアウトソールの取り外しも容易にできるアウトソール着脱靴となった。
【0010】
(第一の発明のバリエーション1)
第一の発明は、前記板部材(25)は、前記バックル部(30e)より一回り大きく形成し、 二つの貫通孔(25a)は、前記バックル部(30e)より一回り小さく形成するとともに、その貫通孔(25a)の周縁を鋭利に形成することとしてもよい。
【0011】
(作用)
板部材(25)がバックル部(30e)より一回り大きく形成されているので、バンド部(30d)およびバックル部(30e)によって結束する場合に板部材(25)がバックル部(30e)のストッパとしての役割を果たすこととなる。
また、アウトソール着脱靴の使用者が靴本体(10)からアウトソール(20)を取り外す場合には、結束具(30)のバックル部(30e)を捻る。貫通孔(25a)の周縁が鋭利に形成されているので、結束具(30)のバンド部(30d)は切断される。すなわち、アウトソール(20)を更に容易に取り外せるアウトソール着脱靴となる。
【0012】
(第二の発明)
第二の発明は、前記の第一の発明のバリエーション1に対して、結束具(30)のバックル部(30e)を捻りやすい
アウトソール(20)の取り外し補助具(40)を提供する。
すなわち、アウトソール(20)を靴本体(10)から取り外す際に用いる取り外し補助具(40)であって、操作者の握り手となる土台部(40d)と、その土台部(40d)の一端から延ばして設けた嵌合部(40e)と、その嵌合部(40e)を収納するとともに前記土台部(40d)と着脱自在な筒状のキャップ(40h)と、を備えた
アウトソール(20)の取り外し補助具(40)に係る。
前記の嵌合部(40e)は、その内部空間が前記のバックル部(30e)より一回り大きな略直方体形とし、前記のキャップ(40h)は、前記の土台部(40d)と結合する結合側から前記の嵌合部(40e)側に向かって先細りとなる形状をなす。
前記の土台部(40d)には、その軸方向と直角に交差する貫通孔(40c)を備え、その貫通孔(40c)は、前記のキャップ(40h)における軸方向の中央付近の外形寸法と同じ内寸とした。
【0013】
(作用)
使用者が取り外し補助具(40)を用いるときは、キャップ(40h)を外し、土台部(40d)に設けられた貫通孔(40c)に、そのキャップ(40h)を挿入する。このとき、前記キャップ(40h)は、先細り形状となっているため、前記の貫通孔(40c)を貫通しない。そのため、土台部(40d)とキャップ(40h)とで略十字形をなし、これが前記の取り外し補助具(40)の持ち手部(40i)を構成する。
使用者は、持ち手部(40i)を握り、嵌合部(40e)の一端を、アウトソール(20)の凹部(k)を通じて、結束具(30)のバックル部(30e)に押し当てる。このとき、嵌合部(40e)の先端が、バックル部(30e)の周縁を内包する。そして、使用者が、前記の持ち手部(40i)をねじる動きに連動して、前記の嵌合部(40e)がバックル部(30e)をねじることができる。これにより、板部材(25)に設けられた貫通孔(25a)の周縁が切断部となって、バックル部(30e)を周回していたバンド部(30d)が千切れて結束状態が解かれるので、結束具(30)を外すことができる。
【0014】
(取り外し補助具40のバリエーション)
第一の発明のバリエーション1に対して結束具(30)のバックル部(30e)を捻りやすい取り外し補助具(40)を前述したが、第一の発明における結束具(30)のバンド部(30d)を切断しやすい取り外し補助具を提供しても良い。
すなわち、前記の嵌合部(40e)の先端を鋭利な刃物として形成しておく。その場合の取り外し補助具は、キャップ(40h)を回転させてねじるのではなく、嵌合部(40e)にてバンド部(30d)を切断するのである。