特許第5808302号(P5808302)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5808302
(24)【登録日】2015年9月18日
(45)【発行日】2015年11月10日
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
   A01F 12/46 20060101AFI20151021BHJP
【FI】
   A01F12/46
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-208803(P2012-208803)
(22)【出願日】2012年9月21日
(65)【公開番号】特開2014-60969(P2014-60969A)
(43)【公開日】2014年4月10日
【審査請求日】2014年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100137590
【弁理士】
【氏名又は名称】音野 太陽
(74)【代理人】
【識別番号】100180507
【弁理士】
【氏名又は名称】畑山 吉孝
(72)【発明者】
【氏名】乙宗 拓也
(72)【発明者】
【氏名】宮野 良實
(72)【発明者】
【氏名】福井 祐己
(72)【発明者】
【氏名】池田 博
【審査官】 植野 孝郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−160345(JP,A)
【文献】 特開平06−292447(JP,A)
【文献】 特開平11−9073(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0172338(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第1330948(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01F12/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀粒を貯留する穀粒タンクと、
前記穀粒タンク内の穀粒を外部に排出する穀粒排出オーガと、を備え、
前記穀粒排出オーガは、
前記穀粒タンク内の穀粒を上方向に搬送する縦オーガと、
前記縦オーガからの穀粒を横方向に搬送して外部に排出する横オーガと、を備え、
前記横オーガは、
前記縦オーガ側の基端側オーガと、
前記基端側オーガの先端部に設けられた折畳軸周りに揺動して、前記基端側オーガに一直線状に連結される排出状態と前記基端側オーガに対して折り畳まれる折畳状態とに切換可能な先端側オーガと、
前記先端側オーガを揺動駆動する電動駆動ユニットと、を備え、
前記電動駆動ユニットは、
互いに噛み合うウォーム及びウォームホイールと、
前記ウォームを回転駆動する電動モータと、を備え、
前記ウォームは、前記先端側オーガの折り畳みに際して、前記先端側オーガと共に前記折畳軸周りに揺動し、
前記ウォームホイールは、前記先端側オーガの折り畳みに際して、前記基端側オーガに対して相対移動しないコンバイン。
【請求項2】
前記折畳軸は、前記基端側オーガに相対回転不能に支持され、
前記ウォームホイールは、前記折畳軸に相対回転不能に支持されている請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記先端側オーガのうち前記基端側オーガ側の端部に、前記基端側オーガのうち前記先端側オーガの端部に連結される連結部材が備えられ、
前記連結部材は、前記折畳軸に揺動可能に支持され、
前記連結部材に、前記ウォーム及び前記電動モータが支持されている請求項1又は請求項2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記電動駆動ユニットは、
前記ウォーム及び前記ウォームホイールを覆うケースを備え、
前記ケースは、前記連結部材に取り付けられ、かつ、前記折畳軸に対して相対回転可能である請求項3に記載のコンバイン。
【請求項5】
前記基端側オーガのうち前記先端側オーガ側の端部に、前記折畳軸の両端部を相対回転不能に支持する一対のボス部が備えられ、
前記連結部材は、前記一対のボス部の間において前記折畳軸に揺動可能に支持されている請求項3又は請求項4に記載のコンバイン。
【請求項6】
前記折畳軸の断面形状は、円形を一部切り欠いた形状である請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載のコンバイン。
【請求項7】
前記折畳軸の断面形状は、円形において互いに正対する両側部を直線状に切り欠いた形状である請求項6に記載のコンバイン。
【請求項8】
前記折畳軸は、全長に亘って同形状断面である請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載のコンバイン。
【請求項9】
前記電動駆動ユニットは、前記横オーガの下側に配置されている請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに関する。より詳細には、穀粒タンク内の穀粒を外部に排出する穀粒排出オーガを備えるコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のようなコンバインとして、例えば、特許文献1に記載のコンバインが既に知られている。この特許文献1に記載のコンバインにおいて、穀粒排出オーガ(排出オーガ)は、穀粒タンク(グレンタンク)内の穀粒を上方向に搬送する縦オーガと、縦オーガからの穀粒を横方向に搬送して外部に排出する横オーガと、を備えている。この横オーガは、縦オーガ側の基端側オーガ(第1横オーガ)と、第1横オーガの先端部に設けられた折畳軸(回動軸)周りに揺動して、第1横オーガに一直線状に連結される排出状態と、第1横オーガに対して折り畳まれる折畳状態とに切換可能な先端側オーガ(第2横オーガ)と、を備えている。
【0003】
そして、横オーガには、互いに噛み合うウォーム及びウォームホイールと、ウォームを回転駆動する電動モータ(モータ)と、が備えられている。このうち、ウォーム及びモータは、基端側オーガに取り付けられている。一方、ウォームホイールは、先端側オーガに取り付けられている。具体的には、ウォームホイールは、先端側オーガに連結された折畳軸に固設されている。このような構成により、ウォームがモータで回転駆動されて、ウォームホイールが回転することにより、先端側オーガが折畳軸周りに揺動駆動されて、排出状態又は折畳状態に切り換えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−171925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ユーザーのコンバイン使用環境の変化に対応して、横オーガを延長するような場合においては、電動モータ等との取り合いがあって構造が複雑になりがちな基端側オーガではなく、先端側オーガを長くする方が横オーガの延長工程が比較的容易である。上記従来のコンバインでは、先端側オーガの長さを長くしようとした場合、基端側オーガに電動モータとウォームとが取り付けられているので、電動モータにかかる負荷(先端側オーガの重量)が増大し、電動モータの仕様変更まで余儀なくされるおそれがある。
【0006】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、横オーガの全長に関わらず一定容量の電動モータを使用可能なコンバインを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の特徴は、穀粒を貯留する穀粒タンクと、前記穀粒タンク内の穀粒を外部に排出する穀粒排出オーガと、を備え、前記穀粒排出オーガは、前記穀粒タンク内の穀粒を上方向に搬送する縦オーガと、前記縦オーガからの穀粒を横方向に搬送して外部に排出する横オーガと、を備え、前記横オーガは、前記縦オーガ側の基端側オーガと、前記基端側オーガの先端部に設けられた折畳軸周りに揺動して、前記基端側オーガに一直線状に連結される排出状態と前記基端側オーガに対して折り畳まれる折畳状態とに切換可能な先端側オーガと、前記先端側オーガを揺動駆動する電動駆動ユニットと、を備え、前記電動駆動ユニットは、互いに噛み合うウォーム及びウォームホイールと、前記ウォームを回転駆動する電動モータと、を備え、前記ウォームは、前記先端側オーガの折り畳みに際して、前記先端側オーガと共に前記折畳軸周りに揺動し、前記ウォームホイールは、前記先端側オーガの折り畳みに際して、前記基端側オーガに対して相対移動しないことにある。
【0008】
本特徴構成によれば、先端側オーガの折り畳みに際して、ウォームホイールが基端側オーガに対して相対移動せず、且つ、ウォームが先端側オーガと共に折畳軸周りに揺動するので、ウォームが電動モータで回転駆動されると、ウォームがウォームホイールの外周に沿って移動する。この結果、先端側オーガと共にウォーム及び電動モータが折畳軸周りに揺動する。これにより、横オーガを延長するべく先端側オーガの長さを長くしても、先端側オーガの折り畳みに際して、電動モータにかかる負荷(先端側オーガの重量)が大きくなることがない。したがって、横オーガの全長に関わらず一定容量の電動モータを使用可能となる。
【0009】
さらに、本発明において、前記折畳軸は、前記基端側オーガに相対回転不能に支持され、前記ウォームホイールは、前記折畳軸に相対回転不能に支持されていると好適である。
【0010】
本特徴構成によれば、基端側オーガに相対回転不能に支持された折畳軸に、ウォームホイールを相対回転不能に支持させるだけで、ウォームホイールを先端側オーガの折り畳みに際して基端側オーガに対して相対移動しないように簡単に構成することができる。
【0011】
さらに、本発明において、前記先端側オーガのうち前記基端側オーガ側の端部に、前記基端側オーガのうち前記先端側オーガの端部に連結される連結部材が備えられ、前記連結部材は、前記折畳軸に揺動可能に支持され、前記連結部材に、前記ウォーム及び前記電動モータが支持されていると好適である。
【0012】
本特徴構成によれば、連結部材にウォーム及び電動モータを支持させることにより、ウォーム及び電動モータを支持する専用の支持部材を設ける必要がないので、部品点数を削減することができる。
【0013】
さらに、本発明において、前記電動駆動ユニットは、前記ウォーム及び前記ウォームホイールを覆うケースを備え、前記ケースは、前記連結部材に取り付けられ、かつ、前記折畳軸に対して相対回転可能であると好適である。
【0014】
本特徴構成によれば、ウォーム及びウォームホイールをケースで覆うことで、ユニット化を図りつつ、これらをまとめて連結部材に支持させることができる。そして、ケースが折畳軸に対して相対回転可能であるので、ウォームがウォームホイールの外周に沿って移動するのを、ケースが阻害することがない。
【0015】
さらに、本発明において、前記基端側オーガのうち前記先端側オーガ側の端部に、前記折畳軸の両端部を相対回転不能に支持する一対のボス部が備えられ、前記連結部材は、前記一対のボス部の間において前記折畳軸に揺動可能に支持されていると好適である。
【0016】
本特徴構成によれば、折畳軸の両端部を支持する一対のボス部が、連結部材を挟むように配置されているので、一対のボス部同士の間隔が大きくなる。したがって、折畳軸を一対のボス部で安定的に支持することができる。
【0017】
さらに、本発明において、前記折畳軸の断面形状は、円形を一部切り欠いた形状であると好適である。
【0018】
本特徴構成によれば、折畳軸のうちの円弧部分を使って、先端側オーガを揺動可能(摺動可能)に折畳軸に支持することができると共に、折畳軸のうちの切欠部分を使って、ウォームホイールを相対回転不能に支持(異形嵌合)することができる。つまり、単一の折畳軸により、先端側オーガを揺動可能に支持し、且つ、ウォームホイールを相対回転不能に支持することができる。
【0019】
さらに、本発明において、前記折畳軸の断面形状は、円形において互いに正対する両側部を直線状に切り欠いた形状であると好適である。
【0020】
本特徴構成によれば、丸棒状の軸部材の両側部を直線状に切欠く加工を施すだけで、折畳軸を簡単に製造することができる。そして、折畳軸のうちの円弧部分が正対することにより、先端側オーガを揺動可能に安定的に支持することができると共に、折畳軸のうちの切欠部分が正対することにより、つまり、ウォームホイールと折畳軸との係合箇所を周方向にバランスよく配置することにより、ウォームホイールを相対回転不能に確実に支持することができる。
【0021】
さらに、本発明において、前記折畳軸は、全長に亘って同形状断面であると好適である。
【0022】
本特徴構成によれば、折畳軸の断面形状が単一であるため、折畳軸を簡単に製造することができると共に、折畳軸が差し込まれる差込孔が、基端側オーガ側と先端側オーガ側とで異なる形状である場合において、基端側オーガ側の差込孔と先端側オーガ側の差込孔とを重ね合わせた状態で、後から折畳軸を挿し通すことができるので、組立工程を簡素化することができる。
【0023】
さらに、本発明において、前記電動駆動ユニットは、前記横オーガの下側に配置されていると好適である。
【0024】
本特徴構成によれば、横オーガの下側の空間を有効利用して電動駆動ユニットを配置することにより、コンバインの全高が高くなることがない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】コンバインを示す側面図。
図2】コンバインを示す平面図。
図3】排出状態における電動駆動ユニットを示す斜視図。
図4】折畳状態における電動駆動ユニットを示す分解斜視図。
図5】折畳状態における電動駆動ユニットであって基端側オーガ側と先端側オーガ側とに分解した状態を示す斜視図。
図6】排出状態における電動駆動ユニットを示す側面図。
図7】排出状態における電動駆動ユニットを示す平面図。
図8】排出状態における電動駆動ユニットを示す正面断面図。
図9】折畳状態における電動駆動ユニットを示す平面図。
図10】折畳状態における電動駆動ユニットを示す正面図。
図11】ウォームとウォームホイールとの噛合状態を示す平面図。
図12】ケースを示す分解斜視図。
図13】排出状態における電動駆動ユニットを示す平面断面図。
図14】折畳状態における電動駆動ユニットを示す平面断面図。
図15】基端側横スクリュウと先端側横スクリュウとの連結構造を示す分解斜視一部断面図。
図16】基端側横スクリュウと先端側横スクリュウとの連結手順を示す斜視一部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための形態について図面に基づき説明する。
【0027】
先ず、コンバインの全体構成について、図1及び図2により説明する。
【0028】
図1及び図2に示すように、コンバインには、クローラ式の走行機体1が備えられている。この走行機体1の前方には、刈取部2が備えられている。また、走行機体1の前部には、運転部3が備えられている。この運転部3の下方には、エンジン4が備えられている。また、運転部3の後方には、穀粒を貯留する穀粒タンク5及び脱穀装置6が、機体左右方向に並設されている。この穀粒タンク5には、穀粒タンク5内の穀粒を外部に排出する穀粒排出オーガ7が備えられている。
【0029】
穀粒排出オーガ7は、縦オーガ8と、横オーガ9と、を備えている。
【0030】
縦オーガ8は、穀粒タンク5内の穀粒を上方向に搬送する。そして、縦オーガ8には、穀粒搬送用の縦スクリュウ10が備えられている。また、縦オーガ8は、上下向きの軸芯Y1周りに揺動可能に構成されている。そして、縦オーガ8は、旋回モータ11で軸芯Y1周りに揺動駆動される。
【0031】
横オーガ9は、縦オーガ8からの穀粒を横方向に搬送して外部に排出する。そして、横オーガ9には、穀粒搬送用の横スクリュウ12が備えられている。また、横オーガ9は、縦オーガ8に対して横向きの軸芯X1周りに上下揺動可能に接続されている。そして、横オーガ9は、油圧シリンダ13で軸芯X1周りに上下揺動駆動される。また、横オーガ9は、縦オーガ8に対して上下向きの軸芯Y1周りに旋回可能に接続されている。つまり、縦オーガ8が旋回モータ11で軸芯Y1周りに揺動駆動されることにより、横オーガ9が軸芯Y1周りに旋回する。なお、横オーガ9は、所定の収納位置において支持台14で支持される。また、横オーガ9は、基端側オーガ15と、先端側オーガ16と、電動駆動ユニット17と、を備えている。
【0032】
基端側オーガ15は、横オーガ9のうち基端側(縦オーガ8側)に配置されている。そして、基端側オーガ15には、横スクリュウ12のうち基端側の基端側横スクリュウ18が備えられている。また、基端側オーガ15のうち先端側オーガ16側の端部には、上下向きの軸芯Y2を有する折畳軸19が設けられている。
【0033】
先端側オーガ16は、横オーガ9のうち先端側に配置されている。そして、先端側オーガ16には、横スクリュウ12のうち先端側の先端側横スクリュウ20が備えられている。また、先端側オーガ16は、電動駆動ユニット17で折畳軸19(軸芯Y2)周りに揺動駆動される。つまり、先端側オーガ16は、折畳軸19(軸芯Y2)周りに揺動して、基端側オーガ15に一直線状に連結される排出状態と、基端側オーガ15に対して折り畳まれる折畳状態とに切換可能に構成されている。そして、先端側オーガ16は、収納位置における折畳状態において基端側オーガ15に対して平行になるように構成されている。つまり、先端側オーガ16は、折畳軸19(軸芯Y2)周りに180度揺動するように構成されている。
【0034】
また、電動駆動ユニット17は、横オーガ9の下側に配置されている。そして、電動駆動ユニット17には、図示しない制御部で駆動される電動モータ23が備えられている。
【0035】
次に、電動駆動ユニット17について、図3から図14により説明する。
【0036】
図3から図10に示すように、電動駆動ユニット17は、先端側オーガ16を排出状態と折畳状態とに切り換える。そして、電動駆動ユニット17は、互いに噛み合うウォーム21及びウォームホイール22と、電動モータ23と、ケース24と、を備えている。
【0037】
ウォーム21は、電動モータ23によって回転駆動される。そして、ウォーム21は、先端側オーガ16の折り畳みに際して、先端側オーガ16と共に折畳軸19(軸芯Y2)周りに揺動する。また、ウォーム21は、その回転中心C1が先端側オーガ16(先端側横スクリュウ20)の回転中心C2と平面視で一致するように配置されている(図8及び図10参照)。
【0038】
ウォームホイール22は、折畳軸19に相対回転不能に支持されている。つまり、ウォームホイール22は、先端側オーガ16の折り畳みに際して、基端側オーガ15に対して相対移動しない。具体的には、ウォームホイール22のボス孔22aに、折畳軸19が嵌入されている。このボス孔22aは、断面形状が折畳軸19の断面形状と同一形状に形成されている。
【0039】
電動モータ23は、ウォーム21を正逆方向に回転駆動する。そして、電動モータ23は、ケース24のうち先端側オーガ16側の端部に取り付けられている。また、電動モータ23は、平面視において、少なくともその一部が先端側オーガ16の下側に隠れるように配置されている。
【0040】
ケース24は、ウォーム21及びウォームホイール22を覆っている。つまり、ケース24は、ウォーム21及びウォームホイール22を回転可能に収容している。そして、ケース24は、連結部材25に取り付けられている。具体的には、ケース24は、連結部材25に複数本(本実施形態では四本)のボルト26で固定されている(図12参照)。つまり、ケース24を介して、ウォーム21、ウォームホイール22及び電動モータ23が、連結部材25に支持されている。また、ケース24には、折畳軸19の下端部が相対回転可能に挿入されている。つまり、ケース24は、折畳軸19に対して相対回転可能である。
【0041】
また、ケース24は、上下一対の半割りケース27が合わさって構成されている。そして、上方の半割りケース27と下方の半割りケース27とは、同一の形状である。つまり、上方(下方)の半割りケース27を上下反転させると、下方(上方)の半割りケース27と形状が一致する(図12参照)。そして、半割りケース27の表面には、補強用のリブ27aが形成されている。このリブ27aは、渦巻き形状に形成されている。そして、リブ27aには、切換状態検出センサ43の検出アーム43aが接触されている。つまり、リブ27aは、検出アーム43aの被接触部を兼ねている。
【0042】
切換状態検出センサ43は、排出状態及び折畳状態を検出する。具体的には、切換状態検出センサ43は、折畳軸19(軸芯Y2)周りにおける先端側オーガ16の揺動角度を検出する。例えば、切換状態検出センサ43は、ポテンショメータで構成されている。そして、切換状態検出センサ43には、揺動可能な検出アーム43aが備えられている。
【0043】
折畳軸19は、基端側オーガ15に相対回転不能に支持されている。具体的には、折畳軸19の両端部は、基端側オーガ15の一対のボス部28に相対回転不能に支持されている。この各ボス部28には、折畳軸19が嵌入されるボス孔28aが形成されている。このボス孔28aは、断面形状が折畳軸19の断面形状と同一形状に形成されている。そして、一対のボス部28は、基端側オーガ15のうち先端側オーガ16側の端部に設けられている。具体的には、一対のボス部28は、基端側オーガ15のうち先端側オーガ16側の端部に溶接固定されている。
【0044】
また、折畳軸19の上下両端部には、上下一対のボルト部19aが形成されている。この上下一対のボルト部19aのうち上方のボルト部19aは、ボス部28から上方に突出してナット29で固定されている。一方、下方のボルト部19aは、ウォームホイール22から下方に突出してナット29で固定されている。
【0045】
また、折畳軸19の断面形状は、円形を一部切り欠いた形状である。具体的には、折畳軸19の断面形状は、円形において互いに正対する両側部を直線状に切り欠いた形状である。そして、折畳軸19は、全長に亘って同形状断面である。なお、折畳軸19の全長とは、折畳軸19において上下一対のボルト部19aを除いた部分を意味している。
【0046】
連結部材25は、先端側オーガ16のうち基端側オーガ15側の端部に設けられている。そして、連結部材25は、排出状態において基端側オーガ15のうち先端側オーガ16の端部に連結される。また、連結部材25は、折畳軸19に揺動可能に支持されている。具体的には、連結部材25は、一対のボス部30を介して折畳軸19を揺動可能に支持されている。この各ボス部30には、折畳軸19が挿入されるボス孔30aが形成されている。このボス孔30aは、断面形状が円形状に形成されている。そして、連結部材25の一対のボス部30は、基端側オーガ15の一対のボス部28の間に配置されている。つまり、連結部材25は、一対のボス部28の間において、一対のボス部30を介して折畳軸19に揺動可能に支持されている。
【0047】
また、連結部材25には、先端側横スクリュウ20のうち基端側オーガ15側の端部を支持する軸受部31が設けられている。そして、連結部材25のうち一対のボス部30とは反対側の側部には、基端側オーガ15側に突出する突出部40が設けられている。この突出部40には、ロック機構35を構成する孔部36及び案内面38が形成されている。
【0048】
次に、ロック機構35について、図6から図10により説明する。
【0049】
図6から図8に示すように、ロック機構35は、先端側オーガ16を排出状態に維持する。そして、ロック機構35は、孔部36と、ピン37と、案内面38と、付勢バネ39と、を備えている。
【0050】
孔部36は、ピン37が係合されるものである。具体的には、孔部36は、折畳軸19の軸芯Y2に沿う向き(上下向き)の丸孔部(断面形状が円形状の孔部)である。そして、孔部36は、先端側オーガ16に設けられている。具体的には、孔部36は、連結部材25の突出部40に形成されている。
【0051】
ピン37は、孔部36に係合可能なものである。つまり、ピン37は、孔部36に係合して先端側オーガ16が排出状態から折畳状態に揺動するのを阻止可能なものである。具体的には、ピン37は、孔部36に突入して係合可能な丸ピン(断面形状が円形状のピン)である。そして、ピン37の上部には、その下部に対して略垂直に折れ曲がるハンドル37bが形成されている。
【0052】
また、ピン37は、基端側オーガ15(基端側オーガ15の先端部)に設けられている。具体的には、基端側オーガ15のうち先端側オーガ16側の端部における一対のボス部28とは反対側の側部に、支持ステー41が設けられている。この支持ステー41には、ピン37が上下方向に移動可能、かつ、上下向きの軸芯周りに揺動可能に支持されている。つまり、ピン37は、孔部36に係合する係合位置(図6に示す実線の位置)と孔部36への係合が解除される解除位置(図6に示す二点鎖線の位置)とに位置変更可能に構成されている。そして、ピン37には、支持ステー41の制限部41aに引掛可能な制限ピン37aが設けられている。
【0053】
案内面38は、先端側オーガ16が折畳状態から排出状態に揺動するのに連動して、ピン37を孔部36に係合するように案内する。そして、案内面38は、先端側オーガ16に設けられている。具体的には、案内面38は、突出部40の上面に基端側オーガ15側下がりの傾斜状に形成されている。つまり、案内面38は、先端側オーガ16が折畳状態から排出状態に近付くにつれて、ピン37を付勢バネ39の付勢力に抗して孔部36から引退する方向に案内可能な傾斜状に形成されている。
【0054】
付勢バネ39は、ピン37を係合位置に付勢する。つまり、付勢バネ39は、ピン37を孔部36に突入する方向(下方)に付勢する。
【0055】
保持部42は、排出状態においてピン37を解除位置に保持可能なものである。そして、保持部42には、ピン37のハンドル37bが引っ掛けられる。また、ピン37と保持部42とは、先端側オーガ16が排出状態から折畳状態に揺動するのに連動してピン37の解除位置への保持が解除されるように構成されている。また、保持部42は、先端側オーガ16に設けられている。具体的には、保持部42は、連結部材25のうち一対のボス部30とは反対側の側部に設けられている。つまり、保持部42は、連結部材25と一体的に設けられている。そして、保持部42の下端部には、突出部40が一体的に設けられている。
【0056】
次に、先端側オーガ16の折畳状態と排出状態との切換態様、及びロック機構35の動作態様について、図6から図11により説明する。
【0057】
図6から図8に示すように、先端側オーガ16が排出状態では、ピン37が孔部36に突入して孔部36に係合しているので、先端側オーガ16がロック機構35で排出状態に維持されている。
【0058】
そして、先端側オーガ16を排出状態から折畳状態に切り換える場合は、ピン37を孔部36から引退する方向(上方)に引き上げて、ピン37のハンドル37bを保持部42に引っ掛けて、ピン37を保持部42で解除位置に保持させる。これにより、ピン37の孔部36への係合が解除される。つまり、ロック機構35による先端側オーガ16の排出状態の維持が解除される。
【0059】
そして、ピン37が保持部42で解除位置に保持された状態で、ウォーム21が電動モータ23で正方向に回転駆動されると、ウォーム21がウォームホイール22の外周に沿って移動(図11に示す矢印A方向)する。そして、ウォーム21の移動に伴って、ケース24が折畳軸19周りに揺動する結果、ケース24と共に先端側オーガ16が折畳軸19周りに揺動する。こうして、先端側オーガ16が排出状態から折畳状態に切り換えられる(図9及び図10参照)。なお、折畳状態においては、ウォーム21とウォームホイール22とのセルフロック機能により、先端側オーガ16が折畳状態に維持される。ちなみに、ウォーム21とウォームホイール22とのセルフロック機能を高めるためには、横オーガ9を上方に揺動させて若干上向きにすると効果的である。
【0060】
ここで、先端側オーガ16を排出状態から折畳状態に切り換える場合において、先端側オーガ16が排出状態から折畳状態に揺動するのに連動して、保持部42によるピン37の解除位置への保持が解除される。つまり、先端側オーガ16が折畳状態から排出状態に揺動するのに連動して、ピン37(ハンドル37b)が保持部42から離間して、ピン37が付勢バネ39の付勢力により係合位置に復帰する。また、切換状態検出センサ43の検出アーム43aが、ケース24のリブ27aに接触していることにより、先端側オーガ16が排出状態から折畳状態に揺動するのに連動して、検出アーム43aが揺動する結果、折畳軸19(軸芯Y2)周りにおける先端側オーガ16の揺動角度が、切換状態検出センサ43で検出される(図13及び図14参照)。
【0061】
続いて、先端側オーガ16を折畳状態から排出状態に切り換える場合は、ウォーム21が電動モータ23で逆方向に回転駆動されると、ウォーム21がウォームホイール22の外周に沿って移動(図11に示す矢印B方向)する。そして、ウォーム21の移動に伴って、ケース24が折畳軸19周りに揺動する結果、ケース24と共に先端側オーガ16が折畳軸19周りに揺動する。こうして、先端側オーガ16が折畳状態から排出状態に切り換えられる(図6から図8参照)。
【0062】
ここで、ロック機構35の動作態様について、詳しく説明する。図9及び図10に示すように、先端側オーガ16を折畳状態から排出状態に切り換える場合において、先端側オーガ16が折畳軸19周りに揺動して、案内面38が、係合位置にあるピン37に達する(係合位置にあるピン37が案内面38に乗り上げる)と、先端側オーガ16が折畳状態から排出状態に近付くにつれて、ピン37が付勢バネ39の付勢力に抗して孔部36から引退する方向(上方)に、案内面38で案内される。つまり、ピン37が係合位置から解除位置に案内面38で案内される。その後、図6から図8に示すように、先端側オーガ16が排出状態になって、ピン37が孔部36上に達すると、ピン37が付勢バネ39で孔部36に突入する方向(下方)に付勢されている結果、ピン37が孔部36に係合する。こうして、先端側オーガ16がロック機構35で排出状態に維持される。なお、排出状態においても、ロック機構35に加えて、ウォーム21とウォームホイール22とのセルフロック機能により、先端側オーガ16が排出状態に維持される。
【0063】
また、先端側オーガ16を折畳状態から排出状態に切り換える場合において、折畳状態ではピン37が保持部42から離間して係合位置に復帰しているところ、ピン37が上下向きの軸芯周りに揺動(図9に示す矢印C方向)し過ぎると、ピン37のハンドル37bが、揺動中の先端側オーガ16と干渉して、先端側オーガ16の揺動が阻害されるおそれがある。そこで、本実施形態では、ピン37の制限ピン37aが、支持ステー41の制限部41aに引っ掛かると、ピン37の揺動(図9に示す矢印C方向)が制限されるように構成している。このような構成により、揺動中の先端側オーガ16(保持部42)が、ピン37のハンドル37bに接触すると、ピン37が保持部42の端部で押されて揺動(図11に示す矢印Cとは反対方向)するので、先端側オーガ16の揺動を阻害することがない。
【0064】
以上のような構成によれば、先端側オーガ16の折り畳みに際して、ウォームホイール22が基端側オーガ15に対して相対移動せず、且つ、ウォーム21が先端側オーガ16と共に折畳軸19周りに揺動するので、ウォーム21が電動モータ23で回転駆動されると、ウォーム21がウォームホイール22の外周に沿って移動する。この結果、先端側オーガ16と共にウォーム21及び電動モータ23が折畳軸19周りに揺動する。これにより、横オーガ9を延長するべく先端側オーガ16の長さを長くしても、先端側オーガ16の折り畳みに際して、電動モータ23にかかる負荷(先端側オーガ16の重量)が大きくなることがない。したがって、横オーガ9の全長に関わらず一定容量の電動モータ23を使用可能となる。
【0065】
そして、先端側オーガ16が折畳状態から排出状態に揺動するのに連動して、ピン37が案内面38で案内されて孔部36に係合する。これにより、先端側オーガ16がロック機構35で自動的に排出状態に維持される。したがって、先端側オーガ16を排出状態に簡単かつ確実に維持することができる。
【0066】
なお、本実施形態においては、先端側オーガ16を排出状態又は折畳状態に切り換える切換信号を発信する図示しない切換スイッチが備えられ、前記制御部は、前記切換スイッチからの前記切換信号を受信し、電動モータ23を駆動させて先端側オーガ16を排出状態又は折畳状態に切り換える屈伸処理を実行するように構成されている。例えば、前記切換スイッチは、運転部3に配置されている。なお、前記切換スイッチは、一度押されることにより、押し続けられなくても、前記切換信号を発信する。
【0067】
次に、基端側横スクリュウ18と先端側横スクリュウ20との連結構造について、図15及び図16により説明する。
【0068】
図15に示すように、基端側横スクリュウ18において、先端側オーガ16側のボス部18aには、中空状の基端側爪軸32が挿入されている。この基端側爪軸32には、逆テーパ状の爪部32aが形成されている。そして、基端側爪軸32は、ボス部18aに内装されたバネ33で先端側オーガ16側に付勢されている。
【0069】
また、先端側横スクリュウ20において、基端側オーガ15側のボス部20aには、先端側爪軸34が挿入されている。この先端側爪軸34には、逆テーパ状の爪部34aが形成されている。そして、基端側爪軸32の爪部32aと先端側爪軸34の爪部34aとは、噛合可能に構成されている。
【0070】
このような構成において、基端側横スクリュウ18と先端側横スクリュウ20とが、図16に示す手順により連結される。
【0071】
先ず、先端側オーガ16が折畳状態から排出状態に揺動するのに連動して、先端側爪軸34における基端側オーガ15側の端部が、基端側爪軸32に嵌入される(図16(a)参照)。この際、先端側爪軸34の爪部34aと基端側爪軸32の爪部32aとが噛み合っていない状態であったとしても(図16(b)参照)、基端側横スクリュウ18が回転すると(図16(c)参照)、基端側爪軸32がバネ33で先端側オーガ16側に付勢されているので、先端側爪軸34の爪部34aと基端側爪軸32の爪部32aとが噛み合った状態となる(図16(d)参照)。
【0072】
以下、本発明に係る別実施形態について説明する。
【0073】
(1)上記実施形態においては、前記制御部による屈伸処理は、横オーガ9が所定の収納位置にある場合、横オーガ9が所定の収納位置にない(横オーガ9が任意の旋回位置にある)場合にも適用可能である。また、横オーガ9が所定の収納位置にない場合、前記制御部が、横オーガ9を所定の収納位置に戻しながら、先端側オーガ16を折畳状態に切り換える、又は、横オーガ9を所定の収納位置に戻した後に、先端側オーガ16を折畳状態に切り換える、又は、先端側オーガ16を折畳状態に切り換えた後に、横オーガ9を所定の収納位置に戻すように構成してもよい。また、横オーガ9が少なくとも平面視において所定の収納位置にあれば、側面視において所定の収納位置になくても、前記制御部が先端側オーガ16を折畳状態に切り換えるように構成してもよい。
【0074】
(2)上記実施形態においては、折畳軸19の断面形状は、円形において互いに正対する両側部のうち一側部を直線状に切り欠いた形状であってもよい。また、折畳軸19の切欠形状は、二つ以上の直線を含む形状であってもよい。
【0075】
(3)上記実施形態においては、付勢バネ39は、板バネ等であってもよい。
【0076】
(4)上記実施形態においては、孔部36をピンで、ピン37をラッチ(引掛爪)で構成してもよい。
【0077】
(5)上記実施形態においては、孔部36が先端側オーガ16に設けられ、ピン37が基端側オーガ15に設けられ、案内面38が先端側オーガ16に設けられているが、孔部36が基端側オーガ15に設けられ、ピン37が先端側オーガ16に設けられ、案内面38が基端側オーガ15に設けられていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明は、穀粒タンク内の穀粒を外部に排出する穀粒排出オーガを備えるコンバインに利用可能である。
【符号の説明】
【0079】
5 穀粒タンク
7 穀粒排出オーガ
8 縦オーガ
9 横オーガ
15 基端側オーガ
16 先端側オーガ
17 電動駆動ユニット
19 折畳軸
21 ウォーム
22 ウォームホイール
23 電動モータ
24 ケース
25 連結部材
28 ボス部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16