特許第5808454号(P5808454)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5808454基板処理装置、半導体装置の製造方法、プログラムおよび記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5808454
(24)【登録日】2015年9月18日
(45)【発行日】2015年11月10日
(54)【発明の名称】基板処理装置、半導体装置の製造方法、プログラムおよび記録媒体
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/44 20060101AFI20151021BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20151021BHJP
   H01L 21/285 20060101ALI20151021BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20151021BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20151021BHJP
【FI】
   C23C16/44 E
   H01L21/205
   H01L21/285 C
   H01L21/28 301R
   C23C16/455
【請求項の数】13
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2014-91302(P2014-91302)
(22)【出願日】2014年4月25日
【審査請求日】2014年9月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(72)【発明者】
【氏名】佐野 敦
【審査官】 安齋 美佐子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−124784(JP,A)
【文献】 特開2001−284338(JP,A)
【文献】 特開2010−161150(JP,A)
【文献】 特開2004−183096(JP,A)
【文献】 特開平10−036200(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/00−16/56
H01L 21/205
H01L 21/285
H01L 21/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する処理室と、前記処理室に接続された排気路と、前記排気路に設けられた排気ポンプとを少なくとも有する複数の処理ユニットと、
前記処理ユニットの排気路同士を前記排気ポンプの上流側で接続する接続路と、
前記処理室を、当該処理室を有する処理ユニットとは異なる処理ユニットの排気ポンプに前記接続路を介して連通させることによって前記処理室の排気経路を切り替える切り替え部と、
前記排気ポンプの異常を検知する検知部と、
前記検知部の検知結果に基づいて前記切り替え部を制御するように構成される制御部と、を備える基板処理装置。
【請求項2】
ユーザからの指示を入力する入力部を備え、
前記制御部は、前記入力部から入力された指示に基づいて前記切り替え部を制御するように構成される請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記排気ポンプを時間的に分割して複数の処理室で共用するよう前記切り替え部を制御するように構成される請求項1または請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記処理室において少なくとも成膜処理とクリーニング処理とが行われ、
前記制御部は、前記検知部によって前記排気ポンプの異常が検知されたとき、前記異常が検知された排気ポンプを有する処理ユニットの処理室を、前記排気ポンプの異常が検知されておらず、かつ、クリーニング処理中の処理室を有する処理ユニットの排気ポンプに連通させるよう前記切り替え部を制御するように構成される請求項1から請求項3の内、いずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記クリーニング処理中の処理室で実行されているクリーニング処理を中断させた後に、前記異常が検知された排気ポンプを有する処理ユニットの処理室を前記クリーニング処理が中断された処理室を有する処理ユニットの排気ポンプに連通させるよう前記切り替え部を制御するように構成される請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記異常が検知された排気ポンプを有する処理ユニットの処理室を前記クリーニング処理が中断された処理室を有する処理ユニットの排気ポンプに連通させるよう前記切り替え部を制御すると共に、前記異常が検知された排気ポンプを有する処理ユニットの処理室における処理が終了すると、前記クリーニング処理が中断された処理室を、当該処理室を有する処理ユニットの排気ポンプに連通させるよう前記切り替え部を制御するように構成される請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記複数の処理ユニットは、前記基板に対して異なる処理を行う少なくとも3つの処理ユニットを含み、前記排気ポンプへの負荷が最も大きい処理を行う処理ユニットが他の処理ユニットの間に配置される請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記検知部によって前記排気ポンプの異常が検知されたとき、前記異常が検知された排気ポンプを有する処理ユニットの処理室を、前記排気ポンプの異常が検知されておらず、かつ、アイドリング中の処理室を有する処理ユニットの排気ポンプに連通させるよう前記切り替え部を制御するように構成される請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記切り替え部は、前記接続路に配置された弁体と、前記排気路において前記接続路の接続箇所の上流側および下流側に配置された弁体とから構成される請求項1から請求項8の内、いずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記検知部は、前記排気ポンプの回転数、消費電力、温度、前記排気路の圧力の少なくともいずれかを検知する請求項1から請求項9の内、いずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項11】
基板を処理する処理室と、前記処理室に接続された排気路と、前記排気路に設けられた排気ポンプと、前記排気ポンプの異常を検出する検知部と、を少なくとも有する複数の処理ユニットで前記基板を処理する半導体装置の製造方法であって、
前記検知部が前記排気ポンプの異常を検知したとき、前記異常が検知された排気ポンプを有する処理ユニットの処理室を、当該処理室を有する処理ユニットとは異なる処理ユニットの排気ポンプに接続路を介して連通させることによって前記処理室の排気経路を切り替える排気経路切り替え工程と、
前記切り替え工程の後、前記処理室の雰囲気を、当該処理室を有する処理ユニットとは異なる処理ユニットの排気ポンプから排気して前記基板を処理する処理工程と
を備える半導体装置の製造方法。
【請求項12】
基板を処理する処理室と、前記処理室に接続された排気路と、前記排気路に設けられた排気ポンプと、前記排気ポンプの異常を検出する検知部と、を少なくとも有する複数の処理ユニットで前記基板を処理する処理手順をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記処理手順は、
前記検知部が前記排気ポンプの異常を検知したとき、前記異常が検知された排気ポンプを有する処理ユニットの処理室を、当該処理室を有する処理ユニットとは異なる処理ユニットの排気ポンプに接続路を介して連通させることによって前記処理室の排気経路を切り替えて、
その後、前記処理室の雰囲気を、当該処理室を有する処理ユニットとは異なる処理ユニットの排気ポンプから排気して前記基板を処理する手順であるプログラム。
【請求項13】
基板を処理する処理室と、前記処理室に接続された排気路と、前記排気路に設けられた排気ポンプと、前記排気ポンプの異常を検出する検知部と、を少なくとも有する複数の処理ユニットで前記基板を処理する処理手順をコンピュータに実行させるプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
前記処理手順は、
前記検知部が前記排気ポンプの異常を検知したとき、前記異常が検知された排気ポンプを有する処理ユニットの処理室を、当該処理室を有する処理ユニットとは異なる処理ユニットの排気ポンプに接続路を介して連通させることによって前記処理室の排気経路を切り替えて、
その後、前記処理室の雰囲気を、当該処理室を有する処理ユニットとは異なる処理ユニットの排気ポンプから排気して前記基板を処理する手順である記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置、半導体装置の製造方法、プログラムおよび記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置等の基板処理装置においては、一般に、基板を処理する処理室に排気ポンプが接続され、当該排気ポンプによって処理室の排気が行われる(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−64857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
処理室に接続された排気ポンプに故障などの異常が生じた場合、その排気ポンプを使用したまま基板処理を継続すると所望の処理が行われないおそれがある。また、排気ポンプの異常や定期メンテナンス等により排気ポンプの交換を行う場合、基板処理を行うことのできないダウンタイムが生じてしまう。
【0005】
本発明の主な目的は、排気ポンプの異常やメンテナンス等に起因する基板処理への影響を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、基板を処理する処理室と、前記処理室に接続された排気路と、前記排気路に設けられた排気ポンプとを少なくとも有する複数の処理ユニットと、前記処理ユニットの排気路同士を前記排気ポンプの上流側で接続する接続路と、前記処理室を、当該処理室を有する処理ユニットとは異なる処理ユニットの排気ポンプに前記接続路を介して連通させることによって前記処理室の排気経路を切り替える切り替え部と、を備える基板処理装置が提供される。
【0007】
また、本発明の一態様によれば、基板を処理する処理室と、前記処理室に接続された排気路と、前記排気路に設けられた排気ポンプとを少なくとも有する複数の処理ユニットで前記基板を処理する半導体装置の製造方法であって、前記処理ユニットの排気路同士を前記排気ポンプの上流側で接続する接続路を介し、前記処理室を、当該処理室を有する処理ユニットとは異なる処理ユニットの排気ポンプから排気して前記基板を処理する処理工程、を備える半導体装置の製造方法が提供される。
【0008】
また、本発明の一態様によれば、基板を処理する処理室と、前記処理室に接続された排気路と、前記排気路に設けられた排気ポンプとを少なくとも有する複数の処理ユニットで前記基板を処理する処理手順をコンピュータに実行させるプログラムであって、前記処理手順は、前記処理ユニットの排気路同士を前記排気ポンプの上流側で接続する接続路を介し、前記処理室を、当該処理室を有する処理ユニットとは異なる処理ユニットの排気ポンプから排気して前記基板を処理する手順を有するプログラムが提供される。
【0009】
また、本発明の一態様によれば、基板を処理する処理室と、前記処理室に接続された排気路と、前記排気路に設けられた排気ポンプとを少なくとも有する複数の処理ユニットで前記基板を処理する処理手順をコンピュータに実行させるプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、前記処理手順は、前記処理ユニットの排気路同士を前記排気ポンプの上流側で接続する接続路を介し、前記処理室を、当該処理室を有する処理ユニットとは異なる処理ユニットの排気ポンプから排気して前記基板を処理する手順を有する記録媒体が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、排気ポンプの異常やメンテナンス等に起因する基板処理への影響を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態にかかる基板処理装置の概略構成図である。
図2図1に示す基板処理装置のガス供給系およびガス排気系の概略構成図である。
図3図1に示す基板処理装置において実施される基板処理工程を示すフローチャートである。
図4図1に示す基板処理装置で実施される排気経路の切り替え処理を示すフローチャートである。
図5図1に示す基板処理装置で実施される排気経路の切り替え処理を示すフローチャートである。
図6】本発明の第二実施形態にかかる排気経路の切り替え処理を示すフローチャートである。
図7】本発明の第三実施形態にかかる基板処理装置を用いて形成されるトランジスタのゲートの構成例を示す図である。
図8図7に示すトランジスタのゲートの製造工程例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<本発明の第一実施形態>
以下に、本発明の第一実施形態にかかる基板処理装置の構成および動作について説明する。
【0013】
(1)基板処理装置の構成
まず、本発明の一実施形態にかかる基板処理装置の構成について、図1および図2を用いて説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる基板処理装置の概略構成図である。図2は、図1に示す基板処理装置のガス供給系およびガス排気系の概略構成図である。
【0014】
本実施形態にかかる基板処理装置1は、基板を1枚ずつ処理する枚葉式の処理ユニットを複数有するクラスタ型の装置として構成される。図1に示すように、基板処理装置1には、搬送室としての真空気密可能な真空搬送室(トランスファチャンバ)TMと、予備室としてのバキュームロックチャンバ(ロードロック室)VL1,VL2と、基板としてのウェハWを処理する処理室としてのプロセスチャンバ(プロセスモジュール)PM1,PM2,PM3,PM4と、が設けられている。バキュームロックチャンバVL1,VL2、プロセスチャンバPM1,PM2,PM3,PM4は、真空搬送室TMの外周に沿ってクラスタ状に配置されている。以下、プロセスチャンバPM1,PM2,PM3,PM4を特に区別する必要のない場合は、単に「プロセスチャンバPM」と記載する。
【0015】
真空搬送室TMは、真空状態などの大気圧未満の圧力(負圧)に耐えることができるロードロックチャンバ構造に構成されている。なお、本発明の一実施形態においては、真空搬送室TMの筐体は、平面視が例えば八角形の箱形状に形成されている。
【0016】
真空搬送室TM内には、搬送機構としての真空搬送ロボットVRが設けられている。真空搬送ロボットVRは、アームに設けられた基板載置部にウェハWを載せて、バキュームロックチャンバVL1,VL2と、プロセスチャンバPMとの間で、相互にウェハWの搬送を行なう。なお、真空搬送ロボットVRは、エレベータEVによって、真空搬送室TMの機密性を維持しつつ昇降できるようになっている。
【0017】
プロセスチャンバPMは、ウェハWに対し、酸化膜、窒化膜、あるいは金属膜等の薄膜を形成する成膜処理を行う。本実施形態では、プロセスチャンバPMにおいて金属薄膜を形成するものとする。
【0018】
プロセスチャンバPM1,PM2,PM3,PM4は、それぞれゲートバルブG1,G2,G3,G4を介して真空搬送室TMと連通可能に構成されている。例えば、プロセスチャンバPM1でウェハWを処理する場合、プロセスチャンバPM1内を真空搬送室TM内と同等の雰囲気にしてからゲートバルブG1を開けてプロセスチャンバPM1内にウェハWを搬送した後、ゲートバルブG1を閉じる。そしてプロセスチャンバPM1内で所定の処理を行った後、プロセスチャンバPM1内の雰囲気を真空搬送室TM内と同等の雰囲気に戻してから、ゲートバルブG1を開けて、プロセスチャンバPM1内のウェハWを搬出した後、ゲートバルブG1を閉じる。プロセスチャンバPM2〜PM4についてもゲートバルブG1と同様にゲートバルブG2〜G4の開閉動作を行うことでウェハWの処理雰囲気を形成することが可能になっている。
【0019】
バキュームロックチャンバVL1,VL2は、真空搬送室TM内へウェハWを搬入する予備室として、もしくは真空搬送室TM内からウェハWを搬出する予備室として機能する。バキュームロックチャンバVL1,VL2の内部には、基板の搬入搬出用にウェハWを一時的に支持するバッファステージST1,ST2が、それぞれ設けられている。又、図示されていないが、バキュームロックチャンバVL1,VL2には、ウェハWを冷却する冷却機能が設けられている。なお、バキュームロックチャンバVL1,VL2とは別に、冷却用のチャンバを設けてもよい。
【0020】
バキュームロックチャンバVL1,VL2は、それぞれゲートバルブG5,G6を介して真空搬送室TMと連通可能に構成されており、また、それぞれゲートバルブG7,G8を介して後述する大気搬送室LMと連通可能に構成されている。真空搬送室TMの真空状態および大気搬送室LMの大気圧状態を保持するため、バキュームロックチャンバVL1,VL2に設けられているゲートバルブG5とG7のいずれか一方、ゲートバルブG6とG8のいずれか一方は必ず閉じられていて、同時に開けられることはない。例えば、真空搬送室TM側のゲートバルブG5を開ける場合、必ず反対側のゲートバルブG7を閉じた状態にして、バキュームロックチャンバVL1内の雰囲気を真空にする。なお、本明細書でいう「真空」とは工業的真空をいう。また大気搬送室LM側のゲートバルブG7を開ける場合、必ず反対側のゲートバルブG5を閉じた状態にして、バキュームロックチャンバVL1内の雰囲気を大気雰囲気にする。したがって、ゲートバルブG5,G6を閉じたまま、ゲートバルブG7,G8を開けることにより、真空搬送室TM内の真空気密を保持したまま、バキュームロックチャンバVL1,VL2と大気搬送室LMとの間でウェハWの搬送を行うことが可能になっている。
【0021】
また、バキュームロックチャンバVL1、VL2は、真空状態などの大気圧未満の負圧に耐えることができるロードロックチャンバ構造として構成されており、その内部をそれぞれ真空排気することが可能になっている。したがって、ゲートバルブG7,G8を閉じてバキュームロックチャンバVL1,VL2の内部を真空排気した後で、ゲートバルブG7,G8を開けることにより、真空搬送室TM内の真空状態を保持したまま、バキュームロックチャンバVL1,VL2と真空搬送室TMとの間で、ウェハWの搬送を行うことが可能になっている。
【0022】
基板処理装置1には、さらに、バキュームロックチャンバVL1,VL2に接続された大気搬送室LMと、この大気搬送室LMに接続された基板収容部としてのロードポートLP1,LP2,LP3と、が設けられる。ロードポートLP1,LP2,LP3上には、基板収納容器としてのポッドPD1,PD2,PD3が載置されるようになっている。ポッドPD1,PD2,PD3内には、ウェハWをそれぞれ収納する収納部としてのスロットが複数設けられている。以下、ロードポートLP1,LP2,LP3を特に区別する必要のない場合は、単に「ロードポートLP」と記載する。また、ポッドPD1,PD2,PD3を特に区別する必要のない場合は、単に「ポッドPD」と記載する。
【0023】
大気搬送室LM内には、大気搬送機構としての1台の大気搬送ロボットARが設けられている。大気搬送ロボットARは、バキュームロックチャンバVL1,VL2とロードポートLP上に載置されたポッドPDとの間で、基板としてのウェハWの搬送を相互に行なうようになっている。大気搬送ロボットARも、真空搬送ロボットVRと同様に基板載置部であるアームを有する。
【0024】
なお、大気搬送室LM内には、基板位置の補正装置として、ウェハWの結晶方位の位置合わせ等を行うオリフラ(Orientation Flat)合わせ装置OFAが設けられている。もしくは、オリフラ合わせ装置OFAの代わりにウェハWの結晶方位の位置合わせ等をウェハWに形成されたノッチで行う、ノッチ合わせ装置が設けられている。
【0025】
上記した各構成は、コントローラCNTに接続される。コントローラCNTは、演算部91および記憶部92を少なくとも有する。コントローラCNTには、ユーザ(操作者)による操作を入力する操作部(入力部)100が接続される。操作部100は、ディスプレイなどの表示部とキーボードの組み合わせ、あるいはタッチスクリーンなどを有する。操作部100は、基板処理装置1を動作させるための操作者からの各種指示を入力してコントローラCNTに出力すると共に、コントローラCNTから出力された基板処理装置1の情報(動作情報や異常情報など)を表示する。
【0026】
また、コントローラCNTには、上記した各構成の他、プロセスチャンバPM内のウェハWの温度を調整する温度調整器、プロセスチャンバPM内に処理ガスを供給するガス供給系(後述)、プロセスチャンバPM内から処理ガスを排気するガス排気系(後述)が接続される。コントローラCNTは、操作部100から入力された操作者の指示や上位コントローラ(図示せず)の指示に応じて記憶部92からプログラムやレシピを呼び出し、その内容に応じて各構成の動作を制御することで、ウェハWに対して所望の処理を実行する。
【0027】
なお、コントローラCNTは、専用のコンピュータとして構成してもよいし、汎用のコンピュータとして構成してもよい。例えば、上述のプログラムを格納した外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)93を用意し、外部記憶装置93を用いて汎用のコンピュータにプログラムをインストールすることにより、コントローラCNTを構成することもできる。
【0028】
また、コンピュータにプログラムを供給するための手段は、外部記憶装置93を介して供給する場合に限らない。例えば、インターネットや専用回線等の通信手段を用い、外部記憶装置93を介さずにプログラムを供給するようにしてもよい。なお、記憶部92や外部記憶装置93は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に記録媒体ともいう。なお、本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶部92単体のみを含む場合、外部記憶装置93単体のみを含む場合、または、それの両方を含む場合がある。
【0029】
次に、基板処理装置1のガス供給系およびガス排気系について説明する。図2に示すように、プロセスチャンバPM1,PM2,PM,3,PM4には、それぞれ、ガス供給系GS1,GS2,GS3,GS4が接続される。以下、ガス供給系GS1,GS2,GS3,GS4を特に区別する必要のない場合は、単に「ガス供給系GS」と記載する。
【0030】
ガス供給系GSは、処理ガスの供給源、処理ガスの供給をON/OFFするバルブ、および、処理ガスの流量を制御するマスフローコントローラなどから構成され、ウェハWの処理およびプロセスチャンバPMのクリーニング処理に必要なガスをプロセスチャンバPMに供給する。ここで、ウェハWの処理とは上記した金属薄膜を形成する処理であり、本実施形態では、金属薄膜の一例として、トランジスタのゲート電極等に用いられるTiN(窒化チタン)を成膜するものとする。TiNの成膜に必要な構成として、ガス供給系GSは、金属原料ガスとしてのTiCl(四塩化チタン)の供給源と、窒化剤としてのNH(アンモニア)の供給源と、不活性ガスとしてのN(窒素)の供給源と、各ガスの供給と流量を制御するバルブ(弁体)およびマスフローコントローラとを少なくとも有する。さらに、ガス供給系GSは、プロセスチャンバPMのクリーニング処理に必要な構成として、クリーニングガス(例えばNF(三フッ化窒素))の供給源と、クリーニングガスの供給と流量を制御するバルブおよびマスフローコントローラとを少なくとも有する。なお、本明細書において、成膜処理またはクリーニング処理に用いるガスを総称して「処理ガス」と呼ぶことがある。
【0031】
また、プロセスチャンバPM1,PM2,PM,3,PM4には、それぞれ、ガス排気系GE1,GE2,GE3,GE4が接続される。以下、ガス排気系GE1,GE2,GE3,GE4を特に区別する必要のない場合は、単に「ガス排気系GE」と記載する。
【0032】
ガス排気系GE1は、プロセスチャンバPM1に接続された排気路211と、APC(Auto Pressure Controller)212、バルブ(弁体)213、MBP(Mechanical Booster Pump)214、DP(Dry Pump)215と、MBP214に取り付けられたセンサ216とを有する。APC212、バルブ213、MBP214、DP215は、排気路211にその上流側から順に配置される。これらの各構成は、上記したコントローラCNTに接続される。
【0033】
APC212は、開度調整可能な弁体を有し、コントローラCNTからの指示に応じて排気路211のコンダクタンスを調整し、排気流量を調整することによってプロセスチャンバPM1内の圧力を制御する。MBP214は高真空(あるいは超高真空)ポンプであり、コントローラCNTからの指示に応じてプロセスチャンバPM1内の雰囲気を排気する。DP216は、MBP214の補助ポンプとして、コントローラCNTからの指示に応じ、低真空から大気圧までの排気を行う。また、センサ216は、MBP214の故障等の異常を検知する。ここで、MBP214の異常とは、例えば、ただちに排気能力に影響を与えるものではないが、動作を継続した場合に排気能力に影響が出る(ウェハ処理に影響が出る)可能性のあるものを意味し、MBP214の回転数、消費電力、温度、MBP214近傍の排気路211の圧力、あるいはそれらの組み合わせなどにより検知される。すなわち、センサ216は、それらのパラメータを検知するセンサであり、その検知結果をコントローラCNTに出力する。なお、MBP214は、例えば、定常状態に比して回転数が低下した場合、消費電力が上昇した場合、温度が上昇した場合、排気路211の圧力が上昇した場合に異常と判断される。
【0034】
ガス排気系GE2,GE3,GE4のそれぞれも、ガス排気系GE1と同様に、排気路221,231,241、APC222,232,242、バルブ223,233,234、MBP224,234,244、DP225,235,245、センサ226,236,246を有し、これらの各構成も上記したコントローラCNTに接続される。
【0035】
本明細書において、プロセスチャンバPMとそれに接続されたガス供給系GSおよびガス排気系GEの一連の構成を「処理ユニット」と称する。また、プロセスチャンバPMとそれに接続された排気路、当該排気路に設けられた弁体としてのバルブ(APC含む)および排気ポンプ(MBPまたはDPあるいはそれらに組み合わせ)とを少なくとも有する構成を「処理ユニット」と呼ぶこともある。
【0036】
基板処理装置1は、各処理ユニットの排気路同士を排気ポンプ(MBP)の上流側で接続する接続路251,252,253,254,255,256を有する。すなわち、各排気路211,221,231,241は、それぞれ、接続路251,252,253,254,255,256によって相互に接続される。具体的には、排気路211と排気路221は、MBP214,224の上流側であってAPC212,222の下流側において、接続路251によって接続される。また、排気路211と排気路231は、MBP214,234の上流側であってAPC212,232の下流側において、接続路252によって接続される。また、排気路211と排気路241は、MBP214,244の上流側であってAPC212,242の下流側において、接続路253によって接続される。また、排気路221と排気路231は、MBP224,234の上流側であってAPC222,232の下流側において、接続路254によって接続される。また、排気路221と排気路241は、MBP224,244の上流側であってAPC222,242の下流側において、接続路255によって接続される。また、排気路231と排気路241は、MBP234,244の上流側であってAPC232,242の下流側において、接続路256によって接続される。
【0037】
上記したバルブ213,223,233,243は、それぞれ、排気路211,221,231,241において、接続路251,252,253,254,255,256の接続箇所よりも下流側に設けられる。また、接続路251,252,253,254,255,256には、それぞれ、バルブ261,262,263,264,265,266が設けられる。バルブ261,262,263,264,265,266も、コントローラCNTに接続される。
【0038】
ここで、プロセスチャンバPMの排気経路の切り替えについて説明する。ここでは、プロセスチャンバPM1を例示して説明する。プロセスチャンバPM1は、通常、排気路211に設けられたMBP214(およびDP215)によって排気される。このとき、排気路211のバルブ213は開弁され、接続路251,252,253のバルブ261,262,263は閉弁される。
【0039】
プロセスチャンバPM1は、他の処理ユニットの排気ポンプ(プロセスチャンバPM2,PM3,PM4に接続された排気路221,231,241に設けられているMBP224,234,244(およびDP225,235,245))によって排気することもできる。例えば、排気路211のバルブ213を閉弁すると共に、接続路251のバルブ261および排気路221のバルブ223を開弁することにより、プロセスチャンバPM1は、プロセスチャンバPM2に接続された排気路221に設けられているMBP224(およびDP225)に接続路251を介して連通され、排気経路が切り替えられる。このとき、排気路221のAPC222の開度は全閉とされると共に、接続路252,253,254,255のバルブ262,263,264,265は閉弁される。同様に、ガス排気系GEの各バルブ(APCを含む)を制御することにより、プロセスチャンバPMのそれぞれについて、他のプロセスチャンバに接続された排気路に設けられているMBP(およびDP)で排気することが可能とされる。すなわち、各ガス排気系GEに設けられたバルブ(APCを含む)により、プロセスチャンバPMの排気経路を切り替える切り替え部が構成される。
【0040】
(2)基板処理工程
続いて、本実施形態にかかる基板処理装置1により実施される基板処理工程の一例について図3を参照して説明する。図3は、図1に示す基板処理装置で実施される基板処理工程を示すフローチャートである。以下の処理は、コントローラCNTによって基板処理装置1の各構成の動作を制御することによって行われる。
【0041】
図3に示すように、まず、ロードポートLPに載置されたポッドPDから大気搬送ロボットARにより大気搬送室LM内にウェハWを移送する(S11)。このとき、大気搬送室LMには、その内部が略大気圧になるようにクリーンエアが供給される。大気搬送室LM内では、ウェハWをオリフラ合わせ装置OFA上の基板位置P2に載置し、結晶方位の位置合わせ等が実施される。
【0042】
続いて、大気搬送ロボットARにより、基板位置P2に載置されているウェハWをピックアップし、バキュームロックチャンバVL1内に移送してバッファステージST1の基板位置P3にウェハWを載置する(S12)。このとき、ゲートバルブG6,G7は予め開かれているものとする。また、ゲートバルブG5,G8は閉じられており、真空搬送室TM、プロセスチャンバPM、バキュームロックチャンバVL2内は予め真空排気されているものとする。
【0043】
次いで、ゲートバルブG7を閉じ、バキュームロックチャンバVL1内部を真空排気する。バキュームロックチャンバVL1が所定の圧力まで減圧したら、ゲートバルブG7を閉じたままゲートバルブG5を開ける。そして、真空搬送ロボットVRにより、基板位置P3に載置されているウェハWをピックアップし、プロセスチャンバPMに移送し、その内部の基板位置Pに載置する(S13)。
【0044】
プロセスチャンバPMにウェハWが搬入されると、当該プロセスチャンバPM内に処理ガスを供給し、ウェハWに対して成膜処理を実施する(S14)。ここでは、上記したように、金属薄膜を形成するものとする。金属薄膜としては、例えばトランジスタのゲート電極に用いられるTiN(窒化チタン)が形成される。ここで、TiNの成膜方法について概説する。
【0045】
TiNの成膜は、例えば次の4つの工程を順次実行することによって行う。先ず、金属原料としてのTiCl(四塩化チタン)ガスを供給する。TiClガスの流量は、マスフローコントローラを制御することにより、例えば0.1〜1000sccmの範囲内の流量とする。また、プロセスチャンバPM内の圧力は、後述する排気ポンプにより、例えば10〜1500Paの範囲内の圧力とする。また、TiClガスの供給時間は、例えば0.01秒〜300秒間の範囲内の時間とする。また、ウェハWの温度(処理温度)は、温度調整器を制御することにより、例えば350〜400℃の範囲内の温度に調整される。TiClガスの供給により、ウェハW上には、例えば1原子層未満から数原子層程度の厚さのTi含有層が形成される。
【0046】
次いで、プロセスチャンバPM内へのTiClガスの供給を停止すると共に、排気ポンプによりプロセスチャンバPM内を真空排気し、プロセスチャンバPM内に残留する未反応もしくはTi含有層形成に寄与した後のTiClガスを除去する。なお、このとき、不活性ガスを供給することで、TiClガスの除去効果を高めるようにしてもよい。
【0047】
次いで、プロセスチャンバPM内に反応ガスとしてのNH(アンモニア)ガスを供給する。NHガスの流量は、マスフローコントローラを制御することにより、例えば10〜3000sccmの範囲内の流量とする。また、プロセスチャンバPM内の圧力は、排気ポンプにより、例えば10〜1500Paの範囲内の圧力とする。また、NHガスの供給時間は、例えば0.01秒〜300秒間の範囲内の時間とする。また、ウェハWの温度(処理温度)は、温度調整器を制御することにより、例えば350〜400℃の範囲内の温度に調整される。このNHガスは、上述したTi含有層の少なくとも一部と反応する。これによりTi含有層が窒化され、TiNが形成される。
【0048】
次いで、プロセスチャンバPM内へのNHガスの供給を停止すると共に、排気ポンプによりプロセスチャンバPM内を真空排気し、プロセスチャンバPM内に残留する未反応もしくはTi含有層の窒化に寄与した後のNHガスを除去する。なお、このとき、不活性ガスを供給することで、NHガスの除去効果を高めるようにしてもよい。
【0049】
上記した4つの工程を所定サイクル繰り返して所望の膜厚のTiNを形成することにより、成膜処理が完了する。
【0050】
ウェハWへの成膜処理が完了すると、ゲートバルブG6を開け、真空搬送ロボットVRにより、基板位置Pに載置されている処理済のウェハWをピックアップし、バキュームロックチャンバVL2内に移送してバッファステージST2上の基板位置P10へウェハWを載置する(S15)。
【0051】
次いで、ゲートバルブG6を閉め、バキュームロックチャンバVL2内にクリーンガスを供給してバキュームロックチャンバVL2内を略大気圧に戻す。このとき図示しない冷却機構によりウェハWを冷却してもよい。そして、ゲートバルブG8を開け、大気搬送ロボットARにより、基板位置P10に載置されているウェハWをピックアップし、ロードポートLPに載置されたポッドPDの空きスロットに格納する(S16)。
【0052】
次いで、同一のプロセスチャンバPMで成膜処理を所定回数実施したか否か判断する(S17)。成膜処理を所定回数実施した場合は当該プロセスチャンバPMのクリーニング処理を実施し(S18)、プロセスチャンバPM内に付着した膜や副生成物を除去した後、S11以降の処理を継続する。一方、成膜処理を所定回数実施していない場合は、クリーニング処理(S18)をスキップしてS11以降の処理を継続する。
【0053】
次に、プロセスチャンバPMの排気経路の切り替え処理について図4を参照して説明する。図4は、図1に示す基板処理装置で実施される排気経路の切り替え処理を示すフローチャートである。図4に示す処理は、図3に示す基板処理工程の実行中(あるいは、少なくともそのうちの成膜工程S14の実行中)、コントローラCNTによって行われる。
【0054】
先ず、MBP(排気ポンプ)214,224,234,244のいずれかに異常が生じているか否か判断する(S21)。この判断は、センサ216,226,236,246の検知結果に基づいて行う。MBP214,224,234,244のいずれか一つにでも異常が検知されたときは、操作部100を介してユーザに異常を報知し(S22)、アイドル(アイドリング)中のプロセスチャンバPMが有るか否か判断する(S23)。ここでアイドル中とは、成膜処理(成膜処理を行うためのウェハWの搬送状態を含めてもよい)やクリーニング処理を行っていない状態を意味する。また、アイドル中のプロセスチャンバPMの有無は、異常が検知されたBMPを有する処理ユニット以外の処理ユニットの中から判断される。
【0055】
アイドル中のプロセスチャンバPMが無い場合(S23でNo)は、異常が検知されたBMPを有する処理ユニットが成膜処理中か否か判断する(S24)。異常が検知されたBMPを有する処理ユニットが成膜処理中である場合(S24でYes)、クリーニング処理中のプロセスチャンバPMが有るか否か判断する(S25)。クリーニング処理中のプロセスチャンバPMの有無は、異常が検知されたBMPを有する処理ユニット以外の処理ユニットの中から判断される。
【0056】
クリーニング処理中のプロセスチャンバPMが有る場合(S25でYes)、当該クリーニング処理を中断し(S26)、排気経路の切り替えを行う(S27)。ここで、排気経路の切り替えは、上記した各ガス排気系GEのバルブの開閉を制御し、異常が検知されたMBPを有する処理ユニットのプロセスチャンバPMを、クリーニング処理を中断した処理ユニットのMBPに接続路251,252,253,254,255,256のいずれかを介して連通させることによって行われる。これにより、異常が検知されたMBPを有する処理ユニットのプロセスチャンバPMは、異常が検知されていないMBPによって排気される。
【0057】
次いで、異常が検知されたMBPを有する処理ユニットのプロセスチャンバPMにおいて、成膜処理を完了したか否か判断する(S28)。成膜処理が完了していない場合(S28でNo)は成膜処理が完了するまで待機し、成膜処理が完了すると(S28でYes)、排気経路を元の排気経路に切り替える(S29)。このとき、異常が検知されたMBPを有する処理ユニットにおける次回以降の成膜処理またはクリーニング処理の少なくともいずれかを、実行禁止にするようにしてもよい。排気経路を元の排気経路に切り替える(元に戻す)と、クリーニング処理が中断されていたプロセスチャンバPMにおいて、当該クリーニング処理を復帰(継続)する(S30)。
【0058】
このように、成膜処理中においてMBPに異常が検知された場合、他の処理ユニットにクリーニング処理中のものが有れば、当該クリーニング処理を中断し、成膜処理中のプロセスチャンバPMを当該クリーニング処理の排気に用いていたMBPで排気する。これにより、成膜処理中のプロセスチャンバPM内を所望の圧力に維持することができ、所望の成膜処理を継続することができる。したがって、排気ポンプの異常等に起因する基板処理への影響を小さくすることができる。特に、成膜不良によるウェハWのロットアウト等を防止することができるため、生産性の低下を抑止することができる。なお、クリーニング処理はプロセスチャンバPMにウェハWが存在しない状態で実施されるため、成膜処理を優先して完了させるようにした。
【0059】
一方、アイドル中のプロセスチャンバPMが有る場合(S23でYes)、当該アイドル中のプロセスチャンバPMにおける成膜処理およびクリーニング処理の実行を一時的に禁止し(S31)、排気経路の切り替えを行う(S32)。ここで、排気経路の切り替えは、上記した各ガス排気系GEのバルブの開閉を制御し、異常が検知されたMBPを有する処理ユニットのプロセスチャンバPMを、アイドル中の処理ユニットのMBPに接続路251,252,253,254,255,256のいずれかを介して連通させることによって行われる。これにより、異常が検知されたMBPを有する処理ユニットのプロセスチャンバPMは、異常が検知されていないMBPによって排気される。
【0060】
次いで、異常が検知されたMBPを有する処理ユニットのプロセスチャンバPMにおいて、処理(成膜処理あるいはクリーニング処理)を完了したか否か判断する(S33)。処理が完了していない場合(S33でNo)は処理が完了するまで待機し、処理が完了すると(S33でYes)、排気経路を元の排気経路に切り替える(S34)。このとき、異常が検知されたMBPを有する処理ユニットにおける次回以降の成膜処理またはクリーニング処理の少なくともいずれかを、実行禁止にするようにしてもよい。排気経路を元の排気経路に切り替える(元に戻す)と、アイドル中であったプロセスチャンバPMにおける成膜処理およびクリーニング処理の実行禁止を解除する(S35)。
【0061】
このように、基板処理工程においてMBPに異常が検知された場合、他の処理ユニットにアイドル中のものが有れば、異常が検知されたMBPを有する処理ユニットのプロセスチャンバPMを当該アイドル中の処理ユニットのMBPを用いて排気する。これにより、処理中のプロセスチャンバPM内を所望の圧力に維持することができ、所望の処理を継続して実行することができる。したがって、排気ポンプの異常に起因する基板処理への影響を小さくすることができる。
【0062】
なお、MBP214,224,234,244のいずれにも異常が生じていない場合(S21でNo)、以降の処理をスキップする。また、異常が検知されたMBPを有する処理ユニットが成膜処理中でない場合(S24でNo)、すなわち、クリーニング処理中である場合は、アイドル中の処理ユニットが現れるまで待機する(S23に戻る)。この待機中に、異常が検知されたMBPを有する処理ユニットにおけるクリーニング処理が完了したときは、以降の処理をスキップしてもよい(すなわち、排気経路の切り替えは行わない)。また、このとき、当該処理ユニットにおける成膜処理およびクリーニング処理の少なくともいずれかの実行を禁止するようにしてもよい。
【0063】
また、クリーニング処理中のプロセスチャンバPMが無い場合(S25でNo)、アイドル中あるいはクリーニング処理中のプロセスチャンバPMが現れるまで待機する(S23に戻る)。この待機中に、異常が検知されたMBPを有する処理ユニットにおける成膜処理が完了したときは、以降の処理をスキップしてもよい(すなわち、排気経路の切り替えは行わない)。また、このとき、当該処理ユニットにおける成膜処理およびクリーニング処理の少なくともいずれかの実行を禁止するようにしてもよい。
【0064】
図4に示す処理では、排気ポンプの異常に基づいて排気経路を切り替えるようにしたが、ユーザからの指示に基づいて排気経路を切り替えることもできる。以下、その処理について説明する。図5は、ユーザからの指示に基づく排気経路の切り替え処理を示すフローチャートである。図5に示す処理は、基板処理装置1の動作中、常にコントローラCNTによって行われる。
【0065】
先ず、操作部100を介してユーザから排気経路の切り替え指示が入力されたか否か判断する(S41)。ここでユーザからの排気経路の切り替え指示とは、使用を停止するMBPの選択と、使用を停止するMBPを有する処理ユニットのプロセスチャンバPMを排気するMBPを他の処理ユニットの中から選択する指示である。この指示は、例えば、MBPの交換やメンテナンスを行うときにユーザにより入力される。ユーザからの排気経路の切り替え指示が入力されていない場合(S41でNo)、以降の処理をスキップする。一方、ユーザからの排気経路の切り替え指示が入力されている場合(S41でYes)、切り替え先の処理ユニットが処理中(成膜処理あるいはクリーニング処理の実施中)であるか否か判断する(S42)。切り替え先の処理ユニットとは、使用を停止するMBPの代わりに使用するMBPを有する処理ユニットである。
【0066】
切り替え先の処理ユニットが処理中であるときは、当該処理が完了するまで待機メッセージを操作部100に表示する(S43)。一方、切り替え先の処理ユニットが処理中でない場合(S42でNo)、当該切り替え先の処理ユニットの処理を一時的に禁止し(S44)、排気経路を切り替える(S45)。ここで、排気経路の切り替えは、上記した各ガス排気系GEのバルブの開閉を制御し、使用の停止を指示されたMBPを有する処理ユニットのプロセスチャンバPMを、指定された他の処理ユニットのMBPに接続路251,252,253,254,255,256のいずれかを介して連通させることによって行われる。これにより、使用の停止を指示されたMBPを有する処理ユニットのプロセスチャンバPMは、他の処理ユニットのMBPによって排気される。
【0067】
次いで、排気経路の復帰指示が操作部100を介してユーザから入力されたか否か判断する(S46)。排気経路の復帰指示とは、使用を停止したMBPの使用を再開する指示である。排気経路の復帰指示が入力されていない場合(S46でNo)、当該復帰指示が入力されるまで待機する。一方、排気経路の復帰指示が入力されると(S46でYes)、排気経路を元の排気経路に切り替え(S47)、切り替え先であった処理ユニットの処理禁止を解除する(S48)。
【0068】
このように、ユーザからの排気経路の切り替え指示に基づいて排気経路を切り替えるように構成したため、排気ポンプのメンテナンス等に起因する基板処理への影響を小さくすることができる。
【0069】
なお、上記において、基板処理装置1が有する処理ユニットの数を4つとしたが、処理ユニットの数はそれに限られるものでなく、複数であれば良い。また、異常を検知する排気ポンプとしてMBPを例示したが、TMP(Turbo Molecular Pump)やDPなど、他の排気ポンプであってもよい。また、排気経路の切り替えはプロセスチャンバPM間に限らず、図1において「真空側」と示した各構成間で排気経路を切り替えるようにしてもよい。
また、処理ユニットを、ウェハWを1枚ずつ処理する枚葉式としたが、ウェハWを複数枚同時に処理する縦型等の形式であってもよい。また、排気路のそれぞれを他の排気路の全てと接続路によって接続するようにしたが、隣り合う処理ユニットの排気路同士のみを接続路によって接続するようにしてもよい。その場合、図4のS23やS25の処理において、アイドル中やクリーニング処理中のプロセスチャンバPMは、隣り合う処理ユニットの中から選択する。また、図5のS42の処理において、排気経路の切り替え先となる処理ユニットとして、使用を停止するMBPを有する処理ユニットに隣り合う処理ユニットのみ選択できるようにする。
【0070】
<本発明の第二実施形態>
次いで、本発明の第二実施形態にかかる基板処理装置について説明する。前述の第一実施形態にあっては、ユーザから排気経路の切り替え指示が入力されると、切り替え先の処理ユニットの処理を一時的に禁止するようにしたが、本発明の第二実施形態にあっては、使用が停止されたMBP以外のMBPを、時分割で複数のプロセスチャンバMPで共用するように構成した。
【0071】
図6は、本発明の第二実施形態にかかる、ユーザからの指示に基づく排気経路の切り替え処理を示すフローチャートである。なお、第二実施形態にかかる基板処理装置の構成は第一実施形態のそれと同様なため、説明を省略する。
【0072】
先ず、操作部100を介してユーザから排気経路の切り替え指示が入力されたか否か判断する(S51)。ここでユーザからの排気経路の切り替え指示とは、少なくとも、使用を停止するMBPを選択する指示である。排気経路の切り替え指示には、使用を停止するMBPを有する処理ユニットのプロセスチャンバPMを排気するMBPを他の処理ユニットの中から選択する指示(以下「代替ポンプ選択指示」と言う)を含んでいてもよい。代替ポンプ選択指示を含んでいる場合は、それによって指示された一つあるいは複数のMBPの中から代替的に使用するポンプを選択する。また、代替ポンプ選択指示を含んでいない場合には、使用を停止するMBP以外の全てのMBPの中から代替的に使用するポンプを選択する。
【0073】
ユーザからの排気経路の切り替え指示が入力されていない場合(S51でNo)、以降の処理をスキップする。一方、ユーザからの排気経路の切り替え指示が入力されている場合(S51でYes)、代替的に使用するMBPを有する処理ユニットのいずれかに、処理中以外のプロセスチャンバMPを有するものが有るか否か、すなわち、例えばアイドル中や、処理対象となるウェハWの搬送待ち状態にある処理ユニットが有るか否か判断する。処理中以外の処理ユニットが無い場合(S52でNo)、処理中以外の処理ユニットが現れるまで待機する。一方、処理中以外の処理ユニットが有る場合(S52でYes)、当該処理ユニットの処理を一時的に禁止し(S53)、排気経路を切り替える(S54)。ここで、排気経路の切り替えは、上記した各ガス排気系GEのバルブの開閉を制御し、使用の停止を指示されたMBPを有する処理ユニットのプロセスチャンバPMを、処理中以外の処理ユニットのMBPに接続路251,252,253,254,255,256のいずれかを介して連通させることによって行われる。これにより、使用の停止を指示されたMBPを有する処理ユニットのプロセスチャンバPMは、他の処理ユニットのMBPによって排気される。
【0074】
次いで、使用の停止が指示されているMBPを有する処理ユニットにおいて処理(成膜処理あるいはクリーニング処理)を開始し(S55)、続いて、当該処理が完了したか否か判断する(S56)。当該処理が完了していない場合(S56でNo)、当該処理が完了するまで待機する。一方、当該処理が完了すると(S56でYes)、排気経路を元の排気経路に切り替え(S57)、切り替え先であった処理ユニットの処理禁止を解除する(S58)。その後、S51の処理の戻り、排気経路の切り替えが指示されていれば、処理中以外の処理ユニットのMBPを共用しながら各処理ユニットの処理を継続して実行する。
【0075】
このように、ユーザからの排気経路の切り替え指示に基づいて排気経路を切り替えるように構成したため、排気ポンプのメンテナンス等に起因する基板処理への影響を小さくすることができる。特に本実施形態においては、処理中以内の処理ユニットの排気ポンプを時分割で共用するように構成したので、基板処理装置全体の処理をより効率化することができる。なお、上記において、使用の停止を指示された排気ポンプを有する処理ユニットが成膜処理を行う場合はクリーニング処理を行う処理ユニットに優先した排気ポンプを使用するようにし、使用の停止を指示された排気ポンプを有する処理ユニットがクリーニング処理を行う場合はアイドル中の処理ユニットの排気ポンプを使用するなど、対象とする処理に応じて優先度を変更するようにしてもよい。
【0076】
<本発明の第三実施形態>
次いで、本発明の第三実施形態にかかる基板処理装置について説明する。前述の第一および第二実施形態にあっては、各プロセスチャンバPMが同じ処理(成膜処理およびクリーニング処理)を行うようにしたが、第三実施形態にあっては、各プロセスチャンバPMがそれぞれ異なる処理を行うようにした。具体的には、第三実施形態にかかる基板処理装置は、ウェハWに対し、半導体装置の製造工程にかかる異なる処理を連続的に行うプロセス・インテグレーション装置として構成される。本実施形態にあっては、プロセス・インテグレーション装置として、トランジスタのゲート製造工程の一部を連続して処理する場合を例示して説明する。
【0077】
図7は、第三実施形態にかかる基板処理装置を用いて形成されるトランジスタのゲートの構成例を示す図であり、具体的には、NMOSタイプのトランジスタのゲートの構成例を示す図である。図7に示すように、ゲートは、シリコン基板(Si−sub)の上に形成された酸化シリコン(SiO)からなるシリコン系絶縁膜と、このSiOの上に形成された酸化ハフニウム(HfO)からなる高誘電率膜(High-k膜)と、このHfOの上に形成された金属窒化膜(TiN)からなるゲート電極とを積層したスタック構造とされる。
【0078】
<ゲート製造工程>
次いで、図7に示すトランジスタのゲートの製造工程例について説明する。図8は、図7に示すトランジスタのゲートの製造工程例を示すフローチャートである。
【0079】
図8に示すように、まず、シリコン基板を、例えば1%HF水溶液で処理して、シリコン基板に形成された犠牲酸化膜を除去する(「HF treatment」工程)。次いで、シリコン基板上に、酸化シリコン(SiO)を熱酸化処理により成膜する(「SiO formation」工程)。SiOは、シリコン基板と、この後に形成するHfOとの界面における界面層として形成される。
【0080】
次に、SiO上に、高誘電率膜としての酸化ハフニウム(HfO)を成膜する(「High-k formation」工程)。SiOとHfOにより、ゲート絶縁膜が構成される。HfOの成膜後、アニール処理を行う(「Post Deposition Annealing」工程)。このアニール処理は、HfO中の不純物除去、HfOの緻密化もしくは結晶化を目的に行う。次に、HfO上に、ゲート電極としての金属窒化膜(TiN)を形成する(「TiN deposition」工程)。図示のように、この工程では、TiClとNHとをウェハWに交互に供給するTiN成膜処理がX回繰り返し実行される。なお、Xは1以上の整数である。
【0081】
次いで、レジストをマスクにしてフォトリソグラフィ技術を用いたパターニング(「Gate patterning」工程)を行うと共に、ドライエッチング技術を用いたパターンエッチング(「Gate etching」工程)を行う。その後、当該レジストを除去する(「Resist removal」工程))。そして、水素ガスアニーリング等のFGA(Forming gas annealing)処理を行う(「FGA」工程)。
【0082】
本実施形態にかかる基板処理装置においては、上記した各工程のうち、「SiO formation」工程、「High-k formation」工程、「Post Deposition Annealing」工程、および、「TiN deposition」工程からなる一連の工程を、図1および図2で示したプロセスチャンバPM1〜PM4で実施するものとする。
【0083】
具体的には、「SiO formation」工程をプロセスチャンバPM1で実施し、「High-k formation」工程をプロセスチャンバPM4で実施し、「Post Deposition Annealing」工程をプロセスチャンバPM3で実施し、「TiN deposition」工程をプロセスチャンバPM2で実施する。しがたって、本実施形態においては、プロセスチャンバPM1に接続されるガス供給系GS1は、少なくとも熱酸化処理に必要な酸化剤の供給源を有し、プロセスチャンバPM3に接続されるガス供給系GS3は、少なくともアニール処理に必要な不活性ガスの供給源を有し、プロセスチャンバPM4に接続されるガス供給系GS4は、少なくとも酸化ハフニウムの成膜処理に必要なハフニウム含有ガスの供給源と酸化剤の供給源を有する。プロセスチャンバPM2に接続されるガス供給系GS2の構成は第一実施形態と同様である。
【0084】
なお、従前の実施形態と本実施形態とでは、各処理ユニットで実施される処理が異なるが、基板処理装置としての基本構成は共通であるため、詳細な説明は省略する。
【0085】
本実施形態において特徴的なことは、各処理における排気ポンプへの負荷の多寡を鑑みて、それぞれの処理を行うプロセスチャンバPMの配置を設定したことにある。ここで、排気ポンプの負荷とは、回転数や運転時間等、様々なパラメータが考えられるが、本実施形態においては、排気ポンプに異常を引き起こす要因としてパーティクルの発生量を考えることとした。
【0086】
一般に、熱酸化処理やアニール処理に比し、HfO成膜やTiN成膜といった薄膜形成処理の方がパーティクルが発生しやすい。特に、TiNのような窒化膜においては、プロセスチャンバPM内に付着した膜の応力による剥離が生じやすい。また、TiNの成膜においてTiClのようなハロゲン系原料を用いた場合、ハロゲン元素と窒化剤の結合によって生じた副生成物が多く発生することが知られている。すなわち、上記したそれぞれの処理において、HfOやTiNの成膜処理は、他の処理よりもパーティクルが発生しやすく、特に、TiNの成膜処理においては、排気系へのパーティクルの流出が多い。排気系に流出したパーティクルが排気ポンプに付着すると、排気ポンプの異常の原因になり得る。
【0087】
そこで、本実施形態にあっては、TiNの成膜処理を行うプロセスチャンバPMを、パーティクルの発生量が比較的少ない熱酸化処理やアニール処理を行うプロセスチャンバPMの間に配置するようにした。これにより、TiNの成膜処理を行う処理ユニットの排気ポンプに異常が発生した場合に、それに隣接する処理ユニットの排気ポンプ(異常が比較的発生し難い排気ポンプ)を用いてTiNの成膜処理が継続する可能性を高めることができる。隣接する処理ユニットの排気ポンプを共用する方が、排気路同士を接続する接続路の長さが短くなるため、圧損等の観点で有利である。また、全ての排気路同士を接続すると排気系の構成が煩雑となるが、本実施形態のように排気ポンプの負荷の多寡を考慮して処理ユニットの配置を設定することで、隣り合う処理ユニットの排気路同士のみを接続して構成を簡素化しても、異常が発生した排気ポンプに代わり、正常な排気ポンプで処理を継続する可能性を高めることができる。
【0088】
なお、従前の実施形態において説明した排気経路の切り替え処理は、本実施形態にも適用することができる。したがって、本実施形態においても、従前の実施形態と同様に、排気ポンプの異常やメンテナンス等に起因する基板処理への影響を小さくすることができるのは言うまでもない。
【0089】
(本発明の好ましい態様)
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
【0090】
[付記1]
基板を処理する処理室と、前記処理室に接続された排気路と、前記排気路に設けられた排気ポンプとを少なくとも有する複数の処理ユニットと、前記処理ユニットの排気路同士を前記排気ポンプの上流側で接続する接続路と、前記処理室を、当該処理室を有する処理ユニットとは異なる処理ユニットの排気ポンプに前記接続路を介して連通させることによって前記処理室の排気経路を切り替える切り替え部と、を備える基板処理装置。
【0091】
[付記2]
前記切り替え部の動作を制御する制御部と、前記排気ポンプの異常を検知する検知部と、を備え、前記制御部は、前記検知部の検知結果に基づいて前記切り替え部を制御するように構成される付記1に記載の基板処理装置。
【0092】
[付記3]
ユーザからの指示を入力する入力部を備え、前記制御部は、前記入力部から入力された指示に基づいて前記切り替え部を制御するように構成される付記1または2に記載の基板処理装置。
【0093】
[付記4]
前記制御部は、前記排気ポンプを時間的に分割して複数の処理室で共用するよう前記切り替え部を制御するように構成される付記3に記載の基板処理装置。
【0094】
[付記5]
前記処理室において少なくとも成膜処理とクリーニング処理とが行われ、
前記制御部は、前記検知部によって前記排気ポンプの異常が検知されたとき、前記異常が検知された排気ポンプを有する処理ユニットの処理室を、前記排気ポンプの異常が検知されておらず、かつ、クリーニング処理中の処理室を有する処理ユニットの排気ポンプに連通させるよう前記切り替え部を制御するように構成される付記2に記載の基板処理装置。
【0095】
[付記6]
前記制御部は、前記クリーニング処理中の処理室で実行されているクリーニング処理を中断させた後に、前記異常が検知された排気ポンプを有する処理ユニットの処理室を前記クリーニング処理が中断された処理室を有する処理ユニットの排気ポンプに連通させるよう前記切り替え部を制御するように構成される付記5に記載の基板処理装置。
【0096】
[付記7]
前記制御部は、前記異常が検知された排気ポンプを有する処理ユニットの処理室を前記クリーニング処理が中断された処理室を有する処理ユニットの排気ポンプに連通させるよう前記切り替え部を制御すると共に、前記異常が検知された排気ポンプを有する処理ユニットの処理室における処理が終了すると、前記クリーニング処理が中断された処理室を、当該処理室を有する処理ユニットの排気ポンプに連通させるよう前記切り替え部を制御するように構成される付記6に記載の基板処理装置。
【0097】
[付記8]
前記複数の処理ユニットは、前記基板に対して異なる処理を行う少なくとも3つの処理ユニットを含み、前記排気ポンプへの負荷が最も大きい処理を行う処理ユニットが他の処理ユニットの間に配置される付記1に記載の基板処理装置。
【0098】
[付記9]
前記切り替え部の動作を制御する制御部と、
前記排気ポンプの異常を検知する検知部と、
を備え、前記制御部は、前記検知部の検知結果に基づいて前記切り替え部を制御するように構成される付記8に記載の基板処理装置。
【0099】
[付記10]
前記制御部は、前記検知部によって前記排気ポンプの異常が検知されたとき、前記異常が検知された排気ポンプを有する処理ユニットの処理室を、前記排気ポンプの異常が検知されておらず、かつ、アイドリング中の処理室を有する処理ユニットの排気ポンプに連通させるよう前記切り替え部を制御するように構成される付記9に記載の基板処理装置。
【0100】
[付記11]
前記切り替え部は、前記接続路に配置された弁体と、前記排気路において前記接続路の接続箇所の上流側および下流側に配置された弁体とから構成される付記1から10のいずれかに記載の基板処理装置。
【0101】
[付記12]
前記検知部は、前記排気ポンプの回転数、消費電力、温度、前記排気路の圧力の少なくともいずれかを検知する付記1から11のいずれかに記載の基板処理装置。
【0102】
[付記13]
基板を処理する処理室と、前記処理室に接続された排気路と、前記排気路に設けられた排気ポンプとを少なくとも有する複数の処理ユニットで前記基板を処理する半導体装置の製造方法であって、前記処理ユニットの排気路同士を前記排気ポンプの上流側で接続する接続路を介し、前記処理室を、当該処理室を有する処理ユニットとは異なる処理ユニットの排気ポンプから排気して前記基板を処理する処理工程、を備える半導体装置の製造方法。
【0103】
[付記14]
検知部によって前記排気ポンプの異常を検知したとき、前記異常が検知された排気ポンプを有する処理ユニットの処理室を、当該処理室を有する処理ユニットとは異なる処理ユニットの排気ポンプに前記接続路を介して連通させることによって前記処理室の排気経路を切り替えるよう切り替え部を制御する排気経路切り替え工程を、前記処理工程の前に有する付記13に記載の半導体装置の製造方法。
【0104】
[付記15]
前記複数の処理ユニットの中のいずれかの処理ユニットの処理室を他の処理ユニットの排気ポンプを用いて排気させるユーザからの指示が入力されたとき、前記処理室を、当該処理室を有する処理ユニットとは異なる処理ユニットの排気ポンプに前記接続路を介して連通させることによって前記処理室の排気経路を切り替えるよう切り替え部を制御する排気経路切り替え工程を、前記処理工程の前に有する付記13に記載の半導体装置の製造方法。
【0105】
[付記16]
基板を処理する処理室と、前記処理室に接続された排気路と、前記排気路に設けられた排気ポンプとを少なくとも有する複数の処理ユニットで前記基板を処理する処理手順をコンピュータに実行させるプログラムであって、前記処理手順は、前記処理ユニットの排気路同士を前記排気ポンプの上流側で接続する接続路を介し、前記処理室を、当該処理室を有する処理ユニットとは異なる処理ユニットの排気ポンプから排気して前記基板を処理する手順を有するプログラム。
【0106】
[付記17]
前記処理手順は、検知部によって前記排気ポンプの異常を検知したとき、前記異常が検知された排気ポンプを有する処理ユニットの処理室を、当該処理室を有する処理ユニットとは異なる処理ユニットの排気ポンプに前記接続路を介して連通させることによって前記処理室の排気経路を切り替えるよう切り替え部を制御する手順を有する付記16に記載のプログラム。
【0107】
[付記18]
基板を処理する処理室と、前記処理室に接続された排気路と、前記排気路に設けられた排気ポンプとを少なくとも有する複数の処理ユニットで前記基板を処理する処理手順をコンピュータに実行させるプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、前記処理手順は、前記処理ユニットの排気路同士を前記排気ポンプの上流側で接続する接続路を介し、前記処理室を、当該処理室を有する処理ユニットとは異なる処理ユニットの排気ポンプから排気して前記基板を処理する手順を有する記録媒体。
【0108】
[付記19]
前記処理手順は、検知部によって前記排気ポンプの異常を検知したとき、前記異常が検知された排気ポンプを有する処理ユニットの処理室を、当該処理室を有する処理ユニットとは異なる処理ユニットの排気ポンプに前記接続路を介して連通させることによって前記処理室の排気経路を切り替えるよう切り替え部を制御する手順を有する付記18に記載の記録媒体。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明は、例えば、シリコンウェハ等の基板を処理する基板処理装置や、半導体装置の製造方法等に利用することができる。
【符号の説明】
【0110】
ウェハ(基板)・・・W
コントローラ(制御部)・・・CNT
プロセスチャンバ(処理室)・・・PM1,PM2,PM3.PM4
基板処理装置・・・1
操作部(入力部)・・・100
排気路・・・211,221,231,241
MBP(排気ポンプ)・・・214,224,234,244
接続路・・・251,252,253,254,255,256
バルブ(切り替え部)・・・213,223,233,243,261,262,263,264,265,266
APC(切り替え部)・・・212,222,232,242
【要約】      (修正有)
【課題】排気ポンプの異常やメンテナンス等に起因する基板処理への影響を低減する。
【解決手段】基板を処理する処理室PM1〜4と、処理室PM1〜4に接続された排気路211,221,231,241と、排気路211,221,231,241に設けられた排気ポンプ214,224,234,244とを少なくとも有する複数の処理ユニットと、処理ユニットの排気路同士を排気ポンプ214,224,234,244の上流側で接続する接続路251,252,253,254,255,256と、処理室をPM1〜PM4を、当該処理室を有する処理ユニットとは異なる処理ユニットの排気ポンプに接続路を介して連通させることによって処理室の排気経路を切り替える切り替え部212,222,232,242と、を備える。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8