【課題を解決するための手段】
【0009】
材料、特に表面の光学的特性を特定する本発明に係る装置は、第1の特定の放射角度で前記材料に放射線を照射する第1の放射装置と、前記材料に対して第1の受光角度で配置され、前記第1の放射装置により前記材料に照射され前記材料より後方散乱された前記放射線の少なくとも一部を受光する第1の放射線検出装置とを有する第1の測定装置を備える。同時に、前記第1の放射線検出装置は、前記第1の放射線検出装置に入射した前記放射線の強度に特有の第1の特徴信号を発する。
【0010】
本発明によれば、前記装置は、
第2の特定の放射角度で前記材料に放射線を照射する(第2の)放射装置と、前記材料に対して第2の
受光角度で配置され、前記第2の
放射装置により前記材料に照射され前記材料より後方散乱された前記放射線の少なくとも一部を受光する(第2の)放射線検出装置とを有する第2の測定装置を備え、前記第2の
放射線検出装置は、入射した前記放射線の局所的分解による評価を可能にし、前記第2の放射線検出装置に当たる前記放射線に特有の少なくとも1つの第2の特徴信号を発する。
【0011】
このように本発明によれば、2つの測定方法を用いて対応する測定を行うことが提案され、それにより一方の測定で他方の測定の結果を検証することができ、その結果、たとえば、第1の測定方法のある特定の結果が異なるのは表面の屈折率の違いのみが原因であると判断することができる。これに関連して、以下に詳述するように、一方の測定装置の1つまたは複数の部材を他方の測定装置において用いてもよい。
【0012】
後方散乱された放射線は、特に反射された放射線である。したがって、第1の放射線検出装置は、強度値のみを出力することが好ましい。それゆえこの場合、必ずしも入射した放射線を局所的に分解した画像を受光する必要はなく、放射線検出器に入射した強度と出射強度とが比較される。この比に基づいて、上述したように表面の性質に関する結論が導かれる。
【0013】
一方、本発明に係る後者の測定方法では、測定装置に入射した放射線を局所的に分解した画像が発せられ、特にこの画像より表面に関する結論を導くことができる。より具体的には、表面を介して検出装置上に絞りを投影し、この画像を局所的に分解して調べることができる。このようにすることにより、表面の光学的特性に関する結論を導くことができる。
【0014】
別の有利な実施形態において、前記装置は、前記第1の
特徴信号および前記第2の
特徴信号を考慮して前記表面に特有の少なくとも1つの値を出力する処理装置を備える。ここで、ある特定の測定において、第1の信号または第2の信号のみを考慮して特徴値を発してもよい。一方、たとえば上述したように、屈折率の違いにより発生する歪みを考慮するため、ある特定の測定において、両信号を考慮して特徴値を出力してもよい。
【0015】
また逆に、この屈折率の違いにより、ある特定の表面で光学的印象が異なることもある。この場合、特に始めに説明した(本発明の文脈では最初に述べた)第2の測定方法では、上述したように屈折率に依存しないためうまくいかない。しかしこの場合、それぞれ第2の測定方法を用いて実際の結果の値を得ることができる。
【0016】
別の有利な実施形態において、前記第1の放射角度および前記第1の受光角度は、前記材料の1つの平均垂線に対して実質的に鏡面反転とされる。これは、第1の測定装置が実質的に反射光を受光することを意味する。材料が表面であり、したがって放射線検出装置が少なくとも反射された放射線を受光することが有利である。また、第2の放射角度および第2の受光角度も互いに実質的に鏡面反転とされることが好ましい。
【0017】
別の有利な実施形態において、前記装置は、前記両測定装置の一部である放射線検出装置を備える。この場合、2つの放射装置を設けることが好ましく、同じ角度で材料に照射を行うことが好ましい。したがって放射線検出装置は、両放射装置に対して表面より後方散乱された光を受光する。
【0018】
別の有利な実施形態において、前記装置は、前記両測定装置の一部である放射装置を備える。この実施形態は、両測定プロセスにおいて検査対象となる表面の全く同じ領域に照射が可能であるという利点を有する。この場合、2つの放射線検出装置を設け、表面より後方散乱された光を異なる角度で受光することが好ましい。
【0019】
別の好ましい実施形態では、放射装置と放射線検出装置がともに両測定装置に含まれる。この場合、一方の測定方法により、ソフトウェア絞りを生成して光全体を検出し、他方の測定方法により、画像評価を用いて絞り画像を局所的に分解して分析することができる。対応するCCDチップの検出領域は測定領域に比べてかなり大きいため、傾斜または湾曲した表面の場合でもカメラチップ上で画像を検出することができ、CCDチップ上のベース領域から外れた領域において評価を行うことができる。
【0020】
このように、全体測定と局所分解測定との組み合わせは、本発明に係るすべての装置または方法に共通することが好ましい。
【0021】
別の有利な実施形態においては、前記第1の放射線検出装置の上流に絞りユニットが配置される。この絞りユニットを用いることで、表面に入射する光のうち、放射線検出装置上の区画された領域、すなわち絞りの内側に入る割合を設定することができる。この絞りユニットは、固定配置されることが好ましい。
【0022】
一方、この絞りはソフトウェアで実装してもよく、たとえばCCDチップ上のある特定の領域のみを評価に用いたり、ある特定数の画素のみを評価したりするように設定してもよい。このようにして、特に簡易な方法で異なる絞りを実装することができる。
【0023】
このように、湾曲が大きい場合に光の一部が放射線検出装置でなく絞りに当たることから、あるいは全空間方向に散乱されることから、表面のいかなる誤差や湾曲も特定することができる。表面が艶消しであるほど、全空間方向に散乱される入射光の割合は高くなる。
【0024】
別の有利な実施形態において、前記装置は、いくつかの異なる要素を特定して前記第2の
特徴信号を分析する評価手段を備える。たとえば、ある特定の画像をフーリエ分析などにより分析してもよく、このために異なるフィルタを用いてもよい。たとえば、ある特定の表面においていくつかの測定値を取得してもよく、これらは検査対象となる表面の異なる空間領域または距離ごとにさらに細分化される。これらの各測定値に対して、それぞれの場合について標準偏差などの統計値を出力し、この細分化に基づいて表面を評価することができる。この方法は独国特許出願公開第102006032404A1号明細書に詳述されており、その内容全体が本出願の開示において参照により包含される。ここで上記装置は、いくつかの異なる要素、特に局所的なフィルタ要素を特定して第2の信号を分析する評価手段を備えることができる。
【0025】
それに加え、上記装置は、異なる角度で表面に照射を行う別の放射装置を備えてもよく、また必要に応じて、異なる角度で表面に対向配置されるいくつかの放射線検出装置を備えてもよい。ここで、特に表面で散乱された光についても検出または評価することができる。このようにして、特に色効果を測定することができる。
【0026】
別の有利な実施形態において、前記装置は、前記第1の
特徴信号および前記第2の
特徴信号を考慮して前記材料の屈折率に特有の値を出力する処理手段を備える。たとえば、ある特定の第1の信号に対応する屈折率を割り当てる表を作成またはベースとして用いてもよく、それぞれ第2の信号を割り当てに考慮し、たとえば、これは2つの異なる表面で変わらないと判定され、光学的印象は同じであるが屈折率は異なるという結論を導くことができる。
【0027】
より具体的には、たとえば2つの異なる表面を検出することができる。第2の信号が同じである場合、これら2つの表面は光学的に同じであるという結論を導くことができる。2つの第1の信号が互いに継続してずれる場合、屈折率が異なるという結論を導くことができる。このようにして、各表面の屈折率に関する結論をいくつかの測定に基づいて導くことができる。
【0028】
別の実施形態では、両測定装置が同じ放射装置および同じ放射線検出装置を用いることができる。ただしこのアプローチでは、使用する特定の測定方法により、局所分解受光器の場合には、異なる絞りまたは異なる位置に配置された絞りが使用または異なって設定される。
【0029】
前記第1の放射装置および前記第2の放射装置は、前記材料または表面の同じ領域に前記放射線を照射することが好ましい。これにより、2つの測定結果の正確な比較性を得ることができる。
【0030】
別の好ましい実施形態において、前記装置は、前記第1の測定装置および前記第2の測定装置に異なる時点で測定を行わせる制御ユニットを備える。ここで、第1および第2の測定装置により、たとえば2つの異なる測定値のうち一方を取得した直後に他方を取得してもよく、そのようにして測定結果の正確な比較性を得ることができる。
【0031】
また、検査対象となる表面に対して装置全体を移動可能とし、表面に対して装置が静止している間に2つの測定を連続して行ってもよい。別の有利な実施形態において、前記装置は、前記放射装置および前記放射線検出装置をともに収容する筐体を備え、この筐体は、前記両放射装置が前記材料に照射を行う開口を1つのみ有する。この実施形態では、外部から混入する光による測定結果の歪みを最小限にすることができる。
【0032】
別の有利な実施形態においては、両測定装置による測定が同一平面内で行われるように放射線検出装置が配置される。言い換えれば、第1の
放射装置により表面に照射され放射線検出装置に戻ってきた光線の光路の面が、第2の放射装置より表面に当たり第2の放射線検出装置上に表面より後方散乱された光線が形成する光路の面と同一とされる。ただし、異なる平面で測定を行ってもよい。
【0033】
表面と放射線検出装置との間の光路内に、v
λ関数に対応するフィルタを配置することが好ましい。
【0034】
さらに本発明は、材料の光学的特性を特定する方法に関し、第1の測定装置は、第1の放射装置を用いて第1の特定の放射角度で前記材料に放射線を照射し、前記材料に対して第1の受光角度で配置された第1の放射線検出装置を用いて、前記第1の放射装置より前記材料に照射され前記材料より後方散乱された前記放射線の少なくとも一部を受光する。この際、前記第1の放射線検出装置は、前記第1の放射線検出装置に入射した前記放射線の強度に特有で、好ましくは前記表面の撮像性質を示す第1の特徴信号を発する。
【0035】
本発明によれば、第2の測定装置は、第2の放射装置を用いて第2の特定の放射角度で前記材料に放射線を照射し、前記材料に対して第2の受光角度で配置された第2の放射線検出装置により、前記第1の放射装置により前記材料に照射され前記材料より後方散乱された前記放射線の少なくとも一部が受光され、第2の放射線検出装置は、入射した前記放射線の局所的分解による評価を可能にし、前記第2の放射線検出装置に入射した前記放射線に特有の少なくとも1つの第2の特徴信号を発する。
【0036】
ここで用いられる「前記放射線の局所的分解による観察」という用語は、強度値を全体の値として出力するのみならず、ある特定の領域を介して放射線を区分すること、または強度の異なる少なくとも2つの地点もしくは領域が区別可能であることを意味すると理解すべきである。これは、たとえばカメラのCCDチップを放射線検出装置として用いて局所的に分割された画像を出力することで行うことができる。このようにして、一次絞り(放射装置と表面との間の絞り)の画像の歪み、拡大、縮小、または傾斜を調べることができる。
【0037】
放射線は、可視光であることが好ましく、標準白色光であることが特に好ましい。ただし、波長の異なる光を出力する2つの放射装置を設けてもよく、その場合、たとえば一部同時であっても2つの測定が互いに影響を与えることはない。
【0038】
別の好ましい方法においては、前記第1の信号および前記第2の信号を考慮して前記材料に特有の少なくとも1つの値が出力される。
【0039】
前記第1の測定装置による測定および前記第2の測定装置による測定は、異なる時点で行われることが好ましい。このようにすることで、測定が互いに影響を与えたり干渉したりするのを避けることができる。このために、クロック制御の光源を用いたり、放射装置と放射線検出装置とを常に互いに同期して作動させたりしてもよい。
【0040】
別の有利な方法によれば、前記第1の測定装置による測定および前記第2の測定装置による測定が前記材料または表面の実質的に同じ領域に対して行われる。