特許第5808621号(P5808621)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5808621
(24)【登録日】2015年9月18日
(45)【発行日】2015年11月10日
(54)【発明の名称】オイルストレーナ構造
(51)【国際特許分類】
   F01M 11/03 20060101AFI20151021BHJP
【FI】
   F01M11/03 G
   F01M11/03 H
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-193892(P2011-193892)
(22)【出願日】2011年9月6日
(65)【公開番号】特開2013-53600(P2013-53600A)
(43)【公開日】2013年3月21日
【審査請求日】2014年7月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390026538
【氏名又は名称】ダイキョーニシカワ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100083013
【弁理士】
【氏名又は名称】福岡 正明
(72)【発明者】
【氏名】小口 智弘
(72)【発明者】
【氏名】半田 友久
(72)【発明者】
【氏名】柿迫 雄一
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 博巳
(72)【発明者】
【氏名】二宮 秀雄
【審査官】 木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−279580(JP,A)
【文献】 特開平09−206518(JP,A)
【文献】 特開2009−108765(JP,A)
【文献】 特開2008−051055(JP,A)
【文献】 特開2008−080312(JP,A)
【文献】 特開2008−232017(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0250410(US,A1)
【文献】 米国特許第05817236(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0042185(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0078712(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01M 11/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンのオイルパン内に配置されるオイルストレーナは、内部にエンジンオイルの流路を形成するハウジングと、前記流路の上流側端部において前記ハウジングに設けられた吸い込み口と、前記流路の下流側端部において前記ハウジングに設けられ、オイルポンプの吸い込み口に接続される吐出口と、前記流路を通過するエンジンオイルをろ過するために前記ハウジングの内部を上下に仕切るように該ハウジング内に設けられたメッシュスクリーン部とを備え、
前記ハウジング内の前記流路と前記メッシュスクリーン部とが、前記エンジンが車両に搭載された状態において略水平方向に沿って配置されるように設けられたオイルストレーナ構造であって、
前記ハウジングは、樹脂製のアッパケースの下端開口部周縁と樹脂製のロアケースの上端開口部周縁とが溶着により接合されることで形成され、
前記メッシュスクリーン部は樹脂からなり、
前記メッシュスクリーン部は、第1の高さに略同一面上に配設される下側メッシュ部と、第1の高さよりも高く且つ前記ハウジングの天井面との間に前記流路を確保する第2の高さに略同一面上に配設される上側メッシュ部と、前記下側メッシュ部を複数のメッシュ部に区分するフレーム部と、該フレーム部の一部から立ち上がり且つ上端部において前記上側メッシュ部を支持する縦壁部とを有し、
前記フレーム部は、前記複数の下側メッシュ部全体の外周部を取り囲む枠状の外周フレーム部を含み、
該外周フレーム部は、前記アッパケースの下端開口部周縁または前記ロアケースの上端開口部周縁の内周面に全周に亘って形成された凹部に嵌着されていることを特徴とするオイルストレーナ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンのオイルパンに配設されるオイルストレーナの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な車両用エンジンにおいて、エンジンオイルはオイルパン内からオイルポンプによって汲み上げられて、潤滑や冷却等のためにエンジン内の各部に供給される。また、オイルパン内には、オイルポンプの吸い込み口に接続されたオイルストレーナが配設されており、オイルパン内のエンジンオイルは、オイルストレーナを経由してオイルポンプに吸い込まれるようになっている。
【0003】
例えば特許文献1に開示されているように、オイルストレーナの内部にはメッシュスクリーン部が設けられており、エンジンオイルがオイルストレーナを通過する際、該エンジンオイルに含まれる比較的大きな不純物はメッシュスクリーン部に捕集され、これにより、ある程度ろ過されたエンジンオイルがオイルポンプに吸い込まれるようになっている。なお、通常、オイルポンプの下流側には、オイルストレーナのメッシュスクリーン部よりも目の細かいオイルフィルタが設けられており、該オイルフィルタによってさらにろ過されたエンジンオイルがエンジンの各部に供給される。
【0004】
従来の一般的な構造において、オイルストレーナは、その吸い込み口に比べてオイルポンプとの接続部が高くなるように傾斜して設けられる。このようにオイルストレーナを傾斜して配設した場合、オイル交換のためにオイルパンからエンジンオイルを抜き取る作業中において、オイルストレーナ内及びこれより上方のオイル供給経路内のエンジンオイルは、自重により下方へ流れることで、オイルストレーナの吸い込み口から円滑に排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−262910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、設計の都合上、オイルストレーナをオイルパン内において水平方向に沿って配設せざるを得ない場合がある。
【0007】
例えば、オイルポンプや該オイルポンプに駆動連結されたバランサユニットが、シリンダブロックの下面に取り付けられて、オイルパン内に収容される場合、該オイルパン内においてオイルストレーナを収容可能な高さ範囲が非常に限定されてしまう。そのため、この場合、上記のようにオイルストレーナを傾斜して配設することが困難となり、オイルストレーナを略水平方向に沿って配設せざるを得なくなるため、これに伴って、該オイルストレーナ内部のメッシュスクリーン部も略水平方向に沿って配設されることとなる。
【0008】
しかしながら、オイルストレーナ及びその内部のメッシュスクリーン部が略水平方向に沿って配設されると、オイル交換のためにオイルパンからエンジンオイルを抜き取る際、メッシュスクリーン部よりも上側のエンジンオイルが下方へ落下し難くなり、該エンジンオイルがオイルストレーナの吸い込み口から十分に排出されない現象が生じることがある。この場合、エンジン内に多量の古いエンジンオイルが残留した状態でオイル交換が行われることとなり、オイル交換したにも拘わらず、エンジン内のエンジンオイル全体に占める新規オイルの比率が低くなる問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、オイルパン内においてオイルストレーナが略水平方向に沿って配設される場合において、オイル交換の際、オイルストレーナの吸い込み口からエンジンオイルを円滑に排出することができるオイルストレーナ構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明に係るオイルストレーナ構造は、次のように構成したことを特徴とする。
【0011】
願の請求項1に記載の発明は、
エンジンのオイルパン内に配置されるオイルストレーナは、内部にエンジンオイルの流路を形成するハウジングと、前記流路の上流側端部において前記ハウジングに設けられた吸い込み口と、前記流路の下流側端部において前記ハウジングに設けられ、オイルポンプの吸い込み口に接続される吐出口と、前記流路を通過するエンジンオイルをろ過するために前記ハウジングの内部を上下に仕切るように該ハウジング内に設けられたメッシュスクリーン部とを備え、
前記ハウジング内の前記流路と前記メッシュスクリーン部とが、前記エンジンが車両に搭載された状態において略水平方向に沿って配置されるように設けられたオイルストレーナ構造であって、
前記ハウジングは、樹脂製のアッパケースの下端開口部周縁と樹脂製のロアケースの上端開口部周縁とが溶着により接合されることで形成され、
前記メッシュスクリーン部は樹脂からなり、
前記メッシュスクリーン部は、第1の高さに略同一面上に配設される下側メッシュ部と、第1の高さよりも高く且つ前記ハウジングの天井面との間に前記流路を確保する第2の高さに略同一面上に配設される上側メッシュ部と、前記下側メッシュ部を複数のメッシュ部に区分するフレーム部と、該フレーム部の一部から立ち上がり且つ上端部において前記上側メッシュ部を支持する縦壁部とを有し、
前記フレーム部は、前記複数の下側メッシュ部全体の外周部を取り囲む枠状の外周フレーム部を含み、
該外周フレーム部は、前記アッパケースの下端開口部周縁または前記ロアケースの上端開口部周縁の内周面に全周に亘って形成された凹部に嵌着されていることを特徴とする。
【0012】
なお、請求項1に記載された「略水平方向」という文言には、水平方向に対して上方または下方へある程度(例えば15度以下の小さな角度分だけ)傾斜した方向も含まれるものとする。
【発明の効果】
【0015】
まず、請求項1に記載の発明によれば、オイルストレーナのハウジング内に設けられたメッシュスクリーン部が、比較的低く配置される下側メッシュ部と、比較的高く配置される上側メッシュ部とを有するため、これらのメッシュ部の高低差により、メッシュスクリーン部の上方に残留したエンジンオイルの水頭圧は、下側メッシュ部に比べて上側メッシュ部の方が低くなる。そのため、オイル交換のためにオイルパンの内部からエンジンオイルが抜き取られる際、比較的低圧の上側メッシュ部において、下側の空気が該上側メッシュ部の上側へ入り込みやすくなるため、前記エンジンオイルがメッシュスクリーン部のうちの主に下側メッシュ部を通過して下方へ落下しやすくなる。よって、オイルストレーナの吸い込み口からエンジンオイルを円滑に排出することができ、オイル交換後のエンジン内における新規オイルの比率を高めることができる。
【0016】
また、上側メッシュ部は、ハウジングの天井面との間にエンジンオイルの流路を確保する高さに配設されるため、上側メッシュ部からのエンジンオイルの吸い込みを確実にでき、メッシュスクリーン部全体のろ過面積に関して、全てのメッシュ部が略同一面上に配設される従来構造のメッシュスクリーン部と同様の面積を維持することができる。
【0017】
さらに、請求項に記載の発明によれば、下側メッシュ部を複数のメッシュ部に区分するフレーム部を利用して縦壁部が形成され、該縦壁部の上端部に上側メッシュ部が支持されるため、フレーム部の強度を高めることができる。また、該縦壁部の上方にはエンジンオイルの流動空間が存在するため、前記流路に沿ったエンジンオイルの流れが縦壁部により阻害されることを抑制することができる。
【0018】
さらに、請求項に記載の発明によれば、ハウジングを構成するアッパケース又はロアケースの開口部周縁の内周面に形成された凹部に、メッシュスクリーン部の外周フレーム部を嵌め込むことで、ハウジングに対してメッシュスクリーン部を容易に取り付けることができる。また、メッシュスクリーン部を嵌め込む際に、外周フレーム部と、複数のメッシュ部に区分するフレーム部と、該フレーム部を利用した縦壁部とにより、面強度が高まり、ねじれなどの発生を好適に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係るストレーナ構造を備えたエンジンのオイルパン内部を示す側面図である。
図2図1に示されるオイルパン内部の各部材を示す底面図である。
図3図1に示されるオイルストレーナを拡大して示す側面図である。
図4】同オイルストレーナを正面側から見た図3のA−A線矢視図である。
図5】同オイルストレーナを底面側から見た図3のB−B線矢視図である。
図6】同オイルストレーナの内部を示す図5のC−C線拡大断面図である。
図7】同オイルストレーナのハウジング上部を切断して、同オイルストレーナの内部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0021】
図1は、本実施形態に係るストレーナ構造を備えたエンジン1のオイルパン4内部を示す側面図であり、図2は、図1に示されるオイルパン4内部の各部材6,8,10を示す底面図である。
【0022】
図1に示すように、エンジン1のシリンダブロック2の下面に、潤滑又は冷却等のためにエンジン1の各部にエンジンオイルを送り込むためのオイルポンプ6と、エンジン1の振動を打ち消すためのバランサユニット8とが固定されている。また、シリンダブロック2の下側には、エンジン1内のエンジンオイルを受けるオイルパン4が設けられており、該オイルパンの内部に、前記のオイルポンプ6とバランサユニット8とが収容されている。
【0023】
なお、オイルポンプ6は、図示しないクランクシャフトから伝達される動力によって、エンジン駆動と共に駆動されるようになっている。また、バランサユニット8の内部に設けられたバランサシャフトは、増速ギアを介してオイルポンプ6に駆動連結されている。
【0024】
図1及び図2において、図中左側をエンジン1の前側とした場合、バランサユニット8はオイルポンプ6の後面上部に連結されている。また、オイルポンプ6の後面下部には図示しない吸い込み口が設けられており、このオイルポンプ6の吸い込み口にはオイルストレーナ10が接続されている。これにより、オイルパン4内のエンジンオイルは、比較的大きな不純物がオイルストレーナ10により除去された後に、オイルポンプ6に吸い込まれるようになっている。
【0025】
オイルストレーナ10は、エンジンオイルの流路を内部に形成するハウジング12を備え、該ハウジング12は、エンジン1が車両に搭載された状態において前記流路が略水平方向に沿って配設されるように、オイルポンプ6の直後方で且つバランサユニット8の直下に配設されている。これにより、オイルパン4の底部とシリンダブロック2の下面との間の限られた高さ範囲内に、オイルポンプ6、バランサユニット8及びオイルストレーナ10がコンパクトに収容されている。
【0026】
以下、図3図7を参照しながら、オイルストレーナ10の具体的な構造について説明する。
【0027】
図3図4及び図5は、それぞれオイルストレーナ10の側面図、正面図及び底面図であり、図6は、オイルストレーナ10の内部を示す図5のC−C線拡大断面図、図7は、オイルストレーナ10のハウジング12上部を切断して、該オイルストレーナ10の内部を示す斜視図である。なお、図6の断面図は、発明の理解を容易にするために、図1,3,4と比べて上下関係が一致するように180度回転させた状態で図示してある。
【0028】
図3図5に示すように、オイルストレーナ10のハウジング12には、該ハウジング12内の前記流路においてエンジンオイルがオイルポンプ6に向かって流れる方向(以下、「オイル供給方向」という。)Pの上流側端部に吸い込み口14が、オイル供給方向Pの下流側端部に吐出口16がそれぞれ設けられている。図3に示すように、ハウジング12は、扁平で且つオイル供給方向Pに長い形状を有する。また、ハウジング12の上面部及び内部の天井面は、オイル供給方向Pの下流側に向かうに従って高くなるように傾斜しており、これにより、ハウジング12内の流路面積がオイル供給方向Pの下流側に向かうに従って拡大されている。
【0029】
吸い込み口14は、オイルパン4の底部に対向配置されるようにハウジング12の底面に設けられ、バランサユニット8の略中央部の下方に配置されるようになっている(図2参照)。一方、図4に示すように、吐出口16は、ハウジング12の正面上部に設けられている。吐出口16の近傍には、該吐出口16をオイルポンプ6の吸い込み口に接続するための一対の連結部17,18が設けられ、これら連結部17,18は、例えばボルトによりオイルポンプ6に連結されるようになっている。なお、吐出口16及び連結部17,18は、例えば正面視倒コ字形のリブ20により下側から補強されている。
【0030】
図6に示すように、ハウジング12は、樹脂製のアッパケース30の下端開口部周縁と樹脂製のロアケース32の上端開口部周縁とが溶着により接合されることで形成されており、前記吸い込み口14はロアケース32に、前記吐出口16はアッパケース30にそれぞれ設けられている。アッパケース30の下端開口部周縁の内周面には、全周に亘って凹部34が形成されている。
【0031】
図6及び図7に示すように、ハウジング12内には、エンジンオイルをろ過するための例えば樹脂製のメッシュスクリーン部50が、ハウジング12の内部を上下に仕切るように設けられている。該メッシュスクリーン部50は、ハウジング12内の前記流路と同様、エンジン1が車両に搭載された状態において略水平方向に沿って配置されるようになっている。
【0032】
ところで、仮に従来構造のメッシュスクリーン部が使用され、該メッシュスクリーン部が略水平方向に沿って配設される場合、オイル交換のためにオイルパン4の内部からエンジンオイルを抜き取る際、ハウジング12内において、メッシュスクリーン部よりも上側のエンジンオイルが落下し難くなり、オイルストレーナ10からのエンジンオイルの排出が困難になる現象が生じ得る。
【0033】
本願発明者は、この現象を回避すべく鋭意研究を重ねた結果、上記従来構造のメッシュスクリーン部が略水平方向に沿って配設される場合、メッシュ部の全面に、上方のエンジンオイルによる水頭圧が略均一にかかるため、メッシュ部下側の空気が該メッシュ部の上側へ入り込むことが困難となり、このことが、メッシュ部下方へのエンジンオイルの落下が妨げられる一因であると考えた。
【0034】
この原因を解消すべく、本実施形態に係るメッシュスクリーン部50は、以下のように構成されている。
【0035】
図6及び図7に示すように、メッシュスクリーン部50は、第1の高さに略同一面上に配設される下側メッシュ部52と、第1の高さよりも高く且つハウジング12の天井面との間に前記流路を確保する第2の高さに略同一面上に配設される上側メッシュ部54とを有する。
【0036】
下側メッシュ部52はフレーム60により支持されるとともに、該フレームを構成する後述の各フレーム部により複数のメッシュ部に区分されている。
【0037】
フレーム60は、前記複数の下側メッシュ部52全体の外周部を取り囲む枠状の外周フレーム部62を有する。該外周フレーム部62は、ハウジング12の内周面に沿った形状を有する。図6に示すように、メッシュスクリーン部50は、この外周フレーム部62をアッパケース30の内周面における前記凹部34に嵌め込むことで、容易にハウジング12に取り付けることができる。なお、本発明において、外周フレーム部62が嵌着される前記凹部34は、アッパケース30の下端開口部周縁の内周面に代えて、ロアケース32の上端開口部周縁の内周面に設けるようにしてもよい。
【0038】
また、フレーム60は例えば帯板状の内側フレーム部64を備えている。該内側フレーム部64は、オイル供給方向Pに対して略平行に延びるように外周フレーム部62の内周面に架設されている。
【0039】
さらに、フレーム60は、内側フレーム部64に直交する複数の直交フレーム部66,67,68,69,70,71を有する。これらの直交フレーム部66〜71は、内側フレーム部64の長手方向に間隔を空けて設けられ、それぞれ外周フレーム部62の内周面に架設されている。
【0040】
上記の内側フレーム部64と複数の直交フレーム部66〜71とにより、外周フレーム部62の内部は、オイル供給方向Pに例えば7分割、オイル供給方向Pに直交する方向に例えば2分割されている。このようにして外側フレーム部62の内部に形成された14個の区分のうち13個の区分では、各区分を構成するフレーム部62,64,66〜71に跨って下側メッシュ部52が設けられている。
【0041】
一方、前記14個の区分のうち残り1個の区分において、フレーム部62には例えば角筒状の突出部79が上方に突設されており、該突出部79の上端部に上側メッシュ部54が支持されている。
【0042】
突出部79は、該突出部79が設けられた区分を構成する4つのフレーム部62,64,68,69からそれぞれ立ち上がる縦壁部80,81,82,83を有し、これら4つの縦壁部80〜83の上端部に跨って上側メッシュ部54が設けられている。このように、上側メッシュ部54を支持する各縦壁部80〜83は、フレーム60の一部を利用して形成されているため、上記従来構造に比べてフレーム60全体の強度が高められている。
【0043】
また、メッシュスクリーン部50は、オイルストレーナ10に組み付ける際に、外周フレーム部62をアッパケース30の凹部34に嵌め込むが、メッシュスクリーン部50が外周フレーム部62、内側フレーム部64、直交フレーム部66〜71、フレーム部62,64,68,69からそれぞれ立ち上がる縦壁部80,81,82,83とを有するため、面強度が高まり、ねじれなどが好適に抑制される。なお、各縦壁部80〜83は略垂直に立ち上がるように形成されているが、離型の都合上、若干の抜き勾配が設けられている。
【0044】
図6に示すように、上記突出部79の上端部に支持される上側メッシュ部54は、ハウジング12の天井面に対して、上方にエンジンオイルの流路を確保するために十分な高さ間隔Hを空けて配置される。これにより、上側メッシュ部54からのエンジンオイルの吸い込みを確実にでき、メッシュスクリーン部50全体のろ過面積に関して、全てのメッシュ部が略同一面上に配設される従来構造のメッシュスクリーン部と同様の面積を維持することができる。
【0045】
また、該縦壁部80,81,82,83の上方には前記間隔Hが存在するため、オイル供給方向Pの流路に沿って下側メッシュ部52から吸い込まれるエンジンオイルの流れが縦壁部80〜83により阻害されることを抑制することができる。
【0046】
図5に示すように、突出部79は、オイル供給方向Pにおいてハウジング12内の流路の中央部に比べてやや下流側に設けられている。また、上述の通り、ハウジング12内部の天井面は、オイル供給方向Pの下流側に向かうに従って高くなっているため(図3参照)、突出部79が設けられる部分においてはハウジング12の天井面が比較的高くなっている。そのため、上側メッシュ部54の高さを下側メッシュ部52の高さに比べて十分に高く、具体的には例えば10mm高く設定しても、上記の高さ間隔Hを十分に大きく確保することができる。
【0047】
以上のように構成されたメッシュスクリーン部50では、エンジン1が車両に搭載された状態において、上側及び下側のメッシュ部52,54はそれぞれ略水平方向に沿って配置されることになるが、上側メッシュ部54と下側メッシュ部52の高低差により、上側メッシュ部54にかかるエンジンオイルの水頭圧は、下側メッシュ部52にかかるエンジンオイルの水頭圧に比べて低くなる。そのため、オイル交換のためにオイルパン4の内部からエンジンオイルが抜き取られる際、比較的低圧の上側メッシュ部54において、下側の空気が該上側メッシュ部54の上側へ入り込みやすくなるため、メッシュスクリーン部50の上側のエンジンオイルが各メッシュ部52,54、主には下側メッシュ部52を通過して下方へ落下しやすくなる。
【0048】
よって、オイルストレーナ10の吸い込み口14からエンジンオイルを円滑に排出することができ、オイル交換後のエンジン1内における新規オイルの比率を高めることができる。
【0049】
以上、上述の実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
【0050】
例えば、上述の実施形態では、上側メッシュ部54が角筒状の突出部79により支持される構成について説明したが、本発明において、上側メッシュ部54を支持するための構成は特に限定されるものでない。
【0051】
また、上述の実施形態では、上側メッシュ部54を1つのみ設ける場合について説明したが、本発明は、上側メッシュ部を複数設けることを妨げるものでない。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上のように、本発明によれば、オイルパン内においてオイルストレーナが略水平方向に沿って配設される場合において、オイル交換の際、オイルストレーナの吸い込み口からエンジンオイルを円滑に排出することが可能となるから、車両用のオイルストレーナの製造産業分野、並びにオイルストレーナを搭載したエンジン及び車両の製造産業分野において好適に利用される可能性がある。
【符号の説明】
【0053】
1:エンジン、4:オイルパン、6:オイルポンプ、8:バランサユニット、10:オイルストレーナ、12:ハウジング、14:吸い込み口、16:吐出口、30:アッパケース、32:ロアケース、34:凹部、52:下側メッシュ部、54:上側メッシュ部、60:フレーム、62:外周フレーム部、64:内側フレーム部、66,67,68,69,70,71:直交フレーム部、79:突出部、80,81,82,83:縦壁部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7