(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
インターネットでオンライン入会を行う場合には、申込者自らがウェブサイトに自己の氏名、住所、年齢、性別、職業、年収などのさまざまな属性情報を入力し、入会申込手続きが行える点で便利である。しかしながら、入力された氏名の人が本当に入会申込手続きを行ったのかを確認することが出来ないため、別途、自署が記載された自署捺印届と、本人確認書類としての身分証明書のコピーなどの送付が必要となる。特に、クレジットカードのように、本人確認に厳密さが要求される場合には上記書類は必須となる。また貸金枠を設定する場合にも必要となる。
【0006】
従って、申込者にとっては、基本的な情報の入力はオンラインで手続きすることが出来るものの、自署捺印届や身分証明書のコピーなどを、別途、クレジットカード会社などに送付しなければならない負担が生じる。また、クレジットカード会社にとっては、別に送付されてくる自署捺印届や身分証明書のコピーの確認を行わなければならず、事務作業の負担に繋がる。
【0007】
一方、店頭で入会申込手続きを行う場合、本人確認や意思確認、貸金枠の設定は容易に行うことが出来る。しかし、記入された申込書に基づいてクレジットカード会社でデータ入力をするため、不備が発生した場合には、後日、申込者との間でやりとりが発生し、これも事務作業の負担となる。また、申込書の原本に基づいて入会データを作成するため、申込書の原本が申込者側に残ることがない一方、クレジットカード会社で申込書の保管を行わなければならない。しかしながら、申込書には個人情報が多く記載されていることから、その保管の取扱いには慎重さが求められ、その点からも事務負担が発生する。
【0008】
以上のように、オンラインでの入会申込手続き、店頭での入会申込手続きのいずれでも一長一短があるのが現状である。そこで、オンラインおよび店頭での入会申込手続きの短所を解消し得る入会申込手続きが待望されている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は上記課題に鑑み、オンラインでの入会申込手続きおよび店頭での入会申込手続きにおける双方の短所を解消し、特にクレジットカード会社にとって負担が軽減される入会支援システムを発明した。
【0010】
第1の発明は、クレジットカードの入会申込手続きを支援する入会支援システムであって、前記入会支援システムは、店頭端末と第1のシステムと第2のシステムとを有しており、前記店頭端末は、クレジットカードの入会申込書に記入した際の電子ペンの筆跡情報を取得して前記第1のシステムへ送る筆跡情報処理部と、前記第1のシステムで前記筆跡情報に対して文字認識処理をした認識結果を、前記第1のシステムから受け付け、前記認識結果に対して確認・修正処理の入力を受け付ける確認・修正処理部と、前記確認・修正がされた認識結果を前記第1のシステムまたは前記第2のシステムへ送る確認情報送信部と、を有しており、前記第1のシステムは、前記店頭端末から前記筆跡情報を受け付ける筆跡情報受付部と、前記筆跡情報に対して文字認識処理を行う文字認識処理部と、前記文字認識処理の認識結果に対して、少なくとも形式的な記入ミスのチェックを含む精査チェック処理を行う精査チェック処理部と、前記精査チェック処理を行った認識結果を前記店頭端末に送る認識結果送信部と、を有しており、前記第2のシステムは、前記店頭端末で確認・修正がされた認識結果を受け付ける確認済情報受付部と、前記受け付けた確認・修正がされた認識結果に基づいて与信判定処理を行う与信判定処理部と、を有する、入会支援システムである。
【0011】
上述のように構成することで、入会申込書に記入ミスなどがあった場合、その場で申込者に修正してもらうことが可能となる。そのため、従来のように、郵送で申込書を返送し、修正依頼を行わずに済む。これは、申込書による入力が電子ペンで行われ、すぐにデータ化することを可能とするので、実現できる。また、オンラインによる入会申込手続きとは異なり、店頭で行われることから、本人確認書類の郵送なども不要となる。そのため、クレジットカード会社にとって事務負担が軽減する。すなわち、従来は、クレジットカード会社側で行われていた処理を、申込と同時に行うことができる。その結果、会員申込時におけるクレジットカード会社の事務負担の軽減による人件費の削減にもつながる。また、郵送で申込書の返送が不要となるし、紙を用いないことなどによるコスト削減の効果も見込める。
【0012】
また、本発明を用いることで、会員の筆跡情報がすぐにデータ化されていることから、申込者や店舗の担当者の自署捺印部分も筆跡が残ることとなる。そのため、申込に対する信頼感を確保することにも繋がる。
【0013】
さらにオンライン入会の場合には、最初からデータ化されているが、その場合、申込書の原本が存在しない。しかしながら本発明では紙媒体の申込書に電子ペンで記入がされることで、原本が存在する。そして申込者にとっては、何らかの問題が発生した場合、すべてがデータ化されているオンライン入会の場合とは異なり、原本が存在することで、原本を基準として争える安心感も発生する。
【0014】
このように、本発明の構成を採ることで、オンラインによる入会申込手続きと店頭での入会申込手続きの双方のデメリットを解消することが出来る。
【0015】
上述の発明において、前記確認・修正処理部は、前記筆跡情報に対して文字認識処理した認識結果のうち、認証情報の項目に対応する認識結果の確認の際に、前記認証情報の項目に対応する認識結果を前記店頭端末の表示装置には表示させず、前記申込者による前記申込書に記入した認証情報の入力を受け付け、該入力を受け付けた認証情報と、前記文字認識処理した認識結果とを比較することで、前記認識結果の正否を判定する、入会支援システムのように構成することができる。
【0016】
認証情報はクレジットカード決済の際に用いる本人を特定する情報である。そのため、その取扱いには注意が必要である。しかしながら本発明のように申込書に記入された認証情報に対して文字認識処理をすることでデータ化する場合、誤認識の可能性がある。そのため、何らかの方法で確認を行わなければならないが、店舗の担当者が行うと、担当者がその認証情報を悪用する可能性は否定できない。また、申込者にとっても安心感が生まれない。そこで、本発明のように認証情報に対する文字認識が誤認識であるかの判定のためには、申込者自らが記入した認証情報を店頭端末で入力することで、誤認識かどうかを確認するとともに、確認に伴う問題を解決することが出来る。
【0017】
上述の発明において、前記確認・修正処理部は、前記判定の結果、不一致が複数回連続した場合、前記店頭端末の入力装置で新たに認証情報の入力を受け付け、前記筆跡情報に対して文字認識処理した認識結果のうち、認証情報の項目に対応する認証結果に代えて、該受け付けた認証情報を新たな認証情報として更新する、入会支援システムのように構成することが出来る。
【0018】
認証情報に対する文字認識処理の結果、それが誤認識であった場合、申込者が入力した認証情報と一致しない。しかし認証情報は、クレジットカード決済の際に用いるため、必須の情報である。そのため、不一致が複数回連続した場合には、文字認識した認識結果を認証情報として用いるのではなく、改めて店頭端末の入力装置で認証情報の入力を申込者が行い、それを新たな認証情報として用いることで、対応することが可能となる。
【0019】
上述の発明において、前記確認・修正処理部は、前記判定の結果、一致した場合、前記申込書に記入した情報のうち、該申込書で隠蔽された項目に対応する認識結果の一部または全部を前記店頭端末の表示装置で表示し、前記表示した項目に対する認識結果の確認・修正の入力を前記申込者から受け付ける、入会支援システムのように構成することができる。
【0020】
本発明のように、申込書に電子ペンで記入され、それがデータ化される場合、申込書に記入された情報の誤認識があるかを確認しなければならない。そのため店頭の担当者がこれらの情報に対する認識結果も目視で確認することが通常であろう。しかしながら、特にクレジットカードの入会の申込書には、たとえば年収や借入枠などの情報も記載されている。これらの情報はクレジットカードの発行のためには必要な情報であるが、本人確認には用いる情報ではないが、誤認識かどうかの確認のためには、担当者が目視で確認を行う必要がある。
【0021】
しかしながら、本人確認以外の情報は出来るだけ知られたくないのが申込者の感覚である。そのため、本発明のように構成することで、認証情報が申込者によって確認された後、隠蔽された情報、つまり本人確認以外の情報の一部または全部の情報を表示させることで、申込者自身で確認・修正を行わせる。これによって、申込者の不安を解消することが出来る。
【0022】
上述の発明において、前記第2のシステムは、さらに、前記確認・修正がされた認識結果の一部または全部の情報と、前記判定した与信枠に関する情報と、前記申込者が記入に用いた申込書の申込書識別情報とを、前記申込者の識別情報に対応づけて記憶するクレジットカード情報記憶部と、申込書識別情報と、口座振替依頼書を識別する口座振替依頼書識別情報とを対応づけて記憶する申込書情報記憶部と、口座振替依頼書における所定のコードを読み取ることで特定した口座振替依頼書識別情報に基づいて前記申込書情報記憶部を参照し、該口座振替依頼書識別情報に対応する申込書識別情報を特定し、特定した申込書識別情報に対応づけて前記口座振替依頼書に記載された口座振替情報を、前記クレジットカード情報記憶部に記憶させる口座設定処理部、とを有する、入会支援システムのように構成することができる。
【0023】
口座振替依頼書を郵送する場合、当該口座振替依頼書がどの申込書に対する情報であるのかを特定する必要がある。そこで本発明のように構成することで、容易に特定することが出来る。
【0024】
上述の発明は、以下のように構成しても同様の技術的効果を達成することが出来る。すなわち、クレジットカードの入会の申込手続きを支援する入会支援システムであって、前記入会支援システムは、第1のシステムと第2のシステムとを有しており、前記第1のシステムは、クレジットカードの入会申込書に記入した際の電子ペンの筆跡情報を受け付け、前記受け付けた筆跡情報に基づいて文字認識処理を行い、前記文字認識処理の認識結果に対して、少なくとも形式的な記入ミスのチェックを含む精査チェック処理を行う精査チェック処理を行ったあと、少なくとも申込者に前記精査チェック処理後の認識結果の確認を行わせ、前記第2のシステムは、前記申込者により確認・修正された前記認識結果に基づいて与信判定処理を行う、入会支援システムのように構成することができる。
【0025】
上述の発明において、前記申込書の申込者記入欄のうち、所定の項目のマス目には間隙部が設けられている、入会支援システムのように構成することが出来る。
【0026】
本発明のように電子ペンを用いる場合、その筆跡情報がデータ化の基本となる。そのため、申込書に記載された文字が重なっていたりすると、誤認識の原因となる。そこで、所定の項目のマス目には間隙部を設けることで、文字を重ねて記入しないように抑止を図ることが出来る。
【0027】
上述の発明において、前記電子ペンは、前記申込書に印字されたドットパターンを読み取ることで筆跡情報を生成し、前記申込書は横長のサイズである、入会支援システムのように構成することができる。
【0028】
電子ペンとして申込書に印字されたドットパターンを読み取ることで筆跡情報を生成する方式、いわゆるアノト方式の電子ペンを用いる場合、縦長の申込書とすると、申込書を記入する際に、申込書が机と体との間に挟まり、折れ曲がる可能性がある。アノト方式では、微細なドットパターンが申込書に印刷されており、これによって筆跡情報を生成するため、折れ曲がりによって位置の正確な特定が行えず、筆跡情報を正確に生成できなくなってしまう。そこで本発明のように横長の申込書を用いることが好ましい。
【0029】
上述の発明は、以下のように構成しても同様の技術的効果を達成することが出来る。すなわち、クレジットカードの入会申込手続きにおける処理方法であり、前記処理方法は、店頭端末と第1のシステムとクレジットカード会社が利用する第2のシステムとを用い、前記店頭端末は、クレジットカードの入会申込書に記入した際の電子ペンの筆跡情報を取得して前記第1のシステムへ送り、前記第1のシステムは、前記店頭端末から前記筆跡情報を受け付けて文字認識処理を行い、前記文字認識処理の認識結果に対して、少なくとも形式的な記入ミスのチェックを含む精査チェック処理を行い、前記精査チェック処理を行った認識結果を前記店頭端末に送り、前記店頭端末は、前記第1のシステムで前記筆跡情報に対して文字認識処理をした認識結果を、前記第1のシステムから受け付け、前記認識結果に対して確認・修正処理の入力を受け付け、前記第2のシステムは、前記店頭端末において確認・修正がされた認識結果に基づいて与信判定処理を行う、クレジットカードの入会申込手続きにおける処理方法のように構成することもできる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の入会支援システムによって、オンラインでの入会申込手続きおよび店頭での入会申込手続きにおける双方の短所を解消し、特にクレジットカード会社にとって、申込手続きにかかる負担が軽減される。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の入会支援システム1の全体の概念を
図1に、機能構成を
図2に示す。
【0033】
本発明における入会の対象となるサービスとしては、クレジットカードの入会の場合を説明する。なお、クレジットカード以外の場合であっても、同様に入会処理を実現することが可能である。
【0034】
本発明の入会支援システム1は、店頭端末2と、店頭端末2で取得した情報に基づいて文字認識処理などを実行する筆跡情報処理システム3と、クレジットカード会社が利用するクレジットカード会社システム4とを有する。
【0035】
店頭端末2、筆跡情報処理システム3、クレジットカード会社システム4は、それぞれ一または複数のサーバやコンピュータにより実現される。各サーバやコンピュータは、プログラムの演算処理を実行するCPUなどの演算装置70と、情報を記憶するRAMやハードディスクなどの記憶装置71と、ディスプレイ(画面)などの表示装置72と、キーボードやポインティングデバイス(マウスやテンキーなど)などの入力装置73と、演算装置70の処理結果や記憶装置71に記憶する情報をインターネットやLANなどのネットワークを介して送受信する通信装置74とを有している。コンピュータ上で実現する各機能(各手段)は、その処理を実行する手段(プログラムやモジュールなど)が演算装置70に読み込まれることでその処理が実行される。各機能は、記憶装置71に記憶した情報をその処理において使用する場合には、該当する情報を当該記憶装置71から読み出し、読み出した情報を適宜、演算装置70における処理に用いる。
図3にサーバやコンピュータのハードウェア構成の一例を模式的に示す。また、店頭端末2、筆跡情報処理システム3、クレジットカード会社システム4は、それぞれ、複数のサーバやコンピュータに、その機能が分散配置されていても良い。
【0036】
本発明における各手段は、その機能が論理的に区別されているのみであって、物理上あるいは事実上は同一の領域を為していても良い。
【0037】
本発明の入会支援システム1では、申込者は申込書10に電子ペンで記入を行う。電子ペンとは、申込者が申込書10に書いた文字や数字、記号などの筆跡をそのまま情報として取り込むことが可能な筆記具である。電子ペンにはさまざまな処理方式がある。
【0038】
電子ペンの一例としては、アノト方式がある。アノト方式とは、申込書10に特殊な配列の小さなドットパターンが印刷されており、電子ペンに内蔵されたカメラがそのドットを読み取ることで、電子ペンで書かれた位置(座標)(申込書10における座標)を特定する。これを一秒間あたり複数回行い、その軌跡を連続的にプロット、結線することで、電子ペンによる筆跡を画像情報として認識する方法である。なおこのドットパターンが申込書10ごとに異なる一意のパターンとすることで、どの申込書10で記入されたかを特定可能にすることも出来る。
【0039】
アノト方式による電子ペンでは、記入終了後に、コンピュータと通信可能なクレードル(電子ペンが挿入されることで電子ペンを載置するスタンドであって、電子ペンと通信して、電子ペンに記憶された上記位置情報を、電子ペンから取得してコンピュータに送る装置)に電子ペンを差し込むことで、電子ペンで読み取った位置情報が有線または無線によりコンピュータに送られる。
【0040】
電子ペンのほかの一例としては、超音波方式がある。この方式は、申込書10に記入を行う際に、ペン先から赤外線と超音波を同時に発信する。それを、一つの赤外線センサーと二つの超音波センサーとを設けたメモリーユニットで受信する。このメモリーユニットは、申込書10の所定の位置、たとえば申込書10の上部付近に設置される。そして、赤外線センサーで赤外線を受信してから、それぞれの超音波センサーで超音波を受信するまでの時間差によりペン先の位置を特定する。この処理を一秒間あたり複数回行い、その軌跡を連続的にプロット、結線することで、電子ペンによる筆跡を画像情報として認識する方法である。この方式による電子ペンでは、メモリーユニットで特定した位置情報が、メモリーユニットから有線または無線によりコンピュータに送られる。
【0041】
また電子ペンのほかの一例としては、電磁誘導方式がある。電磁誘導方式とは、申込書10の下にパッドを敷き、電子ペンのペン先から発せられる微弱電波を、当該パッドで認識する。パッドで認識した位置からペン先の位置を特定する。この処理を一秒間あたり複数回行い、その軌跡を連続的にプロット、結線することで、電子ペンによる筆跡を画像情報として認識する方法である。この方式による電子ペンでは、パッドで特定した位置情報が、パッドから有線または無線によりコンピュータに送られる。
【0042】
以上、電子ペンの代表的な方式について例示したが、これらに限定されるものではなく、如何なる方式の電子ペンを用いても良い。なお、本明細書ではアノト方式による電子ペンの場合を説明するが、ほかの方式の電子ペンであっても、位置の認識の方式が異なるだけであり、店頭端末2で電子ペンの筆跡を示す情報(筆跡情報)を取得した後は、同じ処理となる。
【0043】
電子ペンで記入する対象となる申込書10の一例を
図5に示す。
【0044】
図6に示すように、申込書10には申込者記入欄11、口座振替依頼書12、店舗記入欄13が設けられている。申込者記入欄11には、クレジットカードに入会するのに必要な情報の記入欄が複数設けられており、特に、申込日、クレジットカードのブランド、申込者に関する属性情報(たとえば住所、氏名、性別、生年月日、電話番号、家族構成、住まいに関する情報など)、申込者の収入の有無およびどこから収入を得ているか、無収入の場合には学生なのか、配偶者に収入があるのかを示す情報、申込者の勤務先に関する情報(たとえば勤務先名、所在地、役職名、電話番号、内線、従業員数、入社年月など)、申込者の通学先に関する情報(たとえば学校名、卒業予定年月、内定先の会社名、内定先への入社予定月など)、家族カードの申込者に関する属性情報(氏名、性別、生年月日、続柄など)、与信に対する情報(たとえば年収、借入状況(件数、金額)、融資の利用希望枠など)、暗証番号(認証に用いる情報であればよく、数字のほかに、文字、記号なども含まれる)などの記入欄が設けられている。
【0045】
申込書10の右側には、クレジットカードの口座振替依頼書12、店頭の担当者が記入する本人確認書類の記入欄などが設けられている。口座振替依頼書12は、申込書10からの分離が容易に行えるように、ミシン目が設けられていても良いし、切り取り線が印刷されているだけであっても良い。口座振替依頼書12以外の記入欄、つまり申込者記入欄11と店舗記入欄13では、同一の電子ペンによる記入が行われる。これは、電子ペンで、申込書10に記入された筆跡情報を取得するためである。ただしアノト方式以外の場合には、異なる電子ペンを用いても良い。口座振替依頼書12は、クレジットカードの口座引き落とし処理に用いる銀行口座の振替依頼書であるから、インターネット経由で設定処理(後述)をしない場合に、当該口座依頼書を切り離し、郵送にて送るものである。
【0046】
また重要な情報、すなわち文字認識処理で誤認識が好ましくない箇所については、
図7に示すように、マス目のほかに、マス目の線(
図7ではマス目の右側の線)に沿って間隙部14を設ける。間隙部14は、マス目の線に沿って、所定の色が着色された箇所である。このような間隙部14をマス目に設けることで、申込者が記入の際に、マス目の外にはみ出て文字を記入することを心理的に抑圧することが出来る。その結果、マス目の中に文字が記入されやすくなり、文字認識処理での誤認識を減らすことに繋がる。つまり、文字認識処理を行う場合、文字の筆跡が重なっていたりすると、正確に文字の認識が出来ないが、それを間隙部14を設けることで、抑止できる。
【0047】
店頭端末2は、クレジットカード会社が設ける店頭に設置されるコンピュータであって、申込者が電子ペンで申込書10に記入した筆跡の情報を取得し、それを後述する筆跡情報処理システム3に送る。また、筆跡情報処理システム3で文字認識処理された結果を受け取り、それを店頭端末2で表示することによって、店舗の担当者/申込者による記入内容の確認・修正処理を行う。
【0048】
店頭端末2は、筆跡情報処理部20と確認・修正処理部21と確認情報送信部22とを有する。
【0049】
筆跡情報処理部20は、クレジットカード会社の申込書10に、申込者が電子ペンで記入した筆跡を示す情報である筆跡情報を取得する。また取得した筆跡情報を、所定の筆跡情報処理システム3に送る。
【0050】
確認・修正処理部21は、筆跡情報について筆跡情報処理システム3で文字認識処理がされた認識結果と、自署が必要な部分(署名欄、記入日付など)の画像情報の情報とを、筆跡情報処理システム3から受け取り、それを店頭端末2の所定の表示装置で表示させる。そして、入力結果が正しいかを店頭の担当者および/または申込者に表示することで、確認/修正させ、結果が正しい場合には、「確認」のチェックボックス等を、修正する場合には修正した内容を入力した上で、「確認」のチェックボックス等を選択するなどによって、確認・修正の入力を受け付ける。
【0051】
確認情報送信部22は、確認・修正処理部21で確認および/または修正処理が完了した場合(申込書10に記載された情報を文字認識処理した認識結果に対して、確認や修正処理が完了した場合)、その確認や修正が完了した情報(確認情報)を、店頭端末2から筆跡情報処理システム3に送る。ここでは、確認や修正処理が完了した情報のすべてを店頭端末2から筆跡情報処理システム3に送っても良いし、修正がされた情報のみを送るようにしても良い。なお、確認情報送信部22は筆跡情報処理システム3に送る場合を説明するが、クレジットカード会社システム4に直接送るように構成しても良い。
【0052】
筆跡情報処理システム3は、筆跡情報受付部30と文字認識処理部31と精査チェック処理部32と認識結果送信部33と確認済情報処理部34とを有する。
【0053】
筆跡情報受付部30は、店頭に設置された電子ペンで申込書10に記入がされた際の筆跡情報を、店頭端末2から受け付ける。
【0054】
文字認識処理部31は、筆跡情報受付部30で受け付けた筆跡情報に基づいて、文字認識処理を実行する。すなわち、筆跡情報は、位置情報(座標情報や時間差情報)に基づく筆跡の画像情報であることから、そのままでは処理が行えない。そこで、その画像情報に対して、文字認識処理を実行し、文字情報(なお、本明細書において「文字情報」との記載には、文字のほか、数字、記号、マークなどの各種の情報が含まれる)に変換する。なお、認識した文字情報は、項目ごとに対応づけて一時的に記憶する。項目と文字情報の対応づけは、各項目がどこに記入されるのかがすでに定められているので、文字情報が記入された位置に基づき、対応関係の判定が行える。
【0055】
精査チェック処理部32は、文字認識処理部31で変換後の文字情報に基づいて、精査チェック処理を実行する。精査チェック処理とは、必要な情報が入力されているか、あるいは入力された情報に矛盾はないか、といったクレジットカード会社が入会申込手続きにおいて必要な情報に対して自動的にチェックする処理である。
【0056】
精査チェック処理としては、クレジットカードの入会申込の場合としては、以下の情報が記入されているかを判定する。たとえば、申込日、クレジットカードのブランド、申込者に関する属性情報(たとえば住所、氏名、性別、生年月日、電話番号、家族構成、住まいに関する情報など)、申込者の収入の有無およびどこから収入を得ているか、無収入の場合には学生なのか、配偶者に収入があるのかを示す情報、申込者の勤務先に関する情報(たとえば勤務先名、所在地、役職名、電話番号、内線、従業員数、入社年月など)、申込者の通学先に関する情報(たとえば学校名、卒業予定年月、内定先の会社名、内定先への入社予定月など)、申込者のクレジットカードに対する家族カードの申込者に関する属性情報(氏名、性別、生年月日、続柄など)、与信に対する情報(たとえば年収、借入状況(件数、金額)、融資の利用希望枠など)、暗証番号などの、各情報が存在するかを判定する。なおこれらのすべての情報ではなく、一部であっても良い。ほかにも、持家があることを選択している場合に、住宅ローンがあるかないかの選択がされていない、あるいは賃貸を選択している場合に、賃貸支払があるかないかの選択がされていない、など、ある項目に記入されている場合に、その項目に関連する項目の記入がされているか、を判定する。
【0057】
精査チェック処理としては、上記のように必要な情報が記入されているかの判定のほか、記入されている情報に矛盾がないか、の判定も行う。
【0058】
情報の矛盾のチェック処理については、たとえば、学校に勤務していることを選択している場合に、勤務先としての学校名について、勤務先の欄に記載せず、学生が通学先として記入する欄に記載している場合には、誤った記入が行われているので、エラーとして判定する。またほかにも、郵便番号と住所とが一致するかを判定し、異なる場合には、いずれかが誤っているのでエラーとして判定する。
【0059】
精査チェック処理は、従来、クレジットカード会社の入力センターで申込書10を受領し、手入力またはOCR入力した後、行われていた。しかしその場合、記入ミスがあると、申込者に再度、記入してもらう必要がある。そのため、再度、申込者に返送しなければならず、時間も手間も要していた。しかし、本発明のように文字認識後に精査チェック処理を行うことで、申込者が店頭にいる間に、記入ミスに対する修正が可能となり、迅速に事務作業を行うことが出来る。なお、精査チェック処理を行う処理プログラムは、従来、クレジットカード会社で行われていたものと同様の処理プログラムを用いることが出来る。また、精査チェック処理は、上記に記載したもののほか、クレジットカード会社で定める基準に従ってさまざまなチェック処理を設けることが出来る。
【0060】
認識結果送信部33は、精査チェック処理が終了した後の認識結果の情報として、変換後の文字情報、筆跡情報の画像情報のうちの所定部分の画像情報(たとえば申込者の自署部分、申込日部分、店頭の担当者(本人確認を行った担当者)の自署部分、確認日付部分など)、精査チェック処理のうちエラーがあった箇所の情報などを、店頭端末2に送る。画像情報としては、所定部分の画像情報のほか、全体の画像情報を送っても良い。
【0061】
確認済情報処理部34は、店頭端末2から送信された確認情報を受け付け、申込者による確認が行われたとして、申込書10に記入された筆跡情報の画像情報と、確認・修正された後の文字情報(確認情報)とを確認済情報としてクレジットカード会社システム4に送る。
【0062】
クレジットカード会社システム4は、確認済情報受付部40と確認済情報記憶部41と与信判定処理部42とクレジットカード情報記憶部43と口座設定処理部44と申込書情報記憶部45とを有する。
【0063】
確認済情報受付部40は、筆跡情報処理システム3の確認済情報処理部34から送られた、確認済情報を受け付け、確認済情報記憶部41に記憶させる。
【0064】
確認済情報記憶部41は、確認済情報を記憶する。
図8に確認済情報記憶部41の一例を模式的に示す。また、申込者の筆跡情報である画像情報(またはそのリンク)もイメージ番号(イメージ情報)として記憶しておくと良い。
【0065】
与信判定処理部42は、確認済情報に基づいて、クレジットカードを発行可能かの与信の判定処理を行う。すなわち、判定処理として、確認済情報記憶部41に記憶した確認済情報における年収、職業などの情報に基づいて、クレジットカードの発行が可能か、与信枠としていくらを付与するか、などのクレジットカードで必要な与信の判定処理を行う。与信判定処理は、従来のクレジットカードの与信判定処理と同様で良い。
【0066】
与信判定処理部42において判定処理後、当該申込者に対してクレジットカード会社における申込者の識別情報を割り当て、確認済情報の一部または全部の情報に対応づけてクレジットカード情報記憶部43に記憶させる。申込者の識別情報としては、クレジットカード番号などであることが好ましいがそれに限定するものではない。
【0067】
クレジットカード情報記憶部43は、クレジットカード会社がクレジットカード処理を行うために必要な情報を記憶する記憶部であって、申込者に対して発行するクレジットカード会社における申込者の識別情報に対応づけて、確認済情報の一部または全部の情報を記憶する。また、与信判定処理部42で判定した与信の情報、後述する口座設定情報なども対応づけても良い。クレジットカード番号に対応づける情報としては、確認済情報における、申込者に関する属性情報、申込者の収入の有無およびどこから収入を得ているか、無収入の場合には学生なのか、配偶者に収入があるのかを示す情報、申込者の勤務先に関する情報、申込者の通学先に関する情報、申込者のクレジットカードに対する家族カードの申込者に関する属性情報、与信に対する情報などが記憶される。
図9にクレジットカード情報記憶部43の一例を模式的に示す。
【0068】
またクレジットカード情報記憶部43では、申込者の筆跡情報である画像情報を記憶させる場合、筆跡情報をそのまま記憶しても良いし、申込者が記入に用いた申込書そのものの画像情報も記憶させても良い。その場合、申込書そのものの画像情報に、当該申込者の筆跡情報を重畳して表示させることで、あたかも申込者が申込書に記入した状態と同様の画像情報を閲覧することも出来る。また重畳して表示させるほか、一つの画像情報として記憶させても良い。
【0069】
口座設定処理部44は、クレジットカードの利用金額を引き落とすための銀行口座の情報の設定処理の入力を受け付ける。具体的には申込者から郵送されてきた口座振替依頼書12に基づく銀行口座の情報の入力を受け付け、それをクレジットカード情報記憶部43に記憶する当該申込者の情報に対応づけて記憶させる。
【0070】
申込書情報記憶部45は、申込書10と口座振替依頼書12との対応関係を記憶する。すなわち、アノト方式の電子ペンにおいては、申込書10にそれぞれ特有のドットパターンが印刷されており、それを読み取ることによって、電子ペンの位置座標を識別するとともに、どの申込書10に記入がされたかも特定する。一方、口座振替依頼書12は、後日、郵送にて送付されるため、口座振替依頼書12がどの申込書10に記入された情報に対応するものかを特定するため、申込書10と口座振替依頼書12との対応関係を記憶しておく必要がある。そこで、申込書情報記憶部45は、申込書10を識別する情報と、口座振替依頼書12を一意に識別する識別情報とを対応づけて記憶しておく。申込書情報記憶部45の一例を
図10に模式的に示す。
【0071】
申込書識別情報と口座振替依頼書識別情報との対応関係の記憶は以下のように記憶しておくことが出来る。クレジットカード会社が、申込書10の口座振替依頼書12に割り当てる一意の識別情報(口座振替依頼書識別情報)を発行し、それを申込書10を印刷する印刷会社に情報として渡す。印刷会社では、その口座振替依頼書識別情報をコード化し、口座振替依頼書12の所定箇所、たとえば口座振替依頼書12のクレジット会社使用欄に印刷を行う。このようにして、口座振替依頼書識別情報は、申込書10を一意に識別する申込書識別情報とそれぞれ対応づけられる。この申込書識別情報と口座振替依頼書識別情報の対応関係の情報を印刷会社からクレジットカード会社が受領し、あらかじめそれを申込書情報記憶部45に記憶させておく。
【実施例1】
【0072】
次に本発明の入会支援システム1の処理プロセスを、
図4のフローチャートを用いて説明する。
【0073】
まずクレジットカードに入会を希望する申込者は、その店頭において所定の申込書10を受け取り、申込書10に電子ペンを用いて必要事項の記入をする(S100)。
【0074】
申込者は、店頭に備え付けの電子ペンにより必要事項の記入を行い、記入後の申込書10と電子ペン、本人確認書類である身分証明書を店頭の担当者に提出する。この際に、防犯のため、申込者/担当者は、暗証番号が記入された箇所に目隠しシールを貼付しても良い。また店頭の担当者は、受け取った申込書10に記入漏れがないかを目視で確認をする。そして担当者は、本人確認書類である身分証明書に関する事項、たとえば運転免許証、免許証番号、確認日時などを、申込書10の店舗記入欄13に、当該電子ペンで記入を行う。
【0075】
たとえば記入された申込書10の一例が
図11である。
【0076】
以上のように申込書10への記入が終了すると、電子ペンをクレードルに差し込むことで、申込書10に記入した筆跡情報が、電子ペンからクレードルを介して店舗端末に送られる。この筆跡情報を筆跡情報処理部20で取得する(S110)。そして取得した筆跡情報を、筆跡情報処理部20が、あらかじめ定められた筆跡情報処理システム3に送る。なお、アノト方式の電子ペンの場合、申込書10ごとに異なるドットパターンが印字されている。そのため、どの申込書10に記入がされたかを特定するため、電子ペンは上述の筆跡情報のほか、所定のタイミング(たとえば電子ペンが申込書10に触れた段階など)で所定範囲のドットパターンを読み取っている。読み取ったドットパターンの画像情報も併せて筆跡情報処理システム3に送られる。
【0077】
筆跡情報処理システム3の筆跡情報受付部30で、店頭端末2からの筆跡情報を受け付け、それに基づいて、文字認識処理部31が文字認識処理を行う(S120)。なおどの店頭端末2から送られた筆跡情報かを特定するため、店頭端末2が筆跡情報を送る際には、店頭端末2または店舗を識別する情報(店識別情報)を付加して送る。
【0078】
筆跡情報処理システム3では、どの申込書10で記入がされたかを特定する。すなわち、電子ペンで読み取った所定範囲のドットパターンは、申込書10ごとにすべて異なる配置の組み合わせのドットパターンであることから、読み取ったドットパターンと、各申込書10のドットパターン(各申込書10のドットパターンは、あらかじめ筆跡情報処理システム3に記憶させておく)とを画像的または数式的に比較することで、申込書10から読み取ったドットパターンがどの申込書10のドットパターンに一致するのかを特定する。この結果、どの申込書10に特定されたのかを判定でき、申込書10を識別する申込書識別情報が特定できる。この申込書識別情報は、クレジットカード会社システム4の申込書情報記憶部45に記憶している申込書識別情報と同一の情報である。
【0079】
また申込書識別情報が特定出来ることで、当該申込書のドットパターンを特定出来る。そのため、電子ペンで撮影したドットパターンを内蔵したカメラで読み取ることで、電子ペンで書かれた位置座標を特定できる。それを微細時間毎に行うことでその軌跡を連続的にプロット、結線することで画像情報として筆跡を認識することが出来る。なお本明細書では筆跡情報が画像情報としたが、たとえば軌跡を関数で近似することで、筆跡情報を数式として処理してもよい。
【0080】
以上のような筆跡情報に基づいて、文字認識処理部31において、筆跡情報を文字情報に変換する。
【0081】
そして、文字認識処理部31において変換した文字情報に基づいて、精査チェック処理部32において上述の精査チェック処理を実行する(S130)。そして精査チェック処理が終了後、認識結果の情報として、認識結果送信部33は、項目ごとの変換後の文字情報、筆跡情報の画像情報のうちの所定部分の画像情報(たとえば申込者の自署部分、申込日部分、店頭の担当者の自署部分、確認日付部分)、精査チェック処理の結果の情報などを、店頭端末2に送る。送り先となる店頭端末2の特定は、筆跡情報を受け取った際の店識別情報に基づいて行える。
【0082】
なお、本実施例では精査チェック処理において、郵便番号と住所が不一致であったとする。その場合、不一致である旨の情報がエラー情報として認識結果の情報に付加されて送られている。
【0083】
そして店頭端末2の確認・修正処理部21で筆跡情報処理システム3から受け付けた情報を
図12乃至
図14に示すように、順に表示をする。
【0084】
まず
図12に示すように、画面において、店頭の担当者が記入した店舗記入欄13の文字情報、自署部分、確認日付部分の画像情報を項目ごとに表示をし、申込書10と比較しながら、間違いがないかを目視で確認する。この際に、確認が終わった項目については、それぞれ「確認」のチェックボックスをチェックすることで、確認を行う。そしてすべての項目について確認を終了後、
図13に示すような画面で申込者記入欄11の情報を表示させる。これについても担当者記入欄と同様に、担当者は、申込書10と比較しながら、間違いがないかを目視で確認し、確認をした項目については「確認」のチェックボックスを確認する。そしてこの状態では、精査チェック処理部32において、エラー情報が付加されているので、確認・修正処理部21は、対応する箇所にエラーの表示「再精査」を行う。従って、担当者は当該箇所について入力を店舗端末で修正する。すべての項目について確認を終了後、
図14に示すような画面を項目ごとに表示させ、申込者記入欄11の残りの情報を表示させる。これについても担当者記入欄と同様に、担当者は、申込書10と比較しながら、間違いがないかを目視で確認し、確認をした項目については「確認」のチェックボックスを確認する。
【0085】
以上のように各項目ごとに、筆跡情報処理システム3で文字変換した情報と、申込書10に記載されている情報とが一致しているか(すなわち文字認識処理に誤認識があるか)を担当者がチェックする。なお、明らかな誤認識がある場合には、それを担当者が修正入力し、その入力を確認・修正処理部21で受け付ける。この際に、担当者が修正入力した箇所は、枠の背景色が反転するなど、後にチェックする申込者が容易に認識可能なようにしても良い。
【0086】
次に、このようにして申込書10の記載と筆跡情報処理システム3で変換した文字情報との一致/不一致を判定するが、「暗証番号」については目隠しシールが貼付されているので、担当者は確認をすることが出来ない。そのため、申込書10に電子ペンで記載された暗証番号が、正確に認識されているかを確認できない。また、担当者に確認をさせることは防犯上も好ましくない。
【0087】
そこで、確認・修正処理部21では、
図15に示すような画面から暗証番号(なお暗証番号としては、「数字」のほかに文字、記号などであっても良く、暗証情報であればよい)の入力を受け付ける。たとえば、申込者が店頭端末2の入力装置(たとえばテンキー)などを用いて暗証番号の入力を行い、その入力を確認・修正処理部21で受け付ける。そして、「次へ」のようなボタンが押下されることで、筆跡情報処理システム3から受け付けた、暗証番号欄に記入された筆跡情報を文字変換した情報と、入力装置で入力された暗証番号とを比較する。
【0088】
なお、セキュリティのため、筆跡情報処理システム3での文字変換した情報のうち、店頭端末2に暗証番号の情報を送らないことも考えられる。その場合には、入力装置で入力された暗証番号を筆跡情報処理システム3に送り、問い合わせを行う。すなわち、筆跡情報処理システム3の文字認識処理部31では、認識した結果を一時的に記憶しているので、暗証番号欄に記入された筆跡情報を文字変換した情報(暗証番号の認識結果)と、店頭端末2から受け付けた暗証番号とを比較し、一致または不一致の結果を筆跡情報処理システム3から店頭端末2に返す。
【0089】
このようにして入力装置で入力された暗証番号が一致していた場合には、
図16および
図17に示すような申込内容の確認画面を表示させ、「申込内容確定」のボタンの押下を受け付けることで、確認・修正処理を終了する。
【0090】
一方、暗証番号の比較の結果、不一致である場合には、「暗証番号が一致しません」といった通知を店頭端末2で表示させ、再度、入力を促す。
【0091】
もし所定数回、不一致が連続する場合には、文字認識処理の誤認識の可能性もあることから、店頭端末2の入力装置で、記入した暗証番号の再入力を促し、基本となる暗証番号を再設定する処理を実行する。すなわち、店頭端末2の入力装置で基本となる暗証番号の入力を行い、確認・修正処理部21はその入力を受け付ける。そして筆跡情報処理システム3において暗証番号欄に記入された筆跡情報を文字変換した情報(暗証番号の認識結果)を、入力装置で入力を新たに受け付けた暗証番号で更新する。すなわち、認識された暗証番号に変えて、新たに入力された暗証番号が更新される。
【0092】
なお、入力装置で新たに入力された暗証番号を筆跡情報処理システム3に送っても良い。この場合、筆跡情報処理システム3の文字認識処理部31で受け付けると、文字認識処理部31で一時的に記憶する認識結果のうち、暗証番号の認識結果を、入力を受け付けた暗証番号で更新する。
【0093】
以上のようにして新たに入力を受け付けた暗証番号を、筆跡情報を変換した文字情報である暗証番号の認証結果に代えて更新すると、店頭端末2から再度、暗証番号の入力を受け付け、この入力に基づいて、更新した暗証番号と、受け付けた暗証番号との比較を行う。
【0094】
なお、自動的に暗証番号の再入力を行うほか、店頭端末2の担当者に再入力を促すことを通知し、担当者が所定の操作を行うことで、申込者による暗証番号の再入力を行うようにしても良い。
【0095】
以上のように確認・修正処理が終了後、店頭端末2から、確認情報が、店頭端末2から筆跡情報処理システム3に送られる。そして筆跡情報処理システム3の確認済情報処理部34でそれを受け付けると、クレジットカード会社システム4に送る。確認・修正処理が終了することで、店頭で行える手続きが終了する。そのため、担当者は申込書10を申込者に返却し、申込者は申込書10の原本を持ち帰ることが出来る。
【0096】
クレジットカード会社システム4の確認済情報受付部40でその情報を受け付けると(S150)、確認済情報記憶部41にそれらの情報を記憶させるとともに,与信判定処理部42で与信判定処理を行う(S160)。すなわち、確認済情報の年収、借入額、勤務先などの情報に基づいて、当該申込者に対して付与する与信枠を判定する(S160)。この与信枠の判定にあたっては、個人信用情報照会機関のコンピュータに問い合わせをすることによって行うことも出来る。なお与信枠の判定処理は従来と同様で良い。
【0097】
またすでに借入額が超過しているなど、当該申込者に対して与信枠を付与できない(クレジットカードを発行できない)場合もある。その場合には、クレジットカード会社は、申込者の住所などに対して郵送などにより入会できなかった(クレジットカードを発行できない)旨を通知する。なお、電子メールアドレスなどが申込書10に記載されている場合には、その電子メールアドレスに対して通知をしても良い。
【0098】
以上のようにして与信枠を判定後、与信判定処理部42は、当該判定した与信枠の情報(金額)と、確認済情報のうち一部または全部の情報とを、クレジットカード情報記憶部43に対応づけて記憶させる。
【0099】
そして申込者がクレジットカード会社に対して口座振替依頼書12を送付するのを待ち、口座振替依頼書12を受領すると、口座振替依頼書12における引き落とし口座に関する情報をクレジットカード情報記憶部43に対応づけて記憶させ、入会処理を完了させる(S170)。なお、口座振替依頼書12に記入された情報は、クレジットカード会社の担当者が所定のコンピュータを操作し、口座振替依頼書12のクレジット会社使用欄に印刷されている所定のコードを、バーコードリーダなどで読み取り、また、銀行名、口座番号などの入力を行う。これによって、口座振替依頼書識別情報と、銀行名、口座番号などの決済情報の入力を口座設定処理部44で受け付ける。
【0100】
そして口座設定処理部44では、口座振替依頼書識別情報に基づいて申込書情報記憶部45を参照し、口座振替依頼書識別情報が対応する申込書識別情報を特定し、当該申込書識別情報に対応づけて、銀行名、口座番号などの決済情報を、クレジットカード情報記憶部43に記憶させる。
【0101】
以上のようにしてクレジットカード決済を行うのに必要な情報を取得できるので、クレジットカード会社は、当該申込者に対してクレジットカードを発行する。
【実施例2】
【0102】
以上の実施例では、S140の店頭端末2における修正処理は、原則として店舗の担当者が行い、申込者は暗証番号の入力を行っているだけであった。しかしながら、特にクレジットカードカードの入会申込手続きでは、年収や借入状況など、店舗の担当者であっても知られたくない情報がある。特に対面式で行う場合にはその要望が高まる。また年収や借入状況のほかにも、勤務先など、申込者によっては知られたくない場合もあろう。これは、個人情報に対して関心が高まっている現代においては、対面式のデメリットの一つである。
【0103】
そこで本発明の別の実施形態として、店頭端末2における修正処理(S140)は以下のように構成することができる。
【0104】
すなわち、申込書10の申込者記入欄11のうち、住所、氏名など本人確認以外に必要な情報(あらかじめクレジットカード会社で定めた情報)以外の情報は、申込者が記入後に隠蔽できるように、目隠しシールを貼付するなどにより目視不可能とする。この場合の申込書10の一例を
図18に示す。
【0105】
そして
図18に示す申込書10と電子ペンと本人確認書類とを申込者が店舗の担当者に渡すと、担当者は、隠蔽されていない部分の情報に基づいて本人確認を行い、店舗記入欄13に記入を行う。そして電子ペンをクレードルに差し込むことで、申込書10に記入した筆跡情報が、電子ペンからクレードルを介して店頭端末2に送られる。この筆跡情報を筆跡情報処理部20で取得し、筆跡情報処理部20が、あらかじめ定められた筆跡情報処理システム3に送る。
【0106】
筆跡情報処理システム3の筆跡情報受付部30で、店頭端末2からの筆跡情報を受け付け、それに基づいて、文字認識処理部31が文字認識処理を行う。そして、文字認識処理部31において、筆跡情報に基づいて文字情報に変換した文字情報に基づいて、精査チェック処理部32において上述の精査チェック処理を実行する。そして精査チェック処理が終了後、認識結果の情報として、認識結果送信部33は、項目ごとの変換後の文字情報、筆跡情報の画像情報のうちの所定部分の画像情報(たとえば申込者の自署部分、申込日部分、店頭の担当者の自署部分、確認日付部分)、精査チェック処理の結果の情報などを、店頭端末2に送る。
【0107】
そして店頭端末2の確認・修正処理部21では、筆跡情報処理システム3から受け付けた情報のうち、まず、店舗記入欄13を
図12と同様にして表示し、確認・修正処理を行う。次に、申込書10の申込者記入欄11で目隠しシールなどにより隠蔽されていない情報(本人確認に用いる情報など)の項目だけの表示を行う。そして実施例1と同様に、担当者はその認識結果を確認し、誤認識がなければ「確認」のチェックボックスをチェックする。
【0108】
そして担当者が確認後、
図15に示すような暗証番号の入力画面を表示させる。そして申込者による暗証番号の確認処理を実施例1と同様に実行する。
【0109】
そして暗証番号の確認処理が終了後、そのまま申込書10の申込者記入欄11のうち、シールなどにより隠蔽されている情報の項目、たとえば勤務先、年収、借入状況などを画面に表示させ、申込者自身によって、その認識結果を確認させる。この状態を
図20に示す。すなわち申込者に「確認」のチェックボックスをチェックさせる。この入力を店頭端末2の入力装置で行い、それを確認・修正処理部21で受け付ける。
【0110】
なお誤認識があった場合には、店頭端末2の入力装置から入力を行い、それを確認・修正処理部21で受け付けると良い。
【0111】
そしてすべての項目について確認の処理(修正の処理)が終了後、店頭端末2から、確認情報が、店頭端末2から筆跡情報処理システム3に送られる。そして筆跡情報処理システム3の確認済情報処理部34でそれを受け付けると、クレジットカード会社システム4に送る。
【0112】
以上のような処理とすることで、申込者があまり知られたくない情報を、店舗の担当者にも知らせずに入会申込手続きを行うことが出来る。
【実施例3】
【0113】
上述の各実施例に加え、申込者が口座振替依頼書12を郵送する代わりに、電子ペンで口座振替に関する情報を記入することで設定処理を行えても良い。
【0114】
この場合、口座振替に必要な情報、すなわち銀行名、口座番号などの情報も、申込者の入会申込時に記入を行う。これによって、銀行名、口座番号などの情報も筆跡情報として電子ペンで読取り、自動的に処理を行うことが出来る。また銀行名、口座番号などの情報も店舗の担当者に知られたくない情報である。そのような場合には、実施例2のように、口座振替の情報を記入する欄も目隠しシールなどで隠蔽し、申込者のみが確認可能としても良い。
【実施例4】
【0115】
上述の申込書10は、基本的にはどのようなサイズ、形状であっても良いが、電子ペンとしてアノト方式を用いる場合には、通常の申込書10よりも大きなサイズ、たとえばA3横長のサイズとすることが好ましい。
【0116】
電子ペンによる記入の場合、電子ペンの細かい位置情報を判定しなければならないので、通常の申込書10よりも大きなサイズとすることで、記入する文字を大きくし、筆跡情報の認識精度の向上につなげる。
【0117】
また、アノト方式の電子ペンの場合、申込書10に印刷されたドットパターンを読み取ることで、どの申込書10での記入かを特定するが、ドットパターンは非常に微細な間隔で印刷されていることから、申込書10が折れ曲がると、正確にドットパターンを読み取れず、筆跡情報にずれが生じかねない。特に、上述の理由から申込書10を大きなサイズとすることで、折れ曲がりが発生しやすい。たとえば、申込書10を縦長のサイズとすると、電子ペンで記入を行う際に、申込書10が記入するための机と体の間に挟まり、折れ曲がってしまう。そこで、本発明の申込書10では横長の申込書10が好ましい。
【実施例5】
【0118】
アノト方式の電子ペンを用いる場合、申込書のドットパターンによってどの申込書であるかを特定出来る。申込書の裏面には会員規約が一般的に印刷されている。従って、申込書のドットパターンを用いることで、会員規約の版を特定することが出来る。
【0119】
すなわち、クレジットカード情報記憶部43に申込書識別情報をさらに記憶させておく。そして会員規約の版とその版を印刷した申込書の申込書識別情報の対応関係の記憶手段を設ける。これによって、会員となった申込者から何らかの問い合わせがあり、当該申込者の会員の版を特定しなければならない場合、クレジットカード番号などに基づいてクレジットカード情報記憶部43を参照することで当該申込者が用いた申込書識別情報を特定する。そして申込書識別情報と会員規約の版との対応関係の記憶手段を参照することで、当該会員となった申込者に適用される会員規約の版を特定することが出来る。