(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
かつらを装着する場合、一般的に、接着によりかつらを装着者の頭部に固定する手法や、ストッパによりかつらを装着者の自毛に固定する手法(例えば、特許文献1〜3参照)がとられている。
【0003】
特許文献1に記載されたかつら用ストッパでは、基材の両端において支持された一対の挟持部材は、基材から突出する突出部を有し、この突出部において平板状の押さえ部材により位置決めされた状態で毛髪を挟持する。
【0004】
特許文献2及び3に記載されたかつら用ストッパでは、櫛歯は、櫛歯が設けられた押さえ片と、基板とがそれらの一端において係止された状態で毛髪を挟持する。
なお、かつら以外の用途に用いられる単なる髪止め具も様々なものが提案されている(例えば、特許文献4〜6参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、かつら用ストッパは、かつらの内側に配置されるため、かつらや自毛が邪魔をし、単なる髪止め具と比較して自毛の挟持を解除するのが困難である。
しかしながら、上記特許文献1に記載されたかつら用ストッパは、自毛の挟持を解除する場合、一対の挟持部材をそれぞれ手で開いて位置決め部材による位置決めを解除する必要があるため、かつらを取り外すのに手間がかかる。
【0007】
また、上記特許文献2および3に記載されたストッパは、自毛の挟持を解除する場合、押さえ片と基板とを、それらの一端において一方を他方から引き離すようにして係止を解除する必要があるため、かつらを取り外すのに手間がかかる。
【0008】
本発明の目的は、かつらの着脱を容易にすることができるかつら用ストッパ及びかつらを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のかつら用ストッパは、ベースプレートと、このベースプレートの両端において回動可能に支持され、毛髪を挟持する挟持位置及びそこから退避した開放位置に回動する一対の櫛歯部と、これら一対の櫛歯部を上記挟持位置において係止する櫛歯係止部と、を備え、上記櫛歯係止部は、上記ベースプレートの上記櫛歯部とは反対側の面の中央において押圧されることで、上記櫛歯部を係止する位置から退避する。
【0010】
また、上記かつら用ストッパにおいて、上記櫛歯係止部は、上記一対の櫛歯の両方をこれら櫛歯の幅方向の一端において係止する第1の係止部と、上記一対の櫛歯の両方をこれら櫛歯の幅方向の他端において係止する第2の係止部と、を含むようにしてもよい。
【0011】
また、上記かつら用ストッパにおいて、上記第1の係止部及び上記第2の係止部は、上記ベースプレートにおいて回動可能に支持され、上記一対の櫛歯部が嵌め込まれこれら一対の櫛歯部を係止する係止位置と、上記ベースプレートの上記櫛歯部とは反対側の面の中央において押圧されて上記一対の櫛歯部の係止を解除する解除位置とに回動するようにしてもよい。
【0012】
また、上記かつら用ストッパにおいて、上記第1の係止部及び上記第2の係止部を上記ベースプレートに対し回動可能に保持する係止部保持具を更に備えるようにしてもよい。
本発明のかつらは、人工毛髪又は人毛を植設されたかつらベースと、このかつらベースに取付けられた、上記のかつら用ストッパと、を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、かつらの着脱を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施の形態に係るかつら用ストッパの櫛歯開放状態を示す平面側斜視図である。
【
図2】本発明の一実施の形態に係るかつら用ストッパの櫛歯挟持状態を示す平面側斜視図である。
【
図3】本発明の一実施の形態に係るかつら用ストッパの櫛歯開放状態を示す平面図である。
【
図4】本発明の一実施の形態に係るかつら用ストッパの櫛歯開放状態を示す正面図である。
【
図5】本発明の一実施の形態に係るかつら用ストッパの櫛歯開放状態を示す右側面図である。
【
図6】本発明の一実施の形態に係るかつら用ストッパの櫛歯開放状態を示す底面側斜視図である。
【
図7】本発明の一実施の形態の変形例に係るかつら用ストッパの櫛歯開放状態を示す底面側斜視図である。
【
図8】本発明の一実施の形態に係るかつらを示す底面図である。
【
図9】本発明の他の実施の形態に係るかつら用ストッパの櫛歯開放状態を示す平面側斜視図である。
【
図10】本発明の他の実施の形態に係るかつら用ストッパの櫛歯開放状態から櫛歯挟持状態への移行過程を示す平面側斜視図である。
【
図11】本発明の他の実施の形態に係るかつら用ストッパの櫛歯挟持状態を示す平面側斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態に係るかつら用ストッパ及びかつらについて、図面を参照しながら説明する。
<一実施の形態>
図1は、本発明の一実施の形態に係るかつら用ストッパ10の櫛歯開放状態(P2)を示す平面側斜視図である。
【0016】
図2は、かつら用ストッパ10の櫛歯挟持状態(P1)を示す平面側斜視図である。
図3〜
図6は、かつら用ストッパ10の櫛歯開放状態(P2)を示す平面図、正面図、右側面図、及び底面側斜視図である。
【0017】
かつら用ストッパ10は、ベースプレート11と、一対の櫛歯部12,13と、櫛歯係止部の一例である第1の係止部14及び第2の係止部15と、係止部保持具16と、を備え、例えば金属からなる。かつら用ストッパ10の材質は、プラスチックやその他の材質であってもよい。
【0018】
ベースプレート11は、例えば長手方向である左右方向の両端において一対の櫛歯部12,13を回動可能に支持(軸支)する軸支部11a,11bを有する。
また、ベースプレート11は、前後方向の両端において第1の係止部14及び第2の係止部15を回動可能に支持(軸支)する軸支部11c,11dを有する。
【0019】
また、ベースプレート11には、長手方向(左右方向)に延びる角丸の長孔11eが左右それぞれに3つずつ前後方向に並んで設けられている。この長孔11eは、軽量化のため、或いは、金属探知機への反応を抑えるために設けられる。
【0020】
一対の櫛歯部12,13は、上記の軸支部11a,11bにおいてベースプレート11の両端において回動可能に支持され、毛髪を挟持する
図2に示す挟持位置(P1)と、そこから退避した
図1,3〜6に示す開放位置(P2)とに回動する。
【0021】
一対の櫛歯部12,13は、複数本の櫛歯12a,13aと、これらを先端と基端との間の位置で連結する連結部12b,13bと、を有する。
図2に示すように、櫛歯部12,1の挟持位置(P1)において、櫛歯12aと櫛歯13aとは先端が前後方向に交互に並ぶように位置する。なお、
図1及び
図4に示すように、櫛歯12a,13aの先端は、ベースプレート11側に湾曲している。このように湾曲させているのは、安全性のため、或いは、毛髪を確実に挟持するためである。そのため、ベースプレート11は、櫛歯部12,13側の面の中央が櫛歯12a,13aの先端の湾曲部分を収容する凹形状となるように、長手方向において湾曲していることが望ましい。
【0022】
第1の係止部14は、爪部14a,14bによって一対の櫛歯12,13の両方を櫛歯の幅方向(前後方向)の一端(前端)において係止する。第2の係止部15は、爪部15a,15bによって一対の櫛歯12,13の両方を櫛歯の幅方向(前後方向)の他端(後端)において係止する。
【0023】
第1の係止部14及び第2の係止部15は、上記の軸支部11c,11dにおいてベースプレート11の前後方向の両端において回動可能に支持される。軸支部11c,11dには、例えば巻きバネが設けられ、第1の係止部14及び第2の係止部15は、後述する係止側(係止位置側)に付勢されている。
【0024】
第1の係止部14及び第2の係止部15は、
図2に示すように一対の櫛歯部12,13が嵌め込まれ一対の櫛歯部12,13を係止する係止位置と、ベースプレート11の櫛歯部12,13(裏面側)とは反対側(表面側)の面の中央の被押圧部分14c,15cにおいて押圧されて一対の櫛歯部12,13の係止を解除する解除位置とに
図5に示すように回動する。なお、第1の係止部14及び第2の係止部15は、上述のように係止側(係止位置側)に付勢されているため、被押圧部分14c,15cを押圧されているときだけ解除位置にある。この被押圧力部分14c,15cは、第1の係止部14及び第2の係止部15のそれぞれに設けられていなくとも、第1の係止部14と第2の係止部15とが同期移動可能に互いに連結されている場合には一方のみに設けることもできる。また、第1の係止部14及び第2の係止部15bの両方に連結された部材を被押圧部分とすることもできる。
【0025】
なお、第1の係止部14及び第2の係止部15は、係止部保持具16の爪部16a,16bによって回動可能に保持される。
係止部保持具16は、
図6に示すようにベースプレート11の裏面側において櫛歯12a,13aと直交するように延びる。係止部保持具16の両端には、爪部16a,16bが設けられ、これら爪部16a,16bは、ベースプレート11の表面側に突出して第1の係止部14又は第2の係止部15を保持する。
【0026】
図7(変形例)に示すように、一対の櫛歯部12,13のそれぞれとベースプレート11との間には、ベースプレート11に接着された例えば、筒形状、柱形状、又はシート形状の滑り止め部材17,18を配置するようにしてもよい。
【0027】
また、上述のかつら用ストッパ10は、
図8に示すように人工毛髪(又は人毛)120を植設されたかつらベース110を備えるかつら100において、例えば前後左右の4つかつらベース20に取付けられる。なお、かつら用ストッパ10をかつらベース110に取り付ける数は、1つ以上であればいくつでもよい。
【0028】
以上説明した本実施の形態では、櫛歯係止部の一例である第1の係止部14及び第2の係止部15は、一対の櫛歯部12,13を
図2に示す挟持位置(P1)において係止する。また、第1の係止部14及び第2の係止部15は、ベースプレート11の櫛歯部12,13(裏面側)とは反対側(表面側)の面の中央(被押圧部分14c,15c)において押圧されることで、櫛歯部12,13を係止する位置から退避する。
【0029】
そのため、かつら用ストッパ10は、かつら100(かつらベース110)の内側に配置されるが、かつら100の外側からかつら用ストッパ10(ベースプレート11)の中央を押圧するという簡単な作業で、櫛歯12,13を挟持位置(P1)から開放位置(P2)に退避させることができる。
【0030】
よって、本実施の形態によれば、かつら100の着脱を容易にすることができる。
また、本実施の形態では、櫛歯係止部14,15は、一対の櫛歯12,13の両方を櫛歯の幅方向の一端(前端)において係止する第1の係止部14と、一対の櫛歯12,13の両方を櫛歯の幅方向の他端(後端)において係止する第2の係止部15と、を含む。そのため、簡素な構成で確実に櫛歯部12,13を係止し、ひいては、確実に自毛を挟持することができる。
【0031】
また、本実施の形態では、第1の係止部14及び第2の係止部15は、ベースプレート11(軸支部11c,11d)において回動可能に支持され、一対の櫛歯部12,13が嵌め込まれ一対の櫛歯部12,13を係止する
図2に示す係止位置と、ベースプレート11の櫛歯部12,13(裏面側)とは反対側(表面側)の面の中央の被押圧部分14c,15cにおいて押圧されて一対の櫛歯部12,13の係止を解除する解除位置とに回動する。そのため、より簡素な構成で確実に櫛歯部12,13を係止し、ひいては、確実に自毛を挟持することができる。
【0032】
また、本実施の形態では、単一の係止部保持具16が第1の係止部14及び第2の係止部15をベースプレート11に対し回動可能に保持する。そのため、簡素な構成で確実に櫛歯部12,13を保持することができる。
【0033】
図9は、本発明の他の実施の形態に係るかつら用ストッパ20の櫛歯開放状態(P2)を示す平面側斜視図である。
図10は、かつら用ストッパ20の櫛歯開放状態(P2)から櫛歯挟持状態(P1)への移行過程を示す平面側斜視図である。
【0034】
図11は、かつら用ストッパ20の櫛歯挟持状態(P1)を示す平面側斜視図である。
本実施の形態では、上述の一実施の形態と相違する点を説明し、共通する点については説明を省略する。
【0035】
かつら用ストッパ20は、ベースプレート21と、一対の櫛歯部22,23と、櫛歯係止部の一例である第1の係止部24及び第2の係止部25と、係止部保持具26と、を備える。
【0036】
ベースプレート21の軸支部21a,21bは、上述の一実施の形態と同様に一対の櫛歯部22,23を回動可能に支持(軸支)するが、第1の係止部24及び第2の係止部25を回動可能に支持(軸支)する軸支部21c,21dは、前後方向の両端ではなく、ベースプレート21の中央に設けられた中央矩形孔21eの前端及び後端に設けられている。なお、本実施の形態のベースプレート21には、長孔(11e)は設けられていない。
【0037】
一対の櫛歯部22,23の櫛歯22a,23aは、櫛歯部22,23の先端側の一部のみに設けられ、櫛歯部22,23の櫛歯23a,23bよりも基端側には平面部22b,23bが形成されている。
【0038】
第1の係止部24及び第2の係止部25は、互いに異なる係止部保持具26,27によって回動可能に保持されている。これら係止部保持具26,27は、ベースプレート21の中央矩形孔21eの前端で且つ第1の係止部24に形成された矩形孔24aの前端と、ベースプレート21の中央矩形孔21eの後端で且つ第2の係止部25の矩形孔25aの後端と、に設けられている。
【0039】
本実施の形態の第1の係止部24及び第2の係止部25の被押圧部分24b,25bは、矩形孔24a,25aよりもベースプレート21の中央側である。
以上説明した本実施の形態においても、櫛歯係止部の一例である第1の係止部24及び第2の係止部25は、一対の櫛歯部22,23を
図11に示す挟持位置(P1)において係止する。また、第1の係止部24及び第2の係止部25は、
図10及び
図9に示すようにベースプレート21の櫛歯部22,23(裏面側)とは反対側(表面側)の面の中央(被押圧部分24c,25c)において押圧されることで、櫛歯部22,23を係止する位置から退避する。
【0040】
そのため、本実施の形態によっても、かつらの着脱を容易にすることができる。