特許第5808703号(P5808703)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5808703
(24)【登録日】2015年9月18日
(45)【発行日】2015年11月10日
(54)【発明の名称】電子制御装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20151021BHJP
【FI】
   H05K7/20 Y
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-64314(P2012-64314)
(22)【出願日】2012年3月21日
(65)【公開番号】特開2013-197404(P2013-197404A)
(43)【公開日】2013年9月30日
【審査請求日】2014年9月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立オートモティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100096459
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 剛
(72)【発明者】
【氏名】河合 義夫
(72)【発明者】
【氏名】市川 英司
【審査官】 遠藤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】 特表平06−507049(JP,A)
【文献】 特開2002−330523(JP,A)
【文献】 特開平09−129451(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の筐体部材を接合してなる筐体内部の空間に、動作に応じて発熱する発熱性電子部品と当該発熱性電子部品よりも耐熱性の低い低耐熱性電子部品を実装した回路基板が収容された電子制御装置であって、
発熱性電子部品による回路基板の発熱部位を包囲する隔壁から成る発熱部位用カバーと、
回路基板に実装された低耐熱性電子部品を包囲する隔壁から成る低耐熱性電子部品用カバーと、
を備え
発熱性電子部品が、回路基板の一端面側に実装され、
低耐熱性電子部品が、回路基板の他端面側に実装され、
複数の筐体部材のうち回路基板の一端面側に対向した筐体部材が、金属材料からなり、
発熱部位用カバーが、回路基板の他端面側に対向した筐体部材に設けられ、発熱性電子部品の実装位置における回路基板の他端面側の発熱部位を包囲したことを特徴とする電子制御装置。
【請求項2】
複数の筐体部材のうち低耐熱性電子部品に対向した筐体部材に、発熱部位用カバー,低耐熱性電子部品用カバーのうち少なくとも一つが一体成形されていることを特徴とする請求項1記載の電子制御装置。
【請求項3】
回路基板と、発熱部位用カバー,低耐熱性電子部品用カバーのうち少なくとも一つと、の間にクッション材を介在させてシールしたことを特徴とする請求項2記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体内部の保護空間に回路基板が収容された車両の電子制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なエンジンコントロールユニットや自動変速機用コントロールユニットなどの車両に搭載される電子制御装置は、複数の筐体部材を接合してなる筐体内部の保護空間(防水等が図られた空間)に、電子部品を実装した回路基板が収容された構造となっている。この回路基板には、演算処理装置(CPU),半導体スイッチング素子,IC等のように動作に応じて発熱する発熱性電子部品(以下、発熱性部品)の他に、その発熱性部品よりも耐熱性が低いアルミ電解コンデンサ等の低耐熱性電子部品(以下、低耐熱性部品)が実装されている。このような回路基板においては、発熱性部品の熱が低耐熱性部品に影響(損傷等)を及ぼす虞がある。
【0003】
そこで、発熱性部品と低耐熱性部品とを互いに距離を隔てて実装、例えば発熱性部品を回路基板の一端面側のみに実装し低耐熱性部品を回路基板の他端面側のみに実装することにより、回路基板を両電子部品の仕切壁として機能させ、低耐熱性部品に対する発熱部位の熱の影響を抑制する手法が採られている。
【0004】
なお、電子制御装置とは異なる技術分野において、ヒートシンクを設けたり、発熱性部品が実装されている領域と非耐熱性部品が実装されている領域との間に平板状の仕切壁(前記の回路基板のような役割を果たす壁)を設けた構成が開示されている(例えば特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−233978号公報
【特許文献2】特開2005−12991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記のように回路基板を仕切壁として機能させた電子制御装置であっても、発熱部位(例えば発熱部品の実装位置における回路基板裏面側)からの熱が少なからず低耐熱性部品に影響(例えば筐体内の保護空間を介して熱伝導)を及ぼす虞があった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、低耐熱性部品に対する発熱部位の熱の影響をより抑制した電子制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る電子制御装置は、前記の課題を解決できる創作であり、その一態様は、複数の筐体部材を接合してなる筐体内部の空間に、動作に応じて発熱する発熱性電子部品と当該発熱性電子部品よりも耐熱性の低い低耐熱性電子部品を実装した回路基板が収容された電子制御装置であって、発熱性電子部品による回路基板の発熱部位を包囲する隔壁から成る発熱部位用カバーと、回路基板に実装された低耐熱性電子部品を包囲する隔壁から成る低耐熱性電子部品用カバーと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上示したように本発明によれば、発熱部位から発熱した熱の遮蔽作用を奏するだけでなく、前記の発熱した熱が低耐熱性電子部品に熱伝導しないようにする遮蔽作用を奏するため、低耐熱性部品に対する発熱部位の熱の影響を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態における電子制御装置の一例を示す分解斜視図(上方側からの斜視図)。
図2】本実施形態における電子制御装置の一例を示す分解斜視図(下方側からの斜視図)。
図3】筐体カバー13の背面図。
図4図1のA−A線に沿う概略断面図。
図5】発熱部位用カバー40の一例を示す概略断面図(図1のB−B線に沿う概略断面図)。
図6】低耐熱性電子部品用カバー41の一例を示す概略断面図(図1のB−B線断面に基づいた図)。
図7】発熱性電子部品の実装位置の一例を示す概略断面図(図1のB−B線断面に基づいた図)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態の電子制御装置は、複数の筐体部材を接合してなる筐体内部の空間に、発熱性部品,非耐熱性部品を実装した回路基板を収容したものであり、単に発熱性部品が実装されている領域と非耐熱性部品が実装されている領域との間に仕切壁を設けて両領域を互いに隔離するのではなく、発熱部位(電子部品自体や、その電子部品の実装位置における回路基板裏面側)と非耐熱性部品とをそれぞれの隔壁によって包覆した構成である。すなわち、発熱性部品による回路基板の発熱部位を包囲する隔壁から成る発熱部位用カバー(以下、発熱部位カバー)と、回路基板に実装された低耐熱性部品を包囲する隔壁から成る低耐熱性電子部品用カバー(以下、低耐熱性部品カバー)と、を備えたものである。
【0012】
このような構成によれば、発熱部位が発熱部位カバーの隔壁により包覆されるため、発熱部位から発熱した熱を遮蔽する作用を奏し、また、低耐熱性部品が低耐熱性部品カバーの隔壁により包覆されるため、前記の発熱した熱が低耐熱性部品に熱伝導しないように遮蔽する作用を奏する。すなわち、発熱部位カバーによって遮られた熱は発熱部位カバー内に留められ、その発熱部位カバーの外部への熱伝導を抑制できる。また、発熱部位の熱が発熱部位カバーによって遮られずに低耐熱性部品の周囲に熱移動しても、その熱を低耐熱性部品カバーにより遮り低耐熱性部品に対する熱伝導を抑制できる。
【0013】
これら各カバーは、それぞれ発熱部位,低耐熱性部品を包囲できる隔壁を有するものであれば、特に形状や材質が限定されることはないが、例えば樹脂材料等の断熱性を有する材料を適用することが好ましい。
【0014】
また、前記の各カバーを筐体部材とは別途に設けても良いが、例えば各筐体部材のうち回路基板における低耐熱性部品が実装されている側に対向した筐体部材と一体成形した構成であっても良い。このように一体成形した構成によれば、筐体部材を各カバーの隔壁として機能させ、それら各カバーを筐体部材の補強フレームとして機能させることも可能である。
【0015】
なお、筐体部材も、特に形状や材質が限定されることはないが、前記のようにカバーを一体成形した筐体部材においては、断熱性を有する樹脂材料等を適用することが好ましい。また、筐体部材の表面からの熱放射率を高める目的で、例えば筐体表面に薄膜の絶縁処理(例えば、アルマイト等の表面処理,カチオン電着等の塗装処理)を施しても良い。
【0016】
さらに、筐体部材に一体成形されたカバーの場合、その筐体部材のカバーが位置する部分で肉厚方向に貫通した通気孔と、その通気孔の内側開口部に取り付けられる通気防水膜と、から成る呼吸フィルタを設けても良い。この呼吸フィルタによれば、各カバー内の熱(例えば発熱部位カバーに留められた熱)が大気中に放熱されるため、カバーによる熱の遮蔽作用が得られるだけでなく、放熱性が向上する。この通気防水膜の一例としては、防水性及び通気性の双方を併せ持つ通気防水膜が挙げられる。この通気防水膜において、例えば洗車時等に高温・高圧の水が直接吹き付けられるような虞がある場合には、その通気孔を保護するように防護壁を設けることが好ましい。
【0017】
各カバーは、それぞれ一つの発熱部位,低耐熱性部品を包囲するように構成しても良いが、複数個包囲するように設けても良い。例えば、複数個の低耐熱性部品が互いに隣接している場合には、それら隣接する部品を一つの低耐熱性部品カバーで包囲するように構成できる。
【0018】
各カバーと回路基板とは、両者間に例えば1mm以下もしくは数mm程度の間隙(クリアランス)を設けたり、その間隙にクッション材を介在させて、互いに当接しないようにすることが好ましい。両者が当接していると、例えば車の走行時に発生する振動等によりカバーと回路基板とが互いに擦れ合い、回路基板の電気不良等を起こす虞があり好ましくない。
【0019】
各カバーと回路基板との間の間隙にクッション材を介在させた場合には、前記のような擦れ合いを抑制できるだけでなく、各カバー内をシールすることができるため、各カバーによる遮蔽作用を高めることができ、低耐熱性部品に対する発熱部位の熱の影響をより抑制することが可能となる。クッション材としては、絶縁性,弾性等を有するものを適用することが好ましく、例えば電子制御装置の分野で利用されているグリスが挙げられる。また、前記のように絶縁性,弾性を有する他に、例えば接着性を有し間隙に介在して位置ズレが起こらないようにしたものや、耐環境性を有しクッション性を長期間保持できるようにしたものを適用しても良い。
【0020】
前記の発熱部位と当該発熱部位に対向する筐体部材との間に間隙(例えば、後述する図1の発熱性部品14aと底面12aとの間におけるクリアランス)が存在する場合には、例えば間隙に対して弾性放熱材を介在させることにより、発熱部位の熱が筐体部材へ熱伝導し易くして放熱性を高めるように構成しても良い。弾性放熱材としては、電子制御装置の分野で利用されているものであれば適用可能であり、例えばシリコン系の樹脂材料から成りゲル状で弾性を有する放熱材が挙げられる。また、前記のように弾性を有する他に、例えば接着性を有し間隙に介在して位置ズレが起こらないようにしたものや、耐環境性を有し放熱性を長期間保持できるようにしたものを適用することが好ましい。
【0021】
<電子制御装置の構成例>
以下に、本実施形態に係る電子制御装置を、自動車のエンジンコントロールユニットに適用した一例について、図面に基づいて詳細に説明する。先ず、図1図2図3図4を参照して、複数の筐体部材(後述する筐体ケース12,筐体カバー13等)を接合して成る筐体内部の空間に回路基板11を収容した電子制御装置10の基本構成について説明する。なお、ここでの説明においては、便宜上、図1の上下方向(回路基板11)の肉厚方向を装置10自体の上下方向として説明することがあるが、これは、車載状態での鉛直方向に必ずしも対応するものではなく、例えば車両搭載状態が縦置き姿勢の場合、図1の装置10の上下方向が自動車の前後方向に沿うものとなる。
【0022】
この電子制御装置10は、車体側に取り付けられる略板状の筐体ケース12と略箱状の筐体カバー13とを液密に接合してなる筐体と、この筐体内部の保護空間に収容される発熱性部品14a,低耐熱性部品14bを実装した回路基板11と、により大略構成されており、図示していないが、エンジンルーム等に搭載され、車体側への取付面19となるケース12のブラケット23の底面において、車体側に取り付けられるものである。なお、車体側への取付面19は、この実施形態ではケース12の底面と平行に構成されているが、車体側への取付部(ブラケット23)の形状等によってはケース12の底面に対して傾斜する場合もある。
【0023】
各構成要素について具体的に説明すると、回路基板11は、その上方側(筐体カバー13側)にアルミ電解コンデンサ等の低耐熱性部品14bが実装され、下方側(筐体ケース12側)には半導体スイッチング素子,IC等の発熱性部品14aが実装された、いわゆるプリント配線基板であり、例えばガラスエポキシ樹脂等からなる板材の表裏面あるいはその内部に配線回路パターンが形成され、この配線回路パターンに発熱性部品14a,低耐熱性部品14bがそれぞれ半田等により電気的に接続されている。
【0024】
また、回路基板11の一側には、外部のコネクタとそれぞれ接続される2つの第1,第2接続口16,17を有するコネクタ15が取り付けられている。このコネクタ15は、その接続先に応じて2つに分割された各接続口16,17が取付基部18を介して一体化されたものであって、この取付基部18を介して回路基板11に複数のビス等により固定されている。このコネクタ15は、取付基部18によって連結された一連の接続口16,17が、筐体ケース12と筐体カバー13との間に形成される空間である窓部21を介して外部へと臨むようになっていて、ここにおいて車両側のコネクタと接続される。
【0025】
コネクタ15には、基板上の配線回路パターンに電気的に接続された複数の雄型端子(図示省略)が設けられ、これらの雄型端子が図外のコネクタに収容される複数の雌型端子と接続されることで、当該図外のコネクタ(雌型端子)に接続されるセンサー類やポンプ等の所定の機器と電気的に接続されることとなる。
【0026】
前記の筐体ケース12は、鉄やアルミニウム等の放熱性に優れた金属材料によって略板状、より詳しくは周縁がわずかに立ち上がる浅い箱状に一体形成されたものである。具体的には、ほぼ矩形状の底壁12aの外周縁(各側辺)に側壁12bが立設され、全体が上方へ開口するように構成されている。
【0027】
また、筐体ケース12の底壁12aの内側面には、回路基板11の取付固定に供する基板固定部22が立設されている。基板固定部22は、その上端部に、回路基板11を支持する平坦状の支持面22aが構成されていて、これら各支持面22aには、回路基板11の固定に供する図外のビスが螺合する雌ねじ穴22bが形成されている。ビスが各雌ねじ穴22bに螺着されることによって、回路基板11が各基板固定部22に支持された状態でケース12に固定されることとなる。
【0028】
また、筐体ケース12における側壁12bの外側部には、電子制御装置10の車体(図示省略)への取付に供する一対のブラケット23が一体に設けられている。なお、図1では手前側のブラケット23のみを図示している。ブラケット23には、上下方向に貫通する貫通孔23a、あるいは側方に開口する切欠溝が設けられていて、これら貫通孔23aや切欠溝23bを挿通するボルト等によって、車体側への取付が行われる。
【0029】
前記の筐体カバー13は、金属材料に比べて軽量かつ低コストの所定の合成樹脂材料によって略箱状に一体成形されたものであり、回路基板11及びコネクタ15の上方を覆う上壁部31と、前記の窓部21を除く上壁部31の周縁の三方を囲う側壁32と、を有している。この筐体カバー13は、四隅に設けられた係止爪部24が、筐体ケース12の四隅に設けられた突起部25に弾性変形を伴って引っ掛かるように嵌合するとともに、窓部21の周縁の二箇所に設けられたコネクタ用の係止爪部26が、コネクタ15側に設けられた突起部(図示省略)に弾性変形を伴って引っ掛かるように嵌合することで、筐体ケース12及び筐体コネクタ15を含む回路基板11側に堅牢に組み付けられる、いわゆるスナップフィット式の固定構造となっている。このように本実施形態では、筐体の固定構造として、合成樹脂製の筐体カバー13の弾性変形を利用したスナップフィット式の簡素な固定構造を採用しているが、これに限らず、ビスやボルト等を用いた他の固定構造を用いることもできる。
【0030】
筐体ケース12の上側の周縁部と筐体カバー13の下側の周縁部との接合部分、更にはコネクタ15の外周部と窓部21の内周縁部との接合部分は、それぞれ、防水性を確保するために、シール剤を介して液密に接合されている。詳しくは図示していないが、これらの接合部分には、その一方にシール溝20が形成されるとともに、他方に突条が設けられ、この突条がシール溝20に隙間をもって入り込むことで、シール溝20と突条との隙間に充填されるシール剤の長さ、いわゆるシール長を十分に確保して、所期のシール性が得られるように構成されている。ここで、シール剤としては、流動性を有するシール剤であれば特に具体的な構成は限定されるものではなく、例えばエポキシ系やシリコーン系、アクリル系など、電子制御装置10の仕様や要求に応じて適宜に選択することができる。
【0031】
上述したように、この装置10においては、回路基板11の一端に、側方へ開口するコネクタ15が取り付けられた構造となっている。この関係で、筐体カバー13は、基板厚さ方向の寸法(高さ)が異なる回路基板11とコネクタ15のそれぞれに応じた段付形状をなしている。具体的には、回路基板11及びコネクタ15を挟んで筐体ケース12と対向する筐体カバーの上壁部31には、筐体ケース12の取付面19に平行な上段部33と下段部34とが設けられている。コネクタ15の上方を覆う上段部33は、回路基板11の上方を覆う下段部34に対して、基板厚さ方向の寸法が大きく設定されている。そして、このように高さの異なる上段部33と下段部34とを滑らかに繋ぐ傾斜壁部35が設けられている。この傾斜壁部35は、筐体ケース12の取付面19に対して所定の傾斜角度(例えば45度程度の傾斜角度)で平坦に傾斜しており、従って、上段部33や下段部34に対しても同じ傾斜角度で傾斜している。
【0032】
傾斜壁部35には、肉厚方向に貫通して形成される通気孔(呼吸フィルタ)36を保護するための防護壁37が設けられる。この通気孔36の内側開口部36aには、防水性及び通気性の双方を併せ持つゴアテックス(登録商標)などの薄膜状の通気防水膜が取り付けられる。この通気防水膜は、通気孔36の内側開口部36aの開口形状に応じた薄肉な円形シート状をなし、通気孔36の内側開口部36aを完全に閉塞するように、この通気孔36よりも大きな面積・寸法のものが用いられる。
【0033】
下段部34の裏面側には、発熱性部品14aの実装位置における回路基板裏面側(上方側)の発熱部位14aaを包覆する発熱部位カバー40と、低耐熱性部品14bを包覆する低耐熱性部品カバー41が設けられている。これら発熱部位カバー40,低耐熱性部品カバー41は、それぞれ下段部34の内壁面側から肉厚方向(回路基板11の上方側に対向する方向)に延設された隔壁40a,41aによって発熱部位14aa,低耐熱性部品14bを包囲するように箱状に一体成形されている。したがって、下段部34は、発熱部位カバー40,低耐熱性部品カバー41のそれぞれの隔壁の役割を果たしている。
【0034】
これら発熱部位カバー40,低耐熱性部品カバー41は、それぞれ一つの発熱部位14aa,低耐熱性部品14bを包囲するものと、図4に示すように、それぞれ複数個互いに隣接している発熱部位14aa,低耐熱性部品14bを包囲するものと、が形成されている。隔壁40a,41aの延設方向の長さは、回路基板11,筐体ケース12,筐体カバー13をそれぞれ接合した状態で、隔壁40a,41aと回路基板11との間に僅かな間隙(1mm以下もしくは数mm程度のクリアランス)を設けて互いに当接しないように、設定されている。この間隙にグリス等から成るクッション材を介在させることにより、隔壁40a,41aと回路基板11とが互いに擦れ合わないようにすると共に、各カバー40,41をシールすることができる。
【0035】
以上示した装置10においては、例えば図5に示すように、発熱部位カバー40の筐体カバー13(下段部34)側に、呼吸フィルタ42を設けた構成としても良い。この構成により、発熱部位14aaから発熱した熱が低耐熱性部品14b側に熱伝導しないように抑制できるだけでなく、発熱部位カバー40内に留められた熱が呼吸フィルタ42を介して大気中に放熱される。また、図6に示すように、低耐熱部品カバー41の筐体カバー13(下段部34)側にも、呼吸フィルタ42を設けた構成としても良い。この構成により、低耐熱部品カバー41内に僅かながらも存在する熱が呼吸フィルタ42を介して大気中に放熱される。
【0036】
なお、図7に示すように、発熱性部品14aが回路基板11の上方側に実装された場合であっても、その発熱性部品14aを包覆するように発熱部位カバー40を構成することにより、図1に示した装置と同様に、発熱部品14aから発熱する熱を、図1に示した装置10と同様に、低耐熱性部品14b側に熱伝導しないように抑制できる。
【0037】
以上、本発明において、記載された具体例に対してのみ詳細に説明したが、本発明の技術思想の範囲で多彩な変更等が可能であることは、当業者にとって明白なことであり、このような変更等が特許請求の範囲に属することは当然のことである。
【符号の説明】
【0038】
10…電子制御装置
11…回路基板
12…筐体ケース
13…筐体カバー
14a…発熱性電子部品(発熱部位)
14aa…発熱部位
14b…低耐熱性電子部品
40…発熱部位用カバー
41…低耐熱性電子部品用カバー
40a,41a…隔壁
42…呼吸フィルタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7