特許第5808461号(P5808461)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5808461
(24)【登録日】2015年9月18日
(45)【発行日】2015年11月10日
(54)【発明の名称】インクジェット記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20151021BHJP
【FI】
   B41J2/165 303
【請求項の数】3
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-126144(P2014-126144)
(22)【出願日】2014年6月19日
(62)【分割の表示】特願2010-84860(P2010-84860)の分割
【原出願日】2010年4月1日
(65)【公開番号】特開2014-196001(P2014-196001A)
(43)【公開日】2014年10月16日
【審査請求日】2014年6月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】玉井 宏篤
(72)【発明者】
【氏名】佐武 健一
【審査官】 有家 秀郎
(56)【参考文献】
【文献】 特許第5567374(JP,B2)
【文献】 特開2005−040975(JP,A)
【文献】 特開2009−137241(JP,A)
【文献】 特開2000−185408(JP,A)
【文献】 特開2009−274377(JP,A)
【文献】 特開2001−018402(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01−2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク噴射用ノズルが形成されたノズル面を有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドに対して相対的に移動して前記記録ヘッドの前記ノズル面のクリーニングを行うクリーニング部と、を備え、
前記クリーニング部は、
先端が前記記録ヘッドに当接した後に、前記ノズル面に沿う方向であるワイパー方向に移動するワイパー部材と、
前記ワイパー部材を支持するワイパー支持部材と、
前記ワイパー部材を前記記録ヘッドの前記ノズル面へ向けて付勢する付勢部材と、
前記ワイパー方向に前記ワイパー支持部材を挟むように配置され、互いに対向する一対のガイド面を有し、前記ワイパー方向への前記ワイパー支持部材の移動を規制する一対のガイド部材と、
前記一対のガイド部材の間に前記ワイパー方向に並んで配置され、外周面が前記一対のガイド部材における前記一対のガイド面それぞれに当接する一対のローラ部材と、
一端部が前記一対のローラ部材それぞれを回転可能に支持すると共に、他端部が前記ワイパー支持部材に固定される一対のローラ支持部材と、を有し、
前記一対のローラ部材は、前記ワイパー支持部材に対して前記記録ヘッド側に配置される
インクジェット記録装置。
【請求項2】
前記一対のガイド部材及び前記一対のローラ部材は、前記ワイパー方向に直交する方向であるワイパー幅方向に離間して2組配置される
請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記記録ヘッドは、複数備えられ、
前記クリーニング部は、複数の前記記録ヘッドに対応して複数備えられ、
複数の前記クリーニング部を一体的に移動させるクリーニング部移動部を更に備える
請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録ヘッドのノズルからインクを噴射して、用紙などの記録媒体上に記録を行うインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置における記録ヘッドは、インクを噴射するノズルが形成されたノズル面を有する。このノズル面においては、ノズル付近に付着したインクや塵埃等の異物により、インクが噴射できなかったり、インクの噴射方向が変化したりすることを防止するために、クリーニングを行うことが必要である。
【0003】
ノズル面のクリーニングに関して、ワイパー部材の先端を記録ヘッドに当接させた後、ワイパー部材を、記録ヘッドに対してノズル面に沿う方向であるワイパー方向に相対的に移動させることによって、ノズル面に付着したインクや塵埃等の異物を除去(クリーニング)する技術が知られている。
【0004】
インクジェット記録装置においては、各種部品の寸法誤差や部品の組み付けの組み付け誤差等により、記録ヘッドのノズル面に対するワイパー部材の位置が変化する。このような場合には、ワイパー部材の先端がノズル面に所定の力及び正常な姿勢で当接しない場合があり、ノズル面を適正にクリーニングすることができない可能性があった。
【0005】
このような問題に対して、ワイパー部材を記録ヘッドのノズル面へ向けて付勢する付勢部材を有するクリーニングユニットを備えたインクジェット記録装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
特許文献1に記載されるインクジェット記録装置は、ワイパー部材を支持する板状の支持部材を有し、ワイパー部材、支持部材及び付勢部材は、インクの噴射方向に沿うように、ワイパー部材、支持部材及び付勢部材の順で記録ヘッドのノズル面側から順に配置される。ワイパー部材は、支持部材におけるノズル面側の一方の面に垂直に設けられる。付勢部材は、支持部材の他方の面側に配置され、支持部材を介してワイパー部材を記録ヘッドのノズル面へ向けて付勢する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−40975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載されるインクジェット記録装置においては、ワイパー部材がワイパー方向に移動してノズル面をクリーニングする際に、ワイパー部材は、その先端がノズル面に所定の力及び正常な姿勢で記録ヘッドのノズル面に当接するように、付勢部材の付勢力により上下方向に移動される。これにより、記録ヘッドのノズル面に対するワイパー部材の位置の変化があった場合においても、ノズル面のクリーニングを適正に行うことができる。
【0009】
また、特許文献1に記載されるインクジェット記録装置においては、ワイパー部材、支持部材及び付勢部材は、付勢部材がワイパー方向へしなるため、ワイパー部材がノズル面をクリーニングする際の反力によりワイパー方向に移動しやすい(傾きやすい)。そのため、特許文献1に記載されるインクジェット記録装置は、ワイパー部材を支持する支持部材のワイパー方向への移動を規制するガイド部材を備える。
【0010】
しかし、支持部材は、ワイパー部材がワイパー方向に移動する際に、ワイパー部材が傾くことによりガイド部材に当接する場合があった。支持部材がガイド部材に当接すると、支持部材とガイド部材との間に、摩擦力が発生する。
【0011】
ワイパー部材がワイパー方向に移動する際に、記録ヘッドのノズル面に対するワイパー部材の位置が変化する場合には、ガイド部材への支持部材の当接又は離間が繰り返し行われる。そして、支持部材が大きく傾いて支持部材とガイド部材との摩擦力が大きい場合には、ワイパー部材を支持する支持部材が動かなくなる可能性があった。
これにより、記録ヘッドのノズル面に対するワイパー部材の位置が変化する場合に、付勢部材がワイパー部材を上下方向に移動させることができずに、ワイパー部材の先端がノズル面に所定の力及び正常な姿勢で当接できないという問題があった。
【0012】
本発明は、ノズル面に対するワイパー部材の位置が変化した場合においても、ノズル面のクリーニングを適正に行うことができるインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、インク噴射用ノズルが形成されたノズル面を有する記録ヘッドと、前記記録ヘッドに対して相対的に移動して前記記録ヘッドの前記ノズル面のクリーニングを行うクリーニング部と、を備え、前記クリーニング部は、先端が前記記録ヘッドに当接した後に、前記ノズル面に沿う方向であるワイパー方向に移動するワイパー部材と、前記ワイパー部材を支持するワイパー支持部材と、前記ワイパー部材を前記記録ヘッドの前記ノズル面へ向けて付勢する付勢部材と、前記ワイパー方向に前記ワイパー支持部材を挟むように配置され、互いに対向する一対のガイド面を有し、前記ワイパー方向への前記ワイパー支持部材の移動を規制する一対のガイド部材と、前記一対のガイド部材の間に前記ワイパー方向に並んで配置され、外周面が前記一対のガイド部材における前記一対のガイド面それぞれに当接する一対のローラ部材と、を有するインクジェット記録装置に関する。
【0014】
また、前記一対のローラ部材は、互いの外周面が当接して回転可能であることが好ましい。
【0015】
また、前記一対のローラ部材は、前記ワイパー支持部材に対して前記記録ヘッド側に配置されることが好ましい。
【0016】
また、前記一対のガイド部材及び前記一対のローラ部材は、前記ワイパー方向に直交する方向であるワイパー幅方向に離間して2組配置されることが好ましい。
【0017】
また、前記記録ヘッドは、複数備えられ、前記クリーニング部は、複数の前記記録ヘッドに対応して複数備えられ、複数の前記クリーニング部を一体的に移動させるクリーニング部移動部を更に備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ノズル面に対するワイパー部材の位置が変化した場合においても、ノズル面のクリーニングを適正に行うことができるインクジェット記録装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態のインクジェット記録装置1の概要を正面側から模式的に示す縦断面図である。
図2】本実施形態のインクジェット記録装置1において、各記録ヘッド22に対応してクリーニング部24が配置された記録部20及び搬送ユニット30の周辺部を示す平面図である。
図3A】本実施形態のインクジェット記録装置1において、各記録ヘッド22に対するクリーニング部24の配置を示す平面図である。
図3B】本実施形態のインクジェット記録装置1において、各記録ヘッド22に対して当接するワイパー部材25を正面側から見た配置を各記録ヘッド22と対比して示した模式図である。
図4】本実施形態におけるクリーニング部24の構成を示す縦断正面図である。
図5】本実施形態におけるクリーニング部24の構成を示す平面図である。
図6】本実施形態におけるクリーニング部24の構成を示す縦断側面図である。
図7】本実施形態における記録ヘッド22のノズル面221が傾いている場合のクリーニング部24の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1から図3Bにより、本発明の実施形態のインクジェット記録装置1における全体構造の概要を説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施形態のインクジェット記録装置1の概要を正面側から模式的に示す縦断面図である。図2は、本実施形態のインクジェット記録装置1において、各記録ヘッド22に対応してクリーニング部24が配置された記録部20及び搬送ユニット30の周辺部を示す平面図である。図3Aは、本実施形態のインクジェット記録装置1において、各記録ヘッド22に対するクリーニング部24の配置を示す平面図である。図3Bは、本実施形態のインクジェット記録装置1において、各記録ヘッド22に対して当接するワイパー部材25を正面側から見た配置を各記録ヘッド22と対比して示した模式図である。
【0022】
図1及び図2に示すように、本実施形態のインクジェット記録装置1は、本体2内に、記録部20と、クリーニング部24と、搬送ユニット30と、搬送ユニット30を昇降させる昇降装置40と、キャップユニット50と、キャップユニット50を水平移動させる第1水平移動機構(図示せず)と、クリーニング部24を水平移動させる第2水平移動機構(図示せず)とを備える。
本実施形態のインクジェット記録装置1は、更に、給紙カセット3と、給紙ローラ4と、用紙搬送路5と、レジストローラ対6と、乾燥装置7と、排紙ローラ対8と、排紙口9と、排紙トレイ10と、を備える。
【0023】
図1及び図2に示すように、搬送ユニット30は、駆動ローラ32と、従動ローラ33と、駆動ローラ32及び従動ローラ33に掛け渡される搬送ベルト31と、搬送ベルト31のテンションを調整するテンションローラ34と、搬送ベルト31の搬送面の下側(記録部20とは反対側)に装備される空気吸引ユニット(図示せず)とを有する。搬送ベルト31及び空気吸引ユニットの上面には、それぞれ吸引用の貫通孔(図示せず)が多数設けられている。
【0024】
駆動ローラ32及び従動ローラ33が正面視で反時計方向に回転することにより、搬送ベルト31の上面部分で形成される搬送面31Aは、水平面(X−Y平面)内の用紙搬送方向Pの一方から他方に向けて水平移動される。つまり、搬送ベルト31の搬送面31A上においては、用紙搬送方向Pは、水平方向Xとほぼ一致する。空気吸引ユニットは、搬送ベルト31の搬送面31Aの下側(記録部20とは反対側)に配置され、搬送ベルト31の搬送面31Aに記録媒体としての用紙Tを吸着させる吸引力を作用させる。
搬送ベルト31としては、両端部を互いに重ね合わせて接合してエンドレス状にしたベルトや、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルト等を用いることができる。
【0025】
図2に示すように、所定の記録時には、記録媒体としての用紙Tは、搬送ベルト31の搬送面31A上に、用紙搬送方向Pの一方側から導入される。搬送面31Aには、空気吸引ユニット(図示せず)の動作に伴って、前記の吸引用の貫通孔(図示せず)を介して搬送ベルト31に作用する吸引力が生じている。搬送ベルト31の搬送面31A上に導入された用紙Tは、前記吸引力により搬送面31Aに吸着されて、用紙搬送方向Pの他方側に向けて搬送される。このように搬送ベルト31の搬送面31Aに吸着された状態で搬送される用紙Tに向けて、後述する記録部20の記録ヘッド22からインクが吐出されることにより、用紙Tに画像等が記録される(印刷される)。
【0026】
図1に示すように、給紙カセット3は、用紙Tを積層状態で収容するものであり、本体2の内部の下方における搬送ユニット30の用紙搬送方向Pの上流側に配置されている。給紙ローラ4は、給紙カセット3の上方に配置されている。この給紙ローラ4により、用紙Tは、図1における給紙カセット3の右上方に向けて送り出される。
【0027】
用紙搬送路5、レジストローラ対6、記録部20及び搬送ユニット30は、給紙カセット3の用紙搬送方向Pの下流側に配置されている。給紙カセット3から送り出された用紙Tは、用紙搬送路5を通ってレジストローラ対6に到達する。レジストローラ対6は、用紙Tの斜め送りを矯正して用紙Tを再度送り出す。記録部20とレジストローラ対6との間の用紙搬送路5に設けられた用紙先端検出センサ(図示せず)により、用紙Tの先端が検出され、その検出されたタイミングに基づいて、記録部20は、後述するようなインクの吐出動作を実行する。
【0028】
図1に示すように、乾燥装置7は、本体2の内部の上方における搬送ユニット30の用紙搬送方向Pの下流側に配置されている。乾燥装置7は、記録部20において吐出されるインクにより記録された後における用紙Tのインクを乾燥させる。
【0029】
排紙ローラ対8、排紙口9及び排紙トレイ10は、乾燥装置7の用紙搬送方向Pの下流側に、この順で配置されている。乾燥装置7によりインクの乾燥が終了した用紙Tは、排紙ローラ対8により用紙搬送方向Pの下流側に送られ、排紙口9を通して、本体2の外側に設けられた排紙トレイ10に送られて、本体2の外部に排出される。
【0030】
図1及び図2に示すように、記録部20は、4色に対応する記録ヘッド22を有する。4色に対応する記録ヘッド22とは、ブラック用の記録ヘッド22K、シアン用の記録ヘッド22C、マゼンタ用の記録ヘッド22M及びイエロー用の記録ヘッド22Yである。これら4色の記録ヘッド22K、22C、22M、22Yは、用紙搬送方向P(水平方向X)に直交する用紙幅方向Yに沿って長く延びている。記録ヘッド22K、22C、22M、22Yは、搬送ベルト31の用紙搬送方向Pに沿って、用紙搬送方向Pの上流側から下流側に向かって順に配列して配置されている。本実施形態においては、4色の記録ヘッド22K、22C、22M、22Yそれぞれにおいて、1色の記録ヘッドにつき3個の記録ヘッドを用紙幅方向Yに等間隔で直列に配置している。
【0031】
4色の記録ヘッド22K、22C、22M、22Yは、インク噴射用ノズルが形成されたノズル面221(図3B図4参照)を有する。ノズル面221は、4色の記録ヘッド22K、22C、22M、22Yの下面である。各記録ヘッド22K、22C、22M、22Yにおけるノズル面221は、搬送ベルト31の搬送面31Aに対向する。4色の記録ヘッド22K、22C、22M、22Yは、ノズル面221に形成されたインク噴射用ノズルから噴射されたインクにより用紙Tに画像を記録する。
【0032】
図1に示すように、搬送ユニット30の下方には、4色の記録ヘッド22K、22C、22M、22Yそれぞれに対応して、4つのインクタンク23K、23C、23M、23Yが配置されている。4色のインクは、それぞれ4つのインクタンク23K、23C、23M、23Yから供給チューブ(図示せず)を経て、4色が対応する記録ヘッド22K、22C、22M、22Yに補給される。
【0033】
図2に示すように、クリーニング部24は、記録ヘッド22に対応して配置される。クリーニング部24は、1色のインク色につき用紙幅方向Yに沿うように配置される3個の記録ヘッド22からなる記録ヘッド22の各列に対して1個ずつ配置される。具体的には、各記録ヘッド22の列に対応して配置されるクリーニング部24とは、記録ヘッド22Kの列に対応して配置される1個のクリーニング部24K、記録ヘッド22Cの列に対応して配置される1個のクリーニング部24C、記録ヘッド22Mの列に対応して配置される1個のクリーニング部24M、記録ヘッド22Yの列に対応して配置される1個のクリーニング部24Yである。
【0034】
詳細には、クリーニング部24は、対応するインク色の各記録ヘッド22K、22C、22M、22Yの用紙幅方向Yにおける各列の片端側(図2では、用紙幅方向Yに3個並ぶ各記録ヘッド22K、22C、22M、22Yのうちの下側の記録ヘッド22K、22C、22M、22Yの下端側)に、1個配置される。また、各クリーニング部24K、24C、24M、24Yは、用紙幅方向Yに沿って一体に移動可能に構成される。
【0035】
各クリーニング部24K、24C、24M、24Yは、各記録ヘッド22K、22C、22M、22Yそれぞれに対して相対的に移動して、各記録ヘッド22K、22C、22M、22Yのノズル面221のクリーニングを行う。
【0036】
図2から図3Bに示すように、クリーニング部24は、ワイパー部材25と、ワイパーケース26と、を有する。クリーニング部24が有するワイパー部材25とは、クリーニング部24Kが有するワイパー部材25K、クリーニング部24Cが有するワイパー部材25C、クリーニング部24Mが有するワイパー部材25M、クリーニング部24Yが有するワイパー部材25Yである。
【0037】
各ワイパー部材25K、25C、25M、25Yは、弾性体により板状に形成される。図3A及び図3Bに示すように、各ワイパー部材25K、25C、25M、25Yは、用紙幅方向Yと直交するように、ワイパーケース26K、26C、26M、26Y上に略垂直(上下方向Zに延びるように)に立設されている。
【0038】
また、ワイパー部材25K、25C、25M、25Yは、図3Aに示すように、用紙搬送方向Pに沿う長さm1が、記録ヘッド22K、22C、22M、22Yのノズル面221の用紙搬送方向Pに沿う長さ(短辺の長さ)m2よりも大きく設定される。
【0039】
図3Bに示すように、ワイパー部材25は、先端253がワイパーケース26よりも上方側に突出する。ワイパー部材25は、その突出した先端253が記録ヘッド22に当接した後に、ノズル面221に沿う方向であるワイパー方向Qに移動される。
【0040】
ワイパー部材25K、25C、25M、25Yは、ワイパーケース26K、26C、26M、26Yと一体に、対応する記録ヘッド22K、22C、22M、22Yに対して相対的に移動して、その先端(上縁)でノズル面221を拭うことで、記録ヘッド22K、22C、22M、22Yのノズル面221のクリーニングを行う。
【0041】
具体的には、複数のワイパー部材25K、25C、25M、25Yは、先端が複数の記録ヘッド22K、22C、22M、22Yそれぞれに当接した後、ノズル面221に沿う方向であるワイパー方向Qに移動することで、ノズル面221をクリーニングする。
本実施形態において、ワイパー方向Qは、用紙幅方向Yに一致する。従って、クリーニング動作時、複数のワイパー部材25K、25C、25M、25Yは、用紙幅方向Yに沿って移動される。
【0042】
複数のクリーニング部24K、24C、24M、24Yは、クリーニング部移動部27に連結される。クリーニング部移動部27は、複数のクリーニング部24をワイパー方向Qに一体的に移動させる。
クリーニング部移動部27は、複数のクリーニング部24が固定される単一のワイパー支持枠28と、このワイパー支持枠28をワイパー方向Qに沿って往復移動させる不図示の駆動機構とを有して構成される。駆動機構(不図示)は、モータ等の駆動源(不図示)により駆動される。駆動源(不図示)は、複数のワイパー部材25を同時に駆動する単一の駆動源からなる。
【0043】
ここで、図3Bに示すように、各記録ヘッド22K、22C、22M、22Yは、ワイパー部材25が移動されることで、ワイパー部材25の先端253が最初に当接する記録ヘッド当接部223を有する。
記録ヘッド当接部223は、記録ヘッド22における用紙幅方向Yの一端側の側面である。また、ワイパー部材25は、ワイパー方向Qに移動した際に、先端253が記録ヘッド当接部223に当接する所定の高さが得られるように、ワイパーケース26からの突出高さ(突き出し長さ)に設定されている。
クリーニング部24の詳細については後述する。
【0044】
なお、以下の説明において、特に特定する必要がある場合を除いて、4色の記録ヘッド22K、22C、22M、22Y、4つのインクタンク23K、23C、23M、23Y、各記録ヘッドに対応するクリーニング部24K、24C、24M、24Y、ワイパー部材25K、25C、25M、25Y、ワイパーケース26K、26C、26M、26Yの識別記号である「K」、「C」、「M」、「Y」については省略して、単に「記録ヘッド22」、「インクタンク23」、「クリーニング部24」、「ワイパー部材25」、「ワイパーケース26」と記載する。
【0045】
記録部20の各記録ヘッド22は、外部コンピュータ(図示せず)から受信した画像データ情報(例えば、文字、図形、模様)に対応して、搬送ベルト31の搬送面31A上に載置された用紙Tに向かって4色のインクを吐出する。図2に示すように、各記録ヘッド22は、矩形板状の記録ヘッド支持部材21に支持されており、この記録ヘッド支持部材21と共に、本体2に固定されている。そして、搬送ベルト31の回転移動と共に、所定のタイミングで各記録ヘッド22から4色のインクが順次吐出されることにより、用紙Tには、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの4色のインクが重ね合わせられ、カラーインク画像が印刷される。
【0046】
記録ヘッド22のインク吐出方式としては、例えば、ピエゾ素子(図示せず)を用いてインクを押し出すピエゾ方式や、発熱体(図示せず)によって気泡を発生させ、圧力を掛けてインクを吐出するサーマルインクジェット方式等の各種吐出方式を採用することができる。
【0047】
図1に示すように、搬送ユニット30を昇降させる昇降装置40は、搬送ユニット30の下方に配置されている。昇降装置40は、搬送ユニット30を記録ヘッド22に対して、水平面(X−Y平面)に垂直な方向Z(以下「上下方向Z」ともいう)に昇降(移動)させるものである。この昇降装置40による搬送ユニット30の上下方向Zの移動により、搬送ベルト31の搬送面31Aは、記録ヘッド22のノズル面221(図3B参照)に対して相対的に接近又は離間可能に構成されている。
【0048】
図1に示すように、昇降装置40は、搬送ベルト31の下方における用紙搬送方向Pの上流側及び下流側に配置された2つの偏心カム41を備える。偏心カム41は、搬送ユニット30の正面側及び背面側にそれぞれ2個ずつ、合計4個設けられる。偏心カム41の偏心周面は、搬送ユニット30の外底面に下方から接近する。図1に示すように、各偏心カム41は、用紙幅方向Yに延びる軸部42を備えると共に、回転軸線が偏在するカムで構成される。偏心カム41は、モータ(図示せず)を介して、軸部42を中心として回転される。偏心カム41は、その周縁部に、複数のベアリング43を備えている。ベアリング43の周面の一部は、偏心カム41の周面から外方に突出している。
【0049】
ベアリング43は、偏心カム41の回転軸線と平行な軸線を中心として回転自在となっている。ベアリング43は、偏心カム41の先端側から回転軸線側に向かって順次配置されている。通常の印刷状態においては、図1に示すように、軸部42から最も離れたベアリング43は、搬送ユニット30の外底面に下方から当接する。これにより、搬送ユニット30は、最高位置に上昇移動される。
【0050】
この状態から、用紙搬送方向Pの上流側の偏心カム41を正面視で反時計方向に回転させると共に、用紙搬送方向Pの下流側の偏心カム41を正面視で時計方向に回転させる。これにより、複数のベアリング43は、軸部42から最も離れたベアリング43から軸部42に最も近いベアリング43の順で、搬送ユニット30の外底面に順次当接する。そのため、搬送ユニット30を下降させることができる。
複数のベアリング43は、偏心カム41の回転時において、周縁方向で隣り合う2個のベアリング43が同時に搬送ユニット30の外底面に当接する期間を有するような間隔に、配置されている。
【0051】
昇降装置40の偏心カム41を回転させて搬送ユニット30を下降させることにより、搬送ユニット30における搬送ベルト31の搬送面31Aは、記録ヘッド22に対して下方に離間される。
【0052】
図1に示すように、キャップユニット50は、記録部20の下方で且つ搬送ユニット30の上方(記録部20と搬送ユニット30との間)に配置可能に構成される。図2に示すように、キャップユニット50は、各記録ヘッド22に対応して設けられる複数のキャップケース52と、複数のキャップケース52を所定の位置関係に固定支持したキャップベース部材53とを備える。
【0053】
キャップユニット50は、記録部20と搬送ユニット30との間に配置された状態において、昇降装置40により搬送ユニット30の昇降に連動して昇降可能に構成される。昇降装置40の偏心カム41を回転させて搬送ユニット30を下降させることにより、キャップユニット50は、搬送ベルト31の搬送面31Aの下降に連動して、記録ヘッド22に対して下方に離間される。
【0054】
これにより、記録ヘッド22からキャップユニット50が離脱される。そして、キャップユニット50が記録ヘッド22から離脱された状態で、記録ヘッド22のノズル面221のインク噴射用ノズル(図示せず)からインクを噴射させることにより、ノズル内に残留する高い粘度のインクを吐出させてインク詰まりを解消するための吐出回復処理、すなわち、パージを実行することが可能である。
【0055】
一方、昇降装置40の偏心カム41を前述とは逆方向に回転させて搬送ユニット30を上昇させることにより、搬送ユニット30は、通常の記録位置(印刷位置)に戻される。
【0056】
ここで、キャップユニット50が記録部20と搬送ユニット30との間に配置された状態においては、記録ヘッド22のノズル面221(図3B図4参照)にキャップユニット50を装着することが可能となる。また、後述する第1水平移動機構(図示せず)によりキャップユニット50が記録部20と搬送ユニット30との間に配置されない状態においては、記録ヘッド22は、搬送ベルト31の搬送面31A上に載置された用紙Tに向けてインクを吐出することができる。
【0057】
キャップユニット50は、第1水平移動機構(図示せず)によってキャップベース部材53が水平方向に移動操作されることにより、用紙搬送方向P(図1参照)に水平移動可能に構成されている。
【0058】
キャップユニット50は、第1水平移動機構による移動操作により、キャップケース52が各記録ヘッド22に着脱可能な着脱位置、又は着脱位置から水平方向に離れた退避位置に位置切り替えられる。記録部20における記録動作時には、キャップユニット50が退避位置に配置される。
【0059】
クリーニング部24は、キャップユニット50の下方で且つ搬送ユニット30の上方(キャップユニット50と搬送ユニット30との間)に配置可能に構成される。クリーニング部24は、キャップユニット50と同様に、キャップユニット50と搬送ユニット30との間に配置された状態において、昇降装置40により搬送ユニット30の昇降に連動して昇降可能に構成される。
【0060】
また、クリーニング部24は、第2水平移動機構(図示せず)により用紙搬送方向Pに対して直交する用紙幅方向Y(図1参照)に水平移動可能に構成される。クリーニング部24は、第2水平移動機構による移動操作により、各記録ヘッド22の下方に配置されて各記録ヘッド22をクリーニングすることが可能なワイプ位置、又はワイプ位置から水平方向に離れた退避位置に切り替えられる。記録部20における記録動作時や、キャップユニット50が記録ヘッド22のノズル面221(図3B図4参照)に装着される場合には、クリーニング部24が退避位置に配置される。
【0061】
以下、図4から図6を参照して、本実施形態のインクジェット記録装置1における特徴部分であるクリーニング部24に関連する構成について説明する。図4は、本実施形態におけるクリーニング部24の構成を示す縦断正面図である。図5は、本実施形態におけるクリーニング部24の構成を示す平面図である。図6は、本実施形態におけるクリーニング部24の構成を示す縦断側面図である。
【0062】
図4から図6に示すように、クリーニング部24は、ワイパーケース26と、ワイパー部材25と、ワイパー支持部材250と、付勢部材としてのコイルバネ270と、一対のガイド部材280と、一対のローラ部材290と、を有する。
【0063】
ワイパーケース26は、上下方向Zにおける上向きに開口する有底の四角筒状に形成される。ワイパーケース26は、クリーニング部移動部27における単一のワイパー支持枠28に固定される。クリーニング部24は、クリーニング部移動部27によりワイパー方向Qに沿って往復移動される。
【0064】
ワイパーケース26の底部には、ワイパーケース26の底部を貫通して上下方向Zの下向きに開口する排出口261が形成されている。この排出口261は、ワイパー部材25によりノズル面221からクリーニングされたインクを、ワイパーケース26の外部に排出する。
【0065】
ワイパー支持部材250は、ワイパー部材25の基端部に固定され、ワイパー部材25を支持する。ワイパー支持部材250は、ワイパー方向Qに直交する方向であるワイパー幅方向Rを長辺とすると共に、ワイパー方向Qを短辺とする長方形状の板部材から形成される。ワイパー幅方向Rは、用紙搬送方向Pと一致する。ワイパー支持部材250は、ワイパーケース26の内部に収容されている。
【0066】
コイルバネ270は、ワイパー支持部材250とワイパーケース26の底面との間に介在される。コイルバネ270は、ワイパー支持部材250を介して、ワイパー部材25を記録ヘッド22のノズル面221へ向けて付勢する。
【0067】
一対のガイド部材280は、ワイパー支持部材250をワイパー方向Qの両側から挟むように配置される。一対のガイド部材280は、下端がワイパーケース26の底面に当接される。一対のガイド部材280は、背面がワイパーケース26の側壁部から内方へ向けて突出された突条部262に当接される。これにより、一対のガイド部材280は、ワイパーケース26に支持される。
【0068】
一対のガイド部材280は、ワイパー支持部材250のワイパー方向Qへの移動を規制する。一対のガイド部材280は、ワイパー方向Qにおいて、互いに対向する一対のガイド面281を有する。
図5に示すように、ガイド面281は、支持部材ガイド面282と、ローラ部材当接面283とを有する。ワイパー支持部材250が一対の支持部材ガイド面282の間に挟まれるように配置されることにより、ワイパー支持部材250は、ワイパー方向Qへの移動が規制される。
【0069】
ローラ部材当接面283には、後述するローラ部材290の外周面が当接される。
ローラ部材当接面283は、支持部材ガイド面282から窪むように形成される溝状の凹部284の底面である。凹部284は、所定幅で上下方向Zに延びている。
【0070】
一対のローラ部材290は、ワイパー支持部材250に対して記録ヘッド22側に配置される。一対のローラ部材290は、一対のガイド部材280の間にワイパー方向Qに並んで配置される。一対のローラ部材290は、ワイパー支持部材250から上方(記録ヘッド22側)へ向けて延びるローラ支持部材251の上端部に回転可能に支持される。
【0071】
一対のローラ部材290は、外周縁が一対のガイド部材280の凹部284に嵌まるように配置される。これにより、一対のローラ部材290は、回転又はスライドすることにより、凹部284に沿って上下方向Zに移動可能である。
【0072】
一対のローラ部材290は、互いの外周面が当接して回転可能であると共に、外周面が一対のガイド部材280のローラ部材当接面283それぞれに当接する。つまり、一対のローラ部材290は、一対のガイド部材280に挟まれた状態である。これにより、一対のローラ部材290は、ワイパー支持部材250及びワイパー部材25のワイパー方向Qにおける位置を規制する。
【0073】
また、一対のローラ部材290は、ローラ支持部材251を介してワイパー支持部材250及びワイパー部材25に接続されている。これにより、一対のローラ部材290は、ワイパー支持部材250及びワイパー部材25を一対のガイド部材280の間において支持する。
【0074】
また、一対のローラ部材290は、互いの外周面が当接しているため、一方のローラ部材290が回転した場合には、その回転力が伝達されて他方のローラ部材290が同時に回転する。一対のローラ部材290は、互いのローラ対が対向する部分において、同じ方向になるように回転する。
【0075】
図5に示すように、一対のガイド部材280及び一対のローラ部材290は、ワイパー幅方向Rに離間して2組配置される。2組の一対のガイド部材280及び一対のローラ部材290は、ワイパー支持部材250の長辺方向(ワイパー幅方向R)における両端部の近傍に配置される。
【0076】
次に、図3A図3B図4及び図7を参照して、第1実施形態のインクジェット記録装置1におけるクリーニング部24の動作について説明する。図7は、本実施形態における記録ヘッド22のノズル面221が傾いている場合のクリーニング部24の動作を説明する図である。
【0077】
図4に示すように、クリーニング部24は、ワイパー部材25の先端253が記録ヘッド22に当接した後に、ノズル面221に沿うワイパー方向Qに移動する。ワイパー部材25は、ワイパー部材25の先端253がコイルバネ270の付勢力によりノズル面221に略一定の力で押し付けられる。これにより、ワイパー部材25は、先端253がノズル面221に略一定の力(線圧)で押し付けられた状態で、ワイパー方向Qに移動してノズル面221をクリーニングする。
【0078】
ここで、記録ヘッド22のノズル面221が小さな傾きを有する場合には、ワイパー部材25は、先端253がノズル面221を押し付ける略一定の力(線圧)を維持した状態で、コイルバネ270の付勢力によりノズル面221の傾きに応じて上下方向Zに移動される。
【0079】
一対のローラ部材290は、ガイド部材280の凹部284に沿って上下方向Zにスムーズに移動可能である。これにより、ワイパー部材25は、各種部品の寸法誤差や組付け誤差等によりノズル面に対するワイパー部材の位置が変化した場合においても、ノズル面のクリーニングを適正に行うことができる。
【0080】
一方、図7に示すように、記録ヘッド22のノズル面221は、ワイパー方向Qに進むにしたがってクリーニング部24側に近づくような(図7における右下がりに)大きな傾きを有する場合がある。このような場合には、ワイパー部材25がワイパー方向Qに進むことによるクリーニング時において、ワイパー部材25の先端253がノズル面221に押し付けられることにより生じる押圧力(線圧)が徐々に大きくなるため、ワイパー部材25が傾く場合がある。
ワイパー部材25が傾く場合には、ワイパー部材25の先端253がノズル面221に押し付けられることにより生じる押圧力は、ワイパー部材25、ワイパー支持部材250及びローラ支持部材251を経て一対のローラ部材290に伝達される。
【0081】
そして、一対のローラ部材290は、その外周面が一対のローラ部材当接面283に接触した状態で、伝達された押圧力により回転される。この場合、一対のローラ部材290は、互いの外周面が当接しているため、互いが対向して当接する部分において同じ回転方向(例えば、図7における上下方向Zの下方向)に回転する。
【0082】
これにより、ワイパー部材25の先端253がノズル面221に押し付けられることにより生じた押圧力を、ワイパー部材25が大きく傾く前に、ワイパー部材25の上下方向Zの運動に変換することができる。その結果、ワイパー部材25は、大きく傾くことが低減される。そのため、ワイパー支持部材250が一対のガイド面281に当接することが低減される。従って、ワイパー部材25は、コイルバネ270の付勢力により、ノズル面221の傾きに応じて記録ヘッド22のノズル面221へ向けて適正な状態で付勢される。
【0083】
特に、一対のローラ部材290の接触面積、及びローラ部材290とガイド部材280との接触面積を小さくすることにより、ワイパー部材25の先端253がノズル面221に押し付けられることにより生じる押圧力を、ワイパー部材25の上下方向Zの運動に効率よく変換することができる。
【0084】
このように、クリーニング部24は、ワイパー部材25の先端253がノズル面221に押し付けられることにより生じる押圧力を、一対のローラ部材290の回転力に変換して、ワイパー方向Qの力を上下方向Zに変換することができる。これにより、ワイパー部材25が大きく傾くことが低減されるため、ワイパー支持部材250が一対のガイド面281に当接することが低減される。従って、クリーニング部24は、ガイド面281に対するワイパー部材25の位置が変化しても、コイルバネ270の付勢力によりワイパー部材25の先端253をノズル面221に略一定の力(線圧)で押し付けて、適正なクリーニングを行うことができる。
【0085】
また、図3A及び図3Bに示すように、本実施形態におけるクリーニング部24は、複数の記録ヘッド22に対応して複数備えられている。そして、複数のクリーニングは、クリーニング部移動部27により一体的に移動される。
従って、複数のワイパー部材25それぞれは、複数のクリーニング部24それぞれが上記構成を有することから、ガイド面281に対するワイパー部材25の位置がそれぞれ異なる場合や、クリーニングの途中でガイド面281に対するワイパー部材25の位置が変化した場合においても、コイルバネ270の付勢力によりワイパー部材25の先端253をノズル面221に略一定の力(線圧)で押し付けて、適正なクリーニングを行うことができる。
【0086】
本実施形態のインクジェット記録装置1によれば、例えば、次のような効果が奏される。
本実施形態のインクジェット記録装置1においては、インク噴射用ノズルが形成されたノズル面221を有する記録ヘッド22と、記録ヘッド22に対して相対的に移動して記録ヘッド22のノズル面221のクリーニングを行うクリーニング部24と、を備え、クリーニング部24は、先端が記録ヘッド22に当接した後に、ノズル面221に沿う方向であるワイパー方向Qに移動するワイパー部材25と、ワイパー部材25を支持するワイパー支持部材250と、ワイパー部材25を記録ヘッド22のノズル面221へ向けて付勢するコイルバネ270と、ワイパー方向Qにワイパー支持部材250を挟むように配置され、互いに対向する一対のガイド面281を有し、ワイパー方向Qへのワイパー支持部材250の移動を規制する一対のガイド部材280と、一対のガイド部材280の間にワイパー方向Qに並んで配置され、外周面が一対のガイド部材280における一対のガイド面281それぞれに当接する一対のローラ部材290と、を有する。
【0087】
そのため、ワイパー部材25の先端253がノズル面221に押し付けられることにより生じる押圧力を一対のローラ部材290の回転に変換して、上下方向Zに変換することができる。これにより、各種部品の寸法誤差や組付け誤差等によりノズル面221に対するワイパー部材25の位置が変化しても、コイルバネ270の付勢力によりワイパー部材25の先端253をノズル面221に略一定の力(線圧)で押し付けて、ノズル面221のクリーニングを適正に行うことができる。
【0088】
また、本実施形態のインクジェット記録装置1においては、一対のローラ部材290は、互いの外周面が当接して回転可能である。
そのため、ワイパー部材25の先端253がノズル面221に押し付けられることにより生じる押圧力の伝達に伴って一方のローラ部材290が回転された場合に、その回転を他方のローラ部材290に伝達させて他方のローラ部材290も同時に回転させることが可能である。これにより、クリーニング部24は、ガイド面281に対するワイパー部材25の位置の変化に対して、ワイパー部材25の先端253がノズル面221に押し付けられることにより生じる押圧力を、ワイパー部材25の上下方向Zの運動に良好に変換することができる。従って、コイルバネ270の付勢力によりワイパー部材25の先端253を、ノズル面221に良好に押し付けることができる。
【0089】
また、本実施形態のインクジェット記録装置1においては、一対のローラ部材290は、ワイパー支持部材250に対して記録ヘッド22側に配置される。
そのため、一対のローラ部材290は、記録ヘッド22に近い位置でワイパー支持部材250及びワイパー部材25を支持すると共に、ワイパー支持部材250及びワイパー部材25のワイパー方向Qの位置を規制する。これにより、一対のローラ部材290は、ワイパー支持部材250及びワイパー部材25を良好に支持することができる。また、一対のローラ部材290は、ワイパー支持部材250及びワイパー部材25のワイパー方向Qの位置を良好に規制することができる。
【0090】
また、本実施形態のインクジェット記録装置1においては、一対のガイド部材280及び一対のローラ部材290は、ワイパー方向Qに直交する方向であるワイパー幅方向Rに離間して2組配置される。
そのため、ワイパー部材25及びワイパー支持部材250を幅方向(ワイパー幅方向)Rの2箇所で支持することができる。これにより、例えば、ワイパー部材25及びワイパー支持部材250が幅方向Rに大きいものであっても、ワイパー支持部材250のワイパー方向Qへの移動を良好に規制できると共に、上述のような押圧力を回転に変換する動作を良好に行うことができる。
【0091】
また、本実施形態のインクジェット記録装置1においては、記録ヘッド22は、複数備えられ、クリーニング部24は、複数の記録ヘッド22に対応して複数備えられ、複数のクリーニング部24を一体的に移動させるクリーニング部移動部27を更に備える。
【0092】
そのため、複数のワイパー部材25それぞれに対して、記録ヘッド22のノズル面221に適正に当接させるための調整を行わなくても、複数のワイパー部材25の先端253を、対応する記録ヘッド22のノズル面221に良好に押し付けることができる。これにより、複数のクリーニング部24は、複数の記録ヘッド22のノズル面221のクリーニングを適正に行うことができる。
【0093】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
例えば、前述の実施形態においては、ワイパー部材25を用紙幅方向Yに沿って移動させてクリーニングを行う構成としたが、ワイパー部材25を用紙搬送方向Pに沿って移動させてクリーニングを行う構成としてもよい。
【0094】
また、前述の実施形態においては、ガイド部材280は、凹部284を有する構成であるが、これに制限されず、凹部284を有さない構成であってもよい。
また、前述の実施形態においては、一対のローラ部材290の外周面は、互いに当接しているが、これに制限されず、互いが離間していてもよい。
【符号の説明】
【0095】
1……インクジェット記録装置、22……記録ヘッド、24……クリーニング部、25……ワイパー部材、27……クリーニング部移動部、221……ノズル面、250……ワイパー支持部材、253……先端、270……コイルバネ(付勢部材)、280…ガイド部材、281……ガイド面、290……ローラ部材、Q……ワイパー方向
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7