【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成23年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)「低炭素社会を実現する新材料パワー半導体プロジェクト」委託研究)、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
硬質黒鉛からなる中空円板の内周面側に柔軟性黒鉛シートを介して前記台座の先端が接着され、前記中空円板の外周面側に前記柔軟性黒鉛シートを介して可動円筒の起端が接着されており、
前記台座の先端は、前記種結晶の裏面に接触しておらず、かつ、前記可動円筒の先端は、前記種結晶の裏面に接触している
請求項2から4までのいずれか1項に記載の単結晶製造装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 適用対象]
以下の説明においては、SiC単結晶の成長について説明するが、本発明は、昇華再析法などの気相成長法を用いて製造可能な他の単結晶(例えば、GaN単結晶、AlN単結晶など)にも適用することができる。
また、以下の説明においては、昇華再析出法について主に説明するが、本発明は、外部から成長容器内に原料ガスを導入して種結晶表面に単結晶を気相成長させる方法(CVD法)などの他の気相成長法についても適用することができる。
【0020】
[2. 単結晶製造装置]
本発明に係る単結晶製造装置は、本体部と、上蓋と、台座と、可動機構とを備えている。単結晶製造装置は、さらに、原料ガス漏洩抑制機構、及び/又は、降温時可動機構を備えていても良い。
【0021】
[2.1. 本体部]
本体部は、種結晶表面に単結晶を気相成長させるための原料を保持し、又は、外部から供給される原料ガスを保持するためのものである。昇華再析出法を用いてSiC単結晶を成長させる場合、本体部は、SiC原料を保持するために用いられる。本体部の上部には開口部があり、開口部は、後述する上蓋により覆われている。本体部の形状、大きさ等は、特に限定されるものではなく、単結晶の成長に必要な量の原料又は原料ガスを保持可能なものであれば良い。
本体部の材料は、特に限定されるものではないが、通常、黒鉛(硬質黒鉛)が用いられる。昇華再析出法を用いてSiC単結晶を成長させる場合、SiC原料には、一般に、SiC粉末が用いられる。一方、例えばCVD法により単結晶を成長させる場合、本体部内に原料を保持することに代えて、外部から本体部内に原料ガスが導入される。この点は、後述する他の具体例においても同様である。
【0022】
[2.2. 上蓋]
上蓋は、本体部の開口部を覆うために用いられる。また、上蓋には、その中央部に種結晶の裏面側を本体部の外側に開放するための放熱孔が設けられていても良い。放熱孔は、種結晶の裏面の全部又は一部のみを本体部の外側に開放するものでも良く、あるいは、裏面の全部又は一部と側面の一部を開放するものでも良い。単結晶の成長を促進させるためには、種結晶の成長面側から裏面側に向かって放熱させる必要がある。上蓋に放熱孔を設けると、種結晶の裏面側からの放熱が促進されるので、単結晶の成長速度の低下を抑制することができる。
【0023】
放熱孔の大きさは、特に限定されるものではないが、放熱を促進するためには、種結晶の大きさとほぼ同等の大きさが好ましい。すなわち、放熱孔の大きさは、種結晶の裏面側のほぼ全面を本体部の外側に開放可能な大きさが好ましい。
上蓋の材料は、特に限定されるものではないが、通常、黒鉛(硬質黒鉛)が用いられる。また、上蓋は、一体物でも良く、あるいは、種結晶の成長面に対して略垂直方向に分割されていても良い。
【0024】
[2.3. 台座]
台座は、種結晶を保持するためのものであり、種結晶と上蓋との間に設けられる。本発明において、台座は、種結晶を保持する機能だけでなく、後述する可動機構の一部を構成する場合もある。台座は、上蓋に一体的に形成されていても良く、あるいは、上蓋から分離可能になっていても良い。
【0025】
台座は、少なくとも種結晶の成長面の全部(好ましくは、成長面の全部と側面の全部又は一部)が本体部の内側に露出するように、種結晶を保持可能なものである必要がある。
種結晶を台座に保持する場合において、種結晶を保持するための部材により成長面の一部が覆われると、保持部材上に多結晶が析出し、種結晶直上の単結晶の品質が低下する。これに対し、成長面の全部が本体部の内側に露出するように、種結晶を保持すると、多結晶の析出に起因する単結晶の品質低下を抑制することができる。
台座は、中実の部材であっても良く、あるいは、筒状の部材であっても良い。特に、上蓋に放熱孔が設けられている場合、台座は、種結晶の裏面の全部又は一部が放熱孔を介して本体部の外側に開放されるように、種結晶を保持可能なものが好ましい。具体的には、台座は、筒状を呈し、台座の大きさ(又は、外径)は、種結晶の大きさ(又は、直径)以下になっているものが好ましい。
種結晶の裏面の全部又は一部が上蓋の放熱孔を介して本体部の外側に開放されるように種結晶を保持すると、種結晶の裏面側からの放熱が促進されるので、単結晶の成長速度の低下を抑制することができる。
【0026】
[2.4. 可動機構]
「可動機構」とは、種結晶と上蓋とを相対的に移動させることによって、種結晶と上蓋又は台座との間の熱膨張係数差に起因する熱応力の発生を抑制する機構をいう。可動機構は、種結晶と上蓋との相対移動可能距離が100μm以上であるものが好ましい。相対移動可能距離は、さらに好ましくは500μm以上、さらに好ましくは1mm以上である。ここで、種結晶の中心軸から水平方向への距離で表される極点座標を取った場合、「相対移動可能距離」とは、次の(1)式で表される値をいう。
相対移動可能距離=|点A−点B| ・・・(1)
但し、
点a:室温における種結晶端部の座標。
点b:室温において点aの鉛直方向の同じ位置の上蓋部の座標。
点A:成長温度において点aが移動した先の座標。
点B:成長温度において点bが移動した先の座標。
可動機構としては、具体的には、摺動機構、角度変更機構などがある。
【0027】
[2.4.1. 摺動機構]
「摺動機構」とは、上蓋に対して種結晶が熱膨張又は熱収縮した時に、上蓋に対して種結晶をスライドさせることにより熱膨張又は熱収縮を吸収する機構をいう。
種結晶は、台座を介して上蓋に保持される。可動機構が摺動機構である場合、種結晶−台座間、及び、台座−上蓋間の少なくとも一方は、物理的に接触しているだけで、接着されていない。
そのため、熱膨張係数差により種結晶が上蓋に対して熱膨張又は熱収縮した場合であっても、種結晶−台座間、及び/又は、台座−上蓋間が種結晶の成長面の面内方向(種結晶の中心から外側に向かって放射状方向)にスライドし、熱膨張又は熱収縮を吸収することができる。摺動機構の相対移動可能距離には、実質的に制限はない。
【0028】
[2.4.2. 角度変更機構]
「角度変更機構」とは、上蓋に対して種結晶が熱膨張又は熱収縮した時に、台座の側面と種結晶の裏面及び上蓋の下面とのなす角度を変更することにより熱膨張又は熱収縮を吸収する機構をいう。
可動機構が角度変更機構である場合、種結晶は、角度変更機能を備えた台座を介して上蓋に保持される。種結晶−台座間、及び、台座−上蓋間は、いずれも、スライドすることはできないが、台座は、その側面と種結晶の裏面及び上蓋の下面とのなす角度が変更可能になっている。すなわち、台座は、種結晶を保持する先端部分が、外力によりテーパ状又は逆テーパ状に変形できるようになっている。台座の変形量には、台座の形状、材料等に応じた限界があるが、材料や基本構造が同一であっても台座の高さを高くするほど、相対移動可能距離を長くすることができる。
そのため、熱膨張係数差により種結晶が上蓋に対して熱膨張又は熱収縮した場合であっても、台座の先端がテーパ状又は逆テーパ状に変形することによって、熱膨張又は熱収縮を吸収することができる。
【0029】
[2.4.3. 構成部材の材料]
可動機構を構成する部材の全部が、低弾性率材料(例えば、柔軟性黒鉛シート)からなる場合、昇華ガス又は原料ガスとの反応によって部材が早期に劣化しやすくなるという問題がある。また、低弾性率材料は強度が弱いため、その使用量が多いと、破断を起こす起点が多くなり、単結晶が落下するなどの確率が高くなる。従って、可動機構は、少なくとも一部に硬質黒鉛からなる部材を含んでいるのが好ましい。
ここで、「硬質黒鉛」とは、引張強さが10MPa超で、ヤング率が0.5GPa以上である黒鉛をいう。
「柔軟性黒鉛シート」とは、引張強さが10MPa以下である黒鉛シートをいう。代表的なものに、パッキンなどに使用されるものがある。
可動機構は、構成部材の全部がこのような硬質黒鉛からなるものでも良く、あるいは、硬質黒鉛からなる部材と、低弾性率材料からなる部材の双方を含んでいても良い。高い耐久性を得るためには、可動機構に含まれる低弾性率材料の割合は、少ないほど良い。
【0030】
[2.4.4. 接着部の最大寸法]
種結晶は、可動機構を構成する部材に接着される。接着部の大きさが大きくなるほど、熱膨張差に起因する歪みが大きくなる。歪みを低減するには、個々の接着部の最大寸法は、25mm以下が好ましい。接着部の最大寸法は、さらに好ましくは、20mm以下、さらに好ましくは、15mm以下である。
ここで、「接着部」とは、硬質部材間が直接、接着されている部分を表し、硬質部材が低弾性率部材を介して接着されている部分を含まない。
「接着部の最大寸法」とは、接着部の断面に接する平行線の最大距離をいう。例えば、接着部の断面形状が円であるときは直径、四角形であるときは対角線、五角形であるときは1つの頂点から2個隣の頂点までの距離を表す。
【0031】
[2.5. 原料ガス漏洩抑制機構]
「原料ガス漏洩抑制機構」とは、摺動部から本体部外への原料ガスの漏洩を抑制するための機構をいう。
可動機構が摺動機構である場合、摺動部は、部材同士が物理的に接触しているだけである。そのため、本体部内で発生させた昇華ガスは、摺動部を通って本体部外へ抜けることがある。昇華ガスが摺動部を通って本体部の外側へ漏れると、
(1)原料の早期枯渇による結晶成長高さの制限、
(2)本体部内の昇華ガスの濃度の低下による結晶表面の炭化、又は、
(3)炉体へのダメージ
の原因となる可能性がある。
従って、可動機構が摺動機構である場合、摺動部に、原料ガスの漏洩を抑制するための機構を設けるのが好ましい。
【0032】
原料ガス漏洩抑制機構は、少なくとも成長開始時において、摺動部を封止可能なものであれば良い。
原料ガスの漏洩を抑制する方法としては、具体的には、
(1)温度勾配方向(温度が低下する方向)に対して返しを作ることにより、原料ガスの漏洩を防ぐ方法(
図9)、
(2)温度勾配方向(温度が低下する方向)に対向するように、摺動部に凹部を形成することにより、摺動部近傍へ多結晶を析出させ、摺動部を封止する方法(
図10)、
などがある。
【0033】
[2.6. 降温時可動機構]
「降温時可動機構」とは、摺動部への多結晶の析出を抑制し、降温時においても上蓋に対して種結晶をスライドさせることを可能とする機構をいう。
可動機構が摺動機構である場合、通常、単結晶の成長が進行するにつれて摺動部近傍に多結晶が析出し、やがて摺動機能が失われる。摺動機能が失われても、成長途中に種結晶に導入される熱歪みが少なければ、成長結晶に導入される欠陥も少ない。また、種結晶の表面に単結晶がある程度成長すると、成長結晶全体の剛性も大きくなるので、熱歪みの影響も小さくなる。
しかしながら、成長結晶の形状、直径、成長高さ等によっては、降温時に発生する熱応力によって成長結晶に割れが生じることがある。従って、可動機構が摺動機構である場合、降温時においても摺動機能を維持することが可能な機構を設けるのが好ましい。
【0034】
降温時可動機構は、昇温過程だけでなく、成長過程を通して摺動部近傍への多結晶の析出を抑制可能なものである必要がある。
摺動部近傍への多結晶の析出を抑制する方法としては、例えば、台座の周囲にガス流れと反対向きの隙間を設ける方法(
図11)などがある。
【0035】
[2.7. 種結晶]
本発明に係る単結晶製造装置に用いられる種結晶の形状は、特に限定されるものではなく、目的に応じて種々の形状を用いることができる。
例えば、種結晶は、成長面が円形であるものでも良く、あるいは、成長面が矩形であるものでも良い。
【0036】
[3. 単結晶製造装置の具体例]
[3.1. 具体例(1)]
図1に、本発明の第1の実施の形態に係る単結晶製造装置の可動機構の正面図(
図1(a))、底面図(
図1(b))、平面図(
図1(c))、及び、D−D’線断面図(
図1(d))を示す。
図1において、単結晶製造装置10aは、本体部(図示せず)と、上蓋20aと、台座30aと、可動機構(摺動機構)40aとを備えている。
【0037】
上蓋20aは、本体部(図示せず)の開口部を覆うため、及び、その内面側にSiC種結晶50aを保持するために用いられる。また、上蓋20aには、その中央部にSiC種結晶50aの裏面側を本体部の外側に開放するための放熱孔22aが設けられている。放熱孔22aは必ずしも必要ではないが、上蓋20aに放熱孔22aを設けると、単結晶の成長速度の低下を抑制することができる。
放熱孔22aの下方には、筒状の台座30aが一体的に設けられている。さらに、台座30aの先端には、SiC種結晶50aがスライド可能となるように支持されている。台座30aは必ずしも筒状である必要はないが、上蓋20aに放熱孔22aが設けられている場合において台座30aを筒状にすると、単結晶の成長速度の低下を抑制することができる。台座30aが中実の部材からなる場合、台座30aには、後述する第1支持部材42aを遊挿可能な貫通孔が設けられる。
【0038】
可動機構(摺動機構)40aは、第1支持部材42aと、第2支持部材44aと、ナット(固定手段)46aとを備えている。
第1支持部材42aは、硬質黒鉛からなり、SiC種結晶50aの裏面の中央部にその一端を固定するための1個の棒状の部材である。第1支持部材42aの一端は、SiC単結晶50aの裏面に接着されている。第1支持部材42aの長さは、上蓋20aの高さ+台座30aの高さより長くなっている。
なお、第1支持部材42aは、SiC種結晶50aの中央部付近にその一端が固定された、互いに強固に連結していない2以上の部材であっても良い。「互いに強固に連結していない」とは、硬質黒鉛からなる複数の第1支持部材42a、42a…が単に接触しているか、あるいは、引張強度が10MPa以下である柔軟性黒鉛シートで連結されている、あるいは、スライド可能に嵌合していることをいう。
第2支持部材44aは、硬質黒鉛からなる板状の部材である。第2支持部材44aを板状にするのは、放熱孔22aを完全に塞がないようにするためである。第2支持部材44aの中央には、第1支持部材42aの他端を挿入可能な挿入孔が設けられている。
【0039】
第1支持部材42aの一端が接着されたSiC種結晶50aと第2支持部材44aは、上蓋20a−台座30aを両側から挟むように配置され、SiC種結晶50a−台座30a間及び上蓋20a−第2支持部材44a間は、単に接触しているだけである。また、第2支持部材44aの挿入孔に挿入された第1支持部材42aの他端は、黒鉛製のナット46aで第2支持部材44aに緩く固定されている。そのため、SiC種結晶50aの裏面は、台座30aの先端に接触した状態で保持されているが、上蓋20a(又は台座30a)に対して水平方向(SiC種結晶50aの成長面の面内方向)にスライド可能になっている。
【0040】
すなわち、第1の具体例において、可動機構40aは、
(a)SiC種結晶50aの裏面に台座30aの先端を接触させ、
(b)SiC種結晶50aの裏面の中央部付近に、硬質黒鉛からなる互いに強固に連結していない1以上の棒状の第1支持部材42aの一端を固定し、
(c)上蓋20aの上に、硬質黒鉛からなる板状の第2支持部材44aを載せ、第1支持部材42aを台座30a内に遊挿し、第2支持部材44aに設けられた挿入孔に第1支持部材42aの他端を挿入し、
(d)挿入孔に挿入された第1支持部材42aの他端と第2支持部材44aとをナット(固定手段)46aで固定することにより、
上蓋20aに対してSiC種結晶50aをスライドさせる摺動機構からなる。
【0041】
第1支持部材42aとSiC種結晶50aの接着部の面積は、特に限定されるものではないが、熱応力を軽減するためには、接着部の面積は、SiC種結晶50aを保持可能な限りにおいて、小さいほど良い。接着部の断面が円である場合、接着部の直径は、SiC種結晶50aの大きさにもよるが、2mm以上が好ましい。接着部の直径は、さらに好ましくは4mm以上、さらに好ましくは6mm以上である。一方、接着部の直径が大きくなりすぎると、SiC種結晶50aに歪みが入りやすくなる。従って、接着部の直径は、25mm以下が好ましい。接着部の直径は、さらに好ましくは20mm以下、さらに好ましくは15mm以下である。
また、上蓋20a、台座30a及び第1支持部材42aは、同一の材料からなるのが望ましい。この場合、縦方向の熱膨張係数差の違いによる摺動部の隙間拡大や熱歪みの発生のおそれが小さくなる。
さらに、SiC種結晶50aの裏面であって、第1支持部材42aとの接着部以外の面には、種結晶裏面の昇華を防止するために、保護層52aを形成するのが好ましい。保護層52aは、種結晶に熱応力を与えないもの(例えば、低ヤング率の材料、極めて薄く形成された膜など)が好ましい。また、保護層52aは、接着時における接着剤からのガスの放出を容易化するために、ガス透過性の高いものが好ましい。保護層52aとしては、例えば、炭素蒸着膜、炭素微粒子からなる膜、柔軟性黒鉛シートなどがある。
【0042】
図1に示す単結晶製造装置10aにおいて、SiC種結晶50a−台座30a間は接触しているが、接着されていない。そのため、室温から、単結晶成長温度まで昇温するとき、SiC種結晶50a−台座30a間の熱膨張係数差に起因する歪みは、可動機構40aで緩和される。また、種結晶裏面中央の接着部の最大寸法は、種結晶に熱歪みを与えない程度に十分小さいため、成長結晶の格子面に歪みは殆ど生じない。
さらに、種結晶裏面以外の面上(特に、成長面上)には、種結晶を支持する部材が、単結晶の成長方向を阻害するように配置されていないので、成長面上に多結晶が析出して、単結晶の品質を劣化させることがない。
【0043】
[3.2. 具体例(2)]
図2に、本発明の第2の実施の形態に係る単結晶製造装置の可動機構の正面図(
図2(a))、底面図(
図2(b))、平面図(
図2(c))、及び、D−D’線断面図(
図2(d))を示す。
図2において、単結晶製造装置10bは、本体部(図示せず)と、上蓋20bと、台座30bと、可動機構(摺動機構)40bとを備えている。
【0044】
上蓋20bは、本体部(図示せず)の開口部を覆うため、及び、その内面側にSiC種結晶50bを保持するために用いられる。また、上蓋20bには、その中央部にSiC種結晶50bの裏面側を本体部の外側に開放するための放熱孔22bが設けられている。放熱孔22bは必ずしも必要ではないが、上蓋20bに放熱孔22bを設けると、単結晶の成長速度の低下を抑制することができる。
放熱孔22bの下方には、筒状の台座30bが一体的に設けられている。さらに、台座30bの先端には、SiC種結晶50bがスライド可能となるように支持されている。台座30bは必ずしも筒状である必要はないが、上蓋20bに放熱孔22bが設けられている場合において台座30bを筒状にすると、単結晶の成長速度の低下を抑制することができる。台座30bが中実の部材からなる場合、台座30bには、後述する第1支持部材42bを遊挿可能であり、かつ、第1支持部材42bをナット46bで固定可能な閉塞孔が設けられる。この場合、閉塞孔の底面が後述する第2支持部材44bとなり、第1支持部材42bは、閉塞孔の底面にスライド可能となるように固定される。
【0045】
可動機構(摺動機構)40bは、第1支持部材42b、42b…と、第2支持部材44b、44b…と、ナット(固定手段)46b、46b…とを備えている。
第1支持部材42b、42b…は、硬質黒鉛からなり、SiC種結晶50bの裏面の外周部にその一端を固定するための複数個の棒状の部材である。第1支持部材42b、42b…の一端は、SiC単結晶50bの裏面に接着されている。第1支持部材42b、42b…の長さは、ナット46b、46b…により第2支持部材44b、44b…にスライド可能となるように固定することができる長さになっている。
図2に示す例おいては、合計4個の第1支持部材42b、42b…が設けられているが、これは単なる例示であり、SiC単結晶50bを安定に支持できる限りにおいて、その個数は、特に限定されるものではない。
【0046】
第2支持部材44b、44b…は、台座30b(又は、放熱孔22b)の下端から台座30b(又は、放熱孔22b)の中心方向に向かって張り出した部材である。第2支持部材44b、44bの材料は、特に限定されないが、通常は、黒鉛(硬質黒鉛)が用いられる。第2支持部材44b、44b…は、第1支持部材42b、42b…を挿入することができ、かつ、第1支持部材42b、42b…をSiC種結晶50bの成長面の面内方向(SiC種結晶50bの中心から放射状方向)に移動させることが可能なU字形の溝を備えている。
図2に示す例において、第2支持部材44b、44b…は、細長い板状を呈しているが、これは単なる例示であり、その形状は特に限定されない。例えば、第2支持部材44b、44b…は、台座30bの下面全体に設けられた中空円板状の部材であっても良い。
【0047】
第1支持部材42bの一端が接着されたSiC種結晶50bは、台座30bの下端に接触しているだけである。また、第2支持部材44bのU字形の溝に遊挿された第1支持部材42bの他端は、黒鉛製のナット46b、46b…で第2支持部材44b、44b…に緩く固定されている。そのため、SiC種結晶50bの裏面は、台座30bの先端に接触した状態で保持されているが、上蓋20b(又は台座30b)に対して水平方向(SiC種結晶50bの成長面の面内方向)にスライド可能になっている。
【0048】
すなわち、第2の具体例において、可動機構40bは、
(a)SiC種結晶50bの裏面に台座30bの先端を接触させ、
(b)SiC種結晶50bの裏面の外周部に、硬質黒鉛からなる複数個の棒状の第1支持部材42b、42b…の一端を固定し、
(c)台座30bの下端に、第1支持部材42b、42b…を遊挿可能であり、かつ、第1支持部材42b、42b…をSiC種結晶50aの中心から外側に向かう方向又は外側から中心に向かう方向にスライド可能な(U字形の)溝を備えた第2支持部材44b、44b…を設け、
(d)(U字形の)溝に第1支持部材42b、42b…を遊挿し、(U字形の)溝に沿って第1支持部材42b、42b…がスライドできるように第1支持部材42b、42b…の他端を台座30bの下端(第2支持部材44b、44b…)にナット(固定手段)46b、46b…で固定することにより、
上蓋20bに対してSiC種結晶50bをスライドさせる摺動機構からなる。
【0049】
第1支持部材42b、42b…とSiC種結晶50bの接着部の面積は、特に限定されるものではないが、熱応力を軽減するためには、接着部の面積は、SiC種結晶50bを保持可能な限りにおいて、小さいほど良い。個々の第1支持部材42b、42b…の好適な接着部の面積は、第1の具体例と同様であるので、説明を省略する。
また、SiC種結晶50bの裏面であって、第1支持部材42b、42b…との接着部以外の面には、種結晶裏面の昇華を防止するために、保護層52bを形成するのが好ましい。保護層52bの詳細は、第1の具体例と同様であるので、説明を省略する。
【0050】
図2に示す単結晶製造装置10bにおいて、SiC種結晶50b−台座30b間は接触しているが、接着されていない。そのため、室温から、単結晶成長温度まで昇温するとき、SiC種結晶50b−台座30b間の熱膨張係数差に起因する歪みは、摺動機構40bで緩和される。また、種結晶裏面外周部の接着部の最大寸法は、種結晶に熱歪みを与えない程度に十分小さいため、成長結晶の格子面に歪みは殆ど生じない。
さらに、種結晶裏面以外の面上(特に、成長面上)には、種結晶を支持する部材が、単結晶の成長方向を阻害するように配置されていないので、成長面上に多結晶が析出して、単結晶の品質を劣化させることがない。
【0051】
[3.3. 具体例(3)]
図3に、本発明の第3の実施の形態に係る単結晶製造装置の可動機構の正面図(
図3(a))、底面図(
図3(b))、平面図(
図3(c))、及び、D−D’線断面図(
図3(d))を示す。
図3において、単結晶製造装置10cは、本体部(図示せず)と、上蓋20cと、台座30cと、可動機構(摺動機構)40cとを備えている。
【0052】
上蓋20cは、本体部(図示せず)の開口部を覆うため、及び、その内面側にSiC種結晶50cを保持するために用いられる。また、上蓋20cには、その中央部にSiC種結晶50cの裏面側を本体部の外側に開放するための放熱孔22cが設けられている。放熱孔22cは必ずしも必要ではないが、上蓋20cに放熱孔22cを設けると、単結晶の成長速度の低下を抑制することができる。
放熱孔22cの下方には、筒状の台座30cが一体的に設けられている。さらに、台座30cの先端には、SiC種結晶50cがスライド可能となるように支持されている。台座30cは必ずしも筒状である必要はないが、上蓋20cに放熱孔22cが設けられている場合において台座30cを筒状にすると、単結晶の成長速度の低下を抑制することができる。台座30cが中実の部材からなる場合、台座30cには、後述する第1支持部材42cを遊挿可能であり、かつ、SiC種結晶50cの膨張又は収縮に伴い第1支持部材42cをSiC種結晶50cの径方向にスライド可能な貫通孔が設けられる。
また、上蓋20cの上面の放熱孔22cの周囲には、断面がL字形の溝26cが設けられている。溝26cは、その上面に後述するナット(固定手段)46c、46c…を載置し、かつ、ナット46c、46cを溝26cの上面に沿ってスライドさせるためのものである。なお、溝26cは、必ずしも必要ではなく、必要に応じて形成することができる。
【0053】
可動機構(摺動機構)40cは、第1支持部材42c、42c…と、ナット(固定手段)46b、46b…とを備えている。
第1支持部材42c、42c…は、硬質黒鉛からなり、SiC種結晶50cの裏面の少なくとも外周部にその一端を固定するための複数個の棒状の部材である。第1支持部材42c、42c…は、SiC種結晶50cの保持及び摺動が可能な限りにおいて、SiC種結晶50cの裏面の外周部以外の部位に固定されていても良い。第1支持部材42c、42c…の一端は、SiC種結晶50cの裏面に接着されている。第1支持部材42cの長さは、上蓋20cの高さ+台座30cの高さと同等以上になっている。
図3に示す例おいては、合計4個の第1支持部材42c、42c…が設けられているが、これは単なる例示であり、SiC種結晶50cを安定に支持できる限りにおいて、その個数は、特に限定されるものではない。
【0054】
第1支持部材42c、42c…の一端が接着されたSiC種結晶50cは、台座30cの下端に接触しているだけである。また、第1支持部材42c、42c…の他端は、黒鉛製のナット46c、46c…の下面が上蓋20cの溝26cに接触するように、ナット46c、46c…で溝26cに緩く固定されている。そのため、SiC種結晶50cの裏面は、台座30cの先端に接触した状態で保持されているが、上蓋20c(又は台座30c)に対して水平方向(SiC種結晶50cの成長面の面内方向)にスライド可能になっている。
【0055】
すなわち、第3の具体例において、可動機構40cは、
(a)SiC種結晶50cの裏面に台座30cの先端を接触させ、
(b)SiC種結晶50cの裏面の少なくとも外周部に、硬質黒鉛からなる複数個の棒状の第1支持部材42c、42c…の一端を固定し、
(c)上蓋20cの上面(又は、上蓋20cの放熱孔22cの周囲に形成された溝26cの上面)に沿って第1支持部材42c、42c…がスライドできるように、第1支持部材42c、42c…を台座30c内に遊挿し、第1支持部材42c、42c…の他端と上蓋20c(又は溝26c)とをナット(固定手段)46c、46c…で固定することにより、
上蓋20cに対してSiC種結晶50cをスライドさせる摺動機構からなる。
【0056】
第1支持部材42c、42c…とSiC種結晶50cの接着部の面積は、特に限定されるものではないが、熱応力を軽減するためには、接着部の面積は、SiC種結晶50cを保持可能な限りにおいて、小さいほど良い。個々の第1支持部材42c、42c…の好適な接着部の面積は、第1の具体例と同様であるので、説明を省略する。
また、SiC種結晶50cの裏面であって、第1支持部材42c、42c…との接着部以外の面には、種結晶裏面の昇華を防止するために、保護層52cを形成するのが好ましい。保護層52cの詳細は、第1の具体例と同様であるので、説明を省略する。
【0057】
図3に示す単結晶製造装置10cにおいて、SiC種結晶50c−台座30c間は接触しているが、接着されていない。そのため、室温から、単結晶成長温度まで昇温するとき、SiC種結晶50c−台座30c間の熱膨張係数差に起因する歪みは、摺動機構40cで緩和される。また、種結晶裏面外周部の接着部の最大寸法は、種結晶に熱歪みを与えない程度に十分小さいため、成長結晶の格子面に歪みは殆ど生じない。
さらに、種結晶裏面以外の面上(特に、成長面上)には、種結晶を支持する部材が、単結晶の成長方向を阻害するように配置されていないので、成長面上に多結晶が析出して、単結晶の品質を劣化させることがない。
【0058】
[3.4. 具体例(4)]
図4に、本発明の第4の実施の形態に係る単結晶製造装置の可動機構の正面図(
図4(a))、底面図(
図4(b))、平面図(
図4(c))、及び、D−D’線断面図(
図4(d))を示す。
図4において、単結晶製造装置10dは、本体部(図示せず)と、上蓋20dと、台座30dとを備えている。第4の具体例において、台座30dは、上蓋20dに対して摺動可能になっており、可動機構(摺動機構)を兼ねている。
【0059】
上蓋20dは、本体部(図示せず)の開口部を覆うため、及び、その内面側にSiC種結晶50dを保持するために用いられる。また、上蓋20dには、その中央部にSiC種結晶50dの裏面側を本体部の外側に開放するための貫通孔22dが設けられている。貫通孔22dは、台座30dを上方から挿入するためのものであるが、台座30dが筒状を呈しているときは、貫通孔22dは、放熱孔としても機能する。
上蓋20dの上面であって、貫通孔22dの周囲には、筒状の台座30dの上端をスライドさせるための、断面がL字形の溝26dが設けられている。なお、溝26dは、必ずしも必要ではなく、必要に応じて形成することができる。
【0060】
台座30dは、硬質黒鉛からなり、SiC種結晶50dの成長面に対して略垂直方向に分割された複数個の短冊形の支持部材32d、32d…と、柔軟性黒鉛シート34d、34d…とを備えている。支持部材32d、32d…間は、柔軟性黒鉛シート34d、34d…を介して接合されている。 支持部材32d、32d…の断面は、下端が放熱孔22dの中心方向に向かって折れ曲がり、かつ、上端が放熱孔22dの外側に向かって折れ曲がったS字形を呈している。そのため、筒状の台座30dの上端には、外側に向かって水平方向に伸びている鍔部36dが形成されている。
なお、台座30dは、必ずしも薄肉の筒状である必要はない。
図5(a)〜
図5(e)に、各種台座30d’の胴体部の断面模式図を示す。台座30d’は、中実の円柱状の部材(
図5(a))又は厚肉の円筒状の部材(
図5(b))をSiC種結晶50dの成長面に対して垂直方向に分割してショートケーキ型の支持部材(中心部から放射状に分割された形状)とし、支持部材間を柔軟性黒鉛シートを介して接合しても良い。あるいは、
図5(c)〜
図5(e)に示すように、支持部材を六角柱(
図5(c))、三角柱(
図5(d))又は四角柱(
図5(e))とし、支持部材間を柔軟性黒鉛シートを介して接合してハニカム状の構造としても良い。ショートケーキ型のように個々の支持部材が大きくなる場合、台座の先端面全面に種結晶を接着するのではなく、接着部の最大寸法が25mm以下となるように台座と種結晶との界面の一部を接着するのが好ましい。
【0061】
台座30dの下端には、SiC単結晶50dが接着されている。この場合、接着部の最大寸法が25mm以下となるように、短冊形の支持部材32d、32d…の下端の形状を定めるのが好ましい。
SiC種結晶50dが膨張又は収縮すると、これに応じて柔軟性黒鉛シート34d、34d…が弾性変形し、台座30dの外径が変化する。台座30dの胴体部分の外径は、台座30dの外径が変化しても胴体部分が貫通孔22dにより拘束されないようにするために、貫通孔22dの内径より小さくなっている。また、鍔部36dの外径は、台座30dの外径が変化しても台座30dが上蓋20dから落下しないようにするために、貫通孔22dの内径より大きくなっている。
台座30dは、上蓋20dの上方から貫通孔22d内に挿入され、鍔部36dで引っ掛けるように上蓋20dに止められている。鍔部36dの下面は、溝26dの上面に接触しているだけである。そのため、鍔部36dは、溝26dの上面に沿って水平方向(SiC種結晶50dの成長面の面内方向)にスライド可能になっている。
【0062】
すなわち、第4の具体例において、上蓋20dは、中央部に貫通孔22dを備え、
可動機構は、
(a)台座30dとして、
硬質黒鉛からなり、SiC種結晶50dの成長面に対して略垂直方向に分割された複数個の支持部材32d、32d間が、柔軟性黒鉛シート34d、34d…を介して接合されており、
台座30dの胴体部の外径が貫通孔22dの内径より小さく、かつ、台座30dの上端に貫通孔22dの内径より大きい外径を有する鍔部36dを備えているものを用い、
(b)SiC種結晶50dの裏面を台座30dの先端に固定し、
(c)台座30dを、上蓋20dの上方から貫通孔22dに挿入することにより、
上蓋20dに対してSiC種結晶50dをスライドさせる摺動機構からなる。
【0063】
柔軟性黒鉛シート34d、34d…の厚さは、SiC種結晶50dの膨張又は収縮を吸収可能な厚さであれば良い。柔軟性黒鉛シート34d、34dの厚さは、具体的には、0.1〜3.0mmが好ましい。台座30d全体に占める柔軟性黒鉛シート34d、34d…の割合は、具体的には、2〜20vol%が好ましい。柔軟性黒鉛シートの割合は、さらに好ましくは10vol%以下、さらに好ましくは5vol%以下である。
台座30d(又は、支持部材32d、32d…)の先端とSiC種結晶50dの接着部の面積は、特に限定されるものではないが、熱応力を軽減するためには、接着部の面積は、SiC種結晶50dを保持可能な限りにおいて、小さいほど良い。台座30d(又は、支持部材32d、32d…)の好適な接着部の面積は、第1の具体例と同様であるので、説明を省略する。
また、SiC種結晶50dの裏面であって、支持部材32d、32d…との接着部以外の面には、種結晶裏面の昇華を防止するために、保護層(図示せず)を形成するのが好ましい。保護層の詳細は、第1の具体例と同様であるので、説明を省略する。
【0064】
図4に示す単結晶製造装置10dにおいて、SiC種結晶50d−台座30d間は接着されているが、台座30dの鍔部36d−上蓋20dの溝26d間は接触しているだけで、接着されていない。また、台座30dは、硬質黒鉛からなる支持部材32d、32d…と、柔軟性黒鉛シート34d、34d…との接合体であるため、径方向に弾性変形しやすくなっている。そのため、室温から、単結晶成長温度まで昇温するとき、SiC種結晶50d−上蓋20d間の熱膨張係数差に起因する歪みは、摺動機構で緩和される。また、種結晶裏面外周部の接着部の最大寸法は、種結晶に熱歪みを与えない程度に十分小さいため、成長結晶の格子面に歪みは殆ど生じない。
さらに、種結晶裏面以外の面上(特に、成長面上)には、種結晶を支持する部材が、単結晶の成長方向を阻害するように配置されていないので、成長面上に多結晶が析出して、単結晶の品質を劣化させることがない。
【0065】
[3.5. 具体例(5)]
図6に、本発明の第5の実施の形態に係る単結晶製造装置の可動機構の正面図(
図6(a))、底面図(
図6(b))、平面図(
図6(c))、及び、D−D’線断面図(
図6(d))を示す。
図6において、単結晶製造装置10eは、本体部(図示せず)と、上蓋20eと、台座30eとを備えている。第5の具体例において、台座30eは、上蓋20eに対して一体的に形成されており、台座20e及び上蓋20eは、可動機構(摺動機構)を兼ねている。
【0066】
上蓋20eは、本体部(図示せず)の開口部を覆うため、及び、その内面側にSiC種結晶50eを保持するために用いられる。また、上蓋20eには、その中央部にSiC種結晶50eの裏面側を本体部の外側に開放するための放熱孔22eが設けられている。放熱孔22eは必ずしも必要ではないが、上蓋20eに放熱孔22eを設けると、単結晶の成長速度の低下を抑制することができる。
放熱孔22eの下方には、筒状の台座30eが一体的に設けられている。さらに、台座30eの先端には、SiC種結晶50eがスライド可能となるように支持されている。台座30eは必ずしも筒状である必要はないが、上蓋20eに放熱孔22eが設けられている場合において台座30eを筒状にすると、単結晶の成長速度の低下を抑制することができる。
【0067】
上蓋20e及び台座30eは、硬質黒鉛からなり、SiC種結晶50eの成長面に対して略垂直方向に2分割されている。台座30eの下端には、放熱孔22eの中心方向に向かって張り出した支持部材32eが形成されている。
図6に示す例において、支持部材32eは、中空円板状になっているが、これは単なる例示であり、その形状は特に限定されない。例えば、支持部材32eは、台座30eの下端に離散的に設けられた所定の幅及び長さを有する爪状の突起であっても良い。支持部材32eは、SiC種結晶50eの側面に形成された凹溝54eに挿入するために用いられる。
【0068】
SiC種結晶50eの裏面側は、成長面側に比べて直径が小さくなっており、台座30eの外周がSiC種結晶50eの外側にはみ出さないようになっている。
支持部材32eの長さ及びSiC種結晶50eの側面に形成された凹溝54eの深さは、SiC種結晶50eの外径が変化しても支持部材32eがSiC種結晶50eにより拘束されず、かつ、SiC種結晶50eが支持部材32eから脱落しないように、それぞれ定められている。2分割された台座30e及び上蓋20eによりSiC種結晶50eを左右から挟むように保持した後、台座30e及び上蓋20eの分割面は、接着される。
なお、
図6において、台座30e及び上蓋20eは2分割されているが、これは単なる例示であり、分割数は目的に応じて任意に選択することができる。
【0069】
SiC種結晶50eは、2分割された台座30e(及び上蓋20e)により左右から挟むように支持される。支持部材32eは、SiC種結晶50eの側面に形成された凹溝54eに挿入されるだけで、接着されていない。そのため、支持部材32eは、SiC種結晶50eの側面に形成された凹溝54eに沿って水平方向(SiC種結晶50eの成長面の面内方向)にスライド可能になっている。
【0070】
すなわち、第5の具体例において、可動機構は、
(a)硬質黒鉛からなる上蓋20eに対して台座30eを一体的に形成し、かつ、上蓋20e及び台座30eをSiC種結晶50eの成長面に対して略垂直方向に分割し、
(b)台座30eの下端に台座30eの中心方向(放熱孔22eの中心方向)に向かって張り出した支持部材32eを形成し、
(c)支持部材32eをSiC種結晶50eの側面に形成された凹溝54eに遊挿し、分割された上蓋20e及び台座30eを接合することにより、
上蓋20eに対してSiC種結晶50eをスライドさせる摺動機構からなる。
【0071】
SiC種結晶50eの裏面には、種結晶裏面の昇華を防止するために、保護層52eを形成するのが好ましい。保護層52eの詳細は、第1の具体例と同様であるので、説明を省略する。
【0072】
図6に示す単結晶製造装置10eにおいて、台座30eの下端に設けられた支持部材32eは、SiC種結晶50eの側面に形成された凹溝54eに遊挿されているだけで、接着されていない。そのため、室温から、単結晶成長温度まで昇温するとき、SiC種結晶50e−台座30e間の熱膨張係数差に起因する歪みは、摺動機構で緩和される。また、支持部材32eとこれが遊挿される凹溝54eとの間には遊びがあるため、熱応力は殆ど発生せず、成長結晶の格子面に歪みは殆ど生じない。
さらに、種結晶裏面以外の面上(特に、成長面上)には、種結晶を支持する部材が、単結晶の成長方向を阻害するように配置されていないので、成長面上に多結晶が析出して、単結晶の品質を劣化させることがない。
【0073】
[3.6. 具体例(6)]
図7(a)に、本発明の第6の実施の形態に係る単結晶製造装置の可動機構の断面図を示す。
図7(b)及び
図7(c)に、それぞれ、SiC種結晶が上蓋に対して収縮及び膨張した状態を表す断面図を示す。
図7(a)において、単結晶製造装置10fは、本体部(図示せず)と、上蓋20fと、台座30fとを備えている。第6の具体例において、台座30fは、側面の角度が変更可能となるように、上蓋20eに接着されており、台座30fは、可動機構(角度変更機構)を兼ねている。
【0074】
上蓋20fは、本体部(図示せず)の開口部を覆うため、及び、その内面側にSiC種結晶50fを保持するために用いられる。また、上蓋20fには、その中央部にSiC種結晶50fの裏面側を本体部の外側に開放するための放熱孔22fが設けられている。放熱孔22fは必ずしも必要ではないが、上蓋20fに放熱孔22fを設けると、単結晶の成長速度の低下を抑制することができる。
放熱孔22fの下方には、筒状の台座30fが接着されている。さらに、台座30fの先端には、SiC種結晶50fが角度変更可能となるように支持されている。
【0075】
台座30fは、硬質黒鉛からなり、SiC種結晶50fの成長面に対して略垂直方向に分割された複数個の短冊形の支持部材32f、32f…と、柔軟性黒鉛シート34f、34f…とを備えている。支持部材32f、32f…間は、柔軟性黒鉛シート34f、34f…を介して接合されている。
台座30fの一端は、柔軟性黒鉛シート36fを介してSiC種結晶50fに接合されている。また、台座30fの他端は、柔軟性黒鉛シート38fを介して上蓋20fの下面に接合されている。
【0076】
筒状の台座30fは、硬質黒鉛からなる支持部材32f、32f…と、柔軟性黒鉛シート34f、34f…との接合体であるため、径方向に弾性変形しやすくなっている。また、台座30fの両端面は、それぞれ、SiC種結晶50f及び上蓋20fに接着されているが、接着面には柔軟性黒鉛シート36f、38fが挿入されている。接着直後の上蓋20fの下面(又は、SiC種結晶50fの成長面)と台座30fの側面とのなす角θは、特に限定されないが、通常は、90°である。
【0077】
図7(a)の状態から成長温度に昇温させた場合において、SiC種結晶50fが上蓋20fに対して収縮したときには、
図7(b)に示すように、柔軟性黒鉛シート34f、36f、38fが歪みを吸収するように変形し、台座30fは、上端側が開いたテーパ状に変形する。また、これによって、上蓋20fの下面と台座30fの側面とのなす角θ’は、θ’>θとなる。
一方、
図7(a)の状態から成長温度に昇温させた場合において、SiC種結晶50fが上蓋20fに対して膨張したときには、
図7(c)に示すように、柔軟性黒鉛シート34f、36f、38fが歪みを吸収するように変形し、台座30fは、上端側が閉じた逆テーパ状に変形する。また、これによって、上蓋20fの下面と台座30fの側面とのなす角θ”は、θ”<θとなる。
【0078】
すなわち、第6の具体例において、前記台座は、筒状になっており、
可動機構は、
(a)台座30fとして、
硬質黒鉛からなり、SiC種結晶50fの成長面に対して略垂直方向に分割された複数個の短冊状の支持部材32f、32f…間が、柔軟性黒鉛シート34f、34f…を介して接合されたものを用い、
(b)台座30fの両端面を、それぞれ、柔軟性黒鉛シート36f、38fを介してSiC種結晶50fの裏面及び上蓋20fの下面に固定することにより、
台座30fの側面とSiC種結晶50fの裏面及び上蓋20fの下面とのなす角度θを変更する角度変更機構からなる。
【0079】
柔軟性黒鉛シート34f、36f、38fの好適な厚さ及び割合については、第4の具体例と同様であるので、説明を省略する。
SiC種結晶50fの裏面であって、柔軟性黒鉛シート36fとの接着部以外の面には、種結晶裏面の昇華を防止するために、保護層(図示せず)を形成するのが好ましい。保護層の詳細は、第1の具体例と同様であるので、説明を省略する。
【0080】
図7に示す単結晶製造装置10fにおいて、台座30fの両端は、それぞれSiC種結晶50fの裏面及び上蓋20fの下面に接着されているが、接着部には柔軟性黒鉛シート36f、38fが挿入されている。また、台座30fは、硬質黒鉛からなる支持部材32f、32f…と柔軟性黒鉛シート34f、34f…との接合体からなる。そのため、室温から、単結晶成長温度まで昇温するとき、SiC種結晶50f−上蓋20f間の熱膨張係数差に起因する歪みは、角度変更機構で緩和される。また、柔軟性黒鉛シートの弾性率は、種結晶に熱歪みを与えない程度に十分小さいため、成長結晶の格子面に歪みは殆ど生じない。
さらに、種結晶裏面以外の面上(特に、成長面上)には、種結晶を支持する部材が、単結晶の成長方向を阻害するように配置されていないので、成長面上に多結晶が析出して、単結晶の品質を劣化させることがない。
【0081】
[3.7. 具体例(7)]
図8(a)に、本発明の第7の実施の形態に係る単結晶製造装置の可動機構の断面図を示す。
図8(b)及び
図8(c)に、それぞれ、SiC種結晶が上蓋に対して収縮及び膨張した状態を表す断面図を示す。
図8(a)において、単結晶製造装置10gは、本体部(図示せず)と、上蓋20gと、台座30gとを備えている。第7の具体例において、台座30gは、側面の角度が変更可能となるように上蓋20gに接続されており、台座30gは、可動機構(角度変更機構)を兼ねている。
【0082】
上蓋20gは、本体部(図示せず)の開口部を覆うため、及び、その内面側にSiC種結晶50gを保持するために用いられる。また、上蓋20gには、その中央部にSiC種結晶50gの裏面側を本体部の外側に開放するための放熱孔22gが設けられている。放熱孔22gは必ずしも必要ではないが、上蓋20gに放熱孔22gを設けると、単結晶の成長速度の低下を抑制することができる。
放熱孔22gの下方には、筒状の台座30gが接続されている。さらに、台座30gの先端には、SiC種結晶50gが角度変更が可能となるように支持されている。
【0083】
台座30gは、硬質黒鉛からなり、SiC種結晶50gの成長面に対して略垂直方向に分割された複数個の短冊形かつ板状の支持部材32g、32g…と、柔軟性黒鉛シート34g、34g…とを備えている。支持部材32g、32g…間は、柔軟性黒鉛シート34g、34g…で接合されている。
支持部材32g、32g…の両端には、それぞれ、断面が円形の円柱状の可動部36g、36g…が設けられている。上蓋20gの下面には、成長過程において支持部材32g、32g…及びSiC種結晶50gを保持することができ、かつ、可動部36g、36g…を回転可能に嵌め込むことが可能な凹溝28gが設けられている。同様に、SiC種結晶50gの裏面には、成長過程においてSiC種結晶50gを保持することができ、かつ、可動部36g、36g…を回転可能に嵌め込むことが可能な凹溝58gが設けられている。
【0084】
筒状の台座30gは、硬質黒鉛からなる支持部材32g、32g…と、柔軟性黒鉛シート34g、34g…との接合体であるため、径方向に弾性変形しやすくなっている。また、支持部材32g、32gの両端の可動部36g、36g…は、それぞれ、SiC種結晶50g及び上蓋20gに対して回転可能に嵌め込まれている。はめ込み直後の上蓋20gの下面(又は、SiC種結晶50gの成長面)と台座30gの側面とのなす角θは、特に限定されないが、通常は、90°である。
【0085】
図8(a)の状態から成長温度に昇温させた場合において、SiC種結晶50gが上蓋20gに対して収縮したときには、
図8(b)に示すように、柔軟性黒鉛シート34g、34g…が歪みを吸収するように変形し、台座30gは、上端側が開いたテーパ状に変形する。また、可動部36g、36g…が凹溝28g、58g内で回転することによって、上蓋20gの下面と台座30gの側面とのなす角θ’は、θ’>θとなる。
一方、
図8(a)の状態から成長温度に昇温させた場合において、SiC種結晶50gが上蓋20gに対して膨張したときには、
図8(c)に示すように、柔軟性黒鉛シート34g、34g…が歪みを吸収するように変形し、台座30gは、上端側が閉じた逆テーパ状に変形する。また、可動部36g、36g…が凹溝28g、58g内で回転することによって、上蓋20gの下面と台座30gの側面とのなす角θ”は、θ”<θとなる。
【0086】
すなわち、第7の具体例において、台座30gは、筒状になっており、
可動機構は、
(a)台座30gとして、
硬質黒鉛からなり、SiC種結晶50gの成長面に対して略垂直方向に分割された複数個の短冊状かつ板状の支持部材32g、32g…間が、柔軟性黒鉛シート34g、34g…を介して接合されており、
支持部材32g、32g…の両端に、それぞれ断面が円形の円柱状の可動部36g、36g…が形成されたものを用い、
(b)可動部36g、36g…を、それぞれ、SiC種結晶50gの裏面及び上蓋20gの下面に形成された凹溝58g、28gに回転可能となるように挿入することにより、
台座30gの側面とSiC種結晶50gの裏面及び上蓋20gの下面とのなす角度θを変更する角度変更機構からなる。
【0087】
柔軟性黒鉛シート34g、34g…の好適な厚さ及び割合については、第4の具体例と同様であるので、説明を省略する。
SiC種結晶50gの裏面であって、凹溝58gが形成されていない面には、種結晶裏面の昇華を防止するために、保護層52gを形成するのが好ましい。保護層52gの詳細は、第1の具体例と同様であるので、説明を省略する。
【0088】
図8に示す単結晶製造装置10gにおいて、台座30gの両端は、可動部36g、36g…により、それぞれSiC種結晶50gの裏面及び上蓋20gの下面に回転可能となるように嵌め込まれている。また、台座30gは、硬質黒鉛からなる支持部材32g、32g…と柔軟性黒鉛シート34g、34g…との接合体からなる。そのため、室温から、単結晶成長温度まで昇温するとき、SiC種結晶50g−上蓋20g間の熱膨張係数差に起因する歪みは、角度変更機構で緩和される。また、柔軟性黒鉛シート34g、34g…の弾性率は、種結晶に熱歪みを与えない程度に十分小さいため、成長結晶の格子面に歪みは殆ど生じない。
さらに、種結晶裏面以外の面上(特に、成長面上)には、種結晶を支持する部材が、単結晶の成長方向を阻害するように配置されていないので、成長面上に多結晶が析出して、単結晶の品質を劣化させることがない。
【0089】
[3.8. 具体例(8)、(9)]
図9に、原料ガス漏洩抑制機構の第1の具体例の断面図を示す。
図9(a)において、第8の実施の形態に係る単結晶製造装置10hは、上蓋20hと筒状の台座30hとを備えている。上蓋20hの放熱孔22hの下方には、台座30hが一体的に形成されている。台座30hの先端には、
図1又は
図3と同様の摺動機構(図示せず)を介して、SiC種結晶50hがスライド可能となるように保持されている。さらに、SiC種結晶50hの裏面には、台座30hの先端をスライドさせることが可能であり、かつ、熱膨張又は熱収縮を吸収可能な幅を有する凹部(返し)54hが形成されている。
なお、放熱孔22hは必ずしも必要ではない点、及び、台座30hは、必ずしも筒状である必要はない点は、上述した通りである。台座30hが筒状でない場合、SiC種結晶50hの裏面には、台座30hの先端がスライド可能な幅を有する凹部(返し)54hが形成される。
【0090】
同様に、
図9(b)において、第9の実施の形態に係る単結晶製造装置10iは、上蓋20iと台座30iとを備えている。上蓋20iの放熱孔22iの下方には、台座30iが一体的に形成されている。台座30iの先端には、
図2と同様の摺動機構を介して、SiC種結晶50iがスライド可能となるように保持されている。さらに、SiC種結晶50iの裏面には、台座30iの先端に形成された第2支持部材44iをスライドさせることが可能であり、かつ、熱膨張又は熱収縮を吸収可能な幅を有する凹部(返し)54iが形成されている。
なお、放熱孔22iは必ずしも必要ではない点、及び、台座30iは、必ずしも筒状である必要はない点は、上述した通りである。台座30iが筒状でない場合、SiC種結晶50iの裏面には、台座30iの先端がスライド可能な幅を有する凹部(返し)54iが形成される。
【0091】
凹部(返し)54h、54iは、温度勾配方向の下流側に向かって開口しているため、台座30h、30iとSiC種結晶50h、50iの接触面を通って昇華ガスが抜けるときには、昇華ガスは、温度勾配に逆らって流れていくことになる。昇華ガスは、温度勾配に逆らって流れにくいので、昇華ガスの漏れを大幅に抑制することができる。
なお、
図9(a)、
図9(b)のいずれの場合においても、SiC種結晶50h、50iの裏面に保護膜(図示せず)が形成されていても良い。
【0092】
[3.9. 具体例(10)、(11)]
図10に、原料ガス漏洩抑制機構の第2の具体例の断面図を示す。
図10(a)において、第10の実施の形態に係る単結晶製造装置10jは、上蓋20jと筒状の台座30jとを備えている。上蓋20jの放熱孔22jの下方には、台座30jが一体的に形成されている。台座30jの先端には、
図1又は
図3と同様の摺動機構(図示せず)を介して、SiC種結晶50jがスライド可能となるように保持されている。さらに、台座30jの先端には、温度勾配方向の上流側に向かって開口している凹部38jが形成されている。また、SiC種結晶50jの裏面には、凹部38j内を水平方向(SiC種結晶50jの成長面の面内方向)に沿ってスライド可能な幅を有する突起54jが形成されている。突起54jの高さは、凹部38jの底面に接する高さ以下であれば良い。
なお、放熱孔22jは必ずしも必要ではない点、及び、台座30jは、必ずしも筒状である必要はない点は、上述した通りである。
【0093】
同様に、
図10(b)において、第11の実施の形態に係る単結晶製造装置10kは、上蓋20kと筒状の台座30kとを備えている。台座30kは、
図4と同様の摺動機構を備えたものからなる。台座30kの先端には、SiC種結晶50kが固定されている。台座30kは、上蓋20kの上方から貫通孔22k内に挿入されている。さらに、台座30kの鍔部36kの下面には、温度勾配方向の上流側に開口する凹部38kが形成されている。また、上蓋20kの貫通孔22kの周囲には、凹部38k内を水平方向(SiC種結晶50kの成長面の面内方向)に沿ってスライド可能な幅を有する突起24kが形成されている。突起24kの高さは、凹部38kの底面に接する高さ以下であれば良い。
なお、台座30kは、必ずしも筒状である必要はない点は、上述した通りである。
【0094】
凹部38j、38kの開口部は、いずれも温度勾配方向の上流側に向かって開口しているため、凹部38j、38kを通って昇華ガスが抜けようとするときには、凹部38j、38kの底面に必ずSiCが析出する。析出したSiCが凹部38j、38kを埋めることで、昇華ガスの漏れが自動的に停止する。降温時には、SiC種結晶の上に結晶が成長し、厚さが厚くなっているので、凹部38j、38kにSiCが析出しても、熱応力による歪みが生じにくい。
【0095】
[3.10. 具体例(12)]
図11に、降温時可動機構の一例の断面図を示す。
図11(a)において、第12の実施の形態に係る単結晶製造装置10mは、本体部1と、上蓋20mと、筒状の台座30mとを備えている。本体部1の開口部を覆うように、本体部1の上に上蓋20mが載せられている。また、上蓋20mには台座30mが一体的に形成されている。台座30mの先端には、
図2と同様の摺動機構を介して、SiC種結晶50mがスライド可能となるように保持されている。さらに、台座30mの側面の上方は、テーパ状に広がっている。また、SiC種結晶50mの裏面であって、台座30mの外側(本体部1の内部側)には、台座30mの側面の形状に倣った形状を有する筒状部材38mが設けられている。台座30mと筒状部材38mは、所定の間隔を隔てて配置されており、両者の間には、隙間が形成されている。
【0096】
昇華ガスは、温度勾配方向(すなわち、温度の高い方から低い方)に向かって流れる性質を持つ。そのため、単結晶56mの成長に消費されなかった昇華ガスの大半は、上蓋20mの方向に向かって流れる。また、筒状部材38mの側面(B部)は、等温線に対して角度が浅いため、筒状部材38mの側面には多結晶が殆ど析出せず、上蓋20mの下面に多結晶58mが析出する。そのため、台座30mと筒状部材38mの隙間を通って昇華ガスが矢印A方向に漏れ出すことがなく、摺動部(C部)に多結晶が析出することもない。その結果、降温時においても摺動機能が維持される。
【0097】
[3.11. 具体例(13)]
図12に、本発明の第13の実施の形態に係る単結晶製造装置の可動機構の正面図(
図12(a))、底面図(
図12(b))、平面図(
図12(c))、及び、D−D’線断面図(
図12(d))を示す。
図12において、単結晶製造装置10nは、本体部(図示せず)と、上蓋20nと、台座30nと、可動機構(摺動機構)40nとを備えている。
【0098】
上蓋20nは、本体部(図示せず)の開口部を覆うため、及び、その内面側にSiC種結晶50nを保持するために用いられる。また、上蓋20nには、その中央部にSiC種結晶50nの裏面側を本体部の外側に開放するための放熱孔22nが設けられている。放熱孔22nは必ずしも必要ではないが、上蓋20nに放熱孔22nを設けると、単結晶の成長速度の低下を抑制することができる。
放熱孔22nの下方には、筒状の台座30nが一体的に設けられている。台座30nは必ずしも筒状である必要はないが、上蓋20nに放熱孔22nが設けられている場合において台座30nを筒状にすると、単結晶の成長速度の低下を抑制することができる。台座30nが中実の部材からなる場合、台座30nには、後述する第1支持部材42nを遊挿可能な貫通孔が設けられる。
【0099】
可動機構(摺動機構)40nは、第1支持部材42nと、第2支持部材44nと、ナット(固定手段)46nと、可動円筒48nとを備えている。
可動円筒48nは、台座30nの外周面に沿って摺動可能となるように、台座30nの先端に挿入されている。さらに、可動円筒48nの先端には、SiC種結晶50nがスライド可能となるように支持されている。この点が、第1の実施の形態とは異なる。可動円筒48nの先端の形状は、特に限定されないが、
図12(d)に示すように先端の断面を半円形にすると、SiC種結晶50nのスライドをよりスムーズに行うことができる。
【0100】
第1支持部材42nは、硬質黒鉛からなり、SiC種結晶50nの裏面の中央部にその一端を固定するための1個の棒状の部材である。第1支持部材42nの一端は、SiC単結晶50nの裏面に接着されている。第1支持部材42nの長さは、上蓋20nの高さ+台座30nの高さ+可動円筒48nの突き出し長さより長くなっている。なお、第1支持部材42nは、互いに強固に連結していない2以上の部材であっても良い点は、第1の実施の形態と同様である。
第2支持部材44nは、硬質黒鉛からなる板状の部材である。第2支持部材44nを板状にするのは、放熱孔22nを完全に塞がないようにするためである。第2支持部材44nの中央には、第1支持部材42nの他端を挿入可能な挿入孔が設けられている。
【0101】
第1支持部材42nの一端が接着されたSiC種結晶50nと第2支持部材44nは、上蓋20n−台座30n−可動円筒48nを両側から挟むように配置され、SiC種結晶50n−可動円筒48n間及び上蓋20n−第2支持部材44n間は、単に接触しているだけである。また、第2支持部材44nの挿入孔に挿入された第1支持部材42nの他端は、可動円筒48nが台座30nの外周面に沿ってスライドできるように、黒鉛製のナット46nで第2支持部材44nに固定されている。そのため、SiC種結晶50nの裏面は、可動円筒48nの先端に接触した状態で保持されているが、上蓋20n(又は台座30n)に対して水平方向(SiC種結晶50nの成長面の面内方向)にスライド可能になっている。また、台座30nの先端は、SiC種結晶50nの裏面に接触しておらず、かつ、可動円筒48nの先端は、SiC種結晶50nの裏面に接触している。
【0102】
すなわち、第13の具体例において、可動機構40nは、
(a)台座30nの先端に、台座30nの外周面に沿って摺動可能な可動円筒48nを挿入し、
(b)SiC種結晶50nの裏面に可動円筒48nの先端を接触させ、
(c)SiC種結晶50nの裏面の中央部付近に、硬質黒鉛からなる互いに強固に連結していない1以上の棒状の第1支持部材42nの一端を固定し、
(d)上蓋20nの上に、板状の第2支持部材44nを載せ、第1支持部材42nを台座30n内に遊挿し、第2支持部材44nに設けられた挿入孔に第1支持部材42nの他端を挿入し、
(e)挿入孔に挿入された第1支持部材42nの他端と第2支持部材44nとをナット(固定手段)46nにより固定することにより、
上蓋20nに対してSiC種結晶50nをスライドさせる摺動機構からなる。
【0103】
第1支持部材42nとSiC種結晶50nの接着部の面積、直径等、その他の点については、第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
また、上蓋20n、台座30n及び第1支持部材42nは、同一の材料であっても良く、あるいは、異なる材料であっても良い。本実施の形態において、可動円筒48nが縦方向の歪みを吸収するので、縦方向の熱膨張係数差の違いによる摺動部の隙間拡大や熱歪みの発生のおそれが小さくなる。
さらに、SiC種結晶50nの裏面であって、第1支持部材42nとの接着部以外の面には、種結晶裏面の昇華を防止するために、保護層52nを形成するのが好ましい。保護層52nの詳細については、第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
【0104】
図12に示す単結晶製造装置10nにおいて、SiC種結晶50n−可動円筒48n間は接触しているが、接着されていない。そのため、室温から、単結晶成長温度まで昇温するとき、SiC種結晶50n−上蓋20n又は台座30n間の熱膨張係数差に起因する歪みは、可動機構40nで緩和される。また、種結晶裏面中央の接着部の最大寸法は、種結晶に熱歪みを与えない程度に十分小さいため、成長結晶の格子面に歪みは殆ど生じない。また、可動円筒48nが台座30nの外周面に沿ってスライドすることにより縦方向の歪みを吸収するので、摺動部の隙間拡大や熱歪みの発生を抑制することができる。
さらに、種結晶裏面以外の面上(特に、成長面上)には、種結晶を支持する部材が、単結晶の成長方向を阻害するように配置されていないので、成長面上に多結晶が析出して、単結晶の品質を劣化させることがない。
なお、
図12に示す可動円筒48nを備えた可動機構は、
図2及び
図3に示す単結晶製造装置に対しても適用することができる。
【0105】
[3.12. 具体例(14)]
図13に、本発明の第14の実施の形態に係る単結晶製造装置の可動機構の正面図(
図13(a))、底面図(
図13(b))、平面図(
図13(c))、及び、D−D’線断面図(
図13(d))を示す。
図13において、単結晶製造装置10pは、本体部(図示せず)と、上蓋20pと、台座30pと、可動機構(摺動機構)40pとを備えている。
【0106】
上蓋20pは、本体部(図示せず)の開口部を覆うため、及び、その内面側にSiC種結晶50pを保持するために用いられる。また、上蓋20pには、その中央部にSiC種結晶50pの裏面側を本体部の外側に開放するための放熱孔22pが設けられている。放熱孔22pは必ずしも必要ではないが、上蓋20pに放熱孔22pを設けると、単結晶の成長速度の低下を抑制することができる。
放熱孔22pの下方には、筒状の台座30pが一体的に設けられている。台座30pは必ずしも筒状である必要はないが、上蓋20pに放熱孔22pが設けられている場合において台座30pを筒状にすると、単結晶の成長速度の低下を抑制することができる。台座30pが中実の部材からなる場合、台座30pには、後述する第1支持部材42pを遊挿可能な貫通孔が設けられる。
【0107】
可動機構(摺動機構)40pは、第1支持部材42pと、第2支持部材44pと、ナット(固定手段)46pと、中空円板47pと、可動円筒48pと、柔軟性黒鉛シート49p、49pとを備えている。
可動円筒48pの内径は、台座30pの外形より大きくなっている。可動円筒48pの起端と台座30pの先端の間には、中空円板47pが配置されている。可動円筒48p−中空円板47p間、及び、中空円板47p−台座30p間は、それぞれ、柔軟性黒鉛シート49p、49pを介して接合されている。さらに、可動円筒48pの先端には、SiC種結晶50pがスライド可能となるように支持されている。この点が、第1の実施の形態とは異なる。可動円筒48pの先端の形状は、特に限定されないが、
図13(d)に示すように先端の断面を半円形にすると、SiC種結晶50pのスライドをよりスムーズに行うことができる。
【0108】
第1支持部材42pは、硬質黒鉛からなり、SiC種結晶50pの裏面の中央部にその一端を固定するための1個の棒状の部材である。第1支持部材42pの一端は、SiC単結晶50pの裏面に接着されている。第1支持部材42pの長さは、上蓋20pの高さ+台座30pの高さ+可動円筒48pの突き出し長さより長くなっている。なお、第1支持部材42pは、互いに強固に連結していない2以上の部材であっても良い点は、第1の実施の形態と同様である。
第2支持部材44pは、硬質黒鉛からなる板状の部材である。第2支持部材44pを板状にするのは、放熱孔22pを完全に塞がないようにするためである。第2支持部材44pの中央には、第1支持部材42pの他端を挿入可能な挿入孔が設けられている。
【0109】
第1支持部材42pの一端が接着されたSiC種結晶50pと第2支持部材44pは、上蓋20p−台座30p−可動円筒48pを両側から挟むように配置され、SiC種結晶50p−可動円筒48p間及び上蓋20p−第2支持部材44p間は、単に接触しているだけである。また、第2支持部材44pの挿入孔に挿入された第1支持部材42pの他端は、可動円筒48pが上下方向に移動可能となるように、黒鉛製のナット46pで第2支持部材44pに固定されている。そのため、SiC種結晶50pの裏面は、可動円筒48pの先端に接触した状態で保持されているが、上蓋20p(又は台座30p)に対して水平方向(SiC種結晶50pの成長面の面内方向)にスライド可能になっている。また、台座30pの先端は、SiC種結晶50pの裏面に接触しておらず、かつ、可動円筒48pの先端は、SiC種結晶50pの裏面に接触している。
【0110】
すなわち、第14の具体例において、可動機構40pは、
(a)硬質黒鉛からなる中空円板47pの内周面側に柔軟性黒鉛シート49pを介して台座30pの先端を接着し、中空円板47pの外周面側に柔軟性黒鉛シート49pを介して可動円筒48pの起端を接着し、
(b)SiC種結晶50pの裏面に可動円筒48pの先端を接触させ、
(c)SiC種結晶50pの裏面の中央部付近に、硬質黒鉛からなる互いに強固に連結していない1以上の棒状の第1支持部材42pの一端を固定し、
(d)上蓋20pの上に、板状の第2支持部材44pを載せ、第1支持部材42pを台座30p内に遊挿し、第2支持部材44pに設けられた挿入孔に第1支持部材42pの他端を挿入し、
(e)挿入孔に挿入された第1支持部材42pの他端と第2支持部材44pとをナット(固定手段)46pにより固定することにより、
上蓋20p又は台座30pに対してSiC種結晶50pをスライドさせる摺動機構からなる。
【0111】
第1支持部材42pとSiC種結晶50pの接着部の面積、直径等、その他の点については、第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
また、上蓋20p、台座30p及び第1支持部材42pは、同一の材料であっても良く、あるいは、異なる材料であっても良い。本実施の形態において、可動円筒48pと台座30pの間に設けられた中空円板47p及び柔軟性黒鉛シート49p、49pが縦方向の歪みを吸収するので、縦方向の熱膨張係数差の違いによる摺動部の隙間拡大や熱歪みの発生のおそれが小さくなる。
さらに、SiC種結晶50pの裏面であって、第1支持部材42pとの接着部以外の面には、種結晶裏面の昇華を防止するために、保護層52pを形成するのが好ましい。保護層52pの詳細については、第1の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
【0112】
図13に示す単結晶製造装置10pにおいて、SiC種結晶50p−可動円筒48p間は接触しているが、接着されていない。そのため、室温から、単結晶成長温度まで昇温するとき、SiC種結晶50p−上蓋20p又は台座30p間の熱膨張係数差に起因する歪みは、可動機構40pで緩和される。また、種結晶裏面中央の接着部の最大寸法は、種結晶に熱歪みを与えない程度に十分小さいため、成長結晶の格子面に歪みは殆ど生じない。また、可動円筒48pと台座30pの間に設けられた中空円板47p及び柔軟性黒鉛シート49p、49pが縦方向の歪みを吸収するので、摺動部の隙間拡大や熱歪みの発生を抑制することができる。
さらに、種結晶裏面以外の面上(特に、成長面上)には、種結晶を支持する部材が、単結晶の成長方向を阻害するように配置されていないので、成長面上に多結晶が析出して、単結晶の品質を劣化させることがない。
なお、
図13に示す可動円筒48pを備えた可動機構は、
図2及び
図3に示す単結晶製造装置に対しても適用することができる。
【0113】
[4. SiC単結晶]
本発明に係るSiC単結晶は、本発明に係る単結晶製造装置を用いて、SiC種結晶の成長面上に単結晶を成長させることにより得られる。
本発明に係る単結晶製造装置は、成長過程において種結晶に生じる熱歪みが少ない。そのため、格子面の歪みの少ないSiC単結晶が得られる。具体的には、製造条件を最適化することにより、成長方向に略垂直な面の格子面の曲率半径は、10m以上となる。製造条件をさらに最適化すると、曲率半径は、50m以上、あるいは、100m以上となる。格子面は、{0001}面、{11−20}面、又は、{1−100}面のいずれであっても良い。
【0114】
一般に、SiC種結晶の厚みが薄くなるほど、格子面の歪みが大きくなる。しかしながら、本発明に係る単結晶製造装置は、成長過程において種結晶に生じる熱歪みが少ないので、薄い種結晶を用いた場合であっても、格子面の歪みの少ないSiC単結晶が得られる。SiC種結晶の厚みは、具体的には、10mm以下が好ましい。SiC種結晶の厚みは、さらに好ましくは5mm以下、さらに好ましくは3mm以下、さらに好ましくは2mm以下である。
【0115】
さらに、従来の方法により得られる単結晶は、成長過程において種結晶に熱歪みが発生しやすい。このような{11−20}面又は{1−100}面の歪みの大きい成長結晶(
図14(a))から{0001}面に略平行な種結晶を取り出し(
図14(b))、これを用いて単結晶をc面成長させると(
図14(c)(d))、{11−20}面又は{1−100}面の曲率半径が小さい単結晶が得られる。また、得られた成長結晶からオフセット基板を切り出すと、
図14(e)に示すように、オフセット方向の揺らぎが大きくなる。
図14(e)に示す例の場合、基板のオフセット方向(同図において、破線で表示)は、目的とするオフセット方向(同図において、実線の矢印で表示)である<11−20>方向からずれてしまう。また、ウェハ面内でオフセット方向が変化した結晶しか得られない。このようなオフセット基板を用いて単結晶を成長させると、成長結晶中に欠陥が発生しやすい。
【0116】
これに対し、本発明に係る装置により得られる単結晶は、成長過程において種結晶に生じる熱歪みが少ない。このような{11−20}面又は{1−100}面の歪みの小さい成長結晶(
図15(a))から{0001}面に略平行な種結晶を取り出し(
図15(b))、これを用いて単結晶をc面成長させると(
図15(c)(d))、{11−20}面又は{1−100}面の曲率半径が大きい単結晶が得られる。具体的には、{11−20}面又は{1−100}面の曲率半径は、10m以上となる。
また、得られた成長結晶からオフセット基板を切り出すと、
図15(e)に示すように、オフセット方向の揺らぎが小さくなる。
図15(e)に示す例の場合、基板のオフセット方向は、目的とするオフセット方向(同図において、実線の矢印で表示)である<11−20>方向と一致する。また、オフセット方向がずれたとしても、ウェハ面内でずれ方が一定となる。そのため、このようなオフセット基板を用いて単結晶を成長させると、成長結晶中に欠陥が発生しにくい。
【0117】
さらに、SiC単結晶は、成長方向に略垂直な面内の最大寸法が100mm以上であるものが好ましい。従来の方法を用いて大型の単結晶を作製すると、格子面の曲率半径が10m未満となるが、本発明に係る方法を用いると、大型の単結晶であっても格子面の曲率半径が10m以上となる。
【0118】
[5. ウェハ]
本発明に係るSiCウェハは、本発明に係るSiC単結晶から切り出されたものからなる。
ウェハの表面を構成する結晶面は、特に限定されるものではなく、目的に応じて任意に選択することができる。すなわち、ウェハの表面は、{0001}面に対して平行な面(c面)、c面から若干傾いた面、{0001}面に対して垂直な面(a面)、あるいは、a面から若干傾いた面のいずれであっても良い。
【0119】
得られたウェハは、そのままの状態で、又は、表面に薄膜を形成した状態で、各種の用途に用いられる。例えば、ウェハを用いて半導体デバイスを製造する場合、ウェハ表面には、エピタキシャル膜が成膜される。エピタキシャル膜としては、具体的には、SiC、GaNなどの窒化物、などがある。
【0120】
[6. 半導体デバイス]
本発明に係る半導体デバイスは、本発明に係るSiCウェハを用いて製造されるものからなる。半導体デバイスとしては、具体的には、
(a)LED、
(b)パワーデバイス用のダイオードやトランジスタ、
などがある。
【0121】
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。