特許第5808293号(P5808293)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5808293
(24)【登録日】2015年9月18日
(45)【発行日】2015年11月10日
(54)【発明の名称】転圧機械
(51)【国際特許分類】
   E01C 19/27 20060101AFI20151021BHJP
   B60B 3/08 20060101ALI20151021BHJP
【FI】
   E01C19/27
   B60B3/08 F
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-126200(P2012-126200)
(22)【出願日】2012年6月1日
(65)【公開番号】特開2013-249662(P2013-249662A)
(43)【公開日】2013年12月12日
【審査請求日】2014年9月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 鉄朗
(72)【発明者】
【氏名】阿部 浩
【審査官】 神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭60−186305(JP,U)
【文献】 特開平11−078401(JP,A)
【文献】 特開平08−132809(JP,A)
【文献】 米国特許第05494375(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 19/00−19/52
B60B 1/00−27/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のタイヤを組み合わせて転圧ローラの車輪として構成した転圧機械において、
前記タイヤのホイールは、ゴムタイヤを外嵌させるリムと、該リムに内嵌されて車軸先端に接続されるハブに締結されるディスクとで一体に構成され、
前記ディスクの前記ハブへの接合位置は、前記ホイールの幅方向で視て前記リムの中央に位置してなるとともに、
前記転圧ローラは2本一対のタイヤを複数組み合わせて構成されており、
前記ハブは、前記2本一対のタイヤの組に対応して一つ設けられ、前記車軸先端への締結部が前記2本一対のタイヤにおける互いの前記ディスク間距離の中間に位置してなることを特徴とする転圧機械。
【請求項2】
前記ゴムタイヤはチューブレスタイヤであって、前記リムには、前記ゴムタイヤの内側のエアの吸排を行うためのエアバルブが前記ディスクを挟んで一対設けられていることを特徴とする、請求項1記載の転圧機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路面工事に使用される転圧機械に係り、詳しくは、転圧機械の転圧ローラとして設けられた転圧用タイヤの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
路面工事を行う場合、一般に振動ローラ車両等の転圧ローラを有した転圧機械が用いられている。
例えば、転圧機械が振動ローラ車両である場合、転圧ローラは、車体の前輪が金属ローラ、後輪がタイヤまたは金属ローラで構成されている。そして、振動ローラ車両においては、前輪及び後輪の少なくともいずれか一方を振動させることが可能に構成されている。
【0003】
ここで用いられるタイヤは、複数のタイヤを組み合わせて使用されるものであり、通常、自動車の車輪に使用されるような車両用ホイールの周りにゴムタイヤを嵌合させて構成されている。そして、車両用ホイールとしては、金属製のリムとディスクとを一体に接合したものが一般的である(特許文献1参照)。
ところで、車両における車輪は、車両用ホイールのディスクが車両の車軸先端のハブに取り付けられることで車両と一体とされるが、通常、車軸先端のハブには車輪の制動を行うためのブレーキ装置等が設けられており、上記特許文献1に開示されるように、車両用ホイールは、ディスクがリムの中央からハブ側へオフセットして接合されて構成されるのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭62−19404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、タイヤを用いた振動ローラ車両において、最も外側のゴムタイヤは、路面の端に埋設された縁石に接触することが多く、また例えばアスファルトを加熱させるバーナーの熱を受け易く、ゴムタイヤの外側の側面や角部が特に摩耗し易い。
この場合、例えば4本以上のタイヤを組み合わせたものである場合には、外側の車輪と内側の車輪を入れ換えるようにすれば、ゴムタイヤの外側の側面や角部を新しくすることができる。ところが、このように車輪を入れ換えるようにしても、やはりゴムタイヤの外側の側面や角部が摩耗してしまう。
【0006】
この場合、タイヤを車両用ホイールごと反転させることが考えられるが、上記特許文献1に開示されるような車両用ホイールでは、ディスクがリムの中央からハブ側へオフセットしているために、タイヤを車両用ホイールごと、即ち車輪ごと反転させると、車輪が車幅方向に大きく突出してしまうという問題がある。
また、ゴムタイヤを車両用ホイールから一旦外してゴムタイヤだけを反転させることも考えられるが、この場合には、タイヤ交換用の専用の装置が必要となり、タイヤ交換作業に手間が掛かり、やはり好ましいことではない。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、車両外側のタイヤの摩耗を容易に解消可能な転圧機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1の転圧機械は、複数のタイヤを組み合わせて転圧ローラの車輪として構成した転圧機械において、前記タイヤのホイールは、ゴムタイヤを外嵌させるリムと、該リムに内嵌されて車軸先端に接続されるハブに締結されるディスクとで一体に構成され、前記ディスクの前記ハブへの接合位置は、前記ホイールの幅方向で視て前記リムの中央に位置してなるとともに、前記転圧ローラは2本一対のタイヤを複数組み合わせて構成されており、前記ハブは、前記2本一対のタイヤの組に対応して一つ設けられ、前記車軸先端への締結部が前記2本一対のタイヤにおける互いの前記ディスク間距離の中間に位置してなることを特徴とする。
【0008】
請求項2の転圧機械では、請求項1において、前記ゴムタイヤはチューブレスタイヤであって、前記リムには、前記ゴムタイヤの内側のエアの吸排を行うためのエアバルブが前記ディスクを挟んで一対設けられていることを特徴とする
【発明の効果】
【0009】
請求項1の転圧機械によれば、転圧用タイヤを構成するタイヤのホイールは、リムに内嵌されて車軸先端のハブに締結されるディスクのハブへの接合位置が、ホイールの幅方向で視てリムの中央に位置するようにして構成されている。
即ち、制動を行うためのブレーキ装置等が車軸先端のハブ以外の場所(例えば、アクスル内)に設けられているような転圧機械では、ホイールにおいてディスクをオフセットする必要が無いことから、ディスクをホイールの幅方向で視てリムの中央に位置させることが可能である。
【0010】
このようにすれば、ホイールを反転させて車軸先端のハブに締結しても、ハブに対するリムの相対位置を変えないようにできる。即ち、タイヤをホイールごと反転させるようにしても、リムに外嵌されたゴムタイヤのハブに対する相対位置を変えないようにでき、タイヤをホイールごと反転させて使用することができる。
特に、ハブは、2本一対のタイヤの組に対応して一つ設けられ、車軸先端への締結部が2本一対のタイヤにおける互いのディスク間距離の中間に位置してなるので、2本一対のタイヤの組をハブごと反転させるようにしても、リムに外嵌されたゴムタイヤの車軸先端に対する相対位置を変えないようにでき、2本一対のタイヤの組をハブごと反転させて使用することができる。
これにより、転圧機械の転圧用タイヤにおいて、最も外側のゴムタイヤは外側の側面や角部が特に摩耗し易いのであるが、タイヤをホイールごと反転させることで、ゴムタイヤの内側の側面や角部を容易に外側に位置させて使用することができ、また、2本一対のタイヤをハブごと反転させることで、容易に外側のタイヤを内側に、内側のタイヤを外側に位置させて使用することができ、ゴムタイヤを効率よく使い回すことができる。
【0011】
請求項2の転圧機械によれば、ゴムタイヤはチューブレスタイヤであって、リムにはゴムタイヤの内側のエアの吸排を行うためのエアバルブがディスクを挟んで一対設けられているので、転圧機械の転圧用タイヤにおいて、タイヤをホイールごと反転させた場合であっても、いずれか一方のエアバルブには必ず手が届くようにでき、ゴムタイヤの内側のエア圧の点検等の作業に支障を来さないようにできる
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る振動ローラ車両の側面図である。
図2】本発明に係る振動ローラ車両を後方より見た背面図である。
図3】本発明に係る振動ローラ車両のタイヤひいてはホイールの断面図である。
図4図3の状態から最も外側のタイヤをホイールごと反転させた状態を示す断面図である。
図5図4の状態から外側のタイヤと内側のタイヤをハブごと反転させた状態を示す断面図である。
図6図5の状態から最も外側のタイヤをホイールごと反転させた状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る転圧機械の一実施形態について図面に基づき説明する。
本発明に係る転圧機械は、例えば舗装作業を行う振動ローラ車両であり、以下振動ローラ車両について説明する。
図1は、本発明に係る振動ローラ車両の全体を示す側面図であり、図2は振動ローラ車両を後方より見た背面図である。
振動ローラ車両は、大きくは前部転圧ローラ1を備えた前部車体2と後部転圧ローラ3を備えた後部車体4とから構成されている。これら前部車体2と後部車体4とはセンタピン5を介して水平方向に屈曲可能なアーティキュレート式に連結されており、振動ローラ車両は、前部車体2と後部車体4とを相互に屈曲することで車両の旋回を行うことが可能に構成されている。
【0014】
前部転圧ローラ1はほぼ車幅と対応する長さを有する金属ドラムから構成され、前部車体2から下方に延設された左右一対の支持アーム6により回転可能に支持されている。一方、後部転圧ローラ3は2本一対のタイヤ30、30の組が左右一対設けられて計4本の複数のタイヤ30から構成され、後部車体4に設けられたアクスル(車軸)7により回転可能に支持されている。
前部車体2にはパワーユニットとしてエンジンや油圧ポンプ等の機器が搭載され、エンジンの駆動力はアクスル7を介して後部転圧ローラ3に伝達される。また、図示しないが、エンジンの駆動により油圧ポンプから吐出される作動油は、例えば前部転圧ローラ1内に設けられた振動用モータに供給され、作動油の供給により振動用モータは路面の転圧時に前部転圧ローラ1を加振する。
また、アクスル7内には、ブレーキ装置(図示せず)が内装されており、ブレーキ装置によって後部転圧ローラ3ひいては振動ローラ車両の制動を行うことが可能である。
【0015】
後部車体4上の前側位置にはステアリング8を備えた操作台9が設置され、操作台9の後側には座席10が設置されている。座席10に着座した作業者はステアリング8及び足下のアクセルペダルやブレーキペダルの操作により振動ローラ車両を走行させ、舗装作業時には前部転圧ローラ1及び後部転圧ローラ3により路面の転圧を行なう。
後部車体4を構成する車体フレーム12は、座席10の直下及びその後側においてボックス状の貯水タンク収容部13を形成しており、貯水タンク収容部13内には貯水タンク14が設置されている。貯水タンク14は、前部転圧ローラ1及び後部転圧ローラ3の近傍に配設されたローラ散水ノズル15に配管を介して接続されている。具体的には、ローラ散水ノズル15は、後述するスクレーパ装置26、28にそれぞれ取り付けられている。これにより、舗装作業時には、前部転圧ローラ1及び後部転圧ローラ3へ砂利やアスファルト等の舗装材が付着しないよう、貯水タンク14に貯留された水をローラ散水ノズル15から前部転圧ローラ1及び後部転圧ローラ3や路面に散水可能である。
【0016】
前部車体2には、前部転圧ローラ1に向けて延びるとともに前部転圧ローラ1の回転軸に沿う方向に延びてスクレーパ装置26、27が設けられており、これにより、前部転圧ローラ1に付着した砂利やアスファルト等の舗装材を掻き落とすことが可能である。また、後部車体4には、後部転圧ローラ3に向けて延びるとともに後部転圧ローラ3の回転軸に沿う方向に延びてスクレーパ装置28が設けられており、これにより、上記同様、後部転圧ローラ3に付着した砂利やアスファルト等の舗装材を掻き落とすことが可能である。
ところで、後部転圧ローラ3を構成するタイヤ30は、図1に示すように、ホイール34にゴムタイヤ32が外嵌されて構成されている。ホイール34は、ゴムタイヤ32を外嵌させるリム35と該リム35に内嵌されてアクスル7先端のハブ7aに締結されるディスク36とを一体に接合して構成されている。ゴムタイヤ32は、路面を転圧することができるよう、路面と接触する外周面は溝もなく平面で構成されており、幅方向両側の角部ではそれぞれ外周面と側面とが略直角をなすよう構成されている。実際には、ゴムタイヤ32の外周面は、接地時のゴムタイヤ32の変形等を考慮し、僅かに凸形状の弧をなしている。
【0017】
図3を参照すると、本発明に係る振動ローラ車両のタイヤ30ひいてはホイール34の断面図が示されており、以下、同図に基づきタイヤ30ひいてはホイール34の構成について詳しく説明する。
ホイール34を構成するリム35とディスク36は、例えば鋼板をプレス成形したものであり、同図に示すように、ホイール34は、ディスク36をリム35に溶接接合することで構成されている。詳しくは、ディスク36の周縁には直角に屈曲して延びて周縁フランジ37が形成されており、周縁フランジ37の部分がリム35に内嵌され、周縁フランジ37とリム35とが溶接接合されている。
上述したように、振動ローラ車両では、通常の自動車とは異なり、制動を行うためのブレーキ装置はアクスル7内に内装されている。従って、ハブ7aにブレーキ装置は存在せず、故にホイール34においてディスク36をオフセットしてリム35に設ける必要は無く、ディスク36をホイール34の幅方向で視てリム35の中央に位置するようにしてリム35に接合可能である。
【0018】
このようなことから、同図に示すように、ホイール34のディスク36は、ホイール34の幅方向で視てリム35の中央に位置するようにしてリム35に接合されている。詳しくは、ディスク36は、ホイール34の幅方向で視てディスク36の中心線とリム35の中心線ひいてはゴムタイヤ32の中心線とが中心線Pで一致するようにリム35に接合されている。なお、ディスク36には、ホイール34をアクスル7先端のハブ7aにボルトで締結可能なよう、複数のボルト貫通孔が設けられている。
一方、アクスル7先端のハブ7aは、一つで2本一対のタイヤ30、30の組のホイール34、34を取り付け可能に構成されてアクスル7先端にボルトで締結されている。詳しくは、ハブ7aは、アクスル7先端との接合部を節部(締結部)7bとして筒状に延びる筒状部7cを有し、筒状部7cの両端に形成されたフランジ部7d、7eにそれぞれホイール34を締結可能に構成されている。ここに、ホイール34の幅方向で視てディスク36の中心線とリム35の中心線ひいてはゴムタイヤ32の中心線とは中心線Pで一致することから、図3中に示すフランジ部7d、7eのホイール34、34との締結面間の距離Dは、ゴムタイヤ32の幅寸法L(L/2×2)とゴムタイヤ32間の隙間dとの和からディスク36の板厚t(t/2×2)を差し引いた値(D=L+d−t)に設定されている。
【0019】
また、例えば、ホイール34の幅方向で視てアクスル7先端との接合部であるハブ7aの節部7bの中心線Qの位置は、上記フランジ部7d、7eのホイール34、34との締結面間の距離Dの半分(D/2)の位置、即ちホイール34のディスク36間距離の中間位置に設定されている。なお、フランジ部7d、7eには、上記ディスク36に設けられた複数のボルト貫通孔に対応してボルトと螺合する複数の螺状孔が形成されている。
これにより、2本一対のタイヤ30、30は、一対のタイヤ30、30の組のうち、外側のタイヤ30のホイール34についてはハブ7aのフランジ部7dにボルトで締結され、内側のタイヤ30のホイール34についてはハブ7aのフランジ部7eにボルトで締結されることで、互いに隙間dを有してハブ7aに締結されており、さらにハブ7aがアクスル7先端に締結されることで、最終的にアクスル7に連結されている。
【0020】
また、ここでは、タイヤ30のゴムタイヤ32はチューブレスタイヤで構成されており、リム35には、それぞれディスク36を挟んで一対のエアバルブ38、38が設けられている。これら一対のエアバルブ38、38はいずれも同様にしてゴムタイヤ32の内側のエアの吸排を行うことが可能に構成されている。
以下、上記のように構成されたタイヤ30ひいてはホイール34の作用効果について説明する。
後部転圧ローラ3のような複数のタイヤを用いた振動ローラ車両においては、最も外側のタイヤ30のゴムタイヤ32は、路面の端に埋設された縁石に接触することが多く、また例えばアスファルトを加熱させるバーナーの熱を受け易く、ゴムタイヤ32の外側の側面や角部は特に摩耗し易い。
【0021】
しかしながら、上記のように、ホイール34のディスク36が、ホイール34の幅方向で視てディスク36の中心線とリム35の中心線ひいてはゴムタイヤ32の中心線とが中心線Pで一致するようにリム35に接合され、ホイール34の幅方向で視てリム35の中央に位置するようにリム35に接合されてホイール34が構成されていると、各タイヤ30をホイール34ごと反転して使用することが可能である。
例えば、図4図6には、外側と内側のタイヤ30をそれぞれタイヤ30A、タイヤ30Bとした場合の、図3の状態からのタイヤ30A、30Bのローテーションの一例が示されているが、これら図4図6に示すようにタイヤ30A、30Bをホイール34ごと反転させながら入れ換えることが可能である。
【0022】
即ち、図3の状態において、最も外側のタイヤ30Aのゴムタイヤ32の外側の側面や角部が摩耗した場合には、先ず、図4に示すように、最も外側のタイヤ30Aをホイール34ごと反転させて取り付けるようにする。
このようにすれば、タイヤ30Aをホイール34ごと反転させるという簡単な作業で、最も外側のタイヤ30Aの内側にあった側面や角部を容易に外側に位置させることができる。
この際、タイヤ30Aのリム35にはディスク36を挟んで一対のエアバルブ38、38が設けられているので、タイヤ30Aをホイール34ごと反転させて取り付けたとしても、反転させる前と同様に外側からエアバルブ38に手が届くようにできる。
【0023】
上述のように、例えば、ホイール34の幅方向で視てアクスル7先端との接合部であるハブ7aの節部7bの中心線Qの位置がフランジ部7d、7eのホイール34、34との締結面間の距離Dの半分(D/2)の位置、即ちホイール34のディスク36間距離の中間位置に設定されていると、一対のタイヤ30A、30Bの組についてもハブ7aごと反転させながら入れ換えることが可能である。
即ち、図4の状態において、さらに最も外側のタイヤ30Aのゴムタイヤ32の外側の側面や角部が摩耗した場合には、図5に示すように、一対のタイヤ30A、30Bの組をハブ7aごとアクスル7から取り外して反転させて取り付けるようにする。
このようにすれば、一対のタイヤ30A、30Bの組をハブ7aごと反転させるという比較的簡単な作業で、外側のタイヤ30Aと内側のタイヤ30Bとを入れ換え、容易にタイヤ30Bを外側にしてタイヤ30Aを内側に位置させることができる。
【0024】
なお、ハブ7aの節部7bの中心線Qの位置がフランジ部7d、7eのホイール34、34との締結面間の距離Dの半分(D/2)の位置、即ちホイール34のディスク36間距離の中間位置に設定されていない場合であっても、タイヤ30A、30Bをハブ7aから一旦取り外して入れ換えることで、比較的容易にタイヤ30Bを外側にしてタイヤ30Aを内側に位置させることができる。
図5の状態において、さらに最も外側のタイヤ30Bのゴムタイヤ32の外側の側面や角部が摩耗した場合には、図6に示すように、上記図4の場合と同様、最も外側のタイヤ30Bをホイール34ごと反転させて取り付けるようにする。
これにより、タイヤ30Bについてもホイール34ごと反転させるという簡単な作業で、最も外側のタイヤ30Bの内側にあった側面や角部を容易に外側に位置させることができる。
【0025】
このように、本発明に係る転圧機械によれば、複数のタイヤからなる後部転圧ローラ3の各タイヤ30において、ホイール34の幅方向で視てディスク36の中心線とリム35の中心線ひいてはゴムタイヤ32の中心線とが中心線Pで一致するようにディスク36をリム35に接合するようにし、ディスク36をホイール34の幅方向で視てリム35の中央に位置するようにリム35に接合してホイール34を構成するようにしている。
従って、ホイール34を反転させてアクスル7先端のハブ7aに締結しても、ハブ7aに対するリム35の相対位置を変えないようにでき、故に、タイヤ30をホイール34ごと反転させるようにしても、リム35に外嵌されたゴムタイヤ32のハブ7aに対する相対位置を変えないようにでき、タイヤ30をホイール34ごと反転させて使用することができる。
【0026】
これにより、複数のタイヤからなる後部転圧ローラ3において、最も外側のタイヤ30のゴムタイヤ32は外側の側面や角部が特に摩耗し易いのであるが、タイヤ32をホイール34ごと反転させるという簡単な作業で、ゴムタイヤ32の内側の側面や角部を容易に外側に位置させて使用することができ、ゴムタイヤ32を効率よく使い回すことができる。
また、リム35にはディスク36を挟んでゴムタイヤ32の内側のエアの吸排を行うための一対のエアバルブ38、38が設けられているので、タイヤ30をホイール34ごと反転させた場合であっても、いずれか一方のエアバルブ38には必ず手が届くようにでき、ゴムタイヤ32の内側のエア圧の点検等の作業に支障を来さないようにできる。
【0027】
また、ホイール34の幅方向で視てアクスル7先端との接合部であるハブ7aの節部7bの中心線Qの位置をフランジ部7d、7eのホイール34、34との締結面間の距離Dの半分(D/2)の位置、即ちホイール34のディスク36間距離の中間位置に設定することにより、2本一対のタイヤ30、30の組をハブ7aごと反転させても、リム35に外嵌されたゴムタイヤ32のアクスル7先端に対する相対位置を変えないようにでき、一対のタイヤ30、30の組をハブ7aごと反転させて使用することができる。
これにより、容易に外側のタイヤ30を内側に、内側のタイヤ30を外側に位置させて使用することができ、ゴムタイヤ32をより一層効率よく使い回すことができる。
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様は上記実施形態に限定されるものではない。
【0028】
上記実施形態では、タイヤ30をチューブレスタイヤで構成し、リム35にはそれぞれディスク36を挟んで一対のエアバルブ38、38を設けるようにしているが、タイヤ30をチューブタイヤで構成するようにしてもよい。この場合には、チューブに一対のエアバルブを設けて同様の構成にすることも可能であるが、エアバルブが一つである通常のチューブを用いた場合であっても、エア圧の点検等の作業に多少難はあるものの、上記同様、ゴムタイヤを効率よく使い回すことができる。
また、上記実施形態では、リム35とディスク36を例えばプレス成形した鋼板とし、これらディスク36とリム35とを溶接接合することでホイール34を構成するようにしたが、ディスクとリムとを金属ダイキャストで一体成形してホイールを構成するようにしてもよい。
【0029】
また、上記実施形態では、後部転圧ローラ3がタイヤ30で構成された振動ローラ車両を用いて説明したが、転圧機械は転圧ローラが前後共に転圧用タイヤで構成されたものであってもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 前部転圧ローラ
2 前部車体
3 後部転圧ローラ
4 後部車体
7 アクスル(車軸)
7a ハブ
7b 節部(締結部)
7c 筒状部
7d、7e フランジ部
30 タイヤ
32 ゴムタイヤ
34 ホイール
35 リム
36 ディスク
38 エアバルブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6