(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
無線操縦走行移動体(P)と有線操縦走行移動体(S)には周辺環境把握用センサ(F)として、無線用アンテナ、音収集マイク、前後方向に向けたカメラ、機体周囲をカバーする俯瞰カメラ、機体進行方向に対して特定の直交方向の二次元測距センサ、回動走査軸を備えた三次元測距センサおよび照明器具を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の無人移動体運用システム。
支柱(H)には、少なくとも前後方向に向けたカメラ、機体周囲をカバーする俯瞰カメラ、無線用アンテナが装着されていることを特徴とする請求項2又は3記載の無人移動体運用システム。
前後に設けられたプーリ(B)の少なくとも一方のプーリはクローラ駆動用モータが内蔵されたホイールインモータを備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の無人移動体運用システム。
無線操縦走行移動体(P)を先行移動体とし、有線操縦走行移動体(S)を後方移動体とし、有線操縦走行移動体(S)の通信ケーブルが遮蔽体を貫通させて敷設された状態にて、無線操縦走行移動体(P)の操縦が有線操縦走行移動体(S)を介して操作されることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の無人移動体運用システム。
有線操縦走行移動体(S)は、無線中継機を介して操作される形式であって、遮蔽区画の内外に中継機を配置し、中継機間は無線通信され、外側の中継機からコントローラ間には光ファイバーケーブルによって接続されることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の無人移動体運用システム。
有線操縦走行移動体(S)を先行移動体とし、無線操縦走行移動体(P)を後方移動体とし、無線操縦走行移動体(P)が遮蔽区画外に待機し、有線操縦走行移動体(S)が遮蔽区画内部を走行するものであって、遮蔽区画の外側に有線操縦走行移動体(S)の中継機を配置し、中継機から通信ケーブルを延出し、遮蔽壁を貫通させて遮蔽区画内部の有線操縦走行移動体(S)に連結することにより、外側の無線操縦走行移動体(P)を介して有線操縦走行移動体(S)を操作することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の無人移動体運用システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、高濃度放射能空間などの人間が立ち入ることが困難で、曲がりくねった原子力施設内を踏査走行できる移動体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、無線操縦タイプの先行走行移動体とこの先行走行移動体を後方から支援する有線操縦走行移動体とを組み合わせた高濃度放射能環境下における無人移動体運用システムである。
【0008】
本発明は、次の構成を要旨とするものである。
1.無線操縦走行移動体(P)と有線操縦走行移動体(S)とを組み合わせて、いずれか一方を介して他方を操作する無人移動体運用システムであって、
前記2つの移動体は、クローラ型の無人走行用の移動体(E)であり、
当該無人走行用の移動体(E)は、制御機器が収納された箱状の本体(A)と該本体の前後にプーリ(B)が装着されており、機体中央長手方向に機器付設用のセンターベースバー(C)が備えられており、前記センターベースバー設置部分を除いた機体の全巾に掛け回された左右の走行用クローラベルト、機体の前後の左右に回動可能な腕状のサブクローラユニット(G)が設けられており、
箱状本体は、周壁に放熱構造が設けられた密閉構造であり、
3軸ジャイロ、3軸加速度センサ、速度計、エンコーダ、慣性計測装置およびサブクローラ仰角センサが内蔵されており、
センターベースバー(C)には、周辺環境把握用センサ(F)が設けられており、
有線操縦走行移動体(S)には、操作用のケーブルが搭載されていることを特徴とする無人移動体運用システム。
2.センターベースバー(C)には、機体上方に配置するセンサ類を装着する支柱(H)を立設したことを特徴とする1.記載の無人移動体運用システム。
3.無線操縦走行移動体(P)と有線操縦走行移動体(S)には周辺環境把握用センサ(F)として、無線用アンテナ、音収集マイク、前後方向に向けたカメラ、機体周囲をカバーする俯瞰カメラ、機体進行方向に対して特定の直交方向の二次元測距センサ、回動走査軸を備えた三次元測距センサおよび照明器具を備えていることを特徴とする1.又は2.記載の無人移動体運用システム。
4.支柱(H)には、少なくとも前後方向に向けたカメラ、機体周囲をカバーする俯瞰カメラ、無線用アンテナが装着されていることを特徴とする2.又は3.記載の無人移動体運用システム。
5.前後に設けられたプーリ(B)の少なくとも一方のプーリはクローラ駆動用モータが内蔵されたホイールインモータを備えていることを特徴とする1.〜4.のいずれかに記載の無人移動体運用システム。
6.機体の側方に設けられた収納空間は、電池収納部であることを特徴とする1.〜5.のいずれかに記載の無人移動体運用システム。
7.原子力発電所施設用であることを特徴とする1.〜6.のいずれかに記載の無人移動体運用システム。
8.無線操縦走行移動体(P)を先行移動体とし、有線操縦走行移動体(S)を後方移動体とし、有線操縦走行移動体(S)の通信ケーブルが遮蔽体を貫通させて敷設された状態にて、無線操縦走行移動体(P)の操縦が有線操縦走行移動体(S)を介して操作されることを特徴とする1.〜7.のいずれかに記載の無人移動体運用システム。
9.有線操縦走行移動体(S)は、無線中継機を介して操作される形式であって、遮蔽区画の内外に中継機を配置し、中継機間は無線通信され、外側の中継機からコントローラ間には光ファイバーケーブルによって接続されることを特徴とする1.〜7.のいずれかに記載の無人移動体運用システム。
10.有線操縦走行移動体(S)を先行移動体とし、無線操縦走行移動体(P)を後方移動体とし、無線操縦走行移動体(P)が遮蔽区画外に待機し、有線操縦走行移動体(S)が遮蔽区画内部を走行するものであって、遮蔽区画の外側に有線操縦走行移動体(S)の中継機を配置し、中継機から通信ケーブルを延出し、遮蔽壁を貫通させて遮蔽区画内部の有線操縦走行移動体(S)に連結することにより、外側の無線操縦走行移動体(P)を介して有線操縦走行移動体(S)を操作することを特徴とする1.〜7.のいずれかに記載の無人移動体運用システム。
11.原子力発電所施設用であることを特徴とする1.〜10.のいずれかに記載の無人移動体運用システム。
【発明の効果】
【0009】
1.本発明は、無線操縦タイプの移動体と有線操縦タイプの移動体とを組み合わせることにより、無線の遮蔽壁が存在するような遮蔽区画であっても、調査などの行動範囲を広げることができる。通信ケーブルが遮蔽壁を通過するように付設して、有線操縦タイプの移動体を施設内に進入させ、この有線操縦タイプの移動体を中継して無線操縦タイプの移動体を操作することにより、通信ケーブルの長さよりも遠くまで調査をすることができる。また、複雑に入り組んだ状況下では通信ケーブルが絡まる危険もあるが、無線操縦タイプの移動体は進入が可能である。折れ曲がった通路や階段の切り返しがあるような場所では、直線通路部に有線操縦タイプの移動体を待機させ、その先は無線操縦タイプの移動体を操作することができる。
あるいは、遮蔽区画に近づくことができず遠くから操縦する必要がある場合は、有線操縦タイプの移動体用に遮蔽区画内外に中継機を設けて、外部中継機から操作用コントローラまでを光ケーブルにて接続して、有線操縦タイプの移動体を操縦することができる。
2台を連携して走行させる場合は、先行する移動体の様子を後方の移動体からカメラで撮影し、モニターに走行状況を表示した状態で操縦できるので、操縦者は安心して操縦することができる。不案内で暗視状況の環境下で、緊急に本移動体を操作することは、操縦者にとって緊張を強いられるので、目視ができる状況は、操縦を容易にし、調査活動等の操作に注意を振り向けることができる。
さらに、遮蔽区画内部で、無線通信が効かない恐れがある場合は、遮蔽区画外に待機させた無線操縦タイプの移動体を介して有線操縦タイプの移動体をコントロールすることができる。
2.本発明の無人走行用移動体は、機器類を収納した金属製密閉本体がクローラベルトで覆われているので、放射能の遮断性に優れ、直接的な衝撃から保護されており、低重心であって安定した障害地走破性を発揮する。
3.中央部に設けたセンサ付設用のセンターベースバーに、カメラ、アンテナ、マイク、測距センサ等を取り付けることができる。これらの移動体の運行や姿勢に関するセンサあるいは制御部は本体部分である箱体の内部に設置されている。これらのセンサは移動体の内部および中央部に設けられているので、障害物に衝突する危険性が少なく、安全性に優れている。特に、センターベースバーへの機器の装着は、長手方向にスライド可能で上方への抜けが防止された嵌合構造を採用することにより、振動などによる機器類の脱落を防止でき、安全性が向上する。本機の制御機器類を収納する箱体の周面の壁板体の外表面に放熱用のフィンなどの放熱器を形成して、中央収納部内の温度上昇を抑える構成とする。クローラベルトや回転プーリによって中央収納部の外表面の空気は滞留することなく攪拌されて放熱作用の効率がよい。効率的な放熱によって、制御機器が高温に曝されて故障するリスクを低減することができる。したがって、安全性と運行性能の双方が確保できる構成である。
4.機体情報と環境情報に基づいて無線あるいは有線による操縦ができるので人が立ち入ることができない施設内でも走行することができる。
5.サブクローラを用いることにより、器物が散乱した凸凹の床面、階段走破性が向上する。サブクローラは先端側プーリの径を大きくすることにより、階段などの段差に対する引っ掛かりを向上させることができる。さらに、先端側プーリの重量を重くすることにより、係止摩擦力を高めることができ、さらに、傾斜面の操行性を高めることができる。腕状のサブクローラを旋回させることにより、滑り易い地面や陥没地からの脱出に有効である。
6.本無人走行用移動体は、モータ駆動であるので、不燃ガスや可燃ガス環境下、水溜まりであっても、走行することができる。ホイールインモータを採用することにより、本体内部に機器収納空間を確保することができる。電源となる電池を本体の側面空間に収納したので、電池の熱を放熱することが容易となる。モータは静かであるので、音による調査にも適している。
7.本無人走行用移動体は、事故が発生した原子力施設内部の調査に適している。特に主要機器類が機密性の高い本体内部に収納されているので、活動後の除染も容易である。また、センサ類は、センターベースバーに装着されるので、取り外しも容易であるので、装着機器類の除染や分離処理も容易である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に使用される移動体として、特に、地震などで大規模な被災を受けた建物内部など被災直後の不安定な足場と危険な環境下での探査や調査に用いられる無人操作に適した走行用移動体を開発した。移動体は、クローラベルトに覆われた金属製の密閉空間に制御機器等が収納され、保護されていて、低重心である。このため、転倒し難い構造であり、機器が散乱して不安定な床面や階段などの斜面もクローラは接地状態を維持して、移動可能である。本体の全面が左右のクローラベルトで覆われ、さらに、回動するサブクローラによって、凸凹面の支持性能が向上し、階段の昇降性能も向上する。
本発明は、この移動体を無線操縦タイプの走行移動体と有線操縦タイプの走行移動体の2つの操縦タイプの移動体とし、両者を組み合わせることにより無線や放射能に対する遮蔽区画があっても広範囲の走行が可能な無人移動体運用システムを提供する。
例えば、無線操縦タイプの先行走行移動体とこの先行走行移動体の後方から支援する有線操縦走行移動体とを組み合わせた高濃度放射能環境下における無人移動体運用システムである。あるいは、有線操縦走行移動体を操縦する中継機を施設の遮蔽壁内側と外側に配置し、外側の中継機を介して遠方から操作する無人移動体運用システムである。また、あるいは、無線通信環境が悪い状況下にある遮蔽区画内部の場合は、遮蔽区画内には有線操縦タイプの走行移動体を配置し、遮蔽区画の外側から無線操縦タイプの走行移動体を介して操作することにより、遮蔽区画から離れた場所から調査等を行う無人移動体運用システムである。
本発明で用いる移動体は、クローラベルトで覆われた本体部分に走行用制御機器等を収納し、機体の上部中央に走行用センサ機器などを装着することにより、走行制御機器類の保護および障害地の走行性および高濃度放射能環境下における良好な操作性を発揮する。外部に露出する必要がある、集音マイクや、カメラのレンズ部、送受信用アンテナ等の調査機器のセンサ感知部等は機体の巾方向中央部に設けた機器付設用のセンターベースバーに取り付けることができる。感知部等はセンター部分に付設されるので、衝突などの障害リスクが小さい。電動モータ駆動は、低騒音で可燃ガスや不燃ガスの影響を受けることなく活動することができる。また、本発明の移動体は、主要機器類が機密性の高い本体内に収納されているので、原子力施設内での活動後の除染に対する適応性が高い。移動体は、1〜2人で運搬が可能な重さである20〜40kgの重量、階段昇降、踊り場の回転が可能な機体幅、長さに設計されることが好ましい。
したがって、本発明は、例えば原子力施設の放射能漏洩事故などにおいて作業員がアクセスできないような現場で遠隔操作にしたがって走行し、走行した部分の情報をリアルタイムで収集できる無人走行式ロボットを運用するものであって、無線等が遮断される遮蔽区画内部も広範囲に調査できる無人移動体運用システムである。
災害発生時に信頼性をもって実行するためには、上述したように、不整地であっても安定した状態で走行可能な機動性、狭隘な場所や階段などの斜面の走行性、遠隔操作が可能でかつ柔軟性に富んだ操作性を実現することが求められる。
本発明では、走行性能および操縦性能について主として開発した。
【0012】
本発明は、新たに開発した移動体を無線操縦タイプの走行移動体と有線操縦タイプの走行移動体の2つの操縦タイプの移動体とし、両者を組み合わせることにより遮蔽区画があっても広範囲の走行および調査が可能な無人移動体運用システムである。
本発明に用いる無人走行用の移動体(E)は、箱状の本体(A)、本体の前後に装着されたプーリ(B)、機体中央長手方向に設けた機器付設用のセンターベースバー(C)、機体のほぼ全巾に掛け回された左右の走行用クローラベルトを備えている。さらに、サブクローラユニット(G)が備えられている。周辺環境把握用センサ(F)がセンターベースバー(C)に装備される。駆動機構は、ホイールインモータを採用し、センサで取得した情報に基づき無線あるいは有線による操縦方式が採用されている。
【0013】
図面を参照して、本走行用移動体の例を説明する。
<全体構成について>
無人移動体運用システムの概略図は、
図9、
図10に示されている。無線操縦タイプの移動体100と有線操縦タイプの移動体200から構成されている。
図9に図示した無人移動体運用システムは、先行する無線操縦タイプの移動体100を後方の有線操縦タイプの移動体200を介してコントロールする無人移動体運用システムである。無線が通じないような遮断壁が存在する閉鎖空間内の調査を行う場合は、有線による操縦を行うが、通信ケーブルの制約があって、行動範囲が制限される。有線操縦タイプの移動体を介して無線操縦タイプの移動体を走行させることにより、調査範囲を広げることができる。
図10に図示した無人移動体運用システムは、遮蔽区画から遠く離れた場所からコントロールする必要が有る場合の実施態様を示している。遮蔽区画が外側と無線通信が可能であっても、遠方から操縦する必要がある場合は、有線操縦タイプの移動体の通信機能に中継機を設けて、中継機とコントローラの間は光ファイバーで接続すると危険な遮蔽区画から離れた場所からコントロールすることが可能となる。
図示は省略するが、遮蔽区画内部で無線通信が困難な場合の実施態様を紹介する。遮蔽区画内部では無線通信環境が悪い場合は、遮蔽区画内部の走行体を有線操縦タイプとし、遮蔽区画の外側に無線操縦タイプの移動体を待機させて、無線操縦タイプの移動体を介して有線操縦タイプの移動体を操作するように組み合わせることによって、離れた場所からのコントロールが可能となる。
無人走行用の移動体の概略を
図1に平面図、
図2に側面図を示す。
図示された無人走行用の移動体(E)は、箱状の本体(A)、本体の前後装着されたプーリ(B)(B)(B)(B)、機体中央長手方向に設けた機器付設用のセンターベースバー(C)、左右前後プーリ(B−B)(B−B)に掛け回された機体のほぼ全巾を覆う左右の走行用クローラ(D)(D)、機体の前後左右4箇所に向けられたサブクローラユニット(G)(G)(G)(G)が備えられる。周辺環境把握用センサ(F)がセンターベースバー(C)に装備されている。
箱状の本体(A)の前後左右にプーリ(B)を4つ配置する。各プーリは、巾方向中央部にセンターフレームの間隔を空けて、機体の略半幅の長さである。この前後に配置された2つのプーリ(B)(B)にプーリと同幅のクローラ(D)が掛け回されている。このクローラ(D)が左右に2本設けられるので、機体のほぼ全巾がクローラベルトによって覆われることとなる。
本体(A)は、中央部に上蓋を備えた密閉可能な空間が設けられ、両サイドは、側面からアクセスできる収納空間となっている。サイド側の収納空間も開閉可能なカバーを設けることが可能である。中央空間は本移動体の制御機器などが収納される。サイドには、電池などの交換が必要な部品を収容する。
機体中央長手方向にセンターベースバー(C)が配置されていて、周辺環境把握用センサ(F)等を外付けする部材として用いられる。センターベースバー(C)は、プーリ(B)のセンターフレームに支持させることができる。センターフレームは頑丈な部材であるので取り付け用部材として適している。センサなどの器具はセンターベースバー(C)に直接装着あるいは、センターベースバーに立設した支柱(H)に装着することもできる。センターベースバーには、さらに幅の広い台座を設けて、大型の機器を装着することもできる。
センターベースバー(C)は、中央長手方向に配置されているので、器具を装着しても片寄ることが少なく安定性を損なうことはない。機体中央部にあるので、装着された器具が回りの障害物に接触する危険性が小さく、装着器具の安全性が確保できる。
【0014】
(1)走行用移動体
図3にセンターベースバーにセンサなどを装備していない状態の移動体の外観の斜視図を示す。
図4には、クローラを外した分解図、
図6に主クローラを外し、サブクローラを備えた図を示す。
走行用移動体Eは、本体Aと本体Aの前後に設けられたプーリBに掛け回された左右に配置されたクローラDを備えている。左側のクローラL51と右側のクローラR52は、センターフレーム41によって、左右に分割されている。前後のセンターフレーム41の延長線上にセンターベースバーCが配置されている。本体Aの下面側にはクローラベルトの摺動面が形成されている。一般のクローラ走行装置に用いられている中間アイドラーであるプーリは、あっても良いが本走行用移動体では用いない方が好ましい。可動部分を設けると、故障の要素となるので、少なくする。
本走行用移動体には、前後左右の4隅にサブクローラユニットGを備えている。図示(
図3)は、左側の前後に設けられているサブクローラユニットのみを表し、右側は省略している。走行用移動体Eは、従動プーリ72側を先頭側とし、駆動プーリ71を後ろ側として基本的には走行するが、被災地では障害物が多いので、前進、後進は自由に行える。左右のクローラは別々に制動できる。また、4つのサブクローラユニットは、ベルトが回転でき、また腕状であって旋回回動可能であり、かつ、個別に回動できるように構成されている。機体側部はサイド空間32が設けられており、電源となる電池などを収納する空間とする。サイドに配置することにより、放熱が容易であり、かつ、電池の保護と交換の利便性を確保する構成としている。
図3に開示された走行用移動体1は、主となる2つのクローラ51、52と4つのサブクローラユニットGとからなる6つのクローラを個別に制御することにより、被災地で走行、昇降を行うことができる。
センターベースバーCは、左右のクローラベルト53の間に位置しており、外部からの干渉を防ぐことができる。更に、クローラベルト53の上面と略同程度の高さに設けることにより、取り付けられたセンサの感知部の防御性能を向上させることができる。センターベースバーCは、機体の巾方向の中央部に前後のプーリBのセンターフレームに支持することができる。機体の中央長手方向に渡って、機体よりもやや短い長さに設定することができる。
クローラベルト53、53は、センターフレーム41、41の左右の機体の幅に設けられており、約半分の機体幅の広さのベルトである。ベルトの幅が広いので、幅方向に傾斜した地形や、うねった地形を走行しても、横ズレに対する抵抗が大きくなって、ベルトがプーリから外れてしまう脱輪を防止する効果が大きい。
【0015】
(2)内部構造
クローラベルトを取り外した主要構成(サブクローラを除く)を
図4に示す。
本体Aの前後にプーリBを取付け、本体は箱状であって、中央部と両サイドの3つに区画されている。サイドの区画は外方に開放されているサイド収納部3となっている。中央部は、4周の側面板24、前面板25、後面板26と底面板23、上面側は開閉可能な上面板22によって、内側の収納空間21が形成される。収納空間21には、走行用移動体の制御機器や調査用のセンサ機器などが収納される。収納空間21は、閉鎖空間であり、前後にプーリが配置され、更に上下面がクローラベルトによって覆われているので、外部からの衝撃から保護される構成である。
中央収納部は、上面板を開閉して、電子機器などを配置するが、密閉性を確保するために、上面板と中央収納部21は、側面板24、前面板25、後面板26の端部に
図4(e)(f)に示すような凹凸を設けて密着性を高めている。本発明では、密閉された中央収納部に配置された電子機器の高温化対策を施している。中央収納部21には、制御やセンサなどの電子機器が収納されており、水や汚染物質が侵入しないように密閉構造となっている。本願発明では、中央収納部を形成する筐体に放熱フィンなどの放熱機構を設ける。上面板22、底面板23、側面板24、前面板25、後面板26の各構成板に
図4(d)に示す凹凸フィンを設けることができる。中央収納部の上下を移動するクローラベルトおよび前後で回転するプーリの動きによって、放射された熱は滞留すること無く排出されるので、密閉された中央収納部の高温化を効率的に抑制できる。さらに、サイド収納部の上面も放熱機能を持たせることにより、より放熱を向上させることができる。
センターベースバーCは、前述のように前後のセンターフレームに支持することができる。あるいは、上面板22に取り付けることもできる。あるいは、上面板22を2分割して、左右の上面板とは独立して設けることもできる。収納空間21は、一つの空間とした場合には、機器の設置作業や自由度が高い。一方、収納空間を分割した場合は、本体の強度を向上させることができる。左右に分割する壁体を設けるとセンターベースバーの設置用に有効である。
前後のプーリBは、箱体の前面板25あるいは後面板26に設けたセンターフレーム41、41と箱体の側部から延出したサイドフレーム42、42の間に設けた軸73に装着される。
本体Aの側面には、外面に開放可能なサイド収納部3を形成して、電池などの収納部とする。サイド収納部3は、側部上面板33、側部底面板34、側部前面板35、側部後面板36によって形成されている。側部上面板33は、凹凸、メッシュボードや有孔ボードであるサイド上面パネル31を設けて、放熱量を確保することが好ましい。側部外面は、保護板やガードを設けることができる。
このサイド収納部3は、移動体の作業環境条件により密閉性を高めることもできる。
【0016】
(3)センターベースバー
センターベースバーCは、
図3に示されるように幅方向中央部に配置されている。左右にあるクローラベルト53が配置されているので、障害物に直接接触し難い。センターベースバーの上面は、クローラベルト53の表面と同程度の高さ、あるいは高低いずれも設定することができる。また、一部を低く、その他をやや高く設定することも可能である。低くした場合には、クローラベルトによる保護機能が高まる。
センターベースバーCの横断面は、
図4(c)に示されるように、下方よりも上部が拡幅した形状、例えは、逆台形などの形状に設ける。不整地を走行する本走行用移動体1は、常時振動を受け、更に段差昇降に伴う衝撃に曝されているので、抜け止めとなる嵌着構造とする。この逆台形を跨ぐような形状に取付け台座61を形成し、この台座にセンサの感知部などを装着する。
また、抜け止め構造としては、下方が広がった溝を設け、該溝に侵入係合する台座とすることも可能である。これらのキー嵌合機構は複数設けることも可能である。また、他のキー嵌合構造とすることも自由である。
センターベースバーCは、本体の前面板25、後面板26あるいは、センターフレーム41に取り付けられる。センターベースバーCの前後に設けた取付片62を接続する。この取付片62は、センターベースバーCの逆台形部よりも薄く平板上に形成し、この端部から取付け台座61を挿入するようにする。本体の中央前後方向に壁体あるいは、ビームを設けて、その上にセンターベースバーCを形成することもできる。
センターベースバーの他の例を
図4(g)に示す。
図4(g)の例は、センターフレームに取り付ける装着脚部62a、62bを設け、その上にバー62cを掛け渡す構造のセンターベースバーCである。脚部を設けることにより、上面板22の開閉を自由に行うことができる。中央の収納部の機器の装着あるいはセンターベースバーを取り外すことなくメンテナンスを容易に行うことができる。
【0017】
(4)クローラ
本発明に用いられるクローラ式走行装置の基本構造は、車体機枠の前後に設けた軸73にプーリB、Bを取り付け、このプーリB、Bにクローラベルト53、53を掛け回して、駆動プーリ71を駆動することにより、クローラベルト53、53を回動させて走行する構造である。クローラベルト53、53は機体の左右に設ける。機体下部にクローラを受ける機構として、摺擦体を設ける。摺擦体は、下面前方摺擦部材43a、下面後方摺擦部材43b、下面中央摺擦部材44から構成されている。
凹凸な接地面から受ける不規則な接地抵抗の支障面となることができるので適している。また、摺擦体は転動輪に比べて軸受などの摩耗部や可動部が少ないので、故障の原因が少なくなるので好ましい。低重心にすることができ、車体を安定させる上でも有利である。車体機枠の一部となる本体は、アルミ合金やカーボンファイバー強化プラスチックなど軽量素材を用いる。走行スピードは人間の歩行程度である。
クローラベルト53は、ゴム製あるいは金属製が用いられる。ゴム製ベルトが好ましい。ゴム製ベルトはゴム製プーリへのダメージを小さくできるので適している。また、機体の摺擦部に対する摺擦摩耗を抑えることができる。クローラベルト53の幅は広い方が適している。凸凹が激しい被災地では、クローラの部分的な接地によって機体を支持できるようにするために幅広が適している。また、接地圧を小さくすることができ、鋭利なコンクリート破片などに接触して、アルミ合金製機体が損傷しないような機体保護機能も果たす。
また、幅の広さはクローラベルト脱輪防止にも有効である。
この車体機枠の左右に設けられるクローラ51、52の他に、段差乗り越え用にサブクローラユニットGを設ける。このサブクローラユニットGに対して、前記の車体機枠の前後に設けられたプーリに掛け回された走行用のクローラDを主クローラユニットと称する場合がある。
【0018】
(5)クローラ用プーリ
クローラベルト53を巻き掛けるプーリBは、センターフレーム41とサイドフレーム42間に設けられた軸73に装着される。本発明では軸にホイール74を介在させて、このホイールにプーリを装着することが好ましい。ホイール内部には電動モータ(図示省略)を内装したホイールインモータを採用する。電動モータは、左右の駆動プーリ71、71にそれぞれ内装される。
プーリBは、金属製、ゴム製、小巾プーリなどを組み合わせて用いることができる。軸着されるプーリは、1〜複数個である。複数個用いる場合は、金属製プーリを混用することができる。それぞれの例を
図5(a)(b)(c)に示す。
図5(a)に示すプーリ75、75は、クローラベルトの幅全体に渡る幅を備えた金属製プーリである。プーリ表面には、クローラベルト内面の凹凸に係合する突条が形成されている。プーリ75のセンターフレームよりの縁にはフランジが形成されており、クローラベルトが内側に寄ることを防止している。
図5(b)に示すプーリ76、76は、ホイール74にゴム層を設けた、クローラベルトの全幅に相当する幅を備えたゴム製プーリである。このゴム製プーリは、岩などに衝突した場合に緩衝となる。プーリ表面には、溝を多数形成し、クローラ内面との係合及び緩衝性能の向上、クローラとプーリの間に噛み込まれた砂泥の排出用の溝の機能を付与している。このプーリ76についても、センターフレーム側にフランジが形成されている。
図5(c)に示すプーリは、小巾のプーリを組み合わせている。図示の例では、3つの小巾プーリ77a、77b、77cによって、構成されている。それぞれのプーリはホイール74に装着されている。小巾プーリ77a、77bはゴム製プーリである。ゴム製プーリの表面には、多数の溝が形成されている。
センターフレーム41側に配置されたプーリ77cは、金属製のプーリである。金属製プーリ77cは、前後のプーリの間隔を一定に保ちクローラベルトに適度の緊張が維持でき、クローラベルトに駆動力を伝達する機能を主に分担する。ゴム製プーリ77a、77bは、表面に多数の溝が形成されており、クローラ内面との係合及び緩衝性能の向上、クローラとプーリの間に噛み込まれた砂泥の排出用の溝の機能を果たしている。小巾にすることにより、噛み込まれた砂泥の排出をスムーズに行うことができる。また、軽量化にも寄与する。
ゴム製プーリは、金属製ホイールにゴム体を外挿して形成することが好ましい。金属ホイールでゴムを支持することができるので、ゴム体を安定させること及び軸に取り付けることが容易となる。軸に装着する金属製ホイールを太くすることによって、駆動用モータを内装するスペースを確保できる。
ゴム製プーリの表面には、異物除去用の溝の外、クローラベルトの係合およびすべり防止のための凹凸を形成することができる。ゴム製プーリはコンクリート塊などに衝突した場合の衝撃緩和機能も果たす。段差の昇降や滑落などの衝撃によって、機体やモータなどの機器が損傷することを抑制することができる。
駆動は一般に後方プーリが分担するが、前方プーリにも駆動機構を持たせて、駆動出力を大きくすること、あるいは前進後退によって使い分けることも可能である。
【0019】
(6)サブクローラユニット
サブクローラユニットG(
図3、
図6参照)は、走行車体本体の側方に腕状に設ける。左右前後の位置に1〜4つ設けることが可能である。サブクローラユニットGは、起伏や段差に応じて着脱自在とする。サブクローラユニットGは、先端プーリ81と基端プーリ82にサブクローラベルト83を巻き掛けて構成する。先端プーリ81の径を基端プーリ82の径より大きく設定することが好ましい。緩傾斜地や平地では同径でも良い。サブクローラユニットGは、揺動可能であって、段差の高さに応じて、揺動する。揺動範囲は、360°回転可能として、車体側部に沿わせて、車体から前後に飛び出さない待機姿勢や、下方に傾斜させて接地した4つのサブクローラユニットを使用して走行をすることも可能である。揺動中心は、基端プーリの軸とし、この軸は、サイドフレーム42に固定されている。また、この軸は、軸73を延長することもできる。先端側プーリの径を大きくすることにより、階段状の段差面ののぼりの際に掛かりを良くすることができる。また、下り方向についても、大きな径のプーリは接地を早くすることができ、落下ショックを小さくすることができる。先端側プーリに錘を追加するなどして重量を増加することにより、さらに階段などの斜面に対して摩擦力を高めて、斜面操行性能を高めることができる。
また、4つのサブクローラは、前後転方向に回転自由であって、軟弱地面や急傾斜面では、旋回させながら走行することが可能である。また、凹地から脱出するときにも、ランダムに回動・揺動することにより手がかりを探る手段として有効である。
図3には左側の前後に配置されたサブクローラ8a、8bを示している。右側にも同様に配置されているが図示は省略してある。このサブクローラユニットGは、サイドフレーム42に設けられた駆動プーリ84から、基端プーリ82に同軸に設けられたプーリ間に掛け回された駆動ベルト85によって、揺動駆動される。駆動プーリ84は、図示されないモータによって駆動される。したがって、本例では、メインの駆動用に2つのモータと、サブクローラ駆動用に4つのモータの6個のモータが少なくとも駆動源として配置されている。
【0020】
(7)駆動源について
本発明の駆動源は、モータ駆動が適している。可燃性ガスが流出している可能性がある被災地では、ガソリンエンジンは危険である。また、酸欠状態の密閉空間では内燃機関を使用することはできない。モータは、ホイールインモータを採用することができる。水溜まりも想定されるので、ホイールインモータは水密状態でも駆動できるので適している。
また、調査対象として音やガスの種類や濃度が用いられる場合は、ガソリンエンジン等が発生する騒音と排気ガスは測定の弊害となるので、不適切である。
駆動用のモータは、前述のように主クローラユニットの駆動用とサブクローラ用のものが配置され、6個以上設けられる。
【0021】
(8)操縦性能
本発明のクローラ式走行装置は、被災地の探査や調査用の無人走行を想定している。操縦は、無人で遠隔操縦する。通信機能は、無線あるいは有線を利用する。人が立ち入ることができない密閉空間の走行が想定されるので、モニターを見ながら操縦することとなる。また、放射能を遮断する必要が有る場合は、遮蔽壁を介して有線で操縦することが必要となる。したがって、モニターに表示するための情報を収集するためのセンサ類を移動体に装備する必要がある。
不安定な地上面走行は、一部分でもクローラが接地した状態で駆動させて、姿勢を変化させて操作・操縦して、脱出と移動を行いつつ、探査や調査を行う。
移動スピードは、人間の歩行スピードである0.5〜1.7m/秒程度、瓦礫上では3km/h、平地は6km/h程度に設計する。遠隔操縦によって、人間が目視しあるいはディスプレイを見て、操縦することが多くなる被災現場では、人間の歩行速度である1.2m/秒以内(時速4Km程度)で十分である。
本発明のクローラ式走行装置は、土木・建設機械などと比べて低速で使用されることを想定しているので、ゴム製プーリが衝突などの押圧を受けて、変形しても、十分な駆動推進力を得ることができる。また、低速に加えて幅広のクローラベルトを採用することにより、脱輪などの障害を回避することができる。
【0022】
(9)操縦に必要なセンサ類
移動体内蔵センサとして、3軸ジャイロ、エンコーダ、3軸加速度センサ、速度計、慣性計測装置など移動体そのものの情報を収集するセンサ類を内蔵する。
本発明の移動体は、ディスプレイに表示される移動体の周辺状況を把握しながら、コントロールするので、周辺状況を入手する手段を備えている。カメラ、マイク、アンテナ、三次元測距センサ及び照明機器等を装備する。周辺状況を把握するセンサを装備した例を
図7に示す。
図7に示された移動体は、無線操縦タイプの移動体100である。
カメラとしては、走行装置の前後を映す前方カメラ122、後方カメラ123、移動体の周囲を映す俯瞰カメラ121などである。俯瞰カメラ121は、移動体100の付近の全周囲を映すことができるようにセンターベースバー6に立設した支柱130に下方を向けて設置する。
センターフレーム4a、4bの先端にマイク124、125を装備している。
照明装置は、明示しないが少なくともカメラと同方向を照射する装置を備えている。
移動体100の周辺の障害物や凹凸情報を入手する三次元測距センサ101を備えている。三次元測距センサは、レーザ反射光等を利用した手段を採用することができる。本例の三次元測距センサ101は、レーザ光送信部を固定軸に対して回転する測距センサ112とレーザ光送信部を揺動軸に装着した測距センサ111を備えており、二つの測距データを利用して周辺の物体の距離、高低を把握している。なお、揺動軸を備えた測距センサは、本発明者が提案した特許第4059911号公報に開示された例がある。
本例では、センターベースバー6は、センターフレーム4a、4bに支脚を介して装着している。
センサからのデータはアンテナ141からモニターを備えたコンピュータ装置に送られ加工されてモニターに表示され、コントローラを操作してアンテナへ送信し移動体100を操作する。
【0023】
図8に、有線操縦タイプの移動体200の例を示す。
本例では、有線操縦用通信ケーブル巻装置242を備えている。移動体自体の情報センサ、周辺状況を把握するセンサは、前述した無線操縦タイプの移動体100と同様のセンサを搭載することができる。
有線操縦は、行動範囲が搭載された通信ケーブルの長さに制限されるが、無線を使用することができない環境で使用することとなる。操縦者は立ち入ることができないが、無線が可能な範囲があって、途中に無線が遮断される壁などが存在する場合は、遮断壁の手前に中継装置を置いて、中継装置から有線を延出することもできる。
【0024】
(10)移動体の操縦
モニター表示に基づいてジョイスティックにて遠隔操縦する。
本発明の移動体の操縦は、無線が有効な場所では無線操縦タイプの移動体を使用し、無線が効かない場所では有線操縦タイプの移動体を使用することができる。さらに、無線操縦と有線操縦を組み合わせて使用することも可能である。
例えば、放射線の遮蔽壁があるような原子力施設では、遮蔽壁によって無線も遮断されるが、遮蔽壁の内側では無線が可能な環境である。このような、無線が遮断される環境では、有線によって遮蔽壁を通過して操縦することが有効である。このような施設では、前述した有線操縦タイプの移動体200を使用することができる。さらに、有線操縦タイプ移動体200を中継機として無線操縦タイプの移動体100を操縦することができる。このように2種類の移動体を組み合わせることにより、広範囲の行動が可能となる。例えば、有線操縦タイプは直線的な移動は容易であるが、屈曲した場所への侵入は通信ケーブルの絡まりやの損傷の危険があってむずかしいので、そのような場所への侵入は無線操縦タイプの移動体100を活用することが有効となる。
【0025】
人工構造物の場合は、構造物の設計図情報が有用である。設計図と移動体からの情報とを照合することにより、現況の把握が正確となり、操縦が容易となる。活動する施設の設計図情報をコントローラ側に装備して移動体の走行情報を投影することにより、予測性の高い操縦が可能である。
なお、GPS機能は、施設内走行を基本とする場合は、機能しないので必ずしも有効な手段ではない。人工構造物の場合は、構造物の設計図情報が有効である。
【0026】
(11)調査用センサ類
調査用のセンサは、対象によって必要なセンサが異なる。
原子力発電施設では、放射線線量計、γカメラ、サーモグラフィ、湿度センサ、水位センサ、採水装置、ガスセンサ等である。
軽量物を動かすマニピュレータを装着することも可能である。水などのサンプルを採取する器具としても利用することができる。
【0027】
前述の移動体の行動用の収集データに基づく地図データと放射能センサなどのデータとを照合することにより、施設内の放射能分布状況等を把握することができ、その後の適切な対応策の立案の精度を向上させることができる。
【0028】
(12)無人移動体運用システム
本発明は、前述したように、有線操縦タイプの移動体と無線操縦タイプの移動体を組み合わせてコントロールする無人移動体運用システムである。
図9に図示した無人移動体運用システムは、先行する無線操縦タイプの移動体100を後方の有線操縦タイプの移動体200を介してコントロールする無人移動体運用システムである。無線が通じないような遮断壁350が存在する閉鎖空間内の調査を行う場合は、有線による操縦を行うが、通信ケーブル250の制約があって、行動範囲に限界がある。有線操縦タイプの移動体200を介して無線通信240によって無線操縦タイプの移動体100を操縦して走行させることにより、調査範囲を広げることができる。通信ケーブルは200〜500m程度であり、通信ケーブルが絡まるリスクなどを勘案すると、施設内の直線部分の活動に制限される。直線通路から屈曲した通路部分や折り返しが必要な階段の走行には適さない。このような箇所に対しては、無線操縦タイプの移動体100を進入させて調査することができる。
この図示の例では、モニター301と操作具302を備えたコントローラ300から、遮蔽壁350を貫通して通信ケーブルを延出して有線操縦タイプの移動体200を操縦する。移動体200に搭載したアンテナを介して先行する無線操縦タイプの移動体100の操作が行われる。移動体100の情報は通信ケーブル250を通してコントローラ300に伝えられる。なお、コントローラは一つが図示されているが、
図10に示すように2つの移動体ごとに準備し、2人のオペレーターによって操作される。
遮蔽区画内部は暗視状態および障害物が散乱している状態である。このような状態で後方の移動体200で先行する移動体100の状態を撮影し、現況をモニターしながら操作できることは、緊急時で不慣れな状況下におけるオペレーターの緊張を緩和することができる。事故施設内の状況調査に注意を振り向けることができるので、調査等の業務の充実を図ることができる。
【0029】
図10に図示した無人移動体運用システムは、遮蔽区画から遠く離れた場所からコントロールする必要が有る場合の実施態様を示している。遮蔽区画が外側と無線通信が可能であっても、放射能分布などのためにオペレータが近づくことが困難な場合は、遠方から操縦する必要がある。このような場合は、有線操縦タイプの移動体200の通信ケーブル端に通信機能付きの中継機332を設け、遮蔽壁350の外側にコントローラ側の中継機334を設置し、中継機334とコントローラの間は光ファイバーで接続すると危険な遮蔽区画から離れた場所からコントロールすることが可能となる。この図示の例では、無線操縦タイプの移動体100用のコントローラ320と有線操縦タイプの移動体200用のコントローラ310を別々に表記している。2つのコントローラをそれぞれのオペレータが操作することとなる。
【0030】
図示は省略するが、遮蔽区画内部で無線通信が困難な場合の実施態様を紹介する。遮蔽区画内部では無線通信環境が悪い場合は、遮蔽区画内部の走行体を有線操縦タイプとし、遮蔽区画の外側に無線操縦タイプの移動体を待機させて、無線操縦タイプの移動体を介して有線操縦タイプの移動体を操作するように組み合わせることによって、離れた場所からのコントロールが可能となる。