特許第5808291号(P5808291)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5808291アウトソール着脱靴およびアウトソール取り外し補助具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5808291
(24)【登録日】2015年9月18日
(45)【発行日】2015年11月10日
(54)【発明の名称】アウトソール着脱靴およびアウトソール取り外し補助具
(51)【国際特許分類】
   A43B 13/36 20060101AFI20151021BHJP
   A43B 5/00 20060101ALI20151021BHJP
【FI】
   A43B13/36
   A43B5/00 304
   A43B5/00 310
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-123815(P2012-123815)
(22)【出願日】2012年5月30日
(65)【公開番号】特開2013-248066(P2013-248066A)
(43)【公開日】2013年12月12日
【審査請求日】2014年6月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101384
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 成夫
(74)【代理人】
【識別番号】100101742
【弁理士】
【氏名又は名称】麦島 隆
(72)【発明者】
【氏名】山口 信之
【審査官】 横溝 顕範
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−168406(JP,A)
【文献】 特開平08−205907(JP,A)
【文献】 米国特許第04267650(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2001/0042319(US,A1)
【文献】 特開2012−210393(JP,A)
【文献】 実公昭47−009195(JP,Y1)
【文献】 特開平11−173456(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 5/00
A43B 13/36
B25B 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の足が挿入される靴本体に対して、面ファスナーおよび結束具を介して着脱可能なアウトソールを備えた靴であって、
前記靴本体は、その底面の外部に面ファスナーの片面を備えるとともに、バンド部およびバックル部からなる結束具における前記バンド部を挿通させる貫通孔を備えたバンド保持具を保持し、
前記アウトソールは、その靴本体側に面ファスナーの他方の片面を備えるとともに、 前記結束具の前記バンド部が前記バンド保持具を挿通して折り返されて前記バックル部通すことが可能であるように前記バンド部貫通させられる二つの貫通孔を備えた板部材を備え、
前記結束具の前記バンド部が前記バンド保持具を緩みなく結束した場合のバックル部は、前記アウトソールにおける靴本体側の内方へ位置するように形成したアウトソール着脱靴。
【請求項2】
前記板部材は、前記バックル部より一回り大きく形成し、 二つの貫通孔は、前記バックル部より一回り小さく形成するとともに、その貫通孔の周縁を鋭利に形成した請求項1に記載のアウトソール着脱靴。
【請求項3】
使用者の足が挿入される靴本体に対して、面ファスナーおよび結束具を介して着脱可能なアウトソールを備えたアウトソール着脱靴に用いられるアウトソール取り外し補助具であって、
前記アウトソール着脱靴における前記靴本体は、その底面の外部に面ファスナーの片面を備えるとともに、バンド部およびバックル部からなる結束具における前記バンド部を挿通させる貫通孔を備えたバンド保持具を保持し、
前記アウトソールは、その靴本体側に面ファスナーの他方の片面を備えるとともに、 前記結束具の前記バンド部が前記バンド保持具を挿通して折り返されて前記バックル部に通すことが可能であるように前記バンド部が貫通させられる二つの貫通孔を備えた板部材を備え、
前記結束具の前記バンド部が前記バンド保持具を緩みなく結束した場合のバックル部は、前記アウトソールにおける靴本体側の内方へ位置するように形成し、
前記のアウトソール取り外し補助具は、操作者の握り手となる土台部と、その土台部の一端から延ばして設けた嵌合部と、その嵌合部を収納するとともに前記土台部と着脱自在な筒状のキャップと、を備え、
前記の嵌合部は、その内部空間が前記のバックル部より一回り大きな略直方体形とし、 前記のキャップは、前記の土台部と結合する結合側から前記の嵌合部側に向かって先細りとなる形状をなし、
前記の土台部には、その軸方向と直角に交差する貫通孔を備え、 その貫通孔は、前記のキャップにおける軸方向の中央付近の外形寸法と同じ内寸としたアウトソール取り外し補助具
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アウトソールが着脱可能な靴、およびそのアウトソールを装着した靴からアウトソールを取り外す際に用いる補助具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、靴は、靴本体にアウトソールを備えているが、アウトソールは常に地面に接し摩耗するため、靴本体に比して消耗が早い。
釣りや登山など、特定の目的に沿った靴においては、用途・場所によって、更に適したアウトソールが異なることがある。例えば、釣り靴であれば、水辺から離れて釣を行うときは、通常のゴム底靴が適しているが、湿った岩場や苔の生えた浅瀬などで釣りをするときは、滑り止め効果の極めて高いフェルト底靴が好ましい。
このようにアウトソールの消耗または、用途・場所に合わせて、アウトソールを交換することができる靴が求められている。
アウトソールが交換できる靴としては、例えば、靴本体とアウトソールとを面ファスナーで着脱可能とし、さらに靴本体とアウトソールの夫々に重合壁を設け、外れにくい構造を備えたものがある(特許文献1)。
また、靴本体とアウトソールとの着脱にゴムピンを用いたものもある(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−205907号公報
【特許文献2】特開2006−289063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来技術には、以下のような改良すべき点があると考えられる。
まず、特許文献1に記載された靴では、アウトソールが面ファスナーのみで固定されており、分離する可能性があるので、歩行時にアウトソールが分離することを完全に防止したい。
特許文献2に記載された靴では、歩行することなどによって部材に欠損や歪み等が生じた場合には、アウトソールを取り外すことが困難になる。
【0005】
本発明は、靴本体とアウトソールとを容易で確実に結合することができ、しかもアウトソールの取り外しも容易にできる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(第一の発明)
第一の発明は、使用者の足が挿入される靴本体(10)に対して、面ファスナー(12,22)および結束具(30)を介して着脱可能なアウトソール(20)を備えた靴(50)に係る。
すなわち、前記靴本体(10)は、その底面の外部(11b)に面ファスナーの一方の片面(12)を備えるとともに、バンド部(30d)およびバックル部(30e)からなる結束具(30)における前記バンド部(30d)を挿通させる貫通孔(13c)を備えたバンド保持具(13)を保持し、
前記アウトソール(20)は、その靴本体(10)側に面ファスナーの他方の片面(22)を備えるとともに、 前記結束具(30)の前記バンド部(30d)が前記バンド保持具(13)を挿通して折り返されて前記バックル部(30e)通すことが可能であるように前記バンド部(30d)貫通させられる二つの貫通孔(25a,25a)を備えた板部材(25)を備え、
前記結束具(30)の前記バンド部(30d)が前記バンド保持具(13)を緩みなく結束した場合のバックル部(30e)は、前記アウトソール(20)における靴本体(10)側へ位置するように形成したアウトソール着脱靴に係る。
【0007】
(用語説明)
「アウトソール(20)」とは、フェルト素材のアウトソール、ゴム素材のアウトソールなど、いずれであってもよい。
バンド保持具(13)および結束具(30)の組み合わせは、少なくとも一組であり、二組以上であっても構わない。ただし、一組だけの場合には靴のつま先側に設ける。アウトソールのつま先側が部分的に靴本体から剥がれた状態では、歩行時に躓くおそれが高まるからである。
【0008】
(作用)
本願に係るアウトソール着脱靴の使用者が靴本体(10)にアウトソール(20)を取り付けるには、まず、靴本体(10)の面ファスナーの片面(12)とアウトソール(20)の面ファスナー(22)とをかみ合わせる。この段階で、靴本体(10)に保持されたバンド保持具(13)とアウトソール(20)に備えられた板部材(25)との位置決めを行うこととなる。
続いて、結束具(30)のバンド部(30d)を、板部材(25)における一方の貫通孔(25a)とバンド保持具(13)の貫通孔(13c)とを通す。そして、バンド部(30d)を折り返し、板部材(25)における他方の貫通孔(25a)を挿通させ、バックル部(30e)を通す。バンド部(30d)に緩みが無くなるまで締め付け、結束作業が完了する。その後、使用者はバックル部(30e)から出た余分なバンド部(30d)を切り落とす。すると、使用者が歩行する場合に、結束具(30)が邪魔になることはない。
【0009】
アウトソール着脱靴の使用者が靴本体(10)からアウトソール(20)を取り外す場合には、結束具(30)のバンド部(30d)を切断する。すると、バンド部(30d)およびバックル部(30e)によって結束されていた状態が解放され、靴本体(10)とアウトソール(20)とは、面ファスナーの片面(12,22)による固定のみとなる。その固定状態は、使用者が手でアウトソール(20)を靴本体(10)から剥がすことで解除できる。
以上により、靴本体とアウトソールとを容易で確実に結合することができ、しかもアウトソールの取り外しも容易にできるアウトソール着脱靴となった。
【0010】
(第一の発明のバリエーション1)
第一の発明は、前記板部材(25)は、前記バックル部(30e)より一回り大きく形成し、 二つの貫通孔(25a)は、前記バックル部(30e)より一回り小さく形成するとともに、その貫通孔(25a)の周縁を鋭利に形成することとしてもよい。
【0011】
(作用)
板部材(25)がバックル部(30e)より一回り大きく形成されているので、バンド部(30d)およびバックル部(30e)によって結束する場合に板部材(25)がバックル部(30e)のストッパとしての役割を果たすこととなる。
また、アウトソール着脱靴の使用者が靴本体(10)からアウトソール(20)を取り外す場合には、結束具(30)のバックル部(30e)を捻る。貫通孔(25a)の周縁が鋭利に形成されているので、結束具(30)のバンド部(30d)は切断される。すなわち、アウトソール(20)を更に容易に取り外せるアウトソール着脱靴となる。
【0012】
(第二の発明)
第二の発明は、前記の第一の発明のバリエーション1に対して、結束具(30)のバックル部(30e)を捻りやすいアウトソール(20)の取り外し補助具(40)を提供する。
すなわち、アウトソール(20)を靴本体(10)から取り外す際に用いる取り外し補助具(40)であって、操作者の握り手となる土台部(40d)と、その土台部(40d)の一端から延ばして設けた嵌合部(40e)と、その嵌合部(40e)を収納するとともに前記土台部(40d)と着脱自在な筒状のキャップ(40h)と、を備えたアウトソール(20)の取り外し補助具(40)に係る。
前記の嵌合部(40e)は、その内部空間が前記のバックル部(30e)より一回り大きな略直方体形とし、前記のキャップ(40h)は、前記の土台部(40d)と結合する結合側から前記の嵌合部(40e)側に向かって先細りとなる形状をなす。
前記の土台部(40d)には、その軸方向と直角に交差する貫通孔(40c)を備え、その貫通孔(40c)は、前記のキャップ(40h)における軸方向の中央付近の外形寸法と同じ内寸とした。
【0013】
(作用)
使用者が取り外し補助具(40)を用いるときは、キャップ(40h)を外し、土台部(40d)に設けられた貫通孔(40c)に、そのキャップ(40h)を挿入する。このとき、前記キャップ(40h)は、先細り形状となっているため、前記の貫通孔(40c)を貫通しない。そのため、土台部(40d)とキャップ(40h)とで略十字形をなし、これが前記の取り外し補助具(40)の持ち手部(40i)を構成する。
使用者は、持ち手部(40i)を握り、嵌合部(40e)の一端を、アウトソール(20)の凹部(k)を通じて、結束具(30)のバックル部(30e)に押し当てる。このとき、嵌合部(40e)の先端が、バックル部(30e)の周縁を内包する。そして、使用者が、前記の持ち手部(40i)をねじる動きに連動して、前記の嵌合部(40e)がバックル部(30e)をねじることができる。これにより、板部材(25)に設けられた貫通孔(25a)の周縁が切断部となって、バックル部(30e)を周回していたバンド部(30d)が千切れて結束状態が解かれるので、結束具(30)を外すことができる。
【0014】
(取り外し補助具40のバリエーション)
第一の発明のバリエーション1に対して結束具(30)のバックル部(30e)を捻りやすい取り外し補助具(40)を前述したが、第一の発明における結束具(30)のバンド部(30d)を切断しやすい取り外し補助具を提供しても良い。
すなわち、前記の嵌合部(40e)の先端を鋭利な刃物として形成しておく。その場合の取り外し補助具は、キャップ(40h)を回転させてねじるのではなく、嵌合部(40e)にてバンド部(30d)を切断するのである。
【発明の効果】
【0015】
第一の発明によれば、簡便で容易に入手可能な結束具を用いることで、面ファスナーによる靴本体とアウトソールとの結合を補強する構造を提供することができた。したがって、強固に靴本体とアウトソールとを結合することができ、かつ、簡単に着脱可能なアウトソールを備えた靴を提供することができた。
また、第二の発明によれば、アウトソールの結合に用いた結束具を、容易に取り外すことができる補助具を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る第一の実施形態に係る靴の側面図および底面図である。
図2】第一の実施形態に係る靴の分解斜視図である。
図3図1の靴の結合手順を示す斜視図である
図4図1の靴の要部断面図である。
図5】板部材の変形例である。
図6】(a)は取り外し補助具の斜視図であり、(b)は取り外し補助具の持ち手部にキャップを挿通する様子を表わした図である。
図7】(a)は取り外し補助具の使用方法を示す斜視図であり、(b)は取り外し補助具の使用状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、靴(50)は、靴本体(10)と着脱可能なアウトソール(20)とからなる。
図2に示すように、靴本体(10)は、アッパー部(11)、フック面の面ファスナー(12)、バンド保持具(13)および、バンド保持具を覆う閉じ蓋(14)とで構成されている。
【0018】
アッパー部(11)は、底面に貫通孔(11a)を備え、その貫通孔(11a)にバンド保持具(13)を嵌め込む。このとき、前記貫通孔(11a)は、バンド保持具(13)が、適度に動ける程度の隙間を設けて形成することで、アウトソール(20)の取り付け時に、バンド保持具(13)とのズレを吸収することができる。
【0019】
前記バンド保持具(13)は、アッパー部材(11)と別部材で構成せずに、アッパー部(11)に一体成型してもよい。また、前記バンド保持具(13)の形状は、少なくとも結束具(30)を引っ掛けることができる形状であればよい。バンド保持具(13)を別部材で形成する場合において、アッパー部(11)への結合方法は、嵌合する方法のほか、接着剤などを用いて接着する方法、ピン打ちする方法、または螺合する方法などを用いてもよい。
バンド保持具(13)は、頭部(13e)、胴部(13d)、およびその胴部(13d)に設けられた貫通孔(13c)とからなる。その貫通孔(13c)の形状は、略四角形に限定されず、略三角形、略円形でもよい。
【0020】
フック面の面ファスナー(12)は、アッパー部(11)において、底面の外部(11b)に固定される。そのフック面の面ファスナー(12)は、アウトソール(20)において、底面の上面に固定されたループ面の面ファスナー(22)と係合することで、靴本体(10)とアウトソール(20)とを結合する。前記フック面の面ファスナー(12)は、バンド保持具(13)を嵌め込むための貫通孔(12a)が形成されている。
貫通孔(11a,12a)の内径は、バンド保持具(13)の胴部(13d)の直径よりも大きいが、頭部(13e)の直径よりも小さい。
【0021】
図に示すように、アウトソール(20)は、ループ面の面ファスナー(22)、アウトソール上層(23)とアウトソール下層(24)とからなるアウトソール層、および板部材(25)とで構成されている。
ループ面の面ファスナー(22)は、アウトソール(20)において、底面の上部に固定される。そのループ面の面ファスナー(22)は、アッパー部(11)において、底面の外部に固定されたフック面の面ファスナー(12)と係合することで、靴本体(10)とアウトソール(20)とを結合する。ループ面の面ファスナー(22)は、貫通孔(22a)が穿たれている。
【0022】
アウトソール層は、アウトソール上層(23)およびアウトソール下層(24)との二層で構成されている。アウトソール上層(23)には、貫通孔(23a)が穿たれている。アウトソール下層(24)は、その底面の接地面に貫通孔(24a)が形成されている。このアウトソール上層の貫通孔(23a)とアウトソール下層の貫通孔(24a)とを形成することにより、アウトソールにおける接地面から靴本体方向へ凹んだ凹部(k)が形成される。結束部が、凹部(k)に収まることで、結束部等が直接、地面に接するのを防止する。なお、アウトソール層は二層に限定されるものではない。また、アウトソール上層(23)とアウトソール下層(24)は、同素材で構成してもよく、異素材で構成してもよい。
アウトソール層に、略コの字型や略T字型などの金属ピン(26)を挿入し、その金属ピン(26)の先端が、アウトソール(20)の接地面(24b)に露出するように差し込んでもよい。さらなる滑り止め効果が期待できるからである。
【0023】
板部材(25)は、二つの貫通孔(25a)が穿たれおり、アウトソール上層(23)とアウトソール下層(24)との層間に、接着剤またはインサート成形により固定される。
板部材(25)には、上記二つの貫通孔(25a)以外の貫通孔(25g)を形成し、また、板部材(25)の周縁には溝(25f)を設けることが好ましい。これにより、前記の板部材(25)が、アウトソール上層(23)とアウトソール下層(24)との間において回転しないように回転防止の機能を持たせることができる。
なお、板部材(25)の素材は、結束具(30)のバンド部(30d)を切断するという機能を備える必要があるので、ステンレス鋼などの金属部材が好ましい。ただし、金属材料であることに限定されるものではない。
【0024】
図3に示すように、結束部は、アウトソール(20)のつま先部および踵部に設けている。アウトソール(20)の着脱作業を最優先に考えた場合には、結束部の数は少ないほど良く、アウトソール(20)の固定強度を最優先に考えた場合には、結束部の数は多いほど良いが、最も合理的な数としてつま先部および踵部の2カ所としている。
この2カ所を選択したのは、つま先部は、歩行中に面ファスナー(12および22)の係合が外れた場合に最も危険だからであり、曲げ荷重がかかるために靴本体(10)と前記のアウトソール(20)とが分離しやすい部分だからである。踵部は、使用者の体重が最もかかる瞬間がある上に、つま先部との組み合わせとしては、遠い部分となるので合理的だからである。
なお、結束する部位を2カ所よりも増やす場合には、前記のつま先部および踵部に加え、たとえば土踏まず付近に設けるのが合理的である。
【0025】
バンド保持具(13)は、閉じ蓋(14)によって上下方向の動きは規制されているものの、回転することはできる。また、貫通孔(11a,12a)の内径は、結束具(30)の胴部(13d)の直径よりも大きいので、結束具(30)のバンド部(30d)を、胴部(13d)およびその胴部(13d)の貫通孔(13c)へ挿通させる作業性を確保できる。
【0026】
(結合手順)
使用者は、靴本体(10)とアウトソール(20)とを、面ファスナー(12および22)によって位置決めし、結束具(30)を、アウトソール(20)の接地面(24b)に形成された凹部(k)から、板部材(25)のいずれか一方の貫通孔(25a)を通じ、バンド保持具(13)に通す。そして、他方の貫通孔(25a)から、前記バンド部(30d)の端部を排出し、さらにバックル部(30e)に通すことで、貫通孔(25a)内部において、前記のバンド保持具(13)を結束し、前記のバックル部(30e)を、前記の貫通孔(25a)の周縁に係止する。
【0027】
これにより、バンド保持具(13)と、板部材(25)とが、結束具(30)により結束される。また、結束具(30)のバックル部(30e)が、前記の板部材(25)を前記の靴本体に押さえつけることで、靴本体(10)とアウトソール(20)とを結合することができる。 結束後は、結束具(30)に不要な部分が生じるが、その不要な部分については、ニッパーやハサミを用いて切断する。
以上により、靴本体(10)とアウトソール(20)とを容易で確実に結合することができる。
【0028】
(分離手順)
分離には、図6(a)に示す取り外し補助具(40)を用いる。図6(b)に示すように、使用者は、キャップ(40h)を外し、土台部(40d)に設けられた貫通孔(40c)に、そのキャップ(40h)を挿入する。前記キャップ(40h)は、先細り形状となっているため、前記の貫通孔(40c)を貫通しない。そのため、土台部(40d)とキャップ(40h)とで略十字形をなし、これが前記の取り外し補助具(40)の持ち手部(40i)を構成する。
【0029】
使用者は、持ち手部(40i)を握り、嵌合部(40e)の一端を、アウトソール(20)の凹部(k)に挿し、結束具(30)のバックル部(30e)に押し当てる。このとき、嵌合部(30e)の四辺がバックル部(30e)の周縁を囲む。使用者が、前記の持ち手部(40i)をねじることで、前記の嵌合部(40e)もねじれ、バックル部(30e)を周回していたバンド部(30d)が千切れて結束状態が解かれるので、結束具(30)を外すことができる。 これにより、前記の結束具(20)が外れる。そして、靴本体(10)とアウトソール(20)とは、面ファスナー(12および22)の引きはがしによって、分離することができる。
以上により、アウトソール(20)の取り外しも容易にできるアウトソール着脱靴となった。
【0030】
なお、結束具(30)の切断は、上述の取り外し補助具(40)を用いずに、たとえばカッターナイフなど市販の切断具を用いてもよい。
また、取り外し補助具(40)の嵌合部(40e)の先端を鋭利な刃物として形成しておき、キャップ(40h)を回転させてねじるのではなく、嵌合部(40e)にてバンド部(30d)を切断することとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、釣りや登山などの運動またはレジャー、調理・工事・清掃等の作業現場においても使用できる靴の製造業、靴のレンタル業、靴のメンテナンス業などにおいて、利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0032】
50 靴
a アウトソールの貫通孔
10 靴本体
11 アッパー部 11a 貫通孔
11b アッパー部底面の外部
12 フック面の面ファスナー 12a 貫通孔
13 バンド保持具 13c 貫通孔
13d 胴部 13e 頭部
14 閉じ蓋
20 アウトソール
22 ループ面の面ファスナー 22a 貫通孔
23 アウトソール上層 23a 貫通孔
24 アウトソール下層 24a 貫通孔
24b 接地面
25 板部材 25a 貫通孔
25f 溝 25g 貫通孔
26 金属ピン
30 結束具 30e バックル部
30d バンド部
40 取り外し補助具 40c 貫通孔
40d 土台部 40e 嵌合部
40h キャップ 40i 持ち手部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7