特許第5808402号(P5808402)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5808402はんだ合金堆積物を基板上に形成する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5808402
(24)【登録日】2015年9月18日
(45)【発行日】2015年11月10日
(54)【発明の名称】はんだ合金堆積物を基板上に形成する方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20151021BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20151021BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20151021BHJP
【FI】
   H01L23/12 K
   H01L21/60 311Q
   H05K3/34 505A
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-517206(P2013-517206)
(86)(22)【出願日】2011年6月23日
(65)【公表番号】特表2013-531895(P2013-531895A)
(43)【公表日】2013年8月8日
(86)【国際出願番号】EP2011060579
(87)【国際公開番号】WO2012004136
(87)【国際公開日】20120112
【審査請求日】2014年6月20日
(31)【優先権主張番号】10168474.4
(32)【優先日】2010年7月5日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】300081877
【氏名又は名称】アトテツク・ドイチユラント・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Atotech Deutschland GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】カイ−イェンス マテヤート
(72)【発明者】
【氏名】スヴェン ランプレヒト
(72)【発明者】
【氏名】インゴ エーヴァート
【審査官】 松田 直也
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06492197(US,B1)
【文献】 特開2009−206334(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/12
H01L 21/60
H05K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
はんだ合金堆積物を基板上に形成する方法であって、以下の工程:
i)少なくとも1つのコンタクト領域102を含む電気回路構成を有する表面を含む基板101を準備する工程、
ii)該基板表面上に配置され、かつ該少なくとも1つのコンタクト領域102を露出するためにパターン形成されるはんだマスク層103を形成する工程、
iii)該はんだマスク層103及び該少なくとも1つのコンタクト領域102を含む該基板領域全体を、金属シード層104を該基板表面上に設けるのに適した溶液と接触させる工程、
iv)レジスト層105を該金属シード層104上に形成し、かつ該レジスト層105中に開口部を作り、該開口部が、はんだマスク開口部110及び少なくとも1つのコンタクトパッド102を露出する工程、
v)純粋な錫から成る第一のはんだ材料層106を、該金属シード層104上に電気めっきする工程、
vi)錫−銀合金から成る第二のはんだ材料層107を、該第一のはんだ材料層106上に電気めっきする工程、
vii)該レジスト層105を除去し、かつ該はんだマスク層領域から該金属シード層104を、該少なくとも1つのコンタクト領域102上に2つの積層されたはんだ材料層を残して除去するに足りる該金属シード層104の量をエッチ除去する工程、
viii)該基板をリフロー処理し、かつ該処理によって該金属シード層104、該第一のはんだ材料層106及び該第二のはんだ材料層107から、はんだ合金堆積物108を形成し、その際、該はんだ合金堆積物108の組成を、該金属シード層104、該第一のはんだ材料層106及び該第二のはんだ材料層107の量及びそれらの各々の元素組成によって制御し、かつ該はんだ合金堆積物108が、50質量%超の錫、1〜6質量%の銀及び0.05〜2質量%の銅を含有する工程を含む、はんだ合金堆積物を基板上に形成する方法。
【請求項2】
前記金属シード層104が、銅、錫、コバルト、ニッケル、銀、錫−鉛合金、銅−ニッケル合金、銅−クロム合金、銅−ルテニウム合金、銅−ロジウム合金、銅−銀合金、銅−イリジウム合金、銅−パラジウム合金、銅−白金合金、銅−金合金及び銅−希土類合金、銅−ニッケル−銀合金、銅−ニッケル−希土類金属合金、銅/錫(バイレイヤー)、クロム/銅−クロム合金/銅マルチレイヤー及びニッケル/錫/銅マルチレイヤーから成る群から選択されている、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記金属シード層104が、銅、銅−ニッケル合金、銅−ルテニウム合金及び銅−ロジウム合金から成る群から選択されている、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記はんだ合金堆積物108が、錫−銀−銅合金及び錫−銀−銅−ニッケル合金から成る群から選択されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記基板が、プリント回路板、IC基板又はインターポーザーである、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気めっきによるはんだ合金堆積物の形成及び、例えばIC基板と能動部品との間のはんだ接合に関する。
【背景技術】
【0002】
1960年初頭のIBMによるフリップチップ技術の導入以来、フリップチップデバイスは、高価なセラミック基板上に実装されてきており、その場合シリコンチップとセラミック基板との間の熱膨張不整合はあまり重要ではない。ワイヤボンディング技術に比べて、フリップチップ技術は、より高いパッケージ密度(より低いデバイスプロファイル)と、より高い電気的性能(できる限り短いリード線及びより低いインダクタンス)をより適切に提供することができる。これを基礎として、フリップチップ技術は、過去40年間、セラミック基板上に高温はんだを用いて工業的に実施されてきた(controlled−collapse chip connection、C4)。しかしながら、近年、最新の電子製品の小型化の風潮のために、高密度、高速及び低コストの半導体デバイスの需要が押し進められ、低コスト有機回路板(例えばプリント回路板又は基板)上に搭載され、シリコンチップと有機板構造との間の熱膨張不整合により誘導される熱応力を緩和するためのエポキシアンダーフィルを有するフリップチップデバイスが、明らかに爆発的な成長を積んできている。低温フリップチップ接合及び有機ベース回路板のこの顕著な出来事により、今日の産業界はフリップチップデバイスを作製するための安価な解決手段を得ることが可能になっている。
【0003】
今日の低コストフリップチップ技術において、半導体集積回路(IC)チップの上面は、電気コンタクトパッドのアレイを有する。有機回路板は、コンタクトの相応するグリッドも有する。低温はんだバンプ又は他の伝導性接着材料が配置され、かつチップと回路板との間で適性に位置合わせされる。チップは、逆さまに反転され、かつ回路板上に搭載されており、該回路板において、該はんだバンプ又は伝導性接着材料が、電気的入出力(I/O)及び該チップと回路板との間の機械的相互接続を提供する。はんだバンプ接合のために、有機アンダーフィル封入剤が、熱的不整合を妨げ、かつ該はんだ接合に対する応力を低下させるために、前記チップと回路板との間のギャップ中にさらに施されていてもよい。
【0004】
概して、はんだ接合によりフリップチップ実装を達成するために、金属バンプ、例えばはんだバンプ、金バンプ又は銅バンプが、チップのパッド電極表面上に一般に予備形成され、そこで該バンプは任意の形状、例えばスタッドバンプ、ボールバンプ、柱状バンプ等であってよい。相応するはんだバンプ(又は予備はんだバンプと呼ぶ)は、典型的には低温はんだを用いて、回路板のコンタクト領域上にも形成される。リフロー温度で、該チップは、はんだ接合によって該回路板にボンディングされる。アンダーフィル封入剤を施した後に、フリップチップ装置はこのようにして組み立てられる。そのような方法は、当該技術分野において十分知られており、かつはんだ接合を用いたフリップチップデバイスの典型的な例は、例えば米国特許第7,098.126号明細書(H.−K.Hsieh他)に記載されている。
【0005】
現在、予備はんだバンプを回路板上に形成するための最も一般的な方法は、孔版印刷法である。孔版印刷法に関連する先立つ提案のいくつかは、米国特許第5,203,075号明細書(C.G.Angulas他)、米国特許第5,492,266(K.G.Hoebener他)及び米国特許第5,828,128(Y.Higashiguchi他)に参照されることができる。フリップチップ実装のためのはんだバンピング技術には、バンプピッチとサイズ小型化の双方に関する設計考察が要求される。実地の経験によれば、孔版印刷は、バンプピッチが0.15mm未満に減少されると実行不可能になる。対照的に、電気めっきにより堆積されたはんだバンプは、バンプピッチを0.15mm未満にさらに縮める可能性を提供する。フリップチップボンディング用の回路板上の電気めっきバンプに関連する先立つ提案は、米国特許第5,391,514号明細書(T.P.Gall他)及び米国特許第5,480,835(K.G.Hoebener他)に見出されることができる。該回路板上の電気めっきはんだバンピングは、孔版印刷よりも微細なバンプピッチを提供するけれども、初期実装のためのいくつかの挑戦が存在する。
【0006】
はんだを有機基板上に形成する多段階プロセスは、米国特許第7,098,126号明細書(H.−K.Hsieh他)に記載されている。該方法においては、最初に、少なくとも1つのコンタクト領域を含む電気回路構成を有する表面を含む有機回路板が準備される。はんだマスク層が、該板表面上に配置され、かつパッドを露出するためにパターン形成される。その後、金属シード層が、物理蒸着、化学蒸着、触媒銅の使用下での無電解めっき又は触媒銅の使用下での電気めっきにより該板表面にわたって堆積される。該パッドに置かれた少なくとも開口部を有するレジスト層が、該金属シード層にわたって形成される。次いで、はんだ材料が、該開口部に電気めっきにより形成される。最後に、該レジストと該レジストの真下の金属シード層とが除去される。この方法を適用するために、様々のパターン形成工程が必要とされるが、このことはプロセス効率の全般的な観点から望ましくない。さらに、該方法は、隣接するコンタクト領域間の距離(ピッチ)が電子デバイスの小型化の結果として非常に小さい場合には限界がある。
【0007】
回路板の伝導性バンプ構造の製作方法は、US2006/0219567A1号明細書に開示されている。はんだ材料が基板上に電気めっきされ、該基板は、はんだマスクによって部分的に保護されているが、付加的なレジストで保護されていない。次に、接着剤層が、はんだ材料の層上に堆積される。前記接着剤層は、次いで、はんだ材料でコーティングされた接続パッドがその後のエッチング工程の間に保護されるようにパターン化される。はんだ溜まりのために必要とされないはんだ材料は、次いで、エッチレジストで保護されたはんだ溜りのみを残して該接続パッドより上でエッチ除去される。前記接着剤層は、はんだ材料のバックエッチング用の金属レジストとしてと、後にはんだ材料の腐食保護としても用いられる。
【0008】
特許文献US7,174,630B2号明細書は、はんだ堆積物の製造法を開示している。第一のレジスト層が基板表面上に堆積され、かつパターン化に続けて第一の金属層の電気めっきが行われる。次に、第二のレジスト層が基板表面上に堆積され、かつパターン化に続けて第二の金属層の電気めっきが行われる。前記プロセスは、2つの別個のレジスト塗布、構造化及び除去処置を必要とし、これにより望ましくない付加的な処理工程が生じることになる。
【0009】
それに応じて、数が減らされた処理工程を含む、回路板といった基板上にはんだ堆積物を形成するための方法を提供する必要がある。さらに、非常に微細な構造上にはんだ堆積物を形成するのに適している、はんだ合金組成に関して高い均一性のはんだ材料を生じさせるめっき法を提供する必要もある。
【0010】
開示の要約
それゆえ、本発明の対象は、はんだ合金堆積物の均一な層及び量を基板上に発生させるためのはんだ材料層の電気めっき法を提供することである。そのような方法は、ボイド又はディンプルを残さずに、高アスペクト比を有するリセス構造を充填するのに適しているべきである。さらに、はんだ合金堆積物は、所望の融点をリフロー操作後に有する所望の合金組成を有しているべきである。好ましいはんだ合金堆積物は、三元合金Sn−Ag−Cu及び四元合金Sn−Ag−Cu−Niであり、かつ(n−g−u(−Ni)合金)の頭文字を取ったSAC合金と呼ばれる。リフロー操作後のはんだ合金組成は、先に堆積された金属シード層、第一に電気めっきされたはんだ材料層及び第二に電気めっきされたはんだ材料層の量及び組成によって制御される。
【0011】
本発明の他の対象は、数が減らされためっき工程を有するはんだ合金堆積のための方法を提供することであり、かつ該方法は、はんだレジスト開口部が異なる寸法を有する場合ですら一般に適用可能である。
【0012】
本発明の他の対象は、金属シード層を非伝導性基板、例えばプリント回路上に形成する方法を提供することであり、これはフリップチップはんだ接合及び基板対基板はんだ接合を形成する電気めっきはんだを発生させるために用いられる。加えて、金属シード層は、リフロー操作の間の合金形成のためのソースとして用いられ、例えば、後にSAC合金を形成するCu成分は、前記金属シード層によってもたされる。
【0013】
まとめると、フリップチップはんだ接合及び基板対基板はんだ接合を形成するための、電気めっきはんだ合金堆積物を基板上に製作する方法を開示している。本発明によれば、少なくとも1つのコンタクト領域を含む電気回路構成を有する表面を含む回路板といった非伝導性基板が準備される。そのようなコンタクト領域は、任意の伝導性表面領域、例えばコンタクトパッド、基板の外側に向いている回路構成の一番上の領域であってよい。
【0014】
はんだマスクが基板の表面部分に設けられ、そして少なくとも1つのコンタクト領域を露出する少なくとも1つのはんだマスク開口部が形成された後、伝導性シード層が表面領域全体に形成される。
【0015】
次に、レジスト層が、金属シード層上に堆積され、かつ構造化されて、少なくとも1つのはんだマスク開口部と少なくとも1つのコンタクト領域が露出される。
【0016】
好ましくは錫を含有する第一のはんだ材料層が、次いで、はんだ堆積物を形成するために基板の伝導性表面上で電気めっきされる。
【0017】
その後、好ましくは錫合金から成る第二のはんだ材料層が、第一のはんだ材料層上で電気めっきされる。金属シード層上の該レジスト層が除去される。はんだマスク層領域から金属シード層も除去される。
【0018】
このようにして処理された基板は、次いでリフロー操作に供され、その際、第一のはんだ材料は溶融し、かつ金属シード層及び第二のはんだ材料層は、この溶融した第一のはんだ材料中に溶解して所望の組成を有する合金はんだ堆積物を形成する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】所望の組成を有する電気めっきされた合金はんだ堆積物を有するブラインドマイクロビア(BMV)によりはんだマスク定義パッドを得る方法を示す図
図2】所望の組成を有する電気めっきされた合金はんだ堆積物を有するブラインドマイクロビア(BMV)により非はんだマスク定義パッドを得る方法を示す図
【0020】
発明の詳細な説明
本発明は、好ましくは錫又は錫合金から成る金属シード層を堆積させ、錫から成る第一のはんだ材料層を電気めっきし、その後に、好ましくは錫合金から成る第二のはんだ材料層を電気めっきすることによって、均質な、かつ目標とされる組成を有するはんだ合金堆積物を基板上に形成する方法を提供する。本プロセスは、はんだバンプを、回路板、IC基板又はインターポーザー上に製作するのに特に適している。本発明による方法は、良好なめっき均一性及び均質な元素組成を伴うはんだバンプを生む。
【0021】
"均質な組成"との用語は、リフローイング後のはんだ堆積物中での化学元素の均質な分布を指す。
【0022】
"均一性"及び"均一"との用語は、均一なめっき量及びリフローイング後に類似した又は等しい高さのはんだ合金堆積物を生む層厚を指す。
【0023】
"元素組成"との用語は、材料、例えば第二のはんだ材料層107の体積中の化学元素の濃度を指す。
【0024】
本方法は、以下により詳細に記載している。ここに示される図は、本プロセスの単なる例示に過ぎない。これらの図は、一定の比例に拡大されて描かれておらず、すなわち、それらはチップパッケージ構造における様々な層の実際の寸法又は特徴を反映していない。同じ番号は、明細書を通じて同じ要素に当てはめられる。
【0025】
ここで、図1を参照して、本発明の好ましい実施態様によれば、コンタクト領域の具体例として内部層コンタクトパッド102を有する非伝導性基板101が準備される(図1a)。前記内部層コンタクトパッド102は、典型的には、金属、例えば銅から形成される。非伝導性基板101は、有機材料又は繊維強化有機材料又は粒子強化有機材料等、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド、ビスマレイミドトリアジン、シアネートエステル、ポリベンゾシクロブテン、又はそのガラス繊維複合体等から製造されていてよい回路板又はIC基板であることができる。
【0026】
はんだマスク層103が、前記非伝導性基板101の表面上に堆積される。
【0027】
はんだマスク層103は、固定はんだマスクであり、かつプリント回路板の製造後に非伝導性基板101の表面に取り付けらたままである。
【0028】
はんだマスク層103は、公知の技法によって非伝導性基板101の表面上に堆積される。本発明に適用可能な例は、スクリーン印刷法及び/又は写真印刷法である。多様なタイプのはんだマスクが、本発明により使用されることができる:UV−硬化はんだマスク、熱硬化可能な2成分はんだマスク及び写真現像型はんだマスク。
【0029】
任意に、バリヤー層が、コンタクトパッド102に形成される(図1には示されていない)。該バリヤー層は、ニッケル、ニッケル合金の接着剤層又は金の保護層であってよい。前記バリヤー層は、ニッケル、ニッケル−リン、パラジウム、パラジウム−リン、銀、錫、ニッケル/パラジウム、クロム/チタン、パラジウム/金、又はニッケル/パラジウム/金等から成っていてもよく、例えばそれらは、電気めっき、無電解めっき、浸漬、又は物理蒸着等によって製造されることができる。
【0030】
非伝導性表面上への電気めっき及びリフローイングによって、好ましくは錫を含有する均一なはんだ合金堆積物を製作するために、非伝導性表面上に形成される金属シード層104が、電気めっきを開始するために必要とされる。そのような金属シード層104は、図1bに図示してある。一般に、金属シード層104は、例えば、非伝導性表面の慣例の製造業における無電解めっきによって形成され、かつ、これは当該技術分野において十分知られている。
【0031】
本発明によれば、金属シード層104は、コンタクトパッド領域102及びはんだマスク層103を含む非伝導性基板101の表面全体にわたって堆積される。最も好ましい金属シード層104の材料は、銅及び銅合金、例えば銅−ニッケル合金、銅−ルテニウム合金及び銅−ロジウム合金である。
【0032】
金属シード層104は導電性であり、接着性を付与し、その上面の露出部分は電気めっきされることができ、かつ、その後に生じるはんだ堆積物金属がコンタクト領域のベース金属に移動することを防ぐ。選択的に、該金属シード層は2種の金属層から成っていてよい。
【0033】
非伝導性基板は、種々の方法によって活性化されることができ、該方法は、例えばPrinted Circuits Handbook,C.F.Coombs.Jr.(Ed.),6th Edition,McGraw Hillの第28.5頁〜第28.9頁及び第30.1頁〜第30.11頁に記載されている。これらのプロセスは、炭素粒子、Pdイオン、Pdコロイド又は伝導性ポリマーを有する伝導性層の形成を含んでいる。
【0034】
これらのプロセスのいくつかが特許文献に記載されており、その例を下に挙げる:
欧州特許第0616053号明細書には、金属コーティングを非伝導性基板に(無電解コーティングを用いずに)塗布する方法が記載されており、該方法は、
a.前記基板を貴金属/IVA族金属ゾルを含んでなる活性剤と接触させて、処理された基板を得て;
b.前記処理された基板を、
(i)Cu(II)、Ag、Au又はNi可溶性金属塩又はその混合物、
(ii)第IA族金属水酸化物、
(iii)前記金属塩の金属のイオンのための、0.73〜21.95の累積生成定数log Kを有する有機材料を含んでなる錯化剤
の溶液を含んでなるpH11超〜pH13を有する自己促進及び自己補充する浸漬金属組成物と接触させることを含む。
【0035】
このプロセスは、その後の電着に使用されることができる薄い伝導性層を結果生じる。このプロセスは、"Connect"プロセスとして当該技術分野において知られている。
【0036】
米国特許第5,503,877号明細書には、非金属性基板上で金属シードを作り出すための錯化合物の使用を含む非伝導性基板のメタライゼーションが記載されている。これらの金属シードは、その後の電気めっきのための十分な伝導性を提供する。このプロセスは、いわゆる"Neoganth"プロセスとして当該技術分野において知られている。
【0037】
米国特許第5,693,209号明細書は、伝導性ピロールポリマーの使用を含む非伝導性基板のメタライゼーションのためのプロセスに関する。該プロセスは、"Compact CP"プロセスとして当該技術分野において知られている。
【0038】
欧州特許第1390568B1号明細書も、非伝導性基板の直接電解メタライゼーションに関する。該明細書は、その後の電着ための伝導性層を得るための伝導性ポリマーの使用を含んでいる。該伝導性ポリマーは、チオフェン単位を有する。該プロセスは、"Seleo CP"プロセスとして当該技術分野において知られている。
【0039】
最後に、該非伝導性基板は、パラジウムイオンを含有するコロイド溶液又はイオノゲン溶液、例えば、Printed Circuits Handbook,C.F.Coombs.Jr.(Ed.),6th Edition,McGraw Hillの第28.9頁及び第30.2頁〜第30.3頁に記載されている方法で活性化されることもできる。
【0040】
薄い中間金属コーティングの引き続く無電解めっきが、任意に、金属シード層104の厚さに関して高めるために実施されていてよい。該シード層の助けにより、本発明によるはんだ材料層の電気めっきが、次いで実施されることができる。
【0041】
本発明によれば、前記伝導性シード層104は、単独の金属層、単独の金属合金層から成っていてよいか、又は少なくとも2つの区別される単独層の多層から成っていてよい。伝導性シード層として適した金属及び金属合金は、銅、錫、コバルト、ニッケル、銀、錫−鉛合金、銅−ニッケル合金、銅−クロム合金、銅−ルテニウム合金、銅−ロジウム合金、銅−銀合金、銅−イリジウム合金、銅−パラジウム合金、銅−白金合金、銅−金合金及び銅−希土類合金、銅−ニッケル−銀合金、銅−ニッケル−希土類金属合金から成る群から選択されている。銅及び銅合金が、伝導性シード層104として好ましい。
【0042】
本発明の好ましい実施態様によれば、前記金属シード層104は、無電解めっき方法によって形成されることもでき、その際、該触媒金属は、貴金属を使用しないが、しかし銅を触媒金属として使用する。そのような触媒銅を非伝導性表面上に形成するための典型的な例は、米国特許第3,993,491号明細書及び同第3,993,848号明細書に見出されることができる。
【0043】
前記金属シード層104の厚さは、好ましくは0.1mm未満、より好ましくは0.0001mm〜0.005mmである。はんだ材料層中の前記金属シード層104の溶解度に依存して、前記シード層104は、該はんだ堆積物中に完全に溶解することができるか、又はリフロープロセス後になお少なくとも部分的に存在することができる。本発明の好ましい実施態様において、金属シード層104は、リフローの間又はリフロー後にはんだ材料層中に完全に溶解される。
【0044】
より薄い金属シード層104が好ましく、なぜなら、より薄いシード層は、より迅速にエッチング溶液中で除去されることができるからである。エッチング浴中での接触時間が比較的短いために、前記エッチング溶液による前記はんだマスク層103へのダメージは許容され得る低いレベルにまで低下される。
【0045】
ここで、図1cを参照して、レジスト層105が、はんだマスク層103に塗布され、かつ公知の技法によってパターン化されて、はんだマスク開口部及び少なくとも1つのコンタクトパッド102が露出される。
【0046】
次に、第一のはんだ材料層106が、次いで電気めっきによって金属シード層104上に形成される(図1d)。第一のはんだ材料層106のための第一のはんだ材料は、錫、インジウム、ビスマス及び前記金属の少なくとも1つを含有する合金から成る群から選択されている。最も好ましい金属は、純粋な錫である。
【0047】
その後、第二のはんだ材料107が、電気めっきによって第一のはんだ材料層106上に形成される(図1e)。第二のはんだ材料は、錫、鉛、銀、金、銅、ビスマス、アンチモン、亜鉛、ニッケル、アルミニウム、マグネシウム、インジウム、テルリウム、ガリウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム及び白金から成る群から選択された少なくとも1つの元素を含有する。
【0048】
より好ましくは、第二のはんだ材料107は、錫と、鉛、銀、銅、ビスマス、アンチモン、亜鉛、ニッケル、アルミニウム、マグネシウム、インジウム、テルリウム、ガリウム、ルテニウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム及び白金から成る群から選択された少なくとも1つの元素との混合物より成る。
【0049】
第二のはんだ材料層107のための最も好ましい第二のはんだ材料は、錫−銀合金である。
【0050】
第一のはんだ材料層106と第二はんだ材料107との好ましい組合せにおいては、第一のはんだ材料層106は純水な錫から成り、かつ第二のはんだ材料層107は錫合金から成る。
【0051】
第一のはんだ材料層106と第二はんだ材料層107との最も好ましい組合せにおいては、第一のはんだ材料層106は純水な錫から成り、かつ第二のはんだ材料層107は錫−銀合金から成る。
【0052】
錫めっき浴及び錫合金めっき浴が当該技術分野において公知である。通常用いられる錫めっき浴組成又は錫合金めっき浴組成及びめっきのためのプロセスパラメーターを以下に記載する。
【0053】
該浴の他の成分の中には、酸化防止剤及び界面活性剤が添加されていてよい。
【0054】
Sn2+イオン源は、可溶性の錫含有アノードであってよいか、又は、不溶性アノードが用いられる場合には、可溶性Sn2+イオン源であってよい。メタンスルホン酸錫、Sn(MSA)2は、その高い溶解度ゆえに、好ましいSn2+イオン源である。典型的に、Sn2+イオン源の濃度は、該浴中にSn2+イオン約10g/l〜約200g/l、好ましくは約15g/l〜約95g/l、より好ましくは約40g/k〜約60g/kを供給するのに十分である。例えば、Sn(MSA)2が、Sn2+イオン約30g/l〜約60g/lを該めっき浴に供給するために添加されてよい。
【0055】
好ましい合金は、錫銀合金である。そのような場合において、該めっき浴は付加的に可溶性銀塩を含有し、通常使用されるのは、硝酸塩、酢酸塩、及び好ましくはメタンスルホン酸塩である。典型的に、Ag+イオン源の濃度は、該浴中にAg+イオン約0.01g/l〜約1.5g/l、好ましくは約0.3g/l〜約0.7g/l、より好ましくは約0.4g/l〜約0.6g/lを供給するのに十分である。例えば、Ag(MSA)が、Ag+イオン約0.2g/l〜約1.0g/lを該めっき浴に供給するために添加されてよい。
【0056】
酸化防止剤が、本発明の浴に、該浴を溶液中のSn2+イオンの酸化に対して安定化させるために添加されてよい。好ましい酸化防止剤、例えばヒドロキノン、カテコール、及びヒドロキシル安息香酸、ジヒドロキシル安息香酸又はトリヒドロキシル安息香酸のいずれかが、約0.1g/l〜約10g/l、好ましくは約0.5g/l〜約3g/lの濃度で添加されてよい。例えば、ヒドロキノンが、該浴に約2g/lの濃度で添加されてよい。
【0057】
界面活性剤が、該基板の濡れを促進するために添加されてよい。該界面活性剤は、三次元成長を抑制することができる温和な堆積防止剤として、それによってフィルムのモルホロジー及びトポグラフィーを改善するまでに役立つものと思われる。それは粒度の精製にも役立てられ、これはより均一なバンプを生じさせる。例示的なアニオン界面活性剤には、アルキルホスホン酸塩、アルキルエーテルリン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルエーテルスルホン酸塩、カルボン酸エーテル、カルボン酸エステル、アルキルアリールスルホン酸塩、アリールアルキルエーテルスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩及びスルホコハク酸塩が含まれる。
【0058】
本発明の電解めっき浴は、好ましくは、アノード不動態化を抑制し、より良好なカソード効率を達成し、かつ、より延性の堆積物を達成するために、酸性pHを有する。それに応じて、該浴のpHは、好ましくは約0〜約3である。好ましい実施態様において、該浴のpHは0である。それに応じて、好ましい酸性pHは、硝酸、酢酸、メタンスルホン酸を用いて達成されることができる。好ましい1つの実施態様において、該酸は、メタンスルホン酸である。該酸の濃度は、好ましくは約50g/l〜約200g/l、より好ましくは約70g/l〜約120g/lである。例えば、メタンスルホン酸約50g/l〜約160g/lが、該電気めっき浴に、pH0の浴を達成し、かつ該伝導性電解質として作用するために添加されることができる。
【0059】
典型的な浴組成は、例えばJordan:The Electrodeposition of Tin and its Alloys,1995,p.71〜84に開示されている。
【0060】
はんだ溜りめっき用の錫及び錫合金のめっきは、直流(DC)又はパルスめっきにより実施されることができる。パルスめっき技法は、図1及び2に示されるように本発明の構造を充填するのに特に適している。パルスめっきの利点は、より微細な粒度、ひいてはより良好なはんだ付け特性を有する錫堆積物でのより良好な表面分布均一性及び改善された結晶構造である。また、より高い適用可能な電流密度、ひいてはより高い処理量がパルスめっきにより、DCめっきに比べて得られることができる。
【0061】
一般的に、1〜20A/dm2の有効電流密度での電流パルスが印加されることができる。選択的に、0.3〜5A/dm2の電流密度でのDCによる該浴の操作が実施されることができる。
【0062】
例えば、錫パルスめっきを3A/dm2の電流密度で適用すると、30分以内に40μmの錫堆積物の平均厚さが生じる。該表面上の厚さ変化は±15%に過ぎない。1A/dm2のみの最大電流密度でのDCめっきを適用すると、得ることができる。40μmの錫堆積物の厚さを得るためのめっき時間は86分である。該表面上の変化は±33%であり、それゆえパルスめっきの場合よりもはるかに高い。
【0063】
好ましいパルスパラメーターは次のとおりである:
少なくとも1つの順電流パルスの期間対少なくとも1つの逆電流パルスの期間の比は、少なくとも1:0〜1:7、好ましくは少なくとも1:0.5〜1:4、より好ましくは少なくとも1:1〜1:2.5に調節される。
【0064】
少なくとも1つの順電流パルスの期間は、好ましくは少なくとも5ms〜1000msに調節されることができる。
【0065】
少なくとも1つの逆電流パルスの期間は、好ましくは0.2〜5ms、最も好ましくは0.5〜1.5msに調節される。
【0066】
加工物における少なくとも1つの順電流パルスのピーク電流密度は、好ましくは、1〜30A/dm2の値に調節される。特に好ましいのは、水平プロセスにおける約2〜8A/dm2の該加工物における少なくとも1つの順電流パルスのピーク電流密度である。垂直プロセスにおいて、該加工物における少なくとも1つの順電流パルスの最も好ましいピーク電流密度は、1〜5A/dm2である。
【0067】
加工物における少なくとも1つの逆電流パルスのピーク電流密度は、好ましくは、0〜60A/dm2の値に調節される。特に好ましいのは、水平プロセスにおける約0〜20A/dm2の該加工物における少なくとも1つの逆電流パルスのピーク電流密度である。垂直プロセスにおいては、該加工物における少なくとも1つの順電流パルスの最も好ましいピーク電流密度は、0〜12A/dm2である。
【0068】
当該技術分野において公知のアノード、例えば錫アノードが、電気めっきによる錫及び錫合金の堆積用に用いられることができる。しかしながら、錫合金(その中で、合金金属は、錫、例えば銀より希少である)のために、不溶性アノード、例えばチタンアノード、白金めっきチタンアノード及びチタン混合酸化物アノードが好ましい。
【0069】
図1に従った構造中でのはんだマスク開口部109は、好ましくは、約5〜1,000μm、好ましくは約10〜500μm、さらにより好ましくは20〜100μmの寸法を有する。
【0070】
はんだマスク開口部109の幅は、5〜250μm、好ましくは10〜50μmの間で変化する(図1a)。隣接するコンタクト領域の中心点間の距離はピッチで表され、かつIC基板の場合は90〜300μmの範囲にあり、プリント回路の場合は150〜1,000μmの範囲にある。
【0071】
図1fを参照して、パターン化レジスト層105も金属シード層104も、はんだマスク層103から除去されている。該除去は、好ましくは、第一と第二のはんだ材料層106及び107を少なくとも1つのコンタクト領域上に残しながら、金属シード層104の量をはんだマスク層領域103から化学エッチングすることによって行われる。ストリッピングとしても公知である、銅及び銅合金のエッチングは、電解的又は化学的に実施されることができる。適したエッチング溶液が、ルーチン実験を適用することで選択されることができる。
【0072】
また、機械研磨を、それ単独又は金属シード層104を除去するための電解的ストリッピング若しくは化学的ストリッピングと組み合わせて適用してもよい。
【0073】
典型的な銅及び銅合金のためのエッチング又はストリッピング組成物は、例えば、Printed Circuits Handbook,C.F.Coombs.Jr.(Ed.),6th Edition,McGraw Hillの第34.6頁〜第34.18頁に記載されている。
【0074】
典型的な銅及び銅合金のためのエッチング組成物は、過硫酸塩と硫酸の混合物、カロー酸、過酸化物と鉱酸の混合物、CuCl2、過酸化物及び鉱酸の混合物、CuCl2とアンモニアの混合物である。
【0075】
任意に、次いで基板は、錫表面又は錫合金表面の酸化及び変色を防ぐために後処理組成物と接触させられる。前記目的のための適した後処理組成物は、無機リン又は有機リンを含有する化合物及びそれらの混合物をベースとしていることが多い。特定の組成物が、例えばEP2014798A1及びEP1716949B1に開示されている。
【0076】
リフロー温度で、フリップチップ接合又はBGA接合が形成されることができる。さらに、金属シード層104、第一のはんだ材料層及び第二のはんだ材料層は、リフロー操作の間に均一な合金はんだ堆積物108を形成しながら互いに溶解し合う(図1g)。本発明は、前記均一な合金はんだ堆積物108の組成のための2つの調節の仕方を提供する。少なくとも1つの個々の金属シード層、第一のはんだ材料層及び第二のはんだ材料層の各々の組成のみならず堆積後のそれらの各量も、非常に定義された組成、すなわち、合金はんだ堆積物108の所望の融点を有する最終的な合金はんだ堆積物108を得るのに使用される。
【0077】
好ましい最終的な合金はんだ堆積物108は、50質量%超の錫を含有する。
【0078】
最終的なはんだ合金堆積物108中での好ましい銀濃度は、1〜6質量%の範囲にある。
【0079】
最終的なはんだ合金堆積物108中での好ましい銀濃度は、0.05〜2質量%の範囲にある。
【0080】
本発明の好ましい実態態様によれば、前記電気めっきはんだバンプは、フリップチップ接合及び基板対基板接合用に設けられることができる。
【0081】
はんだバンプは、任意の形状、例えばスタッドバンプ、ボールバンプ、柱状バンプ等であってよい。
【0082】
このプロセスシーケンスは、図1に従った基板について詳細に記載しているけれども、そのようなものに限定されず、また全ての種類の基板に適用されることができる。それに応じて処理されることができる本発明のいくつかの付加的な好ましい実施態様を、図2に示してある。
【0083】
本発明によれば、前記はんだマスク層103は、前記コンタクトパッド102表面の部分を覆うことに制限されない。図2に示してある通り、前記はんだマスク層103は、非伝導性表面101の表面上に堆積されるが、前記コンタクトパッド102表面のいずれの部分も覆っていない。反対に、前記伝導性シード層104が形成される。引き続き、はんだ堆積物層106及び107が、コンタクトパッド102を覆っている前記開口部中に形成される。そのような構造は、非はんだマスク定義パッド構造と呼ぶ。
【0084】
次の例はさらに、本発明を説明する。
【実施例】
【0085】
例1
図1aに従ったコンタクトパッド構造を有するIC基板を用いる
【0086】
めっきシーケンスは図1に従う。
【0087】
該IC基板をまず標準的な方法で清浄化し、次いで過酸化水素及び硫酸を有する水性組成物中でマイクロエッチングする。
【0088】
次に、25μmの厚さを有するはんだマスク(Lackwerke Peters,ELPEMER SD 2467 SG−DG(525))を、非伝導性基板101上に堆積する(図1a)。はんだマスクをフォト構造化し、少なくとも1つのコンタクトパッド102を露出する。
【0089】
銅の金属シード層104を、基板表面全体に形成する(図1b)。このために該表面を、イオノゲン性パラジウムを含有する酸性溶液と、次いで無電解銅めっきのための溶液とまず接触させる。
【0090】
次に、ドライフィルムフォトレジスト105(PM 250、DuPont)を、はんだマスク層103上に積層する。このドライフィルムフォトレジストを標準的な方法でパターン化する(図1c)。
【0091】
その後、錫層(第一のはんだ材料層106)を、以下:
Sn(MSA)2としてのSn2+45g/l、MSA(70%溶液)60ml/l、ヒドロキノン2g/l及びベンザルアセトン100mg/l
を含有する浴から伝導性層上にめっきする(図1d)。
【0092】
該浴のpHは1未満であり、温度は25℃である。めっきは20分間にわたる。DCめっきを、次のパラメーターを適用しながら使用する:
順電流密度:2.5A/dm2
【0093】
図1に従ったはんだマスク開口部を、いかなるボイド形成も伴うことなく、錫はんだ材料で完全に充填する。
【0094】
次に、錫−銀合金層(第二のはんだ材料層107)を、以下:
Sn(MSA)2としてのSn2+40g/l、Ag(MSA)としてのAg+1.5g/l、MSA(70%溶液)60ml/l、ヒドロキノン2g/l及びベンザルアセトン100mg/l
を含有する浴から第一のはんだ材料層106上に電気めっきによって堆積する(図1e)。
【0095】
該浴のpHは1未満であり、温度は25℃である。めっきは15分間にわたる。DCめっきを、次のパラメーターを適用しながら使用する:
順電流密度:2A/dm2
【0096】
図1に従ったレジスト開口部110を、いかなるボイド形成も伴うことなく、錫−銀合金で充填する。
【0097】
第一のはんだ材料層106及び第二のはんだ材料層107の堆積後、パターン化ドライフィルムフォトレジストを、炭酸カリウム2質量%の水溶液で除去する(図1f)。
【0098】
はんだマスク層103上の金属シード層104を、その後、硝酸30体積%を含有する溶液中で40℃の温度にて1分間処理することによって除去する(図1f)。エッチングプロセス後、はんだマスク領域103上の銅の金属シード層104を完全に除去した(図1f)。
【0099】
該基板を、次いでリフロー操作に供し、その際、金属シード層104、第一のはんだ材料106及び第二のはんだ材料107が、均一なSAC合金はんだ堆積物108を形成する。
【0100】
該錫はんだ堆積物は、非常に均質な表面分布を示し、かつウイスカーフリーである。それはチップ又は回路にはんだ付けされるのに適している。
【0101】
例2
50μmの直径及び20μmの高さのはんだマスク開口部を有する基板を、金属シード層104としての無電解めっき銅−ニッケルで被覆する。レジスト層を堆積し、かつ80μmの直径及び50μmの高さを有するレジスト開口部110を形成する。次いで、はんだマスク開口部109及びレジスト開口部110の高さに関して15μmを、第一のはんだ材料層106としての錫で電気めっきにより充填する。次に、錫−銀合金を、第二のはんだ材料層107として第一のはんだ材料層上にレジスト開口部11の高さに関して15μmを満たして電気めっきにより電気めっきする。
【0102】
金属シード層104は、0.2μmの厚さ及び1.055μgの質量を有する。前記金属シード層は、銅95質量%とニッケル5質量%とから成る。
【0103】
第一のはんだ材料層106として各開口部に堆積された錫の質量は83.7μgである。
【0104】
第二のはんだ材料層107として各開口部に堆積された錫−銀合金の質量は55μgであり、かつ銀含有率は6質量%である。
【0105】
次に、レジスト層106を除去し、かつ基板をリフロー操作に供する。結果生じるはんだ合金堆積物108は、錫96.9質量%、銀2.36質量%、銅0.75質量%及びニッケル0.04質量%の均一な組成を有し、該組成は、はんだとして用いられる典型的な四元SAC合金の組成に類似する。
【0106】
例3
例2を、50μmのはんだマスク開口部直径及び60μmのレジスト開口部110直径により繰り返した。0.25μmの厚さ及び5質量%のニッケル含有率を有する銅層を、金属シード層104として堆積した。90.6μgの質量を有する純粋な錫層を、第一のはんだ材料層106として電気めっきにより堆積した。次に、10μmの高さ及び20.6μgの質量を有する錫−銀合金を、第二のはんだ材料層107としてレジスト開口部110中に電気めっきにより堆積した。前記第二のはんだ材料層107は、銀6質量%を含有する。
【0107】
次に、レジスト層106を除去し、かつ基板をリフロー操作に供する。結果生じるはんだ合金堆積物108は、錫98.1質量%、銀1.1質量%、銅0.76質量%及びニッケル0.04質量%の均一な組成を有し、該組成は、はんだとして用いられる典型的な四元SAC合金の組成に類似する。
【符号の説明】
【0108】
101 非伝導性基板
102 コンタクトパッド
103 はんだマスク層
104 金属シード層
105 レジスト層
106 第一のはんだ材料層
107 第二のはんだ材料層
108 均一なはんだ合金堆積物
109 はんだマスク開口部
110 レジスト開口部
図1a
図1b
図1c
図1d
図1e
図1f
図1g
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図2f
図2g