(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記イオン衝突処理のイオンが、炭素、リン、ヒ素、アンチモン、セレン、硫黄、クロム、ケイ素、ゲルマニウム、窒素、水素、およびメタロイドタイプの元素からなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
データおよび情報の保存に、従来型の磁気記憶装置が多年にわたって用いられてきた。磁気記憶装置は、一般的に、磁気の状態を識別するために二極化できる磁性材料の複数のユニットを含み、その場合、磁化の方向が異なる方向を指し示し、その異なる方向を正状態および負状態と呼称できる。本願において、発明者らは、異なる極性に対応するものとしてこの異なる磁化の方向に言及する。各ビットは、そのビットの磁気的な極性状態に応じて情報(通常、1または0のいずれかの形の2値情報)を保存できる。その結果、磁気記憶装置は、一般的に、磁性材料の上を通り過ぎて、各ビットの磁気的な極性状態を認識する「読み取り」素子と、磁性材料の上を通り過ぎて、各ビットの磁気的な極性状態を変化させ、それによって、情報の個々のユニットを記録する「書き込み」素子とを含む。従って、磁気記憶装置上に保存できる情報の量は、磁気記憶装置上の磁気ビットの数に直接比例する。
【0003】
多様なタイプの磁気記憶装置が存在しているが、各タイプは異なる製造技術を含む。例えば、従来型のグラニュラー磁気記録装置は各磁気ビットに多数個の粒子を有するディスクである。グラニュラー磁気装置においては、すべての領域は共面であり、ディスクの表面は相対的に平滑でかつ連続している。グラニュラー磁気ディスク上に保存し得る情報の量を増大するために、粒子のサイズを近似的に同等に維持しながら、磁気ビット当たりの粒子の個数を低減することが可能である。しかし、各ビットにおける粒子の個数が少なくなると、信号対ノイズ比が低下する(信号が少なくノイズが多くなる)。良好な信号対ノイズ比を維持するために、磁気ビットのサイズと、各磁気ビットを構成する個々の粒子のサイズとの両者を低減して、各磁気ビットにおける粒子の同じ個数を維持する方法が開発されてきた。しかし、粒子が小さくなり過ぎると、熱的な揺らぎによって、粒子が自発的に極性を反転させ、従って保存の不安定さと情報の喪失とをもたらす可能性が生じる。
【0004】
ビットパターン媒体(bit−patterned media:BPM)は磁気保存媒体の別の例である。ビットパターン媒体においては、各ビットは、連続する磁性粒子の集合体ではなく、単一領域の磁気アイランドまたは区域である。BPMビットは、リソグラフィー技術およびエッチング技術を用いてトポグラフィー的にパターン化することが可能であり、トレンチに取り囲まれた磁気的に絶縁されたビットアイランドを形成できる。いくつかの例においては、トレンチが磁性材料をエッチング除去することによって形成され、他のいくつかの例においては、非磁性体の基板に物理的なパターンをエッチングし、引き続いて、そのパターン化された基板の上部に磁性材料を堆積させる。隆起したビットアイランドとトレンチとの間が物理的に分離しているために、高い信号対ノイズ比と高い熱的安定性とを維持しながらデバイスの面積的なビット密度を増大するように、各個別のビットアイランドの幅を低減することが可能になる。
【0005】
しかし、1平方インチ当り1兆ビット(Tbit/in
2)を超えるビット密度を有するビットパターン媒体のエッチング加工は、従来型のエッチング技術の解像度をその限界に押し遣ることになる。このようなエッチング技術は、一般的に、下部材料の一部分をエッチング処理から遮蔽するマスクまたは防護材料で、被エッチング材料の一部分をカバーするステップを含む。すなわち、マスクが、トレンチを形成するためにエッチング加工される材料部分を露出した状態で、アイランドを防護する。しかし、このようなエッチング処理はアイランドの周囲の壁面の品質を損なう。アイランドの壁面に対するこの損傷は、アイランドの周縁における磁性材料の磁気異方性を低減する可能性があり、そのため、アイランドの周縁端部において自発的な磁気スイッチングが発現する可能性が増大する。
【0006】
このため、従来型のビットパターン媒体は、隣接トラックの露出によって惹起される自発的な磁気反転が生じ易い。換言すれば、読み取り/書き込みヘッドがビットパターン媒体上のナノサイズのアイランドの特定のトラックの上を通過する際、時によって、読み取り/書き込みヘッドからの磁界が、隣接トラックの磁気アイランドの周縁端部と相互作用するであろう。隣接トラックとのこの故意ならざる相互作用は、隣接アイランドにおける磁気スイッチングを発現させる可能性があり、従って、ビットパターン磁気記録装置に保存された情報の喪失もしくは劣化を生じる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の説明から、ビットパターン媒体における隣接トラックエラーを防止する装置および方法に対する必要性が存在することが明らかであろう。本願の対象は、現行技術に対して開発されたものであり、特に、現在利用可能なビットパターン媒体装置および製造方法によってまだ完全に解決されていない当分野における問題点および必要性に応えている。すなわち、本開示は、磁気アイランドにおける磁気スイッチングの発生し易さを低減することによって、高度の磁気読み取り性および書き込み性を維持しながら、現行技術における上記の欠点の多くまたはすべてを解決する装置および方法を提供するように開発されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、基板と、その基板の上面に装着されるビットパターン磁性層とを含む磁気媒体に関する。このビットパターン磁性層はアイランドを含み、各アイランドは、第1磁気異方性を有する第1磁性材料であって頂面と底面と周囲面(側面)とを有する第1磁性材料を含む。各アイランドは、また、第1磁性材料の周囲面をカバーする第2磁性材料であって、第1磁気異方性より高い第2磁気異方性を有する第2磁性材料をも含む。
【0009】
一実施態様において、第2磁性材料が、第1磁性材料の底面をもカバーすることができる。第1磁性材料の頂面は、非磁性材料でカバーすることができ、あるいはカバーなしとすることもできる。この実施態様においては、第1磁性材料が、局所的な反転核形成区域として機能する。一実施形態においては、各アイランドにおける第1磁性材料と第2磁性材料との体積比が約1/100〜1/2の範囲内である。別の実施形態においては、各アイランドにおける第1磁性材料と第2磁性材料との体積比が約1/50〜1/4の範囲内である。
【0010】
本開示は、また、磁気媒体の製造方法であって、基板の上面に装着される磁性層の上部に装着されるマスク層を設けるステップを含む製造方法に関する開示をも含む。その磁性層はアイランド区域およびトレンチ区域を含む。この方法は、さらに、磁性層のアイランド区域の一部分のみを露出するために、マスク層をパターン化するステップと、磁性層のアイランド区域の露出された一部分内に核形成領域を形成するステップとを含む。この核形成領域は磁性層より低い磁気異方性を有する。この方法は、さらにまた、マスク層のトーンを反転させるステップと、最後に、アイランドおよびトレンチを形成するためにトレンチ区域において磁性層をエッチング処理するステップとを含む。
【0011】
この方法は、また、磁性層のアイランド区域の露出された一部分にイオンを衝突させることによって核形成領域を形成するステップをも含むことができる。一実施態様においては、このイオン衝突処理は、ある深さまでの磁性層の磁気異方性のみに影響を及ぼす。衝突処理用に選択されるイオンおよび構成成分として、ホウ素、炭素、リン、ヒ素、アンチモン、セレン、硫黄、クロム、ケイ素、ゲルマニウム、窒素、水素、およびメタロイドタイプの元素が含まれる。
【0012】
一実施形態において、各アイランドにおける核形成領域と磁性層との体積比が約1/100〜1/2の範囲内である。別の実施形態においては、各アイランドにおける核形成領域と磁性層との体積比が約1/50〜1/4の範囲内である。一例において、露出された一部分は、アイランド区域の表面上の中央に配置される。
【0013】
本開示は、また、基板の上面に装着されるビットパターン磁性層を設けるステップを含む磁気媒体の別の製造方法をも含む。このビットパターン磁性層はアイランドを含み、各アイランドは頂面および周囲面を含む。この方法は、アイランドの頂面の上にマスク層を装着するステップと、続いて、アイランドの周囲面上に外殻体を形成するステップとによって続いていく。この外殻体は、ビットパターン磁性層の磁気異方性より高い磁気異方性を有する。
【0014】
一実施態様によれば、前記外殻体を形成するステップは、アイランドの周囲面上において第2磁性材料をイオン注入するステップを含む。別の実施態様においては、このイオン注入法が基板に対してある角度で実施される。例えば、このある角度を5〜45°の範囲にすることができる。使用可能な角度の範囲が存在し、使用角度は、トレンチの深さおよび幅と、トレンチの壁面の傾斜とを含む溝の幾何学的形状の詳細によって変化するであろう。一般的に、トレンチの深さとトレンチの幅との比が小さければ、法線に対して大きな入射角を使用できる。一般的な傾向としては、より高い面積密度を可能にするために、熱安定性と整合させた上で、溝の深さと磁気媒体の厚さとをできるだけ浅くすることになるであろう。深さが浅くなると、その結果として、考慮し得る入射角をより大きくすることが可能になるであろう。
【0015】
一実施形態において、各アイランドにおける磁性層と外殻体との体積比が約1/100〜1/2の範囲内である。別の実施形態においては、各アイランドにおける磁性層と外殻体との体積比が約1/50〜1/4の範囲内である。この方法は、また、アイランドの周囲面から構成成分を選択的に除去することによって、アイランドの周囲面上に磁性材料の外殻体を形成するステップをも含むことができる。
【0016】
本明細書全体を通して、特徴、利点または類似の用語への言及は、本開示によって実現され得る特徴および利点のすべてが、本開示の任意の単一の実施形態の中にあるべきであること、あるいは、あることを意味しない。そうではなく、特徴および利点に言及する用語は、1つの実施形態と結び付けて記述される特定の特徴、利点または特性が、本明細書に開示される対象の少なくとも1つの実施形態の中に含まれることを意味すると理解される。従って、特徴および利点に関する議論と、類似の用語とは、本明細書を通して、必ずしも必須ではないが同じ実施形態を参照している。
【0017】
本開示の対象の記述された特徴、構造、利点および/または特性は、任意の適切な方法で1つ以上の実施形態および/または実施態様において組み合わせることができる。以下の記述においては、本開示の対象の実施形態の完全な理解をもたらすために、多くの具体的な詳細が提供される。当業者は、本開示の対象を、1つの特定の実施形態または実施態様の1つ以上の特定の特徴、詳細、構成要素、材料および/または方法なしに実践し得ることを認めるであろう。別の事例においては、すべての実施形態または実施態様に存在しないかもしれない付加的な特徴および利点を、特定の実施形態または実施態様において認めることができる。さらに、いくつかの事例においては、本開示の対象の態様の曖昧化を避けるために、周知の構造、材料または操作が詳細には提示または記述されていない。本開示の対象の特徴および利点は、以下の説明および添付の請求項からより完全に明らかになり、あるいは、以下に述べる本開示の対象の実際によって習得されるであろう。
【0018】
本開示のこれらの特徴および利点は、以下の説明および添付の請求項からより完全に明らかになり、あるいは、以下に述べる本開示の実際によって習得されるであろう。
【0019】
本開示の利点を容易に理解するために、上記に簡潔に述べた本開示を、添付の図面に表現される具体的な実施形態を参照してさらに詳しく説明する。これらの図面は、本開示の若干の典型的な実施形態のみを表現しており、従って、本開示の範囲を制限するものと見做されるべきではないとの理解に基づいて、本願の対象を、添付の図面を利用して、さらに具体的にかつ詳細に記述し、説明する。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、ビットパターン磁気記憶装置100の一実施形態の斜視図であって、ビットパターン表面の部分拡大図を伴っている。ビットパターン磁気記憶装置は、一般的に、正の状態および負の状態のような磁気状態を識別するために極性化し得る磁性材料の区域を含む。各区域は、その領域の磁気的な極性状態に従って情報(一般的に1または0の形の2値情報)を保存できる。その結果、磁気記憶装置は、一般的に、磁性材料の上を通り過ぎて、各区域の磁気的な極性状態を認識する「読み取り」素子104と、磁性材料の上を通り過ぎて、各区域の磁気的な極性状態を変化させ、それによって、情報の個々のユニットを記録する「書き込み」素子104とを含む。
図1、2A、2Bおよび2Cにおける読み取り/書き込みヘッド104の表現は、読み取りおよび書き込みヘッドの存在を示すように意図されたものであり、読み取りおよび書き込みヘッドの外観を正確に表現するものではない。
【0036】
上記の[背景技術]の項に簡略に説明したように、ビットパターン磁気記憶装置100は、表面に物理的にエッチング加工されるアイランドを含む。表面を、交差するトレンチと隆起したビットアイランドとを有するようにトポグラフィー的にパターン化するために、例えば、従来型のリソグラフィーおよびエッチング技術を用いることができる。いくつかの事例においては、トレンチが磁性材料の中に直接エッチング加工され、他の事例においては、トレンチを基板の中にエッチング加工して、その後、磁性材料を、パターン化された基板の上面に被膜処理する。
【0037】
各ビットは、微粒子の集合体ではなく、単一の磁気アイランドであるので、高い信号対ノイズ比と高い熱的安定性とを維持しながら、ビットの物理的なサイズを低減することが可能である。一実施形態においては、実質的に平滑な表面を作出するために、アイランド間に(すなわちトレンチの中に)不活性な充填材料(図示されていない)を追加することができる。これによって、アイランドの頂部が充填材料の表面と共面になる。磁気アイランドのサイズが小さくなると、製造技術および読み取り/書き込みヘッド104の解像度がその限界に押し遣られることになる。
【0038】
例えば、磁気媒体102の表面上のアイランドの面積密度を増大すると、読み取り/書き込みヘッド104から放射される磁界が、意図せずかつ好ましくない状態で隣接するアイランドと相互作用する可能性が生じる。これは、このような隣接アイランドに極性をスイッチングさせるか、あるいは少なくとも磁気モーメントの大きさを喪失させる可能性がある。
図2A〜2Cに示すように、本開示は、各アイランドにおける軟磁性材料の周囲に硬磁性材料を形成することによって、この隣接トラック露出問題を防止することに関する。硬磁性材料は隣接トラックの露出を生じ易いことはなく、各アイランドの中心に位置する軟磁性材料が、磁気アイランドの「書き込み性」を維持するのに寄与する。
【0039】
図1には、磁気媒体102の表面に沿う視野像を表現する「視点(viewpoint)」も含まれている。この「視点」は、残りの断面図(模式的なフローチャート図を除いて)が表現される視座の一具現化形態を表している。
【0040】
図2Aは、磁気媒体102の一実施形態の側断面図であり、第1磁性材料210および第2磁性材料214を含むビットパターン磁性層204を示している。ビットパターン磁性層204は基板202の上面に装着される。基板202は、一実施形態においては、ある種のガラスディスクまたはアルミニウムディスクである。このディスクは、そのガラスディスクとビットパターン磁性層204との間に設けられる種々の補助的な磁性層および非磁性層を有する。この補助層は、特に、接着層、軟磁性下部層、シード層、粒子整列層を含むことができる。ビットパターン磁性層204に形成されるアイランドは、所与の用途の仕様に従って、その幅、高さ、サイズおよび面積密度を変化させることができる。アイランドは、例えば、図示のようにほぼ切頭円錐形にすることができるし、あるいは、実質的に長方形、円筒形、楕円形またはピラミッド状にすることができる。
【0041】
一実施形態において、磁性層204が単一の金属成分から作製され、他の実施形態においては、磁性層が金属合金および/または多金属成分から作製される。磁性層204が作製される磁性材料(例えば強磁性合金)は、鉄、コバルト、ニッケルおよびそれらの合金を含むことができる。強磁性合金は、酸化物、白金族の金属(例えば、ルテニウム、ロジウム、パラジウムおよび白金)、クロムのような遷移金属なども含むことができる。磁性層の組成は、単一成分または金属合金の混合体のいずれから構成されるにしても、所与の用途の仕様に従って選択することができる。本開示全体を通して、「磁性層」という用語は、永久磁石の特性を有する任意の強磁性材料(すなわち、当該部分において外部磁界がなくても純磁気モーメントを呈する材料)から作製される層のことを言う。
【0042】
磁気アイランドを反転させるのに必要な磁界はベース磁気材料の固有の磁気異方性によって変化する。材料の異方性は化学的組成と結晶学的秩序とによって変化する。異方性が大きいと、磁気方位を反転させるのに大きな磁界が必要になる。しかし、磁気異方性または結晶学的方位における局所的な変動は、反転の動力学に影響を及ぼし、構造の反転に必要な磁界を低下させる可能性がある。異方性が低い区域は全アイランドの反転の核となることができる。例えば、磁気書き込みヘッドからの磁界は一様でないので、局所的な異方性の変動は、ヘッドの反転に必要な最小のヘッド−アイランド分離における差異をもたらす可能性がある。従って、局所的な異方性の変動が隣接トラックのエラーを導くことがあり得るのである。結果的に、最適なアイランド構造は、アイランドの中心部が低異方性の材料であり、アイランドの外殻体が高異方性の材料であるような構造である。
【0043】
図2Aの実施形態に示すように、第2磁性材料214は、第1磁性材料210の周囲面212と底面213とを被覆しており、一方、第1磁性材料の頂面211はカバーされていないままである(あるいは、少なくとも磁性材料によってカバーされていない)。第1磁性材料210および第2磁性材料214は相互に近接しているので、交換相互作用によって磁性層210、214の平行配列が惹起される。換言すれば、アイランドにおける磁性材料の一方に極性スイッチングが生じると、同じアイランド内のもう一方の磁性材料も極性スイッチングするであろう。
【0044】
本開示全体を通して、灰色/暗色に陰影された構成要素は、陰影なしの構成要素に比較して磁気的により硬質の材料を表す。換言すれば、灰色の陰影は、陰影なし(白)の磁性材料に比較してより高い飽和保磁力とより高い磁気異方性とを備えた材料を示す。すなわち、
図2Aに示す実施形態においては、第1磁性材料210は低い磁気異方性を有し、その結果低い磁界で極性スイッチングを生じ、これによって、続いて同じアイランドにおける第2磁性材料214も極性スイッチングする。
【0045】
読み取り/書き込みヘッド104がアイランドの特定のトラックの上部を通過する際、読み取り/書き込みヘッドから放射される磁界250が所望のアイランド(読み取り/書き込みヘッドの下のアイランド)の極性をスイッチングさせる。しかし、所望のアイランドの極性スイッチングによって、偶々磁界250の下部に入ることになった周囲端部を有する隣接アイランドの偶然的な極性スイッチングが惹起されることはない。これは、隣接アイランドの周囲端部が、独立の極性スイッチングに敏感でない硬質の第2磁性材料214から作製されているからである。
【0046】
一実施形態において、第1および第2磁性材料210、214は、CoCrPtまたはFePtの異種合金のような異なる組成を有する磁性材料に関係している。組成の差異は、N、P、B、As、Sb、Si、Ge、Cr、Se、S、H、その他種のような化学種のイオン注入によって作出することも可能である。しかし、別の実施形態においては、第1および第2磁性材料210、214は、同じ磁性材料であるが、異なる形態を有する材料に関係している。例えば、上記に簡略に触れたように、磁気双極子の大きさおよび整列は、材料の結晶化度によって変えることが可能である。従って、第1および第2磁性材料210、214は、実際には同じ化学的な構成を有するが、異なる形態を備えたものとすることができる。換言すれば、本開示全体を通して、「第1磁性材料」および「第2磁性材料」という用語の使用は必ずしも化学的に異なる2つの金属を示すように意図されたものではなく、この用語は、異なる飽和保磁力、磁気異方性および/または磁気モーメントを有する材料のことを言う。
【0047】
この図示の実施形態においては、第1磁性材料210が、周囲212および底面213上を第2磁性材料214によって取り囲まれているが、この第1磁性材料210が、極性スイッチングを容易に発現させる磁気的な核形成中心または核形成領域と見做される。この「核形成領域」の実施形態に関するさらなる詳細については、以下において、
図3および
図4A〜4Eを参照して述べる。
【0048】
図2Bは、磁気媒体102の別の実施形態の側断面図であり、第1磁性材料210および第2磁性材料214を含むビットパターン磁性層204を示している。この実施形態においては、第2磁性材料214は第1磁性材料210の周囲面212を被覆しているが、頂面211はカバーされておらず、底面213は基板202と接触している。換言すれば、第1磁性材料210をアイランドにおいて中心に配置することができ、第1磁性材料210はアイランドの長さ/高さに延びることができる。その結果、核形成領域が、細長い円筒形の芯構造に近いものとして出現することができる。
【0049】
一実施形態において、第1磁性材料210の体積と第2磁性材料214の体積との比(アイランド当り)が約1/100〜1/2の範囲内である。別の実施形態においては、第1磁性材料210の体積と第2磁性材料214の体積との比が約1/50〜1/4の範囲内である。体積比は、2つの材料の厚さまたは幅の差異に対応することができる。一実施形態によれば、厚さおよび幅の比はあまり制限されず、1/10〜1に変化できる。例えば、第1磁性材料210と第2磁性材料214との体積比が約1/64であれば、第1磁性材料210と第2磁性材料214との対応する幅および厚さの比は約1/4である。
【0050】
図2Cは、磁気媒体102のさらに別の実施形態の側断面図であり、第1磁性材料210および第2磁性材料214を含むビットパターン磁性層204を示している。この実施形態においては、中心に配置されるアイランドの一部分内に核形成領域を形成する(
図3および
図4A〜4E参照)代わりに、第2磁性材料214の外殻体がアイランドの外周上に形成される。この外殻体の実施形態に関するさらなる詳細については、以下において、
図5および
図6A〜6Dを参照して述べる。
【0051】
図3は、各ビットパターンアイランドにおける核形成領域の形成による磁気媒体の製造方法の一実施形態の模式的なフローチャート図である。この方法は、基板の上面に装着される磁性層の上部に装着されるマスク層を設けるステップ302であって、その磁性層はさらにアイランド区域とトレンチ区域とを含む、ステップ302を含む。この方法におけるこのステップ302に関する付加的な詳細については、以下において、
図4Aを参照して述べる。
【0052】
この方法は、さらに、アイランド区域の一部分のみを露出するためにマスク層をパターン化するステップ304と、続いて、前記露出された一部分内に核形成領域を形成するステップ306とを含む。この方法におけるこれらのステップ304、306に関する付加的な詳細については、以下において、
図4B、4Cを参照して述べる。この方法は、さらにまた、マスク層のトーンを反転させるステップ308と、続いて、アイランドを形成するためにトレンチ区域において磁性層をエッチング処理するステップ310とを含む。この方法におけるこれらのステップ308、310に関する付加的な詳細については、以下において、
図4D、4Eを参照して述べる。
【0053】
この方法の記述は、パターン媒体を製造するための断続的なステップに関係しているということを指摘しておくことが重要である。いくつかの実施態様においては、所望の磁気特性を有する磁気アイランドを形成するための処理をすべて完了した後に、引き続いて、磁気アイランド間の溝を非磁性材料で充填し、ディスクの頂面を平坦化処理法によって相対的に平滑にし、さらに、ディスクを保護層によって保護する。
【0054】
図4Aは、基板402の上面に装着される磁性層404の上部に装着されるマスク層406を備えた磁気媒体102の一実施形態の側断面図である。マスク層は、下部層404、402を実質的に保護する任意のマスク材料のものとすることができる。一実施形態において、マスク層406は単一層のマスク材料を含む。別の実施形態においては、マスク層406は多重層のマスク材料を含む。例えば、窒化ケイ素、二酸化ケイ素、ダイヤモンド状炭素およびクロムは「硬質の」マスク材料の例である。これらのマスク材料は、パターン媒体が後続の処理ステップ(所望の場合)において反応性のガスまたは化学的溶剤によって処理される際に、実質的に耐久力を有し、損傷を受けず、破壊されないであろう。
【0055】
マスク層406が、ポリマー膜およびレジスト材料などの「軟質な」マスク材料を含み得ることも考えられる。レジスト材料は、フォトリソグラフィーまたは電子ビームリソグラフィーにおいて用いられるようなレジスト組成物を含むことができる。このようなレジスト材料は、下部層の磁性材料404の多様な区域および一部分を露出するために選択的に除去することができる。ZEP−520は、マスク層406として用いることができる適切なレジスト材料の一例である。マスク層406として用いることができる別のタイプのレジスト材料は、マサチューセッツ州Marlborough市のShipley Company社が製造しているMicroposit SJR5440フォトレジストである。
【0056】
図4Aは、交互に配置されるアイランド区域408およびトレンチ区域410をも示している。これらの区域は、磁性層404のどの部分が隆起したアイランドとして残され、磁性層404のどの部分が後続の処理ステップにおいてエッチング除去されるかを特定している。磁気媒体102の製造におけるこのステップにおいては、磁性層404にはいかなる種類の物理的な再分割も実質的に設けられていないが、図におけるアイランド区域408およびトレンチ区域410の識別は、磁気媒体102の製造方法のこの実施形態の説明を明解にするためにのみ用いている。
【0057】
図4Bは、
図4Aの磁気媒体102の側断面図であるが、磁性層404の一部分412を露出するために、一実施形態に従ってマスク層406がパターン化されている。
図4Aに関して上記に簡単に述べたように、マスク層406は、下部の磁性層404の一部分を露出するために選択的に除去することができる任意のタイプのマスク層または保護層とすることができる。例えば、いくつかのタイプのポリマーレジスト材料、例えば電子ビーム感応性のポリマーであるポリメチルメタクリレート(「PMMA」)を使用する場合には、レジスト材料の一部分を放射に曝露することができる。引き続いて、曝露された部分を化学的溶剤洗浄処理によって除去することができる。
図4Bに示す硬質マスクをパターン化するステップは、硬質マスク406の頂部にマスク材料を堆積させる付加的な製造ステップを含むことができる。この付加的なマスク材料は、エッチング硬質マスク406の頂部においてパターン化される軟質または硬質のマスクとすることができる。
【0058】
図示の実施形態においては、マスク層406は、アイランド区域408内の磁性層404の特定の区域412を露出する孔の系列を有するようにパターン化されている。各アイランド区域408において、露出された部分412の水平の断面積は、少なくとも、アイランド区域408の水平の断面積より小さい。一実施形態においては、露出された一部分412は、磁性層404のアイランド区域408の表面上の中心に配置される。別の実施形態においては、露出された一部分412を磁性層404のアイランド区域408の表面上の中心に配置しなくてもよく、その代わりに、アイランド区域408の端部と一直線上に揃えることができる。
【0059】
図4Cは、
図4Bの磁気媒体102の側断面図であるが、一実施形態に従って核形成領域414が磁性層404内に形成されている。核形成領域414は、前記に簡潔に触れたように、磁性層404の一部分であって、磁性層404の残余の部分より低い磁気異方性を有する一部分である。従って、核形成領域414が、アイランドの意図された磁気極性のスイッチングを容易にする。
【0060】
核形成領域414の形成は、多様な方法によって実現することができる。例えば、図示のように、原子、イオンおよび/または分子413を電界の中で加速して、磁気媒体102に向けて導くことができる。しばしばイオン注入またはイオン衝突処理と呼称されるこの技術は、特定材料の化学組成または形態を変化させることができる。衝突処理用の特定の成分413は、所与の用途の仕様、例えばマスク層406のタイプまたは磁性層404のタイプおよび厚さに応じて選択することができる。例えば、ホウ素、炭素、リン、ヒ素、アンチモン、セレン、硫黄、クロム、ケイ素、ゲルマニウム、窒素、水素、およびメタロイドタイプの元素を、衝突処理成分413として選択することが可能であり、この処理によって、被処理影響部分(核形成領域)414が顕著に異なる(低い)磁気異方性を有する程度に、磁性層404の結晶状態を変化させることができる。従って、核形成領域414を、本開示の目的のための「第1磁性材料」とすることができ、磁性層404の残余の部分を「第2磁性材料」とすることができる。再言すると、「第1」および「第2」磁性材料という用語は、識別可能な化学的組成を有する材料を必ずしも意味するのではなく、むしろ識別可能な磁気特性、具体的には飽和保磁力および/または異方性を有する材料を意味する。
【0061】
別の実施形態(図示なし)においては、アイランド区域408の内部に内部トレンチを形成するように、露出部分412をある深さまでエッチング加工することができる。続いて、この内部トレンチに、当初の磁性層404より低い磁気異方性を有する磁性材料を充填するか、および/または、この内部トレンチをそのような磁性材料で被膜処理することができる。一実施形態によれば、図示のように、核形成領域414が磁性層404の中にある深さだけ延び込むことができ、別の実施形態においては、核形成領域414が、
図2Bに示すように磁性層404の全深さに延び込むことができる。
【0062】
図4Dは、
図4Cの磁気媒体102の側断面図であるが、新しいマスク層415を形成するために、一実施形態に従ってマスク層406のトーンが反転されている。トーン反転処理は、新しいマスク材料を堆積させ、再エッチング処理し、続いて当初のマスク層406を除去することによって実現できる。新しいマスク材料415は、Cr、Ta、AlまたはMoのような金属、あるいは、SiNまたはSiO2などのような無機材料とすることができる。この材料は、スパッタリングのような真空蒸着技術、あるいは、スピンコーティングのような湿性沈着技術によって堆積できる。堆積された材料415は、マスク層406を露出するために再エッチング処理する必要がある場合がある。トーン反転用の材料の選択は、マスク層406が除去される際にそれが残留するように、適切に行われるべきである。
【0063】
トーン反転のステップの後、完成アイランドと一直線上に並ぶ軟質区域を有するパターンアイランドを作出するために、磁性層405をエッチング加工できる。媒体のエッチング処理に先立って、必要であれば、マスクの形体を大きくするために、マスク415の頂部に、付加的な材料を堆積させることができる。この材料は、マスク415の材料と同じでもよいし、あるいは、他の適切な材料、例えばCr、Ta、AlまたはMoのような金属、または、SiNまたはSiO2などのような無機材料から選択できる。この材料は、蒸着、イオンビーム蒸着またはスパッタリングのような真空蒸着技術によって堆積可能である。蒸着およびイオンビーム蒸着法は、主として側壁堆積を確実にするために、5〜45°の角度で行うことができる。
【0064】
図4Eは、
図4Dの磁気媒体102の側断面図であるが、一実施形態に従ってビットパターン磁性層405を備えている。マスク層406のトーンが反転されて新しいパターンマスク層415が形成されると、トレンチ区域410を形成するために磁性層404をエッチング加工できる。このエッチング加工は、例えば、アルゴンミリングを用いて行うことができる。一実施形態によれば、図示のように、トレンチ内の磁性材料を完全に除去することができ、従って、トレンチ区域410内においては基板402が露出されたままになっている。別の実施形態(図示なし)においては、トレンチ区域410内の磁性材料404を完全には除去せず、所与の用途の仕様に応じて、特定の深さまでだけエッチング加工することができる。
【0065】
トレンチの形成には、種々のタイプのエッチング加工法(例えば、湿式エッチングまたは乾式エッチング)を用いることができる。エッチング加工法に関して本明細書において開示する詳細は、ナノ製造技術に含まれる多くの技術および方法を単に事例的に示すものであり、従って、以下に記述されない他のエッチング処理法または技術も本開示の範囲内に包含されると考えられる。
【0066】
湿式エッチング(すなわち化学洗浄)は層または特定の材料のパターン化に用いることができる。湿式エッチングは、通常、液相の溶液(すなわちエッチング液)を使用する。被エッチング材料をエッチング液の中に浸漬して、マスクされていない材料の区域を、除去可能なように溶解、破壊、損傷、化学変化させることができ、あるいは他の方式で変化させることができる。いくつかのエッチング液は、特定の材料のエッチング加工に特定的に適している。例えば、緩衝塩酸は二酸化ケイ素のエッチングに用いることができ、水酸化カリウムはシリコンウエハのエッチングに用いることができる。使用し得る他のエッチング液として、塩酸、クエン酸、硫酸と過酸化水素との混合物(すなわちピラニアエッチング)、フッ化アンモニウム、およびフッ酸が含まれるが、これに限定されない。
【0067】
乾式エッチング(すなわち反応性イオンエッチング)も、特定の材料のパターン化に用いることができる。乾式エッチングは真空チャンバの中で行うことができ、通常、表面または被エッチング材料の上に高エネルギーのフリーラジカルまたはイオンを射出するステップを含む。射出された粒子は材料と反応し、材料を分散させるか、あるいは、後続の除去のために他の形に分解させる。射出する前に、ガスを電界の中を通すことによって粒子を高エネルギー化または加速することができる。これによって、粒子はプラズマを形成する。例えば、特定の材料をエッチング加工するために、酸素または水素またはフッ素のプラズマを用いることができる。
【0068】
図5は、各ビットパターンアイランドの周囲面上への外殻体の形成による磁気媒体の製造方法の一実施形態の模式的なフローチャート図である。この方法は、基板の上面に装着されるビットパターン磁性層を設けるステップ502を含む。この場合、ビットパターン磁性層の各アイランドは頂面および周囲面を含む。このステップ502に関する付加的な詳細は、以下において
図6Aを参照して説明する。この方法は、さらに、アイランドの頂面の上にマスク層を装着するステップ504と、続いて、アイランドの周囲面上に外殻体を形成するステップ506とを含む。このステップ504、506に関する付加的な詳細は、以下において
図6B〜6Dを参照して説明する。この方法の記述は、パターン媒体を製造するための断続的なステップに関係しているということを指摘しておくことが重要である。いくつかの実施態様においては、所望の磁気特性を有する磁気アイランドを形成するための処理をすべて完了した後に、引き続いて、磁気アイランド間の溝を非磁性材料で充填し、ディスクの頂面を平坦化処理法によって相対的に平滑にし、さらに、ディスクを保護層によって保護する。
【0069】
図6Aは、基板602の上面に装着されるビットパターン磁性層604を備えた磁気媒体102の一実施形態の側断面図である。ビットパターン磁性層604は、頂面608と周囲面610とを有するアイランドを含む。
図6Bは、
図6Aの磁気媒体102の側断面図であるが、一実施形態に従ってアイランドの頂面608の上にマスク層606が装着されている。マスク層606は、
図4Aを参照して上記に述べたような任意の保護材料またはレジスト材料のものとすることができる。図示のように、マスク層606はアイランドの頂面608上にのみ装着される。
【0070】
図6Cは、
図6Bの磁気媒体102の側断面図であるが、一実施形態に従って各ビットパターンアイランドの周囲面610上に外殻体614が装着されている。図示の実施形態においては、アイランド内の磁性材料が第1磁性材料(白色、陰影なし)と見做されている。それが、アイランドの周囲面610上に装着される外殻体614の第2磁性材料に比較してより低い磁気異方性を有するからである。
【0071】
一実施形態において、外殻体614は、イオン注入法によってアイランドの周囲面610上に装着される。例えば、成分(イオン)612を、電界内で加速して、角度611で磁気媒体102の表面に向けて導くことができる。一実施形態においては、注入成分を、コバルトまたはコバルト・クロム・白金合金のような硬磁性材料とすることができる。角度611は、所与の用途の仕様に従って、いくつかの因子、例えば、アイランドの高さ、アイランドの形状(切頭円錐形、円筒形など)、溝の幅および材料の種類を含むがこれに限定されない因子に応じて選択することができる。
【0072】
例えば、前記特定の角度を10〜45°の範囲内とすることができる。使用可能な角度の範囲が存在し、使用角度は、トレンチの深さおよび幅と、トレンチの壁面の傾斜とを含む溝の幾何学的形状の詳細によって変化するであろう。一般的に、トレンチの深さとトレンチの幅との比が小さければ、法線に対して大きな入射角を使用できる。一般的な傾向としては、より高い面積密度を可能にするために、熱安定性と整合させた上で、溝の深さと磁気媒体の厚さとをできるだけ浅くすることになるであろう。深さが浅くなると、その結果として、考慮し得る入射角をより大きくすることが可能になるであろう。
【0073】
成分612は、トレンチの基面630に磁気ブリッジが形成されるのを防止する角度において注入される。しかし、一実施形態においては、成分612を、複数の角度から、あるいは、ある範囲の角度から注入して、引き続いて、トレンチの基面630における注入磁性材料の磁性形成物を除去するための処理ステップ、例えばエッチング法および除去法を用いることができる。
【0074】
図6Dは、
図6Bの磁気媒体102の側断面図であるが、一実施形態に従って各ビットパターンアイランドの周囲面610内に外殻体618が形成されている。アイランドの周囲面610を第2磁性材料で被覆する代わりに、アイランドの周囲面610内に、外殻体618を形成することができる。例えば、
図6Cを参照して上記に述べたように、傾斜したまたは散発性のイオン衝突処理は、アイランドの周囲表面610上の磁気特性を、第2磁性材料の外殻体618が形成される程度まで変化させることができる。
【0075】
別の実施形態においては、化学的な選択技術が、アイランドの周囲端部610から特定の成分を除去すること、従って、外殻体618の飽和保磁力を増大させることができる。例えば、磁性層604における磁性材料がクロムを含有していると、酸素および塩素のプラズマまたはアルゴンのプラズマ616が、アイランドの周囲面610からクロム原子620を除去することができ、従って、外殻体618の磁気異方性を増大させることができる。所与の用途の仕様に基づいて、磁性層604の周囲面610から特定の元素または化合物620を除去するために、他の成分616または方法を用いることができる。
【0076】
本明細書全体を通して、「一実施形態(one/an embodiment)」または類似の用語への言及は、その実施形態に結び付けて記述される特定の特徴、構造または特性が、本開示の対象の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。「一実施形態において(は)」という語句および類似の用語の出現は、本明細書全体を通して、すべてその同じ実施形態のことを言っているとすることができるが、必ずそうであるというわけではない。同様に、「実施態様(implementation)」という用語の使用は、本開示の対象の1つ以上の実施形態に結び付けて記述される特定の特徴、構造または特性を有する実施態様を意味するが、他の方式を示す明白な相関関係が欠落していれば、実施態様は1つ以上の実施形態と関連付けることができる。
【0077】
本明細書に含まれる模式的なフローチャート図は、全体として論理フローチャート図として記述されている。従って、表現された順序および標識付けされたステップは、提示された方法の一実施形態を示すものである。図示の方法の機能、論理において、または1つ以上のステップに対する効果において、またはその一部分において、等価な他のステップおよび方法を考えることができる。さらに、用いられる書式および記号は、この方法の論理的なステップを説明するために用意されたものであり、この方法の範囲を制限するものではないと理解される。フローチャート図には種々のタイプの矢印および線が用いられる場合があるが、それらは、対応する方法の範囲を制限するものではないと理解される。実際、いくつかの矢印または他の結合子を、この方法の論理的な流れのみを示すために用いる場合がある。例えば、ある矢印は、図示の方法の列挙されたステップの間の特定されない期間の待機時間または監視時間を示すことができる。さらに、特定の方法が生起する順序は、図示の対応するステップの順序に準拠してもよいし、厳密には準拠しなくてもよい。
【0078】
本開示の対象は、その基本的な考え方および本質的な特性から離れることなく、他の特定の形態において実施することができる。記述された実施形態は、あらゆる点において、例示的かつ非制限的なものとしてのみ見做されるべきである。従って、本開示の範囲は、以上に記述した明細書よりも添付の請求項によって示される。請求項の等価性の意味および範囲内において生じるすべての変化は、その範囲内に包含されるべきである。